メインコンテンツへスキップ
       

令和8年度司法試験環境法第1問の参考答案と予想される評価項目―廃棄物処理法、事務管理、ごみ処理有料化をめぐる47項目(AI作成)

第1 この記事の対象と確認状態(法務省とは関係のない独自の予想)

この記事は、令和8年度司法試験論文式試験の選択科目「環境法」第1問(配点50点)を対象とする。評価項目、重み、解説及び参考答案は、問題文、法令、判例から独自に作成した予想であり、法務省の採点基準・配点ではない。 作成時点の令和8年9月30日には、本問の「出題の趣旨」と「採点実感」は公表されておらず、本記事はそれらを読んでいない。本記事の答案は、令和8年の出題の趣旨及び採点実感を踏まえたものではないため、「模範解答」ではなく「参考答案」と呼ぶ。

以下の条文確認には、令和8年1月1日時点で施行されていた廃掃法の版を用いた。本記事で使う主要条文は、令和8年7月1日施行版とも条文本文を照合した。なお、環境法第1問の問題文自体には、法令の基準日を令和8年1月1日とする個別の指示はない。

第2 本記事独自の評価項目の示し方と重み付けの基準

各行は、答案に何が書かれていれば確認できるかを示す。重みは本記事独自の5段階であり、足し算して得点に換算するものではない。

  • 5:設問の結論を左右する条文連鎖又は判例の中核。
  • 4:主要な要件と具体的事実を結び付ける事項。
  • 3:答案の説得力を支える法令上の区別や事実評価。
  • 2:補強又は典型的な誤りの回避。
  • 1:設問の射程を超えないための注意。

一つの項目を欠いた場合の実際の減点幅も、同じことを別の表現で書いた場合の扱いも、現時点では不明である。以下は自己点検用の予想である。

第3 本問の概要

問題文:https://www.moj.go.jp/content/001466993.pdf (環境法第1問、冊子32~33頁)

本問は、一般廃棄物と産業廃棄物を共に受け入れるA社の最終処分場について、①行政による調査、②A社への是正措置、③A社破産後の緊急措置費用の負担、④家庭系ごみの有料化を問う。B県知事、C市長、委託元D市、排出事業者となり得るE社等の主体ごとに権限・責任を分けることが、答案全体の軸である。

第4 本記事が独自に予想した評価項目と重み(法務省の資料ではない)

1 全問に共通する前提

番号答案で確認する内容重み手掛かり・根拠
1A社の施設が一般廃棄物・産業廃棄物の双方を扱い、施設・処理業・処理行為の規制を区別する5問題文32頁、廃掃法8条以下・15条以下・19条以下
2D市が委託した物は一般廃棄物だが、E社等の「事業活動に伴って生じた廃棄物」は種類を確かめるまで産業廃棄物と断定しない5問題文32頁、廃掃法2条2・4項
3設問2のA社への命令、設問3の行政による直接措置と費用負担を、時点と相手方で分ける4問題文32頁、廃掃法19条の3~8
4河川の環境基準と、廃掃法の施設基準・処理基準を同一視しない4問題文32頁、環境基本法16条

2 設問1――報告徴収・立入検査

番号答案で確認する内容重み手掛かり・根拠
5B県知事とC市長の双方について、廃掃法18条1項の報告徴収を挙げる5「状況を知る」、廃掃法18条1項
6A社の搬入量・種類・時期・区画・残余容量・浸出水処理、帳簿や契約を照合する目的を示す3許可容量超過の通報、同条の必要限度
7E社等の事業者についても必要な限度で報告徴収の対象となり得ると示す2廃掃法18条1項
8B県知事とC市長の双方について、19条1項の立入検査を挙げる5廃掃法19条1項
9事務所・事業場・処分場、帳簿・埋立地・遮水・排水設備の検査と、試験に必要な廃棄物の無償収去を具体化する3廃掃法19条1項
10権限行使の必要限度、職員の証票携帯・提示、犯罪捜査との区別を示す2廃掃法18条1項、19条3・4項

3 設問2――A社に対する複数の措置

番号答案で確認する内容重み手掛かり・根拠
11人の健康保護に係る環境基準の超過だけで、廃掃法上の特定の違反を直ちに確定しない4河川・地下水の検出値、環境基本法16条
12浸出水と汚染の因果関係、地下水汚染、生活・農業用水利用から生活環境保全上の支障又はそのおそれを具体的に認定する5問題文32頁
13一般廃棄物処理施設につき、許可容量の大量超過を変更許可(9条1項)のない変更、すなわち違反行為と捉え、B県知事の9条の2第1項3号(計画・技術基準への不適合なら1号)の改善・使用停止を検討する4許可容量超過、廃掃法8条2項5号・9条1項
14産業廃棄物処理施設につき、許可容量の大量超過を変更許可(15条の2の6第1項)のない変更、すなわち違反行為と捉え、B県知事の15条の2の7第3号(計画・技術基準への不適合なら1号)の改善・使用停止を検討する4許可容量超過、廃掃法15条2項5号・15条の2の6第1項
15遮水、浸出水の集排水・処理、埋立て管理を、命令の具体的内容として示す3汚染原因と施設規制の接続
16施設許可取消し(9条の2の2、15条の3)は法定要件の検討を要し、取消しだけで汚染が消えないと示す2施設規制の効果
17処理基準違反が確認できるとき、一般廃棄物についてC市長の19条の3第1号、産業廃棄物についてB県知事の同条2号を挙げる5改善命令の主体別区別
1819条の3の改善命令と、支障又はそのおそれを要する19条の4・5の措置命令とを区別する5条文の要件・効果
19一般廃棄物の不適正処分についてC市長の19条の4第1項を検討する4一般廃棄物処理基準違反、支障
20産業廃棄物の不適正処分についてB県知事の19条の5第1項を検討する4産業廃棄物処理基準違反、支障
21容量超過のみで処理基準違反と断定せず、浸出水による河川・地下水の汚染を、浸出液による公共の水域及び地下水の汚染防止措置の基準(施行令3条3号ロ、産業廃棄物は6条1項3号ホ)に当てはめる4各命令の適用前提、施行令3条3号ロ・6条1項3号ホ
22処分業許可に対するC市長の7条の3・7条の4、B県知事の14条の3・14条の3の2を、要件に応じて検討する2処分業と施設許可の別
23使用停止、改善、支障除去の効果と必要な範囲を区別し、複数の選択肢を組み合わせて結論づける3設問の「複数の選択肢」

4 設問3⑴――B県の緊急措置費用とE社等

番号答案で確認する内容重み手掛かり・根拠
24B県の直接措置の入口を19条の8第1項4号とし、先行命令を出すいとまのない緊急性を示す5A社破産後の流入増加
25産業廃棄物処理基準違反(設問2で当てはめた施行令6条1項3号ホ)による支障又はそのおそれという19条の5第1項側の前提を確認する419条の8第1項柱書
26E社等への費用負担の直接根拠を19条の8第4項とし、19条の6第1項各号の双方を要求する519条の8第4項
27A社破産は資力不足を強く示すが、財産・保険等も見て「処分者等のみでは十分でない」と判断する419条の6第1項1号
28E社等が当該産業廃棄物の「排出事業者等」かを確かめ、事業系一般廃棄物を除く5廃掃法2条4項、19条の6第1項
29半値以下の料金を適正な対価の不足の有力な事情としつつ、合理的な低価格の説明や認識可能性を検討する519条の6第1項2号、環境省チェックリスト14頁
30緊急措置後の19条の8第4項による費用負担に、19条の6の先行措置命令を当然の要件としない419条の8第1項4号・4項
31各社の廃棄物の性状・数量・処分方法等から相当な額を定め、全費用の均等割りや単純な「処分料の差額」としない419条の8第4項後段

5 設問3⑵――D市に対する事務管理費用償還

番号答案で確認する内容重み手掛かり・根拠
32C市自身の緊急措置は、一般廃棄物の処理基準(施行令3条3号ロ)違反を前提に、19条の7第1項4号を入口として位置付ける3問題文32頁
33D市の「区域外での具体的な措置義務規定がない」という反論を正面から扱い、民法697条1項・702条1項の事務管理に接続する5設問3⑵の指定
34廃掃法1条、4条1項、6条、6条の2第1・2項から、委託元市町村の一般廃棄物適正処理責任を導く5最判令和7年7月14日
35委託先・処分場が市外でも、その処理責任は消えないと論じる5同判決、D市の主張
36施行令4条9号イの立地市町村への事前通知、特に所在地・面積・残余埋立容量を使う4問題冊子33頁の資料
37同号ロ・施行規則1条の8の1年以上の継続委託に対する年1回以上の実地確認を、数年来の委託に当てはめる4問題冊子33頁の資料
38C市の措置がC市自身の事務でも、同時にD市の事務管理となり得ることを示す5最判令和7年7月14日
39判決が認めたのは事務管理の成立可能性であり、搬入量比例の請求額全額を確定したわけではないとする4同判決は費用額等の審理のため差戻し

6 設問4――家庭系ごみ有料化の考え方と効果

番号答案で確認する内容重み手掛かり・根拠
40事業系一般廃棄物も一般廃棄物であり、市町村の一般廃棄物処理計画・処理責任との関係を示す4廃掃法2条・6条・6条の2
41事業者の3条1項の自己責任と、産業廃棄物を対象とする11条1項を取り違えない4比較対象は「事業系一般廃棄物」
42家庭系ごみについて市町村が6条の2第1項の処理責任を負い、有料化後もその責任は残るとする4廃掃法6条の2第1項
43排出量に応じた負担の公平、処理費用の見える化、減量の経済的誘因を説明する5有料袋の政策目的、環境省手引き
44発生抑制・分別・再使用・再資源化、焼却量・最終処分量の削減を期待効果として挙げる4環境省手引き
45指定袋の材料代だけでなく、処理手数料を袋の価格に含める点を「有料化」の核心として区別する3環境省手引きの定義
46不法投棄、他自治体への持込み、低所得世帯等の負担を考慮し、料金・減免・分別収集と効果検証に触れる3環境省手引き
47条例で手数料を設計する法形式と、設問が主として尋ねる政策目的・効果を区別する1問題文33頁、家庭系ごみ有料化の法的根拠をめぐる議論

重みの分布は、5が16項目、4が19項目、3が7項目、2が4項目、1が1項目で、合計47項目である。重み5は区分・権限・条文の入口・判例の要点などに付けた。この47項目は公式の採点項目でも47点満点の採点表でもない。 重みを掛けた合計186も試験の得点ではない。同じ論述が複数行に関係する場合があり、他科目との数字の比較から難易度や配点を推定することはできない。

第5 参考答案

1 答案(選択科目1問、30文字×92行以内)

次の答案は、設問1から設問4までを一つの解答欄に書く想定である。見出しを含めて92行、各行30文字以内とした。改行は読みやすさのためのもので、評価項目のすべてを答案に独立の文章として列挙する趣旨ではない。

第1 設問1
B県知事とC市長は、廃掃法18条1項により、A社に対し、法の
施行に必要な限度で、搬入された一般・産業廃棄物の種類、量、埋
立ての時期・場所、残余容量、施設の構造・維持管理、浸出水の処
理等について報告を求め得る。委託契約、搬入台帳、計量記録等を
照合し、許可容量とのずれを調べる。E社等も事業者として、必要
な範囲で報告徴収の対象となる。また両者は19条1項により、職
員をA社の事務所・事業場や処分場の土地・施設に立ち入らせ、帳
簿書類、埋立地、遮水・排水設備等を検査し、試験に必要な限度で
廃棄物を無償収去させ得る。職員は身分証を携帯・提示する。同条4項により犯罪捜査のための権限ではない。両者は廃棄物の種
類別に得た情報を所管する措置に向け突き合わせる。第2 設問2
健康保護に係る環境基準は環境基本法16条上の行政目標で、その
超過だけで廃掃法上の違反は確定しない。しかし許可容量の超過、
浸出水の河川流入という因果関係、地下水の汚染、住民の生活・農
業用水としての利用から、生活環境保全上の支障又はそのおそれは
強い。搬入を止め、汚染拡大防止と浄化を急ぐべきである。まず施
設規制として、埋立容量(8条2項5号、15条2項5号)の大量
超過は変更許可(9条1項、15条の2の6第1項)なき変更で違
反行為となるから、B県知事は一般廃棄物処理施設に9条の2第1
項3号、産業廃棄物処理施設に15条の2の7第3号により、期限
を定めた改善命令又は期間を定めた施設使用停止命令を出せる。遮
水、浸出水の集排水・処理設備の補修、埋立て管理の適正化などが
改善内容となる。各1号の計画・基準不適合、各4号の条件違反も
根拠となり得る。情状が特に重いか命令違反なら施設許可の取消し
を要する(9条の2の2第1項2号、15条の3第1項2号)が、
取消しだけでは汚染を除去できない。次に処理行為を分ける。容量超過でなく、浸出水による河川・地下水汚染から、浸出液の汚
染防止措置(施行令3条3号ロ、産業廃棄物は6条1項3号ホ)を
欠く埋立処分で処理基準違反といえる。そこでC市長は一般廃棄物
に19条の3第1号、B県知事は産業廃棄物に同条2号により、A
社に期限を定めて処理方法の変更等を命じ得る。この改善命令には
支障の発生を要しない。他方、これにより支障又はそのおそれが生
じたから、C市長は19条の4第1項、B県知事は19条の5第1
項により、A社へ必要な限度の支障除去・発生防止措置を命ずるべ
きである。命令書を交付し、河川への流入遮断、浸出水の回収・浄
化、地下水監視等を具体化する。処分業についても、C市長は7条
の3・7条の4、B県知事は14条の3・14条の3の2による事
業停止・許可取消しを要件に応じ検討する。施設、処分業及び現存
する支障への命令は対象・効果が異なり、必要な範囲で併用する。第3 設問3⑴
B県知事の措置には、産業廃棄物の処理基準違反による生活環境保
全上の支障があり、流入量の増加を受け、19条の5又は19条の
6の命令を出すいとまがないという19条の8第1項4号の要件を
要する。これを満たせば、先行命令なしに自ら措置を講じ得る。同
条2項で処分者等のA社に費用を負担させ得るが、破産で回収は困
難と考えられる。E社等への費用負担には、緊急措置に固有の19
条の8第4項を用いる。これは19条の6第1項各号の双方に該当
することを要し、先行する同条の措置命令を要しない。第一に、A
社等の資力その他の事情から、処分者等だけでは十分な措置が困難
である。破産はこれを示すが、財産・保険等を確認する。第二に、
E社等が当該産業廃棄物の排出事業者等であり、適正な対価を負担
していないこと等が必要となる。一般的な処分料金の半値以下は著
しい低廉さを示す。合理的な低価格の理由がないかを調べ、委託先
の状況を知り得たかも確認する。負担額は各社由来の産業廃棄物の
性状・数量・処分方法等から相当な範囲に限り、費用を当然に均等
割りしない。事業活動から生じた廃棄物でも一般廃棄物はあり得る
ため、その分に19条の6及び19条の8第4項は適用できない。第4 設問3⑵
C市は19条の7第1項4号で措置した。民法697条1項の事務
管理による有益費を702条1項で請求し得る。D市は区域外の措置義務規定がないというが、廃掃法1条、4条1
項、6条、6条の2第1・2項は、区域内で発生する一般廃棄物に
ついて、住民に代わり市町村が処理基準に沿った適正処理を確保す
る責任を負う趣旨である。委託しても、また区域外で処分しても、
その責任は消えない。特に資料の施行令4条9号イは、委託元に処
分場の所在地、面積、残余容量等を立地市町村へ事前通知させ、同
号ロ及び施行規則1条の8は、1年以上の継続委託について年1回
以上の実地確認を求める。D市の数年来の委託は後者の対象であり
、制度は委託元が区域外の処分の適正を監視することを予定する。確認懈怠は断定できない。不適正処分に由来する汚染について、D
市は本来的に支障除去措置を講ずべき法的地位にある。C市の措置
に自市の事務としての性質があっても、同時にD市の事務の管理と
なり得る。最高裁令和7年7月14日判決もこの理を示し、具体的
義務規定がないとの反論を退けた。ただし事務管理が成立し得るこ
とと請求額は別である。D市分との関係、有益な支出額、他の負担
・回収との重複を検討し、搬入量比例額を無条件に認めない。第5 設問4
事業系一般廃棄物も市町村の処理対象だが、事業者は廃掃法3条1
項により事業由来廃棄物を自らの責任で適正処理すべきである。処
理費の負担はその責任と費用の内部化に沿う。他方、家庭系ごみは
市町村が6条の2第1項に基づき処理を担い、税による共同負担だ
けでは多量排出世帯と少量排出世帯の負担差が見えにくい。有料の指定袋で排出量に応じた手数料を徴収すると、排出者負担の
公平を高め、費用を目に見えるものにする。袋の使用だけでなく処
理手数料を上乗せすることが有料化の要点である。袋を少なく使う
ため、ごみの発生抑制、分別、再使用、再資源化が促され、焼却量
・最終処分量と公費負担を減らし、処分場の寿命を延ばし得る。もっとも有料化後も市町村の処理責任は残る。不法投棄や他自治体
への持込み、生活必需の排出に係る家計負担に注意し、料金水準、
減免、資源物の分別収集を設計し、効果を検証する必要がある。

2 解説――条文の入口と結論の幅

(1) 設問1:調べる段階では18条と19条

「許可容量を超えた」との通報は、直ちに違反の確定を意味しない。まず許可図書、搬入記録、埋立地の現況を突き合わせる。そのための18条1項の報告徴収と19条1項の立入検査は、後の是正措置へ向けた証拠収集である。B県知事とC市長の権限を、一般・産業廃棄物の区分だけから機械的に排他的なものとしない。措置命令の権限分担は設問2で行う。

(2) 設問2:施設、処理行為、処分業を分ける

最終処分場の埋立容量は、設置許可の申請書に記載する「処理能力」の内容であり(8条2項5号、15条2項5号)、その変更には変更許可を要する(9条1項、15条の2の6第1項。処理能力を10パーセント以上増大させる変更は、許可を要しない軽微な変更に当たらない。施行規則5条の2第1号、12条の8第1号)。
許可された埋立容量を大きく超える埋立ては、許可を受けない変更として違反行為(7条の3第1号の定義)に当たる。
そこでB県知事は、一般廃棄物処理施設について9条の2第1項3号、産業廃棄物処理施設について15条の2の7第3号により、改善・使用停止を命ずることができる。
違反行為の情状が特に重いとき又は命令に違反したときは、施設の許可を取り消さなければならない(9条の2の2第1項2号、15条の3第1項2号)。
施設の構造・維持管理が許可申請書の計画や技術基準に適合しない場合(各1号)も、改善・使用停止の根拠となる。
これと別に、一般廃棄物処理基準違反ならC市長、産業廃棄物処理基準違反ならB県知事が、改善命令や支障除去命令を検討する。

河川や地下水での環境基準超過は、それだけで処理基準違反を意味しない。
もっとも本問では、浸出水が河川に流入し、地下水も汚染されていることが調査で分かっている。
埋立処分の基準は、埋立地からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するための設備の設置等の措置を求めている(施行令3条3号ロ。産業廃棄物は6条1項3号ホが同号ロの例によるとする)。
本問の事実は、この措置を欠いた埋立処分が行われたことを示す。
容量超過そのものではなく、この浸出水の事実を処理基準に当てはめて、改善命令・措置命令の前提となる処理基準違反を認定する。

本問は「A社に対し」採る措置を尋ねる。施設の改善・使用停止、処分業の停止・取消し、支障の除去を分けて提示し、搬入停止と浸出水処理を実際に実現する命令内容に落とし込むのが答案の中心となる。周辺住民への代替給水などは重要な実務対応だが、設問が求めるA社への廃掃法上の措置との関係を明示せずに主答に置かない。

(3) 設問3⑴:E社等への負担は自動ではない

A社破産後に浸出水の流入が増え、命令を待てないなら、B県知事は19条の8第1項4号の直接措置を検討できる。
ただし、同条の前提となる産業廃棄物の処理基準違反(設問2で見た施行令6条1項3号ホ)と生活環境保全上の支障を確認する。
E社等に対する費用負担は同条4項であり、19条の6第1項1号の処分者等の資力不足等と、同項2号の適正対価不足・認識可能性等の双方を満たす必要がある。

環境省のチェックリスト(14頁)は、地域の一般的な処理料金の半値程度以下を適正な対価を負担していないか判断する目安としつつ、料金に合理性があるとの説明可能性にも触れる。
したがって「半額以下だから必ず全額徴収」とはならない。
さらに、E社等が委託した物が産業廃棄物に当たる範囲を特定し、各社の物の性状・数量等に応じた相当額を判断する。

(4) 設問3⑵:D市の区域外でも委託元の責任は残る

最判令和7年7月14日は、委託元の市町村が区域外での一般廃棄物の不適正処分から生じた支障について、具体的な措置義務の個別規定がないことだけでは責任を免れないとした。廃掃法1条、4条1項、6条、6条の2第1・2項から、委託元が住民に代わって適正処理を確保する責任を導いた。施行令4条9号イの事前通知と同号ロ・施行規則1条の8の実地確認は、その責任を裏付ける規定として問題文の資料にも置かれている。

同判決は、立地市町村の措置に自分の事務としての性質があっても、委託元の事務管理が成立し得るとした。他方、最高裁は償還可能な費用額等を確定せず差し戻した。本問でも、D市の搬入量に応じた額が当然に全額認められるとまでは書かず、措置の有益性、D市分との関係、他の回収との重複を検討する。資料の実地確認義務から、D市が現実に確認を怠ったとまでは推認しない。

(5) 設問4:家庭系と事業系の比較

事業系一般廃棄物についても一般廃棄物の制度が適用されるが、事業者には廃掃法3条1項の自己責任がある。家庭系ごみは、市町村の処理責任の下で税による共同負担がなされてきた。袋の購入時に処理手数料を排出量に応じて負担させれば、多く出す人と少なく出す人の負担差を可視化し、減量と分別の動機を生む。袋の原価だけを支払う制度を、処理手数料を含む有料化と混同しない。料金が高過ぎれば不法投棄等や生活必需の排出への過重な負担を招くため、減免や資源物の収集と併せて効果を検証する。手数料の法的根拠には議論があるが、設問は条例の有効性判断ではなく、有料化の考え方と効果を尋ねている。

3 公開答案・答案構成との照合

同じ令和8年司法試験環境法第1問について、公開ページとして確認できた直接の答案構成は「VMGの備忘録」である。同記事は受験者自身が再現答案ではなく大まかな答案構成と断っており、採点基準としては扱わない。令和8年司法試験予備試験の環境法答案は、試験・問題の双方が異なるため、本問の公開答案に含めていない。

確認した資料本記事に取り入れた視点条文・問題文と照合して修正した点
VMG「令和8年度 司法試験・環境法」の備忘録19条の3から19条の8へ進む設問の流れ、半値以下の料金と19条の6、委託元D市の責任設問1の18条報告徴収も加える。E社等の廃棄物を直ちに産業廃棄物とはしない。設問4の事業系一般廃棄物に11条1項を直接当てない。
安田貴行「令和3年司法試験環境法第2問解答例」緊急時に19条の8第1項4号から県の直接措置を論じる順序本問のE社等への費用負担は、現行19条の8第4項と19条の6第1項各号を直接確認する。
「令和6年司法試験 環境法 第2問(参考答案)」事業系一般廃棄物と産業廃棄物の区別を意識する契機事業から出たことだけでは産業廃棄物と確定しない。産業廃棄物処理業の許可権者を市町村長とする記述は採用しない。
日本環境法律家連盟「環境法・過去問一覧表」平成18年第1問でも、安価な委託と排出事業者の責任が問われたという歴史的背景過去問の論点や旧法を、本問の結論・配点の根拠にしない。

参照した各ページのURLと読んだ範囲は第7に記す。検索で見つかった予備校の講座紹介や有料教材について、非公開の答案本文を読んだとは扱っていない。公開検索で本問の他の公開答案が見つからなかったことは、存在しないことの証明ではない。

公開資料の調査日は令和8年9月30日である。「令和8年/令和8年」「司法試験」「環境法」「第1問」「参考答案」「答案構成」「解答速報」、問題文中の「本件処分場」「E社等」「半値以下」等を組み合わせて検索し、直接該当した公開本文を読み、過年度の関連答案も条文ごとに確認した。検索で取得できる範囲に限る調査であり、有料部分や検索結果に現れない資料まで網羅したという意味ではない。

第6 関連記事

選択科目の一覧:令和8年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の参考答案(AI作成)。同記事は8科目・計16問を案内し、本記事の47項目と重み別件数も掲載している。

同じ令和8年度の選択科目について、本問以外の参考答案は次の15問である。

  1. 倒産法第1問
  2. 倒産法第2問
  3. 租税法第1問
  4. 租税法第2問
  5. 経済法第1問
  6. 経済法第2問
  7. 知的財産法第1問
  8. 知的財産法第2問
  9. 労働法第1問
  10. 労働法第2問
  11. 環境法第2問
  12. 国際関係法(公法系)第1問
  13. 国際関係法(公法系)第2問
  14. 国際関係法(私法系)第1問
  15. 国際関係法(私法系)第2問

主要7科目の一覧:令和8年度司法試験論文式試験の主要7科目の参考答案と予想される評価項目(AI作成)。同記事の重みの分布は主要7科目についての集計であり、選択科目の本問は含まれない。

第7 出典及び確認状態

1 一次資料

  1. 法務省「令和8年司法試験論文式試験問題集」環境法第1問、冊子32~33頁。https://www.moj.go.jp/content/001466993.pdf
  2. e-Gov「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」令和7年6月1日施行版(本記事で用いた条文を令和8年1月1日基準として確認)。https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137/20250601_504AC0000000068
  3. e-Gov「環境基本法」16条(環境基準)。https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000091/20210519_503AC0000000036
  4. e-Gov「民法」697条・702条。https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  5. 最高裁令和7年7月14日第一小法廷判決・令和5年(受)第606号、判決全文5頁。https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-94278.pdf
  6. 環境省「一般廃棄物処理有料化の手引き」令和4年3月、定義、目的・効果及び制度設計部分。https://www.env.go.jp/recycle/waste/tool_gwd3r/ps/psR403.pdf
  7. 環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」(平成29年6月、令和5年3月一部改訂)14頁の【「適正な対価(料金)」について】、一般的料金の半値程度以下と合理性の説明に関する記述。https://www.env.go.jp/content/000126051.pdf

2 公開答案・答案構成

  1. VMGの備忘録「令和8年度 司法試験・環境法」の第1問部分。本人は再現答案ではなく答案構成と明示する。https://vmg-law.hatenablog.com/entry/2026/07/30/182846
  2. 安田貴行「令和3年司法試験環境法第2問解答例」の19条の8に関する部分。年度・事案が異なる。https://note.com/y_takayuki515/n/nef38d5c909e8
  3. パンデクテンやっし「令和6年司法試験 環境法 第2問(参考答案)」の事業系一般廃棄物と産業廃棄物に関する部分。年度・事案が異なり、法令との再照合を要する。https://ameblo.jp/pandekten-yassi/entry-12923980183.html
  4. 日本環境法律家連盟「司法試験 環境法 過去問一覧表」の平成18年第1問の説明。答案本文ではなく論点一覧である。https://www.jelf-justice.org/jelf/wp-content/uploads/2019/02/709f0a2ef953b394d833f42630aef3b5.pdf
  5. 地方自治研究機構「ごみ収集有料化の法的根拠」。家庭系ごみの処理手数料に関する議論の紹介として参照した。https://www.rilg.or.jp/htdocs/main/houmu_qa/2006/05_summer_01.html

3 記事の形式に関する参考

本記事は、山中弁護士ブログの令和8年度司法試験公法系第1問の記事を、独自予想である旨の明示、5段階の重み付け、評価項目表、参考答案、解説及び出典の順序について参考にした。問題と法的結論は別個に検討した。

確認範囲は、法務省問題文、上記法令の該当条文、最高裁判決全文、環境省資料の関連箇所、上記公開答案・答案構成の関連部分である。予備校の会員限定資料、有料答案本文、未公表の出題の趣旨・採点実感は読んでいない。47項目の重み付けと答案の適合度は本記事の推論であり、公式採点結果は不明である。