第1 この記事の対象(法務省とは関係のない独自の予想)
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科目別のリンクから個別記事へ進み,問題文の設問に対応する評価項目,答案,解説及び出典を確認する。別年度との比較や他の科目を探すときは,司法試験の過去問・参考答案一覧を参照されたい。試験制度と受験資格は,司法試験とはで説明している。
本記事で一覧にする7本の記事の評価項目,重み付け,解説及び参考答案は,山中弁護士ブログが問題文と判例から独自に作成した予想であり,法務省とは関係がない。
法務省が公表した資料や,今後公表される出題の趣旨,採点実感,採点基準及び配点を示すものでもない。
本記事は,令和8年司法試験の論文式試験のうち,選択科目を除く主要7科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法)の7問について,山中弁護士ブログに掲載した参考答案の記事7本を一覧にして案内するものである。
7本の記事は,いずれも令和8年の「出題の趣旨」及び「採点実感」が公表される前に,問題文と判例から答案に求められる評価項目を予想し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす参考答案と,予想に基づく解説を示している。
令和7年度の模範解答の記事7本は,法務省が公表した出題の趣旨及び採点実感から評価項目を抽出したものであり,令和8年度の7本とは評価項目の作り方が違う。
令和8年度の7本の答案は,出題の趣旨及び採点実感を踏まえたものではないため,「模範解答」ではなく「参考答案」と呼ぶ。
7本で予想した評価項目は合計330項目であり,そのうち重み5(その設問の判断を大きく分ける核心)に当たるのは43項目である。
第2の一覧表で科目ごとの記事を選び,第3で各問題の概要と予想した重み5の事項を確かめてから個別の記事を読むと,各記事が答案のどこに重みを置いたのかをつかみやすい。
選択科目の論文式試験と短答式試験は,本記事の対象としていない。
本記事の記載は,令和8年9月29日時点で公開している7本の記事の内容に基づく。
学習目的に応じて,参考答案・予想評価項目と,出題の趣旨の予想PDFを使い分けることができる。
答案の書き方と各論点の説明は本記事の科目別リンクから,設問の狙いをまとめて読む場合は主要7科目の出題の趣旨の予想PDF・ファイル情報から確認されたい。
PDF案内には,科目別の開始頁及び掲載ファイルのSHA-256を掲載している。
いずれも法務省の公式資料ではなく,公式の採点基準や得点を示すものではない。
第2 7記事の一覧
| 科目 | 主な論点 | 予想した評価項目 | 重み5 |
|---|---|---|---|
| 公法系科目第1問(憲法) | 市立公園の夜間の独占使用の申請に対する不許可処分(管理上の支障,夜間の独占使用を認める特別な理由)の合憲性 | 37項目 | 5項目 |
| 公法系科目第2問(行政法) | 要綱に基づく申請への不応答と「行政庁の不作為」,養護者である子の原告適格,老人福祉法の入所措置とその解除の要件 | 44項目 | 6項目 |
| 民事系科目第1問(民法) | 時効完成後に設定された抵当権と再度の取得時効,遺言執行者の就職承諾前の相続人の処分,一括下請負人の出来形の帰属,請負契約の解除後の損害賠償と部分報酬による相殺 | 50項目 | 7項目 |
| 民事系科目第2問(商法) | 従業員の株式の買戻し制度と株主名簿,見せ金による増資と議決権の行使,招集通知を欠く株主総会の決議と追認,解任された取締役の報酬相当額の請求 | 48項目 | 9項目 |
| 民事系科目第3問(民事訴訟法) | 通常共同訴訟における主張共通,第三者と弁護士が所持する文書の提出義務(技術の秘密と弁護士の黙秘義務),連帯保証人に対する確定判決と請求異議 | 53項目 | 6項目 |
| 刑事系科目第1問(刑法) | 実行の途中の心神耗弱と行為と責任の同時存在の原則,死亡したと誤信した後の行為による窒息死と因果関係,自動車への放火と「公共の危険」 | 45項目 | 4項目 |
| 刑事系科目第2問(刑事訴訟法) | 強制採尿の令状の種類・発付要件と有形力の行使,体内の異物を確認するCT検査の令状,再伝聞と特信情況,捜査報告書の説明文の伝聞性 | 53項目 | 6項目 |
評価項目の数と重みは,各記事が問題文と判例から予想したものであり,法務省の配点ではない。
第3 各問題の概要と予想した重み5の事項
1 公法系科目第1問(憲法)
本問は,A市の中心部にある市立公園で,住宅費高騰への抗議として一夜を過ごす活動をするための夜間の独占使用の申請について,市長が,①条例の「管理に支障がある」ことを根拠として,②「夜間の独占使用を認めるべき特別な理由」がないことを根拠として,それぞれ不許可処分をすることが憲法上許されるかを,市の法曹資格者の立場で論じさせるものである。
規定の文言の明確性は,論じる必要がないとされている。
重み5は5項目である。
番号7:同判決の「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されること」という危険の程度を示す
番号10:反対者の妨害のおそれを理由とする不許可は,警察の警備等によってもなお混乱を防止できない特別な事情がある場合に限られること(いわゆる敵意ある聴衆の法理)を示す
番号27:昼間の公園や公民館という代替手段では,「一夜を過ごす」象徴的表現,各都市の現地時間の夜にリレーのように続く本件プロジェクトの日時,中心部で通行人に見える場所という表現の実質が失われるかを評価する
番号31:同判決自身が,主に公務の用に供する庁舎を道路や公園等と区別し,公の施設の利用まで妨げられないことを前提としている点を指摘する
番号33:新幹線延長を訴える催しの許可と市長答弁から,中立性の主張が市政を批判する表現にだけ向けられる見解差別であることを示す
記事:令和8年度司法試験公法系第1問の参考答案と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した37項目と5段階の重み付け
2 公法系科目第2問(行政法)
本問は,同居する子(養護者)から十分な食事を与えられないおそれがあるとされた75歳の高齢者について,市が老人福祉法11条1項2号に基づき特別養護老人ホームへの入所措置を採った事案で,若手弁護士の立場から,要綱に基づく緊急一時保護の申請への不応答が行政不服審査法3条の「行政庁の不作為」に当たるか(設問1),養護者である子に入所措置の取消訴訟の原告適格が認められるか(設問2),子が提起した国家賠償請求訴訟で,措置の時点の要件とその後の措置解除の要件について双方がどのような主張・反論をするか(設問3)を検討させるものである。
問題文に示された配点の割合は,設問1から設問3まで20:30:50である。
重み5は6項目である。
番号3:本件要綱が法令の委任に基づかない行政内部の定めであり,申請・審査・決定通知の規定(8条・9条)だけでは法令上の申請権が生じないことを示す
番号4:緊急一時保護も老人福祉法11条の入所措置の一つであることを前提に,同条が申請の仕組みを設定しているかを検討する
番号16:高齢者の子である養護者には親権に相当する監護権がなく,老人福祉法11条・12条も養護者の同意や意見聴取を定めていないことを示す
番号18:高齢者虐待防止法14条(及び1条・6条)の養護者支援の規定をB側の根拠として取り上げ,それだけでは原告適格を基礎付けにくい理由を示す
番号34:老人福祉法12条が解除の手続を定めるにすぎないことを示し,措置の継続は11条1項2号の要件の存続を前提とし,一方の要件でも満たされなくなれば解除すべきであるとして解除の要件を特定する
番号35:時点②の事実関係と,その後時点③までの事実の変化を区別して整理する(C市の拒否理由が,3月13日の困難性要件に関するもの(「確実であるとはいえない」)から,6月16日の補充性要件に関するもの(自ら契約することが困難)へ移ったことを含む。)
記事:令和8年度司法試験公法系第2問の参考答案と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した44項目と5段階の重み付け
3 民事系科目第1問(民法)
本問は,善意無過失で他人の土地を占有した者が時効完成後に設定された二つの抵当権の登記の抹消を求められるか(設問1(1)),遺言執行者の就職承諾前に相続人から持分を買い受けて登記を備えた者に対し,受遺者が登記の抹消を求められるか(設問1(2)),一括下請負人が材料を提供して築造した出来形の所有権が注文者と下請負人のいずれに帰属するか(設問2(1)),請負契約の解除後に注文者が請負人に請求できる損害賠償の額と,請負人の部分報酬による相殺の当否(設問2(2))を問うものである。
重み5は7項目である。
番号6:再度の取得時効の規範(抵当権設定登記後に時効取得に必要な期間の占有を継続すれば,抵当権の容認等の特段の事情がない限り抵当権は消滅する)を示す
番号13:Dの登記は再度の時効完成(令和32年4月20日)の後であり,Dとの関係でも対抗問題となって,登記のないAは対抗できないことを示す
番号21:遺言執行者の就職承諾前にされた処分も「遺言執行者がある場合」に当たるかを,制度趣旨から理由を付けて論じる
番号24:KがHに遺言の有無を尋ねなかった事実を踏まえ,無過失を要するかを論じ,結論を示す
番号35:一括下請負人は注文者との関係で元請負人の履行補助者的立場に立ち,特段の事情のない限り出来形は注文者に帰属するとの規範を示す
番号37:平成5年判決の事案(一括下請負に注文者の承諾がなく,注文者は下請契約の存在さえ知らず,出来形の価格の2倍以上を支払済み)との違い(Aの書面による承諾,Aの支払額が出来形の価値に満たないこと)を指摘し,それでも特段の事情に当たらない理由(承諾は一括下請負の禁止を解くもので出来形の帰属についての格別の合意ではないこと,元請負人への報酬請求,債権者代位による報酬確保)を示す
番号43:Dへの650万円の出捐を通常生ずべきものとして評価し,損害額を250万円(600万円+650万円-1000万円)と算定する
記事:令和8年度司法試験民事系第1問の参考答案と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した50項目と5段階の重み付け
4 民事系科目第2問(商法)
本問は,公開会社でない取締役会設置会社について,創業者が従業員に株式を譲渡し退職時に同じ価格で買い戻す制度の下で,退職した従業員から株式を譲り受けた者が,創業者の取得を争い,自らが株主であることの確認を求める訴え(設問1),代表取締役が仕組んだ資金の還流による増資(見せ金)と,その株式を譲り受けた会社が賛成した定時株主総会決議の効力(設問2),招集通知が一切発出されなかった臨時株主総会で解任された取締役が,追認決議の後に報酬相当額を請求すること(設問3)を論じさせるものである。
問題文に示された配点の割合は,設問1から設問3まで35:35:30である。
重み5は9項目である。
番号4:公序良俗違反の判断枠組み(制度目的の合理性,取得価格と譲渡価格の対応,自由意思による合意,配当等による利益の享受,株式の市場性の欠如)を,従業員の株式保有に関する判例を踏まえて示す
番号14:甲社が令和2年8月10日に不承認を通知した後,10日以内の指定買取人の通知も40日以内(9月19日まで)の会社の買取通知もなかったことから,145条2号により本件譲渡の承認がみなされることを示す
番号18:甲社がCの請求への返答を留保してAに請求を促し,先にAの名義書換をしたことを正当な事由のない拒絶・遅延と評価し,甲社はCを株主として取り扱わなければならないことを示す
番号19:AがCの請求を知りながら甲社に拒絶を要請し,甲社と通じて先に名義書換を得たことについて,Aの目的(自己の取得の保全か,Cの書換の妨害か)と甲社との通謀の程度を評価し,Aが130条1項の第三者として名簿の記載の欠缺を主張できるかを検討する
番号24:見せ金の判断(外形上の払込みがあっても会社資金を確保する実質がなければ有効な払込みではない)を示し,甲社の資金が丁社・丙社を経て還流したこと,③の合意,丙社の資力,丁社が返済を求めていないことから,払込みの仮装(213条の2第1項1号)を認定する
番号25:仮装払込みが新株発行の無効原因となるかを,平成26年改正で設けられた213条の2,213条の3及び209条2項・3項の仕組み(株式の成立を前提とする支払義務と権利行使の制限)から検討する
番号31:丁社が仮装払込みに係る株式の譲受人(209条3項)であり,スキームの当事者として悪意であるから議決権を行使できないことを示す
番号39:招集通知が全株主に一切発出されず,Fを含む16名(4万8000株)が出席の機会を奪われた一方,取締役会の招集決定があり5万2000株の株主が出席したことを評価する
番号41:追認決議の遡及効について,取消事由のある決議の再決議と区別し,不存在の決議に追認の対象があるか(遡及効の有無)を検討する
記事:令和8年度司法試験民事系第2問の参考答案と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した48項目と5段階の重み付け
5 民事系科目第3問(民事訴訟法)
本問は,請負代金の支払を求める訴えを主債務者と連帯保証人を共同被告として提起した事例について,通常共同訴訟における主張共通の肯定説・否定説(設問1),第三者が所持する図面等と弁護士が所持するその写しについての文書提出義務(技術の秘密と弁護士の黙秘義務)(設問2),連帯保証人に対する請求認容判決の確定後に主債務者に対する請求が相殺により棄却されて確定した場合の請求異議の成否(設問3)を,いずれも会話形式の課題として論じさせるものである。
問題文に示された配点の割合は,設問1から設問3まで25:35:40である。
重み5は6項目である。
番号10:否定説が39条の趣旨を,各共同訴訟人が他の共同訴訟人に制約されず,自らの判断と責任で訴訟を追行しその結果を受けるという訴訟追行の自律性の保障と理解することを示す
番号24:開示によるZの不利益(主力製品の技術の流出,同じ電子機器の製造・販売業者であるY1・Xへの開示,甲に関する部分を切り離す一部提出でも流出を防げないこと,Zが紛争に責任のない第三者であること)を評価する
番号26:争点(損害賠償債権の存否。引渡時の甲の欠陥の有無及びその原因が問題となる)を問題文どおりに捉え,原因の特定が欠陥の裏付けとなり得ることにも触れた上で,証拠としての必要性が低いこと(Xは下請Zの工程を含む仕事全体について責任を負うから,欠陥の原因がZの工程かXの工程かは不適合の有無にもXの帰責事由にも直接影響しないこと)を評価する
番号33:2号の保護を個別事件の必要性との比較衡量で決めると依頼者が開示の有無を予測できず信頼が成り立たないことから,平成16年判例の基準(本人が秘匿について客観的に保護に値する利益を有するか)は訴訟上の必要性を考慮せず,課題1の基準とは異なると結論する
番号40:主債務者勝訴判決の理由が保証人敗訴判決の基準時前の事実である以上,援用を認めることは,保証人が自ら主張できない事実で再び争うことを認めるのと同じであり(遮断の潜脱),主債務者勝訴判決の確定自体も基準時後の新たな事由でないことを示す
番号45:主たる債務の消滅が文言上は基準時後の事由に当たりうることを認めた上で,Y2が基準時前に民法457条3項の履行拒絶を主張できたことが遮断の成否にどう影響するかを論じる
記事:令和8年度司法試験民事系第3問の参考答案と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した53項目と5段階の重み付け
6 刑事系科目第1問(刑法)
本問は,酒席で同僚に殺意を抱いた甲及び乙が同僚を殴打した①行為,甲が心神耗弱の状態で鉄製フライパンを用いて殴打した②行為,同僚が死亡したと誤信してスーツケースに押し込み,同僚の自動車で運んだ③行為(同僚は途中で窒息死)について甲乙の罪責を問い(設問1),さらに,駐車場でその自動車に死体を乗せたまま放火した行為について甲乙の罪責を問うもの(設問2)である。
設問1は,①行為と②行為の関係をどのように把握するかと,「行為と責任の同時存在の原則」の意義とその根拠に言及することを求めている。
重み5は4項目である。
番号13:一個の実行行為の途中で心神耗弱に陥った場合に,開始時の完全責任能力とその意思決定の実現を理由に刑法39条2項を適用しないかを論じる
番号21:介在した③行為が行為者自身の死亡誤信に基づく罪証隠滅の行為であり,異常とはいえず②行為に誘発されたものであることを評価する
番号37:C車(約3メートル),可燃性のゴミ約300キログラム(約2メートル),火炎の高さ約2メートル,最寄りの建造物まで約25メートル,漁業関係者の出入りの可能性を評価して,公共の危険の発生を認定する
番号38:公共の危険の認識の要否について,判例(不要説)と必要説の対立を示し,自説を採る
記事:令和8年度司法試験刑事系第1問の参考答案と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した45項目と5段階の重み付け
7 刑事系科目第2問(刑事訴訟法)
本問は,覚醒剤の密売事件の捜査を素材として,被疑者甲に対する強制採尿の令状の種類,その令状の発付要件及び病院での強制採尿の実施(警察官8名が甲の手足を押さえた点を含む。)の適否と,マイクロSDカードを飲み込んだとみられる被疑者乙に対するCT検査の令状の種類を問い(設問1),乙の公判において,死亡した交際相手が撮影した動画中の発言(乙から聞いた話を含む。)と,動画の静止画に警察官の説明文を付けた捜査報告書の証拠能力を問うもの(設問2)である。
重み5は6項目である。
番号5:体内の尿を証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押えの性質を有し,捜索差押許可状によることを示す
番号9:強制採尿が許される要件(被疑事件の重大性,嫌疑の存在,証拠の重要性と取得の必要性,適当な代替手段の不存在等に照らし,犯罪の捜査上真にやむを得ない場合の最終的手段)を規範として示す
番号23:有形力の必要性・相当性を,医師の指示(痛みで暴れ尿道が傷つくおそれ)と,抵抗がないこと及び8名という人数とを対比して評価する
番号29:鑑定処分としての身体検査は直接強制ができないため,拒否が予想される乙について直接強制を可能にする令状(身体検査令状。捜索と構成する場合は捜索差押許可状)を併用する必要を示す
番号33:要証事実を立証趣旨どおり(乙が1月20日昼頃にJ公園で甲と会ったこと)に特定し,④がWの供述の中に乙の供述を含む再伝聞であることを示す
番号47:説明文がPの捜査経験に基づく意見であり,立証趣旨との関係で内容の真実性が問題となる伝聞であることを示す
記事:令和8年度司法試験刑事系第2問の参考答案と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した53項目と5段階の重み付け
第4 7記事に共通する作り方(独自の予想の方法)
1 評価項目の予想
評価項目は,設問の指示,問題文中の会話又は会議録で検討が求められた事項,問題文に置かれた具体的な事実,及び参照すべきと考えられる判例から抜き出したものである。
一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形にしている。
7本の記事は,いずれも令和8年の出題の趣旨及び採点実感を読まずに作成しており,公表された後には,これらと照合して見直す必要があるとしている。
作成の順序は,①設問が指定する立場・成果物・検討範囲を固定し,②求められる法的効果又は救済から主たる法的経路を逆算し,③条文又は規範,理由,具体的な当てはめ,法的効果及び結論を分け,④有利な事実と不利な事実を対にして評価する,というものである。
各項目は,必須,累積,代替,補強又は除外のいずれの機能を持つかを確認する。主たる理由と補強事情を区別し,主たる構成が成り立たない場合の代替構成,設問が検討不要とした事項及び扱わなかった事項を混ぜない。
判例は,事件名又は結論だけではなく,本問で使う判断枠組み,規範の理由,考慮要素又は法的効果を特定し,本件との共通点・相違点及び射程を検討する。事案との距離がある判例を,似た語があるというだけで答案の軸にしない。
2 5段階の重み付けの基準
重みは,問題文と判例から各記事が予想したものであり,法務省の配点ではない。
7本に共通する基準の骨格は,次のとおりである。
①重み5:その設問の判断を大きく分ける核心
②重み4:結論を理由付きで支える主要な論証・当てはめ
③重み3:通常押さえる法的処理・事情の評価
④重み2:論証を補強する説明・個別事情・誤りの注意
⑤重み1:補充的な引用・記述範囲の確認
重み5・重み4の具体的な言い回しは,問題文の形式(会話か,会議録か,設問だけか)に合わせて記事ごとに少しずつ違うので,正確には各記事の第2を参照されたい。
重みと答案の長さは別である。短く書ける条文上の出発点でも,欠くと結論又は救済への経路が崩れるなら重く,長い当てはめを要しても,個々の補強事情まで自動的に重み5になるわけではない。
重み5は,その項目を欠くと設問への応答又は主たる法的経路が崩れるかを項目ごとに判断したものであり,重み5の数又は割合を令和7年度や他科目に合わせるための調整はしていない。
3 参考答案と解説
各記事の参考答案は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に本記事独自の予想に基づく解説を付けている。
各記事の末尾には,関連する山中弁護士ブログの記事と,出典及び確認状態(公式資料,法令及び裁判例の確認の範囲)を掲げている。
「参考答案」は,唯一の正解を意味しない。同じ評価項目を満たしながら異なる結論又は構成を採る答案があり得るため,各記事では,結論の許容幅,答案の弱点及び扱わなかった事項も示している。
4 CBTの入力上限と答案の行数
令和8年司法試験の論文式試験の答案はパソコンで入力する方式であり,入力できるのは,必須科目1問につき8頁,1頁は23行,1行当たり最大30文字とされている(司法試験考査委員会議申合せ事項「司法試験の方式・内容等について」(令和7年11月26日))。
したがって,1問の上限は184行・5,520字となる。
7本の記事は,いずれも,答案を段落又は1文ごとに改行し,1行30字で折り返すと184行の上限に収まるように分量を調整したと説明している。
各記事が示す答案の字数は,次のとおりである。
| 科目 | 答案の字数(見出しを含む) | 折り返した行数 |
|---|---|---|
| 憲法 | 約4,700字 | 184行 |
| 行政法 | 4,316字 | 184行 |
| 民法 | 4,239字 | 184行 |
| 商法 | 約4,500字 | 184行 |
| 民事訴訟法 | 4,355字 | 183行 |
| 刑法 | 約4,200字 | 184行 |
| 刑事訴訟法 | 約4,700字 | 184行 |
設問ごとの行数は,行政法の記事(設問1が38行,設問2が55行,設問3が91行)と商法の記事(設問1が76行,設問2が55行,設問3が53行)だけが示している。
第5 重みの分布の比較
| 科目 | 重み5 | 重み4 | 重み3 |
|---|---|---|---|
| 憲法 | 5 | 16 | 11 |
| 行政法 | 6 | 19 | 12 |
| 民法 | 7 | 16 | 13 |
| 商法 | 9 | 13 | 18 |
| 民事訴訟法 | 6 | 25 | 15 |
| 刑法 | 4 | 15 | 13 |
| 刑事訴訟法 | 6 | 18 | 14 |
| 合計 | 43 | 122 | 96 |
| 科目 | 重み2 | 重み1 | 項目数 | 重みの合計 |
|---|---|---|---|---|
| 憲法 | 4 | 1 | 37 | 131 |
| 行政法 | 4 | 3 | 44 | 153 |
| 民法 | 12 | 2 | 50 | 164 |
| 商法 | 8 | 0 | 48 | 167 |
| 民事訴訟法 | 3 | 4 | 53 | 185 |
| 刑法 | 10 | 3 | 45 | 142 |
| 刑事訴訟法 | 11 | 4 | 53 | 170 |
| 合計 | 52 | 17 | 330 | 1112 |
評価項目の数と重みの合計は,各記事が問題文と判例から予想したものであるから,科目の間で配点を比べる材料にはならない。
公式資料から評価項目を抽出した年度とも,評価項目の作り方が違うので,数をそのまま比べることはできない。
重み5は,明示された課題の全項目へ一律に付けず,設問の判断を大きく分ける核心に置く。
基本規範,主要な当てはめ,通常の法的処理,補強及び記述範囲の確認を,それぞれの役割に応じて区別する。
この重みは独自の予想であり,公式資料による較正は行っていない。
令和8年度の重み5は43項目(330項目中約13.0%)である。
公表済みの出題の趣旨及び採点実感から評価項目を抽出した年度と,問題文・法令・判例から独自に予想した令和8年度では,項目の作り方が異なる。
件数や割合から配点,難易度又は予想の精度を比較できない。
令和7年度との整合性は,重み5の割合をそろえることではなく,一つの項目に一つの判定対象を置き,答案の骨格又は評価の分かれ目を重み5とし,何が書かれていれば項目を満たすのかを示すことによって確保する。
第6 関連記事
司法試験論文式の予想評価項目の作り方と読み方―公式資料公表前の問題文・法令・判例による5段階評価(AI作成)では,本記事を含む令和8年度の記事に共通する評価項目の作成順序,重みの意味及び令和7年度の記事との違いを説明している。
①令和7年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答と評価項目
②法務省HPの司法試験・予備試験の資料の所在―年度別の実施・結果・出題趣旨・採点実感のページ一覧
③司法試験の採点実感から学ぶ法律文書の書き方―準備書面・意見書・相談メモのチェックリスト
④司法試験の合格点・採点・成績通知―短答式の足切り,論文式の最低ライン,総合点及び順位
⑤司法試験とは―受験資格,5年間の受験期間,試験科目,合格判定及び合格後の流れ
⑥司法試験の論文式答案をCBTで書くときの分量と書式―184行・5,520字の上限,改行と行数,入力できる文字及び無効答案
⑦令和6年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答と評価項目
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
①法務省「令和8年司法試験の実施について」
②法務省「令和8年司法試験問題」
③令和8年司法試験論文式試験問題(公法系科目)
④令和8年司法試験論文式試験問題(民事系科目)
⑤令和8年司法試験論文式試験問題(刑事系科目)
⑥司法試験考査委員会議申合せ事項「司法試験の方式・内容等について」(令和7年11月26日)
2 確認状態
令和8年の出題の趣旨及び採点実感は,令和8年9月29日に上記①及び②のページを確認した時点で,いずれも掲載されていなかった。
本記事は,これらを読まずに,7本の記事の予想を一覧にしたものであり,公式資料との照合は行っていない。
出題の趣旨及び採点実感が公表された後は,各記事の予想より,法務省が公表した出題の趣旨及び採点実感を優先して読まれたい。
第2から第5までの記載(各問題の概要,評価項目の数,重みの分布,重み5の事項及び答案の字数・行数)は,令和8年9月29日に公開中の7本の記事の本文から取り,項目数と重みの合計は各記事の内訳から計算し直して一致を確認した。
上記①から⑥までの公式資料は,同日にいずれも法務省のウェブサイトで応答があることを確認し,⑥については答案の頁数及び入力可能文字数の記載を確認した。
本記事は裁判例を直接引用していないので,各問題で用いた裁判例の裁判年月日,事件番号及び確認の範囲は,各記事の「出典及び確認状態」を参照されたい。