日弁連の,報酬等基準規程(昭和24年10月16日会規第7号)


日弁連の,報酬等基準規程(昭和24年10月16日会規第7号)(昭和24年10月16日施行,昭和50年3月31日廃止)の制定時の条文は以下のとおりです(「手数料」は着手金のことであり,「謝金」は成功報酬金のことです。)。

第一條 弁護士の受くべき報酬は、第三條に定める額を標準として地方の事情、事件の難易軽重、依頼者の社会的地位及び資力並びにその受ける利益等を参酌し、適正妥当と認められる金額でなければならない。
第二條 報酬は、手数料、謝金、鑑定料及び顧問料とする。
2 手数料は、事件の依頼を受けたとき、謝金は、依頼の目的を達したとき、鑑定料は、鑑定を終えたとき、顧問料は依頼者との合意により定められた時期に支拂を受けるものとする。
第三條 報酬は、依頼を受けた事件の種類により、左に掲げる標準に従つて定るものとする。
一 民事又は商事に関する事件であつて目的の価額を算定することができるものについては、手数料及び謝金は、それぞれ、目的の価額が十万円以下のものは、その百分の三十以下の金額とし、十万円を越えるものは、そのうち十万円にあたる部分につきその百分の三十以下、十万円を越える部分につき百分の二十以下としてこれを合算した金額とする。但し、手数料及び謝金の金額を合計して目的の価額の百分の五十を越えてはならない。
二 人事事件、非訟事件その他民事又は商事に関する事件であつて目的の価額を算定することができないものについては、事件処理の結果依頼者の受くべき経済上その他の利益を標準とし、前号に準じて手数料及び謝金の金額を定める。
三 仮差押事件、仮処分事件若しくはその異議事件の手数料及び謝金又は証拠保全事件の手数料は、依頼者との合意により、その本案事件の手数料又は謝金に包含させ、又はこれと別に定めることができる。
本案事件と別に定める場合においては、その金額は、前二号の定める標準の二分の一以下とする。
四 破産事件、和議事件、強制執行事件、競売事件及び個人財産又は、法人の整理事件の手数料及び謝金は、第一号の定める標準の二分の一以下の金額とする。但し、整理事件が訴訟、調停、破産、和議その他の裁判上の手続を伴う場合においては、依頼者との合意に基き、その整理事件に対する報酬とは別に、この規程の定める標準により、当該裁判上の手続に対する手数料及び謝金の金額を定めることができる。
五 会社の設立、合併、資本増加、資本減少又は清算に関する手続の依頼を受けた場合における手数料及び謝金は、それぞれ、拂込資本金額、増加若しくは減少した拂込資本金額又は解散当時の会社財産の金額を標準とし、その百分の五以下の金額とする。
六 行政訴訟事件及び特許法第百二十八條の二(実用新案法第二十六條、意匠法第二十五條又は商標法第二十四條の規定により準用する場合を含む。)の規定による訴訟事件の手数料及び謝金については、第二号の規定を準用し、訴願事件の手数料及び謝金は、行政訴訟事件について定めることのできる手数料及び謝金の二分の一以下の金額とする。
七 刑事事件の手数料及び謝金
(一)簡易裁判所係属事件
手数料 三千円以上
謝金
イ 無罪若しくは免訴の言渡を受け、又は公訴が棄却されたときは、三千円以上
ロ 刑の執行猶予の言渡を受けたときは、二千円以上
ハ 罰金を求刑され、判決において科料の言渡を受けたときは千円以上
ニ その他判決における刑の言渡が求刑より著しく軽くなつたときは千円以上
(二)地方裁判所及び高等裁判所係属事件
手数料 五千円以上
謝金
イ 無罪若しくは免訴の言渡を受け、又は公訴が棄却されたときは、五千円以上
ロ 執行猶予の言渡を受けたとき若しくは体刑を求刑され、判決において罰金又は科料の言渡を受けたときは、三千円以上
ハ 罰金を求刑され、判決において科料の言渡を受けたときは、二千円以上
ニ その他判決における刑の言渡が求刑より著しく軽くなつたときは、二千円以上
(三)上告事件
手数料 五千円以上
謝金
イ 破棄差戻又は破棄移送の判決があつたときは、五千円以上
ロ 上告裁判所が原判決を破棄し、みずから判決して有利の結果を得たときは、五千円以上
八 告訴又は告発の代理の委任を受けた場合における手数料は、五千円以上とする。
九 弁護士法第三條第二項の事務を行つた場合における手数料及び謝金は、それぞれ二千円以上とする。
十 鑑定料の金額は、口頭による鑑定の場合は、千円以上、書面による鑑定の場合は、三千円以上とする。但し、鑑定について特別の調査研究を必要とする場合は、依頼者との合意により別にその金額を定めることができる。
十一 契約書、法人又は会社の定款その他書類の作成等に関する手数料は、書面による鑑定をした場合に準じてその金額を定める。
十二 顧問料の額は、年額一万円以上とする。
2 前項第一号及び第二号により定められた手数料及び謝金の標準は、依頼された事件が裁判上のものであると裁判外のものであるとによつて、区別されないものとする。
第四條 報酬は、一箇の事件ごとに定めるものとする。但し、裁判上の事件は、審級ごとに一箇の事件とし、裁判外の事件は、当初依頼を受けた事務の終了をもつて一箇の事件が完結するものとする。
2 前條第一項各号のうち特に規定した場合を除き、一箇の事件の手続と関連して別箇の事件に相当する手続をする必要のある場合には、その手続ごとに前條の規定により定められた手数料及び謝金の標準額の半額を加算することができる。
第五條 依頼者が貧困であるとき、又は弁護士との間に親族関係その他特別の事情があるときは、第三條の規定にかかわらず、手数料及び謝金を減額又は免除することができる。
2 依頼を受けた事件が特に重大であるとき、又は特に複雑であるときは、第三條の規定にかかわらず、手数料及び謝金を増額することができる。
第六條 依頼者が弁護士の責に帰することのできない事由で弁護士を解任し、弁護士に無断で訴の取下、請求の拠棄若しくは認諾、和解その他の行為をして依頼した事件を完結させ、又は故意若しくは重大な過失によつて弁護士をして依頼の事務を処理することをできなくさせたときは、弁護士は、その謝金の全額を請求することができるものとする。
第七條 弁護士が依頼された事件につき、その事務所所在地以外の地に出張する必要があるときは、左の標準によつて、あらかじめ、依頼者より旅費、日当及び宿泊料の支拂を受けるものとする。
旅費 鉄道及び船舶の運賃は、一等の運賃とする。但し、一等のない場合は二等とし、自動車その他の車馬賃は、実費を受けるものとする。
日当 一日千円以上一万円以下
宿泊料 一泊千円以上五千円以下
第八條 書類作成費、訴訟記録謄写料、訴訟書類等貼用印紙代、保証金その他の予納金、通信費その他依頼された事件を処理するに必要な費用は、概算拂を受け、又は必要の都度その支拂を受けるものとする。
附 則

この規定は昭和二十四年十月十六日から適用する。

* 日弁連の報酬に関する規程は,以下の4種類です。
① 報酬等基準規程(昭和24年10月16日会規第7号)
・ 昭和24年10月16日から昭和50年 3月31日まで適用されていました。
② 報酬等基準規程(昭和50年3月20日会規第20号)
・ 昭和50年 4月 1日から平成 7年 9月30日まで適用されていました。
③ 報酬等基準規程(平成7年9月11日会規第38号)
・ 平成 7年10月 1日から平成16年 3月31日まで適用されていました。
④ 弁護士の報酬に関する規程(平成16年2月26日会規第68号)
・ 平成16年 4月 1日から適用されています。


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