第1 盛岡修習の位置付けと本記事の基準日
1 盛岡修習とは
盛岡修習とは,盛岡を分野別実務修習地とする司法修習をいう。
配属庁会は,盛岡地方裁判所,盛岡地方検察庁及び岩手弁護士会である。
司法修習生は,この三機関で民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の四分野を修習し,その後に選択型実務修習及び集合修習を受ける。
2 実務修習の法的な仕組み
司法修習生は,司法試験に合格した者の中から最高裁判所が命ずるものであり(裁判所法66条1項),少なくとも一年間修習をした後に試験に合格したときに修習を終える(同法67条1項)。
裁判官の研究及び修養並びに司法修習生の修習に関する事務を取り扱わせるため,最高裁判所に司法研修所が置かれている(同法14条)。
司法修習生に関する規則1条は,司法研修所長が修習の全期間を通じて司法修習生を統轄すると定める。
同規則5条1項は,修習期間のうち少なくとも十箇月は実務を修習しなければならないとし,同条2項は,そのうち少なくとも四箇月は裁判所で,二箇月は検察庁で,二箇月は弁護士会で修習しなければならないとしている。
実務修習の時期及び場所を定めるのは,最高裁判所ではなく司法研修所長である(同規則5条3項)。
そして,実務修習は,司法研修所長が地方裁判所,地方検察庁又は弁護士会に委託して行わせるものとされ(同規則7条1項),実務修習の間の司法修習生に対する監督は,最高裁判所が高等裁判所長官,地方裁判所長,検事長,検事正又は弁護士会長に委託する(同規則8条)。
したがって,盛岡修習における指導は,司法研修所からの委託を受けた盛岡地方裁判所,盛岡地方検察庁及び岩手弁護士会が行うことになる。
同規則9条1項は,委託を受けた庁会が常に司法研修所と緊密な連絡を保つべきものとし,同条2項は,司法研修所が各庁会の修習の担当者を召集して協議を行うことができるとしている。
また,同規則10条は,実務修習を終えた際に,地方裁判所長,検事正及び弁護士会長が修習事項の大要,成績,行状その他参考となる事項を司法研修所長に報告しなければならないと定める。
規則の現行条文は司法修習生に関する規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第15号)に掲載している。
3 本記事の基準日と資料の使い分け
本記事は,令和8年8月29日現在の公開資料及び司法行政文書の開示資料に基づいて,盛岡修習の班・クラス,日程,配属人数,希望指数,実務修習の内容,所在地,住居及び冬季の生活を整理するものである。
第79期については,班,クラス及び日程を原資料で確定できる。
これに対し,配属人数は第78期まで,盛岡内部の四分野の巡回順序は第77期まで,希望順位別人数は第69期までしか原資料が存在しない。
本記事では,第79期について確定できる事項と,過年度の資料からしか分からない事項とを節ごとに分けて記載する。
第2 第79期盛岡の班とクラス
1 盛岡はB班であること
最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」2頁は,実務修習地を二つに区分し,集合修習と選択型実務修習の順序を定めている。
区分①は東京,立川,横浜,さいたま,千葉,大阪,京都,神戸,奈良,大津及び和歌山の11庁であり,区分②はそれ以外の実務修習地である。
盛岡は区分②に属するため,分野別実務修習の後に選択型実務修習を行い,その後に司法研修所で集合修習を受ける。
手引き自体はA班・B班という語を用いていないが,司法研修所の第79期教官担当表は,区分①に対応する組をA班,区分②に対応する組をB班と表記している。
本記事も,原資料の表記に合わせてA班・B班の呼称を用いる。
2 第79期の盛岡はB班2組であること
司法研修所の第79期教官担当表(令和8年4月17日付)によれば,第79期のクラスは全22組であり,B班が第1組から第11組まで,A班が第12組から第22組までである。
盛岡は,仙台,山形及び秋田とともにB班2組に属する。
同表は,令和8年2月9日付,同年3月4日付,同年4月13日付,同年4月14日付及び同年4月17日付の各版が公開されている。
実務修習地と組の対応関係は,最も早い令和8年2月9日付の版から令和8年4月17日付の版まで一貫して同一であり,版によって異なるのは各科目の教官名だけである。
そのため,盛岡がB班2組であることは,教官の交代とは無関係に確定している。
各期の対応関係は実務修習地とクラスの対応関係(第67期から第79期まで)に,各版の原本は司法研修所の教官担当表に掲載している。
クラス(組)は,司法研修所における導入修習及び集合修習の教育単位であり,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護及び刑事弁護の五科目の教官が担当する。
これに対し,盛岡の配属庁会内で四分野を回る順序を定める「グループ」は,司法研修所のクラスとは別の単位である。
B班2組であることは,仙台,山形,盛岡及び秋田の修習生が司法研修所で同じクラスになることを意味するにとどまり,四庁の修習生が盛岡で一緒に修習するという意味ではない。
3 第78期からの組の入替え
第78期のクラスは全24組であり,盛岡は仙台,秋田及び青森とともにB班2組であった。
第79期でも盛岡はB班2組のままであるが,同じ組を構成する実務修習地は入れ替わっている。
青森が札幌,函館,旭川及び釧路と同じB班1組へ移り,代わりに山形が第78期のB班3組からB班2組へ移ったためである。
したがって,盛岡については組番号だけが第78期と一致しており,組の構成は変わっている。
過年度の組をそのまま第79期に当てはめられる修習地ではない点に注意を要する。
第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)によれば,第78期にB班2組を構成した四庁の配属現員は,仙台42人,盛岡8人,秋田7人及び青森7人の合計64人であった。
第79期の内訳を示す配属現員表は,令和8年8月29日現在,公表を確認できない。
4 組についての希望調査は行われていないこと
最高裁判所事務総長の令和8年5月20日付司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第1657号)は,「第78期司法修習生組別志望等調査表」について,当該文書を「作成又は取得していない」としている。
したがって,司法修習生が自分の組を希望する手続は設けられていないと考えられる。
どの組に配属されるかは,実務修習地が決まれば教官担当表の対応関係によって定まる。
第3 第79期盛岡修習の日程
第79期の盛岡修習に関係する日程は,次のとおりである。
修習実日数は,司法研修所の「第79期 修習日程」に記載された日数であり,始期から終期までの暦日数ではない。
| 区分 | 期間 | 修習実日数 | 場所又は内容 |
|---|---|---|---|
| 導入修習 | 令和8年3月19日~4月10日 | 16日 | 和光市の司法研修所 |
| 移動 | 4月11日~13日 | ― | 盛岡への移動 |
| 第1クール | 4月14日~6月9日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 第2クール | 6月10日~8月2日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 第3クール | 8月3日~9月28日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 第4クール | 9月29日~11月20日 | 37日 | 四分野のいずれか |
| 移動 | 11月21日~23日 | ― | 選択型実務修習の準備 |
| 選択型実務修習 | 11月24日~令和9年1月8日 | 30日 | 盛岡をホームグラウンドとする |
| 移動 | 令和9年1月9日~12日 | ― | 和光市への移動 |
| 集合修習 | 1月13日~2月25日 | 30日 | 司法研修所 |
| 自由研究日 | 2月26日 | 1日 | 司法修習生考試前の自由研究日 |
最高裁判所は,第79期司法修習生の「修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間」を令和8年3月19日から令和9年3月24日までと定めている。
これは修習給付金の支給期間の基礎となる期間であり,二回試験の具体的な実施日とは別の事項である。
全国日程及び二回試験に関する情報は,第79期司法修習の日程で別に整理している。
B班である盛岡では,分野別実務修習が終わる令和8年11月20日の後も,令和9年1月8日まで盛岡をホームグラウンドとする選択型実務修習が続く。
賃貸借契約の終了日は,分野別実務修習の最終日ではなく,選択型実務修習の実施場所,和光市への移動日,退去予告期間及び短期解約違約金を確認して決める必要がある。
盛岡では,この時期が積雪期と重なる点にも注意を要する。
第4 配属人数と希望指数
1 第69期から第78期までの配属現員
司法修習生配属現員表の原本で盛岡の人数を確認できるのは,次の各期である。
| 修習期 | 基準日 | 盛岡の配属現員 | 全国の計 |
|---|---|---|---|
| 第69期 | 平成27年11月27日 | 14人 | 1788人 |
| 第76期 | 令和4年11月27日 | 7人 | 1394人 |
| 第77期 | 令和6年3月21日 | 10人 | 1830人 |
| 第78期 | 令和7年3月19日 | 8人 | 1556人 |
配属現員は各表の基準日に在籍していた実人数であり,盛岡の定員又は募集枠を示すものではない。
退所,採用時点又は配属決定時点の違いにより,別の時点における採用者数と一致しないことがある。
各期の原資料は司法修習生配属現員表(48期以降)に,全国の人数の推移は修習開始時点における司法修習生の人数の推移に掲載している。
第79期の修習地別の内訳を示す配属現員表は,令和8年8月29日現在,公表を確認できない。
そのため,本記事は第79期の盛岡配属人数を記載しない。
2 第69期の希望順位別人数
第69期までは,実務修習地別に第1希望から第6希望までの人数が判明する資料が存在した。
第69期の盛岡の数値は次のとおりである。
| 項目 | 人数等 |
|---|---|
| 群の分類 | 3群 |
| 配属人数 | 14人 |
| 第1希望 | 2人 |
| 第2希望 | 0人 |
| 第3希望 | 4人 |
| 第4希望 | 4人 |
| 第5希望 | 87人 |
| 第6希望 | 87人 |
| 第1希望指数 | 0.14 |
| 第1・第2希望指数 | 0.14 |
「第1希望指数」は第1希望者数を配属人数で割った値であり,「第1・第2希望指数」は第1希望者数と第2希望者数の合計を配属人数で割った値である。
第5希望及び第6希望の人数が第1希望の人数を大きく上回っているのは,希望の記載方法によるものである。
第69期の希望地調査では,第1希望から第6希望まで記載することができたが,1群の修習地16個は二つまでしか記載できず,第5希望及び第6希望は必ず3群の修習地20個から選ぶ必要があった。
盛岡は3群であるため,第5希望欄及び第6希望欄に多数の修習生が盛岡を記載する結果になっていた。
第5希望及び第6希望の人数は,盛岡を積極的に志望した人数を示すものではない。
3 希望指数の読み方
この指数は,抽選倍率でも,盛岡を第1希望にした人の配属成功率でもない。
実務修習地の決定では,希望地及び希望順位に加え,健康状態,家族関係その他の個別事情を考慮し,全国の配置を調整することが,最高裁判所の情報公開答申資料から確認できる。
第69期の盛岡では,第1希望者数2人が配属人数14人を大きく下回っていた。
しかし,修習生総数,希望提出方式,各地の受入枠及び個別事情は期ごとに異なるため,この数値を第79期の「入りやすさ」又は当選確率として用いることはできない。
過年度の一覧表は司法修習の場所を選ぶ際の基礎データに掲載している。
4 第70期以降の資料状況
最高裁判所は,第70期以降について,事務の合理化及び利用頻度等を踏まえ,従来と同じ希望順位別一覧表を作成していない。
第79期の実務修習希望地調査表についても,最高裁判所事務総長の令和8年3月18日付司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第782号)が,当該文書を「作成又は取得していない」としている。
第78期についても,同じく令和8年1月19日付の同通知書(最高裁秘書第3778号)が同様の判断を示している。
したがって,第79期の盛岡修習について,公開一次資料に基づく現在の希望倍率は算出できない。
「倍率不明」が正確な到達点であり,古い指数を現在値として表示することは適切でない。
第5 分野別実務修習の内容
1 四分野と最低修習期間
司法修習生に関する規則5条2項は,実務修習のうち少なくとも四箇月は裁判所で,二箇月は検察庁で,二箇月は弁護士会で修習しなければならないと定める。
第79期の分野別実務修習は四クールに分かれ,各クールの修習実日数はいずれも37日である。
家庭裁判所修習は裁判修習の期間中に組み込まれる。
各分野の具体的な指導内容は,民事裁判修習の実際,刑事裁判修習の実際,検察修習の実際及び弁護修習の実際で整理している。
2 第77期盛岡のグループ別巡回順序
第77期盛岡修習の実務修習日程によれば,修習生は三つのグループに分かれ,次の順序で四分野を回った。
| グループ | 第1クール | 第2クール | 第3クール | 第4クール |
|---|---|---|---|---|
| 第1グループ | 検察 | 民事裁判 | 弁護 | 刑事裁判 |
| 第2グループ | 刑事裁判 | 弁護 | 検察 | 民事裁判 |
| 第3グループ | 検察 | 刑事裁判 | 民事裁判 | 弁護 |
同じ修習地でも,全員が同時に同じ分野を履修するわけではない。
もっとも,これは第77期の実績である。
第79期のグループ数,所属グループ及び巡回順序を示す公開資料は確認できず,第77期と同じ順序になるとは限らない。
3 四つの分野別実務修習の内容
民事裁判修習では,民事事件の記録を検討し,争点整理,事実認定及び法的判断の過程を学ぶほか,法廷を傍聴し,裁判官の指導を受けて裁判書面の起案等を行う。
刑事裁判修習では,刑事事件の記録及び公判を素材として,訴訟手続,証拠の評価,事実認定,量刑及び裁判書の作成過程を学ぶ。
検察修習では,捜査及び公判に関する検察実務を学び,事件記録の検討,被疑者及び参考人の取調べ,事件処理方針の検討,起訴状及び不起訴裁定書等の起案並びに公判立証の検討等を行う。
弁護修習では,配属先の法律事務所で指導担当弁護士の実務に接し,法律相談,依頼者との打合せ,調査,書面作成及び裁判手続等を通じて民事弁護及び刑事弁護の実務を学ぶ。
具体的な担当事件及び修習方法は,事件の状況,配属先及び指導担当者によって異なる。
司法修習生は,司法修習生に関する規則3条により,修習にあたって知った秘密を漏らしてはならないとされている。
修習で知った個別事件の内容を外部に出すことはできない。
4 盛岡地方検察庁の組織と司法修習の担当課
検察庁事務章程(昭和60年4月6日法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号最終改正)別表第1は,部を置く地方検察庁を13庁に限定している。
盛岡地方検察庁はこれに含まれないため,部の置かれていない地方検察庁である。
全国50庁の地方検察庁のうち,部の置かれていない庁は37庁である。
同章程別表第3によれば,部の置かれていない地方検察庁には,事務局に総務課及び会計課が置かれるほか,企画調査課及び監査室が置かれる。
同章程別表第6は,企画調査課の所管事務の第3号として「司法修習生の修習指導に関すること(教養課又は司法修習課の置かれていない庁に限る。)」を掲げている。
盛岡地方検察庁には教養課及び司法修習課が置かれていないため,検察修習に関する事務は企画調査課が担当することになる。
なお,教養課が司法修習生の修習指導を担当するのは大阪地方検察庁に限られ,司法修習課が置かれているのは東京地方検察庁だけである。
令和8年4月8日付法務省入定第16号「検察庁の職員の配置定員について」(令和8年4月1日から適用)別表第3によれば,盛岡地方検察庁の配置定員は,検事6人,副検事7人,行政職(一)・公安職(二)89人及び行政職(二)1人の合計103人である。
検事より副検事の方が多い配置であり,同じ第79期B班2組の仙台地方検察庁(検事29人・副検事15人)とは検察官の構成が異なる。
この定員は管内の各区検察庁を含む数であり,同通達第5項により,支部及び区検察庁ごとの定員は検事正が別に定めるとされているため,本庁だけの人数はこの通達からは分からない。
また,定員であって各時点の現員ではなく,検事の欄には検事正及び次席検事が含まれる。
各地の検察庁の内部規程については各地の検察庁の執務規程に,配置定員の各年度の通達については法務省の定員に関する訓令及び通達に掲載している。
5 岩手弁護士会における弁護修習
日本弁護士連合会「弁護士白書2025年版」の基礎的な統計情報によれば,令和7年(2025年)3月31日現在の岩手弁護士会の正会員数は110人(うち女性12人・10.9%)であり,法律事務所数は79である。
第78期の盛岡配属現員8人をこの事務所数と対比すると,およそ十事務所に一人という規模になる。
これは本記事が二つの資料の数値から計算した目安であり,指導担当事務所の割当方法を示すものではない。
弁護修習では,配属された事務所の取扱分野によって経験できる事件に差が生じ得る。
第48回司法修習委員会議事録29頁から31頁までによれば,適切な実事件が現れない場合には過去の事件記録を利用して修習機会を補う運用がある。
同議事録24頁から26頁までによれば,第78期の民事裁判修習では起案目標がおおむね達成された一方,民事保全,民事執行及び倒産について,修習期間中に適切な事件が現れず具体的事件への関与機会を確保しにくい場合があったと報告されている。
盛岡のような少人数の修習地で経験できる事件類型を,現に係属する事件数だけで評価することはできない。
過去記録の利用,模擬手続及び選択型実務修習のプログラムによる補完を含めて見る必要がある。
第6 選択型実務修習と集合修習
選択型実務修習では,弁護修習先の事務所をホームグラウンドとし,実務修習地が提供する個別プログラム,全国の修習生を対象とするプログラム及び修習生が自ら開拓するプログラムを組み合わせる。
盛岡はB班であるため,令和8年11月24日から令和9年1月8日までがこの期間となる。
第48回司法修習委員会議事録によれば,全国プログラムには民間企業,地方公共団体及び児童相談所等があり,人気のあるプログラムでは希望者が定員を上回ることがある。
第79期の盛岡で提供される個別プログラムの名称,内容,定員及び選考方法は,公開資料から確認できない。
制度の枠組みは選択型実務修習のガイドライン等に掲載している。
集合修習では,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護及び刑事弁護の五科目について,修習記録を用いた起案,講評及び討論等を行う。
盛岡を含むB班は,選択型実務修習を終えた後の令和9年1月13日から,和光市の司法研修所で集合修習を受ける。
第7 主な修習先の所在地と通勤
1 三機関の所在地
盛岡の三機関は,いずれも盛岡市の中心部にある。
盛岡地方裁判所と盛岡地方検察庁は同じ内丸にあり,岩手弁護士会は隣接する大通にある。
| 機関 | 所在地 | 交通・連絡先 |
|---|---|---|
| 盛岡地方裁判所(盛岡家庭裁判所・盛岡簡易裁判所を併置) | 盛岡市内丸9番1号 | JR盛岡駅から徒歩約30分。又は岩手県交通バスのバスセンター方面行きに乗車10分,中央通り1丁目停留所下車,徒歩約1分 |
| 盛岡地方検察庁 | 〒020-0023 盛岡市内丸8番20号 | 電話019-622-6195(代表) |
| 岩手弁護士会 | 〒020-0022 盛岡市大通一丁目2番1号 岩手県産業会館本館2階 | 電話019-651-5095(代表) |
盛岡地方裁判所の郵便番号及び代表電話番号は,令和8年8月29日現在,裁判所ホームページの静的な記載からは取得できなかったため,本記事には記載しない。
盛岡駅と中心市街地及び官公庁を結ぶ盛岡都心循環バス「でんでんむし」は,盛岡駅前を出発して市内の中心商店街,官公庁及び名所を1周35分で走り,左回りと右回りの両方向で運行されている。
2 住居を探す地域及び自動車の要否
三機関への通所だけを基準にすれば,内丸,大通,中央通及び菜園の周辺は,徒歩又は路線バスを組み合わせやすい地域である。
盛岡駅周辺は鉄道,高速バス及び路線バスを利用しやすいが,盛岡地方裁判所までは徒歩約30分であり,冬季の所要時間を見込む必要がある。
もっとも,これは三機関の所在地及び交通網から導く地理的な目安であり,特定の物件又は地域を推奨するものではない。
弁護修習の配属法律事務所,法律相談,刑事施設,現場見分又は選択型実務修習の訪問先は公開資料から分からない。
このため,自動車が必須であるとも不要であるとも一律には断定できない。
物件を決める前に,駐車場料金を含む場合と含まない場合の双方で予算を組んでおくのが安全である。
第8 住居,家賃及び修習給付金
1 住居は各自で確保すること
最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」2頁は,指定された実務修習地における住居の確保は各自で行うことになっていると明記している。
司法研修所又は配属庁会が盛岡の住居を一律に用意する制度ではない。
2 家賃の目安
賃貸情報サイトLIFULL HOME’Sの盛岡市の家賃相場を令和8年8月29日に確認したところ,ワンルーム5.53万円,1K4.96万円及び1LDK6.45万円であった。
同サイトの説明によれば,これは駅徒歩10分以内の賃貸物件の平均賃料(管理費及び駐車場代等を除く。)を軸に同サイトの過去データから算出された数値であり,毎週金曜日に更新される。
管理費,敷金・礼金,火災保険,家具家電の有無,築年数,駐車場,暖房設備及び短期契約の可否を同一にした比較ではない。
物件を選ぶ際には,家賃だけでなく,①管理費を含む月額,②初期費用,③退去予告期間と短期解約違約金,④冬季の暖房設備,断熱性能,水道管凍結防止設備及び光熱費,⑤駐車場料金と除雪の負担,⑥弁護修習先への交通,⑦インターネット環境を確認する必要がある。
3 修習給付金の種類と額
裁判所法67条の2第1項は,司法修習生に対し,修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間,修習給付金を支給すると定め,同条2項は,その種類を基本給付金,住居給付金及び移転給付金とする。
最高裁判所の案内によれば,基本給付金は給付期間ごとに13万5000円である。
住居給付金は,自ら居住するため住宅を借り受け,家賃を支払っている場合で,最高裁判所の定める様式により届出が行われた場合に,給付期間ごとに3万5000円が支給される。
移転給付金は,修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合で,同様に届出が行われた場合に,最高裁判所の定める路程に応じた定額が支給される。
住居給付金は家賃額そのものを全額補填する制度ではない。
共益費,駐車場料金,敷金,礼金,仲介手数料,家具家電及び冬季用品等を含む初期費用と毎月の支出は,別に見積もる必要がある。
4 届出期限及び短期賃貸の取扱い
第79期修習給付金案内によれば,住居給付金は要件を満たした日から7日以内の届出が原則であり,移転給付金についても各修習開始時の移転後7日以内の届出が原則である。
契約書,家賃の負担及び居住開始日を示す資料を早めに整える必要がある。
同案内によれば,ウィークリー住宅,マンスリー住宅又はホテルであっても,期間及び利用実態から生活の本拠と認められれば住居給付金の対象となり得る。
他方,親名義の賃貸借契約は本人が賃借人であるという要件を通常は満たさず,本人の家賃負担及び契約関係を裏付ける追加資料が問題になる。
また,住居給付金は,司法研修所において導入修習又は集合修習をするために住所又は居所を移転した司法修習生が,最高裁判所の設けた寮,自宅等に居住した期間を含む給付期間については,日割りによって計算した額が支給される。
盛岡はB班であり,令和9年1月13日から2月25日まで和光市の司法研修所で集合修習を受ける。
盛岡の住居を修習終了まで借り続ける場合には,この期間の家賃負担と住居給付金の取扱いを別に見積もる必要がある。
第9 積雪及び冬季の生活
1 冬季の気温と積雪
盛岡では,第4クールの後半から選択型実務修習を経て集合修習へ移動する時期が積雪期と重なる。
気象庁の1991年から2020年までの平年値によれば,盛岡の冬季の気温と雪は次のとおりである。
| 月 | 平均気温 | 日最高気温の平均 | 日最低気温の平均 | 降雪の深さの合計 | 最深積雪 |
|---|---|---|---|---|---|
| 12月 | 0.8度 | 4.5度 | マイナス2.5度 | 44センチメートル | 19センチメートル |
| 1月 | マイナス1.6度 | 2.0度 | マイナス5.2度 | 63センチメートル | 27センチメートル |
| 2月 | マイナス0.9度 | 3.2度 | マイナス4.8度 | 55センチメートル | 32センチメートル |
年間では,降雪の深さの合計が209センチメートル,最深積雪が36センチメートルである。
1月については,日合計降雪量の最大が17センチメートルであり,降雪の深さの日合計が1センチメートル以上となる日数は13.3日である。
積雪の深さが1センチメートル以上となる日数は,1月は25.8日である。
「降雪の深さの合計」は期間中の降雪を積算した値であり,常時その高さで積もるという意味ではない。
2 冬の交通と備え
盛岡市は,路面に雪があるとき又は凍結しているときは自転車の利用を避けるよう案内している。
徒歩を中心にする場合は,防水性のある履物及び路面凍結への備えが必要である。
自動車を使う場合は,冬用タイヤ,除雪及び駐車場の雪処理を契約前に確認する必要がある。
住居選びでは,通常時の徒歩分数だけでなく,除雪状況,坂道,バス停までの経路及び冬季の代替交通を現地で確認することが重要である。
これらは個別の年の降雪予測ではなく,平年値から導く生活上の備えである。
3 水害及び土砂災害
水害及び土砂災害のリスクは,盛岡市が公開する各種ハザードマップで物件ごとに確認できる。
盛岡市の中心部は北上川,中津川及び雫石川が合流する地形であるため,住居を決める前に浸水想定区域を確認しておくのが安全である。
第10 公開資料で確認できない事項
令和8年8月29日までに確認した公開資料からは,①第79期の盛岡配属人数,②第79期盛岡のグループ数及び四分野の巡回順序,③第79期盛岡の起案・講評及び家庭裁判所修習の細日程,④第79期の弁護修習の配属法律事務所,⑤第79期盛岡の選択型実務修習の個別プログラム,⑥第70期以降の希望順位別人数を確認できない。
また,盛岡修習について,配属された修習生の住居地域,家賃,自動車保有率又は通所時間を示す公的統計も見当たらない。
これらを推測で補うと,住居選び又は修習地の検討を誤らせるおそれがある。
配属庁会からの通知,修習給付金案内及び岩手弁護士会からの案内が交付された場合は,その記載を優先すべきである。
修習地の希望の出し方については第2希望の実務修習地の選び方で整理している。
出典・参考資料
1 法令及び最高裁判所規則
①裁判所法(昭和22年法律第59号)14条・66条・67条・67条の2(e-Gov法令検索,令和8年8月29日確認)
②司法修習生に関する規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第15号)1条・3条・5条・7条・8条・9条・10条(令和7年2月12日最高裁判所規則第3号による改正後の条文)
③司法修習生の修習給付金の給付に関する規則(平成29年8月4日最高裁判所規則第3号)(最高裁判所)
2 最高裁判所事務総長の司法行政文書不開示通知書等
①令和8年1月19日付(最高裁秘書第3778号) 第78期司法修習予定者の実務修習希望地調査表について「作成又は取得していない」とするもの
②令和8年3月18日付(最高裁秘書第782号) 第79期司法修習予定者の実務修習希望地調査表について「作成又は取得していない」とするもの
③令和8年5月20日付(最高裁秘書第1657号) 第78期司法修習生組別志望等調査表について「作成又は取得していない」とするもの
④最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会平成29年4月28日答申 第70期について実務修習希望地調査表を作成しなくなったことに関するもの
⑤実務修習地の決定に関する答申資料 希望順位のほか個別事情を考慮して全国の配置を調整することに関するもの
3 法務省の訓令及び通達
①検察庁事務章程(昭和60年4月6日法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号最終改正)5条・別表第1・別表第3・別表第6(法務省。PDF1頁・6頁・10頁~11頁・13頁~14頁)
②検察庁の職員の配置定員について(令和8年4月8日付法務省入定第16号。令和8年4月1日から適用) 法務省大臣官房人事課長の依命通達。別表第3(PDF4頁)
4 最高裁判所及び司法研修所の資料
①最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」2頁(第79期の修習期間,実務修習地の区分及び住居の確保)
②最高裁判所「司法修習の概要」(令和8年8月29日確認)
③最高裁判所「司法修習生の修習給付金について」及び同ページ掲載の修習給付金案内(第79期)(令和8年8月29日確認)
④最高裁判所「第48回司法修習委員会議事録」24頁~26頁及び29頁~31頁(第78期の各分野の修習状況,過去記録による補完及び選択型実務修習)
⑤司法研修所「第79期教官担当表」(令和8年4月17日付) ほかに同年2月9日付,3月4日付,4月13日付及び4月14日付の各版がある
⑥司法研修所「第78期教官担当表」(令和7年8月5日) 第78期の組の構成
⑦第77期盛岡修習の実務修習日程(グループ別の巡回順序)
⑧第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)
⑨司法修習生配属現員表(第77期。令和6年3月21日現在)
⑩司法修習生配属現員表(第76期。令和4年11月27日現在)
⑪司法修習生配属現員表(第68期及び第69期。平成27年11月27日現在)
⑫司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(第69期) 最高裁判所の開示資料に基づき本ブログが群の分類及び指数の欄を加えて作成したもの
⑬実務修習希望地調査表(第69期。平成27年10月9日)
5 盛岡の裁判所,検察庁及び弁護士会の資料
①盛岡地方裁判所へのアクセス(所在地及び盛岡駅からの経路。令和8年8月29日確認)
②盛岡地方検察庁「所在地・交通アクセス」(令和8年8月29日確認)
③岩手弁護士会(所在地及び連絡先。令和8年8月29日確認)
6 統計・データ
①日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2025年)」資料1-1-3「弁護士会別弁護士数」(2025年3月31日現在。PDF1頁)
②気象庁「盛岡 平年値(年・月ごとの値)詳細(気温)」(統計期間1991年~2020年)
③気象庁「盛岡 平年値(年・月ごとの値)詳細(雪)」(統計期間1991年~2020年)
④盛岡市「冬の自転車利用について」(令和8年8月29日確認)
⑤盛岡市「盛岡都心循環バス(でんでんむし)について知りたい。」(1周35分。令和8年8月29日確認)
⑥盛岡市「各種ハザードマップ」(令和8年8月29日確認)
⑦LIFULL HOME’S「盛岡市の家賃相場」(令和8年8月29日閲覧の民間サイトの集計)
7 本ブログの関連記事
①実務修習地とクラスの対応関係(第67期から第79期まで)
②司法研修所の教官担当表
③第79期司法修習の日程
④司法修習生配属現員表(48期以降)
⑤修習開始時点における司法修習生の人数の推移
⑥司法修習の場所を選ぶ際の基礎データ
⑦第2希望の実務修習地の選び方
⑧各地の検察庁の執務規程
⑨法務省の定員に関する訓令及び通達
⑩選択型実務修習のガイドライン等