作成日:令和8年9月30日
この記事の模範解答、評価項目及び重み付けは、法務省が公表した問題と条約・国際法委員会資料等を基に独自に作成した予想であり、法務省の採点基準・配点を示すものではない。令和8年度の国際関係法(公法系)の出題の趣旨と採点実感は、作成時点で未公表である。これらを読んで作成したものでもない。
第1 対象と結論
対象は、令和8年度司法試験の選択科目「国際関係法(公法系)」第1問(配点50点、問題冊子38~39頁)である。「公法系科目第1問(憲法)」とは別の問題である。法務省の問題掲載ページから選択科目の問題冊子を確認できる。
本記事の結論は、①B国はXの財産没収につき、請求提示時までのB国籍継続を前提に外交的保護を行使できる、②C・D間に引渡条約がなければD国は原則として引渡義務を負わず、条約があれば対象犯罪・双方可罰性等の条約上の条件と政治犯罪例外を吟味する、③E国裁判所は、Qによる個人的利得目的の有償講演を、外交関係に関するウィーン条約31条1項(c)の公務外の職業上又は商業上の活動と評価して民事裁判権免除を否定したと考えられる、というものである。③には単発の講演が「活動」に当たるかという解釈上の留保がある。
第2 予想評価項目の作り方
以下の項目は、各設問の動詞と指定事項、問題文に明示された事実、関連条文の要件から予想した。各行は「答案に書かれていれば何を確認できるか」を一つずつ示す。これは独自の学習用チェックリストであり、実際の採点項目や得点を再現したものではない。
重み5は結論を左右する中心的な法源・当てはめ、重み4は中心的な補強、重み3は事実評価、重み2は留保・射程の整理、重み1は書き分け・周辺事項とした。重みは点数ではない。令和7年の同科目の採点実感は、基本概念と主要条約・判例の正確な理解、設問に即した事例の考察、論理的な構成と理由付けを重視すると述べる。ただし、これは前年の一般的な採点方針を参照したにとどまり、本問の公式評価項目を示す資料ではない。
第3 本問の概要
XはA国籍で出生し、B国民Yとの婚姻後にB国法によりB国籍を取得し、A国籍を失った。B国に居住し、C国に財産を所有するXは、C国の核開発政策に対する抗議運動に参加し、C国政府に財産を没収された。C国で政府措置による損害を救済する手段は外国人には開かれていない。設問1は、没収の国際違法性を前提に、B国の外交的保護の可否を問う。
A国民Pは同じ抗議運動のリーダーの一人で、D国へ逃亡した。C国は内乱罪による訴追のため引渡しを求める。設問2は、C・D間に引渡条約がない場合とある場合を分け、D国の義務を問う。
C国外交官Qは、E国の新聞社甲にC国事情についての講演を自ら申し出た。「個人的な利得」を目的と明言し、講演料を個人口座で前受けしたが、当日来場せず返金にも応じなかった。設問3は、甲の返金訴訟でE国裁判所がQの民事裁判権免除を否定した理由を問う。C国とE国は外交関係に関するウィーン条約の当事国である。
第4 予想される評価項目(法務省の資料ではない)
1 設問1――外交的保護
| 番号 | 評価項目 | 重み | 根拠・問題文の手掛かり |
|---|---|---|---|
| 1 | B国がXの損害を国家間請求として取り上げる外交的保護の構造を示す | 4 | 国際法委員会・外交的保護条文案1~3条 |
| 2 | 没収の国際違法性は設問上の前提として受け入れる | 2 | 設問1のただし書 |
| 3 | 国籍国による保護と、被害時から請求提示時までの国籍継続を示す | 5 | 同条文案3~5条 |
| 4 | B国籍取得とA国籍喪失が没収より前であり、Xは被害時にB国民だったと示す | 5 | 問題冊子38頁の時系列 |
| 5 | 請求提示時までB国籍が続くことを条件として明示する | 4 | 同条文案5条1項 |
| 6 | A国籍で出生したことやC国での財産所有・短期滞在を、B国の請求資格を否定する事情としない | 3 | 問題冊子38頁の国籍・居住・財産の事実 |
| 7 | 国籍の真正な結合を一般的な追加要件として機械的に課さない | 2 | 国籍の取得は条文案4条、継続は5条で吟味 |
| 8 | 個人の被害に基づく請求には原則としてC国の国内救済完了が必要と示す | 5 | 同条文案14条 |
| 9 | 外国人は全救済手段を利用できないため、実効的に利用可能な国内救済がないと当てはめる | 5 | 同条文案15条(a)・(d)、問題冊子38頁 |
| 10 | B国には行使権があっても、Xに対する行使義務まで当然に生じるわけではないと結ぶ | 3 | 同条文案2条・19条 |
2 設問2――犯罪人引渡し
| 番号 | 評価項目 | 重み | 根拠・問題文の手掛かり |
|---|---|---|---|
| 11 | C国の訴追権とD国の引渡義務を分ける | 4 | 設問2の「D国は…義務を負うか」 |
| 12 | 引渡条約がない場合に、一般国際法上の包括的な引渡義務はないと示す | 5 | 国際法委員会2014年最終報告、ICJ・ロッカービー事件の小田裁判官反対意見20段落。後者は法廷意見ではない |
| 13 | 内乱罪について別の特別条約・合意による義務は問題文上与えられていないと示す | 3 | 問題冊子38頁 |
| 14 | 引渡条約がある場合には、その条約の対象犯罪・条件により義務を判定すると示す | 5 | 欧州犯罪人引渡条約1~2条は条約条項の比較例 |
| 15 | 双方可罰性や法定刑の閾値等を、実際の条約文言に従って吟味する | 4 | 同条約2条。ただしC・D間に直接適用されない |
| 16 | 「内乱罪」という罪名のみからD国法での可罰性を断定しない | 3 | Pの具体的行為とD国法が不明 |
| 17 | 内乱罪の政治秩序に対する性質から政治犯罪例外の適否を論じる | 5 | 同条約3条は比較例 |
| 18 | 具体的暴力行為や普通犯罪の有無が不明で、例外適用を確定できないと示す | 3 | 問題冊子38頁の事実の限界 |
| 19 | 政治犯罪例外がある条約とない条約、義務的・裁量的な拒否事由を一律に扱わない | 4 | 適用条約の文言は問題文にない |
| 20 | PがA国民である以上、「D国民は引き渡さない」という論点を決定的理由にしない | 2 | 問題冊子38頁 |
3 設問3――外交官の民事裁判権免除
| 番号 | 評価項目 | 重み | 根拠・問題文の手掛かり |
|---|---|---|---|
| 21 | 外交官は在任中、私的契約に関する訴訟でも原則として接受国の民事裁判権から免除されると示す | 5 | 外交関係に関するウィーン条約31条1項 |
| 22 | 31条1項(c)の例外の「接受国内」「公務外」「職業上又は商業上の活動」「関連訴訟」を挙げる | 5 | 同条約31条1項(c) |
| 23 | 講演内容がC国情勢でも、それだけでQの公務と断定しない | 3 | 個人的利得目的との明示 |
| 24 | Qが自ら講演を提案し、有償の役務提供を引き受けた事実を評価する | 4 | 問題冊子38頁 |
| 25 | 講演料の事前振込先がQ個人の口座であることを、個人の収益活動の根拠とする | 4 | 問題冊子38頁 |
| 26 | 甲の返金請求は当該講演の取引から直接生じた訴えと示す | 4 | 問題冊子38~39頁 |
| 27 | 有償の私的契約一般をすべて「商業上の活動」としない | 4 | 英国最高裁 Basfar v Wong 判決28~32、59~61段落を参照。家事労働の事案であり本問の結論を直接決めない |
| 28 | 一回限りの講演が「活動」に当たるかにつき、継続性を要求する解釈にも触れる | 3 | 国際法委員会1958年資料57頁 |
| 29 | それでもQ自身が対価を得る役務の提供者となった点から、裁判所が例外に当てはめた理由を示す | 5 | 設問3は免除否定判示の理由を問う |
| 30 | 42条の個人利得目的の活動禁止と、31条1項(c)の免除例外を区別する | 4 | 同条約31条・42条 |
4 答案全体
| 番号 | 評価項目 | 重み | 手掛かり |
|---|---|---|---|
| 31 | 設問1~3をそれぞれ独立に結論まで書く | 4 | 3つの設問の指示 |
| 32 | 条文・規範の後に具体的事実を評価し、結論へつなげる | 4 | 前年の採点方針も参照 |
| 33 | 与えられない条約文言・具体的犯罪行為・講演の反復性を補って断定しない | 2 | 問題文が置いていない事実 |
重みの合計を実際の配点に換算することはできない。とくに設問2は条約の内容が示されていないため、引渡義務の有無を無条件で確定する答案より、条件と拒否事由を分ける答案が、問題文に忠実だと考える。
第5 模範解答
以下は、選択科目1問の入力上限を4頁×23行×1行30文字として、92行・各行30文字以下に整えた答案である。改行を除き2643文字。前回作成した未読復元答案をそのまま収録し、本記事のために上書きしていない。CBTの行数・字数の説明も参照されたい。答案中にURLは入れず、出典は第8にまとめた。
第1 設問1 1 外交的保護とは、国が自国民に対する他国の国際違法行為を理 由に、その責任を外交交渉等の平和的手段で追及することである。 国籍国の権利であり、被害者個人がその行使を国に強制できるもの ではない。Xの財産没収による直接の損害を、B国が自国の請求と して取り上げる場面であり、X自身の国際請求とは区別される。 責任追及には原状回復や賠償の請求を含み得る。本問ではC国の没 収の国際違法性は所与であり、抗議運動の鎮圧自体は検討しない。 2 原則として、被害時から国が請求を正式に提示する時まで、 被害者が当該国の国籍を継続して有することを要する。両時点の国 籍があれば継続は推定される。Xは婚姻後、B国法に従いB国籍を 取得し、それに伴いA国籍を喪失した。その後にC国で財産を没収 されているから、被害時の国籍国はA国でなくB国である。C国籍 もない。請求提示時までB国籍を維持すれば、B国には国籍に基づ く請求資格がある。出生地や従前のA国籍はこれを妨げない。国籍 は原則として各国の国内法により定まるが、XのB国籍取得及びA 国籍喪失は問題文が明示する確定事実である。B国内居住の事実も 実質的結び付きを示す。ノッテボーム事件の真正な結合を、全ての 帰化に追加される一般要件とは解しない。本件はC国に対する請求 であり、国籍の濫用や仮装を示す事情もないからである。 3 個人の被害を理由とする請求には、通常、C国で利用可能な司 法・行政上の救済手段を尽くす必要がある。しかし、合理的に利用 可能で実効的な救済がない場合には、国内救済完了は要求されな い。C国法上、救済手段はいずれも外国人に開かれていない。Xは 外国人であるから、実際に提訴しなくても例外に当たる。救済の結 果が不確実なだけの場合と違い、利用資格そのものが法により否定 される。C国での短期滞在と財産所有は、C国との関連が全くない という別の例外の根拠にならず、救済不能の判断を左右しない。 4 よって、国籍継続を前提にB国はC国に外交的保護を行使でき るが、行使義務はない。行使の方法と請求内容もB国が選択する。 第2 設問2 1 C国には領域内の行為を処罰する管轄があり得るが、それだけ でD国に引渡義務は生じない。引渡しは国家間の法的根拠とその要 件・拒否事由によって決まる。C国がPを自国法で訴追できること と、D国が捜査に協力して身柄を渡す義務とは異なる。 2 C・D間に引渡条約がない場合、一般国際法は他国の請求に応 じて犯罪人を引き渡す包括的義務を課していない。内乱罪につき引 渡し又は訴追を特に義務付ける条約その他の合意も与えられていな い。したがってD国はC国にPを引き渡す国際法上の義務を負わな い。「引き渡すか訴追するか」の義務も、対象犯罪についての特別 の根拠なしには生じない。C国の引渡請求だけでは足りない。これ はD国法に基づく任意の引渡しまで禁止する結論ではない。 3 引渡条約がある場合は、まず条約がPの行為を引渡対象とし、 双方可罰性、法定刑等の条件を満たすかを確認する。罪名が一致す る必要はないが、Pが抗議運動の指導者だったというだけでは、 具体的行為やD国法上の可罰性は確定できない。条約が一定以上の 法定刑を要求するなら、その閾値もC・D双方の法で吟味を要す る。内乱罪という名称だけで判断してはならない。 4 さらに、政治犯罪について引渡しを拒める旨の条項があるかが 重要である。国連の犯罪人引渡モデル条約も政治犯罪を拒否事由と するが、これはC・D間にそのまま適用される法源ではない。内乱 罪は国家の政治秩序を直接対象とする純粋政治犯罪と評価し得る。 他方、実際の暴力行為や重大な普通犯罪があれば条約上の除外・限 定が問題となるが、そのような事実は本問に記載がない。政治犯罪 例外を定める条約なら、その適用によりD国は引渡義務を免れ得 る。もっとも、条約によって例外がない場合、重大犯罪を除外する 場合又は判断をD国に委ねる場合があり、例外の効果は異なる。 Pへの政治的迫害の危険も独立の拒否事由となり得るが、条約規定 と具体的な危険を確認せずに当然の不引渡しとはできない。 5 結局、条約の存在だけで義務を断定できない。対象犯罪・要件 を満たし、政治犯罪例外等の拒否事由がなければD国は条約上引渡 義務を負うが、そうでなければ負わない。PがA国民である以上、 D国民の不引渡しは本件の決定点でない。要件判定はD国が行う。 第3 設問3 1 外交官Qは在任中、接受国Eの民事裁判権から原則として免除 される。私的な契約に関する訴えであるだけで当然に免除が消える わけではない。免除は外交機能の保護を目的とする。 2 もっとも、外交関係に関するウィーン条約31条1項(c) は、接受国内で公の職務の範囲外で行う職業上又は商業上の活動に 関する訴えを例外としている。Qは甲の依頼を待ったのではなく、 講演を自ら申し出て、対価の支払を求めた。一方的な政治的説明や 無償の外交広報でなく、新聞社との有償の役務取引である。しかも 「個人的な利得」を目的と明言し、講演料を個人口座へ先払いさせ ている。C国情勢が講演の題材でも、派遣国の指示による公務とは 示されていない。甲の返金請求は、E国内で予定されたこの有償活 動から直接生じている。生活用品の購入や家事の依頼と異なり、 Q自身が市場に役務を有償で提供している。講演が履行されなくて も、勧誘、依頼の受諾、報酬受領という取引は現に生じた。 3 同号の「活動」は、単に対価のある私的契約一般と同義ではな い。単発の商取引を除く解釈もあり、講演が一度限りである点には 反対論が成り立つ。しかし裁判所は、Qが自ら提案し、個人の利益 のため有償の役務提供を営利取引として引き受けた一連の行為を、 日常生活に付随する私的取引ではなく同号の商業上の活動と評価し たと解せる。講演の題材だけで公務とするのは、利得目的と報酬の 個人帰属に反する。したがって本件返金訴訟では免除がない。 4 同条約42条は個人の利益のための職業・商業活動を禁止する が、違反自体が免除を失わせるのではない。直接の根拠は31条1 項(c)である。派遣国Cによる明示の免除放棄も認められない。 また、民事裁判権の有無と判決の強制執行の可否は別問題であり、 後者は本設問の対象外である。返金義務の実体的当否も別問題であ る。仮に同号の活動性を厳格に解するなら、一回限りという事実か ら判示には疑問が残るが、裁判所の理由としては以上である。
第6 設問別の解説と異論
1 外交的保護――国籍の基準時と国内救済
外交的保護では「誰が請求するか」と「誰が損害を受けたか」を分ける必要がある。財産を失ったのはXであるが、C国の責任を国家間で追及する権利を行使するのはB国である。国際法委員会の外交的保護条文案は条約ではないものの、国籍国、国籍継続、国内救済という検討順序を示す有力な整理である。Xは没収前にB国籍を取得しA国籍を失ったから、出生時のA国籍に引きずられてB国の請求資格を否定してはならない。ただし、請求提示時の国籍維持は明記すべきである。
国内救済について、Xが救済を試みなかった事実だけを見て「未完了」とするのは誤りである。C国法上、外国人にはどの救済手段も開かれていない。条文案14条の「利用できる」救済手段がなく、15条(a)又は(d)の例外として捉えられる。C国内の別荘所有や短期滞在を理由に「C国との関連が全くない」とすることはできないので、15条(c)よりも救済手段の利用不能を理由にするのが適切である。
2 犯罪人引渡し――条約の有無だけで結論を決めない
引渡条約がない場合、C国が内乱罪で訴追したいというだけでは、D国に引渡義務は生じない。特定の犯罪について引渡し又は訴追を求める別の条約等があれば別だが、本問では示されていない。条約がある場合も、「締結されているから義務あり」と短絡できない。対象犯罪、双方可罰性、刑の重さ、拒否事由は条約の文言に従う。欧州犯罪人引渡条約には政治犯罪をめぐる規定があるが、C・D間の条約の中身を証明するものではない。
Pは政府の核開発政策への抗議運動のリーダーで、訴追名目は内乱罪である。政治犯罪例外を検討する強い手掛かりだが、Pが何をしたか、D国法で処罰されるか、条約に政治犯罪例外があるかは不明である。したがって、政治犯罪だから当然に不引渡しと断定することもできない。答案では、条約上の引渡要件を満たし例外がなければ義務を負い、例外があればその効果に従うと条件付きで結ぶ。
3 外交官の免除――私的契約と商業活動の境界
外交関係に関するウィーン条約31条1項は、外交官の民事裁判権免除を原則とし、(c)で接受国内における公務外の職業上又は商業上の活動に関する訴訟を例外とする。42条は外交官による個人的利得のための活動を禁止するが、その違反だけを根拠に免除が消えるわけではない。免除否定の直接の根拠は31条1項(c)である。
Qの講演は一回限りである。国際法委員会の1958年資料には「商業上の活動」は単一の商取引ではなく継続的活動を指すという見解が記録されている。また、英国最高裁の Basfar v Wong 判決は、日常生活のための私的契約と外交官が行う収益活動を区別する。ただし、同判決は家事労働者の搾取をめぐる事案で、本問の一回の講演について結論を直接示していない。
本問では、Qが自ら講演を売り込み、個人的利得のための対価を求め、個人口座で報酬を受領している。甲はQの有償の役務提供の相手方として返金を求める。裁判所は、この一連の取引を、生活に付随する消費ではなくQ自身の商業上の活動と捉えたと説明できる。ただし、継続性を厳格に求める立場からは反対論があることを残しておくのが、判示の理由を説明する答案として正確である。強制執行は31条3項の別問題である。
第7 公開参考答案の調査結果
令和8年9月30日、一般公開ウェブを対象に、「令和8年/令和8年」「司法試験」「国際関係法(公法系)/国際公法」「第1問/第1問」「参考答案/解答例/再現答案/講評」と、事実関係を示す「外交的保護」「内乱罪」「外交官」「講演料」を組み合わせて検索した。辰已法律研究所、アガルート、伊藤塾、BEXA、note、動画サイト等の公開候補も調べた。
確認できた範囲では、この令和8年度司法試験・国際関係法(公法系)第1問について、全文を読める独立の公開参考答案は見つからなかった。 令和4年度の公開再現答案の全文は読み、外交的保護について国籍継続と国内救済を順に検討する構成、引渡しについて政治犯罪を条約の条項に結び付ける構成を比較した。ただし、同答案の設問では具体的な引渡条約の政治犯条項が与えられており、条約内容を示さない本問の引渡義務の結論には転用できない。同答案の事実評価や結論を本記事にコピーしていない。
検索で見つかった令和7年度の辰已法律研究所の講評は別年度の問題を扱う。また、令和8年度の予想問題は本試験前に作られた別の問題である。これらを本問の参考答案として扱ったり、一致を主張したりしていない。検索で到達できない会員制教材、未索引のページ、SNS投稿等の不存在までは確認できない。
参照した公法系科目第1問(憲法)の見本記事は、対象科目が異なるので、見出し、評価項目表、5段階の重み付け、資料の区別という記事構成だけを参考にした。本問の結論の根拠にはしていない。公開参考答案の全文が後日確認できた場合は、出典と相違点を追加して検証する。
第8 根拠資料と確認範囲
- 公式問題:法務省・令和8年司法試験問題及び選択科目問題冊子38~39頁。第1問の事実関係、各設問、配点50点を確認した。
- 過年度の一般的採点方針:法務省・令和7年司法試験の採点実感(国際関係法〔公法系〕)「2 採点方針」。令和8年度第1問の評価項目・配点を示すものではない。
- 外交的保護:国際法委員会・外交的保護条文案(2006年)1~5条、14~15条、19条。条約ではなく、条文案として引用した。
- 犯罪人引渡し:国際法委員会・「引渡しか訴追か」2014年最終報告49~55項、欧州犯罪人引渡条約1~3条。後者がC・D間で効力を持つ条約とは仮定していない。ICJ・ロッカービー事件における小田裁判官反対意見20段落は一般国際法上の引渡義務の説明を補助する資料で、裁判所の法廷意見ではない。答案中の国連モデル条約への言及については、国連デジタルライブラリーの書誌と検索表示で2~3条の要点を確認したが、本文ファイルには直接アクセスできなかったため、本記事の主要な条文根拠にはしていない。
- 外交官の免除:外交関係に関するウィーン条約31条・42条、国際法委員会1958年資料57頁、英国最高裁 Basfar v Wong 判決28~32、59~61段落。後者は類似の解釈問題を扱う比較資料で、本問と同一事案ではない。
- 答案の形式:伊藤塾・司法試験CBTの説明を参照。1問92行・各行30文字以下となるよう本文を機械的に検査した。
関連する基礎解説:外交的保護、犯罪人引渡し、外交官の民事裁判権免除も参照されたい。これらは本問の公式解説ではない。