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予備試験とは―受験資格、試験科目、年間スケジュール及び法科大学院ルートとの合格率比較(AI作成)

第1 この記事の対象と予備試験の位置付け

1 令和8年8月29日現在の現行制度を扱う

本記事は,令和8年8月29日現在の司法試験法(昭和二十四年法律第百四十号,令和四年十月一日施行版)及び司法試験法施行規則(平成十七年法務省令第八十四号,令和四年十月一日施行版)に基づき,司法試験予備試験(以下「予備試験」という。)の受験資格,試験科目及び年間スケジュールを整理するものである。
本記事では,これに加えて,法科大学院の課程を修了するルート及び法科大学院在学中に司法試験を受けるルートとの合格率比較,並びに令和8年試験から導入されたCBT方式及び電子出願の状況についても取り上げる。

令和8年司法試験予備試験は,本記事執筆時点で短答式試験のみが実施され,その結果が公表されている。
論文式試験は令和8年9月12日及び13日に,口述試験は令和9年1月23日及び24日に実施される予定であり,最終合格発表は令和9年2月4日を予定している。
したがって,本記事における令和8年試験の実績は,短答式試験の範囲にとどまる。

2 予備試験は司法試験法上どのような試験か

司法試験法5条1項は,予備試験の目的を,「司法試験を受けようとする者が前条第一項第一号に掲げる者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定すること」と定める。
同項にいう「前条第一項第一号に掲げる者」とは,法科大学院の課程を修了した者を指す。
すなわち,予備試験は,法科大学院を経由しない法曹志望者に対し,法科大学院修了者と同等の学識,応用能力及び実務基礎素養を備えているかを試験によって判定する制度である。
同項は,予備試験の実施方法を「短答式及び論文式による筆記並びに口述の方法により行う」と定めており,短答式,論文式及び口述という三段階の関門で構成される。
予備試験がどのような経緯で法科大学院修了ルートと並ぶ司法試験の受験資格として設けられたかについては,司法試験制度の改正経緯――旧司法試験から法科大学院・予備試験・在学中受験・CBTまでで扱っているので,そちらを参照されたい。

第2 予備試験の受験資格

1 年齢・学歴要件を限定する規定がないという条文構造

司法試験法5条には,予備試験の受験資格を年齢,学歴等によって限定する規定が置かれていない。
これは,同法4条が司法試験の受験資格を「法科大学院の課程を修了した者」又は「予備試験に合格した者」に限定しているのと対照的な構造である。

司法試験法施行規則5条4項も,予備試験を受けようとする者について,「受験願書にその者の写真を添付し,司法試験委員会が定める出願期間内に,司法試験委員会に提出しなければならない」と定めるのみで,学歴・資格を証する書面の提出を求めていない。
これに対し,同条1項が定める司法試験の出願手続では,司法試験委員会が定める者について「受験資格を有することを証する書面」の提出が別途求められている。
本記事では,この条文構造の違いから,予備試験には年齢,学歴,国籍等の受験資格制限がないものと整理する。

2 予備試験の出願手続

予備試験の出願手続は,司法試験法施行規則5条に定められている。
同条4項により,受験願書に写真を添付し,司法試験委員会が定める出願期間内に提出する。
同条5項により,受験願書には,論文式試験で選択する科目(後記第3の2)をあらかじめ記載しなければならない。
郵便によって出願用紙の交付を受けようとする場合は,同条7項により,送付先を明記した封筒に,同法7条の規定による公告において指定された額の郵便切手を貼り付けて提出する必要がある。

令和8年試験からは,これに加えてオンラインによる出願も可能となっている。
詳細は後記第6の2で扱う。

第3 予備試験の試験科目

1 短答式試験の科目

予備試験の短答式による筆記試験は,司法試験法5条2項により,次の8科目について行われる。
①憲法
②行政法
③民法
④商法
⑤民事訴訟法
⑥刑法
⑦刑事訴訟法
⑧一般教養科目
同項の商法については,司法試験法施行規則2条2項により,商法第三編海商に関する部分を除いた範囲とされている。

司法試験(本試験)の短答式試験は,同法3条1項により憲法,民法及び刑法の3科目で行われるのに対し,予備試験の短答式試験は,これに行政法,商法,民事訴訟法,刑事訴訟法及び一般教養科目を加えた8科目で行われる。
本記事では,法科大学院の課程を経ない者に対しては,短答式の段階でより広い科目について学識を確認する構成になっている,と整理する。

2 論文式試験の科目

論文式による筆記試験は,短答式試験に合格した者について実施される(司法試験法5条3項柱書)。
試験科目は,①前項第1号から第7号までに掲げる科目,すなわち一般教養科目を除く7科目,②専門的な法律の分野に関する科目として法務省令で定める科目のうち受験者があらかじめ選択する1科目(選択科目),③法律実務基礎科目である。
このうち法律実務基礎科目とは,同項3号により,「法律に関する実務の基礎的素養(実務の経験により修得されるものを含む。)についての科目」と定義されている。

選択科目は,司法試験法施行規則1条2項により,司法試験と同じ次の8科目のうちから1科目を選択する。
①倒産法
②租税法
③経済法
④知的財産法
⑤労働法
⑥環境法
⑦国際関係法(公法系)
⑧国際関係法(私法系)
受験願書には,この選択科目をあらかじめ記載しなければならない(同規則5条5項)。

3 口述試験

口述試験は,筆記試験,すなわち短答式試験及び論文式試験に合格した者について実施される(司法試験法5条4項)。
同項は,「法的な推論,分析及び構成に基づいて弁論をする能力を有するかどうかの判定に意を用い」,法律実務基礎科目について行うと定めている。
短答式及び論文式が筆記試験であるのに対し,口述試験は面接形式で法律実務基礎科目の理解を問う,予備試験の最終関門である。

第4 予備試験の年間スケジュール

1 試験期日は毎年官報で公告される

司法試験法7条は,司法試験及び予備試験について,「司法試験委員会が毎年一回以上行うものとし,その期日及び場所は,あらかじめ官報をもつて公告する」と定める。
合格者の決定は,予備試験については司法試験予備試験考査委員の合議による判定に基づき,司法試験委員会が行う(同法8条)。
合格者には,合格を証する証書が授与される(同法9条)。

2 令和8年試験の日程

法務省が公表する令和8年司法試験予備試験実施日程(司法試験委員会が令和7年11月11日に決定したもの)によれば,各段階の期日は次のとおりである。
①短答式試験:令和8年7月19日(実施済み。結果は令和8年8月6日に発表され,合格者数は2,668人であった。)
②論文式試験:令和8年9月12日及び13日
③口述試験:令和9年1月23日及び24日
④最終合格発表:令和9年2月4日
本記事執筆時点(令和8年8月29日)では,①のみが実施及び発表済みであり,②以下は今後実施される予定である。

短答式,論文式,口述試験という実施順序は,論文式試験が「短答式による筆記試験に合格した者」を対象とし(司法試験法5条3項柱書),口述試験が「筆記試験に合格した者」を対象とする(同条4項)という同法の構成上のものであり,年によって入れ替わるものではない。

第5 法科大学院ルート・在学中受験ルートとの比較

1 司法試験を受けられる三つの資格

司法試験法4条1項は,司法試験を受けられる者として,①法科大学院の課程を修了した者(その修了の日後の最初の4月1日から5年を経過するまでの期間),②予備試験に合格した者(その合格の発表の日後の最初の4月1日から5年を経過するまでの期間)の2つを定める。
両者は,起算点こそ「修了の日」と「合格発表の日」で異なるが,いずれも「最初の4月1日から5年」という同一の受験可能期間の枠組みで扱われている。

これに加えて,同条2項は,法科大学院の課程に在学する者であっても,一定の要件を満たすことについて当該大学の学長の認定を受ければ,在学中に司法試験を受けられる旨を定める(在学中受験資格)。
要件は,所定科目単位(司法試験法施行規則3条により,法律基本科目の基礎科目30単位以上,応用科目18単位以上及び選択科目4単位以上)の修得と,試験が行われる年の4月1日から1年以内に修了する見込みがあることである。
在学中受験資格による合格者数の推移及び予備試験合格資格を有しながら出願時に法科大学院に在学していた者の人数については,法科大学院在学中の司法試験合格者,及び司法試験合格者・判事補任官の最年少記録等で扱っているので,そちらを参照されたい。

2 令和7年司法試験におけるルート別の結果

法務省が公表した令和7年司法試験の結果によれば,同年の司法試験合格者は1,581人(受験者3,837人,合格率41.20%)であった。
これをルート別にみると,予備試験合格者ルートは出願477人,受験472人,最終合格428人で,合格率は90.68%であった。
これに対し,法科大学院修了者ルートの合格率は21.91%,法科大学院在学中受験ルートの合格率は52.66%であった。

予備試験合格者ルートの合格率が他の2ルートを大きく上回っている背景には,予備試験という選抜自体を通過した者に対象が絞られていることなど複数の要因が考えられる。
本記事では,この数値の差から直ちに特定の学習方法又は進路の優劣を結論付けることはしない。

3 複数の受験資格を併用することはできない

司法試験法4条4項は,同条1項又は2項の規定により司法試験を受けた者は,その受験に係る受験資格に対応する受験期間においては,「他の受験資格に基づいて司法試験を受けることはできない」と定める。
したがって,予備試験合格を資格として司法試験の受験を始めた者が,その後に法科大学院に進学した場合であっても,同一の受験期間内は,予備試験合格という資格に基づく受験を継続することになる。

第6 CBT方式の導入と出願手続のオンライン化

1 予備試験は論文式試験のみが対象

法務省「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」は,CBT(コンピュータ使用型)方式の導入範囲について,次のとおり公表している。
「司法試験については,令和8年試験から短答式試験及び論文式試験のいずれにもCBT試験を導入します。
司法試験予備試験については,令和8年試験においては,論文式試験のみを対象としてCBT試験を導入します。」
予備試験の論文式試験は令和8年9月12日及び13日に実施される予定であり,本記事執筆時点では未実施である。

なお,法務省が公表した令和8年司法試験の実施状況によれば,令和8年司法試験(本試験,7月に実施済み)では,CBT端末の不具合により試験時間の変更が生じた事案が延べ236件生じ,このうち論文式試験の一部科目で適正な試験時間が確保されなかった11件について,令和8年8月5日付けの司法試験委員会決定により得点加算等の是正措置が取られた。
これは司法試験(本試験)における事案であり,予備試験の論文式試験におけるCBT方式の実施状況は,令和8年9月の実施を待って明らかになる。

2 電子出願への移行

前記第6の1の法務省ページは,CBT方式の導入と並んで,出願手続のオンライン化についても案内しており,令和8年試験からは,紙の受験願書による出願に加えて,オンラインによる出願が可能となっている。

第7 予備試験合格後の流れ

1 司法試験の受験資格を取得する

予備試験に合格すると,前記第5の1のとおり,その合格発表の日後の最初の4月1日から5年を経過するまでの期間,司法試験を受けることができる(司法試験法4条1項2号)。
これは,法科大学院の課程を修了した者と同一の期間設計であり,予備試験合格が法科大学院修了と法律上同等の資格として扱われていることを示している。

2 5年間という受験可能期間の意味

司法試験法には,この5年間について,受験回数を制限する明文の規定はなく,期間内であれば受験の回数自体は制限されていない。
もっとも,同条4項により,この受験期間中は予備試験合格という資格に基づく受験に限られ,仮に期間中に法科大学院を修了したとしても,その資格に切り替えて新たな5年間を得ることはできない(前記第5の3)。
司法試験に合格した後の司法修習生採用選考の手続及び司法修習の内容については,司法試験合格後から司法修習開始まで―採用申込み,実務修習地,住居・社会保険及び就職活動の期限及び司法修習とは―採用要件,1年間の流れ,修習内容,給付金及び二回試験で扱っているので,そちらを参照されたい。

出典・参考資料

1 法令・政省令

司法試験法(昭和二十四年法律第百四十号,令和四年十月一日施行)
司法試験法施行規則(平成十七年法務省令第八十四号,令和四年十月一日施行)

2 所管行政機関の解説・運用資料

法務省「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」

3 統計・データ

法務省「令和8年司法試験予備試験実施日程」(令和7年11月11日司法試験委員会決定)
法務省「令和8年司法試験予備試験(短答式)結果」(令和8年8月6日)
法務省「令和7年司法試験の結果」(令和7年11月11日司法試験委員会決定)
法務省「令和8年司法試験の実施状況」(CBT方式に係る試験時間の取扱いについて,令和8年8月6日)