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法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムの廃止―最終評価と後継制度の検討状況(AI作成)

第1 本記事の対象と結論

1 令和8年度評価を最後に廃止されること

中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会は,令和8年3月4日,「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムの今後の在り方について」を取りまとめた。
文部科学省は,同提言を受け,加算プログラムを令和8年度評価(令和9年度予算分)を最後に廃止し,廃止までの予算反映額を順次逓減することを決めた。
本記事は,令和8年8月29日現在の公表資料に基づき,制度の仕組み,廃止理由,令和8年度審査結果及び廃止後の検討状況を整理するものである。

令和8年3月10日に公表された「令和8年度審査結果」は,令和8年度の配分率を示すものである。
これに対し,制度を終了させる「令和8年度評価」は,令和9年度予算へ反映される最終評価を意味するため,両者を区別する必要がある。

2 法科大学院への公的支援一般がなくなるわけではないこと

廃止されるのは,司法試験合格率等による基礎額算出率と,各校の機能強化構想の進捗評価による加算率を組み合わせ,国立大学法人運営費交付金又は私立大学等経常費補助金へ反映する現行の配分方式である。
加算プログラムの廃止は,法科大学院に対する国の支援一般を直ちに廃止するという意味ではない。

もっとも,令和8年8月29日現在,廃止後の具体的な予算措置,移行日程及び配分算式を確定した公表資料は確認できない。
現時点で確認できるのは,新たな評価制度の検討方向であり,後継の予算配分制度ではない。

第2 加算プログラムの仕組み

1 基盤的経費へ反映する制度であること

加算プログラムは,深刻な課題を抱える法科大学院の自主的・自律的な組織見直しを促すため,平成24年度予算から導入された「公的支援見直し」を前身とする。
評価結果は,国立大学については国立大学法人運営費交付金,私立大学については私立大学等経常費補助金のうち法科大学院支援へ反映されてきた。

公立大学の法科大学院には,これらの国の基盤的経費が配分されないため,加算プログラムの対象とされていない。
令和8年度審査で提案を行った32校は,国立15校及び私立17校である。

2 基礎額算出率と加算率

現行制度では,司法試験合格率,入学者選抜の競争倍率その他の客観的指標によって,各校の基礎額算出率を定める。
その上で,各法科大学院が作成した令和6年度から令和10年度までの機能強化構想及び数値目標について,年度ごとの進捗状況を評価して加算率を定める。

令和8年度審査では,基礎額算出率が60%から90%まで,加算率が0%から50%までの範囲で各校に設定され,両者の合計が配分率として示された。
審査要領上は基礎額算出率0%の区分も設けられているが,令和8年度に同区分となった学校はない。

3 配分率と実際の交付額は同じではないこと

公表表に記載された数値は各校の配分率であり,その数値自体が交付額を示すものではない。
文部科学省の審査結果には,加算分について,予算の範囲内で各校の配分額を一律に調整する場合がある旨の注記がある。

したがって,配分率140%の学校が,前年度又は他校の1・4倍の金額を実際に受け取ると直ちに理解することはできない。
具体的な金額を比較するには,国立・私立の別,算定の基礎となる額及び当該年度の予算調整を別に確認する必要がある。

第3 制度が廃止される理由

1 導入時に重視された三つの指標が改善したこと

令和8年3月4日の提言は,公的支援見直しの導入時に重視された三つの指標について,次の変化を示している。
①司法試験合格率が全国平均の半分未満の法科大学院は,平成26年度の8校から令和6年度の2校へ減少した。
②入学者選抜の競争倍率が2倍未満の法科大学院は,平成27年度の26校から令和7年度の1校へ減少した。
③入学者数が10人未満の法科大学院は,平成27年度の6校から令和7年度の0校へ減少した。

提言は,三つの指標すべてに該当する「深刻な課題を抱える法科大学院」は現在存在せず,現行プログラムは当初の役割を終えたと評価した。
ただし,この時系列上の改善は,加算プログラムだけが改善を生じさせたことを示す因果分析ではない。

同じ期間には,法科大学院の募集停止及び定員削減,法曹コース及び在学中受験の導入,司法試験受験者の構成変化等も生じている。
残存校に関する指標の改善と,募集停止校を含めた制度全体の評価や地方での教育機会の確保とは,同じ評価対象ではない。

2 基盤的経費が毎年度変動すること

提言は,司法試験合格率が最終的な配分率へ大きく影響し,特に小規模校では1人の入学者又は合格者の増減が配分率を大きく左右すると指摘した。
また,本来は安定的に配分されるべき基盤的経費が毎年度変動するため,中長期的な見通しを持った運営が困難になるとの法科大学院側の意見を紹介している。

減額された学校からは,非常勤講師の担当科目,教育補助者,課外講座,奨学金,教員研究費及び旅費等を縮小せざるを得ないとの回答があった。
これは,教育改善を促すための減額が,改善に必要な資源を減らす方向にも作用し得ることを示す資料上の指摘である。

3 認証評価との重複及び評価負担

提言は,加算プログラムの年度評価と法科大学院の分野別認証評価との重複感があり,評価資料の作成が教育研究活動へ影響するとの負担感を課題に挙げた。
もっとも,両制度は,前者が評価結果を基盤的経費へ反映する制度であるのに対し,後者が教育研究活動の質を確認する法定の認証評価である点で,目的及び法的根拠が異なる。

学校教育法109条3項は,専門職大学院を置く大学に対し,教育課程,教員組織その他の教育研究活動について認証評価を受けることを求めている。
学校教育法施行令40条は,同項の認証評価の期間を5年以内としている。

第4 令和8年度審査結果

1 全32校の配分率

令和8年度審査結果では,公立2校を除く32校について,次の配分率が示された。
表は文部科学省の公表順に従い,基礎額算出率,加算率及びその合計である配分率を記載したものである。

設置形態法科大学院基礎額算出率加算率配分率
国立北海道大学70%30%100%
国立東北大学80%15%95%
国立筑波大学70%5%75%
国立千葉大学60%15%75%
国立東京大学90%50%140%
国立一橋大学90%15%105%
国立金沢大学70%15%85%
国立名古屋大学70%15%85%
国立京都大学90%30%120%
国立大阪大学90%30%120%
国立神戸大学90%30%120%
国立岡山大学70%15%85%
国立広島大学60%15%75%
国立九州大学70%15%85%
国立琉球大学60%15%75%
私立学習院大学60%0%60%
私立慶應義塾大学90%15%105%
私立上智大学70%15%85%
私立専修大学80%20%100%
私立創価大学70%0%70%
私立中央大学90%0%90%
私立日本大学70%5%75%
私立法政大学70%5%75%
私立明治大学70%30%100%
私立早稲田大学90%15%105%
私立愛知大学80%5%85%
私立南山大学70%15%85%
私立同志社大学80%20%100%
私立立命館大学60%15%75%
私立関西大学70%5%75%
私立関西学院大学80%15%95%
私立福岡大学70%15%85%

2 配分率100%以上は11校であること

令和8年度の表では,配分率100%以上は32校中11校であり,割合は約34・4%である。
これは,文部科学省の表から11校を抽出し,11を32で除して小数第1位まで表示した本記事の計算である。

最高は東京大学の140%であり,京都大学,大阪大学及び神戸大学が120%で続く。
もっとも,配分率は単年度の評価結果であり,教育の質又は大学の序列を一つの数値で確定するものではない。

第5 廃止に対する委員会での留保

1 司法試験合格率を軽視しないこと

令和7年12月12日の第122回会議では,司法試験合格率が法科大学院教育の重要な成果指標であること自体は変わらず,制度廃止が合格率を軽視するとの誤ったメッセージにならないようにすべきであるとの意見が出た。
他方で,小規模校では1人の増減が率を大きく変えるため,合格率だけで学校の教育改善を評価することにも限界があると指摘された。

この二つの意見は矛盾するものではない。
共通の成果指標として合格率を確認しつつ,学校規模,入学者の特性,教育環境及び各校固有の目標をどう評価するかという制度設計上の課題を示している。

2 5年間の構想と廃止時期の関係

現行の機能強化構想は,令和6年度から令和10年度までの5年間を対象として開始された。
第122回及び第123回会議では,その途中で予算配分制度を廃止することになるため,各校が設定した取組及び数値目標をどのように引き継ぐかが論点となった。

令和8年3月4日の提言は,各校が自己点検・評価の中で取組と数値目標を引き続きモニタリングし,教育成果の可視化及びPDCAサイクルの確立へつなげることが重要であるとした。
したがって,予算配分方式が終了しても,各校の5年間の構想まで直ちに終了するという整理ではない。

3 地方及び多様な法的役割への支援

提言は,法科大学院の募集停止が進んだ結果,法科大学院が所在しない地域が生じ,法曹を目指す者の地理的なアクセスが課題になったとする。
第123回会議では,企業法務,グローバル,AI・デジタル等の新たな需要だけでなく,地域司法,市民の権利擁護その他の幅広い法的役割も評価対象とすべきであるとの意見が出た。

これらは委員会資料又は委員の発言であり,廃止後の支援内容として確定したものではない。
具体的な支援内容は,今後の予算資料及び新評価制度の確定文書で確認することになる。

第6 廃止後の評価制度は検討中であること

1 令和8年7月の方向性案

法科大学院等特別委員会は,令和8年7月10日の第124回会議で,「法科大学院における新たな評価の在り方の方向性(案)」を審議した。
同案は,大学全体の内部質保証と法科大学院単位の質保証・質向上を組み合わせ,共通の成果指標と各校独自の特色ある目標を分けて評価する方向を示している。

また,学生の司法試験合格実績だけでなく,学修環境及び教育改善の取組も評価対象とする考え方が議論された。
この構造には現行プログラムの基礎部分と加算部分に似た面があるが,同案は教育の質保証に関する評価案であって,確定した予算配分方式ではない。

2 確定していない事項

令和8年8月29日現在,評価を何段階とするか,評価周期をどのように定めるか,認証評価機関とどのように役割を分担するかは確定していない。
新たな評価結果を国立大学法人運営費交付金又は私立大学等経常費補助金へ連動させるかも,公表資料からは確認できない。

今後確認を要するのは,①令和8年度評価の最終結果及び逓減後の予算反映方法,②廃止後の基盤的経費における法科大学院支援の位置付け,③新評価制度の確定内容及び開始時期,④地方,小規模校及び法学未修者教育への支援方法である。
これらが公表されるまでは,「加算プログラムが別名で続く」又は「公的支援がなくなる」のいずれとも断定できない。

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第8 出典・参考資料

1 法令

学校教育法(昭和22年法律第26号)109条(令和8年8月29日確認)
学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)40条(令和8年8月29日確認)

2 中央教育審議会の提言及び議事録

①中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムの今後の在り方について」(令和8年3月4日),資料上1頁~7頁(PDF2頁~8頁)
②中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会第122回議事録(令和7年12月12日)及び第123回議事録(令和8年3月4日)
③中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会第124回議事録及び配布資料(令和8年7月10日)

3 文部科学省の制度運用資料及び審査結果

①文部科学省「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムの廃止ついて」(令和8年3月10日公表)
②文部科学省「令和8年度法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム審査結果」(令和8年3月10日),PDF1頁~7頁
③中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会「法科大学院における新たな評価の在り方の方向性(案)」(第124回配布資料3-5,令和8年7月10日),PDF1頁~4頁