第1 二回試験の応試者数の推定方法1 推定の算式2 実際の応試者数が上限を下回る理由3 「応試者数」と「有効受験者数」の違い第2 第65期から第78期までの推定応試者数と実際の応試者数1 一覧2 第78期及び第77期3 第76期から第71期まで4 第70期から第66期まで5 第65期第3 応試者数を確認する三つの資料1 司法修習生考試委員会議事録2 裁判所データブックの終了者数からの復元3 司法修習生配属現員表第4 三振確定者数及び修習中の罷免1 三振確定者数2 修習中の罷免第5 関連記事第6 出典・参考資料1 法令等2 司法修習生考試委員会の資料3 最高裁判所のその他の公表資料4 行政機関の資料第1 二回試験の応試者数の推定方法1 推定の算式
本記事は,令和8年8月30日現在で確認できる最高裁判所の資料により,二回試験(司法修習生考試)の応試者数の上限を推定する方法を示し,第65期から第78期までの推定応試者数と実際の応試者数とを対照するものである。
二回試験の日程,科目,合否の仕組みその他の制度の概要は本記事の対象ではない。
二回試験(司法修習生考試)の応試者数の上限は,次の算式によって推定することができる。
応試者数の上限=当該期の司法修習生の採用者数+前年度二回試験の不合格者数-前年度二回試験での三振確定者数-修習中に罷免された人数
前年度二回試験の不合格者は,翌年の二回試験を受けるために司法修習生に再採用されるから,当該期の応試者に加わる。
これに対し,三振が確定した者は司法修習生に採用されず,修習中に罷免された者は二回試験を受けないから,いずれも控除する。
採用者数は,最高裁判所が各期の採用時に作成する司法修習生配属現員表による(後記第3の3参照)。
法務省司法法制部「第2回 法曹の質に関する検証結果について」(令和7年3月)に転載された最高裁判所公表資料も,「司法修習生採用者数は、各修習期の収集開始日現在の数値であり、再採用者数を含まない。」及び「考試不合格者数には、考試を再受験するために司法修習生に再採用された者を含む。」と注記しており,採用者数と前年度二回試験の不合格者数を別に数える上記の整理と一致する。
2 実際の応試者数が上限を下回る理由
実際の応試者数が上限を下回るのは,主として,①修習の途中で辞退し,又は依願罷免された者がいること,②前年度二回試験の不合格者のうちに再受験しなかった者がいること,及び③二回試験を欠席した者がいることによる。
例えば第70期二回試験の場合,第69期二回試験の不合格者54人のうち,1人は三振が確定しており,更に1人は再受験しなかったから,再受験者は52人であった。
この52人は,平成29年11月27日現在の司法修習生配属現員表の「配属無し」の人数と一致する。
もっとも,ここでいう上限は絶対的なものではない。
配属現員表は特定の日現在の人数であって,その後に採用され又は再採用された者を含まないから,第71期二回試験のように実際の応試者数が上限を1人上回った期もある。
3 「応試者数」と「有効受験者数」の違い
司法修習生考試委員会議事録の「司法修習生考試実施結果の概要報告」に記載された「応試者」は,再受験者及び再試験対象者を含む全体の人数であり,本記事が「実際の応試者数」とするのはこの人数である。
これに対し,司法修習生考試結果集計表の「有効受験者数」は,各科目を実際に受験した人数であって,欠席者及び再試験対象者を含まない。
第74期の場合,議事録の応試者数は1463人であるが,考試結果集計表の有効受験者数は科目により1461人又は1462人である。
同じ開示文書に含まれる司法修習生修習成績集計表は「再受験者の修習成績を含む」ものであり,その有効受験者数は議事録の応試者数と一致する。
第73期は1479人,第76期は1397人,第77期は1836人である。
なお,第66期の考試結果集計表には「過去の考試において不合格となり考試再受験のために再採用された者は含まない。」との注記があり,有効受験者数は2030人とされている。
これは予備試験資格者との比較のために作成された資料であって,第66期二回試験の応試者数2077人とは母集団が異なる。
第2 第65期から第78期までの推定応試者数と実際の応試者数1 一覧
第66期から第78期までの推定応試者数と実際の応試者数は,次のとおりである。
第65期は現行修習と新修習が併存した最後の期であり,算式が異なるから,第2の5で別に述べる。
期採用者数前年度の不合格者数三振確定者数修習中の罷免応試者数の上限実際の応試者数差第78期1556人10人0人0人1566人1557人9人減第77期1830人6人0人0人1836人1836人上限と同じ第76期1394人6人0人0人1400人1397人3人減第75期1329人5人0人0人1334人1331人3人減第74期1456人11人0人0人1467人1463人4人減第73期1473人8人0人0人1481人1479人2人減第72期1482人16人0人0人1498人1495人3人減第71期1516人16人0人0人1532人1533人1人多い第70期1533人54人1人1人1585人1579人6人減第69期1788人33人1人0人1820人1816人4人減第68期1762人42人0人0人1804人1799人5人減第67期1972人43人0人0人2015人2015人上限と同じ第66期2035人46人0人0人2081人2077人4人減
第66期以降の実績でいえば,実際の応試者数は,上限より9人少ない人数(第78期)から上限より1人多い人数(第71期)までの範囲にある。
上限と一致したのは,第67期及び第77期の二回である。
2 第78期及び第77期
第78期二回試験の応試者数の上限は,1556人(第78期採用者数)+10人(第77期二回試験の不合格者数)-0人(第77期二回試験での三振確定者数)=1566人であったところ,実際の応試者数は1557人であり,上限から9人減っていた。
第66期以降では,上限との差が最も大きい期である。
第78期二回試験に関する司法修習生考試委員会議事録は,本記事の作成時点で開示されていない。
そこで,実際の応試者数は,裁判所データブック2026が掲げる第78期の修習終了者数1552人に,令和8年3月24日に裁判所ウェブサイトで発表された不合格者5人を加えて算出している(二回試験の不合格発表がされる裁判所HP及び過去の不合格者受験番号参照)。
同ウェブページ及び不合格者受験番号のPDFは,現在は削除されている。
第77期二回試験の応試者数の上限は,1830人(第77期採用者数)+6人(第76期二回試験の不合格者数)-0人(第76期二回試験での三振確定者数)=1836人であったところ,実際の応試者数も1836人であり,上限と同じであった。
第77期の司法修習生考試委員会議事録は,応試者を1836人とし,全科目可以上の成績を収めた1826人を合格,不可の科目があった10人を不合格と決定した旨を記載している。
3 第76期から第71期まで
第76期二回試験の応試者数の上限は,1394人(第76期採用者数)+6人(第75期二回試験の不合格者数)-0人(第75期二回試験での三振確定者数)=1400人であったところ,実際の応試者数は1397人であり,上限から3人減っていた。
第76期の司法修習生考試委員会議事録は,応試者を1397人とし,合格者を1391人としているから,合格者数を応試者数と混同しないように注意を要する。
第75期二回試験の応試者数の上限は,1329人(第75期採用者数)+5人(第74期二回試験の不合格者数)-0人(第74期二回試験での三振確定者数)=1334人であったところ,実際の応試者数は1331人(うち,4人は再試験の応試者である。)であり,上限から3人減っていた。
第74期二回試験の応試者数の上限は,1456人(第74期採用者数)+11人(第73期二回試験の不合格者数)-0人(第73期二回試験での三振確定者数)=1467人であったところ,実際の応試者数は1463人(うち,2人は再試験の応試者である。)であり,上限から4人減っていた。
第73期二回試験の不合格者数は,令和2年12月15日の通常試験における10人に,令和3年1月の再試験における1人を加えた11人である(二回試験合格者と司法修習終了者の関係参照)。
第73期二回試験の応試者数の上限は,1473人(第73期採用者数)+8人(第72期二回試験の不合格者数)-0人(第72期二回試験での三振確定者数)=1481人であったところ,実際の応試者数は1479人(うち,4人は再試験の応試者である。)であり,上限から2人減っていた。
第72期二回試験の応試者数の上限は,1482人(第72期採用者数)+16人(第71期二回試験の不合格者数)-0人(第71期二回試験での三振確定者数)=1498人であったところ,実際の応試者数は1495人であり,上限から3人減っていた。
第71期二回試験の応試者数の上限は,1516人(第71期採用者数)+16人(第70期二回試験の不合格者数)-0人(第70期二回試験での三振確定者数)=1532人であったところ,実際の応試者数は1533人であり,上限を1人上回っていた。
第71期採用者数は,平成29年11月27日現在の司法修習生配属現員表による。
4 第70期から第66期まで
第70期二回試験の応試者数の上限は,1533人(第70期採用者数)+54人(第69期二回試験の不合格者数)-1人(第69期二回試験での三振確定者数)-1人(第70期千葉修習で罷免された人)=1585人であったところ,実際の応試者数は1579人であり,上限から6人減っていた。
第69期二回試験の応試者数の上限は,1788人(第69期採用者数)+33人(第68期二回試験の不合格者数)-1人(第68期二回試験での三振確定者数)=1820人であったところ,実際の応試者数は1816人であり,上限から4人減っていた。
第68期二回試験の応試者数の上限は,1762人(第68期採用者数)+42人(第67期二回試験の不合格者数)-0人(第67期二回試験での三振確定者数)=1804人であったところ,実際の応試者数は1799人であり,上限から5人減っていた。
第67期二回試験の応試者数の上限は,1972人(第67期採用者数)+43人(第66期二回試験の不合格者数)-0人(第66期二回試験での三振確定者数)=2015人であったところ,実際の応試者数も2015人であり,上限と同じであった。
平成25年11月27日現在の司法修習生配属現員表の備考欄には,「○第67期採用 平成25年11月27日付け採用 外1,968名」及び「○第67期再採用 平成25年11月27日付け再採用 外2名」と記載されており(氏名は不開示である。),新規採用1969人と再採用3人の合計が1972人である。
第66期二回試験の応試者数の上限は,2035人(第66期採用者数)+46人(第65期二回試験の不合格者数)-0人(第65期二回試験での三振確定者数)=2081人であったところ,実際の応試者数は2077人であり,上限から4人減っていた。
5 第65期
第65期は,現行修習と新修習が併存した最後の期であり,他の期と同じ算式では計算できない。
平成24年11月27日現在(第66期採用時)の司法修習生配属現員表は,現行第65期を74人,新第65期を2053人(うち「配属無し」は57人)と記載しており,その合計は2127人である。
実際の応試者数は2126人であり,配属現員表上の人数より1人少なかった。
実際の応試者数の内訳は,現行第65期が74人,新第65期が2052人である。
新第65期の「配属無し」57人は,第64期二回試験の不合格者のうち第65期二回試験を再受験した者であり,第64期二回試験の不合格者は,現行第64期が24人,新第64期が56人の合計80人であった。
第65期二回試験の不合格者46人の内訳は,新第65期が38人,現行第65期が5人,再受験者が3人である。
二回試験不合格46人。うち新が38人、現行が5、再受験3。紐綴じて落ちた人は、0。
— くまちん(弁護士中村元弥) (@1961kumachin) December 19, 2012
第3 応試者数を確認する三つの資料1 司法修習生考試委員会議事録
司法修習生考試委員会議事録の「司法修習生考試実施結果の概要報告」には,「応試者 ○人(資料1のとおり)」として全体の応試者数が記載されている。
第71期から第77期までの議事録は,最高裁判所に対する司法行政文書開示の申出により開示を受けたものを64期以降の二回試験に関する,合格者及び不合格者の決定に関する議事録に掲載している。
2 裁判所データブックの終了者数からの復元
裁判所法67条1項は,「司法修習生は、少なくとも一年間修習をした後試験に合格したときは、司法修習生の修習を終える。」と定めている。
したがって,修習終了者数は二回試験の合格者数と一致するから,これに二回試験の不合格者数を加えれば応試者数を復元することができる。
修習終了者数は,最高裁判所の裁判所データブック2026の31頁(PDF36頁)の「終了者の進路別人数」で確認することができる。
この方法で復元した人数は,第65期から第77期まで,司法修習生考試委員会議事録の応試者数と全て一致する。
期修習終了者数二回試験の不合格者数復元した応試者数第78期1552人5人1557人第77期1826人10人1836人第76期1391人6人1397人第75期1325人6人1331人第74期1458人5人1463人第73期1468人11人1479人第72期1487人8人1495人第71期1517人16人1533人第70期1563人16人1579人第69期1762人54人1816人第68期1766人33人1799人第67期1973人42人2015人第66期2034人43人2077人第65期2080人46人2126人
議事録の開示を待たずに応試者数を確認できるから,直近の期についてはこの方法が有用である。
第78期についても,この方法により応試者数を1557人と算出している。
もっとも,通常の修習終了日と後日の修習終了日が分かれた期があり,第73期の場合,通常の終了者は1464人,再試験合格後の終了者を含めると1467人,後日の終了者を含めた最終的な終了者は1468人であった。
裁判所データブックの数値は最終的な人数によっているが,この点は前記第2の3で挙げた記事で整理している。
3 司法修習生配属現員表
司法修習生配属現員表は,採用時その他の特定の日現在の司法修習生の人数を修習地ごとに示したものであり,本記事の採用者数はこれによっている。
第66期以降の場合,配属現員表における「配属無し」の人数は,前年の二回試験に不合格となって再受験する人数を意味しており,次のとおり推移していた。
(続きを読む...)二回試験の推定応試者数―算出方法と第65期から第78期までの実績(AIリライト)