第1 大阪修習の全体像
大阪修習とは,大阪を実務修習地として,民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の分野別実務修習等を受けることである。
本記事は,令和8年8月15日現在の公開資料に基づき,第79期司法修習生の日程,直近の大阪配属人数,新第63期から第69期までの旧希望倍率,実務修習の構造,主な修習先,住居,修習給付金及び就職支援をまとめたものである。
班ごとの巡回順序,個別プログラムの実施時期及び集合場所等は変更されることがあるため,実際の修習では,司法研修所及び各実務修習庁会から交付される最新資料を確認する必要がある。
第2 大阪配属人数と実務修習地の希望
1 直近3期の大阪配属人数
司法修習生配属現員表及び修習開始時点の人数によれば,第76期から第78期までの大阪配属人数は次のとおりである。
| 修習期 | 大阪配属人数 | 修習開始時の総数 | 大阪の割合 |
|---|---|---|---|
| 第76期 | 120人 | 1394人 | 8.61% |
| 第77期 | 173人 | 1830人 | 9.45% |
| 第78期 | 153人 | 1556人 | 9.83% |
大阪の割合は,本記事が各期の人数から計算した参考値であり,最高裁判所による配属方針又は将来予測を示すものではない。
第79期の修習開始時の総数は1551人であるが,本記事の調査時点では,大阪配属人数を確認できる配属現員表は公開されていない。そのため,第79期の大阪配属人数は記載していない。
2 新第63期から第69期までの希望倍率
新第63期から第69期までに作成された実務修習希望地調査表による大阪の希望倍率は,次のとおりである。第1希望倍率は第1希望者数を大阪の配属人数で除した数値であり,第2希望までの倍率は第1希望者数と第2希望者数の合計を大阪の配属人数で除した数値である。
| 修習期 | 第1希望倍率 | 第2希望までの倍率 |
|---|---|---|
| 新第63期 | 1.11倍 | 1.80倍 |
| 新第64期 | 1.20倍 | 2.03倍 |
| 新第65期 | 1.05倍 | 1.67倍 |
| 第66期 | 0.84倍 | 1.42倍 |
| 第67期 | 0.73倍 | 1.27倍 |
| 第68期 | 0.70倍 | 1.18倍 |
| 第69期 | 0.71倍 | 1.25倍 |
| 7期平均 | 0.91倍 | 1.52倍 |
もっとも,最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の平成29年4月28日答申によれば,この調査表は第69期まで作成されていたものの,実際の利用状況及び事務合理化を理由として,第70期から作成されなくなった。
したがって,上表は第69期までの歴史資料であり,現在の大阪の人気度,配属可能性又は他の修習地との比較を示す数値ではない。また,倍率が1倍を下回る場合であっても,第1希望者全員の大阪配属を意味するものではない。
3 希望地と配属
採用選考の申込みでは実務修習希望地を記載するが,希望地への配属が保証されるわけではない。
第69期までの古い倍率又は当時の希望地の選び方を,第79期以降の配属見通しにそのまま用いることはできない。
第3 第79期大阪修習の日程
第79期司法修習の日程は次のとおりである。大阪は,分野別実務修習の後に集合修習を行い,その後に選択型実務修習を行うグループに属する。
| 段階 | 期間 |
|---|---|
| 導入修習 | 令和8年3月19日から同年4月10日まで |
| 分野別実務修習第1クール | 令和8年4月14日から同年6月9日まで |
| 分野別実務修習第2クール | 令和8年6月10日から同年8月2日まで |
| 分野別実務修習第3クール | 令和8年8月3日から同年9月28日まで |
| 分野別実務修習第4クール | 令和8年9月29日から同年11月20日まで |
| 集合修習 | 令和8年11月24日から令和9年1月8日まで |
| 選択型実務修習 | 令和9年1月12日から同年2月25日まで |
公式の採用選考申込手続の手引きは,導入修習を令和8年3月19日から同年4月10日まで,分野別実務修習を同月14日から同年11月20日までとしている。各クールの期間並びに集合修習及び選択型実務修習の期間は,第79期司法修習の日程に掲載された日程表による。
第4 分野別実務修習と選択型実務修習
1 分野別実務修習の4分野
分野別実務修習では,①民事裁判,②刑事裁判,③検察及び④弁護の4分野を修習する。
最高裁判所の「司法修習の概要」によれば,各分野の修習期間はおおむね2か月であり,実際の事件を素材として,法律実務家として必要な知識,技法,職業倫理及び心構えを学ぶ。
大阪配属者についても,4分野の巡回順序は班ごとに異なる。家庭裁判所における修習は,裁判修習の期間に組み込まれることがあるため,大阪地方裁判所本庁だけでなく,大阪家庭裁判所の所在地も確認しておく必要がある。
大阪弁護士会の司法修習委員会は,司法研修所からの委託を受け,司法修習生の配置,指導及び監督並びに指導担当弁護士の選定等を行っている。
2 選択型実務修習
選択型実務修習は,修習生が自らの関心と進路に応じてプログラムを選び,分野別実務修習の成果を深める課程である。全国プログラムのほか,配属地の裁判所,検察庁及び弁護士会等が提供する個別プログラムがある。
第78期の集計では,全国で185プログラム,募集人員合計509人に対し,応募者合計は1068人であった。大阪関係では,大阪地方裁判所の知的財産権関係,大阪弁護士会の国際関係及び知的財産権関係のプログラムが掲載されていた。
もっとも,この数値は令和7年7月10日現在の第78期集計であり,第79期の募集内容又は採用可能性を示すものではない。実際の応募では,当該期に交付されるプログラム一覧,応募条件,定員及び日程を確認する必要がある。
第5 主な修習先の所在地と庁舎情報
1 主な庁会の所在地
大阪修習で関係する主な庁会の所在地は次のとおりである。配属班又は事件によって,支部その他の庁舎へ行くこともある。
| 庁会 | 所在地 | 交通案内 |
|---|---|---|
| 大阪高等・地方・簡易裁判所合同庁舎 | 大阪市北区西天満2丁目1番10号 | 裁判所公式案内 |
| 大阪家庭裁判所 | 大阪市中央区大手前4丁目1番13号 | 裁判所公式案内 |
| 大阪地方検察庁 | 大阪市福島区福島1丁目1番60号 | 検察庁公式案内 |
| 大阪弁護士会館 | 大阪市北区西天満1丁目12番5号 | 大阪弁護士会公式案内 |
地裁本庁,家裁本庁,地検及び弁護士会館は同一場所ではない。住居を選ぶ場合は,特定の庁舎だけでなく,複数の修習先への移動を考える必要がある。
2 大阪地裁本庁の平面図と施設
大阪地方裁判所の「大阪地方裁判所の紹介」には,本館,新館及び別館の平面図が掲載されている。部及び係の配置は変更されることがあるため,保存された古い平面図ではなく,裁判所公式ページで現行図を確認するのが安全である。
大阪地裁本庁には食堂がない。売店は本館1階にあり,飲料自動販売機は本館地下1階中央ホール,別館1階及び新館1階に設置されている。営業時間及び設備は変わる可能性があるため,庁舎内施設・設備についてで最新情報を確認する必要がある。
第6 住居の確保と修習給付金
1 住居は各自で確保すること
第79期司法修習生採用選考申込手続の手引きは,指定された実務修習地における住居を,各自が責任をもって確保するものとしている。
大阪で住居を探す場合は,①地裁,家裁,地検及び弁護士会館への交通,②賃貸借期間,③短期解約違約金,④退去予告期間,⑤家具及び家電の有無並びに⑥集合修習中の住居費を確認する必要がある。
特定の不動産事業者による司法修習生向け案内は物件探しの参考にはなるが,公式情報ではない。掲載日,対象期,契約条件及び仲介手数料等を確認した上で,複数の選択肢を比較するのがよい。
2 修習給付金
第79期の修習給付金案内によれば,修習給付金には基本給付金,住居給付金及び移転給付金がある。
基本給付金は給付期間ごとに13万5000円であり,住居給付金は所定の要件を満たす場合に給付期間ごとに3万5000円が支給される。住居給付金及び移転給付金には,それぞれ所定の届出及び添付書類が必要である。
住居給付の要件を新たに満たした場合は,原則として,要件を満たした日から7日以内に届け出る必要がある。また,集合修習のため司法研修所の寮等へ移り,所定の条件を満たす期間は,住居給付金の支給対象にならないことがあるため,最高裁判所の修習給付金案内及び当該期の案内を確認する必要がある。
第7 大阪弁護士会の就職支援等
大阪弁護士会は,修習生・弁護士向け就職支援情報に,法律事務所の求人情報,採用説明会等を掲載している。
大阪弁護士会所属の法律事務所に対する就業活動で差別的言動等の人権侵害を受けた司法修習生は,苦情相談窓口に相談でき,匿名で相談することも可能である。
大阪弁護士会の会員数は,令和8年3月1日現在,弁護士5109人であり,このうち外国法事務弁護士は18人である。また,弁護士法人は286法人である。
同会には7つの任意加入団体があるが,これらは大阪弁護士会の機関ではない。詳しくは,弁護士会の会派を参照されたい。
第8 大阪修習で確認しておくべきこと
大阪修習については,古い希望倍率,過去期の日程及び個人の体験談を,現在の確定情報と混同しないことが重要である。
第79期については,①大阪配属人数は未確認であること,②大阪は集合修習を先に行うグループであること,③住居は各自で確保すること,④住居給付金等には届出期限があることを確認しておく必要がある。
実際の修習内容は班,クール及び指導庁会によって異なるため,公式資料と個別に交付される最新資料を優先して参照すべきである。
第9 出典・参考資料
1 司法修習及び修習給付金
② 最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」
⑦ 司法修習の場所ごとの第1希望の倍率の推移表(新第63期から第69期まで)
⑧ 司法修習の場所ごとの第2希望までの倍率の推移表(新第63期から第69期まで)
⑨ 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会平成29年4月28日答申
⑩ 「選択型実務修習 全国プログラム集計(第78期)」(令和7年7月10日現在,A班・B班合計)
2 大阪の裁判所及び検察庁
3 大阪弁護士会
④ 大阪弁護士会「司法修習生の就業活動における差別的言動に対する苦情相談窓口」
⑤ 弁護士会の会派