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弁護士の「品位を失うべき非行」の不明確性と懲戒制度への批判(AI作成)

この記事は,弁護士の懲戒事由である「品位を失うべき非行」(弁護士法56条1項)という概念が不明確であるという批判と,処分基準の要否をめぐる議論を整理するものです(2026年7月時点の法令・裁判例に基づきます。)。

目次

第1 「品位を失うべき非行」は不明確か(弁護士法人ベリーベスト法律事務所等の意見)

非弁提携を理由とする業務停止6月の懲戒処分(弁護士法人ベリーベスト法律事務所,弁護士酒井将及び弁護士浅野健太郎に対するもの)の審査請求事件では,懲戒事由の文言の不明確性が正面から争われました。審査請求書(令和2年6月11日公表)9頁・10頁には,おおむね次の主張があります(書証番号・URLは省略)。

① 「品位」「非行」「非弁提携」といった曖昧な文言の下に広い裁量をそのまま重大な不利益処分(さらには刑事処分)の要件として適用すると,その場その場の恣意的判断に陥りやすい。行政手続法12条は不利益処分の処分基準を設定することを求めており(努力義務だが,多くの行政庁は予測可能性の確保と恣意的判断の抑制のため具体的な処分基準を定めている),弁護士の懲戒処分にもこの考え方を適用すべきである。模範となるのは,点数制をとる交通反則金制度や一級建築士の処分基準である。

② 弁護士法(43条の15,49条の2)は行政手続法の定めのうち行政指導以外を適用除外としているが,それは手続保障が薄くてよいという趣旨ではなく,法律家の団体であればこそ一層充実した権利防御手続を自主的に用意することが期待されているからである。ところが弁護士会は,行政手続(予定される処分の通知,弁明・聴聞の機会の付与)に著しく劣る手続しか用意せず,処分基準も設定していないので,場当たり的・恣意的になりやすい。

この事件については,「非弁提携を理由とする懲戒請求について」と題するウェブサイトに,東京弁護士会懲戒委員会の議決書(令和2年2月28日付)や審査請求書(令和2年6月11日公表)等の文書が掲載されています。

第2 処分基準の要否(行政手続法12条)

行政手続法12条は,処分基準について次のとおり定めています。

行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。(1項)/行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。(2項)

弁護士懲戒には行政手続法が直接適用されるわけではありませんが,予測可能性の確保と恣意的判断の抑制という同条の趣旨は,弁護士の懲戒処分についても妥当するのではないか,というのが上記の批判の核心です。

第3 明確性の要請と限定解釈

不明確な要件の解釈については,表現の自由を規制する法律の分野で,限定解釈が許される場合の基準が示されています。最高裁大法廷昭和59年12月12日判決は,表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈が許されるのは,その解釈により規制対象となるものとそうでないものとが明確に区別され,かつ,合憲的に規制し得るもののみが規制対象となることが明らかにされる場合でなければならず,また,一般国民の理解において,具体的場合に当該表現物が規制対象となるかどうかの判断を可能にする基準をその規定から読み取ることができるものでなければならない,としています。

「品位を失うべき非行」という概念の運用にも,同様に,予測可能性を確保する明確な基準が求められる,という視点につながります。

第4 懲戒制度への批判・他士業との比較

  • 判例時報2447号には「弁護士の懲戒処分に対する救済制度の違憲・違法性と是正案の提案(阿部泰隆)」が掲載されており,救済制度の在り方が論じられています。
  • 他士業と比較すると,司法書士の場合は,業務外の違反行為については刑事罰の対象となる行為だけが懲戒処分の対象になるとされています(司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方(処分基準等)別表23項参照)。弁護士について,職務外の非行がどこまで懲戒対象となるかという議論の参考になります。

第5 関連論点・関連記事

出典

法令

  • 弁護士法56条・43条の15・49条の2,行政手続法12条(いずれもe-Gov法令検索により現行条文を確認)

裁判例

  • 最高裁大法廷昭和59年12月12日判決〔公開前に裁判所HPの裁判例検索で実在・内容を確認し,詳細ページのURLを挿入すること〕

文献・ウェブ資料

  • 阿部泰隆「弁護士の懲戒処分に対する救済制度の違憲・違法性と是正案の提案」判例時報2447号
  • 「非弁提携を理由とする懲戒請求について」(東京弁護士会懲戒委員会議決書(令和2年2月28日付)・審査請求書(令和2年6月11日公表)等を掲載)
  • 司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方(処分基準等)