第1 函館修習の位置付けと本記事の基準日
1 函館修習とは
函館修習とは,函館を分野別実務修習地とする司法修習をいう。
配属庁会は,函館地方裁判所,函館地方検察庁及び函館弁護士会である。
司法修習生は,この三機関で民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の四分野を修習し,その後に選択型実務修習及び集合修習を受ける。
2 実務修習の法的な仕組み
司法修習生は,司法試験に合格した者の中から最高裁判所が命ずるものであり(裁判所法66条1項),少なくとも一年間修習をした後に試験に合格したときに修習を終える(同法67条1項)。
裁判官の研究及び修養並びに司法修習生の修習に関する事務を取り扱わせるため,最高裁判所に司法研修所が置かれている(同法14条)。
司法修習生に関する規則1条は,司法研修所長が修習の全期間を通じて司法修習生を統轄すると定める。
同規則5条1項は,修習期間のうち少なくとも十箇月は実務を修習しなければならないとし,同条2項は,そのうち少なくとも四箇月は裁判所で,二箇月は検察庁で,二箇月は弁護士会で修習しなければならないとしている。
実務修習の時期及び場所を定めるのは,最高裁判所ではなく司法研修所長である(同規則5条3項)。
そして,実務修習は,司法研修所長が地方裁判所,地方検察庁又は弁護士会に委託して行わせるものとされ(同規則7条1項),実務修習の間の司法修習生に対する監督は,最高裁判所が高等裁判所長官,地方裁判所長,検事長,検事正又は弁護士会長に委託する(同規則8条)。
したがって,函館修習における指導は,司法研修所からの委託を受けた函館地方裁判所,函館地方検察庁及び函館弁護士会が行うことになる。
同規則9条1項は,委託を受けた庁会が常に司法研修所と緊密な連絡を保つべきものとし,同条2項は,司法研修所が各庁会の修習の担当者を召集して協議を行うことができるとしている。
また,同規則10条は,実務修習を終えた際に,地方裁判所長,検事正及び弁護士会長が修習事項の大要,成績,行状その他参考となる事項を司法研修所長に報告しなければならないと定める。
規則の現行条文は司法修習生に関する規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第15号)に掲載している。
3 本記事の基準日と資料の使い分け
本記事は,令和8年8月29日現在の公開資料及び司法行政文書の開示資料に基づいて,函館修習の班・クラス,日程,配属人数,希望指数,実務修習の内容,所在地,住居及び冬季の生活を整理するものである。
第79期については,班,クラス及び日程を原資料で確定できる。
これに対し,配属人数は第78期まで,函館内部の班別巡回順序は第78期まで,希望順位別人数は第69期までしか原資料が存在しない。
本記事では,第79期について確定できる事項と,過年度の資料からしか分からない事項とを節ごとに分けて記載する。
第2 第79期函館の班とクラス
1 函館はB班であること
最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」2頁は,実務修習地を二つに区分し,集合修習と選択型実務修習の順序を定めている。
区分①は東京,立川,横浜,さいたま,千葉,大阪,京都,神戸,奈良,大津及び和歌山の11庁であり,区分②はそれ以外の実務修習地である。
函館は区分②に属するため,分野別実務修習の後に選択型実務修習を行い,その後に司法研修所で集合修習を受ける。
手引き自体はA班・B班という語を用いていないが,司法研修所の第79期教官担当表は,区分①に対応する組をA班,区分②に対応する組をB班と表記している。
本記事も,原資料の表記に合わせてA班・B班の呼称を用いる。
2 第79期の函館はB班1組であること
司法研修所の第79期教官担当表(令和8年4月17日付)によれば,第79期のクラスは全22組であり,B班が第1組から第11組まで,A班が第12組から第22組までである。
函館は,札幌,旭川,釧路及び青森とともにB班1組に属する。
同表は,令和8年2月9日付,同年3月4日付,同年4月13日付,同年4月14日付及び同年4月17日付の各版が公開されている。
実務修習地と組の対応関係は,最も早い令和8年2月9日付の版から令和8年4月17日付の版まで一貫して同一であり,版によって異なるのは各科目の教官名だけである。
そのため,函館がB班1組であることは,教官の交代とは無関係に確定している。
各期の対応関係は実務修習地とクラスの対応関係(第67期から第79期まで)に,各版の原本は司法研修所の教官担当表に掲載している。
3 三つの「班」を混同しないこと
函館修習の資料に現れる区分には,少なくとも次の三つがある。
| 区分 | 意味 | 第79期の函館 |
|---|---|---|
| A班・B班 | 選択型実務修習と集合修習のどちらを先に行うかを示す区分 | B班 |
| 組(クラス) | 司法研修所における導入修習及び集合修習の教育単位 | B班1組(札幌・函館・旭川・釧路・青森) |
| 函館内部の班 | 函館に配属された修習生が四分野を回る順序を分ける区分 | 公開資料からは確認できない |
B班1組であることは,札幌,函館,旭川,釧路及び青森の修習生が司法研修所で同じクラスになることを意味するにとどまり,五庁の修習生が函館で一緒に修習するという意味ではない。
第77期及び第78期のB班1組は,札幌,函館,旭川及び釧路の北海道内四庁だけで構成されていた。
第79期では,これに青森が加わっている。
第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)によれば,第78期にB班1組を構成した四庁の配属現員は,札幌46人,函館6人,旭川6人及び釧路6人の合計64人であった。
4 組についての希望調査は行われていないこと
最高裁判所事務総長の令和8年5月20日付司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第1657号)は,「第78期司法修習生組別志望等調査表」について,当該文書を「作成又は取得していない」としている。
したがって,司法修習生が自分の組を希望する手続は設けられていないと考えられる。
どの組に配属されるかは,実務修習地が決まれば教官担当表の対応関係によって定まる。
第3 第79期函館修習の日程
第79期の函館修習に関係する日程は,次のとおりである。
修習実日数は,司法研修所の「第79期 修習日程」に記載された日数であり,始期から終期までの暦日数ではない。
| 区分 | 期間 | 修習実日数 | 場所又は内容 |
|---|---|---|---|
| 導入修習 | 令和8年3月19日~4月10日 | 16日 | 和光市の司法研修所 |
| 移動 | 4月11日~13日 | ― | 函館への移動 |
| 第1クール | 4月14日~6月9日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 第2クール | 6月10日~8月2日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 第3クール | 8月3日~9月28日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 第4クール | 9月29日~11月20日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 移動 | 11月21日~23日 | ― | 選択型実務修習の準備 |
| 選択型実務修習 | 11月24日~令和9年1月8日 | 30日 | 函館をホームグラウンドとする |
| 移動 | 令和9年1月9日~12日 | ― | 和光市への移動 |
| 集合修習 | 1月13日~2月25日 | 30日 | 司法研修所 |
| 自由研究日 | 2月26日 | 1日 | 司法修習生考試前の自由研究日 |
最高裁判所は,第79期司法修習生の「修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間」を令和8年3月19日から令和9年3月24日までと定めている。
これは修習給付金の支給期間の基礎となる期間であり,二回試験の具体的な実施日とは別の事項である。
全国日程及び二回試験に関する情報は,第79期司法修習の日程で別に整理している。
各クールの区切りは期ごとに異なるため,第78期司法修習の日程の日付を第79期に流用してはならない。
B班である函館では,分野別実務修習が終わる令和8年11月20日の後も,令和9年1月8日まで函館をホームグラウンドとする選択型実務修習が続く。
賃貸借契約の終了日は,分野別実務修習の最終日ではなく,選択型実務修習の実施場所,和光市への移動日,退去予告期間及び短期解約違約金を確認して決める必要がある。
第4 配属人数と希望指数
1 第69期から第78期までの配属現員
司法修習生配属現員表の原本で函館の人数を確認できるのは,次の各期である。
本記事は,各期の配属現員表の原本PDFを1件ずつ実見して数値を確認した。
| 修習期 | 基準日 | 函館の配属現員 | 全国の計 |
|---|---|---|---|
| 第69期 | 平成27年11月27日 | 7人 | 1788人 |
| 第70期 | 平成28年11月27日 | 7人 | 1533人 |
| 第71期 | 平成29年11月27日 | 6人 | 1516人 |
| 第72期 | 平成30年11月27日 | 6人 | 1482人 |
| 第73期 | 令和元年11月27日 | 6人 | 1473人 |
| 第74期 | 令和3年3月31日 | 6人 | 1456人 |
| 第75期 | 令和3年11月12日 | 6人 | 1329人 |
| 第76期 | 令和4年11月27日 | 6人 | 1394人 |
| 第77期 | 令和6年3月21日 | 6人 | 1830人 |
| 第78期 | 令和7年3月19日 | 6人 | 1556人 |
函館の配属現員は,第71期以降の8期にわたって6人で一定している。
これは本シリーズで扱う実務修習地の中でも変動の小さい部類である。
もっとも,配属現員は各表の基準日に在籍していた実人数であり,函館の定員又は募集枠を示すものではない。
各期の原資料は司法修習生配属現員表(48期以降)に,全国の人数の推移は修習開始時点における司法修習生の人数の推移に掲載している。
第79期の修習地別の内訳を示す配属現員表は,令和8年8月29日現在,公表を確認できない。
そのため,本記事は第79期の函館配属人数を記載せず,近年の人数から推定することもしない。
2 第69期の希望順位別人数
第69期までは,実務修習地別に第1希望から第6希望までの人数が判明する資料が存在した。
第69期の函館の数値は次のとおりである。
| 項目 | 人数等 |
|---|---|
| 群の分類 | 3群 |
| 配属人数 | 7人 |
| 第1希望 | 2人 |
| 第2希望 | 4人 |
| 第3希望 | 7人 |
| 第4希望 | 4人 |
| 第5希望 | 37人 |
| 第6希望 | 30人 |
| 第1希望指数 | 0.29 |
| 第1・第2希望指数 | 0.86 |
「第1希望指数」は第1希望者数を配属人数で割った値(2÷7)であり,「第1・第2希望指数」は第1希望者数と第2希望者数の合計を配属人数で割った値(6÷7)である。
第5希望及び第6希望の人数が第1希望の人数を大きく上回っているのは,希望の記載方法によるものである。
第69期の希望地調査では,第1希望から第6希望まで記載することができたが,1群の修習地16個は二つまでしか記載できず,第5希望及び第6希望は必ず3群の修習地20個から選ぶ必要があった。
函館は3群であるため,第5希望欄及び第6希望欄に多数の修習生が函館を記載する結果になっていた。
第5希望及び第6希望の人数は,函館を積極的に志望した人数を示すものではない。
3 希望指数の読み方
この指数は,抽選倍率でも,函館を第1希望にした人の配属成功率でもない。
実務修習地の決定では,希望地及び希望順位に加え,健康状態,家族関係その他の個別事情を考慮し,全国の配置を調整することが,最高裁判所の情報公開答申資料から確認できる。
同じB班1組では,札幌の第69期の第1希望指数が1.38であるのに対し,函館は0.29,旭川は0.13,釧路は0.00であった。
しかし,修習生総数,希望提出方式,各地の受入枠及び個別事情は期ごとに異なるため,この数値を第79期の「入りやすさ」又は当選確率として用いることはできない。
過年度の一覧表は司法修習の場所を選ぶ際の基礎データに掲載している。
4 第70期以降の資料状況
最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の平成29年4月28日答申は,第69期以前は希望地調査表を作成していたが,第70期については事務の合理化のため同表を作成しなかったとする。
同答申は,配属は希望を基本としつつ,個別事情を考慮して決め,全体的な希望傾向を考慮することもあると説明している。
第79期の実務修習希望地調査表についても,最高裁判所事務総長の令和8年3月18日付司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第782号)が,当該文書を「作成又は取得していない」としている。
第78期についても,同じく令和8年1月19日付の同通知書(最高裁秘書第3778号)が同様の判断を示している。
したがって,第79期の函館修習について,公開一次資料に基づく現在の希望倍率は算出できない。
「第5希望でも函館になった」という個人の体験は存在するが,それを配属確率へ一般化することはできない。
第5 分野別実務修習の内容
1 四分野と最低修習期間
司法修習生に関する規則5条2項は,実務修習のうち少なくとも四箇月は裁判所で,二箇月は検察庁で,二箇月は弁護士会で修習しなければならないと定める。
第79期の分野別実務修習は四クールに分かれ,各クールの修習実日数はいずれも37日である。
各分野の具体的な指導内容は,民事裁判修習の実際,刑事裁判修習の実際,検察修習の実際及び弁護修習の実際で整理している。
2 第78期函館の班別巡回順序
第78期の函館について公表された巡回順序は,次のとおりであった。
| 函館内部の班 | 第1クール | 第2クール | 第3クール | 第4クール |
|---|---|---|---|---|
| 1班 | 検察 | 民事裁判 | 弁護 | 刑事裁判 |
| 2班 | 刑事裁判 | 検察 | 弁護 | 民事裁判 |
家庭裁判所修習は,刑事裁判修習中に行うものとされていた。
公表資料には1班及び2班の人数が書かれていないため,第78期の6人が三人ずつであったとは断定できない。
また,第79期の班の数及び巡回順序を示す公開資料は確認できず,第78期と同じ順序になるとは限らない。
3 四つの分野別実務修習の内容
民事裁判修習では,民事事件の記録を検討し,争点整理,事実認定及び法的判断の過程を学ぶほか,法廷を傍聴し,裁判官の指導を受けて裁判書面の起案等を行う。
刑事裁判修習では,刑事事件の記録及び公判を素材として,訴訟手続,証拠の評価,事実認定,量刑及び裁判書の作成過程を学ぶ。
検察修習では,捜査及び公判に関する検察実務を学び,事件記録の検討,被疑者及び参考人の取調べ,事件処理方針の検討,起訴状及び不起訴裁定書等の起案並びに公判立証の検討等を行う。
弁護修習では,配属先の法律事務所で指導担当弁護士の実務に接し,法律相談,依頼者との打合せ,調査,書面作成及び裁判手続等を通じて民事弁護及び刑事弁護の実務を学ぶ。
具体的な担当事件及び修習方法は,事件の状況,配属先及び指導担当者によって異なる。
司法修習生は,司法修習生に関する規則3条により,修習にあたって知った秘密を漏らしてはならないとされている。
修習で知った個別事件の内容を外部に出すことはできない。
4 函館地方検察庁の組織と司法修習の担当課
検察庁事務章程(昭和60年4月6日法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号最終改正)別表第1は,部を置く地方検察庁を,東京,大阪,名古屋,横浜,さいたま,千葉,京都,神戸,福岡,札幌,広島,仙台及び高松の13庁に限定している。
函館地方検察庁はこれに含まれないため,部の置かれていない地方検察庁である。
全国50庁の地方検察庁のうち,部の置かれていない庁は37庁である。
同章程別表第3によれば,「その他の地方検察庁」には,事務局に総務課及び会計課が置かれるほか,企画調査課及び監査室が置かれる。
同章程別表第6は,企画調査課の所管事務の第3号として「司法修習生の修習指導に関すること(教養課又は司法修習課の置かれていない庁に限る。)」を掲げている。
函館地方検察庁には教養課及び司法修習課が置かれていないため,検察修習に関する事務は企画調査課が担当することになる。
令和8年4月8日付法務省入定第16号「検察庁の職員の配置定員について」(令和8年4月1日から適用)別表第3によれば,函館地方検察庁の配置定員は,検事5人,副検事3人,行政職(一)・公安職(二)60人及び行政職(二)1人の合計69人である。
これは,札幌高等検察庁の管内四庁(札幌257人,旭川85人,釧路100人,函館69人)の中で最も小さい規模である。
この定員は管内の各区検察庁を含む数であり,同通達第5項により,支部及び区検察庁ごとの定員は検事正が別に定めるとされているため,本庁だけの人数はこの通達からは分からない。
また,定員であって各時点の現員ではなく,検事の欄には検事正及び次席検事が含まれる。
各地の検察庁の内部規程については各地の検察庁の執務規程に,配置定員の各年度の通達については法務省の定員に関する訓令及び通達に掲載している。
5 函館弁護士会における弁護修習
日本弁護士連合会「弁護士白書2025年版」の基礎的な統計情報によれば,令和7年(2025年)3月31日現在の函館弁護士会の正会員数は53人(うち女性11人・20.8%)であり,法律事務所数は33である。
北海道弁護士会連合会の四会(札幌862人,釧路84人,旭川78人,函館53人)の中で最も会員数が少ない。
第78期の函館配属現員6人をこの事務所数と対比すると,およそ五・六事務所に一人という規模になる。
これは本記事が二つの資料の数値から計算した目安であり,指導担当事務所の割当方法を示すものではない。
少人数の弁護士会では,指導担当弁護士との距離が近くなる一方,配属先の取扱分野によって経験できる事件の幅が左右されやすい。
第48回司法修習委員会議事録29頁から31頁までによれば,適切な実事件が現れない場合には過去の事件記録を利用して修習機会を補う運用がある。
同議事録24頁から26頁までによれば,第78期の民事裁判修習では起案目標がおおむね達成された一方,民事保全,民事執行及び倒産について,修習期間中に適切な事件が現れず具体的事件への関与機会を確保しにくい場合があったと報告されている。
第6 選択型実務修習と集合修習
選択型実務修習では,弁護修習先の事務所をホームグラウンドとし,実務修習地が提供する個別プログラム,全国の修習生を対象とするプログラム及び修習生が自ら開拓するプログラムを組み合わせる。
函館はB班であるため,令和8年11月24日から令和9年1月8日までがこの期間となる。
第48回司法修習委員会議事録によれば,全国プログラムには民間企業,地方公共団体及び児童相談所等があり,人気のあるプログラムでは希望者が定員を上回ることがある。
第78期の函館修習生の体験記には,通常の分野別実務修習では渉外事件又は英語を使う機会がなかったため,全国プログラムの渉外事務所修習を選んだという記載がある。
これは一人の体験であって函館修習の標準的な内容を示す統計ではないが,分野別実務修習で経験しにくい領域を選択型実務修習で補うという制度の使い方を具体的に示している。
第79期の函館で提供される個別プログラムの名称,内容,定員及び選考方法は,公開資料から確認できない。
制度の枠組みは選択型実務修習のガイドライン等及び選択型実務修習に関する資料に掲載している。
集合修習では,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護及び刑事弁護の五科目について,修習記録を用いた起案,講評及び討論等を行う。
函館を含むB班は,選択型実務修習を終えた後の令和9年1月13日から,和光市の司法研修所で集合修習を受ける。
第7 主な修習先の所在地と通勤
1 三機関の所在地
函館の三機関は,いずれも函館市上新川町にあり,相互に近接している。
| 機関 | 所在地 | 交通・連絡先 |
|---|---|---|
| 函館地方裁判所(函館家庭裁判所を併置) | 函館市上新川町1番8号 | 市電「千歳町」又は「昭和橋」から徒歩約5分 |
| 函館地方検察庁 | 〒040-0031 函館市上新川町1番13号 | 市電「千歳町」又は「昭和橋」から徒歩約5分。電話0138-41-1231(代表) |
| 函館弁護士会 | 函館市上新川町1番3号 | 市電「千歳町」から徒歩約3分,バス「昭和通り」から徒歩約1分。電話0138-41-0232 |
三機関が同じ町内に集まっていることは,住居の候補区域を考える際の基礎情報である。
もっとも,弁護修習では指導担当弁護士の事務所その他の場所へ移動することがあるため,上新川町への近さだけで住居を決めるのではなく,市電,バス及び徒歩の経路も確認した方がよい。
2 市電と日常の移動
函館市電の大人運賃は,令和7年12月1日以降,乗車距離に応じて250円,270円,290円又は300円であり,交通系ICカードを利用できる。
転入後の届出,ごみの分別,医療,防災及び交通の入口としては,函館市が公表する生活ガイドブックが利用できる。
弁護修習の配属法律事務所,法律相談,刑事施設,現場見分又は選択型実務修習の訪問先は公開資料から分からない。
このため,自動車が必須であるとも不要であるとも一律には断定できない。
第8 住居,家賃及び修習給付金
1 住居は各自で確保すること
最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」2頁は,指定された実務修習地における住居の確保は各自で行うことになっていると明記している。
最高裁判所,函館地方裁判所,函館地方検察庁及び函館弁護士会の公表ページでは,函館修習生専用の寮又は公式のあっせん物件一覧を確認できなかった。
これは,非公表の案内又は期ごとの連絡がないことまで意味しない。
2 家賃の目安
函館市の特定地区について,調査時点,対象物件及び集計方法が明示された平均家賃の公的統計は確認できなかった。
そのため,本記事は函館の家賃相場の数値を掲げない。
物件ごとの賃料,管理費,敷金及び礼金を個別に比較する必要がある。
冬季をまたぐ第79期の日程を前提とすれば,少なくとも,①管理費を含む月額,②初期費用,③退去予告期間と短期解約違約金,④暖房方式及び燃料費,⑤断熱及び窓の仕様,⑥水道凍結時の水抜き方法,⑦除雪の分担,⑧冬季の徒歩経路,⑨家具・家電の有無を契約前に確認した方がよい。
3 修習給付金の種類と額
裁判所法67条の2第1項は,司法修習生に対し,修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間,修習給付金を支給すると定め,同条2項は,その種類を基本給付金,住居給付金及び移転給付金とする。
第79期修習給付金案内によれば,基本給付金は給付期間ごとに13万5000円である。
住居給付金は,賃貸住宅に居住するなどの要件を満たす場合,給付期間ごとに3万5000円である。
移転給付金は,修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合で,所定の届出が行われた場合に,最高裁判所の定める路程に応じた定額が支給される。
4 集合修習期間の取扱い
第79期修習給付金案内によれば,導入修習又は集合修習のために司法研修所の寮等に居住した期間を含む給付期間については,住居給付金が日割りによって計算される。
函館の賃貸借契約を維持していても,その期間の全額が支給されるわけではない。
函館はB班であり,令和9年1月13日から2月25日まで和光市の司法研修所で集合修習を受ける。
函館の住居をいつまで維持するかは,この取扱いと家賃総額を併せて検討する必要がある。
届出の期限及び提出書類については,司法修習に関する事務便覧(令和7年3月)とはも参照されたい。
第9 積雪及び冬季の生活
1 冬季の気温と積雪
函館では,第4クールの後半から選択型実務修習を経て集合修習へ移動する時期が積雪期と重なる。
気象庁の1991年から2020年までの平年値によれば,函館の冬季の気温と雪は次のとおりである。
| 月 | 平均気温 | 日最高気温の平均 | 日最低気温の平均 | 降雪の深さの合計 | 最深積雪 |
|---|---|---|---|---|---|
| 12月 | マイナス0.1度 | 3.2度 | マイナス3.6度 | 79センチメートル | 22センチメートル |
| 1月 | マイナス2.4度 | 0.9度 | マイナス6.0度 | 91センチメートル | 34センチメートル |
| 2月 | マイナス1.8度 | 1.8度 | マイナス5.7度 | 74センチメートル | 41センチメートル |
年間では,降雪の深さの合計が306センチメートル,最深積雪が45センチメートルである。
1月については,日合計降雪量の最大が18センチメートルであり,降雪の深さの日合計が1センチメートル以上となる日数は19.6日である。
積雪の深さが1センチメートル以上となる日数は,1月は29.4日である。
同じB班1組の中では,旭川(年間557センチメートル)及び札幌(同479センチメートル)より少なく,釧路(同127センチメートル)より多い。
これらは平年値であって,特定の年の積雪量又は通勤路の状態を示す数字ではない。
2 水道凍結と除雪
函館市は,水道の凍結への注意及び除雪に関する情報を公表している。
賃貸住宅では,水抜きの方法,建物前及び駐車場の除雪を貸主又は管理会社が行うのか入居者が行うのかを,契約前に確認する必要がある。
徒歩又は市電を中心にする場合は,防水性のある履物及び路面凍結への備えが必要である。
これらは個別の年の降雪予測ではなく,平年値及び市の公表資料から導く生活上の備えである。
第10 公開資料で確認できない事項
令和8年8月29日までに確認した公開資料からは,①第79期の函館配属人数,②第79期函館の班の数及び四分野の巡回順序,③第79期の弁護修習の配属法律事務所,④第79期函館の選択型実務修習の個別プログラム,⑤公式の住宅あっせん,⑥代表性のある平均家賃,⑦第70期以降の希望順位別人数を確認できない。
なお,第63期の函館修習を回顧した東京弁護士会の会報記事によれば,平成21年当時の配属は12人であったとされる。
これは約15年前の回顧であり,現在の配属人数,指導体制又は行事の実施を示す資料ではない。
これらを推測で補うと,住居選び又は修習地の検討を誤らせるおそれがある。
配属庁会からの通知,修習給付金案内及び函館弁護士会からの案内が交付された場合は,その記載を優先すべきである。
修習地の希望の出し方については第2希望の実務修習地の選び方で整理している。
出典・参考資料
1 法令及び最高裁判所規則
①裁判所法(昭和22年法律第59号)14条・66条・67条・67条の2(e-Gov法令検索,令和8年8月29日確認)
②司法修習生に関する規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第15号)1条・3条・5条・7条・8条・9条・10条(令和7年2月12日最高裁判所規則第3号による改正後の条文)
③司法修習生の修習給付金の給付に関する規則(平成29年8月4日最高裁判所規則第3号)(最高裁判所)
2 最高裁判所事務総長の司法行政文書不開示通知書等
①令和8年1月19日付(最高裁秘書第3778号) 第78期司法修習予定者の実務修習希望地調査表について「作成又は取得していない」とするもの
②令和8年3月18日付(最高裁秘書第782号) 第79期司法修習予定者の実務修習希望地調査表について「作成又は取得していない」とするもの
③令和8年5月20日付(最高裁秘書第1657号) 第78期司法修習生組別志望等調査表について「作成又は取得していない」とするもの
④最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会平成29年4月28日答申PDF2頁~3頁(第70期について実務修習希望地調査表を作成しなくなったこと及び配属の考え方)
⑤実務修習地の決定に関する答申資料 希望順位のほか個別事情を考慮して全国の配置を調整することに関するもの
3 法務省の訓令及び通達
①検察庁事務章程(昭和60年4月6日法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号最終改正)5条・別表第1・別表第3・別表第6(法務省。PDF6頁・9頁~10頁・12頁)
②検察庁の職員の配置定員について(令和8年4月8日付法務省入定第16号。令和8年4月1日から適用) 法務省大臣官房人事課長の依命通達。別表第3(PDF4頁)
4 最高裁判所及び司法研修所の資料
①最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」2頁(第79期の修習期間,実務修習地の区分及び住居の確保)
②最高裁判所「司法修習の概要」(令和8年8月29日確認)
③最高裁判所「司法修習生の修習給付金について」及び同ページ掲載の修習給付金案内(第79期)PDF6頁・8頁・16頁(令和8年8月29日確認)
④最高裁判所「第48回司法修習委員会議事録」24頁~26頁及び29頁~31頁
⑤司法研修所「第79期教官担当表」(令和8年4月17日付) ほかに同年2月9日付,3月4日付,4月13日付及び4月14日付の各版がある
⑥司法研修所「第78期教官担当表」(令和7年8月5日) 第78期の組の構成
⑦司法研修所事務局長「令和6年度(第78期)司法修習生の修習開始等について」(令和7年2月4日付)(第78期函館の班別巡回順序及び家庭裁判所修習)
⑧第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)
⑨司法修習生配属現員表(第77期。令和6年3月21日現在)
⑩司法修習生配属現員表(第76期。令和4年11月27日現在)
⑪司法修習生配属現員表(第75期。令和3年11月12日現在)
⑫司法修習生配属現員表(第74期。令和3年3月31日現在)
⑬司法修習生配属現員表(第73期。令和元年11月27日現在)
⑭第72期司法修習生配属現員表(平成30年11月27日現在)
⑮司法修習生配属現員表(第70期及び第71期。平成29年11月27日現在)
⑯第70期司法修習生配属現員表(平成28年11月27日現在。第69期を併記)
⑰司法修習生配属現員表(第68期及び第69期。平成27年11月27日現在)
⑱司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(第69期) 最高裁判所の開示資料に基づき本ブログが群の分類及び指数の欄を加えて作成したもの
⑲実務修習希望地調査表(第69期。平成27年10月9日)
5 函館の裁判所,検察庁及び弁護士会の資料
①函館地方裁判所・函館家庭裁判所の所在地(令和8年8月29日確認)
②函館地方検察庁「所在地・交通案内」(令和8年8月29日確認)
③函館弁護士会「アクセス」(所在地及び交通案内。令和8年8月29日確認)
6 統計・データ及び函館市の資料
①日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2025年)」資料1-1-3「弁護士会別弁護士数」(2025年3月31日現在。PDF1頁)
②気象庁「函館 平年値(年・月ごとの値)詳細(気温)」(統計期間1991年~2020年)
③気象庁「函館 平年値(年・月ごとの値)詳細(雪)」(統計期間1991年~2020年)
④函館市「水道の凍結にご注意を」(令和8年8月29日確認)
⑤函館市「除雪に関する情報」(令和8年8月29日確認)
⑥函館市「乗車料金(函館市電)」(令和7年12月1日以降の運賃。令和8年8月29日確認)
⑦函館市「在住外国人のための函館生活ガイドブック2026」(転入後の届出,ごみ,医療,防災及び交通)
7 個人の体験記等(統計ではないもの)
①安齋瑠美「わたしの修習時代 東海の小島の磯でたはむれた日々」東京弁護士会『LIBRA』令和6年7・8月合併号40頁(第63期函館修習の回顧)
②「78期Tさん 修習体験レポート~修習地選択と修習生活編(函館)~」(民間の転職支援会社が公開する個人の体験記)
8 本ブログの関連記事
①実務修習地とクラスの対応関係(第67期から第79期まで)
②司法研修所の教官担当表
③第79期司法修習の日程
④第78期司法修習の日程
⑤司法修習生配属現員表(48期以降)
⑥修習開始時点における司法修習生の人数の推移
⑦司法修習の場所を選ぶ際の基礎データ
⑧第2希望の実務修習地の選び方
⑨司法修習に関する事務便覧(令和7年3月)とは
⑩各地の検察庁の執務規程
⑪法務省の定員に関する訓令及び通達
⑫選択型実務修習のガイドライン等
⑬選択型実務修習に関する資料