71期以降の司法修習生に対する戒告及び修習の停止

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目次
1 総論
2 修習の停止処分の効果
3 戒告及び修習の停止処分の人数は分からないこと
4 修習の停止処分に対する反対意見等
5 関連記事

1 総論
(1) 平成29年11月1日施行の改正裁判所法68条2項は,「最高裁判所は、司法修習生に品位を辱める行状その他の司法修習生たるに適しない非行に当たる事由として最高裁判所の定める事由があると認めるときは、最高裁判所の定めるところにより、その司法修習生を罷免し、その修習の停止を命じ、又は戒告することができる。」と定めています。
(2)  高等裁判所長官,地方裁判所長,検事長,検事正及び弁護士会長は,監督の委託を受けた司法修習生に罷免,修習の停止又は戒告に相当する事由があると認めるときは,司法研修所長を経て,これを最高裁判所に報告しなければなりません(司法修習生に関する規則19条2号)。

2 修習の停止処分の効果
(1) 修習停止の処分を受けた場合,当該修習停止の期間については修習給付金を支給しないことが予定されています(平成29年3月21日の衆議院法務委員会における小山太士法務省大臣官房司法法制部長の答弁参照)。
(2) 最高裁判所事務総局総務局が作成した裁判所法逐条解説(昭和44年6月30日発行)(法曹の養成に関するフォーラム第4回会議(平成23年8月4日開催)資料6に含まれています。)398頁には,「司法修習生はその地位にある限り、常に給与の全額を受けることができ、一般公務員の懲戒や休職の場合のように、給与を減額されることはない。」と書いてありました。
    そのため,修習の停止処分によって,この取扱いが修正されたこととなります。
(3) 修習停止が罷免処分と事実上同等の効果が生じてしまうことを避けるため,修習停止の期間は,各修習単位のうち修習を要する日の2分の1を超えない日数とすること,その他諸般の事情を考慮して,3週間程度を修習停止期間の上限とすることが検討されています(平成29年3月21日の衆議院法務委員会における堀田眞哉最高裁判所人事局長の答弁参照)。

3 戒告及び修習の停止処分の人数は分からないこと
(1) 平成31年1月18日付の司法行政文書不開示通知書によれば,以下の文書は存在しません。
① 71期司法修習生のうち,戒告処分を受けた人の数が分かる文書
② 71期司法修習生のうち,修習の停止処分を受けた人の数が分かる文書
③ 71期司法修習生のうち,罷免処分を受けた人の数が分かる文書(罷免事由別の人数が分かる文書を含む。)
(2) 令和2年4月15日付の司法行政文書不開示通知書(戒告処分関係修習の停止処分関係)によれば,以下の文書は存在しません。
① 71期司法修習生のうち,戒告処分を受けた人の数が分かる文書
② 71期司法修習生のうち,修習の停止処分を受けた人の数が分かる文書


4 修習の停止処分に対する反対意見等
(1) 青年法律家協会弁護士学者合同部会は,平成29年4月5日,「修習生に対する戒告処分等を新設する裁判所法改正案に反対する声明」を出しました。
(2) 昭和52年7月発行の「最近の司法研修所の実態と問題点」(大阪弁護士会)24頁には以下の記載があります。
   昭和四四年七月には、二三期のいわゆる東大特別クラス採用について二二期の和歌山修習生が、最高裁長官に反対の決議を送付したのに対し、研修所長が「厳重注意」をなした事件があり、修習生の適切な意見表明を抑えるものとして問題になった。修習生に対する処分は、裁判所法第六八条および司法修習生に対する規則第一七、一八条に罷免の定めがあるだけであり、そのため、当時懲戒規定の整備を進める動きが出た。これに対して、人権擁護と社会正義実現を使命とする法曹を養成するためには、修習生の自発性を尊重し、その自主性を信頼して、自由な雰囲気の中で修習を行うべきであり、規律の強化による秩序維持の観点からの処理を避け、教育的配慮による処理をすれば足りるとの反対意見が出て、結局懲戒規定は作られなかった。

5 関連記事
・ 71期以降の司法修習生に対して,戒告及び修習の停止を追加した理由
・ 司法修習生の罷免事由別の人数
・ 昭和44年7月1日付で特別採用された,東大卒業の23期司法修習生

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