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犯罪人引渡しの国際法|条約がある場合・ない場合と政治犯罪の例外(AI作成)

第1 犯罪人引渡しは法的根拠から確認する

犯罪人引渡しでは,請求国で処罰対象となっていることだけから,被請求国の国際法上の引渡義務が生じるわけではない。最初に,二国間又は多数国間の引渡条約,対象犯罪についての特別条約,その他の合意があるかを確認する。

その上で,条約がなければ一般国際法上の義務の有無を,条約があれば条約の対象犯罪,双方可罰性,政治犯罪,国籍,時効,人権保障などの要件・拒否事由を検討する。

第2 引渡条約がない場合

一般国際法上,すべての通常犯罪について無条件の引渡義務が存在すると扱うことはできない。国際法委員会の「引渡しか訴追か」の最終報告(2014年)も,慣習国際法上の一般的義務が成立したかについて見解が分かれ,ICJも判断していないことを確認している。

したがって,二国間引渡条約も,対象犯罪について引渡し又は訴追を義務付ける特別条約もない事例では,被請求国が自国法に基づき任意に引き渡せるかは別として,請求国に対する国際法上の引渡義務が当然に生じるとはいえない。

第3 引渡条約がある場合

引渡条約がある場合には,条約法に従ってその文言,文脈,趣旨・目的を解釈する。条約の存在だけで直ちに引渡義務を肯定するのではなく,対象犯罪,刑の重さ,双方可罰性及び拒否事由を順に確認する。

国連犯罪人引渡モデル条約は,各国間の条約設計の基準を示す資料である。同モデル条約は,引渡し得る犯罪,強制的・任意的拒否事由,手続などを区別している。

第4 双方可罰性

多くの引渡条約では,問題となる行為が請求国と被請求国の双方で一定以上の刑に処せられる犯罪であることが求められる。重要なのは,罪名が完全に同じかではなく,行為の実質が双方で犯罪となるかである。

例えば,請求国が「内乱」と呼ぶ犯罪について,被請求国に同名の罪がなくても,暴力的な政府転覆行為が別の犯罪構成要件に該当するなら,双方可罰性を満たす余地がある。

第5 政治犯罪の例外

国連モデル条約3条(a)は,被請求国が政治犯罪と認める場合を強制的拒否事由の一つとして示す。政治犯罪の例外は,純粋な政治犯罪と,普通犯罪的要素を伴う相対的政治犯罪を区別しながら,条約文言と具体的行為に即して判断される。

もっとも,現代の条約は,テロ行為,国際人道法上の重大犯罪その他の一定の犯罪を政治犯罪から除外することがある。政治目的があるというだけで,あらゆる暴力犯罪が例外に入るわけではない。

第6 「内乱」という罪名の評価

政府の転覆を目的とする内乱は,国家の政治秩序そのものを対象とするため,典型的な政治犯罪として検討される。しかし,結論は罪名だけでは決まらない。

条約が「政治犯罪」をどのように定義し,どの行為を除外しているか,請求の対象となる具体的行為が何か,通常犯罪との結び付きがどの程度かを確認する。答案では,「内乱だから当然に引渡拒否」とせず,条約上の例外条項へ当てはめる。

第7 引渡しか訴追かという別の義務

拷問等禁止条約など一部の特別条約は,容疑者が領域内にいる国に,その者を引き渡すか,自国の訴追当局へ事件を付託するかという義務を定める。これは,一般の引渡条約がない場合でも,対象犯罪に関する特別条約から生じ得る。

ただし,ILC最終報告は,この義務の慣習国際法上の一般性について結論を確定していない。対象犯罪が通常の国内政治犯罪にとどまる事例で,特別条約の存在を示さずに一般義務を持ち込むのは適切でない。

第8 答案の組み立て方

  1. 条約がない場合は,特別条約その他の法的根拠を探し,なければ一般的な引渡義務を否定する。
  2. 条約がある場合は,対象犯罪及び双方可罰性を確認する。
  3. 政治犯罪例外の条文を示し,具体的行為が純粋又は相対的政治犯罪かを検討する。
  4. 条約が除外するテロ行為・国際犯罪等に該当しないかを確認する。
  5. 義務の有無と,被請求国が自国法上引渡しを許されるかを区別する。

第9 出典

① ILC, The obligation to extradite or prosecute (aut dedere aut judicare), Final Report, 2014(49項~55項,政治犯罪に関する最終部分)。
② United Nations Model Treaty on Extradition。
③ ILC, Obligation to extradite or prosecute―Texts and final report。