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日韓請求権協定と韓国大法院の後続判例――徴用工訴訟の消滅時効と会社更生免責(AI作成)

第1 問題の所在と本記事の範囲

日韓請求権協定をめぐる徴用工訴訟では,①慰謝料請求が協定の対象か,②対象外であるとして消滅時効の抗弁が許されるか,③日本の会社更生手続による免責を韓国の訴訟で主張できるかが,別の問題である。
本記事は韓国大法院の2018年10月30日大法廷判決を出発点に,2023年12月21日判決及び2026年2月12日判決を検討する。協定全体の内容,日本の請求権措置法及び両政府の基本的立場は,既存の「日韓請求権協定とは」に整理されている。以下でいう大法院の判断は韓国裁判所の判断であり,日韓両政府が条約解釈に合意したという意味ではない。

段階判決・事件番号主な争点判決から読み取れる範囲
請求権協定の対象大法院2018年10月30日大法廷判決・2013ダ61381不法な植民地支配等を前提とする慰謝料請求多数意見は協定の対象外と判断
消滅時効大法院2023年12月21日判決・2018ダ303653企業の時効抗弁当該訴訟では権利濫用として排斥
会社更生による免責大法院2026年2月12日判決・2024ダ228777日本の更生計画認可による免責等当該上告理由を採用せず,上告棄却

第2 協定第2条と2018年大法廷判決

1 協定の文言と対象の区別

日韓請求権協定の外務省掲載原文第2条1は,両国及びその国民の財産・権利・利益並びに請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決されたこととなる」と定める。同条3は,所定の例外を除き,締約国及びその国民の財産・権利・利益と請求権に関していかなる主張もすることができない旨を定める。
ただし,具体的な損害賠償請求がこの協定で処理された「請求権」に入るかは,条約文と請求の原因を照合して検討する必要がある。

2 大法院の多数意見と少数意見

韓国大法院2018年10月30日大法廷判決(2013ダ61381)の多数意見は,日本の不法な植民地支配及び日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の慰謝料請求権は,請求権協定の適用対象に含まれないと判断した。
同判決には,対象に含まれるが外交保護権のみが放棄されたとする意見や,訴訟による行使も制限されるとする反対意見がある。したがって,「大法院判決は個人請求権一般が協定の対象外とした」という要約は正確でない。判決が扱ったのは,特定の原因に基づく慰謝料請求である。

3 両政府の立場

日本外務省の2018年10月30日外務大臣談話は,大法院判決が請求権協定に明らかに反するとして抗議した。日本政府は協定による「完全かつ最終的」な解決を重視する。
これに対し,韓国外交部の強制動員問題に関する説明は,大法院判決の慰謝料請求権の捉え方を説明する。政府見解を並べることと,条約に関する日韓間の争いが裁判により最終的に解決したこととは異なる。

第3 2023年判決――時効の完成と抗弁の許否

1 判決の対象

大法院2023年12月21日判決(2018ダ303653)は,強制動員被害者らの慰謝料請求に対する日本企業の消滅時効抗弁を扱い,上告を棄却した。同日の関連事件(2019ダ17485)についても,大法院の報道資料が判断を紹介している。

2 「客観的な障害」の意味

判決全文は,債務者の時効援用も信義誠実・権利濫用禁止の原則に服するとした。その上で,原告らには2018年大法廷判決が言い渡されるまで,日本企業に対し権利を事実上行使できない客観的な障害があったと評価し,本件における時効抗弁を許さなかった。
これは,強制動員に関する全ての請求について時効が進行しないという判断ではない。請求の原因,提訴時期,それまでの司法判断等を踏まえた当該事件での抗弁権行使の評価である。「時効期間が何年か」「いつ起算するか」と「時効の援用が権利濫用に当たるか」は分けて読むべきである。

第4 2026年判決――日本の会社更生手続による免責

1 協定対象についての判断

大法院2026年2月12日判決(2024ダ228777)は,強制動員被害者の相続人による日本企業への請求を扱った。同判決は,2018年大法廷判決の枠組みに沿い,問題となる慰謝料請求権は請求権協定の適用対象に含まれないとした。

2 更生計画認可の抗弁

被告側は,日本の旧会社更生法に基づく更生計画認可決定の免責効が原告らにも及ぶと主張した。大法院の判決紹介は,原審がこの主張に明示的に答えなかったとしても,結論に影響する判断漏れはないとし,上告を棄却したことを示す。
ここから,外国の更生計画による免責は韓国で一切効力を持たないという一般論を導くことはできない。免責の対象となる債権,手続参加・通知,適用法と外国裁判の効力など,訴訟ごとの具体的条件を確認する必要がある。本判決を「日本の会社更生法を無効とした判決」と表現することも避けるべきである。

第5 三つの判決を通じた読み方

2018年の争点は協定の対象,2023年の争点は対象外とされた請求に対する時効抗弁,2026年の争点には日本の更生計画による免責が含まれる。各判決は別々の抗弁と事実関係を扱うため,ある判決の理由を他の全事件に機械的に当てはめることはできない。
また,韓国の国内判決による賠償命令,日本政府の条約違反との抗議,韓国政府による支払策は,それぞれ裁判・国家間の解釈・履行方策という別の層に属する。サンフランシスコ平和条約第14条・第19条と請求権処理の記事も,戦後請求権処理の条約上の枠組みを考える参考となる。

第6 出典

1 日韓請求権協定原文(日本外務省),特に第2条。
2 韓国大法院2018年10月30日大法廷判決(2013ダ61381)。
3 韓国大法院2023年12月21日判決(2018ダ303653),同裁判所の判決紹介。
4 韓国大法院2026年2月12日判決(2024ダ228777)の紹介。
5 日本外務省の外務大臣談話,韓国外交部の説明。