目次
第1 職業安定法に関するメモ書き
1 職業紹介事業の許可制
2 ハローワークインターネットサービス
3 社員紹介制度
4 職業紹介事業に係る法令・指針
5 その他
第2 採用活動に関するメモ書き
1 公正な採用選考
2 求職者等の個人情報の取得制限
3 その他
第3 関連記事その他
1 職業紹介事業の許可制
(1) 求人及び求職の申込みを受け,求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんするという意味での職業紹介事業(職業安定法4条1項)を営むためには,管轄都道府県労働局を経由して,厚生労働大臣の許可を受ける必要があります(職業安定法30条1項及び33条1項の他,厚生労働省HPの「職業紹介事業制度の概要」参照)。
(2) 職業安定法4条1項(成立時の職業安定法5条1項)の「雇用関係」とは,必ずしも厳格に民法623条の意義に解すべきものではなく,広く社会通念上被用者が有形無形の経済的利益を得て一定の条件の下に使用者に対し肉体的,精神的労務を供給する関係にあれば足ります(最高裁昭和29年3月11日判決)。
NBL1241の倉重公太朗ほか「採用分野における法務・人事の共創(下)」は、採用選考時のSNS裏垢チェックや当該チェック結果に基づく内定取消の法的問題点(個情法、職安法等)について考察されており良い。上・下とも労働実務家必読としたい。
— そらまめ (@sollamame) June 13, 2023
2 ハローワークインターネットサービス
・ ハローワークインターネットサービスには,「仕事をお探しの方へのサービスのご案内」及び「事業主の方へのサービスのご案内」とかが載っています。
3 社員紹介制度
(1) 社員紹介制度と労働基準法6条及び職業安定法40条との関係については,BUSINESS LAWYERS HPの「社員紹介制度における法的な問題はどこにあるか」が参考になります。
(2) 単発で社員候補者を紹介した社員に対し,就業規則に基づく賃金等として支払うのであれば,問題ありません。
4 職業紹介事業に係る法令・指針
・ 厚生労働省HPの「職業紹介事業に係る法令・指針」には以下の資料が掲載されています。
① 職業安定法
② 職業安定法施行令
③ 職業安定法施行規則
④ 職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針
⑤ 職業安定法施行規則第二十条第二項の規定に基づき厚生労働大臣の定める額
先般の閣議決定中、「三位一体の労働市場改革の指針」の該当部分を抜粋したものが、厚労省から提供されておりました。読める範囲の分量なので、労務の森の皆さまには、是非、ご一読いただきたく存じます。人材確保にお悩みの企業さまが、ますます大変なことになるのでは…。https://t.co/SiEHGlpAEn
— 弁護士リチャードソン (@Richaso_Law) July 5, 2023
5 職業選択の自由及び均等待遇
(1) 職業安定法2条(職業選択の自由)は「何人も、公共の福祉に反しない限り、職業を自由に選択することができる。」と定めていて,職業安定法3条(均等待遇)本文は「何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない。」と定めています。
(2) 求人者に紹介するために求職者を探索し,求人者に就職するよう求職者に勧奨するいわゆるスカウト行為は,職業安定法5条1項にいう職業紹介におけるあっ旋に当たります(最高裁平成6年4月22日判決)。
20、30代のサラリーマンは必ずチェックして欲しい記事
あなた個人の能力ではなく、働く業界、会社、職種によって年収は決まってしまう
「泥船の上にいくら努力を積んでも沈むだけ」
転職はリスクかもしれないけど転職活動はノーリスクだから積極的に行動しよう!
個人で出来るのはこれだけなんや! https://t.co/ePd2qrg9zN
— 喜至 @特許をみる株主 (@kishi_IP_invest) November 14, 2020
『仕事はデキるが周りに自分と同等のモチベーションを強要する人』vs『仕事はデキないが周囲への当たりが柔らかく個々人に配慮する人』だと、経営層としては後者の方が大事だったりする。個人の能力だけ多少突出してても、前者みたいな組織ブレイカーはそれ以上の悪影響を及ぼし続ける毒みたいなもの。
— 𝓞𝓶𝓸𝓬𝓱𝓲 (@ib_kiri) January 26, 2023
<転職前にわかっておくべきこと>
1.求人は世の中に腐るほどある
2.転職は運ゲーなので当たるまで回せ
3.「ダメ」と感じたら今すぐ転職準備
4.「石の上の3年」という概念は捨てる
5.転職経験のない人の反対は聞かない
6.失業保険は基本3ヶ月出ない
7.退職後に国保と住民税が貯金を強奪しにくるので注意— とっとこランサー@未来の道標 (@Tottokolancer) November 2, 2018
~求人メディア等について届出制が創設(職業安定法)~
求人サイト運営事業者を把握し、迅速な指導監督を可能とするため、求人サイト運営事業者(特定募集情報等提供事業者)について、届出制が導入される。
また、年に1度、事業の概況を報告する必要がある。 pic.twitter.com/qTJ5IonWOM— 時間の達人 社労士試験/金沢博憲/社労士24/資格の大原 (@Sharoushi24) September 14, 2022
転職活動をするとき、「現職に不満があるから転職」でも別にいいけど、不満だけが唯一の理由だとなかなか上手くいかないです。次の職場に何を求めているのか? なぜその職場なら今持っている不満が解消されると言えるのか? などをロジカルに説明できないと、結局、面接でも低評価になってしまいます。
— 安斎 響市 @転職デビル (@AnzaiKyo1) January 28, 2023
育児・介護休業、雇用保険、社保のほか職業安定法も新しい仕組みがスタートします。
求人等情報の的確な表示の義務付け、個人情報の収集・使用目的の具体的な記載、ウェブサイト上で求人雑誌や求人サイトで集めた情報を発信する特定募集情報等提供事業者に届出を求める規定が新しく設けられています。 pic.twitter.com/5e2d06ivLd— 北原幹大 (@k_masahiro0629) September 6, 2022
第2 採用活動に関するメモ書き
1 公正な採用選考
(1) 厚生労働省HPの「新たな履歴書の様式例の作成について~「様式例」を参考にして、公正な採用選考をお願いします~」には「厚生労働省が作成した履歴書様式例」(令和3年4月16日付)が載っていますところ,【厚生労働省履歴書様式例とJIS規格様式例の相違点】として以下の記載があります。
1. 性別欄は〔男・女〕の選択ではなく任意記載欄としました。なお、未記載とすることも可能としています。
2.「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の各項目は設けないことにしました。
(2) 厚生労働省HPの「公正な採用選考チェックポイント」では,例えば,以下の事項はNGとなっています。
・ 応募者から戸籍謄(抄)本・住民票の写しを提出させている。
・ 面接において、本人が生まれたところや家族構成・家族の職業などを尋ねることがある。
・ 面接において、人生観・生活信条・尊敬する人・愛読書などを尋ねることがある。
・ 家庭状況等の身元調査を実施している。
・ 内定者から、戸籍謄(抄)本等を一律に提出させている。
(3) 職業安定法2条(職業選択の自由)は「何人も、公共の福祉に反しない限り、職業を自由に選択することができる。」と定めていて,職業安定法3条(均等待遇)本文は「何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない。」と定めています。
常に『育成より採用に注力』する事だ。採用ミスを育成で取り返すのは本当厳しい。創業期は優秀な人の応募が少ない。だからポテンシャルを見抜く力が求められる。ポテンシャルとは❶年齢❷地頭❸素直さである。まず職務経歴書を信じない事だ。職務経歴書を見てしまうと知らぬ間に『優秀』と勘違いする。
— Tyler444 (@Tyler_consul) April 24, 2023
正直優秀な人材かどうかは職務経歴書を見れば8割方判断できてしまうので、その判別方法9つを解説します。
逆に言えば、これに則したキャリアを作れば転職も年収アップも容易になるので、若い人全員に読んで欲しい↓
— 新居和樹💰所得倍増計画 (@kazki_arhai) May 2, 2023
2 求職者等の個人情報の取得制限
(1) 労働者の募集を行おうとする者は,求職者等の個人情報を収集し,保管し,又は使用するに当たっては,本人の同意がある場合を除き,その業務の目的の達成に必要な範囲内で,収集し,保管し,及び使用しなければなりません(職業安定法5条の5第1項)。
(2)ア 個人情報取扱事業者は,偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはなりません(個人情報保護法20条1項)。
イ 探偵業者は,当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為,違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは,当該探偵業務を行ってはなりません(探偵業の業務の適正化に関する法律9条1項)。
大体同じです😊
エゴサもしますね。
迷ったら採用しないも追加で。中小企業だとそんなことも言ってられませんが😇 https://t.co/s223D3pmkK
— キラキラ☆社労士☾むらやようこ (@sr_mry) January 28, 2023
3 経歴詐称
(1) 労働問題.comに「経歴詐称でいかなる懲戒処分ができるか?」が載っています。
(2) 東京地裁平成20年4月25日判決(判例秘書に掲載)は,精神保健福祉士としての採用時に精神疾患の病歴等について虚偽の回答をしたことが解雇事由として考慮されるべき事由に当たるとした事例であります。
当該判決は,「A(山中注:被告である医療法人社団の代表者)は、(山中注:従業員が)精神病に罹患していた場合、精神病患者と接触した場合相互の病状を悪化させる可能性があること、採用された場合は職務上自動車運転を要するところ、抗精神病薬のうちには自動車運転が制限されるものが多いことから、上記の質問をしたものと認められる」などと判示しています。
怒るかどうかは個人の性格によるが、若手のうちは仕事をできないのは当たり前で、ただ舐めた(信用を毀損するような)仕事をすると、それは下の人自身が、上の人からの信用を失うという話。怒らずに静かに切る人も世の中には多いので、怒ってくれる人の方が優しいとも言える。
— 酒井貴徳|LEACT (@Sakai_Takanori) December 17, 2022
4 募集及び採用に際して例外として年齢制限が認められる場合
(1) 例えば,以下のような事由がある場合,期間の定めのない労働契約を締結することを目的とするのであれば,募集及び採用に際して年齢制限をすることができます(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則1条の3第3号イ及びロ)。
① 長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的として、青少年その他特定の年齢を下回る労働者の募集及び採用を行うとき
② 当該事業主が雇用する特定の年齢の範囲に属する特定の職種の労働者の数が相当程度少ない場合において、当該職種の業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の継承を図ることを目的として、特定労働者の募集及び採用を行うとき
(2) 厚労省HPに「2.例外として年齢制限が認められる場合があります」が載っています。
「会社を退職する時」というのは結構その人の本性が表れる場面だと思っていて、面接の時には前職の辞め方をさり気なく聞き出したりしてます。それで適当な辞め方する人だとわかったら、まあ採用見合わせますよね。誰にも見られていなかったとしても、辞め方って大事だと思いますよ。
— 米村歩@日本一残業の少ないIT企業社長 (@yonemura2006) January 22, 2023
採用ミスを警戒する。採用ミスを研修や教育で取り返す事はほぼ不可能だ。採用ミスをしない為には『変に期待や依存しない事』だ。どんなに人手が欲しくても応募者の言う事を絶対に鵜呑みにしない事だ。困ってる時ほど本当は心のどこかで危険信号が点滅してるのに『大丈夫であってほしい』と祈り失敗する
— Tyler444 (@Tyler_consul) November 30, 2022
タイトルが長いですが、十数年前の珍しい裁判例があることを最近知りましたのでご紹介しました。
採用時に精神疾患の病歴等について虚偽の回答をしたことが解雇事由として考慮されるべき事由に当たるとした事例(労務ネットニュース179号) https://t.co/K8MgMk8q84 @YouTubeより— 向井蘭 (@r_mukai) December 18, 2022
若者雇用促進法第7条の規定に基づく事業主指針について、近年、問題となった以下の留意事項について、事業主等が講ずべき措置として新たに定める。
・募集情報等提供事業者等における個人情報の管理
・ハラスメント問題への対応
・内定辞退等勧奨の防止
・公平・公正な就職機会の提供 pic.twitter.com/nlxQjOUVcM— 時間の達人 社労士試験/金沢博憲/社労士24/資格の大原 (@Sharoushi24) April 20, 2022
冷蔵庫の中に入ったバイト君の炎上事件が2013年かぁ。成程、10年近く前の話ともなれば、そりゃ今の10代〜20代前半に当時の記憶がないわけだ。例の結末はと言うと、店は閉店、同僚22人も職を失う大事に。忘れられがちだが、食品衛生は人命がかかっているからナ。甘くみるべからずだ。
— シネマ座 / Cinemaza (@TKH3D) January 30, 2023
第3 関連記事その他
1 労務事情2022年7月15日号に「〈Q&A〉採用にまつわる労務管理上の諸問題への対応」が載っています。
2 東京高裁令和5年4月5日判決(判例タイムズ1516号(2024年3月号))は,有期労働契約に設けられた試用期間中の解雇が有効と判断された事例です。
3 以下の記事も参照してください。
・ 労働基準法に関するメモ書き
転職した直後、「入社3ヶ月で結果を出さなくちゃ…」と焦って、最初から目立とうとしたり、自分の知識をドヤ顔で披露したりする人が結構いますが、本当に印象最悪なのでやめた方が良いです。試用期間で切られるのは大抵の場合、「結果を出せない人」ではなく「コミュニケーションの取れない人」です。
— 安斎 響市 @転職デビル (@AnzaiKyo1) April 23, 2023
これは上席にならないと分からないことなんだが、本当にできない奴に100の仕事をやらせると何故か発生したトラブルの解決と全く響かない指導と結局できなかったものの巻き取りで300くらいになって何故か自分に返ってくるので、何もやらせないのが損失の発生を最小にすることになる https://t.co/9VVoFsbw61
— きんだめ (@kindame) January 29, 2024