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後遺障害等級の号数の読み方-自賠責と労災の対照表,旧号数の読替え,相当・準用及び併合(AI作成)

第1 号数を読み違える三つの場面

1 本記事の対象と基準日

(1) 対象とする等級表と基準日

本記事は,交通事故の自賠責保険で用いる自動車損害賠償保障法施行令(以下「自賠法施行令」という。)の別表第一及び別表第二と,労災保険で用いる労働者災害補償保険法施行規則(以下「労災則」という。)の別表第一について,「何級何号」という号数の読み方を整理するものである。
現行の条文は,令和8年9月16日にe-Gov法令検索で確認した。
過去の号数は,改正政令・改正省令を掲載した官報と,裁判所ウェブサイトに掲載された判決全文で確認した。

(2) 想定する読者と記事の範囲

想定する読者は,自賠責保険の認定結果,労災の支給決定,判決又は実務書に書かれた号数を読む被害者と,交通事故・労災事件を扱う実務家である。
部位ごとの認定要件は扱わず,第7で部位別の記事を案内する。

2 結論の要約

(1) 号数を読み違える三つの場面

号数を読み違える場面は,次の三つに整理できる。
①自賠責と労災では,同じ文言の障害でも号数が異なる号が多い。
現行の自賠法施行令別表第二の133の号のうち,労災則別表第一と号数まで一致するのは72にとどまり,61の号は号数が異なる。
②労災の障害等級認定基準(通達)は第12級の12のような書き方で労災則の号数を用いるため,そのまま自賠責の書面に写すと別の障害を指すことがある。
③自賠法施行令の号数は事故日によって異なる。
平成16年6月30日以前に発生した事故では,局部に頑固な神経症状を残すものは12級12号,局部に神経症状を残すものは14級10号である。

(2) 相当・準用と併合・加重

このほか,等級表にない障害の扱いについて,自賠法施行令は「相当」,労災則は「準じて」という語を用いており,複数の後遺障害がある場合の併合と加重は自賠法施行令2条が定めている。
これらは第5及び第6で説明する。

第2 自賠責と労災の等級表の関係

1 自賠法施行令の別表第一と別表第二

(1) 介護を要する後遺障害を定める別表第一

自賠法施行令2条1項2号は,別表第一に定める等級に該当する介護を要する後遺障害について,保険金額を等級ごとに定めている。
別表第一は第1級と第2級だけの表であり,神経系統の機能又は精神の障害と胸腹部臓器の障害について,常に介護を要するものを第1級,随時介護を要するものを第2級としている。
保険金額は第1級が4000万円,第2級が3000万円である。

別表第一は,平成13年政令第419号(平成14年4月1日施行)によって設けられた。
金融庁と国土交通省が平成13年11月15日に意見募集のために公表した資料は,改正の内容として「後遺障害等級第1級第3号及び第4号」の保険金額を4000万円,「同第2級第3号及び第4号」の保険金額を3000万円とすると説明していた。
この説明からみて,平成14年3月31日以前の事故に適用された表では,介護を要する重度の後遺障害が第1級3号・4号及び第2級3号・4号とされていたと考えられる。

(2) 別表第二と備考

別表第二は第1級から第14級までの表であり,別表第一に当たらない後遺障害と,その保険金額を定めている。
別表第二の備考は,手指を失ったもの,手指の用を廃したもの,足指を失ったもの等の意味を定め,備考六で等級表にない後遺障害の扱いを定めている。
備考六の「相当」は,第5の1で説明する。

2 支払基準を通じた労災の認定基準の参照

(1) 支払基準の定め

自賠責保険の支払基準(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号)第3は,「等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。」と定めている。
支払基準の全体は,自賠責保険の支払基準で扱っている。

(2) 労災の認定基準が用いる号数

その結果,自賠責の等級認定を検討する場面でも,神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準(平成15年8月8日基発第0808002号)せき柱及びその他の体幹骨,上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準(平成16年6月4日基発第0604003号)を読むことになる。
これらの通達が示す等級と号数は,労災則別表第一の号数である。

3 号数がずれる仕組み

(1) 労災則は枝番号と「削除」で号数を保つ

労災則別表第一は,障害を追加するときは既存の号の後に枝番号を付け,末尾以外の号をなくすときは号を「削除」として残す方式をとっている。
平成16年厚生労働省令第101号(平成16年7月1日施行)は,第12級の項に「八の二」として「一手の小指を失つたもの」を加え,第13級の項の第6号・第7号と第14級の項の第5号を「削除」とした。
平成23年厚生労働省令第13号は,第9級の項に「一一の二」として「外貌に相当程度の醜状を残すもの」を加え,第12級の項の第13号を「削除」とした。
同省令は第14級の項の末尾の第10号を削っているが,この方式では,改正の前後で他の号の番号は変わらない。

(2) 自賠法施行令は号を繰り上げ又は繰り下げる

自賠法施行令別表第二は,号を加え又は削るたびに,後の号を繰り上げ又は繰り下げて連番を保つ方式をとっている。
平成16年政令第315号は,第12級の項に第9号として「一手のこ指を失つたもの」を加えるとともに,従前の第9号から第14号までを1号ずつ繰り下げた。
その結果,局部に頑固な神経症状を残すものは第12号から第13号になり,第14級の項でも第6号が削られて,局部に神経症状を残すものは第10号から第9号になった。
平成23年政令第116号は,第9級の項に第16号として「外貌に相当程度の醜状を残すもの」を加え,従前の第16号を第17号とした。

労災則が枝番号で号数を保ち,自賠法施行令が連番に組み直すことから,同じ障害でも二つの表の号数は一致しなくなる。
例えば,局部に頑固な神経症状を残すものは,自賠責では12級13号,労災では12級12号である。

第3 自賠責と労災の号数対照表

1 対照表の作り方と見方

(1) 対照表の作成方法

次の対照表は,e-Gov法令検索のデータ(令和8年9月16日取得)から両表の各号の文言を機械的に取り出し,同じ等級の中で文言が同じ号を対応させて作成したものである。
おや指と母指,ひとさし指と示指,咀嚼とそしやく,脊柱とせき柱のような表記の違いは同じ文言として扱い,表記以外の違いがある号は目視で内容を照合した。
自賠法施行令別表第二の133の号と別表第一の4の号は,いずれも労災則別表第一のいずれかの号に対応した。

(2) 掲載の範囲と号数の表記

対照表には,号数が異なるものだけを掲げた。
掲げていない自賠法施行令別表第二の72の号は,労災則別表第一と号数が同じである。
労災則の枝番号は「2級2号の2」のように表記し,労災の認定基準が用いる「第2級の2の2」という書き方を右の列に併記した。

2 号数が異なる号の一覧

後遺障害(自賠法施行令の文言)自賠責労災則別表第一労災の認定基準の書き方
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」別表第一 1級1号1級3号第1級の3
「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」別表第一 1級2号1級4号第1級の4
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」別表第一 2級1号2級2号の2第2級の2の2
「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」別表第一 2級2号2級2号の3第2級の2の3
「両上肢をひじ関節以上で失つたもの」1級3号1級6号第1級の6
「両上肢の用を全廃したもの」1級4号1級7号第1級の7
「両下肢をひざ関節以上で失つたもの」1級5号1級8号第1級の8
「両下肢の用を全廃したもの」1級6号1級9号第1級の9
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」5級2号5級1号の2第5級の1の2
「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」5級3号5級1号の3第5級の1の3
「一上肢を手関節以上で失つたもの」5級4号5級2号第5級の2
「一下肢を足関節以上で失つたもの」5級5号5級3号第5級の3
「一上肢の用を全廃したもの」5級6号5級4号第5級の4
「一下肢の用を全廃したもの」5級7号5級5号第5級の5
「両足の足指の全部を失つたもの」5級8号5級6号第5級の6
「一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの」6級4号6級3号の2第6級の3の2
「脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの」6級5号6級4号第6級の4
「一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの」6級6号6級5号第6級の5
「一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの」6級7号6級6号第6級の6
「一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの」6級8号6級7号第6級の7
「一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの」7級3号7級2号の2第7級の2の2
「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」7級4号7級3号第7級の3
「両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの」9級7号9級6号の2第9級の6の2
「一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの」9級8号9級6号の3第9級の6の3
「一耳の聴力を全く失つたもの」9級9号9級7号第9級の7
「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」9級10号9級7号の2第9級の7の2
「胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」9級11号9級7号の3第9級の7の3
「一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの」9級12号9級8号第9級の8
「一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの」9級13号9級9号第9級の9
「一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの」9級14号9級10号第9級の10
「一足の足指の全部の用を廃したもの」9級15号9級11号第9級の11
「外貌に相当程度の醜状を残すもの」9級16号9級11号の2第9級の11の2
「生殖器に著しい障害を残すもの」9級17号9級12号第9級の12
「正面を見た場合に複視の症状を残すもの」10級2号10級1号の2第10級の1の2
「咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの」10級3号10級2号第10級の2
「十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」10級4号10級3号第10級の3
「両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの」10級5号10級3号の2第10級の3の2
「一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの」10級6号10級4号第10級の4
「一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの」10級7号10級6号第10級の6
「一下肢を三センチメートル以上短縮したもの」10級8号10級7号第10級の7
「一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの」10級9号10級8号第10級の8
「一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの」10級10号10級9号第10級の9
「一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの」10級11号10級10号第10級の10
「十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」11級4号11級3号の2第11級の3の2
「両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの」11級5号11級3号の3第11級の3の3
「一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの」11級6号11級4号第11級の4
「脊柱に変形を残すもの」11級7号11級5号第11級の5
「一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの」11級8号11級6号第11級の6
「一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの」11級9号11級8号第11級の8
「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」11級10号11級9号第11級の9
「一手のこ指を失つたもの」12級9号12級8号の2第12級の8の2
「一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの」12級10号12級9号第12級の9
「一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの」12級11号12級10号第12級の10
「一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの」12級12号12級11号第12級の11
「局部に頑固な神経症状を残すもの」12級13号12級12号第12級の12
「正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの」13級2号13級2号の2第13級の2の2
「一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの」13級3号13級2号第13級の2
「両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」13級4号13級3号第13級の3
「五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」13級5号13級3号の2第13級の3の2
「一手のこ指の用を廃したもの」13級6号13級4号第13級の4
「一手のおや指の指骨の一部を失つたもの」13級7号13級5号第13級の5
「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」13級11号13級3号の3第13級の3の3
「一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの」14級3号14級2号の2第14級の2の2
「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」14級4号14級3号第14級の3
「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」14級5号14級4号第14級の4

3 労災の認定基準の号数を自賠責の書面に写すときの誤り

(1) 通達の例示に出てくる号数

基発第0604003号は,併合の例として「踵骨骨折治ゆ後に疼痛を残し(第12級の12)、同一下肢の足関節の機能に障害を残す(12級の7)場合は、併合第11級とする。」と記載している。
この例の疼痛は,自賠責の表では12級13号であり,足関節の機能障害は自賠責でも12級7号である。

同じ通達は,準用の例として「1下肢の足関節の機能に障害を残し(第12級の7)、かつ、同一下肢の第1の足指の用を廃した(第12級の11)場合は、準用第11級とする。」と記載している。
この例の足指の用廃は,自賠責の表では12級12号である。

(2) そのまま写すと別の障害を指す例

労災の第12級の12(局部に頑固な神経症状)をそのまま自賠責の12級12号と書くと,自賠責の表では一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したものを指す。
労災の第10級の10(一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害)を自賠責の10級10号と書くと,上肢の関節の著しい機能障害を指す。
労災の第9級の7の2(神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの)を自賠責の9級7号と書くと,両耳の聴力の障害を指す。

書面に号数を記載するときは,どの表の号数かを明示し,障害の文言を併記すると,読み違いを防ぐことができる。
自賠責の認定結果を引用するときは,認定票等に記載された号数と文言をそのまま写し,労災の通達の号数を自分で読み替えて記載しない方が安全である。

第4 古い判決・資料の号数を読み替える方法

1 号数は事故日で決まる

(1) 改正政令の附則

自賠法施行令の別表を改めた政令は,いずれも附則で,改正後の規定を適用する事故の発生日を定めている。
平成16年政令第315号の附則第1条は,同政令を公布の日(平成16年10月15日)から施行し,改正後の規定を「平成十六年七月一日以後に発生した自動車の運行による事故について適用する。」と定めている。
平成18年政令第139号の附則は,平成18年4月1日から施行し,「同日以後に発生した自動車の運行による事故について適用する。」と定めている。
平成23年政令第116号の附則は,公布の日(平成23年5月2日)から施行し,「平成二十二年六月十日以後に発生した自動車の運行による事故について適用する。」と定めている。

したがって,号数を読むときに基準となるのは,認定の日や判決の日ではなく,事故の発生日である。

(2) 認定日が改正後でも旧号数が用いられた例

甲府地方裁判所平成18年11月24日判決(平成18年(ワ)第178号)の事案は,平成14年5月9日に発生した交通事故である。
判決の前提事実によれば,原告は平成16年12月28日に後遺障害等級の認定を受け,右脛骨骨折部の神経症状は14級10号とされている。
認定は平成16年政令第315号の公布後であるが,事故が平成16年6月30日以前であるため,局部に神経症状を残すものが14級10号とされていることと整合する。

2 平成16年7月1日前後の号数

(1) 第10級から第14級までの号数の移動

平成16年政令第315号は,手指の障害の等級と複視の障害を見直した改正であり,第10級から第14級までの多くの号の番号を動かした。
第1級から第9級までは,表記や手指の文言は改められたが,号の番号は動いていない。
次の表は,同政令の改め文に従って,平成16年7月1日以後の事故に適用される号数から,平成16年6月30日以前の事故の号数を逆算したものである。

後遺障害(平成16年7月1日以後の事故に適用される文言)平成16年6月30日以前の事故平成16年7月1日以後の事故備考
「正面を見た場合に複視の症状を残すもの」なし10級2号
「咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの」10級2号10級3号
「十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」10級3号10級4号
「両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの」10級4号10級5号
「一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの」10級5号10級6号
「一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの」11級10号11級9号
「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」11級11号11級10号文言は平成18年4月1日以後の事故に適用されるもの
「一手のこ指を失つたもの」13級5号12級9号13級から12級へ移った
「一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの」12級9号12級10号旧12級9号の文言にはひとさし指が含まれていなかった
「一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの」12級10号12級11号
「一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの」12級11号12級12号
「局部に頑固な神経症状を残すもの」12級12号12級13号
「男子の外貌に著しい醜状を残すもの」12級13号12級14号平成22年6月10日以後の事故では「外貌に醜状を残すもの」に改正
「女子の外貌に醜状を残すもの」12級14号12級15号平成22年6月10日以後の事故では削除
「正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの」なし13級2号
「一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの」13級2号13級3号
「両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」13級3号13級4号
「五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」13級4号13級5号
「一手のこ指の用を廃したもの」13級6号旧13級5号はこ指の欠損を定めており,平成16年政令第315号でこ指の用廃に改められた
「一手のおや指の指骨の一部を失つたもの」13級6号13級7号
「一下肢を一センチメートル以上短縮したもの」13級9号13級8号
「一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの」13級10号13級9号
「一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの」13級11号13級10号
「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」(平成18年4月1日以後の事故に適用)なし13級11号
「一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの」14級7号14級6号旧14級7号はおや指及びひとさし指以外の手指を対象としていた
「一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの」14級8号14級7号旧14級8号はおや指及びひとさし指以外の手指の末関節を対象としていた
「一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの」14級9号14級8号
「局部に神経症状を残すもの」14級10号14級9号
「男子の外貌に醜状を残すもの」14級11号14級10号平成22年6月10日以後の事故では削除

(2) 平成16年10月14日までの事故の手指の読替え

平成16年7月1日から同政令の施行日の前日(平成16年10月14日)までに発生した事故については,同政令の附則第2条が,号数は改正後のものを用いつつ,手指の障害の文言をひとさし指を含む従前の内容で読み替えると定めている。
この期間の事故で手指の障害が問題になる場合は,附則第2条の読替えを確認する必要がある。

3 平成22年6月10日前後の外貌醜状と9級16号

(1) 外貌醜状の男女差の解消

平成23年政令第116号は,外貌の醜状について男女の区別をなくし,中間の等級を新設した。
国土交通省の資料によれば,改正前の表は,7級12号を「女子の外貌に著しい醜状を残すもの」,12級14号を「男子の外貌に著しい醜状を残すもの」,12級15号を「女子の外貌に醜状を残すもの」,14級10号を「男子の外貌に醜状を残すもの」としていた。
改正後は,7級12号が「外貌に著しい醜状を残すもの」,9級16号が「外貌に相当程度の醜状を残すもの」,12級14号が「外貌に醜状を残すもの」となり,12級15号と14級10号は削られた。
同じ資料は,労災保険制度の等級表が平成23年2月1日に改正されたことを踏まえた改正であると説明し,その契機として,労災保険の障害等級表の外貌醜状の男女差を憲法14条1項に違反すると判断した京都地方裁判所平成22年5月27日判決(平成20年(行ウ)第39号)を挙げ,同判決が同年6月10日に確定したとしている。

(2) 9級16号の意味の変化

この改正により,9級16号の意味も変わった。
平成22年6月9日以前の事故では,9級16号は生殖器に著しい障害を残すものであり,外貌の醜状ではない。

(3) 14級10号の二つの意味

同じ14級10号でも,平成16年6月30日以前の事故では局部に神経症状を残すもの,平成16年7月1日から平成22年6月9日までの事故では男子の外貌に醜状を残すものを指す。
秋田地方裁判所平成22年12月14日判決(平成21年(ワ)第354号)の事案は,平成18年7月30日に発生した交通事故であり,損害保険料率算出機構は,運転者について右足関節痛を12級13号,前額中央の外貌醜状障害を14級10号,右上肢の醜状障害を14級4号として併合12級と判定し,同乗者について右足の局部の神経症状を14級9号と判定している。
この事案の14級10号は外貌の醜状であり,神経症状ではない。

4 事故日ごとの早見表

(1) 神経症状・外貌醜状・短縮の早見表

事故の発生日局部に頑固な神経症状局部に神経症状外貌の著しい醜状外貌の相当程度の醜状外貌の醜状一下肢の1センチメートル以上の短縮
平成16年6月30日以前12級12号14級10号女子7級12号,男子12級13号なし女子12級14号,男子14級11号13級9号
平成16年7月1日から平成22年6月9日まで12級13号14級9号女子7級12号,男子12級14号なし女子12級15号,男子14級10号13級8号
平成22年6月10日以後12級13号14級9号7級12号9級16号12級14号13級8号

平成14年3月31日以前に発生した事故についても,裁判所ウェブサイトに掲載された判決は,局部に神経症状を残すものを14級10号と記載している。
広島高等裁判所平成14年3月13日判決(平成12年(ネ)第521号)は,平成7年3月4日の交通事故による頸椎捻挫に伴う頭痛,項部痛等の神経症状について,後遺障害等級14級10号の局部に神経症状を残すものに該当すると判断した。
大津地方裁判所平成14年5月27日判決(平成13年(ワ)第134号)は,平成11年11月21日の自転車の転落事故について道路管理の瑕疵を理由とする損害賠償が請求された事件であり,原告は,自賠法施行令別表の後遺障害等級表によるとして,男子の外貌に著しい醜状を12級13号と主張している。
早見表の平成16年6月30日以前の欄は,平成14年4月1日以後の事故については平成16年政令第315号の改め文によるものである。
平成14年3月31日以前の事故については,改正政令の本文ではなく判決の記載によって号数を確認しており,女子の外貌の醜状(12級14号)はこの方法でも確認できていない。

(2) 胸腹部臓器の号の変更

胸腹部臓器の障害については,平成18年政令第139号が,第8級の項の第11号を削り,第11級の項の第10号を「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」に改め,第13級の項に第11号として「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」を加えた。
いずれも末尾の号の削除,置換え又は追加であり,他の号の番号は動いていないが,平成18年3月31日以前の事故の資料にある8級11号は,現行の表には存在しない。

5 古い資料を読むときの手順

(1) 読替えの順序

古い判決,自賠責の認定資料又は実務書の号数を読むときは,次の順序で確認すると読み違いを防ぐことができる。
①事故の発生日を確認する。
②事故日に適用される表を,第4の2の表又は第4の4の早見表で特定する。
③資料に号数と併せて障害の文言が書かれていれば,その文言が当時の表の号と一致するかを照合する。
④現行の号数に置き換えて引用するときは,当時の14級10号(現行の14級9号に当たる)のように,当時の号数と現行の号数を併記する。

(2) 裁判例を検索するときの注意

裁判例を集めるときも,現行の号数だけで検索すると,平成16年6月30日以前の事故を扱う判決を見落とすことがある。
局部に頑固な神経症状であれば12級12号と12級13号の両方で,局部に神経症状であれば14級10号と14級9号の両方で検索し,ヒットした判決の事故日と文言を確認する必要がある。

第5 「相当」と「準用」

1 自賠責の「相当」

(1) 別表の備考六

自賠法施行令別表第二の備考六は,「各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であつて、各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とする。」と定めている。
別表第一の備考にも同じ文言の定めがある。
等級表の各号に直接該当しない後遺障害は,この備考によって当該等級の後遺障害として扱われ,何級相当という形で認定される。

(2) 国自保第2358号通知の区分

国土交通省自動車交通局保障課長の平成14年3月11日付け通知(国自保第2358号)も,認定の理由を具体的に記載すべき事案として,「併合、加重及び相当の事案」を挙げている。
同通知の内容は,国自保第2358号通知で扱っている。

2 労災の「準用」

労災則14条4項は,「別表第一に掲げるもの以外の身体障害については、その障害の程度に応じ、同表に掲げる身体障害に準じてその障害等級を定める。」と定めている。
基発第0604003号は,準用について,「障害等級表上に、その属する系列はあるが、該当する障害がない場合」の認定方法を定め,その一つとして併合の方法を用いて準用等級を定める場合を挙げている。
第3の3で紹介した準用第11級の例は,この方法によるものである。

3 書面に写すときの注意

自賠責の「相当」と労災の「準用」は,いずれも等級表に直接該当する号がない後遺障害について等級を定める仕組みである。
もっとも,根拠となる規定は,自賠責では自賠法施行令の別表の備考,労災では労災則14条4項であり,用語も異なる。
自賠責の書面では自賠法施行令の用語と号数で記載し,労災の通達にある準用第11級のような表現を引用するときは,労災の認定基準の記載であることを示すと,根拠の取り違えを防ぐことができる。

第6 併合と加重の基本

1 併合

(1) 繰上げの三段階と繰上げのない場合

自賠法施行令2条1項3号は,別表第二の後遺障害が二以上ある場合の保険金額を定めている。
第5級以上の後遺障害が二以上あるときは重い後遺障害の等級の三級上位(同号ロ),第8級以上の後遺障害が二以上あるときは二級上位(同号ハ),第13級以上の後遺障害が二以上あるときは一級上位(同号ニ)の等級に応ずる金額となる。
それ以外の場合は,重い後遺障害の等級に応ずる金額である(同号ホ)。

第14級は「第十三級以上」に含まれないため,14級の後遺障害が二以上あっても,12級と14級の後遺障害があっても,等級は繰り上がらない。
例えば,12級13号と14級9号が併存する場合は同号ホにより12級の224万円であり,12級の後遺障害が二つある場合は同号ニにより11級の331万円である。

(2) 一級繰上げの合算額による上限

同号ニには,「その金額がそれぞれの後遺障害の該当する等級に応ずる同表に定める金額を合算した金額を超えるときは、その合算した金額」という括弧書きがある。
例えば,9級(616万円)と13級(139万円)の後遺障害がある場合,一級上位の8級の金額は819万円であるが,合算額755万円を超えるため,保険金額は755万円となる(別表第二の金額から計算した)。

(3) 別表第一の後遺障害

別表第一の後遺障害について,自賠法施行令2条1項2号イは,同一の等級に該当する介護を要する後遺障害が二存する場合も含めて,当該等級に応ずる金額と定めている。
前記の国自保第2358号通知は,「別表第一内における併合及び同令別表第一と別表第二を通じての併合は行わない」としている。

2 加重

自賠法施行令2条2項は,「既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによつて同一部位について後遺障害の程度を加重した場合」について,加重後の等級に応ずる金額から既にあった後遺障害の等級に応ずる金額を控除した金額を保険金額としている。
例えば,事故前から14級(75万円)に当たる後遺障害があった部位について,事故によって12級(224万円)の程度になった場合は,差額の149万円となる(別表第二の金額から計算した)。
加重は同一部位の問題であり,別の部位に新たな後遺障害が生じた場合は,第6の1の併合を検討することになる。

3 労災則14条との違い

労災則14条2項及び3項も,重い方の身体障害の等級によることと,第13級以上・第8級以上・第5級以上の身体障害が二以上ある場合に一級・二級・三級繰り上げることを定めている。
もっとも,労災則14条3項ただし書は,繰上げ後の障害等級が第8級以下である場合に,各障害の等級に応ずる障害補償給付の額の合算額が繰上げ後の等級の額に満たないときは合算額によると定めており,自賠法施行令2条1項3号ニの括弧書きとは適用場面の定め方が異なる。
加重についても,労災則14条5項は障害補償年金と障害補償一時金の組合せに応じた計算方法を定めており,自賠法施行令2条2項とは計算の仕組みが異なる。
労災の支給決定と自賠責の保険金額は,それぞれ別の規定によって計算される。

第7 部位別の記事への案内

1 神経症状と神経麻痺

局部の神経症状については,後遺障害14級9号でも画像所見はあるのか大腿骨骨折後の痛みの後遺障害脛骨高原骨折で関節面の陥没が残った場合の後遺障害12級13号及びむち打ち症(頚椎捻挫)の症状固定時期で説明している。
末梢神経の麻痺については,尺骨神経麻痺橈骨神経麻痺正中神経麻痺腕神経叢損傷・麻痺脛骨神経麻痺及び総腓骨神経麻痺の各記事がある。
交通事故によるCRPSの後遺障害等級も,神経系統の障害の認定基準を扱っている。

2 脊柱と体幹骨

脊柱の障害については,頚椎(頸椎)の可動域制限と後遺障害8級2号及び胸腰椎圧迫骨折の後遺障害逸失利益で説明している。
体幹骨の変形障害については,鎖骨骨折の変形障害と後遺障害逸失利益がある。
脊柱の号数は,自賠責の6級5号・8級2号・11級7号が労災の6級4号・8級2号・11級5号に当たる。

3 上肢・下肢の関節と骨

四肢の関節の機能障害に共通する基準は,可動域制限の後遺障害等級で説明している。
関節別には,肩関節肘関節手関節股関節膝関節及び足関節の各記事がある。
骨の障害については,人工関節置換術と後遺障害等級偽関節(骨癒合不全)の後遺障害等級及び大腿骨骨幹部骨折の後遺障害で説明している。
関節の著しい機能障害(10級10号・10級11号)と一下肢の3センチメートル以上の短縮(10級8号)は,労災と号数が異なる。

4 手指・足指

足指については,交通事故による足指の欠損障害・機能障害と後遺障害等級で説明している。
手指については,伸筋腱・屈筋腱断裂の後遺障害等級がある。
手指と足指の号は,第4の2の表のとおり平成16年7月1日前後で号数が大きく変わっているため,古い裁判例を読むときは事故日の確認が特に必要である。

5 認定手続と複数の後遺障害

後遺障害診断書の記載項目と申請の方法は,交通事故の後遺障害診断書で説明している。
認定結果に不服がある場合は,自賠責保険の後遺障害等級認定への異議申立てを参照されたい。
同じ骨折から複数の後遺障害が生じた場合の併合の実例は,大腿骨骨折の複数後遺障害の評価で扱っている。

第8 出典・参考資料

1 法令

e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法施行令」(第2条,別表第一,別表第二及び附則を確認),令和8年9月16日閲覧。
e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」(第14条及び別表第一を確認),令和8年9月16日閲覧。

2 官報に掲載された改正政令・改正省令

自動車損害賠償保障法施行令の一部を改正する政令(平成16年政令第315号),官報平成16年10月15日本紙第3955号3頁~4頁。
自動車損害賠償保障法施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第139号),官報平成18年3月31日号外第74号422頁~423頁。
自動車損害賠償保障法施行令の一部を改正する政令(平成23年政令第116号),官報平成23年5月2日特別号外第35号38頁。
労働基準法施行規則及び労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令(平成16年厚生労働省令第101号),官報平成16年6月4日本紙第3864号1頁~2頁。
労働基準法施行規則及び労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第13号),官報平成23年2月1日本紙第5486号2頁。

3 所管行政機関の資料

国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」,平成13年金融庁・国土交通省告示第1号,第3。
国土交通省「自動車損害賠償保障法施行令の一部を改正する政令の公布について」及び添付資料「外貌醜状に関する後遺障害等級の改正」
国土交通省自動車交通局保障課長通知「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」,平成14年3月11日国自保第2358号,4。
金融庁・国土交通省「自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律の施行等に伴う政令、省令及び関係通達等の制定及び改正並びに支払基準の制定に関するパブリックコメントの募集」,平成13年11月15日,別紙1の2。
厚生労働省「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準について」,平成15年8月8日基発第0808002号。
厚生労働省「せき柱及びその他の体幹骨、上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準について」,平成16年6月4日基発第0604003号。

4 裁判例

広島高等裁判所平成14年3月13日判決・平成12年(ネ)第521号,裁判所ウェブサイト掲載判決全文。
大津地方裁判所平成14年5月27日判決・平成13年(ワ)第134号,裁判所ウェブサイト掲載判決全文。
甲府地方裁判所平成18年11月24日判決・平成18年(ワ)第178号,裁判所ウェブサイト掲載判決全文。
京都地方裁判所平成22年5月27日判決・平成20年(行ウ)第39号,裁判所ウェブサイト掲載判決全文。
秋田地方裁判所平成22年12月14日判決・平成21年(ワ)第354号,裁判所ウェブサイト掲載判決全文。