第1 この記事の対象と結論(法務省とは関係のない独自の予想)
本記事は、法務省の令和8年度司法試験論文式問題に掲載された労働法第2問(問題冊子PDFの27~29頁)について、問題文、法令、判例及び労働委員会命令から、答案と評価項目を独自に予想したものである。法務省の出題の趣旨・採点実感、公式配点又は公式模範解答ではない。令和8年9月30日現在、それらの公表を確認しておらず、参照していない。本記事の答案は、令和8年の出題の趣旨及び採点実感を踏まえたものではないため、「模範解答」ではなく「参考答案」と呼ぶ。
設問1では、Z組合の妥結通告だけでは労働協約の方式を満たさず、組合員の「基礎額×3.5か月」の確定的な賞与請求権は生じないと考える。設問2では、賞与交渉を計画的残業制度の承諾に従属させた団交拒否及び組合員への賞与不支給は不当労働行為となる。他方、レターケースの使用については、組合員宛ての従前の黙認と、非組合員を含む全員への新たな配布とを分ける。実際に満杯のケースから取り出すことと、全件回収・別の掲示板の全面停止・懲戒予告の相当性も別々に判断する。
第2 本記事独自の評価項目の示し方と重み付けの基準
以下の重みは本記事独自の予想である。5は設問が求める結論・救済への経路を成す判断、4は問題文が示唆する主要な条文・判例・反対事情、3は具体的事実から導かれる重要な理由付け、2は補強又は典型的な誤りを避ける区別、1は設問の射程を守る整理を表す。数字は配点ではない。「手掛かり」は問題冊子の頁・条項を示す。
第3 本問の概要
Y社は従業員約300人、Z組合は約180人で、本社・工場に分会を持つ。賞与は毎年団交後の協定書調印を経て支給されていた。会社は夏季賞与を基礎額×3.5か月と回答しつつ、計画的残業制度の了承まで賞与交渉をしないと通告した。組合は所定手続を経て賞与部分だけを承諾したが、会社は組合員に支給せず、個別に同意を得た非組合員には同率で支給した。さらに、組合が全従業員のレターケースに組合ニュースを入れたところ、会社は全部を回収し、組合掲示板を1か月停止し、再度の投函があればXの懲戒と掲示板許可取消しをすると告げた。
第4 本記事が独自に予想した評価項目と重み(法務省の資料ではない)
1 設問1――民事上の賞与請求
| 番号 | 評価項目 | 重み | 問題文の手掛かり | 条文・判例 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 請求主体をXら個々の労働者、請求先をY社と特定する | 2 | 設問1 | 労働契約 |
| 2 | 就業規則50条1~3項から、支給の原則と額の未確定性を区別する | 5 | 資料29頁 | 就業規則50条 |
| 3 | 基本協約30条2項は協議・決定を要求するが、今夏の額自体を定めないとする | 4 | 資料29頁 | 基本協約30条 |
| 4 | 毎年の団交・協定書調印という慣例を、今夏の権利確定の要件として評価する | 4 | 事例27頁 | 都南自動車教習所事件 |
| 5 | 会社回答の3.5か月と計画的残業了承条件を一体・別個の両方向から検討する | 4 | 会社回答27頁 | 同事件、黒川乳業事件 |
| 6 | 組合の所定議決、公印・Xの署名、妥結通告の有効性と、その限界を分ける | 3 | 妥結通告27頁 | 労組法14条 |
| 7 | 両当事者が署名又は記名押印した協約書がなく、14条の方式を欠くとする | 5 | 二つの書面・未調印 | 労組法14条、都南自動車教習所事件 |
| 8 | 協約の規範的効力(16条)と、方式を欠く事実上の合意とを区別する | 4 | 妥結通告27頁 | 労組法14・16条 |
| 9 | 組合員のみの不支給が不当労働行為として違法なら、民法709条による賞与相当額の損害賠償の余地を示す | 3 | 組合員だけ無支給 | 民法709条、都南自動車教習所事件(予備的請求の差戻し) |
| 10 | 会社回答や非組合員との個別同意だけでは、組合員の個別契約上の3.5か月請求権が当然には生じないとする | 5 | 6月30日の支給差 | 就業規則50条 |
| 11 | 民事上の確定額請求の否定と、労働委員会による差別救済(設問2)とを区別する | 3 | 設問1・2 | 労組法7条、27条の12 |
2 設問2――賞与交渉と不支給
| 番号 | 評価項目 | 重み | 問題文の手掛かり | 条文・判例 |
|---|---|---|---|---|
| 12 | 賞与額・支給条件と労働時間制度はそれぞれ義務的団交事項とする | 4 | 事例27頁 | 労組法7条2号 |
| 13 | 事業上の必要性を説明することと、別論点への同意を交渉の前提にすることを区別する | 5 | 会社回答の付記 | 労組法7条2号 |
| 14 | 3月19日から6月30日まで賞与交渉を拒み続けた事実を評価する | 4 | 事例27頁 | 労組法7条2号 |
| 15 | 組合の一部受諾後も、妥結・未妥結の民事判断と団交拒否の違法性を別にする | 5 | 6月10日の通告 | 黒川乳業事件 |
| 16 | 非組合員には個別同意で支給し、組合員だけ不支給とした比較を重視する | 5 | 6月30日の差 | 労組法7条1号 |
| 17 | 未調印・合意未成立という会社の反論と、会社自ら交渉を拒んだ経緯を較量する | 4 | 従前の調印慣例 | 黒川乳業事件 |
| 18 | 組合員の経済的不利益、組合加入との結び付き、組合への圧力を示す | 4 | 組合員だけ無支給 | 労組法7条1・3号、日本メールオーダー事件 |
| 19 | 誠実団交命令、差別是正、文書手交・再発防止を分けて求める | 4 | 設問2の救済指定 | 労組法27条の12 |
| 20 | 同一基準での支払と妥結までの仮支給を区別し、組合の受諾、非組合員への一律支給及び部分受諾の評価から選ぶ | 5 | 未調印、非組合員3.5か月 | 黒川乳業事件、労組法27条の12 |
| 21 | 仮支給額は非組合員の支給実績を手掛かりに、個々の勤務成績等を踏まえて定める | 3 | 就業規則50条2項 | 黒川乳業事件 |
3 設問2――レターケース・掲示板・懲戒予告
| 番号 | 評価項目 | 重み | 問題文の手掛かり | 条文・判例 |
|---|---|---|---|---|
| 22 | 会社施設の目的外使用には原則として許諾が要るとする | 4 | 就業規則20・22条 | 国鉄札幌運転区事件 |
| 23 | 従前黙認の範囲は組合員への連絡で、全従業員向け投函は別だとする | 5 | 事例28頁 | 国鉄札幌運転区事件 |
| 24 | 昼休み・A4一枚・個人別ケース・労働時間に関する内容から、職場秩序を乱すおそれのない特別の事情を評価する | 3 | 6月15日 | 目黒電報電話局事件、明治乳業事件、倉田学園事件 |
| 25 | 満杯の原因と組合ニュース一枚との関係をケースの深さ等から評価し、許される取出しを満杯のケースに限る | 4 | Aの資料が入らない、深さ約2センチ強 | 施設管理権 |
| 26 | 本社・工場の全ケースの点検・回収の目的、範囲、返還の有無を分けて判断する | 5 | Bの一律指示 | 東海旅客鉄道事件 |
| 27 | 回収が常に違法とせず、同種の先例で回収を是認した事情との差を示す | 3 | 先例との事実差 | 東海旅客鉄道事件 |
| 28 | 掲示板利用は協約40条1項の独立した便宜供与だとする | 4 | 基本協約40条 | 労組法7条3号 |
| 29 | ケース内部への投函が「貼紙及び掲示」又は「準ずる行為」か文言・目的から論じる | 5 | 基本協約40条2項・41条 | 基本協約40・41条 |
| 30 | 仮に違反としても、掲示板1か月全面停止と掲示物全部撤去の相当性を吟味する | 5 | 6月16日の処置 | 労組法7条3号 |
| 31 | 組合の活動について、関与・懲戒事由・相当性を問わず執行委員長X個人に懲戒を予告した点を評価する | 4 | 6月16日の予告 | 就業規則70・71条、労契法15条 |
| 32 | 実施済みの措置と将来の予告を分け、掲示板回復・威嚇撤回等の救済を具体化する | 4 | 設問2、6月16日 | 労組法7条3号 |
| 33 | 救済対象ごとに認容・棄却を示し、会社の管理権と組合活動の自由を較量する | 3 | 一連の事実 | 労組法7条3号 |
重み5は11項目、4は14項目、3は7項目、2は1項目、1は0項目で、計33項目である。
整理上の重みの合計は134であり、試験の配点ではない。
重み5は本問の33項目中11項目(約33.3%)である。
同年度の主要7科目のハブ記事は330項目中74項目(約22.4%)、選択科目8科目のハブ記事は559項目中207項目(約37.0%)と記載する。
選択科目1問と主要7科目全体では項目の切り方や設問数が異なるため、割合をそろえるための重みの変更はしない。
本問では、賞与請求権の成否、団交拒否と差別、施設利用と救済という各判断経路を欠くと結論が崩れるかによって重み5を選んだ。
重みの割合や合計から得点・難易度を推定できない。
第5 参考答案
1 答案
以下は選択科目第2問の上限である30字×92行を念頭に置いた答案である。
実測は第1・第2の見出しを含めて91行、最長30字、改行を除く2652字である。
段落間の余白は表示上のもので、答案の行数に含めない。
第1 設問1
1 Xらは、Y社との労働契約に基づき、令和8年度夏季賞与とし
て各自の基礎額の3・5か月分の支払を請求する。しかし、就業規
則50条1項は原則として賞与を支給すると定める一方、2項は業
績、本人の勤務成績及び勤怠を勘案して額を決め、3項はやむを得
ない事由による不支給も認める。これだけで3・5か月分の具体的
請求権は生じない。会社は製造量と売上高を理由に額を回答してお
り、支給不能な著しい業績悪化を認定できないが、このことから額
が確定するわけでもない。支給義務の一般的な存在と、裁判で命じ
得る特定額とは別である。基本協約30条2項も、支給基準等を組
合と協議し決定する手続を定めるが、今夏の額を定めない。従来は
交渉の妥結後に協定書を作成し調印して支給していたから、過去の
慣行から今夏の額も定まるとはいえない。
2 Y社は3月19日に3・5か月を回答し、Z組合は6月10日
に議決を経て承諾した。会社回答には、計画的残業制度の了解まで
賞与交渉を行わない旨も付されている。Y社は全体での妥結を予定
したと解され、賞与部分だけで合意したかは争われる。組合の承諾
は賞与部分に限定され、計画的残業への同意ではない。仮に民法上
この部分の合意を認めても、労組法14条の労働協約には、書面を
作成し両当事者が署名又は記名押印する方式が必要である。組合の
通告書にはXの署名と組合公印があるが、Y社の署名等はなく、協
定書調印もない。別個の会社回答と組合通告を合わせても方式を満
たさず、16条の規範的効力は生じない。都南自動車教習所事件最
高裁判決も、労使の事実上の合意だけではこの効力を認めない。
3 会社は非組合員から個別同意を得て支給したが、その同意はX
ら自身の契約内容を変更しない。会社回答も組合員各人への申込み
ではなく、組合との交渉における回答である。よって3・5か月分
の賞与支払請求は認められない。もっとも、組合員のみの不支給が
不当労働行為として違法なら、民法709条により賞与相当額の損
害賠償を求める余地はある。同判決も予備的な不法行為請求は差し
戻した。組合員差別は別に労働委員会の救済を検討する。
第2 設問2
1 賞与額・条件は労働条件であり義務的団交事項である。計画的
残業と勤務間インターバルも労働時間に関する義務的団交事項で、
Y社が事業上の必要性を説明し、両問題を関連づけて交渉すること
自体は可能である。誠実交渉義務は譲歩や合意まで要求しない。し
かし、賞与の会社回答に別制度の了承まで交渉しないと明記し、以
後も労働時間問題が先と固執して賞与交渉を拒んだ。支給日まで3
か月余り賞与を協議しなかった。賞与の支給日は6月30日であり
、別問題で意見が対立するほど賞与について誠実に交渉する必要が
ある。工員の残業と本社事務職員の長時間労働対策は別であり、一
括同意の強制は不合理である。Z組合の賞与部分の受諾後も拒否し
た点に正当な理由はなく、労組法7条2号に当たる。
2 会社は組合員には全く支給せず、非組合員には個別に3・5か
月分の同意を取り付けて支給した。会社は組合との協定書未調印を
主張し得るが、未調印は、組合が受諾し難い別問題の了承に会社が
固執し、賞与交渉を拒否した結果である。個別同意という形式の違
いだけでは全額不支給の説明にならず、組合員の損失は大きい。組
合加入・活動を理由に組合員だけ経済的不利益を負わせ、組合に譲
歩を迫る行為は同条1号の不利益取扱い及び3号の支配介入にも当
たる(日本メールオーダー事件最高裁判決参照)。差別意思も推認
される。黒川乳業事件中労委命令も、部分受諾による賞与の妥結を
否定しつつ、団交拒否の結果たる不支給を不当労働行為とした。
3 Z組合は、賞与の誠実団交、組合員に非組合員と同一基準(基
礎額×3・5か月)で賞与を支払うこと、予備的に妥結までの仮支
給、再発防止文書の手交を求めるべきである。組合は回答額を受諾
し、非組合員には一律の月数で支給されたからである。労働委員会
は誠実団交を命じ、部分受諾では妥結とはいえないから、黒川乳業
事件のように妥結までの仮支給を命じると考える。仮支給額は非組
合員の支給実績を基準に、50条2項の勤務事情も踏まえて定め、
妥結後に精算させる。計画的残業制度の撤回は命じない。
4 組合ニュースの回収を検討する。レターケースは会社の業務用
施設で、組合員にも当然の使用権はない。従前の黙認は組合員への
連絡文書に限られ、全従業員への無許可投函は形式上就業規則20
条・22条に反する。しかし、職場秩序を乱すおそれのない特別の
事情があれば規則違反とならない(倉田学園事件参照)。本件は昼
休みに各人のケースへA4一枚を入れたもので、内容も労働時間に
関する見解であり、その事情を主張し得る。一枚が満杯の原因とは
当然にはいえず、満杯のケースからの取出しで足りるのに、Bは本
社・工場の全ケースから回収させた。必要な範囲を超えて組合の情
宣を妨げる目的・効果が認められる限り、労組法7条3号の支配介
入となる。もっとも、無許可の全員配布ゆえ全回収も管理上必要と
の反論があり、回収物の保管・返還や他の手段の有無を吟味する。
5 掲示板は基本協約40条1項で別に認められた組合活動の場で
ある。同条2項の掲示板外の貼紙・掲示に、受取人別のケース内部
への投函は通常当たらない。全員への宣伝という機能が似るとして
も、協約41条の「準ずる行為」を、掲示板権を失わせるほど広く
解すべきでない。就業規則違反の全てを協約違反へ読み替えれば、
41条の限定が空洞化する。41条が定めるのは違反時の許可取消
しであり、無限定な制裁権でもない。仮に当たるとしても、初回の
一枚の投函で事前警告もなく掲示板を1か月全面停止し、既存の掲
示物まで撤去を求めるのは過大であり、労組法7条3号に当たる。
6 再度の投函を禁じる注意は可能だが、執行委員長のX個人に関
与を問わず懲戒を予告し、掲示板許可取消しも告げたことは組合活
動を萎縮させる。懲戒には就業規則70・71条の事由と労契法1
5条の合理性・相当性が要る。将来の懲戒は未実施であるから、そ
の取消しではなく、過大な威嚇の撤回を求める。予告は労組法7条
3号の支配介入となり得る。委員会は違法な回収の反復禁止、保管
中のニュースの返還、掲示板の使用回復と撤去要求の撤回、過大な
威嚇の撤回及び文書手交を命じ、支障除去のための取出し等に関す
る申立ては棄却すべきである。将来の違反は個別審査する。2 答案の解説と結論の幅
民事と救済命令の違い。
「妥結通告」で3.5か月が直ちに民事債権となるなら設問1は認容方向だが、会社回答と組合の通告は別々の書面であり、従来の協定書調印もない。
都南自動車教習所事件最高裁判決が示す方式の厳格さを踏まえ、賞与額の確定を否定する。
他方、これを理由に組合員だけ無支給としてよいわけではない。
黒川乳業事件の中労委命令は、会社回答の一部受諾による妥結を否定しつつ、団交拒否・不支給を不当労働行為とし、妥結までの仮支給を命じた。
これは「民事上の確定債権として3.5か月を命じた」先例ではない。
賞与の会社回答を労働組合が承諾した場合は、仮支給と妥結後の精算を主とし、確定的な3.5か月の支払命令も主張し得るが、会社回答だけで最終的な支給額を確定させることは避けるとする。
本記事は、組合の申立てとしては非組合員と同一基準の支払を主位、仮支給を予備的とし、労働委員会の命令としては、部分受諾を妥結としない黒川乳業事件の中労委命令に従い仮支給を予想する。
もっとも、非組合員への3.5か月支給という明瞭な比較資料があり、同一基準の支払命令を予想することも十分に論証可能である。
就業規則50条2項の個人差をどのように扱うかを明示すべきである。
回収と掲示板。
国鉄札幌運転区事件最高裁判決の原則からは、従前の黙認を全従業員向けの投函許可へ広げられない。
他方、目黒電報電話局事件、明治乳業事件及び倉田学園事件の各最高裁判決は、無許可のビラ配布が形式的に就業規則に違反するようにみえても、職場の秩序を乱すおそれのない特別の事情があれば違反にならないとする。
倉田学園事件は、組合のビラを二つ折りにして教員の机の上に置いた配布にこの事情を認めており、個人別のレターケースへの投函と態様が近い。
東海旅客鉄道事件の中労委命令でも、レターケースからの回収と掲示板の不許可は別々に評価された。
同事件は大量のビラや業務支障などを伴うため、本件のA4一枚、昼休みの投函、組合員向けの黙認と同一視できない。
満杯の原因が一枚の組合ニュースとは当然にはいえないものの、満杯のケースからの取出しは正当化され得る。
全回収の違法性は、保管・返還、非組合員向けのみを除く代替手段、妨害目的の認定によって結論が動く。
問題文に返還の有無はなく、「返還しなかった」と断定しない。
掲示板停止は協約40条・41条の文言から独立に判断する。
懲戒予告。
無許可の全従業員向け投函を具体的に禁じ、再発時の個別審査を示すこと自体は可能である。
しかし、組合の活動について、投函への関与も確定しないまま執行委員長であるX個人に懲戒を予告し、異なる掲示板権の取消しまで重ねると、組合活動への萎縮効果から7条3号の支配介入となり得る。
まだ懲戒自体は行われていないので、その取消し命令を求める場面ではない。
3 公開「参考答案」の調査と参照範囲
令和8年9月30日、年度・「司法試験」(予備試験と区別)・科目・第2問・「参考答案」「解答例」「再現答案」、さらに「賞与」「レターケース」等の特徴語で公開ウェブを検索した。鈴木敢太氏の「令和8年度司法試験労働法再現答案」を発見したが、本文は498円の有料部分であり、公開表示で確認できるのは表題・著者・約4368字との表示までである。この再現答案の内容は読んでおらず、評価項目や本記事の結論の根拠にはしていない。ほかに本問の本文を閲覧できる第三者の公開答案は確認できなかった。検索上位に出る加藤ゼミナールの令和8年「予備試験」解答速報は別の試験であり、対象から除外した。辰已法律研究所の令和8年度解答例特典案内も確認したが、参照時点で掲載案内の対象は知的財産法で、登録・書籍パスワードを要するため本問の解答本文は読んでいない。加藤ゼミナールの労働法過去問講座案内は本問の答案を講座に含む旨の案内であって、公開本文ではない。解答動画の所在も検索したが本文・字幕を確認できなかったので、内容を参照したとは扱っていない。
関連する公開分析として、「賞与の会社回答を労働組合が承諾した場合」及び「会社施設を利用した組合活動」の本文を確認した。
これらは本問の論点別解説であって、独立の答案全文ではない。
前者の救済の構成は上記のとおりである。
後者の「全回収は過大となり得る」との見解も採否を固定せず、上記中労委命令と問題文の差異から検討した。
第6 関連記事
同じ労働法の第1問の参考答案と予想される評価項目は、出向命令と解雇を扱う。ほかの選択科目・問題は、令和8年度司法試験の選択科目8科目・16問の一覧から参照できる。選択科目を除く憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の答案は、同年度の主要7科目の参考答案と予想評価項目にまとめられている。
第7 出典及び確認状態
- 法務省・令和8年度司法試験の問題掲載ページ、労働法問題冊子PDF:第2問の全事例・設問・資料を確認。
- 労働組合法:7条、14条、16条、27条の12を参照。
- 民法:709条を参照。
- 労働契約法:15条を参照。
- 都南自動車教習所事件・最高裁平成13年3月13日判決(平成12年(受)第192号、民集55巻2号395頁):判決全文を確認。
- 国鉄札幌運転区事件・最高裁昭和54年10月30日判決(昭和49年(オ)第1188号、民集33巻6号647頁):判決全文を確認。
- 日本メールオーダー事件・最高裁昭和59年5月29日判決(昭和50年(行ツ)第77号、民集38巻7号802頁):判決全文を確認。
- 目黒電報電話局事件・最高裁昭和52年12月13日判決(昭和47年(オ)第777号、民集31巻7号974頁):ビラ配布に関する判断を確認。
- 明治乳業事件・最高裁昭和58年11月1日判決(昭和55年(オ)第617号、集民140号259頁):判決全文を確認。
- 倉田学園事件・最高裁平成6年12月20日判決(平成3年(行ツ)第155号、民集48巻8号1496頁):ビラ配布に関する判断を確認。
- 黒川乳業事件・中労委昭和57年12月1日命令:命令の概要・主文・判定要旨を確認。全文PDF。
- 東海旅客鉄道事件・中労委平成12年6月7日命令:命令全文のレターケース・掲示板に関する判断を確認。
- 伊藤塾のCBT字数解説:選択科目1問の行数・1行字数を参照。
本記事の評価項目、重み、答案及び救済の見通しは上記資料からの推論であり、公式評価ではない。