裁判官の早期退職


目次
1 早期退職の対象となる裁判官
2 早期退職した場合の退職手当
3 早期退職希望者の募集実施要項(裁判官向け)
4 関連記事その他

1 早期退職の対象となる裁判官
(1) 以下の裁判官については定期的に,国家公務員退職手当法8条の2第1項1号に基づく早期退職希望者の募集が実施されています。
① 下級裁判所の裁判官(簡易裁判所判事を除く。)で,基準日現在の年齢が50歳以上65歳未満の者
② 簡易裁判所判事で,基準日現在の年齢が55歳以上70歳未満の者
(2) 早期退職に応募しようとする裁判官は,早期退職希望者の募集に係る応募申請書(国家公務員退職手当法の規定による早期退職希望者の募集及び認定の制度に係る書面の様式等を定める内閣官房令(平成25年総務省令第58号)別記様式第一)に必要事項を記入の上,募集の期間内に,地家裁所長又は高裁事務局長に提出します。
(3) 46期の岡口基一裁判官のように裁判官分限法に基づく懲戒処分(戒告又は1万円以下の過料)を受けたことがある場合,国家公務員法82条の規定による懲戒処分に準ずる処分を受けたこととなるため,早期退職に応募できません(国家公務員退職手当法8条の2第3項4号)。


2 早期退職した場合の退職手当
(1) 早期退職の認定を受けて退職した場合,定年退職と同じ基準で退職手当を支給してもらえます(国家公務員退職手当法5条1項6号)から,35年以上勤務した後に早期退職した場合,定年退職と同じ退職手当をもらえます(「国家公務員退職手当支給率早見表(平成30年1月1日以降の退職)」参照)。
(2) 11年以上勤務した裁判官が,任期の終了に伴う裁判官の配置等の事務の都合により任期終了1年前に依願退官した場合,定年退官に準ずる支給率で退職手当を支給してもらえます(勤続期間25年未満の裁判官につき国家公務員退職手当法4条1項2号・国家公務員退職手当法施行令3条1号,勤続期間25年以上の裁判官につき国家公務員退職手当法5条1項5号・国家公務員退職手当法施行令4条・3条1号)。

3 早期退職希望者の募集実施要項(裁判官向け)
(1)ア 早期退職希望者の募集実施要項(裁判官向け)を以下のとおり掲載しています。
2024年:2月1日4月26日
2023年:2月1日4月25日8月1日11月1日
2022年:2月2日4月25日8月1日11月1日
2021年:2月1日4月13日8月2日11月2日
2020年:2月3日4月24日8月5日11月12日
2019年:2月1日4月19日8月1日11月1日
2018年:2月1日4月24日8月1日11月1日
2017年:2月6日4月25日8月2日11月1日
2016年:2月8日4月26日8月3日11月1日
2015年:2月10日5月8日8月12日11月9日
2014年:2月7日5月9日8月5日11月12日
2013年:8月30日11月8日
イ 「早期退職希望者の募集実施要項(令和5年4月25日付の最高裁判所長官の文書)」といったファイル名です。
(2) 50歳以上の裁判官の依願退官にも同じ文書を掲載しています。
(3) 裁判所の指定職職員に「早期退職希望者の募集実施要項(一般職向け)」を掲載し,裁判所の指定職職員の名簿(一般職)に「裁判所一般職の幹部職員一覧表(令和◯年◯月◯日現在)」を掲載しています。


4 関連記事その他
(1) 内閣官房内閣人事局HP「早期退職募集制度について」が載っています。
(2)ア 地方公務員である市立高等学校の教員が退職勧奨に応じないことを表明し,優遇措置も打ち切られているのにかかわらず,市教育委員会の担当者が,退職するまで勧奨を続ける旨繰り返し述べて短期間内に多数回,長時間にわたり執拗に退職を勧奨し,かつ,退職しない限り所属組合の宿直廃止,欠員補充の要求にも応じないとの態度を示すなどといった事実関係のもとにおいては、右退職の勧奨行為は違法です(最高裁昭和55年7月10日判決)。
イ 定年前に退職する従業員に対して定年退職の扱いとし割増退職金を支給することなどを内容とする選択定年制が定められている場合において,従業員からの申出に対し使用者がこれを承認することによって上記選択定年制による退職の効果が生ずるものとされており,使用者が承認をするかどうかに関し就業規則等において特段の制限が設けられていないなどといった事情の下では,上記選択定年制に基づき退職の申出をしたが承認のされなかった従業員については,上記選択定年制による退職の効果は生じません最高裁平成19年1月18日判決)。
ウ 最高裁平成22年10月14日判決は「法人であるYから定年により職を解く旨の辞令を受けた職員であるXがYに対し雇用契約上の地位確認及び賃金等の支払を求める訴訟において,控訴審が,X,Yともに主張していない法律構成である信義則違反の点についてXに主張するか否かを明らかにするよう促すとともにYに十分な反論及び反証の機会を与える措置をとることなく,Yは定年退職の告知の時から1年を経過するまでは賃金支払義務との関係では信義則上定年退職の効果を主張することができないと判断したことに釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例」です。
エ 定年制は,使用者が,その雇用する労働者の長期雇用や年功的処遇を前提としながら,人事の刷新等により組織運営の適正化を図るとともに,賃金コストを一定限度に抑制するための制度です(最高裁平成30年6月1日判決)。
(3)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 令和元年10月30日開催の退職準備等説明会の資料(東京高裁)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所職員(裁判官を含む。)の年齢階層・男女別在職状況
・ 裁判官の年収及び退職手当(推定計算)
・ 判検事トップの月収と,行政機関の主な特別職の月収との比較
・ 裁判官の号別在職状況
・ 裁判官の昇給
・ 裁判官の給料と他の国家公務員の給料との整合性に関する答弁例
 裁判官の兼職
・ 任期終了直前の依願退官及び任期終了退官における退職手当の支給月数(推定)
・ 裁判官の退官情報
・ 50歳以上の裁判官の依願退官
・ 裁判所の指定職職員
→ 「早期退職希望者の募集実施要項(一般職向け)」を掲載しています。
・ 平成18年度以降の,公証人の任命状況


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