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令和7年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)

第1 この記事の対象

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目を除く主要7科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法)の7問について,山中弁護士ブログに掲載した模範解答の記事7本を一覧にして案内するものである。
7本の記事は,いずれも法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答と,出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を示している。

7本で抽出した評価項目は合計458項目であり,そのうち重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは52項目である。
第2の一覧表で科目ごとの記事を選び,第3で各問題の概要と重み5の事項を確かめてから個別の記事を読むと,どこで答案の差がついたのかをつかみやすい。

選択科目の論文式試験と短答式試験は,本記事の対象としていない。
本記事の記載は,令和8年9月28日時点で公開している7本の記事の内容に基づく。

第2 7記事の一覧

科目主な論点評価項目重み5
公法系科目第1問(憲法)国政選挙の投票の義務化,連続不投票者の選挙権の停止,街頭演説の聴衆の行為の禁止の合憲性40項目6項目
公法系科目第2問(行政法)条例に基づく勧告・指示の処分性,差止訴訟の「重大な損害を生ずるおそれ」,勧告の実体的違法性72項目5項目
民事系科目第1問(民法)使用者責任と被害者側の過失,混同と求償,弁護士法72条違反の和解,即時取得と不当利得の返還額96項目10項目
民事系科目第2問(商法)取締役会の留保に反する代表取締役の行為,報酬配分の再一任と自己の報酬の増額,少数株主要件と会計帳簿等の閲覧謄写請求65項目8項目
民事系科目第3問(民事訴訟法)遺産確認の訴えと固有必要的共同訴訟・確認の利益,証明妨害と信義則,弁論主義と法的観点指摘義務75項目11項目
刑事系科目第1問(刑法)替え玉受験と有印私文書偽造・同行使罪,他人名義のクレジットカードの使用と詐欺罪,共同正犯,暴行後の交通事故と因果関係,不作為による幇助59項目6項目
刑事系科目第2問(刑事訴訟法)逮捕に伴う無令状捜索・差押え,刑訴法328条の弾劾証拠,公判前整理手続後の証拠調べ請求51項目6項目

評価項目の数と重みは,各記事が公式資料の書きぶりから付けたものであり,法務省の配点ではない。

第3 各問題の概要と重み5の事項

1 公法系科目第1問(憲法)

本問は,国政選挙における投票の義務化(施策①⒜),連続3回の不投票者の国政選挙権を5年間停止する措置(施策①⒝)及び選挙運動中の街頭演説の聴衆による不穏当な行為の禁止(施策②)という架空の法案骨子について,法律家の立場からその憲法適合性を論じさせるものである。
施策②の規制対象行為の不明確性及び過度広汎性は,論じる必要がないとされている。

重み5の6項目は,施策①⒜の選挙権の二元説,施策①⒝の在外国民選挙権訴訟の大法廷判決の参照と同判決の例外への該当性,施策②の戸別訪問判決の補足意見が示した「選挙のルール」論と主催者の要請による実質的な内容規制,及び事案の分析に基づく判断枠組みの設定である。

記事:令和7年度司法試験公法系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け

2 公法系科目第2問(行政法)

本問は,養鶏場の設置者に対する市の条例に基づく勧告・指示をめぐる紛争を題材に,勧告と指示の処分性(設問1⑴),指示の差止訴訟における「重大な損害を生ずるおそれ」(設問1⑵)及び勧告の実体的違法性(設問2)を,弁護士の立場から論じさせるものである。
配点の割合は,設問1⑴,設問1⑵及び設問2の順に35:15:50である。

重み5の5項目は,病院開設中止勧告に関する最高裁判決の判示,差止訴訟に関する最高裁判決の判示,本件指示の後の取消訴訟と執行停止による救済の可能性,条例29条2項の本文とただし書の構造,及び要件裁量を否定する主張と仮に裁量がある場合の主張の二段構えである。

記事:令和7年度司法試験公法系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した72項目と5段階の重み付け

3 民事系科目第1問(民法)

本問は,業務中の従業員の威嚇行為が原因となった交通事故をめぐる使用者責任,被害者側の過失,混同と求償及び弁護士法72条違反の和解の効力(設問1)と,未成年者の交換契約の取消しから始まる動産の転売と即時取得及び不当利得の返還額(設問2)を問うものである。

重み5の10項目は,暴行の事件類型における使用者責任の判例の基準,被害者側の過失による過失相殺の合理性の説明,共同不法行為者の債務の併存の指摘,連帯債務の規定の適用の検討,委任契約と和解契約の効力の区別,和解を無効とした場合の当事者の利益の考慮,民法825条による共同名義の取消しの効力,即時取得の否定,返還額(35万円か30万円か)の検討,及び対価の控除の可否である。
評価項目の数(96項目)は,7問の中で本問が最も多い。

記事:令和7年度司法試験民事系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した96項目と5段階の重み付け

4 民事系科目第2問(商法)

本問は,上場会社の代表取締役が取締役会の留保に反して行った設備投資の責任(設問1),取締役会から報酬の配分の再一任を受けた代表取締役が自己の報酬のみを増額した行為の責任(設問2),及び訴訟の係属中の募集株式の発行により少数株主要件を欠くに至った株主の会計帳簿等の閲覧謄写請求の可否(設問3)を問うものである。

重み5の8項目は,取締役会の留保に反した行為を善管注意義務違反とする主張,緊急性が高い場合の例外の余地とその当てはめ,報酬額の決定が善管注意義務違反を構成し得るか及びその判断基準,少数株主要件の充足時点の原則,最高裁決定を踏まえた例外の枠組み,並びに間接事実による妨害目的の認定である。
採点実感は,設問2で「お手盛り防止」の語をマジックワードのように用いず,誰と誰の利害調整が問題となる局面かを意識すべきであるとしている。

記事:令和7年度司法試験民事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した65項目と5段階の重み付け

5 民事系科目第3問(民事訴訟法)

本問は,被相続人の遺産に建物が属することの確認を求める遺産確認の訴えを題材として,固有必要的共同訴訟と確認の利益(設問1),証明妨害と信義則(設問2),弁論主義と法的観点指摘義務(設問3)について,基礎的な概念の理解と事案への当てはめを問うものである。
配点の割合は,設問1,設問2及び設問3の順に35:25:40である。

重み5の11項目は,固有必要的共同訴訟の意義(合一確定の必要と訴訟共同の必要の区別),遺産確認の訴えで訴訟共同の必要が肯定される根拠,確認の利益に関する事情の評価と理論構成,証明妨害が信義則に反する論拠とその当てはめ,弁論主義の根拠と不意打ち防止の機能の区別,並びに法的観点指摘義務の根拠,理論構成及び事実の主張を促す釈明との区別である。
重み5の数(11項目)は,7問の中で本問が最も多い。
記事は,重み5の項目が,論点を発見できたかどうかではなく,定義の要件,判断基準の具体的な意味,根拠と機能の区別及び理論構成の中間の理由を書けたかどうかに集中していると分析している。

記事:令和7年度司法試験民事系第3問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した75項目と5段階の重み付け

6 刑事系科目第1問(刑法)

本問は,設問1で,替え玉受験の答案の作成・提出と他人名義のクレジットカードの使用について,乙に有印私文書偽造・同行使罪及び詐欺罪が,甲にそれらの共同正犯が成立するとの立場からの説明を求め,設問2で,甲の子に対する暴行と,それを阻止しなかった母親丙の罪責を論じさせるものである。

重み5の6項目は,文書の名義人及び作成者の意義と,設問1⑶で甲が単独では正犯になり得ないことを示した上で共同正犯を認める論拠である。
採点実感は,設問1⑶で共謀とそれに基づく実行だけを理由に共同正犯を認めた答案を「著しく低い評価」としており,記事は,ここが本問で最も差がついた箇所と考えられるとしている。

記事:令和7年度司法試験刑事系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した59項目と5段階の重み付け

7 刑事系科目第2問(刑事訴訟法)

本問は,住居侵入・窃盗事件の捜査で行われた逮捕に伴う3つの無令状捜索・差押え(第三者方の和室の捜索,逮捕の現場に居合わせた第三者の身体の捜索及び連行先の交番での被疑者の身体の捜索)の適法性(設問1)と,公判前整理手続を経た公判で弁護人が証人の証言の証明力を争うために請求した2通の供述録取書に対する検察官の異議の当否(設問2)を論じさせるものである。

重み5の6項目は,無令状捜索・差押えの実質的根拠についての自説,そこから導く「逮捕の現場」の解釈,連行後の捜索を逮捕の現場での捜索と「同視」した最高裁決定の理由と位置付け,逮捕地点から約50メートル先の駐車場で捜索できたことをうかがわせる事情の評価,刑訴法328条を自己矛盾供述に限る理由,及び公判前整理手続後の請求制限と弾劾証拠との関係である。

記事:令和7年度司法試験刑事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した51項目と5段階の重み付け

第4 7記事に共通する作り方

1 評価項目の抽出

評価項目は,各問題の出題の趣旨又は採点実感の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えている。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを頁又は見出し番号で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示している。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

2 5段階の重み付け

重みは,公式資料の書きぶりの強さから各記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。
①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

重み5・重み4の具体的な基準は,採点実感の書きぶりに合わせて記事ごとに少しずつ言い換えているので,正確には各記事の第2を参照されたい。

3 模範解答と解説

各記事の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。
各記事の末尾には,関連する山中弁護士ブログの記事と,出典及び確認状態(公式資料,法令及び裁判例の確認の範囲)を掲げている。

第5 重みの分布の比較

科目重み5重み4重み3
憲法6415
行政法51121
民法101928
商法81016
民事訴訟法111225
刑法61318
刑事訴訟法61616
合計5285139
科目重み2重み1項目数重みの合計
憲法11440117
行政法241172191
民法32796281
商法28365187
民事訴訟法20775225
刑法121059170
刑事訴訟法12151167
合計139434581338

評価項目の数は,公式資料の記述の量と設問の数に左右されるので,科目の間で難易や配点を比べる指標にはならない。
他方で,重み5の項目の中身を7問で並べると,共通する傾向が見える。

本記事では,その傾向を,論点に気付いたかどうかよりも,規範の意味と理由の鎖をどこまで書いたかで差がついた,と整理する。
民事訴訟法の記事は,重み5の項目が定義の要件,判断基準の具体的な意味及び理論構成の中間の理由に集中していると分析しており,刑法の記事では,共謀とそれに基づく実行だけを理由に共同正犯を認めた答案が「著しく低い評価」とされている。
憲法の判断枠組みの設定,行政法の要件裁量をめぐる二段構えの主張,商法の「お手盛り防止」を題目で済ませないことも,同じ方向の事項である。

第6 関連記事

①平成14年度旧司法試験論文式試験の模範答案―憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法の全12問と出題趣旨を踏まえた解説
②法務省HPの司法試験・予備試験の資料の所在―年度別の実施・結果・出題趣旨・採点実感のページ一覧
③司法試験の採点実感から学ぶ法律文書の書き方―準備書面・意見書・相談メモのチェックリスト
④司法試験の合格点・採点・成績通知―短答式の足切り,論文式の最低ライン,総合点及び順位
⑤司法試験とは―受験資格,5年間の受験期間,試験科目,合格判定及び合格後の流れ

第7 出典

1 公式資料

①法務省「令和7年司法試験の実施について」
②法務省「令和7年司法試験問題」
③令和7年司法試験論文式試験問題(公法系科目)
④令和7年司法試験論文式試験問題(民事系科目)
⑤令和7年司法試験論文式試験問題(刑事系科目)
⑥法務省「令和7年司法試験の結果について」
⑦令和7年司法試験論文式試験出題の趣旨
⑧法務省「令和7年司法試験の採点実感」
⑨令和7年司法試験の採点実感(公法系科目)
⑩令和7年司法試験の採点実感(民事系科目)
⑪令和7年司法試験の採点実感(刑事系科目)

2 確認状態

第2から第5までの記載(各問題の概要,評価項目の数,重みの分布及び重み5の事項)は,令和8年9月28日に公開中の7本の記事の本文から取り,重みの合計は各記事の内訳から計算し直して一致を確認した。
上記①から⑪までの公式資料は,同日にいずれも法務省のウェブサイトで応答があることを確認したが,本記事のために出題の趣旨及び採点実感を読み直してはいない。
本記事は裁判例を直接引用していないので,各問題で用いた裁判例の裁判年月日,事件番号及び確認の範囲は,各記事の「出典及び確認状態」を参照されたい。