目次
1 総論
2 弁護士法5条に基づく研修に関する日弁連の報告文書
3 弁護士資格認定制度に関する外部HPの記載
4 弁護士資格認定制度の創設を含む,司法制度改革における弁護士法の改正
5 関連記事その他
1 総論
(1) 平成16年4月1日,以下の法律に基づき,弁護士資格認定制度が創設されました。
① 司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律(平成15年7月25日法律第128号)
② 裁判所法の一部を改正する法律(平成16年3月31日法律第8号)
③ 弁護士法の一部を改正する法律(平成16年3月31日法律第9号)
(2) 法務省HPの「弁護士資格認定制度」に詳しい説明が書いてありますし,「認定申請の手引」等が掲載されています。
(3) 法務省HPの「企業・官公庁の実務に精通した弁護士を育てる!弁護士資格認定制度」と題するパンフレットによれば,法務大臣の指定する研修というのは,日弁連が主催する研修であって,期間は約2か月,研修費用は約20万円みたいです。
2 弁護士法5条に基づく研修に関する日弁連の報告文書
(令和時代)
令和元年度,令和2年度,令和3年度,令和4年度,
令和5年度,
(平成時代)
平成30年度,
* 「弁護士法第5条の規定による弁護士業務についての研修について(令和5年12月8日付の日弁連会長の報告)」といったファイル名です。
3 弁護士資格認定制度に関する外部HPの記載
(1) 平成16年4月1日の弁護士法改正
・ 弁護士資格認定制度につき,平成16年度法務年鑑172頁(リンク先のPDF185頁)に以下の記載があります。
平成16年4月1日に改正弁護士法が施行され,司法修習を終えていなくても弁護士資格を与える特例の対象が広げられ,①司法修習生となる資格を得た後に,簡易裁判所判事,国会議員,内閣法制局参事官,大学の法律学の教授等,弁護士法第5条第1号に列挙された職のいずれかに在った期間が通算して5年以上になる者,②司法修習生となる資格を得た後に,自らの法律に関する専門的知識に基づいて弁護士法第5条第2号に列挙された事務のいずれかを処理する職務に従事した期間が通算して7年以上になる者,③検察庁法第18条第3項に規定する考試を経て任命された検事(いわゆる特任検事)の職に在った期間が通算して5年以上となる者等については,法務大臣の指定する研修を修了して同大臣の認定を受ければ,弁護士となる資格を付与されることとなった。
同資格認定制度導入に伴い,①試験・経験要件の審査事務,②研修修了要件の審査事務,③認定の通知・官報公告に関する事務,④研修の指定に関する事務,⑤予備審査に関する事務等の処理を(注:法務省大臣官房司法法制部が)行っている。
(2) 弁護士資格認定制度の理念及び特徴
ア 法務省HPの「企業・官公庁の実務に精通した弁護士を育てる!弁護士資格認定制度」には「弁護士資格認定制度の理念」として以下の記載があります。
現代社会では、国境を越えて自由な社会経済活動が活発に行われており、新たな法的問題が日々生まれています。
弁護士は、法廷活動にとどまらず、企業や官公庁に進出し、組織内部でその健全な運営に貢献することが求められています。
弁護士資格認定制度は、企業・官公庁での実務経験に裏打ちされた、高い専門性を持つ弁護士を生み出すことを期待して設けられたものです。
イ 法務省HPの「企業・官公庁の実務に精通した弁護士を育てる!弁護士資格認定制度」には「弁護士資格認定制度の特徴」として以下の記載があります。
○ 官公庁は、行政法等の法令に精通した司法試験合格者を、公務員として採用して勤務経験を積ませることにより、法令の適用から行政処分に至るまで、あらゆる官公庁実務に法律のエキスパートとして対応できる公務員ロイヤーを獲得できます。
○ 企業は、ビジネス法等の法令に精通した司法試験合格者を、即戦力従業員として採用して勤務経験を積ませることにより、その企業の独自性を体得した法律のエキスパートとして、あらゆる企業活動に対応できる「我が社育ち」のインハウスロイヤーを獲得できます。
○ 司法試験合格者は、司法修習をスキップして、公務員・会社員として働きながらOJTを積み上げ、7年間の法律関係事務従事経験と短期間の研修で弁護士資格を取得できます。
ウ 「企業・官公庁の実務に精通した弁護士を育てる!弁護士資格認定制度」は,法務省大臣官房司法法制部審査監督課弁護士資格認定係が作成した文書です。
4 弁護士資格認定制度の創設を含む,司法制度改革における弁護士法の改正
(1) 弁護士資格認定制度の創設を含む,司法制度改革における弁護士法の改正につき,平成27年度法務年鑑79頁(リンク先のPDF92頁)に以下の記載があります。
弁護士制度については,今般の司法制度改革において,平成15年及び同16年の2度にわたり弁護士法が改正され,①弁護士資格の特例の拡充・整理,②弁護士の公務就任の自由化,③弁護士の営利業務の従事に関する許可制の届出制への変更,④弁護士の報酬基準の撤廃,⑤弁護士の懲戒手続の透明化・迅速化・実効化,⑥弁護士法第72条(非弁護士による弁護士業務の禁止規定の規制範囲に関する予測可能性の確保等の措置が講じられた。
このうち,①は,従前から存在していた弁護士資格の特例について,次のような拡充及び整理を行ったものであるが,ここで資格の要件とされた法務大臣の認定に関する事務(弁護士資格認定事務)は,司法法制部(注:法務省大臣官房司法法制部)において担当している。
a 弁護士資格の特例の拡充
・ 司法試験合格後5年以上国会議員の職に在った者
・ 司法試験合格後7年以上企業法務担当者や公務員として所定の法律関係事務に従事していた者
・ 5年以上いわゆる特任検事(副検事を3年以上経験し,政令で定めた試験に合格して検事になった者)の職に在った者
以上の者に対して,所定の研修を修了し,かつ,法務大臣の認定を受けることを要件として弁護士資格を付与する。
b 弁護士資格の特例の整理
・ 5年以上大学の法律学の教授・助教授の職に在った者に対して弁護士資格を付与していた制度について,司法試験合格,研修の修了及び法務大臣の認定を要件として追加する。
・ 司法試験合格後5年以上簡易裁判所判事,内閣法制局参事官等の職に在った者に対して弁護士資格を付与していた制度について,研修の修了及び法務大臣の認定を要件として追加する。
(2) 法務省HPの「弁護士資格認定制度」には以下の記載があります。
弁護士法一部改正法附則3条2項により,平成20年3月31日までの間に,学校教育法又は旧大学令による大学で法律学を研究する大学院の置かれているものの学部,専攻科若しくは大学院の法律学の教授又は准教授の職に在った期間が通算して5年以上になる者は,司法修習生となる資格を得たか否かにかかわらず,研修の受講と法務大臣の認定を要件として,弁護士となる資格が与えられます。ただし,平成16年3月31日以前に既に在職期間が5年に達している者は,改正前の法律により弁護士となる資格が付与されますので,研修の受講と法務大臣の認定は要件とされず,直ちに弁護士となる資格が付与されます。
5 関連記事その他
(1) 創英国際特許法律事務所HPの「弁護士資格認定制度について」に,令和元年12月に弁護士資格認定を受けた人の体験談が載っています。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士登録の請求
・ 平成16年4月1日創設の,弁護士資格認定制度
・ 弁護士となる資格付与のための指定研修
→ 弁護士となる資格付与のための指定研修(毎年3月頃の日弁連の文書)も掲載しています。
・ 弁護士資格認定制度に基づく認定者数の推移
→ 弁護士資格認定実績件数調べも掲載しています。