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令和8年度司法試験倒産法第2問の模範解答と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した38項目と5段階の重み付け(AI作成)

第1 対象と結論の見取り図

作成日:令和8年9月30日。 令和8年司法試験の出題の趣旨・採点実感が公表される前に、法務省の問題、令和8年1月1日現在の法令、最高裁判決及び公開された同一問題の答案構成を照合して作成した記事である。以下の「評価項目」と「重み」は筆者の予想であり、法務省の採点基準、配点又は合格答案の保証ではない。

本記事は、令和8年度司法試験の選択科目・倒産法第2問(民事再生法)だけを扱う。
設問1では、使用を終えた不動産を売るためにも担保権消滅許可を使えるか、許可を認めるとして担保価値をいくらとみるかが中心となる。
設問2では、再生計画による既存株式の取得・消却・減資と、スポンサーへの新株発行を行為ごとに分け、株主総会を経ない特則の要件を示す。
設問3では、解除による前払金返還請求権が本来は共益債権であることと、再生債権として届け出て計画が進んだ後に手続外で行使できるかを分ける。

結論は、設問1の許可には具体的な事業継続上の不可欠性の認定を要し、売価1億円が当然に担保価値とはならないこと、設問2の旧株主の排除とC社への出資を法定手続で実現し得るが募集株式が譲渡制限株式かは問題文から確定しないこと、設問3のE社による200万円全額の計画外請求は最高裁平成25年11月21日判決の射程で許されず、計画上の5%である10万円にとどまること、である。

第2 評価項目を予想する方法と参考答案の照合

1 評価項目と重みの意味

問題文の設問・配置事実を条文の要件と効果へ結び、設問3については対応する最高裁判決の事案・理由・射程を確認した。
重みは次の5段階で、答案上の優先順位を示すために付けた。
重みの合計を実際の得点と扱うことはできない。

重み本記事での意味
5設問の結論を左右する中心的な条文、判例又は対立事実
4中心的な手続・効果、強い反論又は条件分岐
3個別事実の評価、金額・時点の処理
2補足的な手続・正確性を示す事項
1設問外への逸脱や法概念の混同を避ける事項

2 ネット上の「参考答案」の調査と照合

令和8年9月30日、ウェブ検索で「令和8年/R8」「司法試験」「倒産法」「第2問」「参考答案/再現答案/答案構成」「民事再生」を組み合わせ、関連サイト内検索及び問題固有の事実語による検索も行った。
同じ令和8年の司法試験・倒産法第2問について、設問1~3の記載を公開部分で読めた答案は、源勝芳氏の再現答案(答案構成のみ)である。
これは受験者による事後の答案構成であり、公式解説ではない。
有料部分は読んでおらず、公開部分の「倒産法・第2問」だけを照合した。
検索結果には令和8年予備試験の倒産法答案や令和7年以前の司法試験答案もあったが、本件問題の答案として数えない。
検索で見つからない他の答案の不存在までは確認していない。

設問公開された答案構成から確認できた視点本記事で一次資料により補った点
1売却がスポンサー支援の条件となる場合の不可欠性、即時抗告・価額決定請求別除権者側の強い反論、売価と処分価額の区別、評価人の評価及び納付後の効果
2民事再生法154条3・4項、166条、166条の2、161・162条既存株式の取得と自己株式消却を分けること、154条4項が譲渡制限株式に限られること、普通株式との関係
3双方未履行契約、届出後の手続外行使制限、5%=10万円準用の入口は49条5項であること、最高裁平成25年11月21日判決と95条の届出変更制限

同一問題の公開答案構成は論点発見に役立つが、条文番号・適用対象・判例の理由は民事再生法及び最高裁判決原文で独立に検証した。
先行する独立答案は上書きせず、以下の記事用答案に再掲する。

第3 問題の骨格

A社はホテル業を続けながら民事再生を図る。
設問1の本件不動産は既に閉鎖した施設であり、ホテル業に物理的には使用しない。
しかし、D社への売却と抵当権抹消がC社の1億円出資に結び付き、維持費は月約300万円である。
甲・乙には順位の異なる抵当権があり、乙は1億円より高い処分価値を主張する。

設問2では、既存2000株をなくし、C社が1株5万円で2000株を引き受ける構想である。
A社はC社出資後も債務超過で、既存株主全員の協力は見込めない。
設問3では、再生手続開始時にA社・E社の双方に未履行部分が残る宴会契約をA社が解除した。
E社は支払済みの200万円を再生債権として届け出て、これを前提とする5%弁済の計画が認可・確定した後、全額の支払を訴求する。

以下でいう「民再法」は民事再生法、「破産法」は破産法である。
問題指定の基準日である令和8年1月1日現在の法令を前提にする。

第4 予想される評価項目

1 設問1――担保権消滅許可と担保価値

番号評価項目重み問題文の手掛かり主な根拠
1甲乙の抵当権は別除権であり、原則として再生手続外で行使できる3二つの抵当権民再法53条
2「事業の継続に欠くことのできない財産」について再生債務者等が担保権消滅許可を申し立てると示す5A社の申立て148条1項
3財産を継続使用しないことを重視する乙の反論を具体化する4閉鎖施設・ホテル業に不使用148条1項の文言
4スポンサーが付けた売却条件だけで不可欠性を無制限に認めると別除権が空洞化するとの反論を示す4D社売却・C社出資53条、148条1項
5継続対象は旅館業の許可を持つA社のホテル事業であり、売却と出資が具体的に結び付くと評価する5許可主体、C社の支援条件148条1項
6抵当権抹消が売買の条件で乙が同意しない点から、消滅許可の必要性を検討する5抹消条件・乙の不同意148条1項
7月約300万円の維持費と支援不成立時の危険を、現在の事業継続への影響として使う3維持費148条1項
8代替の売却・資金調達手段の有無を踏まえ、物理的使用以外の不可欠性を条件付きで判断する5支援条件と不使用の対立148条1項
9消滅許可と担保目的物の価額決定を別の判断として扱う4売価1億円と乙の高値主張148~150条
10乙が所定期間内に価額決定を請求できることを示す4乙の異議149条
11評価人の評価を経て、処分を前提とする価額を裁判所が定めると示す5宅地転用可能性・解体費150条、民事再生規則79条1項
12D社の1億円の提示を直ちに法定価額とせず、1億2500万円という主張も証拠評価の対象とする5対立する二つの価額148~150条
13価額に応じた甲乙への順位配分と乙の担保不足額を示す3甲7500万円、乙5000万円53条、153条
14乙の即時抗告、A社の納付と全担保権消滅の時点まで示す3乙の対抗手段148条4項、152条

2 設問2――既存株主の排除とスポンサーへの発行

番号評価項目重み問題文の手掛かり主な根拠
15既存株主の同意が見込めないため会社法上の通常手続だけでは構想が頓挫し得ると示す3B、姉、旅館10社の持株・意向会社法の一般則
16債務超過を前提に裁判所の事前許可を受け、既存株式の取得を計画に定め得る5旧株2000株、出資後も債務超過民再法154条3項、166条
17資本金5000万円の減少も計画に定め、株式取得とは別個の行為として扱う4100%減資の構想154条3項、161条3項
18取得する株式数・取得日、減資額・効力発生日など必要事項を計画に記載する42000株、5000万円161条1・3項
19株主への許可要旨の送達・即時抗告を、議決権に代わる権利保護として示す3非協力的な株主166条3・4項
20再生債権者の可決と計画認可の確定、指定日に生じる取得・減資の効果を示す4計画による株主交代172条の3、183条
21取得株式は自己株式となり、別途消却が必要であるとする5旧2000株をなくす目的民再法183条、会社法178条
22減資について会社法449条の債権者異議手続を重ねて要求しない2再生計画による減資民再法183条
23C社が2000株×5万円=1億円を払い込む募集を、旧株の取得・消却と区別する3新株数と払込額民再法162条
24154条4項の計画による新株発行の特則は譲渡制限株式に限られると示す5「普通株式」の記載154条4項
25「普通株式」から譲渡制限の有無を決めず、譲渡制限がある場合とない場合を分ける5定款変更不要との指定会社法2条5号、民再法154条4項
26譲渡制限がある場合、再生債務者のみの計画案提出、債務超過、発行の事業継続上の不可欠性及び事前許可を示す5C社の支援・債務超過166条の2
27募集株数、払込額・期日等を計画に記載し、取締役又は取締役会が募集事項を決める効果を示す4C社への発行162条、183条の2
28譲渡制限がない場合には民再法の発行特則を用いず、会社法の発行手続に戻す4株式の譲渡制限が明示されない会社法199・201条
29株主に再生計画の議決権はなく、債務超過下の残余価値と債権者の負担を踏まえ制度趣旨を説明する4旧株主の不協力、債務免除民再法154・166条

3 設問3――前払金返還と届出の効果

番号評価項目重み問題文の手掛かり主な根拠
30開始時にA社の会場提供とE社の残代金支払が残る双方未履行契約と認定する4開始時の履行状況民再法49条1項
31A社の解除を49条1項による選択として位置付ける34月3日の解除同項
32支払済み200万円の原状回復請求を49条5項が準用する破産法54条2項に接続する5解除前の前払金両条
33原状回復請求権は本来共益債権として随時弁済されるとし、損害賠償請求権と区別する5E社の全額請求民再法121条、破産法54条1・2項
34E社が全200万円を再生債権として届け、共益債権性の留保が問題文上ないことを評価する5届出の内容最高裁平成25年11月21日判決
35A社による認否と届出を前提にした計画案、付議決定、可決・認可確定の順を押さえる5手続の時系列同判決、民再法95条
36付議決定後の届出変更制限と計画安定という最高裁の理由を、手続外行使制限につなげる5計画確定後の訴え民再法95条、同判決
37本来の共益債権性が消滅したとせず、手続外での全額行使が許されないと正確に述べる4請求の性質と行使経路同判決
38200万円の5%=10万円と計算し、請求の帰結を明示する4計画の弁済率再生計画・同判決

重みの分布は、5が16項目、4が13項目、3が8項目、2が1項目、1が0項目である。
これは優先順位の表示であり、38項目が公式採点表に存在するという意味ではない。

第5 模範解答

1 答案の前提

以下は、設問1~3を通じ、1行30字以下、92行に自然に折り返した選択科目1問分の答案である。
見出し・句読点も行数に含める。
問題文から確定できない譲渡制限の有無は条件分岐で扱う。
条文番号は民事再生法を原則とし、他法は明記した。

2 答案

第1 設問1
1 再生手続では、甲及び乙の抵当権は別除権として、原則として
再生計画に拘束されず手続外で行使できる(民事再生法53条)。
他方、再生債務者等は、事業の継続に欠くことのできない財産に
つき、価額相当額を裁判所に納付して全担保権を消滅させる許可
を申し立てられる(148条1項)。別除権の実行から再生に必
要な財産を守りつつ、担保価値を金銭で保障する制度である。
2 本件不動産は閉鎖した施設の土地建物で、ホテル事業に使用し
ない。乙は、保有・使用する必要がない以上、財産自体は継続に不
可欠でないと反論する。売却代金1億円も甲乙への弁済に尽き、
Aに残らない。スポンサーが任意に付した条件だけで要件を満た
すなら、売却可能な担保財産の大半に制度が及び、別除権保護の
原則を空洞化する。乙の担保価値の保護が特に重要だともいう。
3 しかしAは、継続対象はCでなく旅館業許可を持つAのホテル
事業であり、Cの1億円出資は本件不動産の売却が条件だと主張す
る。抵当権抹消が売買契約の条件であり、乙の不同意のため売却で
きない。放置すれば毎月約300万円の維持費が流出し、出資も得
られず、ホテル事業の継続が危うい。不可欠性は物理的使用だけで
なく、当該財産の処分と事業継続の具体的・直接的な結び付きから
判断すべきである。本件は単に換価金を運転資金に充てる事案と
異なり、売却が出資実行の条件で、維持費負担も現実化している。
売却が単に有利な方法か否かも吟味し、代替の支援・処分方法が
見込めない限り、不可欠性を認め、許可するのが相当である。
4 ただし、許可と納付額は別問題である。Aの提示する1億円
はDへの売価にすぎず、法定の「財産の価額」を当然に確定しな
い。乙は、解体費を控除しても宅地転用により1億2500万円
以上で売れると主張し、送達から1月以内に価額決定を請求でき
る(149条)。裁判所は評価人の評価に基づき処分価額を定め
る(150条)。将来の高値の抽象的可能性だけでは現時点の価
額は決まらないが、Aの早期売却事情だけで乙に2500万円の
不足を負担させることもできない。価額が1億円なら甲に
7500万円、乙に2500万円が順位に従い配分され、乙の不足
額は再生債権となる。決定価額が1億2500万円なら乙も全額の
担保価値を得る。乙は許可決定に即時抗告もできる(148条
4項)。Aは所定額を納付して初めて両抵当権を消滅させられる
(152条)。決定価額を納付できなければ抵当権は消滅しない。
第2 設問2
1 通常、自己株式取得や減資、第三者割当増資には会社法上の
株主総会決議等が要る。Bは1200株を有するが、姉の
600株は反対し、旅館10社の協力も確実でない。既存株主の
同意を前提とすると、Cへの経営権移転と出資が妨げられ得る。
2 Aは債務超過で、Cの出資後もこれが解消しない。そこで裁判
所の事前許可を得て、全2000株のAによる取得と資本金
5000万円の減少を再生計画に定められる(154条3項、
166条1・2項)。計画には取得株式の数・取得日、減資額・効
力発生日等を明示する(161条1・3項)。裁判所は許可決定を
Aに、その要旨を株主に送達し、株主には即時抗告の機会がある
(166条3・4項)。再生債権者の法定多数による可決と計画認
可の確定を経れば、指定日に計画により株式を取得し、減資も実現
する(183条1・4項)。これらに株主総会決議は要らず、
減資には会社法449条の債権者異議手続も適用されない。取得し
た株式はなお自己株式なので、Aは別途会社法178条により全
2000株を消却する。消却と資本金の減少は別の行為である。
3 Cに2000株を1株5万円で割り当て、1億円の払込みを受
ける募集も計画に定め得る。ただし154条4項の特則の対象は譲
渡制限株式だけである。「普通株式」との記載だけでは譲渡制限の
有無は分からない。譲渡制限株式なら、Aのみが計画案を提出し、
債務超過に加え発行が事業継続に不可欠であるとして、166条の
2の事前許可を得る。Aが許可主体のホテル運営を続け、Cは出資
でこれを支えるから、Cの出資の必要性は高い。計画には株数、
払込額・期日、増加資本金等の募集事項を記載する(162条)。
計画認可後、取締役又は取締役会の決定で募集事項を定め、株主総
会決議によらず発行できる(183条の2)。譲渡制限がなければ
この特則は使えず、新株発行は会社法の手続による。公開会社なら
適正価額での発行を取締役会で決められる(会社法201条)。
定款変更不要との設問指定は、譲渡制限の存在まで意味しない。
4 再生手続の中心は再生債権者の権利調整であり、株主には
計画議決権がない。債務超過では既存株式に現時点の残余財産
分配価値がなく、株主に再建を妨げる拒否権を与えるべきでな
い。他方、株主の権利を奪うため、債務超過等の厳格な要件、
裁判所の許可、送達・即時抗告で利益を保護する。Cの1億円
だけでは債務超過が解消せず、債権者の債務免除を要する以上、
既存株主のみが再建後の価値を保持することも公平でない。
第3 設問3
1 開始時、Aには宴会場の提供等、Eには残代金300万円の支
払が残り、双方未履行の双務契約である。Aの4月3日の解除は民
事再生法49条1項による解除となる。Eは、開始前に支払った
200万円の返還は同条5項が準用する破産法54条2項の原状回
復請求権であり、共益債権として手続外で随時全額請求できる(民
事再生法121条)と主張できる。これは開始後の解除で生じる
既履行部分の回復である。解除による損害賠償債権が再生債権と
なる同法49条5項・破産法54条1項とは区別すべきである。
2 しかしAは、与件上Eが共益債権である旨や予備的届出である
旨を示さず、200万円を再生債権として届け出たことを指摘す
る。Aが全額を認め、これを前提に5%弁済の計画案を作成し、
決議に付する決定、可決及び認可確定に至った。最高裁平成25年
11月21日判決は、同様の届出を前提に計画案を決議に付する決
定がされた後は、民事再生法95条の届出変更制限と計画の安定
から、本来共益債権でも手続外での行使を許さないとする。本件
でもEの債権の本来の性質自体が消えるわけではないが、全額を
計画外で請求する訴えは許されない。Eが受けられるのは、再生
計画に従う200万円の5%、すなわち10万円の弁済である。

第6 答案の読み方と許容される分岐

1 設問1――「売るために必要」と「売価が適正」は別問題

本件不動産をホテル施設として使わないことは、許可を否定する有力な事情である。
反面、A社自身のホテル事業を続けるためのC社の資金支援が不動産売却に実際に依存し、担保権を消さなければ売却できず、維持費が継続するという連鎖もある。
出資条件の客観性と代替策の有無を検討して許可の可否を論じる答案には、肯定・否定の双方に論証の余地がある。
売却予定という一事だけで全ての担保物件を「不可欠」とする処理は避ける。

東京高裁平成21年7月7日決定(平成21年(ラ)第410号)は、販売用土地でも、担保権が実行されると分譲事業の仕組みが機能しなくなるほど代替性がなければ、148条1項の不可欠性を認め得るとした。
ただし、同決定の土地は再生債務者の中核である戸建分譲事業の販売対象だった。
本件の不動産は閉鎖済みのホテル施設で、売却先とスポンサーの条件を通じてホテル事業の再建資金を得るという関係にある。
この違いを踏まえ、同決定から本件の許可を直ちに導かず、資金支援との結び付き及び代替手段を別に吟味する。

許可を肯定しても、D社の1億円の提示額を法定価額と即断してはならない。
乙が価額決定を請求すれば、解体費、宅地転用の具体性、市場での処分可能性などを評価人の評価に乗せて判断する。
甲7500万円、乙5000万円という被担保債権額を前提に、価額が1億円なら乙が担保から得るのは2500万円、1億2500万円なら乙の被担保債権全額が担保価値内に入る。
1億2500万円は乙の主張額であって、裁判所の決定額として確定した事実ではない。

上記東京高裁決定も、不可欠性を争う担保権消滅許可決定への抗告と、提示価額に対する価額決定請求とを分け、価額への不服は後者で主張立証すべきものとした。
本問でも、乙の「売価が低い」という主張を許可要件の判断だけに吸収しない。

2 設問2――株式取得、消却、減資、募集株式発行を分ける

再生計画による旧株式の取得と資本金の額の減少には民再法154条3項・166条、取得した自己株式の消却には会社法178条を接続する。
資本金の額をゼロにしただけで発行済み株式が自動的に消えるわけではない。
新株発行については、普通株式という「権利内容」と譲渡制限の有無という「譲渡可能性」は異なる軸である。
民再法154条4項の特則を無条件で適用する記述は、問題文にない譲渡制限を補ってしまう。
譲渡制限株式なら同項・166条の2・183条の2、そうでなければ会社法による発行手続を述べる。

3 設問3――債権の本来の性質と行使経路を分ける

E社の200万円は、解除による既払金の原状回復として、民再法49条5項・破産法54条2項から本来共益債権に当たる。
最高裁平成25年11月21日判決は、その性質を否定した判決ではない。
留保のない再生債権届出を前提に計画が組まれ、付議決定がされた後、再生債権者の利益を害する変更を制限する95条と手続安定を踏まえ、手続外での行使を許さなかった。
同判決の訴訟は前受金を保証人が代位弁済した後の求償債権等請求であり、本問ではE社自身が返還を求めるが、判示された届出・計画案・付議決定の条件は共通する。
E社は認可計画上の弁済額10万円を受ける。
最高裁判決と本問の違いが結論を左右するという主張をするなら、届出の留保、計画案への織込み又は付議決定の有無など、与件にある差を特定する必要がある。

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第8 出典と確認状態

  1. 問題(Confirmed):法務省「令和8年司法試験の問題」、選択科目・倒産法の問題PDFの第2問。問題文は令和8年1月1日現在の法令によると指定する。
  2. 法令(Confirmed):民事再生法・基準日に適用される版、会社法、民事再生規則。本文では特に民再法49、53、95、121、148~154、161、162、166、166条の2、183、183条の2を参照した。
  3. 最高裁判例(Confirmed):最高裁平成25年11月21日第一小法廷判決・平成24年(受)第105号、判例秘書番号L06810057。令和8年9月30日、判例秘書で事件番号検索1件の詳細画面から本文を読み、公表判決原文とも照合した。本来共益債権である旨の付記のない再生債権届出、当該届出を前提とした計画案、付議決定後の手続外行使の許否を判示する。
  4. 担保権消滅許可の裁判例(Confirmed):東京高裁平成21年7月7日決定・平成21年(ラ)第410号、判例秘書番号L06420454(判時2054号3頁)。令和8年9月30日、判例秘書で「担保権消滅許可」の全文検索19件のうち当該決定の詳細画面から本文を読んだ。日弁連法務研究財団の判例紹介も照合した。販売用土地の不可欠性を事業の仕組みに即して認め、提示価額への異議は別の価額決定請求で扱うとした。本件事実への当てはめは上記第6の1のとおり区別する。
  5. 同一問題の公開答案構成(Source statement):源勝芳氏「R8司法試験・再現答案(※答案構成のみ)」(令和8年9月2日公開)。倒産法第2問の公開部分を確認した。上記の比較表は要旨であり、他人の答案本文を転載していない。
  6. 推論と未確認部分(Inference / Unknown):38項目の選定、重み、設問1で不可欠性を肯定する方向の最終評価は筆者の予想である。設問1の裁判所による価額決定額、設問2の普通株式の譲渡制限の有無は問題文から確定しない。令和8年度倒産法第2問の公式出題の趣旨・採点実感は、本記事作成時点で公表を確認できず、参照していない。