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再婚禁止期間の平成7年・平成27年最高裁判決と国家賠償―違憲と立法不作為の違法性(AI作成)

再婚禁止期間をめぐる最高裁判決は、平成7年も平成27年も国への損害賠償請求を認めなかった。しかし、両判決の憲法判断は同じではない。平成7年判決は旧民法733条の合憲性を確定せず、平成27年判決は100日を超える部分を違憲とした上で国家賠償法上の違法性を否定した。この区別が、過去の立法不作為を論じる出発点となる。

第1 二つの判決の結論

1 平成7年12月5日第三小法廷判決

女性のみに6か月の再婚禁止期間を設けた当時の民法733条について、再婚届の不受理による精神的損害等を主張する当事者が、国会による改廃をしないことなどを理由に国家賠償を請求した。最高裁は請求を退けた。この判決で問題となった立法不作為の判断時点は平成元年である。請求棄却を「6か月の禁止は合憲」と言い換えてはならない。

2 平成27年12月16日大法廷判決

平成20年に前婚を解消した女性の請求について、最高裁は当時の6か月の禁止のうち100日を超える部分が、遅くとも同年当時には憲法14条1項・24条2項に違反していたとした。他方、当時の100日以内の部分は違憲としなかった。それでも国会による改廃の遅れは国家賠償法1条1項上違法と評価できないとして、賠償請求を棄却した。

第2 平成7年判決の射程

平成7年判決は、国会議員の立法行為について、憲法の一義的な文言に反する立法をあえて行うような例外的な場合でなければ国家賠償法上違法と評価されない、という先例の枠組みを引用した。そして、旧733条の元来の目的を、父性の推定の重複を避け、父子関係の紛争を予防する点に求めた上、改廃しないことが直ちにその例外に当たるとはいえないと判断した。判決文は6か月の期間のすべてについて憲法適合性を審査し、合憲と結論したものではない。

平成27年判決も、この先例を「立法不作為について国賠法上の違法性を否定した判断」として扱う。千葉勝美裁判官の補足意見は、平成7年判決が引用した「憲法の一義的な文言に反する」という例は、国賠法上の違法となる全ての場合を尽くしたものではないと説明している。両判決を、単純な合憲判決から違憲判決への変更と整理するのは不正確である。

第3 平成27年判決の二段階の判断

1 規定の違憲性

当時の民法772条では、前婚解消後300日以内と後婚成立後200日経過後に出生した子について父性の推定が重なり得た。この重複を避けるには計算上100日の禁止で足りる。大法廷は、旧法制定時に6か月という幅を設けたことまで不合理とはしなかったが、医療・科学技術や婚姻・家族の社会状況の変化を踏まえると、平成20年には100日を超える制約を正当化できなくなっていたと判断した。

2 国会議員の職務上の義務違反

規定が違憲でも、国会議員の立法行為・立法不作為が直ちに国家賠償法上違法になるわけではない。大法廷は、違憲であることが明白なのに国会が正当な理由なく長期にわたり改廃を怠った場合などに、個々の国民に対する職務上の法的義務違反として例外的に違法となり得るとした。

本件では、平成7年判決が違憲との判断を示さず立法不作為の国賠責任を否定していた。平成6年の改正要綱試案と平成8年の法律案要綱は100日への短縮を提案したが、100日超過部分が違憲であるとの前提で作成されたとはうかがわれない。その後も同部分を違憲とする司法判断はなかった。多数意見は、平成20年時点で違憲性が国会にとって明白だったとはいえず、国賠法上の違法性を否定した。

第4 多数意見と反対意見の分岐

山浦善樹裁判官は反対意見で、再婚禁止期間の全部が違憲であり、遅くとも平成13年には違憲となっていたと考えた。平成7年判決の判断時点は平成元年であり、平成20年を問う本件の妨げにならないという。科学技術の進歩、社会状況、諸外国の法改正、国際機関の勧告等から、平成20年より相当前に国会に違憲性が明白となり、改廃に技術的困難もなかったとして、立法不作為の違法性と過失を認め、賠償請求を認容すべきだと述べた。これは多数意見の結論ではない。

対立点は、婚姻の自由をどこまで制約できるかに加え、いつ、何を根拠に、違憲性が国会にとって明白になったと評価できるかにある。平成8年の100日短縮案を、政策提案とみるか、違憲状態の認識を裏付ける事情とみるかでも評価が分かれた。

第5 国家賠償を検討する実務上の手順

① まず、婚姻届の不受理等がいつ起き、どの時点の旧法が適用されたかを戸籍・届書等で確定する。平成7年事件の平成元年と平成27年事件の平成20年を混同しない。

② 次に、憲法上の制約の内容・違憲となった時期と、国会議員の職務上の義務違反を別々に検討する。先例、法制審議会資料、国会審議、司法判断、当時の科学的・社会的知見を時系列で整理し、違憲性の明白性と正当な理由のない不作為の期間を立証する。改正提案が存在した事実だけで、国賠責任が成立するわけではない。

③ 最後に、個別の届出経過、再婚できなかった期間、損害と因果関係、請求権の期間制限を検討する。平成27年判決は平成20年時点の立法不作為の違法性を否定したのであり、全ての時期・全ての事案について国賠責任の有無を一括して決めたものではない。一方、同判決の違憲判断だけを根拠に賠償が自動的に認められるわけでもない。

後続裁判例として、東京地裁平成30年3月13日判決(平成27年(ワ)第28945号、判例秘書文献番号L07331663)とその控訴審である東京高裁同年9月27日判決(平成30年(ネ)第1602号、同L07320602)がある。女性、新たな配偶者及び子は各100万円を請求したが、いずれも棄却された。これは一訴訟の二判決であり、請求額を認容額と取り違えてはならない。両判決は消滅時効の成否や慰謝料の相当額を判断していない。事実経過と判断の限界は再婚禁止期間を理由とする国家賠償請求の後続裁判例で詳述した。

時効を検討するときは、国家賠償法4条と適用時点の民法724条、改正法の経過措置を確認し、損害及び加害者を知った時期を請求権者ごとに検討する。平成27年大法廷判決の言渡日が一律に時効の起算日となるわけではない。精神的苦痛の請求というだけで民法724条の2の5年の期間が適用されるわけでもない。

第6 法改正との関係と資料

平成27年大法廷判決後は、改正前でも離婚から100日を経過した婚姻届を受理する取扱いが市区町村に通知された(法務省の判決説明資料)。平成28年改正で法定の期間は100日に短縮され、令和6年4月1日からは再婚禁止期間自体が廃止された。後の法改正と、過去の特定時点における国家賠償責任の成否は分けて論じる。現行の戸籍・父の推定については再婚禁止期間の廃止と父の推定、違憲判決の一覧は最高裁判所における違憲判決の一覧を参照されたい。

一次資料:最高裁平成7年12月5日第三小法廷判決(平成4年(オ)第255号、裁判集民事177号243頁。判例秘書収録本文・文献番号L05010101を令和8年10月1日に照合)。最高裁平成27年12月16日大法廷判決(平成25年(オ)第1079号、民集69巻8号2427頁)の判決全文。平成7年判決の公開掲載本文も参照できるが、本稿の本文確認は判例秘書収録本文に基づく。