第1 大阪弁護士会の負担金会費とは何か1 入会時の会館負担金会費と入会後の負担金会費2 負担金会費の会則上の根拠第2 入会後に生じる負担金会費①~⑪第3 負担金会費の法的性質――消費税の課税対象取引と判断した裁判例1 事案の概要2 裁判所が対価性を認めた理由第4 直接受任案件(日弁連LAC)における取扱い1 日弁連LACの制度2 直接受任案件の委任契約書と負担金会費第5 負担金会費の納付状況を確認する際の注意点第6 公益活動負担金会費(6万円)――入会後の負担金会費とは別の制度第7 会財政をめぐる継続的な検討第8 関連記事第9 出典1 法令2 裁判例3 大阪弁護士会・日弁連の公表資料4 文献
第1 大阪弁護士会の負担金会費とは何か
1 入会時の会館負担金会費と入会後の負担金会費
大阪弁護士会に入会する弁護士は,まず入会時に会館負担金会費40万円(分納及び分納の延納制度あり)を納入する。これとは別に,入会後は,受任した事件の種類に応じて,報酬額等の一定率を「負担金会費」として継続的に納入することになる。大阪弁護士会財務課が入会者向けに一般公開している「大阪弁護士会財務課からのお願い」は,この入会後の負担金会費を「3 負担金会費の納入について」として説明しており,直接依頼者から事件を受任して権利保護保険制度(いわゆる弁護士費用特約)を利用した場合の負担金など一部の項目は,会員の間で「上納金」と呼ばれることがある。
本記事は,大阪弁護士会が一般公開している資料及び公刊法令等を基礎としており,会員限りの資料その他の内部資料は記事の根拠として使用していない。
禁止されてるから絶対やらんけど、
紹介料払うの禁止しておきながら、弁護士会の相談センターとかに上納金払わなければいけないことについて、納得してない https://t.co/NMRPm3vI9l
— 自由と鐘@若手独立弁 (@bebebebengo4) April 24, 2022
評判最悪の、大弁の「国選ピンハネ」ですが。
大弁を卒業したら、大弁所属中に受けた国選事件でもピンハネされない(負担金を課されない)んですね……!
この期待はしておりませんでしたので、なんともありがたいです。やったー!
— りっぴぃ (@rippy08) September 14, 2021
もっとも,このような負担金は,会員が弁護士会の紹介業務等を利用したことに対応して発生するものであり,会費のように一律に課されるものではない。負担金の重さをどう評価するかは,弁護士会の相談配点や紹介業務にどの程度依存して業務を組み立てているかによって受け止め方が異なり得る。
2 負担金会費の会則上の根拠
弁護士法33条2項は,弁護士会が日本弁護士連合会の承認を受けて定める会則に記載すべき事項として,15号に「会費に関する規定」を掲げている。負担金会費を含む会費の徴収それ自体は,弁護士法が会則の必要的記載事項として明文で予定している制度であり,各弁護士会が独自に創設した仕組みではない。大阪弁護士会では,この会則に基づき「大阪弁護士会各種会費規程」が定められ,同規程第3条の4が,入会後に生じる負担金会費の内容を定めている。
第2 入会後に生じる負担金会費①~⑪
大阪弁護士会財務課からのお願い(2025年11月版)が示す各種会費規程第3条の4の抜粋によれば,入会後に生じる負担金会費は,次の①から⑪までのとおりである。
① 国選弁護人及び少年法22条の3の国選付添人に対する報酬の5%
② 裁判所から選任された職務代行者,破産管財人,民事再生監督委員,同調査委員,同管財人,同保全管理人,会社更生管財人,同調査委員,同保全管理人,同監督員,会社設立検査役,特別清算における特別清算人,同検査役,会社整理における検査役,同監督員,同管理人,特別代理人,不在者財産管理人,相続財産管理人,相続財産清算人,所有者不明土地管理人,所有者不明建物管理人,管理不全土地管理人,管理不全建物管理人,特定不能土地等管理者,特定社団等帰属土地等管理者,遺言執行者,後見人,後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人,補助監督人,任意後見監督人,財産管理者,職務代行者等(裁判所の民事調停委員,家事調停委員,鑑定委員,司法委員,参与員その他これらに準ずるものを除く。)の報酬(未成年後見制度における後見人,後見監督人,財産管理者及び職務代行者の報酬については,就任時から1年間のものに限る。)の7%
③ 大阪弁護士会総合法律相談センター規程(会規第13号)に定める法律相談業務,被害者救済業務,中小企業・NPO法人等支援に関する業務,犯罪被害者救済業務及び当番弁護士に関する業務の担当者並びに同規程により事件を受任した場合の法律相談料,着手金,報酬金,手数料,鑑定料,講師料並びに一部業務の日当の7%
④ 大阪弁護士会総合法律相談センターから顧問の紹介を受けた者の顧問就任時から1年間の顧問料の7%
⑤ 大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センター規程(会規第30号)に定める専門法律相談業務,財産管理支援業務,ホームロイヤー支援業務,介護・福祉支援業務及び精神保健支援業務の担当者並びに同規程により事件を受任した場合の法律相談料,着手金,報酬金,手数料,鑑定料及び講師料の7%
⑥ 大阪弁護士会遺言・相続センター規程(会規第55号)に基づく法律相談の相談料並びに同規程により事件を受任した場合の着手金,報酬金及び手数料の7%
⑦ 大阪住宅紛争審査会の指名紛争処理委員及び専門家相談員の報酬の7%
⑧ 権利保護保険制度(日弁連リーガル・アクセス・センター)に基づく法律相談の相談料並びに同制度により事件を受任した者(直接依頼者から事件を受任し,同制度を利用した場合を含む。)の着手金,報酬金,手数料及び日当の7%
⑨ 大阪弁護士会行政連携センター規程(会規第59号)により紹介を受けた場合の法律相談料,着手金,報酬金,手数料,鑑定料及び講師料の7%
⑩ 大阪弁護士会総合法律相談センター規程(会規第13号)26条の2第2号に基づき事件を受任した者の着手金,報酬金,手数料及び日当の7%
⑪ 国選被害者参加弁護士に対する報酬の5%
大阪弁護士会の公開資料は,関係法律「第5条」の国選被害者参加弁護士と記載している。もっとも,現行法では,被害者参加弁護士の選定請求は同法11条,裁判所による選定は同法13条に定められており,現行5条は被害者参加旅費等の支給に関する規定である。したがって,現行法に即して対象を示す場合には,「同法11条の規定による請求に基づき,同法13条により裁判所が選定した被害者参加弁護士」とするのが正確である。
本記事の初出時に紹介していた項目は①から⑨までであったが,その後,⑩及び⑪が新設されたほか,②では令和3年の民法等改正により新設された相続財産清算人,所有者不明土地管理人等の財産管理者の類型が加えられ,③では中小企業支援センター業務が中小企業・NPO法人等支援に関する業務へと名称を改め,⑤ではホームロイヤー支援業務が加えられている。負担金会費の対象となる業務の範囲は,弁護士会の新設業務や関連法令の改正に応じて随時見直されているため,正確な料率及び対象業務を確認する際は,大阪弁護士会が入会者向けに配布する最新の説明資料によって確認する必要がある。
第3 負担金会費の法的性質――消費税の課税対象取引と判断した裁判例
1 事案の概要
弁護士会が法律相談センター等を介して会員弁護士に事件を紹介した際に徴収する負担金の法的性質については,同種の制度を正面から扱った裁判例がある。国税庁が公表している税務訴訟資料によれば,ある弁護士会(判決文上は「A会」と匿名化されている。)が,消費税の確定申告に際して会員から収受する負担金等を課税標準に含めていなかったところ,処分行政庁(中京税務署長)から,これらの収入は事業として対価を得て行われる役務の提供に当たるとして消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分を受け,その取消しを求めて提訴した事案である。
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