目次
1 最高裁判所事務総局の組織に関する法令・通達
2 最高裁判所事務総局の職員は本来,裁判所事務官又は裁判所技官であること
3 司法行政上の事務を掌る職に判事又は判事補を充てる運用を行っていること等
4 最高裁判所規則,最高裁判所規程及び通達の違い
5 関連記事その他
1 最高裁判所事務総局の組織に関する法令・通達
・ 最高裁判所事務総局規則(昭和22年12月1日最高裁判所規則第10号)
・ 最高裁判所事務総局分課規程(昭和22年12月1日最高裁判所規程第5号)
・ 最高裁判所事務総局等の組織について(平成元年3月22日付の最高裁判所事務総長通達)
・ 最高裁判所事務総局等職制規程(昭和43年4月20日最高裁判所規程第2号)
・ 職制の実施について(平成4年7月20日付の最高裁判所事務総長通達)
・ 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の標準的な官職を定める規則(平成21年3月31日最高裁判所規則第6号)
・ 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の官職の属する職制上の段階等について(平成21年3月31日付の最高裁判所事務総長依命通達)
・ 裁判官以外の裁判所職員の任免等に関する規則(昭和25年1月20日最高裁判所規則第4号)
裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の官職の属する職制上の段階等について(平成21年3月31日付の最高裁判所事務総長依命通達)別表です。
2 最高裁判所事務総局の職員は本来,裁判所事務官又は裁判所技官であること
(1) 最高裁判所事務総局の職員(裁判所法53条2項)としての事務次長,審議官,家庭審議官,局長,課長,参事官,局付及び課付は本来,裁判所事務官又は裁判所技官を以て充てることになっています(最高裁判所事務総局規則(昭和22年12月1日最高裁判所規則第10号)3条1項,3条の2第1項,3条の3第1項,4条1項,5条1項,6条の2第2項,7条2項)。
(2) 運用上,司法行政上の職務に関する規則(昭和25年1月17日最高裁判所規則第3号)1項に基づき局長ポストの全部及び課長ポストの相当部分が判事を以て充てられています。
ただし,2人の審議官のうちの1人は裁判所事務官出身者であり,家庭審議官は家庭裁判所調査官出身者を以て充てられています。
(3) 最高裁判所事務総長(裁判所法53条1項)は常に裁判所事務官です(平成30年度(最情)答申第83号(平成31年3月15日答申))。
3 司法行政上の事務を掌る職に判事又は判事補を充てる運用を行っていること等
(1)ア 「最高裁判所とともに」(著者は高輪1期の矢口洪一 元最高裁判所長官)180頁及び181頁には以下の記載があります。
たとえば裁判所の中でも、司法行政に従事する有資格事務官と判事、判事補の格差の問題があったのです。裁判をするかどうか、で形式的に区分することとして発足したのですが、事務総局等司法行政事務部門で有資格者が不可欠である以上、事務官への任命により昨日までの判事の待遇を下回る給与とすることは実務上不可能で、昭和二四年六月には、最高裁判所調査官、研修所教官や司法行政上の職に、判事、判事補を、そのままの身分で充てることができるようにされています。
イ 昭和24年6月1日法律第177号は,「最高裁判所は、当分の間、特に必要があるときは、裁判官又は検察官を以て、司法研修所教官に、裁判官を以て、裁判所調査官に充てることができる。」と定める裁判所法附則3項を追加しましたところ,「司法行政上の職に、判事、判事補を、そのままの身分で充てる」根拠は,司法行政上の職務に関する規則(昭和25年1月17日最高裁判所規則第3号)1項であると思います。
(2) 裁判所法逐条解説上巻111頁には以下の記載があります。
司法行政に関する事項の審議立案その他司法行政上の事務を掌る職のうち、最高裁判所において指定するものは、判事または判事補をもってあてることができるものとされており(司法行政上の職務に関する規則)、事務次長、事務総局の各局長その他の職がこれに指定され、東京高等裁判所,東京地方裁判所または東京家庭裁判所の判事または判事補の相当数が、これらの職にあてられている。
(3) 平成30年度(最情)答申第82号(平成31年3月15日答申)には以下の記載があります。
司法行政上の職務に関する規則1項は,「司法行政に関する事項の審議立案その他司法行政上の事務を掌る職のうち,最高裁判所において指定するものは,判事又は判事補をもってあてる」と定めるところ,最高裁判所事務総長の上記説明によれば,最高裁判所裁判官会議において個別の裁判官の転補等に係る議決をすることをもって,司法行政上の事務を掌る職に判事又は判事補を充てる運用を行っているため,当該議決とは別に該当する職の指定についての文書や該当する職を一覧的に記載した文書を作成してはいないとのことであり,このような説明の内容が不合理とはいえない。
4 最高裁判所規則,最高裁判所規程及び通達の違い
最高裁判所規則,最高裁判所規程及び通達の違いは以下のとおりです(文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)参照)。
・ 最高裁判所規則とは,主に訴訟当事者その他一般国民に関係のある事項又は重要な事項について定めるものであって,公布を要するものをいいます。
・ 最高裁判所規程とは,主に裁判所の内部規律等について定めるものであって,公布を要しないものをいいます。
・ 通達とは,上級庁が下級庁に対し,又は上級の職員が下級の職員に対し,職務運営上の細目的事項,法令の解釈,行政運営の方針等を指示し,その他一定の行為を命ずるものをいいます(裁判所法80条参照)。
文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋です。
5 関連記事その他
(1)ア 令和4年7月4日,最高裁判所HPの「最高裁判所の主な規程・通達等」に,①規程,及び②通達・通知・事務連絡等(司法組織,法廷,訟廷事務,民事事件,刑事事件,家事事件,少年事件及びその他)が掲載されるようになりました。
イ 最高裁判所規則は,官報により公布されることによって広く周
知が図られている上,その条文については,不特定多数の者に販売することを目的として発行されている法令集などにより容易に入手可能であることから,司法行政文書開示手続の対象になっていません(平成28年度(最情)答申第39号(平成28年12月2日答申)参照)。
(2) 最高裁判所の訟廷事務につき,昭和38年4月30日までは最高裁判所事務総局訟廷部で取り扱っていたものの,同年5月1日以降,最高裁判所大法廷首席書記官の掌るところとなり(大法廷首席書記官等に関する規則1条3項),最高裁判所事務総局の所掌事務から外れました(裁判所法逐条解説・上巻111頁)。
(3)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 一元的な文書管理システム教材の改訂版(令和2年3月24日付の配布文書)
・ 文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)
・ 最高裁判所が作成している,最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿
・ 最高裁判所事務総局の各係の事務分掌(平成31年4月1日現在)
・ 裁判所の指定職職員
・ 裁判所の指定職職員の名簿(一般職)
こちらは、↓の所基通59-6に関する最高裁判決(R2.3.24)で、行政法の大家の宇賀先生と、租税法の宮崎先生がそれぞれ補足意見を書かれている通りで、裁判での税法通達の取扱いはそれ以上でもそれ以下でもないと理解しております。https://t.co/mqwtDOWUQW
2019年だと最高裁判決前の資料になりますね。 https://t.co/6YjD47EfCt
— 弁護士•税理士 栗原宏幸 / Hiroyuki KURIHARA (@HiroyukiKURIHA5) December 11, 2022