刑事事実認定ガイド(司法修習生用の教材)の大部分は不開示情報であること

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1(1) 令和元年6月14日付の理由説明書には「最高裁判所の考え方及びその理由」として以下の記載があります。
ア 「刑事事実認定ガイド(平成28年9月) 」(以下「本件対象文書」という。)は,毎年,司法修習生に対して,修習開始前に事前発送しているテキスト教材である。同教材は,第1章として,具体的事案の記録と同事案の事実認定に関して検討すべき設問,第2章として,設問の解答を導くために必要な事実認定の基本的な考え方の解説からなり,第2章を参照しつつ第1章の設問を検討することを通じて,修習開始前に,刑事事実認定に関する基本的な視点や考え方を自修することができる構成となっている。
   また,修習開始後は,司法研修所教官や分野別実務修習における指導裁判官の指導を受けながら必要に応じて参照し,あるいは通読することにより,修習内容の復習や,定着,深化に役立てることも期待されている。
本件対象文書は,上記のとおり,司法修習生が,司法修習開始前に自修したり,修習中に参照,復習したりして,刑事事件に関する事実認定能力をかん養するための教材文書である。
   この教材の内容を開示した場合には,その情報が流布され,設問の検討のポイントや解答案が作成されて一般に公開されることによって,司法修習生が主体的な取組みをしなくなるおそれがあるし,刑事事実認定は個別性が高く,事案の特質に応じて問題となる点は様々であるのに,解説に記載された基本的な考え方のみ習得すれば答えが出せるとの誤解を生み,司法修習生の積極的な学修の妨げとなるおそれもある。
 したがって,これらの情報は,開示することにより修習の目的が達成されず,修習事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると言える。
イ また,とりわけ第1章の記録編については,実在の事件記録を題材として作成されたものであるところ,固有名詞や住所,事件内容の一部に加工処理を行うなど,特定の事件に結びつかないよう抽象化処理が行われているものの,他の情報と照合すること等により特定の個人を識別することが可能な場合も考えられえるし,特定の個人を識別することができないとしても,公になることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがある。
   そして, このように特定の個人が識別されたり個人の権利利益が害されるような事態となれば,今後,実在の事件記録を題材として教材を作成することが困難となり,修習事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるといえる。
ウ 以上から,本件対象文書には,公にすると個人の権利利益を害するおそれがある情報及び公にすると修習事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されており,同情報は法第5条第1号及び第6号に定める不開示情報に相当することから,同情報が記載されている部分を開示しないこととした。
   したがって,原判断は相当である。

(2) 刑事事実認定ガイド1/2及び2/2を掲載しています。

2 「司法修習開始前の送付資料」も参照してください。

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