第1 この記事が扱う横浜修習の情報
1 対象と資料の範囲
本記事は,横浜を実務修習地とする司法修習について,配属人数,過去の希望倍率,司法研修所の組との対応,神奈川県弁護士会の司法修習生向け情報,裁判所への交通及び司法関係機関の沿革を整理するものである。最高裁判所の司法修習生配属現員表,神奈川県弁護士会及び横浜地方裁判所の公表資料をAIを用いて横断的に照合し,現在も確認できる情報と歴史的な情報を区別した。
横浜修習の配属人数は78期まで確認できる一方,第1希望及び第2希望までの倍率を同じ方法で比較できる資料は69期までである。このため,69期までの希望倍率は現在の配属難易度を示す数値ではなく,過去の希望状況を示す資料として掲載する。
2 横浜修習の規模を読む際の留意点
本記事の配属人数は,各期について採用時点に近い配属現員表に記載された横浜配属者の数であり,その後の辞退等によって変動する可能性がある。また,同じ横浜配属者でも,弁護修習先が横浜市中心部に限られるわけではなく,神奈川県弁護士会の支部地域で修習する場合がある。
第2 横浜に配属された司法修習生の人数
1 新63期から78期までの配属人数
新63期から78期までの横浜配属人数は,次のとおりである。77期の100人がこの期間では最も多く,70期の76人が最も少ないが,おおむね80人台から90人台で推移している。
| 期 | 横浜配属人数 | 期 | 横浜配属人数 |
|---|---|---|---|
| 新63期 | 94人 | 71期 | 81人 |
| 新64期 | 95人 | 72期 | 86人 |
| 新65期 | 92人 | 73期 | 85人 |
| 66期 | 89人 | 74期 | 85人 |
| 67期 | 88人 | 75期 | 79人 |
| 68期 | 83人 | 76期 | 82人 |
| 69期 | 84人 | 77期 | 100人 |
| 70期 | 76人 | 78期 | 85人 |
各期の全実務修習地を含む原資料は,司法修習生配属現員表(48期以降)に掲載している。74期から78期までの司法修習生全体に占める横浜配属者の割合は約5.5%から約5.9%であり,77期の100人は全体1830人の約5.5%である。
2 新63期から69期までの希望倍率
確認できる過去の希望倍率は,次のとおりである。第1希望の倍率は2倍を超え,第2希望までの倍率は4倍を超えていたが,70期以降について同じ形式の希望地調査表は確認できない。
| 期 | 第1希望の倍率 | 第2希望までの倍率 |
|---|---|---|
| 新63期 | 2.29倍 | 4.41倍 |
| 新64期 | 2.05倍 | 4.19倍 |
| 新65期 | 2.10倍 | 4.34倍 |
| 66期 | 2.30倍 | 4.65倍 |
| 67期 | 2.22倍 | 4.73倍 |
| 68期 | 2.19倍 | 4.83倍 |
| 69期 | 2.18倍 | 4.60倍 |
したがって,これらの数値から現在の横浜配属の難易度又は第2希望の選び方を推測することはできない。希望地調査表の公開状況は,司法修習予定者の実務修習希望地調査表等で整理している。
3 司法研修所の組との対応
実務修習地と司法研修所の組は一対一とは限らず,横浜配属者だけで構成される組と,東京配属者と共通する組が併存することがある。78期は16組が東京及び横浜,17組が横浜であり,77期は17組が東京及び横浜,18組が横浜である。74期から76期までは,15組が東京及び横浜,16組が横浜である。
期ごとの対応関係は,司法修習の場所とクラスの対応関係(67期以降)に掲載している。横浜配属人数と一つの組の人数は一致しないため,体験談に記載されたクラス人数を横浜配属者全体の人数として扱うことはできない。
第3 神奈川県弁護士会と弁護修習
1 司法修習生向けページ
神奈川県弁護士会の司法修習生ページには,就職合同説明会,法律事務所の採用情報,就職体験記,弁護士会館への入館案内,欠席・遅刻等の届出様式及び交通費請求書式が掲載されている。掲載内容は期の進行に応じて更新されるため,横浜配属後の手続及び就職情報は同ページで確認する必要がある。
神奈川県弁護士会は,平成28年4月1日に横浜弁護士会から現在の名称へ変更した。神奈川県弁護士会新聞のバックナンバーも公開されており,弁護士会の行事,意見書,支部活動及び会務の動向を確認できる。
2 四つの支部
神奈川県弁護士会には,川崎支部,県西支部,横須賀支部及び相模原支部がある。令和8年4月1日現在の支部会員数は,川崎支部262人,県西支部137人,横須賀支部60人,相模原支部93人であるが,会員数は司法修習生の配属人数を示すものではない。
各支部の所在地,管轄地域及び活動は,神奈川県弁護士会の支部案内で確認できる。相模原支部については,平成26年の設立20周年記念誌に加え,令和6年の設立30周年記念誌が公開されている。
3 公開されている修習体験記
77期司法修習生の公開体験記には,一つのクラス24人のうち5人が川崎支部地域の法律事務所で弁護修習を受けた例が紹介されている。これは横浜配属者が支部地域で修習する一例を示すものであるが,特定の期及び班の体験であり,他の期の配属方法を示すものではない。
東京弁護士会『LIBRA』平成29年11月号38頁の「横浜修習の思い出」は,60期当時の裁判修習,検察修習,弁護修習及びクラスの交流を記録している。当時は横浜配属者109人,4クラスであり,現在の人数及び運用とは異なるため,歴史的な体験記として読む必要がある。
第4 横浜地方裁判所への交通と沿革
1 本庁の所在地と最寄駅
横浜地方裁判所本庁は横浜市中区日本大通9番地にあり,みなとみらい線日本大通り駅から徒歩約1分,JR根岸線及び横浜市営地下鉄関内駅から徒歩約10分である。横浜簡易裁判所は同じ所在地にあり,横浜地方検察庁及び神奈川県弁護士会館も日本大通り周辺に位置する。
2 新横浜駅から横浜駅まで
JR横浜線では,快速であるか各駅停車であるかを問わず,桜木町,磯子又は大船行きの列車に乗れば,新横浜駅から横浜駅まで乗換えなしで行くことができる。東神奈川行きの列車に乗った場合は,東神奈川駅で横浜方面の列車へ乗り換える必要がある。
横浜市営地下鉄ブルーラインは,新横浜駅から横浜駅まで乗換えなしである。JR横浜線の路線名称上の終点が東神奈川駅であることと,営業列車が横浜駅方面へ直通することは区別する必要がある。
3 横浜地方裁判所の沿革
横浜地方裁判所の公式沿革によれば,明治5年8月に神奈川裁判所が設置され,明治9年に横浜裁判所,明治23年に横浜地方裁判所となった。大正12年9月1日の関東大震災で庁舎が倒壊・焼失した後,仮庁舎を経て大正14年に現在地へ移転し,平成13年に現在の13階建て庁舎が完成した。
日本大通り側入口付近には,関東大震災で被災した裁判所職員及び訴訟関係者の慰霊碑がある。現在の庁舎には旧庁舎の外壁や階段の一部が保存・再利用されており,横浜地方裁判所ウェブ見学で確認できる。
第5 神奈川県弁護士会の沿革と相模原支部の課題
1 横浜代言人組合から神奈川県弁護士会まで
明治13年5月13日に改正代言人規則が公布され,同年6月27日に横浜代言人組合が設立された。東京代言人組合の創立総会は同月29日,大阪代言人組合の設立日は同年9月30日とされているため,各会が公式に示す創立日による限り,横浜の組合が最も早い。
もっとも,当時の規則は組合規則について検事の「照閲」を経るものとしており,創立総会の日と規則が認められた日とは区別する必要がある。「照閲」を現在の認可と同じ意味であると断定せず,当時の用語のまま扱うのが相当である。横浜代言人組合は明治26年に横浜弁護士会となり,平成28年4月1日に神奈川県弁護士会へ名称を変更した。
2 相模原支部への合議制導入を求める決議
神奈川県弁護士会は,平成27年8月13日の常議員会決議に続き,令和4年3月2日の臨時総会決議により,横浜地方裁判所相模原支部への合議制導入を求めた。令和4年決議は,相模原市及び座間市の人口が約85万人であること,令和2年の民事通常第一審事件の新受件数が589件,刑事通常第一審事件の新受人員が241人であること,裁判官6人及び施設面から二つの合議体を構成できることなどを挙げている。
神奈川県弁護士会の支部案内も,相模原支部の課題として合議制及び労働審判の導入を掲げている。この問題は平成27年当時だけの要望ではなく,神奈川県北部の司法アクセスに関する継続中の課題である。
第6 関連記事
横浜修習に関連する資料として,①司法修習生配属現員表(48期以降),②司法修習予定者の実務修習希望地調査表等,③司法修習の場所とクラスの対応関係(67期以降),④79期司法修習の日程がある。
第7 出典・参考資料
1 配属人数及び希望地に関する資料
③司法研修所「司法修習の場所とクラスの対応関係(67期以降)」
2 神奈川県弁護士会及び裁判所の資料
④神奈川県弁護士会「横浜地方裁判所相模原支部に合議制の導入を求める決議」(令和4年3月2日)
⑤神奈川県弁護士会「横浜地方裁判所相模原支部に合議制の導入を求める決議」(平成27年8月13日)
3 交通,沿革及び体験記
①JR東日本「新横浜駅 横浜線時刻表」(令和8年8月時刻表)