弁護士法人の懲戒事例

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〇平成29年12月現在,官報情報検索サービス(有料版)において「処分を受けた弁護士法人」というキーワードで検索すれば判明しますところ,弁護士法人の懲戒事例は以下のとおり合計10件です。
〇弁護士法人に対する業務停止以上の懲戒処分は,①平成23年1月12日付の業務停止1月(東弁),②平成23年7月6日付の業務停止1年(東弁),③平成23年11月8日付の除名(東弁),④平成29年8月31日付の業務停止1年6月(福岡弁)及び⑤平成29年10月11日付の業務停止2月(東弁)の合計5件です。
また,これらのうち,その他の法律事務所があった弁護士法人は,弁護士法人アディーレ法律事務所だけです。

1 平成22年10月5日付で東京弁護士会で「戒告」となった,弁護士法人アディーレ法律事務所(その他の法律事務所は立川支店,那覇支店,名古屋支店,札幌支店,仙台支店及び大阪支店)の懲戒行為の内容(自由と正義2011年1月号152頁)
① 被懲戒弁護士法人は,2006年11月6日有限会社Aの破産申立事件並びに同社の代表者B及び取締役Cの破産申立事件及び免責申立事件を受任した。
ところが,被懲戒弁護士法人は,その後,A社の財産を保全する義務を怠り,また速やかに破産申立てをなすべき義務を懈怠し,これにより破産申立時において破産財団を構成すべき約587万円の財産を消失させた。
② 被懲戒弁護士法人は,2005年12月2日,有限会社Dの破産申立事件並びに同社の代表者Eの破産申立事件及び免責申立事件を受任した。
ところが,被懲戒弁護士法人は,D社の財産を保全すべき義務を懈怠し,D社の財産の管理一切を安易にEに任せ,債権者への偏波弁済を許し,その結果,破産申立時までに,約650万円の財産を不当に消失させた。
③ 被懲戒弁護士法人は,2005年12月2日にD社らの破産申立事件を受任してから,2008年1月7日にD社らの破産申立てをするまでの間,合理的理由が存在しないにもかかわらず,2年以上,破産申立てをせず,これにより破産管財人による偏波弁済の否認権行使が妨げられて破産財産に損害を及ぼした。
④ 被懲戒弁護士法人は,D社から同社の破産申立事件を受任してその業務を行っているにもかかわらず,その後,2007年1月13日,D社の債権者であるF株式会社から破産申立事件を受任し,F社がD社の債権者であることを知り,さらにF社がD社から偏波弁済を受けていたことを知ってからもなおF社の破産申立事件に係る業務を行った。
⑤ 被懲戒弁護士法人は,2007年1月13日,F社及び同社の代表者Gら合計4名の破産申立事件を受任した。
ところが,被懲戒弁護士法人は,財産の保全も含めた破産申立事件の受任者としてなすべき業務遂行を懈怠し,これにより約350万円の財産を消失させた。

2 平成23年1月12日付で東京弁護士会で「業務停止1月」となった,弁護士法人かすが総合(その他の法律事務所はありません。)の懲戒行為の内容(自由と正義2011年4月号156頁)
被懲戒弁護士法人は,懲戒請求者から損害賠償請求の示談交渉を受任していたにもかかわらず,懲戒請求者の母Aの依頼を受け,懲戒請求者及びAの同意を得ないまま,2007年8月17日付けで懲戒請求者に対する遺留分減殺請求の通知を行い,引き続き,調停の申立て,訴訟の提起等の法的措置を採った。

3 平成23年3月7日付で大阪弁護士会で「戒告」となった,弁護士法人協立法律事務所(その他の法律事務所はありません。)の懲戒行為の内容(自由と正義2011年6月号140頁)
① 被懲戒弁護士法人は,民事再生手続を取り扱わない方針をとっていたにもかかわらず,その断りを入れず,2006年頃,スポーツ新聞等に多重債務問題の適切な解決を行う旨の広告をした。
② 被懲戒弁護士法人は,無資格者である事務職員が弁護士の関与なく法律相談を行わないよう指導監督する義務があるにもかかわらず,これを怠り,その結果,2006年12月15日,事務職員が弁護士の関与なく懲戒請求者に対して法律相談を行った。

4 平成23年7月6日付で東京弁護士会で「業務停止1年」となった,弁護士法人片山会(その他の法律事務所はありません。)の懲戒行為の内容(自由と正義2011年10月号107頁)
①   被懲戒弁護士法人は,2009年1月21日にAから受任した任意整理事件について,委任契約締結前及び締結後のいずれにおいても,Aとの対応を専ら被懲戒弁護士法人の事務職員に行わせた。
② 被懲戒弁護士法人は,Aからの依頼が,弁護士法第72条に違反することが疑われるBからの事件紹介によるものであって,受任にあたり,Bの同条違反の疑いの有無及び紹介の手続について事務職員から事情を聴取するなどの調査をすべきであったが,これを怠った。

5 平成23年11月8日付で東京弁護士会で「除名」となった,弁護士法人公尽会(その他の法律事務所はありません。)の懲戒行為の内容(自由と正義2012年2月号107頁)
被懲戒弁護士法人は,2007年10月22日ころ,懲戒請求者から1000万円の連帯保証債務についての債務整理を受任した。被懲戒弁護士法人は,懲戒請求者から少なくとも670万円を預かったが,委任された事件を放置し,2009年3月25日付けで辞任するにあたり,懲戒請求者に対し事件処理の状況及び結果の説明をせず,預り金の清算を怠った。また,被懲戒弁護士法人は,事務職員が法律事務を取り仕切っていることを認識しながら,これを放置し,黙認していた。

6 平成28年12月7日付で千葉県弁護士会で「戒告」となった,弁護士法人ひいらぎ綜合法律事務所(主たる法律事務所は千葉県から福岡県に移転。その他の法律事務所は小倉支店)の懲戒行為の内容(自由と正義2017年4月号78頁及び79頁)
被懲戒弁護士法人は,2011年7月29日の設立後,2013年2月21日に従たる法律事務所を設けるまでの間,所属弁護士は代表弁護士Aの1名であったところ,2011年10月頃,懲戒請求者から被懲戒弁護士法人の当時の主たる法律事務所に依頼したい旨の電話による申入れを受けて債務整理事件を受任したが,受任に際し,代表弁護士Aは,自ら面談をして事情聴取や説明等を行わない特段の事情があるとは認められないにもかかわらず,懲戒請求者と面談をして事情聴取をせず,懲戒請求者に対し,事件処理方針等及び不利益事項について説明をせず,また,上記事件の相手方である貸金業者との間で同年12月28日に若い所に調印したところ,調印までの間に,懲戒請求者に対し,過払金の計算結果の報告をせず,和解をすることや和解条件について説明をして協議をしなかった。

7 平成29年2月10日付で東京弁護士会で「戒告」となった,弁護士法人十枝内総合法律事務所(その他の法律事務所は十和田支所)の懲戒行為の内容(自由と正義2017年6月号126頁)
被懲戒弁護士法人は,懲戒請求者から離婚等請求事件,離婚等反訴控訴事件等を受任していたところ,控訴審裁判所からいずれも棄却する旨の判決が言い渡され,2014年5月4日に懲戒請求者から上告及び上告受理申立事件を受任したにもかかわらず,同月7日の上告期限までに上告等の手続を行わなかった。

8 平成29年3月28日付で新潟県弁護士会で「戒告」となった,弁護士法人美咲総合法律税務事務所(その他の法律事務所はありません。)の懲戒行為の内容(自由と正義2017年7月号87頁)
被懲戒弁護士法人は,戸籍法及び住民基本台帳法により弁護士に認められた業務を遂行するために必要があるとは認めることができないにもかかわらず,2013年5月15日に懲戒請求者を筆頭者とする戸籍の付票の写しについて,2014年1月14日に懲戒請求者を筆頭者とする戸籍の付票の写し及び戸籍謄本について,それぞれ職務上請求を行い,職務上請求書の利用目的欄に,いずれも「売掛金請求」と事実と異なる記載をした。

9 平成29年8月31日付で福岡県弁護士会で「業務停止1年6月」となった,弁護士法人北斗(その他の法律事務所はありません。)の懲戒行為の内容
→ 平成29年9月20日付の官報掲載分です。
福岡市の弁護士が,破産申立ての依頼者から預かった預かり金を報酬と区別せず,ずさんに管理していたみたいです(弁護士自治を考える会HPの「田畠光一弁護士(福岡)業務停止1年6月懲戒処分 破産事件預り金の管理が不適切」参照)。

10 平成29年10月11日付で東京弁護士会で「業務停止2月」となった,弁護士法人アディーレ(その他の法律事務所は85個)の懲戒行為の内容
→ 「弁護士法人アディーレ法律事務所に対する懲戒処分等」を参照してください。

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