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再婚禁止期間の廃止と父の推定―婚姻日・出生日で判定する戸籍と相談実務(AI作成)

女性の再婚禁止期間は令和6年4月1日から廃止された。ただし、過去の婚姻と出生を調べる際は、再婚禁止期間の適用には婚姻日、改正後の嫡出推定の適用には子の出生日をそれぞれ確認する必要がある。両者を同じ基準日で処理すると、戸籍上の父を誤るおそれがある。本稿は令和8年10月1日現在の法令・公的資料を基準に、国内法が適用される典型例を整理する。

第1 結論と確認する日付

最初に、前婚の解消・取消日、再婚の届出日、子の出生日を戸籍と出生証明書で確かめる。離婚後300日以内の出生か、出生時までに再婚していたかも確認する。懐胎時期、当事者の国籍、認知・養子縁組の有無、父と推定される者の生死は、争う手続を選ぶ段階で別に確認する。

令和6年4月1日以後の婚姻には、改正前民法733条の女性の再婚禁止期間は適用されない。一方、改正民法772条の新しい父の推定は、原則として同日以後に生まれた子に適用される(令和4年法律第102号附則3条)。したがって、令和6年3月31日以前に生まれた子の父を、後の改正規定だけで決め直すことはできない。

第2 再婚禁止期間の変遷

1 平成28年6月6日まで

改正前民法733条1項は、女性について前婚の解消又は取消しの日から6か月の再婚禁止期間を定めていた。これは当時の民法772条が、前婚解消後300日以内と後婚成立後200日を経過した後の出生について父の推定が重なる事態を避ける趣旨と説明されていた。ただし、旧733条2項には前婚解消前から懐胎していた場合の出産後の例外があった。

2 平成28年6月7日から令和6年3月31日まで

平成28年法律第71号は、再婚禁止期間を6か月から100日に短縮し、平成28年6月7日に公布・施行された。前婚解消・取消しの時に懐胎していなかった場合、又はその後に出産した場合には、100日以内でも同期間の規定を適用しない。期間内の婚姻届については、当時必要とされた証明資料を含め、法務省の平成28年改正案内と当時の戸籍記録を確認する。

3 令和6年4月1日以後

令和4年法律第102号により女性の再婚禁止期間は廃止された。この廃止は、法務省の改正の概要によれば、令和6年4月1日以後にされる婚姻に適用される。前婚解消から100日以内という理由だけで、現在の婚姻届を旧733条に基づいて拒むことはできない。

第3 平成27年大法廷判決の読み方

最高裁平成27年12月16日大法廷判決(平成25年(オ)第1079号)は、平成20年に離婚した女性が国に賠償を求めた事件である。判決は、当時の6か月の再婚禁止期間のうち100日を超える部分は、平成20年当時には憲法14条1項・24条2項に違反するに至っていたとした。他方、当時の100日以内の部分は違憲としなかった。これは令和6年の全面廃止後の現行法について、100日間の禁止を認めた判断ではない。

同判決は、立法不作為について国家賠償法1条1項上の違法性を否定し、賠償請求を棄却した。規定の違憲性と国家賠償責任は別の判断である。判決は、平成7年の第三小法廷判決について、国会が733条を改廃しなかった立法不作為が直ちに国家賠償法上違法となる例外的な場合に当たらないと判断したものと説明し、同判決が733条を合憲と判示したとは扱っていない。判決が挙げた医療・科学技術や社会状況の変化も、違憲性の判断時点を読む際の事情であり、個々のDNA鑑定だけで法律上の父を決める趣旨ではない。

第4 出生時期による父の推定と経過措置

1 令和6年4月1日以後に生まれた子

改正民法772条は、婚姻前に懐胎して婚姻成立後に生まれた子も、その婚姻の夫の子と推定する。同条3項は、懐胎から出生までに二以上の婚姻をした場合、出生の直近の婚姻の夫の子と推定する。したがって、前婚解消後300日以内であっても、母が再婚した後に生まれた子は、原則として再婚後の夫の子と推定される。再婚していなければ、300日以内の出生について前夫の子との推定が問題になる。裁判所の嫡出否認調停案内も両者を区別している。

2 令和6年3月31日以前に生まれた子

新772条は出生に遡って適用されず、旧法の父の推定を確認する。子と母には施行日から1年間、施行日前出生の子について嫡出否認の訴えを提起できる特例が設けられた(同法附則4条2項)。この特例期間は令和7年3月31日までで、現在は経過している。ただし、それだけで全ての親子関係の救済手段がなくなるわけではない。嫡出推定が及ばない事情があれば、親子関係不存在確認など別の手続が問題になり得る。父による否認も、施行日前出生の子には従前の例によるため、個別の起算点と期間を確認する。

3 推定と血縁が食い違う場合

嫡出推定が及ぶ父子関係は、科学的証拠で生物学上の父子関係がないことが判明しただけでは、親子関係不存在確認の訴えで争えない(最高裁平成26年7月17日判決)。改正後は、子・母・一定の場合の前夫にも嫡出否認権が認められ、原則的な出訴期間は3年である。子には一定の要件の下で21歳までの特則もある。申立権者、起算点、代理行使の可否及び例外を、裁判所の案内と適用される条文で確認する。

第5 戸籍・相談実務での手順

① 戸籍全部事項証明書、離婚・婚姻の各受理日、出生証明書を集め、婚姻日と出生日を別々に区切って適用法を特定する。推定が及ぶかは、前婚解消日から300日以内か、再婚の有無・時期、懐胎時の外形的事情を整理して判断する。

② 出生届をまだ出していない場合は、戸籍に載る父の見込みを戸籍窓口又は法務局に確認する。離婚後に懐胎したことが医師の証明書で明らかな場合など、嫡出推定が及ばないことが戸籍事務上明白なときには、裁判を経ずに元夫の子としない取扱いが可能な場合がある。詳しくは法務省の無戸籍に関するFAQを参照する。

③ 推定が及ぶ場合は嫡出否認、外形的事情により推定が及ばない場合は親子関係不存在確認など、手続の入口を分ける。家事調停の申立て、合意に相当する審判の可否、訴えの相手方と期間を事案ごとに確認する。裁判所の無戸籍者向け案内は手続の違いを説明している。

④ 国籍が絡む場合は準拠法を先に調べる。ここで述べた民法772条以下を全件に機械的に当てはめない。生物学上の父の認知、養子縁組、相続も別個に検討する。裁判で親子関係が争われている間も、私的なDNA鑑定の結果だけで戸籍を訂正したり相続人から除外したりしない。

第6 関連判例・記事と出典

法令:民法772条、774条、777条、778条の2及び令和4年法律第102号附則。改正の適用関係は法務省「民法等の一部を改正する法律について」及び同省「改正の概要」、平成28年改正は同省の案内で確認した。

裁判例:最高裁平成27年12月16日大法廷判決及び最高裁平成26年7月17日判決。平成7年判決の位置付けは前者の判決全文に基づく説明であり、平成7年判決の原本・判例秘書で本文を直接照合したものではない。

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