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日弁連の組織―意思決定機関,役員,委員会,事務局及び財政(AIリライト)

第1 日弁連の法的地位,目的及び会員

1 弁護士法に基づく法人

弁護士法45条は,全国の弁護士会が日本弁護士連合会を設立するものとし,日弁連を法人としている。日弁連は国の行政機関ではなく,弁護士法に基づく全国的な自治組織である。

日弁連の目的は,弁護士及び弁護士法人の品位を保持し,その事務の改善進歩を図るため,弁護士,弁護士法人及び弁護士会の指導,連絡及び監督に関する事務を行うことである。個別の機関が有する権限は,この一般的な目的だけでなく,弁護士法,日弁連会則,会規及び規則の各定めから確認する必要がある。

2 全国52の弁護士会と個々の会員

弁護士法47条により,弁護士,弁護士法人及び弁護士会は,当然に日弁連の会員となる。日弁連の会員に関する説明によれば,昭和24年9月の設立時は全国51の弁護士会で構成され,昭和47年の沖縄の施政権返還に伴って沖縄弁護士会が加わったため,現在は全国52の弁護士会で構成されている。

日弁連会則は,弁護士法上の当然会員のほか,準会員,沖縄特別会員,外国法事務弁護士,外国法事務弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人等についても会員区分を設けている。日弁連は全国の弁護士会の連合体であると同時に,登録,資格審査,指導監督及び懲戒等を通じて個々の弁護士及び法人会員とも直接の法律関係を持つ組織である。

3 弁護士自治と最高裁判所との関係

弁護士自治の下では,弁護士の登録,指導監督及び懲戒に関する主要な事務を弁護士会及び日弁連が担い,その財政も主として会費で支えられている。もっとも,弁護士法49条は,最高裁判所が必要と認める事項について日弁連に報告を求め,又は調査を依頼できると定めており,日弁連が法秩序から独立した組織であるという意味ではない。

第2 総会,代議員会,理事会及び常務理事会

1 四つの意思決定機関

日弁連には,合議体の意思決定機関として,総会,代議員会,理事会及び常務理事会が置かれている。日弁連の機構・財政は,総会を最高意思決定機関と位置付けているため,会長の執行上の地位と総会の意思決定権限を区別する必要がある。

会則及び会規は総会が,規則は理事会が,それぞれ制定又は変更するのを基本とする。予算,役員選任,規則制定,登録及び懲戒等のうち,どの機関が最終決定をするかは事項ごとに異なるので,委員会による検討,執行部による議案提出及び各意思決定機関による議決を区別して読む必要がある。

2 総会

総会は,会則34条に基づき,会則及び会規の制定又は変更,予算及び決算,重要な財産の処分,会費並びに理事会が付議した事項等を審議する。会則変更には,会則99条により,理事会が出席者の3分の2以上の多数で議案を提出し,総会でも出席弁護士会及び出席弁護士の各3分の2以上の多数による議決を得るという加重された手続が必要である。

総会には定期総会と臨時総会があり,定期総会は毎年会長が招集する。会則及び会規の現行本文と制定改廃の公示は,日弁連の弁護士法・会則・会規等のページから確認するのが確実である。

3 代議員会

代議員会は,会則42条及び43条に基づく機関であり,副会長,理事,監事及び選挙管理委員会委員の選任等を行う。代議員は,各弁護士会から選出された会員によって構成され,地域の弁護士会及び会員の意思を役員選任等に反映させる役割を持つ。

会長は全会員による選挙で選ばれるのに対し,副会長,理事及び監事は代議員会が選任する。この違いは日弁連の役員構成を理解する基本であり,代議員会の構成及び選任手続の詳細は,日弁連の代議員会を参照されたい。

4 理事会

理事会は,会長,副会長及び理事によって構成される。会則59条に基づき,日弁連の運営に関する重要事項,総会及び代議員会に付する議案,規則の制定又は変更,弁護士会の総会決議の取消し並びに総会又は代議員会から委任された事項等を審議する。

理事会は,委員会が作成した意見書案その他の政策案について,日弁連としての決定を行うこともある。ただし,理事会決議の後に総会の議決又は外部機関の決定を要する事項もあるため,理事会の決定を常に全手続の終点とみることはできない。理事会と常務理事会の議事手続を含む詳細は,日弁連の理事会及び常務理事会を参照されたい。

5 常務理事会

常務理事会は,会長,副会長及び理事の中から選任された常務理事によって構成される。会則59条の3に基づき,日弁連の運営,各弁護士会の会則の承認,弁護士名簿の登録,資格審査,懲戒,外国法事務弁護士関係,司法修習及び理事会から委任された事項等を審議する。

日本弁護士連合会「令和7年度会務報告書」資料印字29頁~33頁(PDF実頁34頁~38頁)によれば,令和7年度には常務理事会が11回開催され,弁護士会の会則等の制定又は変更に関する事項958件等が処理された。一定の定型事項は担当主査理事に委任され,必要な案件が常務理事会に付議されるため,常務理事会は日常的かつ大量の自治事務を継続して処理する機関である。

第3 役員と執行部

1 役員の定数

日弁連会則56条が定める役員の定数は,会長1人,副会長15人,理事75人及び監事5人である。また,日弁連の機構・財政によれば,理事の中から常務理事39人が選任される。

任期は,会長が2年であり,副会長,理事及び監事が1年である。役員の氏名は年度途中にも変更され得るため,本記事では固定せず,現行の役員一覧で確認することとする。

2 会長及び副会長

会長は日弁連を代表し,会務を総理する。この表現は現行会則57条1項の文言によるものである。

副会長は会長を補佐し,会長があらかじめ定めたところにより会務の執行に当たる。会則56条2項は,副会長15人のうち少なくとも2人を女性とするものとしており,役割及び選任の詳細は,日弁連の会長及び副会長並びに日弁連会長選挙を参照されたい。

3 理事,常務理事及び監事

理事会の構成員である理事75人は,地域代表性を基礎とする選任に加え,男女共同参画のための措置を伴って選任される。会則56条3項は,理事に占める女性の割合が30%以上となるよう必要な環境整備に努めるものとし,同条4項に基づく選任手続では,女性理事4人の特別な選任枠が設けられている。理事の選任方法は,日弁連の理事を参照されたい。

常務理事39人は理事の中から理事会が選任し,日常会務の執行及び常務理事会の審議を担う。監事5人は理事会の構成員ではないが,理事会及び常務理事会に出席して意見を述べることができ,帳簿,財産管理状況及び経理組織等を監査する。

4 正副会長会

正副会長会は,会則が総会,代議員会,理事会又は常務理事会と並べて設置した独立の意思決定機関ではない。もっとも,日本弁護士連合会「令和7年度会務報告書」資料印字34頁~37頁(PDF実頁39頁~42頁)によれば,同年度には46回開催され,理事会等に先立つ案件の審議,報告聴取及び会務執行上の調整を担っている。

したがって,正副会長会で了承されたことと,理事会,常務理事会又は総会で正式に議決されたことは区別しなければならない。日弁連の文書を読む際は,提案主体,正副会長会の取扱い,権限を有する機関の議決及び外部機関による最終決定の各段階を確認する必要がある。

第4 委員会

1 法定委員会

法定委員会は,弁護士法又は外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律に設置根拠を持ち,法律上の権限を行使する委員会である。令和7年度会務報告書が掲げる法定委員会は,次の7つである。

① 資格審査会

② 懲戒委員会

③ 綱紀委員会

④ 綱紀審査会

⑤ 外国法事務弁護士登録審査会

⑥ 外国法事務弁護士綱紀委員会

⑦ 外国法事務弁護士懲戒委員会

法定委員会には法律上独立した権限があるため,全ての委員会を会長又は理事会の単なる諮問機関として一括することはできない。とりわけ登録及び懲戒の手続では,弁護士会,日弁連の各委員会,常務理事会その他の機関の権限を手続段階ごとに確認する必要がある。

2 常置委員会

日弁連会則に基づく常置委員会は,継続的な専門分野について調査,審議その他の職務を担う。令和7年度会務報告書が掲げる常置委員会は,次の5つである。

① 人権擁護委員会

② 司法制度調査会

③ 司法修習委員会

④ 弁護士推薦委員会

⑤ 選挙管理委員会

各委員会の職務は同一ではなく,人権救済,制度調査,司法修習,推薦又は選挙管理という固有の根拠規範に従って活動する。名称だけから権限を推定せず,会則及び関係会規を確認する必要がある。

3 特別委員会等

特別委員会は,必要に応じて理事会の議決により設置される。最新の会務報告書は,「特別委員会等」の中に委員会のほか,本部,センター,協議会,準備会議及びワーキンググループ等を掲載しているため,特別委員会の個数を固定的に示すと,組織改廃だけでなく集計対象の違いによっても誤解が生じる。

特別委員会等の数は,組織改廃と集計対象によって変わるため,過去の一時点の個数を現在の組織数として用いることはできない。個々の政策分野を調べるときは,最新の会務報告書及び日弁連サイトの委員会・本部等のページで,名称,設置根拠及び活動年度を確認する必要がある。

4 委員会から日弁連の決定に至る流れ

日本弁護士連合会人権擁護委員会編『21世紀の再審―えん罪被害者の速やかな救済のために』(日本評論社,令和3年)253頁~254頁は,再審支援案件について,調査委員会,人権擁護委員会内の各審議,正副会長会及び理事会を経る多段階の手続を説明している。この例からは,専門的な調査と,執行部による審査と,権限を持つ機関による決定とが別の段階であることが分かる。

もっとも,再審支援案件の手続を全ての委員会案件に一般化することはできない。最終決定機関は案件によって異なるため,公表された意見書,決議又は制度提案を検証するときは,表題だけでなく決定主体と決定日も確認する必要がある。

第5 事務総長,事務次長及び事務局

1 事務総長及び事務次長

日弁連には事務総長1人及び事務次長7人が置かれ,事務総長は会長の指揮を受けて会務執行を補佐し,事務局を統括する。役員の多くが1年又は2年で交代する一方,事務総長,事務次長及び事務局は,総会,理事会,委員会,予算会計及び外部機関との連絡等を継続的に支える。

事務総長及び事務次長の役割と歴代の人事については,日弁連の事務総長及び事務次長を参照されたい。個人名及び担当は変動するため,現任者は日弁連の現行役員・機構資料で確認する必要がある。

2 事務局の部及び室

日弁連一般サイトの機構図は,令和3年4月1日現在のものとして,総務部,審査部,法制部,人権部,業務部及び企画部の6部を掲げている。令和7年度会務報告書の「第14 室」は,調査室,広報室,国際室,司法調査室,刑事調査室,人権救済調査室,研修・業務支援室及び日本司法支援センター対応室の8室を掲載している。

事務局の組織及び業務は改編され得るので,過去の公開資料にある職員数又は各室の嘱託弁護士数を現在値として用いることはできない。事務局の基本的な構成については,日弁連の事務局も参照されたい。

3 事務局が支える自治事務

令和7年度会務報告書資料印字211頁(PDF実頁216頁)によれば,調査室は,会則,会規及び規則等の議決機関への付議前の点検,弁護士会会則等の事前検討,総会議事概要の作成並びに各種会議への出席等を行っている。同年度には,日弁連制定規則等の点検108件及び弁護士会会則等の点検2308件が処理された。

この業務は,事務局が単なる庶務部門ではなく,執行部,委員会及び意思決定機関をつなぎ,全国的な登録,懲戒及び規範形成を実務面から支える組織であることを示している。

第6 財政及び監査

1 会費を中心とする財政

日弁連会則91条は,日弁連の経費を会費,登録料,寄付その他の収入によって支弁すると定めている。日弁連一般サイトによれば,令和8年度は一般会計で約116億円の年間予算が組まれ,月額会費1万0200円が繰越金を除く収入の約94%を占めている。

会員の会費を主な財源とする構造は,国庫から独立した弁護士自治の財政的基礎である。他方,予算及び決算は総会の議決事項であり,経費支出は会則,会規,予算及び内部統制に従わなければならないため,会費財政であることと執行部が自由に支出できることとは同義でない。

2 監事,経理委員会及び外部監査

監事は,帳簿,財産管理状況及び経理組織を監査し,理事会及び常務理事会に出席して意見を述べることができる。令和7年度会務報告書資料印字60頁(PDF実頁65頁)によれば,基礎調査,四半期ごとの定期監査,随意監査及び外部監査が組み合わされている。

経理委員会は,予算原案及び決算書の作成,追加予算措置,予備費の取崩し並びに一定額を超える外部支出等を審議する。個別年度の決算額を参照するときは,その年度の組織及び会計区分に対応する一時点の数値であることに注意する必要がある。

第7 現在の組織が形成された主な沿革

1 設立と常務理事会の創設

日弁連は,現行弁護士法の施行に伴い,昭和24年9月に設立された。弁護士法及び会則の下で,総会,代議員会,理事会,各種委員会及び事務局を基本とする組織が整備された。

『日弁連五十年史』(日本弁護士連合会,平成11年)資料印字367頁(PDF実頁390頁)によれば,会員増加と会務の拡大に伴い,日常会務を迅速に処理する必要が高まり,昭和35年の会則改正によって常務理事会制度が設けられた。現在の四つの意思決定機関は,設立当初から全て同じ形で存在したものではなく,会務量と代表性の要請に応じて形成されたものである。

2 会長選挙及び任期の改革

『日弁連五十年史』資料印字367頁(PDF実頁390頁)によれば,昭和50年度から会長の全会員直接選挙が実施され,昭和55年度から会長任期が2年となった。全国の会員による代表性と,一定期間にわたる執行の継続性を確保するための改革である。

3 男女共同参画に関する措置

『日弁連七十年』(日本弁護士連合会,令和元年)資料印字29頁(PDF実頁31頁)によれば,平成30年度から女性副会長に関する特別措置が実施された。現行会則は,副会長について少なくとも2人を女性とする定めに加え,女性理事の割合を30%以上とするための環境整備の努力規定及び女性理事4人の特別な選任枠を置いている。

第8 出典・参考資料

1 法令,会則及び会規

① e-Gov法令検索「弁護士法」

② 日本弁護士連合会「日弁連会則」

③ 日本弁護士連合会「弁護士法・会則・会規等」

2 日弁連の公開資料及び会務報告書

① 日本弁護士連合会「日弁連の機構・財政」

② 日本弁護士連合会「日弁連の会員」

③ 日本弁護士連合会「令和7年度会務報告書」資料印字9頁~60頁及び211頁~220頁(PDF実頁14頁~65頁及び216頁~225頁)

3 書籍

① 日本弁護士連合会調査室編『弁護士業務ハンドブック』(日本加除出版,平成24年)15頁~20頁

② 日本弁護士連合会編『日弁連五十年史』(日本弁護士連合会,平成11年)367頁~371頁

③ 日本弁護士連合会編『日弁連七十年』(日本弁護士連合会,令和元年)19頁及び29頁~30頁

④ 日本弁護士連合会人権擁護委員会編『21世紀の再審―えん罪被害者の速やかな救済のために』(日本評論社,令和3年)253頁~254頁