日弁連の,報酬等基準規程(昭和50年3月20日会規第20号)


日弁連の,報酬等基準規程(昭和50年3月20日会規第20号)(昭和50年4月1日施行,平成7年9月30日廃止)の制定時の条文は以下のとおりです。

  第一章 総 則
(趣旨)
第一条 弁護士会が定める弁護士報酬等に関する規定は、この規程を基準とし、その弁護士会の所在地域における事情を考慮して、適正妥当に定められなければならない。
(弁護士報酬の種類と支払時期)
第二条 弁護士報酬は、手数料(着手金)、謝金、法律相談料、鑑定料、顧問料及び日当とする。
2 第三章の民事事件及び第四章の刑事事件の手数料は、事件の依頼を受けたとき、謝金は、依頼の目的を達したとき、法律相談料、鑑定料、書類作成手数料、会社設立等手数料、登記登録等手数料、顧問料及び日当は、依頼者との協議により定められたときに、それぞれ支払いを受けるものとする。
(事件の個数と報酬)
第三条 手数料及び謝金は、一件ごとに定めるものとし、裁判上の事件は審級ごとに、裁判外の事件は当初依頼を受けた事務の範囲をもつて一件とする。
2 同一弁護士が上訴審を通じて民事事件を受任したときの謝金は、最終審の謝金のみを受けるものとする。ただし、依頼者との協議によりこれと異なる定めをしたときは、この限りでない。
(報酬等の増減額)
第四条 依頼者が貧困であるとき又は特別の事情があるときは、第二章ないし第六章の規定にかかわらず、弁護士報酬等を減額又は免除することができる。
2 依頼を受けた事件が特に重大若しくは複雑なとき、審理若しくは処理が著しく長期に亘るとき又は受任後同様の事情が生じたときは、第二章及び第三章の規定にかかわらず、弁護士報酬を公正かつ妥当な範囲内で増額することができる。
3 事件の経済的価額以外に、依頼者の受ける利益を加味することが相当な場合は、前項に準ずる。
(解任の場合の報酬等)
第五条 依頼者が、弁護士の責に帰することのできない事由で弁護士を解任したとき、弁護士の同意なく依頼事件を終結させたとき又は故意若しくは重大な過失で依頼事件の処理を不能にしたときは、弁護士は、その弁護士報酬等の全額を請求することができる。
(事件処理の中止等)
第六条 依頼者が、手数料又は事件処理に必要な費用を支払わないときは、弁護士は、事件に着手せず又はその処理を中止することができる。ただし、この場合には、あらかじめ依頼者にその旨を通知しなければならない。
(報酬の相殺等)
第七条 依頼者が、手数料、謝金又は立替費用等を支払わないときは、弁護士は、依頼者に対する金銭債務と相殺し又は事件に関して保管中の書類その他のものを依頼者に引渡さないでおくことができる。ただし、この場合には、すみやかに依頼者にその旨を通知しなければならない。
(報酬契約書の作成)
第八条 弁護士は、事件を受任したときは、すみやかに報酬契約書を作成するよう努めなければならない。
2 報酬契約書には、事件の表示、受任の範囲、弁護士報酬等の金額又はその算定方法並びにその支払の時期、その他特約事項を記載するものとする。
(規定の遵守及び宣伝等の禁止)
第九条 弁護士は、所属弁護士会の定める報酬規定を遵守し、その最低額未満をもつて事件を取扱う旨の表示又は宣伝をしてはならない。
  第二章 法律相談料等
(法律相談料等)
第十条 法律相談料及び鑑定料は、次のとおりとする。
一、法律相談(口頭による鑑定、電話による相談を含む。)一時間以内は五、〇〇〇円以上とし、一時間を超えたときは、右の基準により加算する。
二、書面による鑑定 一件五万円以上
(書類作成手数料)
第十一条 契約書その他書類作成に関する手数料は、一件につき二万円に、第十八条の規定により算定された手数料の五%ないし一〇%を加算した額とする。
2 前項の書類を公正証書にするときは、前項の額に二万円を加算する。
(会社設立等手数料)
第十二条 会社その他の法人の設立、増減資、合併及び組織変更に関する手続の手数料は、資本額又は増減資額に応じて、次のとおり算定する。ただし、一〇万円を下らないものとする。
 五〇〇万円以下のもの      四%
 五〇〇万円を超え一、〇〇〇万円以下の部分     三%
 一、〇〇〇万円を超え五、〇〇〇万円以下の部分     二%
 五、〇〇〇万円を超え一億円以下の部分     一%
 一億円を超え一〇億円以下の部分     〇・五%
 一〇億円を超える部分     〇・三%
(登記、登録等手数料)
第十三条 前条以外の登記、登録等の申請手続の手数料は、二万円以上とする。
(顧問料)
第十四条 顧問料は、月額二万円以上とする。
  第三章 民事事件の手数料及び謝金
(算定方法)
第十五条 本章の手数料及び謝金は、特に定めがない限り、手数料はその事件の対象の経済的利益の価額を、謝金はその事件によって得た経済的利益の価額を基準として算定する。
(算定基準-算定可能な場合)
第十六条 前条の経済的利益の価額は、次のとおり算定する。
一、金銭債権は、債権総額
二、将来の債権は、債権総額から中間利息を控除した額
三、継続的給付債権は、債権総額の一〇分の七の額。ただし、期間不定のものは、七年分の額
四、賃料増減額請求は、増減額分の五年分の額
五、所有権は、対象たる物の時価
六、占有権、地上権、永小作権、賃借権及び使用借権は、対象たる物の時価の二分の一の額。ただし、その権利の時価が本文の価額を超えるときは、その権利の時価
七、土地所有者が、その地上の自己所有の建物の明渡しにより、その土地の使用権をも回復しうるときは、建物の時価に、土地の時価の二分の一を加算した額
八、地役権は、承役地の時価の二分の一の額
九、担保権は、被担保債権額。ただし、担保物の時価が債権額に達しないときは、担保物の時価
十、不動産についての所有権、地上権、永小作権、地役権及び担保権等の登記手続請求事件は第五号、第六号、第八号及び前号に準じた額
十一、借地非訟事件は、第六号の額の二分の一の額
十二、詐害行為取消請求事件は、取消請求債権額。ただし、取消される法律行為の目的の価額が債権額に達しないときは、法律行為の目的の価額
(算定基準-算定不能な場合)
第十七条 前条により経済的利益の価額を算定することができないときは、その価額を三〇〇万円とする。
2 前項の価額は、事件の難易、軽重、手数の繁簡及び依頼者の受ける利益等を考慮して、増減額することができる。
(訴訟事件等)
第十八条 訴訟事件(手形、小切手訴訟を除く。)非訟事件、家事審判事件、行政審判事件及び仲裁事件の手数料並びに謝金は、前二条による価額を基準として、それぞれ次のとおり算定する。
 (手数料)(謝金)
五〇万円以下のもの一五%一五%
五〇万円を超え一〇〇万円以下の部分一二%一二%
一〇〇万円を超え三〇〇万円以下の部分一〇%一〇%
三〇〇万円を超え五〇〇万円以下の部分八%八%
五〇〇万円を超え一、〇〇〇万円以下の部分七%七%
一、〇〇〇万円を超え五、〇〇〇万円以下の部分五%五%
五、〇〇〇万円を超え一億円以下の部分四%四%
一億円を超え一〇億円以下の部分三%三%
一〇億円を超える部分二%二%
2 前項の手数料及び謝金は、事件の内容により、それぞれ三〇%の範囲内で増減額することができる。
(手形、小切手訴訟事件)
第十九条 手形、小切手訴訟事件の手数料及び謝金は、前条により算定された額の二分の一とする。
2 前項の手続が通常訴訟に移行したときの手数料は、前条の規定により算定された額と前項により算定された額との差額とする。
(調停事件)
第二十条 調停事件の手数料及び謝金は、第十八条の規定を準用する。ただし、それぞれの額を三分の二に減額することができる。
2 調停の不調後、引続いて訴訟その他の事件を受任するときの手数料は、第十八条又は前条の規定により算定された額の二分の一とする。
(示談折衝事件)
第二十一条 示談折衝(裁判外の和解交渉)事件の手数料及び謝金は、前条の規定を準用する。
(即決和解事件)
第二十二条 即決和解事件の手数料は、三万円に、第十八条の規定により算定された額の五%ないし一〇%を加算した額とする。
2 前項の事件についての示談折衝の手数料及び謝金は、第二十条の規定を準用する。
(保全事件)
第二十三条 仮差押、仮処分に関する事件の手数料は、第十八条の規定により算定された額の三分の一とする。ただし、審尋又は口頭弁論を経るに至つたときは、同条の規定により算定された額の二分の一とする。
2 前項の事件が重大又は複雑であるときは、前項に準じて謝金を受けることができる。
3 第一項の手続のみにより本案の目的を達したときは、前項の規定にかかわらず、第十八条の規定に準じて謝金を受けることができる。
4 第一項の手数料及び第二項の謝金は、本案事件に併せて受任したときでも、本案事件の手数料、謝金とは別に受けることができる。
(証拠保全事件)
第二十四条 証拠保全事件の手数料は、第十八条の規定により算定された額の一〇%ないし三〇%とする。
2 前項の手数料は、本案事件に併せて受任したときでも、本案事件の手数料とは別に受けることができる。
(督促手続事件)
第二十五条 督促手続事件の手数料は、第二十二条第一項の規定を準用し、謝金は、第十八条の規定により算定された額の二分の一の範囲内で受けることができる。
2 前項の手続が訴訟に移行したときの手数料は、第十八条又は第十九条の規定により算定された額と前項の規定により算定された額との差額とする。
(強制執行事件等)
第二十六条 強制執行及び競売事件の手数料並びに謝金は、第十八条の規定により算定された額の二分の一とする。
2 執行停止事件の手数料は、第十八条の規定により算定された額の三分の一とする。
3 前項の事件が重大又は複雑なときは、前項に準じて謝金を受けることができる。
4 前三項の手数料及び謝金は、本案事件に併せて受任したときでも、本案事件の手数料、謝金とは別に受けることができる。
(公示催告事件)
第二十七条 公示催告事件の手数料は、第二十二条第一項の規定を準用する。
(破産事件等)
第二十八条 破産、和議、整理、清算及び会社更生事件の手数料は、資本金、資産及び負債額並びに関係人等事件の規模に応じて定めるものとし、それぞれ次の額を最低額とする。
 一、破産事件     三〇万円
 二、和議事件     五〇万円
 三、整理事件     五〇万円
 四、清算事件     五〇万円
 五、会社更生事件     一〇〇万円
2 前項の事件の謝金は、第十八条の規定を準用する。この場合の経済的利益の価額は、配当資産、免除債権額、延払いによる利益、企業継続による利益等を考慮して算定する。
3 第一項の事件にかかる債権届出その他関連手続の手数料は、五万円以上とし、その謝金は、第十八条の規定により算定された額の二分の一とする。
(行政上の不服申立事件)
第二十九条 行政上の審査請求、異議申立、再審査請求、その他の不服申立事件の手数料及び謝金は、第十八条の規定により算定された額の二分の一とする。ただし、審尋又は口頭審理等を経るに至つたときは、同条の規定を準用する。
(手数料の特則)
第三十条 第十八条ないし第二十一条、第二十三条及び前条の手数料は、その規定にかかわらず、五万円を下らないものとする。
  第四章 刑事事件の手数料及び謝金
(起訴後の刑事事件)
第三十一条 起訴後の刑事事件の手数料及び謝金の最低額は、次の表による。
手数料謝   金
無 罪刑の執行猶予求刑された刑が軽減された場合等
簡易裁判所事件一〇万円二〇万円一〇万円その程度により適当な金額を受ける。
地方 家庭 裁判所単独審事件一五万円二〇万円一五万円
合議審事件二〇万円三〇万円二〇万円
高等・最高裁判所事件二〇万円三〇万円二〇万円
2 検事上訴の取下げ又は免訴、公訴棄却、刑の免除、破棄差戻、破棄移送及び検事上訴棄却の言渡しがあつたときの謝金は、その受益の程度により、前項に準ずる。
(起訴前の事件)
第三十二条 起訴前の事件の手数料は、前条第一項の規定を準用する。
2 前項の事件が不起訴になつたときの謝金は、前条第一項の無罪又は刑の執行猶予に準ずる。
3 第一項の事件が略式命令により終了したときの謝金は、前条第一項の執行猶予又は求刑された刑が軽減された場合等に準ずる。
4 第一項の事件が起訴(求略式命令を除く。)され、引続いてその事件を受任するときは、さらに前条第一項に定める手数料を受けることができる。
(少年事件)
第三十三条 少年事件(捜査中の事件を含む。)の手数料及び謝金の最低額は、次の表による。
手数料謝 金
不処分、不開始保護観察そ の 他
少年事件一〇万円一五万円一〇万円処分の程度により適当な金額を受ける。
2 前項の事件が起訴(求略式命令を除く。)され、引続いてその事件を受任するときの手数料及び謝金については、第三十一条の規定を準用する。
(保釈等)
第三十四条 保釈、勾留の執行停止、準抗告、即時抗告、忌避、勾留理由開示等の申立事件の手数料及び謝金は、依頼者との協議により、被告事件の手数料及び謝金とは別に受けることができる。
(告訴、告発等)
第三十五条 告訴、告発、検察審査の申立、収監延期、仮釈放、仮出獄、恩赦等の手続の手数料は、一件につき五万円以上とし、謝金は、依頼者との協議により受けることができる。
  第五章 時間制
(時間制)
第三十六条 弁護士は、依頼者と協議の上、受任事件について、第二章ないし第四章の規定によらないで、一時間について五、〇〇〇円以上の額に、事件処理に要した時間を乗じた額を、弁護士報酬として受けることができる。
  第六章 実費等
(実費)
第三十七条 書類作成費、訴訟記録謄写料、訴訟書類等の貼用印紙代、予納郵券代、保証金、予納金、旅費、宿泊料、交通通信費、その他依頼された事件を処理するに必要な費用は、概算払いを受け又は必要の都度、別途に支払いを受けるものとする。
(日当等)
第三十八条 弁護士が、受任事件について出張するときの旅費、日当及び宿泊料は、次のとおりとする。
一、旅費 交通費は実費とし、鉄道、船舶又は航空機の運賃は、最高の運賃とする。
二、日当 一日一万円以上
三、宿泊料 実費
  附 則
1 この規程は、昭和五十年四月一日から施行する。

2 報酬等基準規程(昭和二十四年会規第七号)及び報酬等基準の臨時措置に関する規程(昭和四十八年会規第十八号)は、廃止する。

* 日弁連の報酬に関する規程は,以下の4種類です。
① 報酬等基準規程(昭和24年10月16日会規第7号)
・ 昭和24年10月16日から昭和50年 3月31日まで適用されていました。
② 報酬等基準規程(昭和50年3月20日会規第20号)
・ 昭和50年 4月 1日から平成 7年 9月30日まで適用されていました。
③ 報酬等基準規程(平成7年9月11日会規第38号)
・ 平成 7年10月 1日から平成16年 3月31日まで適用されていました。
④ 弁護士の報酬に関する規程(平成16年2月26日会規第68号)
・ 平成16年 4月 1日から適用されています。


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