第1 京都修習の位置付けと本記事の基準日
1 京都修習とは
京都修習とは,京都を分野別実務修習地とする司法修習をいう。
配属庁会は,京都地方裁判所,京都地方検察庁及び京都弁護士会である。
司法修習生は,この三機関で民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の四分野を修習し,その前後に集合修習及び選択型実務修習を受ける。
2 実務修習の法的な仕組み
司法修習生は,司法試験に合格した者の中から最高裁判所が命ずるものであり(裁判所法66条1項),少なくとも一年間修習をした後に試験に合格したときに修習を終える(同法67条1項)。
裁判官の研究及び修養並びに司法修習生の修習に関する事務を取り扱わせるため,最高裁判所に司法研修所が置かれている(同法14条)。
司法修習生に関する規則1条は,司法研修所長が修習の全期間を通じて司法修習生を統轄すると定める。
同規則5条1項は,修習期間のうち少なくとも十箇月は実務を修習しなければならないとし,同条2項は,そのうち少なくとも四箇月は裁判所で,二箇月は検察庁で,二箇月は弁護士会で修習しなければならないとしている。
実務修習の時期及び場所を定めるのは,最高裁判所ではなく司法研修所長である(同規則5条3項)。
そして,実務修習は,司法研修所長が地方裁判所,地方検察庁又は弁護士会に委託して行わせるものとされ(同規則7条1項),実務修習の間の司法修習生に対する監督は,最高裁判所が高等裁判所長官,地方裁判所長,検事長,検事正又は弁護士会長に委託する(同規則8条)。
したがって,京都修習における指導は,司法研修所からの委託を受けた京都地方裁判所,京都地方検察庁及び京都弁護士会が行うことになる。
同規則9条1項は,委託を受けた庁会が常に司法研修所と緊密な連絡を保つべきものとし,同条2項は,司法研修所が各庁会の修習の担当者を召集して協議を行うことができるとしている。
また,同規則10条は,実務修習を終えた際に,地方裁判所長,検事正及び弁護士会長が修習事項の大要,成績,行状その他参考となる事項を司法研修所長に報告しなければならないと定める。
規則の現行条文は司法修習生に関する規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第15号)に掲載している。
3 本記事の基準日と資料の使い分け
本記事は,令和8年8月29日現在の公開資料及び司法行政文書の開示資料に基づいて,京都修習の班・クラス,日程,配属人数,希望指数,実務修習の内容,所在地,住居及び気候を整理するものである。
第79期については,班,クラス及び日程を原資料で確定できる。
これに対し,配属人数は第78期まで,希望指数は第69期までしか原資料が存在しない。
本記事では,第79期について確定できる事項と,過年度の資料からしか分からない事項とを節ごとに分けて記載する。
第2 第79期京都の班とクラス
1 京都はA班であること
最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」2頁は,実務修習地を二つに区分し,集合修習と選択型実務修習の順序を定めている。
区分①は東京,立川,横浜,さいたま,千葉,大阪,京都,神戸,奈良,大津及び和歌山の11庁であり,区分②はそれ以外の実務修習地である。
京都は,区分①の11庁の一つであるため,分野別実務修習の後にまず司法研修所で集合修習を受け,その後に選択型実務修習を行う。
これは,本ブログでこれまで扱った前橋,静岡,長野,岐阜,広島,鹿児島及び金沢(いずれも区分②)とは逆の順序であり,同じ区分①の神戸,千葉,さいたま,奈良及び大津と同じ順序である。
手引き自体はA班・B班という語を用いていないが,司法研修所の第79期教官担当表は,区分①に対応する組をA班,区分②に対応する組をB班と表記している。
本記事も,原資料の表記に合わせてA班・B班の呼称を用いる。
2 第79期の京都はA班21組であり大津と合同クラスであること
司法研修所の第79期教官担当表(令和8年4月17日付)によれば,第79期のクラスは全22組であり,B班が第1組から第11組まで,A班が第12組から第22組までである。
京都は,大津とともにA班21組に属する。
同表は,令和8年2月9日付,同年3月4日付,同年4月13日付,同年4月14日付及び同年4月17日付の各版が公開されている。
実務修習地と組の対応関係は,最も早い令和8年2月9日付の版から令和8年4月17日付の版まで一貫して同一であり,版によって異なるのは各科目の教官名だけである。
そのため,京都が大津とA班21組を構成することは,教官の交代とは無関係に確定している。
各期の対応関係は実務修習地とクラスの対応関係(第67期から第79期まで)に,各版の原本は司法研修所の教官担当表に掲載している。
3 京都は本来単独クラスであり,大津との合同は第72期以降に限られること
司法研修所の「クラス」は,導入修習及び集合修習の教育単位であり,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護及び刑事弁護の五科目の教官が担当する。
これに対し,京都の配属庁会内で四分野を回る順序を定める「班」は,司法研修所のクラスとは別の単位である。
第67期から第78期までの教官担当表を確認すると,京都は,第67期から第71期まで及び第77期・第78期において単独でクラスを構成しており,大津と合同となったのは第72期から第76期まで及び第79期に限られる。
これは,本記事でこれまで扱った神戸(第72期から第76期まで及び第79期のみ奈良と合同)と全く同じパターンであり,京都と大津の組合せが,神戸と奈良の組合せと同時期に形成されたことがうかがえる。
これに対し,奈良及び大津自体は,確認できる全ての期において他庁と合同クラスを構成しており,単独になったことがない点で,京都・神戸とは対照的である。
第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)によれば,京都は64人であった。
4 組についての希望調査は行われていないこと
最高裁判所事務総長の令和8年5月20日付司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第1657号)は,「第78期司法修習生組別志望等調査表」について,当該文書を「作成又は取得していない」としている。
したがって,司法修習生が自分の組を希望する手続は設けられていないと考えられる。
どの組に配属されるかは,実務修習地が決まれば教官担当表の対応関係によって定まる。
第3 第79期京都修習の日程
第79期の京都修習に関係する日程は,次のとおりである。
修習実日数は,司法研修所の「第79期 修習日程」に記載された日数であり,始期から終期までの暦日数ではない。
京都はA班であるため,分野別実務修習の後に集合修習,その後に選択型実務修習という順序になる点が,これまで本ブログで扱ったB班の各修習地と異なり,同じA班の神戸,千葉,さいたま,奈良及び大津と同じ順序である。
| 区分 | 期間 | 修習実日数 | 場所又は内容 |
|---|---|---|---|
| 導入修習 | 令和8年3月19日~4月10日 | 16日 | 和光市の司法研修所 |
| 移動 | 4月11日~13日 | ― | 京都への移動 |
| 第1クール | 4月14日~6月9日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 第2クール | 6月10日~8月2日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 第3クール | 8月3日~9月28日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 第4クール | 9月29日~11月20日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 移動 | 11月21日~23日 | ― | 和光市への移動 |
| 集合修習 | 11月24日~令和9年1月8日 | 30日 | 司法研修所 |
| 移動 | 令和9年1月9日~12日 | ― | 京都への移動 |
| 選択型実務修習 | 1月13日~2月25日 | 30日 | 京都をホームグラウンドとする |
| 自由研究日 | 2月26日 | 1日 | 司法修習生考試前の自由研究日 |
最高裁判所は,第79期司法修習生の「修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間」を令和8年3月19日から令和9年3月24日までと定めている。
これは修習給付金の支給期間の基礎となる期間であり,二回試験の具体的な実施日とは別の事項である。
全国日程及び二回試験に関する情報は,第79期司法修習の日程で別に整理している。
A班である京都では,分野別実務修習が終わる令和8年11月20日の後,いったん和光市の司法研修所で集合修習を受け,令和9年1月13日から改めて京都をホームグラウンドとする選択型実務修習を行う。
すなわち,京都で住居を必要とする期間は,令和8年4月の移動から同年11月20日までと,令和9年1月9日から2月25日までの二つに分かれる(間の集合修習期間中は和光市で修習するため,京都の住居を契約したまま維持するか,一時的に引き払うかは各自の判断による)。
第4 配属人数と希望指数
1 第67期から第78期までの配属現員
司法修習生配属現員表の原本で京都の人数を確認できるのは,次の各期である。
本記事は,各期の配属現員表の原本PDFを1件ずつ実見して数値を確認した。
| 修習期 | 基準日 | 京都の配属現員 | 全国の計 |
|---|---|---|---|
| 第67期 | 平成26年11月27日 | 75人 | 2015人 |
| 第68期 | 平成26年11月27日 | 64人 | 1762人 |
| 第69期 | 平成27年11月27日 | 68人 | 1788人 |
| 第70期 | 平成28年11月27日 | 62人 | 1533人 |
| 第71期 | 平成29年11月27日 | 65人 | 1516人 |
| 第72期 | 平成30年11月27日 | 57人 | 1482人 |
| 第73期 | 令和元年11月27日 | 56人 | 1473人 |
| 第74期 | 令和3年3月31日 | 57人 | 1456人 |
| 第75期 | 令和3年11月12日 | 51人 | 1329人 |
| 第76期 | 令和4年11月27日 | 54人 | 1394人 |
| 第77期 | 令和6年3月21日 | 72人 | 1830人 |
| 第78期 | 令和7年3月19日 | 64人 | 1556人 |
この12期の京都の配属現員は51人から75人までの範囲にあり,本記事でこれまで扱った修習地の中では神戸(第72期以降の減少パターンも含め)に近い規模である。
配属現員は各表の基準日に在籍していた実人数であり,京都の定員又は募集枠を示すものではない。
各期の原資料は司法修習生配属現員表(48期以降)に,全国の人数の推移は修習開始時点における司法修習生の人数の推移に掲載している。
2 第79期の全国採用者数は判明していること
第79期の修習地別の内訳を示す配属現員表は,令和8年8月29日現在,公表を確認できない。
もっとも,最高裁判所「裁判所データブック2026」30頁によれば,第79期(令和7年度)の司法修習生の採用者数は1551人(うち女性479人)である。
同書の採用者数と配属現員表の全国計は,一致しないことがある。
例えば第78期は,採用者数が1553人であるのに対し,配属現員表(令和7年3月19日現在)の計は1556人である。
前者は採用時の数値であり,後者は基準日における現員であるためと考えられる。
第79期の京都の配属人数は,全国の採用者数からは分からない。
そのため,本記事は第79期の京都配属人数を記載せず,近年の人数から推定することもしない。
3 新第63期から第69期までの希望指数
第69期までは,実務修習地別に希望順位別の人数が判明する資料が存在した。
京都の指数の推移は次のとおりである。
| 期 | 第1希望指数 | 第1・第2希望指数 |
|---|---|---|
| 新第63期 | 1.18 | 2.80 |
| 新第64期 | 1.42 | 2.82 |
| 新第65期 | 1.65 | 3.85 |
| 第66期 | 1.34 | 2.85 |
| 第67期 | 1.53 | 2.73 |
| 第68期 | 1.73 | 3.36 |
| 第69期 | 1.74 | 3.53 |
| 7期の平均 | 1.51 | 3.13 |
「第1希望指数」は第1希望者数を配属人数で割った値であり,「第1・第2希望指数」は第1希望者数と第2希望者数の合計を配属人数で割った値である。
京都は,第1希望指数の平均が1.51であり,本記事でこれまで扱った修習地の中では神戸及びさいたま(いずれも平均1.32)を上回り,最も高い水準である。
第69期に至っては1.74まで上昇しており,古都という土地柄が希望地選択に強く影響していたことがうかがえる。
4 第69期の希望順位別人数
第69期の京都の内訳は次のとおりである。
| 項目 | 人数等 |
|---|---|
| 群の分類 | 1群 |
| 地域手当 | 10% |
| 配属人数 | 68人 |
| 第1希望 | 118人 |
| 第2希望 | 122人 |
| 第3希望 | 34人 |
| 第4希望 | 14人 |
| 第5希望 | ―(原資料に記載なし) |
| 第6希望 | ―(原資料に記載なし) |
第1希望指数1.74は一一八人を68人で割った値であり,第1・第2希望指数3.53は二四〇人を68人で割った値である。
京都は,第1希望だけで配属人数を大きく上回り,第1希望と第2希望の合計が配属人数の三.五倍に達する。
本記事でこれまで扱った修習地の中で最も希望が集中する修習地であったことがうかがえる。
なお,同表には第69期当時の裁判官数及び弁護士数も記載されており,京都は裁判官五二人,弁護士七〇八人である。
この弁護士数は京都地方裁判所本庁の所在地を基準とする数であり,京都弁護士会全体の会員数とは別の数値である。
5 希望指数の読み方
この指数は,抽選倍率でも,京都を第1希望にした人の配属成功率でもない。
実務修習地の決定では,希望地及び希望順位に加え,健康状態,家族関係その他の個別事情を考慮し,全国の配置を調整することが,最高裁判所の情報公開答申資料から確認できる。
古い数値から確認できるのは,当時の京都が希望者にとってどの程度身近であったかという傾向に限られる。
修習生総数,各地の受入人数,希望地の選択傾向及び配属基準は期によって異なり得るため,第69期以前の指数から第79期の配属可能性を予測することはできない。
過年度の一覧表は司法修習の場所を選ぶ際の基礎データに掲載している。
6 第70期以降の資料状況
最高裁判所は,第70期以降について,事務の合理化及び利用頻度等を踏まえ,従来と同じ希望順位別一覧表を作成していない。
第79期の実務修習希望地調査表についても,最高裁判所事務総長の令和8年3月18日付司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第782号)が,当該文書を「作成又は取得していない」としている。
第78期についても,同じく令和8年1月19日付の同通知書(最高裁秘書第3778号)が同様の判断を示している。
この通知から確認できるのは,当該名称・内容の文書が開示対象文書として作成又は取得されていないという点である。
別形式の電子集計が一切存在しないことまで示すものではないが,少なくとも公開資料だけから京都の第79期の希望倍率を確定することはできない。
第5 分野別実務修習の内容
1 四分野と最低修習期間
司法修習生に関する規則5条2項は,実務修習のうち少なくとも四箇月は裁判所で,二箇月は検察庁で,二箇月は弁護士会で修習しなければならないと定める。
第79期の分野別実務修習は四クールに分かれ,各クールの修習実日数はいずれも37日である。
家庭裁判所修習は裁判修習の期間中に組み込まれる。
各分野の具体的な指導内容は,民事裁判修習の実際,刑事裁判修習の実際,検察修習の実際及び弁護修習の実際で整理している。
第79期京都の班の数及び巡回順序を示す公開資料は確認できない。
2 四つの分野別実務修習の内容
民事裁判修習では,民事事件の記録を検討し,争点整理,事実認定及び法的判断の過程を学ぶほか,法廷を傍聴し,裁判官の指導を受けて裁判書面の起案等を行う。
刑事裁判修習では,刑事事件の記録及び公判を素材として,訴訟手続,証拠の評価,事実認定,量刑及び裁判書の作成過程を学ぶ。
検察修習では,捜査及び公判に関する検察実務を学び,事件記録の検討,被疑者及び参考人の取調べ,事件処理方針の検討,起訴状及び不起訴裁定書等の起案並びに公判立証の検討等を行う。
弁護修習では,配属先の法律事務所で指導担当弁護士の実務に接し,法律相談,依頼者との打合せ,調査,書面作成及び裁判手続等を通じて民事弁護及び刑事弁護の実務を学ぶ。
具体的な担当事件及び修習方法は,事件の状況,配属先及び指導担当者によって異なる。
司法修習生は,司法修習生に関する規則3条により,修習にあたって知った秘密を漏らしてはならないとされている。
修習で知った個別事件の内容を外部に出すことはできない。
第48回司法修習委員会議事録29頁から31頁までによれば,適切な実事件が現れない場合には過去の事件記録を利用して修習機会を補う運用がある。
同議事録24頁から26頁までによれば,第78期の民事裁判修習では起案目標がおおむね達成された一方,民事保全,民事執行及び倒産について,修習期間中に適切な事件が現れず具体的事件への関与機会を確保しにくい場合があったと報告されている。
京都は配属人数が多く,複数の班に分かれて四分野を巡回する運用になっていると推測されるが,具体的な班数及び巡回順序を示す公開資料は確認できない。
3 京都地方検察庁の組織と司法修習の担当課
検察庁事務章程(昭和60年4月6日法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号最終改正)別表第1は,部を置く地方検察庁を,東京,大阪,名古屋,横浜,さいたま,千葉,京都,神戸,福岡,札幌,広島,仙台及び高松の13庁と定めており,京都地方検察庁はこの13庁に含まれる。
これに対し,これまでに本ブログで扱った前橋,静岡,長野,岐阜,鹿児島,金沢,奈良及び大津の各地方検察庁は,いずれも部が置かれない「その他の地方検察庁」であった。
具体的にどのような部(刑事部,公判部等)が置かれているかは,本記事作成時点で公開資料から確認できていない。
同章程別表第6によれば,司法修習生の修習指導に関する事務は,企画調査課の所管である。
令和8年4月8日付法務省入定第16号「検察庁の職員の配置定員について」(令和8年4月1日から適用)別表第3によれば,京都地方検察庁の配置定員は,検事33人,副検事18人,行政職(一)・公安職(二)183人及び行政職(二)2人の合計236人である。
大阪高等検察庁の管内6庁では,大阪及び神戸に次いで第3位である。
この定員は管内の各区検察庁を含む数であり,同通達第5項により,支部及び区検察庁ごとの定員は検事正が別に定めるとされているため,本庁だけの人数はこの通達からは分からない。
また,定員であって各時点の現員ではなく,検事の欄には検事正及び次席検事が含まれる。
各地の検察庁の内部規程については各地の検察庁の執務規程に,配置定員の各年度の通達については法務省の定員に関する訓令及び通達に掲載している。
4 京都弁護士会における弁護修習
日本弁護士連合会「弁護士白書2025年版」の基礎的な統計情報によれば,令和7年(2025年)3月31日現在の京都弁護士会の正会員数は898人(うち女性218人・24.3%)であり,法律事務所数は433である。
近畿弁護士会連合会に属する会のうち,大阪に次ぐ規模であり,女性会員の割合は本記事でこれまで扱った修習地の中で最も高い。
第78期の京都配属現員六四人を法律事務所数433と対比すると,およそ六・八事務所に一人という規模になる。
第6 集合修習と選択型実務修習
京都を含むA班は,分野別実務修習を終えた後の令和8年11月24日から,和光市の司法研修所で集合修習を受ける。
集合修習では,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護及び刑事弁護の五科目について,修習記録を用いた起案,講評及び討論等を行う。
その後,令和9年1月13日から,改めて京都をホームグラウンドとする選択型実務修習が行われる。
選択型実務修習では,弁護修習先の事務所をホームグラウンドとし,実務修習地が提供する個別プログラム,全国の修習生を対象とするプログラム及び修習生が自ら開拓するプログラムを組み合わせる。
第48回司法修習委員会議事録によれば,全国プログラムには民間企業,地方公共団体及び児童相談所等があり,人気のあるプログラムでは希望者が定員を上回ることがある。
第79期の京都で提供される個別プログラムの名称,内容,定員及び選考方法は,公開資料から確認できない。
制度の枠組みは選択型実務修習のガイドライン等に掲載している。
第7 主な修習先の所在地と管内
1 三機関の所在地
京都の三機関の所在地は次のとおりである。
| 機関 | 所在地 | 交通・連絡先 |
|---|---|---|
| 京都地方裁判所(京都簡易裁判所を併置) | 〒604-8550 京都市中京区菊屋町(丸太町通柳馬場東入ル) | ― |
| 京都地方検察庁 | 〒602-8510 京都市上京区新町通下長者町下る両御霊町82番地(京都法務合同庁舎) | 電話075-441-9131(代表) |
| 京都弁護士会 | 〒604-0971 京都市中京区富小路通丸太町下ル(桝屋町1番地) | 電話075-231-2378 |
京都地方裁判所と京都弁護士会はいずれも中京区の丸太町通沿いにあり,京都地方検察庁は隣接する上京区にある。
もっとも,これは三機関の所在地から導く地理的な目安であり,特定の物件又は地域を推奨するものではない。
2 管内の支部
京都地方裁判所には,園部,宮津,舞鶴及び福知山の四つの支部がある。
このほか,伏見,右京,向日町,木津,宇治,亀岡及び京丹後に,支部に付設されていない独立の簡易裁判所がある。
京都地方検察庁にも,園部,宮津,舞鶴及び福知山の各支部が置かれている(園部支部の事務は本庁で処理される)。
京都弁護士会には,正式な支部組織はないが,京都駅前,京田辺,木津川,南丹市園部,京丹後・宮津・与謝野,福知山,舞鶴東・西及び綾部の各地に法律相談センターが設けられている。
京都府は南部の京都市周辺から日本海に面した丹後地方まで南北に長く,第79期の京都修習で支部所在地への出張又は宿泊を伴う行程が組まれるかどうかは,公開資料からは確認できない。
自動車の保有を前提に契約又は購入をする前に,当該年度の実施要領及び配属先の案内を確認すべきである。
第8 住居,家賃及び修習給付金
1 住居は各自で確保すること
最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」2頁は,指定された実務修習地における住居の確保は各自で行うことになっていると明記している。
京都に司法修習生用の寮が用意されることを示す公表資料は確認できなかった。
2 家賃の目安
賃貸情報サイトYahoo!不動産の京都市中京区の家賃相場を令和8年8月29日に確認したところ,掲載物件全体の平均賃料は10.2万円,一人暮らし向けの平均は8.0万円であり,間取り別ではワンルーム6.0万円,1K6.5万円,1DK8.1万円,1LDK13.4万円であった。
これは同サイトに掲載された賃貸物件から算出した時点集計であり,公的統計,成約賃料又は個別物件の契約可能性を示すものではない。
掲載物件は随時入れ替わるため,数値は閲覧時点のものである。
三機関のうち二機関(裁判所・弁護士会)が中京区にあるため,本記事では中京区の数値を採用した。
本記事でこれまで扱った修習地の中では最も高い水準であり,古都の中心部であることが反映されている。
物件を選ぶ際には,表示家賃だけでなく,①管理費及び光熱費,②三機関それぞれへの経路と所要時間,③家具家電,短期解約違約金,更新費用及び退去費用,④住居給付金の契約名義,家賃負担及び届出期限を満たすかどうかを確認する必要がある。
京都は集合修習期間中に一時的に和光市へ移動するため,前記第3のとおり,住居契約を維持するかどうかもあわせて検討する必要がある。
3 修習給付金の種類と額
裁判所法67条の2第1項は,司法修習生に対し,修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間,修習給付金を支給すると定め,同条2項は,その種類を基本給付金,住居給付金及び移転給付金とする。
最高裁判所の案内によれば,基本給付金は給付期間ごとに13万5000円である。
住居給付金は,自ら居住するため住宅を借り受け,家賃を支払っている場合で,最高裁判所の定める様式により届出が行われた場合に,給付期間ごとに3万5000円が支給される。
移転給付金は,修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合で,同様に届出が行われた場合に,最高裁判所の定める路程に応じた定額が支給される。
第79期修習給付金案内によれば,ウィークリー住宅,マンスリー住宅又はホテルであっても,期間及び利用実態から生活の本拠と認められれば住居給付金の対象となり得る。
他方,親名義の賃貸借契約は本人が賃借人であるという要件を通常は満たさず,本人の家賃負担及び契約関係を裏付ける追加資料が問題になる。
個別の支給可否は契約名義,家賃負担,入居日及び届出時期に左右されるため,物件契約前に第79期案内と届出要領を確認すべきである。
4 届出期限及び集合修習期間の取扱い
第79期修習給付金案内によれば,住居給付金は要件を満たした日から7日以内の届出が原則であり,移転給付金についても各修習開始時の移転後7日以内の届出が原則である。
また,住居給付金は,司法研修所において導入修習又は集合修習をするために住所又は居所を移転した司法修習生が,最高裁判所の設けた寮,自宅等に居住した期間を含む給付期間については,日割りによって計算した額が支給される。
京都はA班であり,令和8年11月24日から令和9年1月8日まで和光市の司法研修所で集合修習を受ける。
京都の住居を集合修習期間も含めて借り続ける場合には,この期間の家賃負担と住居給付金の取扱いを別に見積もる必要がある。
第9 気候
1 冬季の気温と積雪
気象庁の1991年から2020年までの平年値によれば,京都の冬季の気温と雪は次のとおりである。
| 月 | 平均気温 | 日最高気温の平均 | 日最低気温の平均 | 降雪の深さの合計 | 最深積雪 |
|---|---|---|---|---|---|
| 12月 | 7.2度 | 11.6度 | 3.5度 | 2センチメートル | 2センチメートル |
| 1月 | 4.8度 | 9.1度 | 1.5度 | 5センチメートル | 3センチメートル |
| 2月 | 5.4度 | 10.0度 | 1.6度 | 7センチメートル | 4センチメートル |
年間の降雪の深さの合計は15センチメートルであり,本記事でこれまで扱った修習地の中では千葉(7センチメートル)と大津(彦根の値で81センチメートル)の中間に位置する水準である。
2 盆地特有の底冷え
京都市は盆地に位置し,「京の底冷え」と呼ばれるとおり,冬季の朝晩は放射冷却によって気温が下がりやすいことで知られる。
もっとも,平年値そのものは大都市の中では標準的な範囲にあり,積雪自体は多くない。
平年値は個々の日の気温を示すものではなく,年により変動がある点には留意を要する。
第10 公開資料で確認できない事項
令和8年8月29日までに確認した公開資料からは,①第79期の京都配属人数,②第79期京都の班の数及び四分野の巡回順序,③第79期京都の家庭裁判所修習の具体的日程,④第79期の弁護修習の配属法律事務所及びその所在地,⑤第79期京都の選択型実務修習の全プログラム,⑥支部所在地への出張又は宿泊を伴う行程の有無,⑦第70期以降の希望順位別人数,⑧京都地方検察庁の部の具体的な構成を確認できない。
これらは,個別通知又は令和8年度の京都配属庁会の実施資料による確認を要する。
これらを推測で補うと,住居選び又は修習地の検討を誤らせるおそれがある。
配属庁会からの通知,修習給付金案内及び京都弁護士会からの案内が交付された場合は,その記載を優先すべきである。
修習地の希望の出し方については第2希望の実務修習地の選び方で整理している。
出典・参考資料
1 法令及び最高裁判所規則
①裁判所法(昭和22年法律第59号)14条・66条・67条・67条の2(e-Gov法令検索,令和8年8月29日確認)
②司法修習生に関する規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第15号)1条・3条・5条・7条・8条・9条・10条(令和7年2月12日最高裁判所規則第3号による改正後の条文)
③司法修習生の修習給付金の給付に関する規則(平成29年8月4日最高裁判所規則第3号)(最高裁判所)
2 最高裁判所事務総長の司法行政文書不開示通知書等
①令和8年1月19日付(最高裁秘書第3778号) 第78期司法修習予定者の実務修習希望地調査表について「作成又は取得していない」とするもの
②令和8年3月18日付(最高裁秘書第782号) 第79期司法修習予定者の実務修習希望地調査表について「作成又は取得していない」とするもの
③令和8年5月20日付(最高裁秘書第1657号) 第78期司法修習生組別志望等調査表について「作成又は取得していない」とするもの
④最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会平成29年4月28日答申 第70期について実務修習希望地調査表を作成しなくなったことに関するもの
⑤最高裁判所平成29年度(情報)答申第21号 第70期の第3クール開始日に三人の実務修習地が変更されたことに関するもの
⑥実務修習地の決定に関する答申資料 希望順位のほか個別事情を考慮して全国の配置を調整することに関するもの
3 法務省の訓令及び通達
①検察庁事務章程(昭和60年4月6日法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号最終改正)5条・別表第1・別表第3・別表第6(法務省。PDF6頁・9頁・12頁)
②検察庁の職員の配置定員について(令和8年4月8日付法務省入定第16号。令和8年4月1日から適用) 法務省大臣官房人事課長の依命通達。別表第3(PDF3頁)
4 最高裁判所及び司法研修所の資料
①最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」1頁~2頁(第79期の修習期間,実務修習地の区分及び住居の確保)
②最高裁判所「司法修習の概要」(令和8年8月29日確認)
③最高裁判所「裁判所データブック2026」30頁(司法修習生の数(採用者数)。第79期は1551人・うち女性479人)
④最高裁判所「司法修習生の修習給付金について」及び同ページ掲載の修習給付金案内(第79期)(令和8年8月29日確認)
⑤最高裁判所「第48回司法修習委員会議事録」24頁~26頁及び29頁~31頁
⑥司法研修所「第79期教官担当表」(令和8年4月17日付) ほかに同年2月9日付,3月4日付,4月13日付及び4月14日付の各版がある
⑦司法研修所「第78期教官担当表」(令和7年8月5日) 第78期の組の構成
⑧司法修習の場所ごとの第1希望の倍率の推移表(新第63期から第69期まで) 最高裁判所の開示資料に基づき本ブログが作成したもの
⑨司法修習の場所ごとの第2希望までの倍率の推移表(新第63期から第69期まで) 同上
⑩司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(第69期) 同上
⑪実務修習希望地調査表(第69期。平成27年10月9日)
⑫第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)
⑬司法修習生配属現員表(第77期。令和6年3月21日現在)
⑭司法修習生配属現員表(第76期。令和4年11月27日現在)
⑮司法修習生配属現員表(第75期。令和3年11月12日現在)
⑯司法修習生配属現員表(第74期。令和3年3月31日現在)
⑰司法修習生配属現員表(第73期。令和元年11月27日現在)
⑱第72期司法修習生配属現員表(平成30年11月27日現在)
⑲司法修習生配属現員表(第70期及び第71期。平成29年11月27日現在)
⑳第70期司法修習生配属現員表(平成28年11月27日現在。第69期を併記)
㉑司法修習生配属現員表(第68期及び第69期。平成27年11月27日現在)
㉒司法修習生配属現員表(第67期及び第68期。平成26年11月27日現在)
5 京都の裁判所,検察庁及び弁護士会の資料
①京都地方裁判所「管内の裁判所の所在地」(本庁及び園部,宮津,舞鶴,福知山の各支部,伏見,右京,向日町,木津,宇治,亀岡,京丹後の各簡易裁判所。令和8年8月29日確認)
②京都地方検察庁HP(所在地及び代表電話。令和8年8月29日確認)
③京都弁護士会HP(本会の所在地及び代表電話。令和8年8月29日確認)
6 統計・データ
①日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2025年)」資料1-1-3「弁護士会別弁護士数」(2025年3月31日現在。PDF1頁)
②気象庁「京都 平年値(年・月ごとの値)詳細(気温)」(統計期間1991年~2020年)
③気象庁「京都 平年値(年・月ごとの値)詳細(雪)」(統計期間1991年~2020年)
④Yahoo!不動産「京都市中京区の家賃相場・推移」(令和8年8月29日閲覧の民間サイトの集計)
7 本ブログの関連記事
①実務修習地とクラスの対応関係(第67期から第79期まで)
②司法研修所の教官担当表
③第79期司法修習の日程
④司法修習生配属現員表(48期以降)
⑤修習開始時点における司法修習生の人数の推移
⑥司法修習の場所を選ぶ際の基礎データ
⑦第2希望の実務修習地の選び方
⑧司法修習の希望場所の記載方法
⑨各地の検察庁の執務規程
⑩法務省の定員に関する訓令及び通達
⑪選択型実務修習のガイドライン等