目次
1 60期から69期までの司法修習生の罷免人数
2 司法修習生に関する規則18条
3 59期のほか,70期以降については,罷免人数の人数が不明であること
4 司法修習生の罷免に関する事項は不開示情報であること
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1 60期から69期までの司法修習生の罷免人数
(1) 平成29年6月14日付の開示文書及び平成29年7月18日付の開示文書によれば,60期から69期までの司法修習生について,修習期別・罷免事由別の人数は以下の通りです(号数は,70期まで適用されていた司法修習生に関する規則18条のものです。)。
現行60期:3号の罷免のうち,考試不合格が 70人,その他が9人
新 60期:3号の罷免のうち,考試不合格が 76人,その他が5人
現行61期:3号の罷免のうち,考試不合格が 33人,その他が5人
新 61期:3号の罷免のうち,考試不合格が113人,その他が6人
現行62期:3号の罷免のうち,考試不合格が 23人,その他が0人
新 62期:3号の罷免のうち,考試不合格が 75人,その他が3人
現行63期:2号の罷免のうち,考試不合格が 1人
3号の罷免のうち,考試不合格が 27人,その他が2人
新 63期:3号の罷免のうち,考試不合格が 89人,その他が7人
現行64期:3号の罷免のうち,考試不合格が 24人,その他が1人
新 64期:3号の罷免のうち,考試不合格が 56人,その他が4人
現行65期:3号の罷免のうち,考試不合格が 5人,その他が0人
新 65期:3号の罷免のうち,考試不合格が 41人,その他が8人
66期 :3号の罷免のうち,考試不合格が 43人,その他が9人
67期 :3号の罷免のうち,考試不合格が 42人,その他が5人
68期 :3号の罷免のうち,考試不合格が 33人,その他が7人
69期 :2号の罷免のうち,考試不合格が 54人
3号の罷免のうち,考試不合格が 0人,その他が5人
(2) 68期までの二回試験の場合,二回試験の不合格者は退職願を提出して司法修習生に関する規則18条3号で罷免されていました。
しかし,69期二回試験の場合,二回試験の不合格者は退職願を提出するまでもなく,司法修習生に関する規則18条2号で罷免されるようになったみたいです。
(3) 考試不合格を理由とする罷免人数には,二回試験再受験者の不合格者数が含まれます。
そのため,二回試験に三振した場合,二回試験不合格を理由に3回,司法修習生を罷免されることとなります。
(4)ア 2号の罷免(病気,成績不良等)の件数は,現行63期が1人,69期が54人でありますところ,そのすべてが考試不合格(二回試験不合格)です。
イ 70期旭川修習の場合,平成29年4月24日付で,旭川地裁配属の3人の司法修習生の実務修習地が変更されましたところ,彼らは実務修習地の変更直前,まともに実務修習を受けることができたのかしら?という気がしますが,少なくとも罷免はされていません(「70期旭川修習の配置換えに関する旭川地裁の開示文書」及び「70期旭川修習の配置換えに関する最高裁の開示文書」参照)。
ただし,配属換えする原因となった事実関係に関する報告文書は,平成29年4月27日までに廃棄されましたから,事実関係を文書で知ることはできません(旭川地裁につき平成29年度(情)答申第21号(平成30年3月23日答申),最高裁につき平成29年度(最情)答申第72号(平成30年3月23日答申)参照)。
2 司法修習生に関する規則18条
(1) 70期まで適用されていた 司法修習生に関する規則18条は以下のとおりです。
最高裁判所は,司法修習生に次に掲げる事由があると認めるときは,これを罷免することができる。
① 品位を辱める行状,修習の態度の著しい不良その他の理由により修習を継続することが不相当であるとき。
② 病気,成績不良その他の理由により修習を継続することが困難であるとき。
③ 本人から願出があったとき。
(2) 71期以降の罷免事由については,「司法修習生の罷免」を参照してください。
3 59期のほか,70期以降については,罷免人数の人数が不明であること
(1) 平成29年6月14日付の司法行政文書不開示通知書によれば,第59期司法修習生について,罷免事由別に司法修習生を罷免された人の数が分かる文書は存在しません。
(2) 平成30年2月2日付の司法行政文書不開示通知書によれば,第70期司法修習生について,罷免事由別に司法修習生を罷免された人の数が分かる文書は存在しません。
(3)ア 平成31年1月9日付の司法行政文書不開示通知書によれば,第71期司法修習生について,罷免事由別に司法修習生を罷免された人の数が分かる文書は存在しません。
イ 令和元年度(最情)答申第35号(令和元年8月23日答申)には以下の記載があります。
最高裁判所事務総長の上記説明によれば,第71期司法修習生のうち裁判所法に基づき罷免等とされた人数や罷免事由別の人数が分かる文書について,裁判所において現状ではこのような文書を作成する必要はないため,本件開示申出文書を作成又は取得していないとのことである。本件開示申出文書については,裁判所が司法修習に関する事務を遂行するに当たって必ず作成されなければならない性質の文書であるともいえないことからすれば,このような説明の内容が不合理とはいえない。そのほか,最高裁判所において,本件開示申出文書に該当する文書を保有していることをうかがわせる事情は認められない。
(4) 令和2年3月31日付の司法行政文書不開示通知書によれば,第72期司法修習生について,罷免事由別に司法修習生を罷免された人の数が分かる文書は存在しません。
4 司法修習生の罷免に関する事項は不開示情報であること
(1) 平成30年4月11日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります。
司法修習生の罷免に関する事項は,司法修習生の人事事務に関する担当者等の一部の関係職員以外には知られることのない秘密性の高い情報であり,これらのうち,特に罷免理由を公にすると,どのような事案で罷免されるのか(されないのか)といった内容が明らかとなり,今後,同種事案において,事実確認等に係る事務に支障を生じる可能性があるため,法第5条第6号ニが不開示情報として定める情報に相当する。
(2) 平成30年5月31日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります。
司法修習生の罷免事由の有無に係る調査事項並びに司法修習生の弁明書及び提出された資料の内容が明らかになり,今後の公正かつ円滑な調査及び資料収集事務に好ましくない影響を与える等,適正な司法修習生の罷免手続事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある(法第5条第6号ニ)。
(3)ア 平成31年3月26日付の司法行政文書不開示通知書によれば,「全国の実務修習地から送付された,71期司法修習生に関する,罷免,修習の停止,戒告の該当事由及び非違行為の報告」は,その枚数も含めて不開示情報です。
イ 令和元年5月30日付の理由説明書には,「(3) 最高裁判所の考え方及びその理由」として以下の記載があります。
本件対象文書には,第71期司法修習生の氏名や行状等が記載されており,これらは個人識別情報に該当し,行政機関情報公開法(以下「法」という。)第5条第1号に定める不開示情報に相当する。
また,本件対象文書の性質及び内容を踏まえると,標題及び様式等を含む,本件対象文書に記載されている情報並びに実務修習を委託している各配属庁会から送付された本件対象文書の枚数は,全体として,公にすると,司法修習生の非違行為等に関する調査事項や調査量,提出された資料の内容及び分量が推知されることになり,今後の公正かつ円滑な調査及び資料収集事務に好ましくない影響を与えるなど,今後の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当し,法第5条第6号二に定める不開示情報に相当する。
したがって,標題及び様式等を含む本件対象文書に記載されている情報並びに実務修習を委託している各配属庁会から送付された本件対象文書の枚数は,全体として法第5条第1号及び第6号二に規定する不開示情報に相当する。
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