第1 この記事が扱う東京修習の範囲
1 実務修習地としての「東京」と立川の区別
本記事は,最高裁判所が実務修習地として指定する「東京」について,第79期の日程,班と組,配属人数,修習給付金及び修習先の情報を,公開資料に基づいて整理するものである。
東京地方裁判所立川支部は東京地方裁判所の支部であるが,司法修習では「東京」と「立川」が別の実務修習地として扱われ,配属人数も別に集計されている。
そのため,本記事にいう東京修習に立川修習は含まない。
立川については立川修習の情報で整理している。
東京修習の中心は,東京地方裁判所,東京地方検察庁及び東京三弁護士会における分野別実務修習である。
最高裁判所の司法修習の概要によれば,分野別実務修習は,民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の4分野について,それぞれ2か月ずつ実施される。
各分野の修習内容そのものは修習地によって変わるものではないため,本記事は東京固有の事項を中心に扱う。
分野ごとの内容は民事裁判修習,刑事裁判修習,検察修習及び弁護修習の各記事に,司法修習の全体像は司法修習とはに記載している。
2 基準時と第80期の資料の状況
本記事の記載は,令和8年8月28日現在で確認できる資料に基づく。
第79期については,最高裁判所が公表した採用選考申込手続の手引き及び修習給付金案内があるため,日程及び給付の内容を確認できる。
これに対し,第80期については,最高裁判所の司法修習生採用選考のページが,令和8年度の申込方法及び申込期間等を令和8年9月中旬頃に掲載する予定としているにとどまる。
同日現在,第80期の採用選考申込手続の手引き及び修習給付金案内は公表されていない。
したがって,これから実務修習地を選ぶ第80期の予定者は,本記事の第79期に関する記載を過去の期の運用として読み,令和8年9月中旬以降に公表される第80期の資料で必ず確認する必要がある。
期別の日程は,第79期司法修習の日程,第80期司法修習の日程及び70期以降の司法修習の日程で別に整理している。
第2 第79期東京修習の日程
1 導入修習から選択型実務修習まで
最高裁判所の令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き2頁は,第79期について,令和8年3月19日から4月10日まで導入修習が行われ,同月14日から11月20日まで配属庁会における分野別実務修習が行われるとしている。
その後,司法研修所における集合修習と配属庁会における選択型実務修習が,約1か月半ずつ行われる。
東京の場合の日程は,次のとおりである。
| 課程 | 期間 | 場所 |
|---|---|---|
| 導入修習 | 令和8年3月19日~4月10日 | 司法研修所 |
| 分野別実務修習 | 令和8年4月14日~11月20日 | 東京の配属庁会 |
| 集合修習 | 令和8年11月下旬~令和9年1月中旬 | 司法研修所 |
| 選択型実務修習 | 令和9年1月中旬~2月下旬 | 東京の配属庁会等 |
上記の手引きが示すのは課程全体の期間である。
各クールの区切り,登庁時刻,配属部及び個別のプログラムは同手引きに記載されていないため,これらは配属庁会からの連絡で確認することになる。
2 東京が集合修習を先に行う区分であること
同手引き2頁の表は,実務修習地を二つの区分に分けている。
一方は「東京,立川,横浜,さいたま,千葉,大阪,京都,神戸,奈良,大津,和歌山」の11庁であり,他方は「①以外の実務修習地」である。
東京を含む前者は,令和8年11月下旬から令和9年1月中旬までが集合修習,同年1月中旬から2月下旬までが選択型実務修習である。
後者は順序が逆であり,先に選択型実務修習を行い,後に集合修習を行う。
司法研修所の第79期教官担当表(令和8年4月17日付)は,この前者の11庁に対応する第12組から第22組までを「A班」,後者に対応する第1組から第11組までを「B班」と表記している。
したがって,第79期の東京はA班である。
この順序の違いは,東京修習にとって二つの意味を持つ。
第一に,分野別実務修習が終わった直後の約1か月半,和光市の司法研修所へ通うことになるため,東京の住居をどうするかという問題が修習の途中で生じる。
第二に,選択型実務修習が修習の最後に置かれるため,選択型実務修習のプログラムを選ぶ時期がB班の修習地よりも後になる。
3 住居の確保と契約の時期
同手引き2頁は,指定された実務修習地における住居の確保は各自で行うことになっている,としている。
東京修習では,令和8年4月14日の分野別実務修習の開始に間に合うように住居を確保することになる。
もっとも,東京はA班であるから,令和8年11月下旬から令和9年1月中旬までは司法研修所での集合修習となる。
そのため,その期間の住居をどうするかも併せて決める必要がある。
この選択は,後記第5の4のとおり,住居給付金が支給されるかどうかに影響する。
第3 東京の組と集合修習のクラス
1 第79期の東京は4組であること
司法研修所の第79期教官担当表(令和8年4月17日付)は,第79期の司法修習生を第1組から第22組までの22組に分け,各組に対応する実務修習地を示している。
このうち東京が対応するのは,第12組(東京イ),第13組(東京ロ),第14組(東京ハ・立川)及び第15組(東京二・横浜イ)の4組である。
東京は,一つの実務修習地に割り当てられた組の数が全国で最も多い。
同表は,各組について,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護及び刑事弁護の5科目の担当教官を示している。
最高裁判所の司法修習の概要によれば,集合修習ではこの5科目について指導が行われる。
他方,分野別実務修習における配属部及び指導担当者は,同表からは分からない。
各期の組と実務修習地の対応関係は,司法修習地とクラスの対応関係にまとめており,原資料である各期の教官担当表は司法研修所の教官担当表に掲載している。
2 立川及び横浜と同じ組になる部分があること
第79期教官担当表によれば,第14組は東京ハと立川,第15組は東京二と横浜イである。
そのため,東京の修習生の一部は,集合修習において立川又は横浜の修習生と同じ組になる。
これに対し,第12組(東京イ)及び第13組(東京ロ)は東京だけで構成されている。
立川修習の情報及び横浜修習の情報のとおり,立川及び横浜は東京とは別の実務修習地である。
分野別実務修習の段階では東京の修習生と接点がなくても,集合修習の段階で組が結び付くことがある。
3 組の数は期によって変わること
東京に割り当てられる組の数は固定されていない。
司法修習地とクラスの対応関係によれば,第77期は東京イから東京ホまでの5組(全25組),第78期は東京イから東京二までの4組(全24組),第79期は東京イから東京二までの4組(全22組)である。
また,同じ組に組み合わされる修習地も期によって異なり,第77期は第16組が東京二と立川,第17組が東京ホと横浜イであった。
そのため,過去の期の組の構成から自分の期の組の構成を確定することはできない。
第4 東京への配属人数と希望倍率
1 第78期までの東京配属人数
司法修習生配属現員表(48期以降)に掲載した各期の開示資料によれば,新第63期以降の東京配属人数は次のとおりである。
| 期 | 東京配属人数 | 期 | 東京配属人数 |
|---|---|---|---|
| 新第63期 | 317人 | 第71期 | 234人 |
| 新第64期 | 313人 | 第72期 | 230人 |
| 新第65期 | 311人 | 第73期 | 232人 |
| 第66期 | 341人 | 第74期 | 227人 |
| 第67期 | 332人 | 第75期 | 206人 |
| 第68期 | 286人 | 第76期 | 219人 |
| 第69期 | 292人 | 第77期 | 306人 |
| 第70期 | 265人 | 第78期 | 229人 |
最新の第78期については,第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)により,東京229人,全国計1556人であることを確認できる。
同表の備考欄には「第78期採用1556名 令和7年3月19日付け」と記載されており,計と採用者数が一致している。
第77期の司法修習生配属現員表(令和6年3月21日現在)では,東京306人,全国計1830人である。
2 東京圏が全国のおよそ3割を占めること
第78期の配属現員表によれば,東京圏の五つの実務修習地の配属人数は,東京229人,立川22人,横浜85人,さいたま64人及び千葉66人であり,合計466人である。
全国計1556人に占める割合は約30%である。
第77期についても,東京306人,立川24人,横浜100人,さいたま73人及び千葉75人の合計578人であり,全国計1830人の約32%である。
これらの割合は,本記事において各表の数値から計算したものである。
東京単独の割合は,第78期が約15%,第77期が約17%である。
第77期は全国計が1830人であり東京の配属人数が306人であったのに対し,第78期は全国計が1556人に減り,東京も229人に減っている。
この二つの期を比べる限り,全国計の増減と東京の配属人数の増減は同じ方向であった。
3 配属現員と基準日の読み方
配属現員表は,表題に記載された基準日における配属人数を示すものであり,修習を修了した者の数を示すものではない。
また,司法修習生配属現員表(48期以降)に掲載した各期の資料は,基準日が期によって異なる。
第78期は令和7年3月19日現在,第77期は令和6年3月21日現在であるのに対し,第76期は令和4年11月27日現在,第75期は令和3年11月12日現在である。
基準日が採用の直後である期と修習の途中である期とが混在しているため,期の間で人数を比較するときは各表の基準日を確認する必要がある。
第79期の配属現員表は,令和8年8月28日現在,同記事に掲載されていない。
そのため,第79期の東京配属人数は,本記事の作成時点では確認できない。
4 第69期までの希望倍率の意味
本ブログに掲載している司法修習の場所ごとの第1希望の倍率の推移表(新63期から69期まで)及び第2希望までの倍率の推移表(新63期から69期まで)によれば,東京の倍率は次のとおりである。
| 期 | 第1希望倍率 | 第2希望までの倍率 |
|---|---|---|
| 新第63期 | 1.46 | 2.27 |
| 新第64期 | 1.53 | 2.48 |
| 新第65期 | 1.53 | 2.41 |
| 第66期 | 1.29 | 2.17 |
| 第67期 | 1.41 | 2.29 |
| 第68期 | 1.53 | 2.47 |
| 第69期 | 1.36 | 2.19 |
| 平均 | 1.44 | 2.32 |
両表は,東京を「1群」に分類し,地域手当を18%としている。
両表の注記によれば,当時,希望する修習地は第1希望から第6希望まで記載でき,1群の修習地は2個までしか記載できず,第5希望及び第6希望は必ず3群の修習地から選ぶ必要があった。
東京が1群であることは,東京を希望する場合に他の1群の修習地を1個しか併願できなかったことを意味する。
同じ1群の立川は,第1希望倍率の平均が3.88,第2希望までの倍率の平均が8.42であり,東京よりはるかに高い。
もっとも,これらの数値は第69期までのものである。
最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の平成29年4月28日答申(平成29年度(最情)答申第1号)2頁によれば,実務修習希望地調査表は,第69期までは実務修習地を決定する際の参考資料として利用する場合もあるため作成されていたが,事務の合理化の観点から,第70期の司法修習生採用選考申込者に関する調査表は作成しないこととされた。
そのため,第70期以降の希望倍率を示す資料は存在しない。
同答申3頁は,最高裁判所の職員からの口頭説明の結果として,次の点を記載している。
調査表を作成していた目的は,実務修習地の決定に当たり各実務修習地への配属人数を調整するため,又は翌期の各実務修習地の配属予定人数を決定するための資料とすることにあった。
また,実務修習地の決定に当たっては,司法修習生の希望を基本として,各人の諸般の事情を考慮している。
この説明を前提とすると,上表の倍率は第69期当時の希望の分布を示す歴史的な資料であり,現在の配属可能性を示す数値ではない。
古い倍率を根拠に,他の修習地を「安全」又は「危険」と評価することも適切でない。
修習地の選び方一般については,第2希望の実務修習地の選び方及び司法修習の場所を選ぶ際の基礎データで扱っている。
第5 修習給付金と東京の住居
1 修習給付金の種類と額
裁判所法67条の2第2項は,修習給付金の種類を基本給付金,住居給付金及び移転給付金とする。
同条第4項は,住居給付金について,司法修習生が自ら居住するため住宅を借り受け,家賃を支払っている場合(配偶者が当該住宅を所有する場合その他の最高裁判所が定める場合を除く。)に支給するものとし,その額を家賃として通常必要な費用の範囲内において最高裁判所が定める額としている。
最高裁判所の司法修習生の修習給付金についてによれば,額は,基本給付金が給付期間ごとに13万5000円,住居給付金が同じく3万5000円である。
移転給付金は,修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合に,最高裁判所の定める路程に応じた定額が支給される。
住居給付金は定額であるから,これを超える家賃の部分は各自の負担となる。
2 住居給付金の届出期限
司法研修所事務局総務課・経理課の修習給付金案内(第79期)7頁(PDF11頁)は,住居給付要件を具備した者について,住居届(新規)及び賃貸借契約書全頁の写しを,「要件を具備した日から7日以内(初日不算入)」に届け出るものとしている。
要件を喪失した場合及び居住の実情に変更が生じた場合は,事実が生じたら速やかに届け出るものとされている。
届出は原則として電子届出によることとされ,やむを得ず郵送する場合は郵便追跡サービスを利用できる郵便物によるものとされている。
同案内の冒頭には,期限後に届出された場合,原則として修習給付金を支給することはできない旨が記載されている。
同7頁は,賃貸借契約書が整わず期限内に提出できない場合は,先に住居届のみを期限内に届け出るものとしている。
賃貸借契約書は,約款及び特約の部分を含めた全頁の写しを提出する。
賃貸借契約書を作成していない場合は,賃貸借契約証明書及び修習生自身が家賃を負担していることを証する資料が必要になる。
3 支給の始期
同案内8頁(PDF12頁)によれば,住居給付金は,要件具備日の属する給付期間の次の給付期間から支給が開始される。
要件具備日が給付期間の初日であるときは,要件具備日の属する給付期間から支給が開始される。
第79期の給付期間は,同頁の例示によれば,毎月19日から翌月18日までである。
これに対し,同頁によれば,要件具備日から7日を経過した後に届出がされたときは,届出を受理した日の属する給付期間の次の給付期間から支給が開始される。
つまり,届出が7日を過ぎると,住居給付金の支給開始が1給付期間分,金額にして3万5000円分だけ後になり得る。
東京修習では,令和8年4月14日の分野別実務修習の開始に間に合うように住居を確保することになるため,賃貸借の開始日と届出日の管理が実際上重要になる。
4 集合修習の期間の取扱い
同案内7頁は,住居給付金の支給を受けている者が支給対象の住宅に居住しなくなった場合は,その住宅の賃貸借契約が継続していても「喪失」の届出が必要であるとしている。
その上で,集合修習の期間については,その間に対象住宅の賃貸借契約を継続し,かつ集合修習の終了後に対象住宅に戻って居住する場合に限り,司法研修所の寮に入寮する者は例外的に届出が不要となり,自宅,実家,配偶者の所有する住宅等に居住する者は「変更」の届出をすることになるとしている。
そして,これらの期間は住居給付金の支給対象にはならないとされている。
第79期の東京はA班であり,令和8年11月下旬から令和9年1月中旬までの約1か月半が集合修習である。
この期間に司法研修所の寮に入る場合,東京の住居の家賃を負担しながら住居給付金を受けられないことになる。
東京の住居を集合修習の期間だけ解約するという選択もあり得るが,その場合は集合修習の終了後に選択型実務修習のために再び東京の住居を確保する必要がある。
どちらを選ぶかは,家賃の額,解約及び再契約に要する費用並びに寮の利用可否によって異なるため,第79期用の給付金案内及び配属庁会からの連絡で個別に確認することになる。
5 修習専念資金
裁判所法67条の3第1項は,最高裁判所が,司法修習生に対し,その申請により,無利息で,修習専念資金を貸与するものとすると定める。
同項によれば,修習専念資金とは,司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金であって,修習給付金の支給を受けてもなお必要なものをいう。
額及び返還の期限は,同条第2項により最高裁判所の定めるところによる。
同条第3項は,災害,傷病その他やむを得ない理由により返還が困難となったとき等に,返還の期限を猶予することができるとしている。
同条第4項は,死亡又は精神若しくは身体の障害により返還することができなくなったときに,全部又は一部の返還を免除することができるとしている。
住居給付金を超える家賃を負担する場合には,この貸与制度の利用も選択肢になる。
第6 東京の修習先
1 東京地方裁判所の規模と庁舎の分散
東京地方裁判所の紹介によれば,東京地方裁判所の裁判部は,支部を含め55の民事部と23の刑事部(令和8年4月1日現在)から構成されており,各部には3人以上の裁判官が配置されている。
同ページは,東京地方裁判所について,年間の事件受理数,裁判官数及び法廷数等が全国一であり,日本における最大級の裁判所であるとしている。
職員数は,令和8年4月現在,本庁(東京簡易裁判所及び東京第一検察審査会から東京第六検察審査会までを含む。)が裁判官516人及び一般職1668人の計2184人である。
同ページによれば,東京地方裁判所は,昭和58年に竣工した千代田区霞が関の東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎内に設置されている。
平成14年に目黒区目黒本町に東京地方裁判所民事執行センターが,令和4年に目黒区中目黒に知的財産高等裁判所・東京地方裁判所中目黒庁舎(通称ビジネス・コート)が,それぞれ開設された。
そのため,「東京地裁」を霞が関の一つの庁舎だけと理解することはできない。
東京地方裁判所庁舎総合案内図(令和8年4月1日現在)及び東京地方裁判所中目黒庁舎(ビジネス・コート)によれば,主な配置は次のとおりである。
| 庁舎 | 所在する主な部門 |
|---|---|
| 東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎(千代田区霞が関) | 商事部を除く民事各部及び刑事各部 |
| 中目黒庁舎(ビジネス・コート。目黒区中目黒) | 民事第8部(商事部),民事第20部(倒産部),民事第29部・第40部・第46部・第47部(知的財産権部) |
| 民事執行センター(目黒区目黒本町) | 民事第21部及び執行官室 |
| 東京家庭・簡易裁判所合同庁舎(千代田区霞が関) | 民事第22部(建築・調停) |
中目黒庁舎は東京都目黒区中目黒2-4-1にあり,東急東横線及び東京メトロ日比谷線の中目黒駅東口1から徒歩約8分,JR及び東京メトロ日比谷線の恵比寿駅西口から徒歩約11分である。
もっとも,上記は各部門の所在地を示すものであり,司法修習生がすべての庁舎又は専門部で修習することを意味しない。
実際に登庁する庁舎は,配属の通知及び指導担当者からの連絡で確認することになる。
2 民事裁判手続のデジタル化
裁判所の民事裁判手続のデジタル化によれば,改正民事訴訟法及び改正民事訴訟規則が令和8年5月21日に施行され,民事訴訟手続のデジタル化が始まった。
同ページには,民事訴訟規則,「改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要」,「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」,民事裁判書類電子提出システム(mints)の操作説明動画その他の資料が掲載されている。
第79期の東京における民事裁判修習は,この施行後の手続を前提とする。
他方,同ページによれば,民事執行,倒産,労働審判等の非訟手続,人事訴訟手続及び家事事件手続は,令和8年5月21日に施行された民事訴訟手続のデジタル化によるオンライン申立て等の対象外であり,これらの手続は令和10年6月までにオンライン申立て等の対象となる予定である。
東京地方裁判所では,中目黒庁舎の倒産部及び民事執行センターがこれらの手続を扱うため,庁舎又は部によって手続の方式が異なる。
東京弁護士会の会報であるLIBRAの令和8年3月号は,「いよいよ民事裁判が電子化 ─「mints」利用義務化を前に─」を特集し,改正法の概要,補助者アカウント,フェーズ3における事務の流れ,経過措置及びmintsと上手に付き合うための提案を扱っている。
これは弁護士向けの会報記事であり,裁判所の公式な運用の説明ではないが,裁判所の資料と併せて読むことができる。
3 東京地方検察庁
東京地方検察庁の本庁は,東京都千代田区霞が関1丁目1番1号にある。
東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎及び弁護士会館と同じ霞が関1丁目1番の街区にあり,徒歩で移動できる。
東京地方検察庁は部制を採っている。
東京地方検察庁執務規程(平成13年3月30日東地企第122号検事正訓令。平成28年3月29日東地企第86号までの改正を反映したもの)1条は,東京地方検察庁本庁,立川支部及び管内区検察庁の職員の執務について,検察庁法,検察庁事務章程その他別に定めるもののほか同規程の定めるところによるとしている。
同規程の第2章は,本庁の刑事部,公安部,特別捜査部,公判部及び特別公判部の所管事務を定めており,本庁が事件の種類に応じて部に分かれていることが分かる。
同規程2条2項は,公安部が臨時に所管する事件として,外事関係事件,麻薬関係事件,暴力関係事件,銃器関係事件並びにこれらのほか殺人その他の凶悪かつ重大な犯罪に係る事件のうち警視総監が捜査本部を設置した警視庁組織犯罪対策部所管の事件を掲げる。
同規程3条1項は,特別捜査部の所管事務のうち検事正があらかじめ指定する事件として,検察官が告訴又は告発を受けた事件,検察官が自ら犯罪を認知した事件及び警視庁刑事部捜査第二課から送致又は送付を受けた事件を掲げる。
同規程4条は,人事訴訟法に規定する検察官の職務及び権限に属する事項を本庁公判部の所管とし,同規程5条1項は,本庁に臨時に特別公判部を編成し,特別捜査部に所属する検察官が起訴した事件の公判の遂行に関する事項等を同部の所管とするとしている。
もっとも,この規程は平成28年3月29日の改正までを反映したものであり,現在の部の編成及び所管事務が同じであることを示すものではない。
検察修習で配属される部及び担当する事件は配属後に示されるため,同規程は,東京地方検察庁が部制を採っていること及び部ごとに扱う事件の種類が異なることを理解するための資料として読むのが相当である。
検察修習の内容一般は,検察修習の記事で整理している。
4 東京三弁護士会
東京には,東京弁護士会,第一東京弁護士会及び第二東京弁護士会の三つの弁護士会がある。
弁護修習及び弁護士としての登録は,これらの会を通じて行われる。
東京弁護士会は修習生の方へというページを設け,入会手続の案内,求人求職情報,会員インタビュー及び修習生向けの行事を掲載している。
第一東京弁護士会は司法修習生の入会申し込み,第二東京弁護士会は修習生の方へというページを設けている。
令和8年8月28日現在,これらのページに掲載されている入会手続の案内は,第78期を対象とするものである。
第一東京弁護士会のページによれば,第78期の入会申込みの受付期間は令和7年11月26日から同年12月10日まで(必着)であり,一斉登録日は令和8年3月26日である。
第79期以降の受付期間及び一斉登録日は,各会が改めて公表する案内で確認する必要がある。
5 就職に関する行事
東京弁護士会の東京三弁護士会司法修習予定者等就職合同説明会のページによれば,令和8年は「第79期司法修習生および第80期司法修習生予定者等全国就職合同説明会」として,同年11月26日から同月30日まで開催される。
同ページによれば,オンライン専用サイトは同年9月上旬から公開される予定であり,仮エントリー期間は同年9月1日から11月11日まで,本登録期間は同年11月12日から同月23日までが,いずれも予定とされている。
参加する事務所及び企業の申込期間は同年6月11日から7月31日午後6時までであり,既に終了している。
この説明会は第79期の司法修習生と第80期の予定者の双方を対象とし,法律事務所だけでなく企業も参加するため,東京修習中の就職活動の入口になる。
弁護士会の会報も,修習中の調査資料として利用できる。
東京弁護士会はLIBRA,第二東京弁護士会は二弁フロンティアの公開バックナンバーをウェブサイトに掲載しており,裁判所との協議,法改正及び若手会員向け制度に関する記事がある。
もっとも,これらは掲載当時の運用を説明する記事を含むため,現在の取扱いは裁判所又は各会の最新の案内で確認する必要がある。
6 第77期日程・第73期資料で確認できる裁判修習
第77期東京修習の実務修習日程(PDF32頁)には,第77期1班から4班までの民事裁判実務修習日程表及び刑事裁判実務修習日程表等が収録されている。
日程の対象期間は令和6年4月16日から同年11月20日までであり,同じクールでも,民事部に配属される班と刑事部に配属される班があった。
民事裁判実務修習の日程には,開講起案,保全部修習,執行部講義,東京家庭裁判所での家事部修習及び希望者を対象とする中目黒庁舎のビジネス・コート修習等が記載されている。
刑事裁判実務修習の日程には,刑裁問研起案,令状事務に関する特別講義,刑事第14部(令状部)での実務修習,東京家庭裁判所少年部での家裁修習及び共通問題研究等が記載されている。
刑事裁判実務修習日程表の「該当修習生」欄は配属部番号で対象者を示しており,令状部修習及び家裁修習の実施日は配属部ごとに分けられていた。
第73期の刑事第14部(令状部)における修習については,令状事件の処理態勢,令状部裁判官の役割,被疑者勾留請求事件及び被疑者国選弁護人選任請求等を修習項目として掲げている。
この資料は令状部修習の対象事項を示すものであり,第77期の日程表に記載された令状部実務修習の具体的内容を補足する資料となる。
第73期の分野別実務修習(裁判修習)における注意事項は,当時の東京地裁における登庁及び欠席等の取扱い,各種届出,裁判修習関連情報の取扱い,実務修習結果簿等の提出並びに一般的な注意事項を定めていた。
同資料は,「合同修習」を,配属部での通常修習以外に合同で実施される講義,特別部修習,問研起案及び家裁修習等と説明している。
ここでいう合同修習は,司法研修所で行われる集合修習ではなく,東京での分野別実務修習中に合同で実施されるプログラムを指している。
また,第73期の司法修習生の合同資料室(18階北)の利用についてによれば,当時は裁判所での修習期間中,午前9時15分から午後5時まで合同資料室を利用でき,図書資料について20日間,1人5冊以内の貸出しを受けることができた。
合同資料室備付けのコピー機を利用する場合は,カウンター職員に申し出る取扱いとされていた。
もっとも,以上は第73期又は第77期の特定時点における日程及び運用であり,第79期の配属部,日程,登庁時刻その他の取扱いが同じであることを示すものではない。
現在の取扱いは,配属庁会から交付される日程表及び注意事項で確認する必要がある。
裁判修習の内容一般については,民事裁判修習及び刑事裁判修習の記事で整理している。
第7 霞が関周辺の利用情報
1 各庁舎の所在地と最寄駅
関東弁護士会連合会の各地方裁判所周辺ガイドマップによれば,東京地方裁判所は東京都千代田区霞が関1-1-4,東京家庭裁判所及び東京簡易裁判所は同1-1-2,弁護士会館は同1-1-3にある。
最寄駅は東京メトロ丸ノ内線,日比谷線及び千代田線の霞ケ関駅であり,同ガイドマップは,東京メトロ有楽町線の桜田門駅5番出口からも徒歩5分程度であるとしている。
庁舎ごとに利用しやすい出口が異なるため,同ガイドマップと各機関の公式のアクセス案内を併せて確認するとよい。
2 庁舎内の飲食店
同ガイドマップによれば,東京高等裁判所及び東京地方裁判所の地下1階には,ダーリントンホール,日豊庵及びきゃら亭並びにコンビニエンスストアがある。
東京家庭裁判所及び東京簡易裁判所の地下1階にはセルフサービスの店舗及びコンビニエンスストアがあり,弁護士会館の地下1階には霞ヶ関別邸桂,銀座鳳鳴春霞ヶ関店,食事処大平,レストランメトロ及び蕎麦処みとうの5店舗がある。
同ガイドマップには更新日又は情報の基準日の記載がなく,店舗,営業時間及び利用条件は変わり得るため,現地の表示又は営業主体の案内で確認する必要がある。
3 東京の地理的な広がり
住居を選ぶときは,通勤先となる庁舎の位置だけでなく,東京の地理的な広がりも考慮することになる。
参考として,次の投稿がある。
以前に、関西人向けに「東京ってどれだけ広いのか」という画像を作りましたので、お納めください。
特に京都人は池袋と品川の位置関係にびっくりするようです。 pic.twitter.com/DV2p953czu— xanadu_k (@xanadu_k) August 16, 2016
第8 公開資料で確認できない事項
本記事は公開資料に基づくため,次の事項は確認できない。
①第79期の東京配属人数(配属現員表が公表されていないため),②第80期の日程,実務修習地の区分及び修習給付金の額(令和8年9月中旬頃に公表される予定),③第79期の東京における配属部,指導担当者,弁護修習先及び選択型実務修習の個別のプログラム,④第79期の各クールの日程,登庁時刻その他の日々の運用。
これらは,配属庁会からの連絡又は各会の案内で確認することになる。
第73期及び第77期については,前記第6の6の公開資料により当時の一部の運用を確認できるが,配属先及び指導体制は期及び班によって異なり,個別の日程もクール及び配属部によって異なるため,現在の第79期司法修習生に共通する運用として一般化することはできない。
出典・参考資料
1 法令及び訓令
①裁判所法(昭和22年法律第59号)66条・67条・67条の2・67条の3(e-Gov法令検索)
②東京地方検察庁東京地方検察庁執務規程1条~5条(平成13年3月30日東地企第122号検事正訓令。平成28年3月29日東地企第86号までの改正を反映したもの)1頁~2頁(PDF1頁~2頁)
2 最高裁判所及び司法研修所の制度説明・運用資料
①最高裁判所司法修習の概要
②最高裁判所司法修習生採用選考(令和8年度の申込方法及び申込期間等は令和8年9月中旬頃に掲載予定)
③最高裁判所令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き2頁(PDF2頁)
④最高裁判所司法修習生の修習給付金について
⑤司法研修所事務局総務課・経理課修習給付金案内(第79期)7頁~8頁(PDF11頁~12頁)
3 開示を受けた司法行政文書及び情報公開・個人情報保護審査委員会の答申
①司法研修所第79期教官担当表(令和8年4月17日付)
②最高裁判所第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)
③最高裁判所司法修習生配属現員表(令和6年3月21日現在。第77期採用時点のもの)
④第77期東京修習の実務修習日程(PDF1頁~32頁)
⑤東京地方裁判所事務局総務課庶務第二係分野別実務修習(裁判修習)における注意事項(第73期。資料上1頁~4頁,PDF1頁~4頁)
⑥東京高等裁判所事務局総務課司法修習生の合同資料室(18階北)の利用について(第73期。資料上4頁,PDF1頁)
⑦刑事第14部(令状部)における修習について(令和2年1月8日付。第73期東京修習の文書。PDF1頁~2頁)
⑧情報公開・個人情報保護審査委員会実務修習希望地調査表の不開示判断(不存在)に関する件(平成29年4月28日答申。平成29年度(最情)答申第1号)2頁~3頁(PDF2頁~3頁)
4 東京の裁判所及び検察庁の案内
①東京地方裁判所東京地方裁判所の紹介
②東京地方裁判所庁舎総合案内図(令和8年4月1日現在)
③東京地方裁判所中目黒庁舎(ビジネス・コート)
④裁判所民事裁判手続のデジタル化
⑤東京地方検察庁
5 東京三弁護士会の案内
①東京弁護士会修習生の方へ
②東京弁護士会東京三弁護士会司法修習予定者等就職合同説明会
③第一東京弁護士会司法修習生の入会申し込み
④第二東京弁護士会修習生の方へ
6 弁護士会の会報及び弁護士会連合会の作成資料
①東京弁護士会LIBRA令和8年3月号特集「いよいよ民事裁判が電子化 ─「mints」利用義務化を前に─」
②第二東京弁護士会二弁フロンティア・バックナンバー
③関東弁護士会連合会各地方裁判所周辺ガイドマップ―東京高等裁判所・東京地方裁判所・東京簡易裁判所・東京家庭裁判所
7 本ブログ掲載の集計資料及び関連記事
①司法修習の場所ごとの第1希望の倍率の推移表(新63期から69期まで)
②司法修習の場所ごとの第2希望までの倍率の推移表(新63期から69期まで)
③司法修習生配属現員表(48期以降)
④司法研修所の教官担当表
⑤司法修習地とクラスの対応関係
⑥第79期司法修習の日程
⑦第80期司法修習の日程
⑧70期以降の司法修習の日程
⑨第2希望の実務修習地の選び方
⑩司法修習の場所を選ぶ際の基礎データ
⑪司法修習とは
⑫民事裁判修習・刑事裁判修習・検察修習・弁護修習
⑬立川修習の情報・横浜修習の情報
⑭東京修習の選択型実務修習