奥田達生裁判官(63期)の経歴


生年月日 S60.1.20
出身大学 一橋大院
定年退官発令予定日 R32.1.20
R4.4.1 ~ 大阪地裁11民判事
R2.4.1 ~ R4.3.31 最高裁行政局付
H30.7.1 ~ R2.3.31 東京地裁判事補
H28.7.1 ~ H30.6.30 財務省国際局開発政策課課長補佐
H28.4.1 ~ H28.6.30 最高裁民事局付
H27.7.10 ~ H28.3.31 東京地家裁判事補
H25.4.1 ~ H27.7.9 大津地家裁判事補
H23.1.16 ~ H25.3.31 大津地裁判事補

*1 大阪大学大学院高等司法研究科HPの「奥田達生 大阪地方裁判所判事」によれば,学歴は「東京大学経済学部卒業(学士(経済学))」及び「一橋大学大学院法学研究科法務専攻専門職学位課程修了(法務博士)」とのことです。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官


*3 63期の奥田達生裁判官に関する私の職務経験として,「遺言者Aが12月下旬に早期胃がんの手術を受け,うつ状態が続く中で手術から7日後に,震えた文字で全財産を唯一の孫Y2(長女Y1の唯一の息子)に相続させるという自筆証書遺言をコピー用紙で作成し(Aは生前,大事なことを書くときは便箋を使う人でした。),Aの死後,私が長男Xの代理人としてY1及びY2に対する遺言無効確認請求訴訟(予備的に遺留分侵害額請求訴訟)を提起した事案(相続税の納付なし。)(Xは海外勤務であったが,1年に1回は日本に帰国し,妻と一緒に施設入所中のAと面会をしていた(子のいない人でした。)。)」という事案(以下「本件事案」といいます。)において,
 ①12月下旬当時の入院中のカルテ,②翌年1月上旬の遺言者Aの発言を記録した当時のメール(長男Xの妻が遺言者Aの発言当日又はその翌日に作成したもの)等を提出したものの,令和4年7月19日のウェブ会議の期日で突然63期の奥田達生裁判官から口頭で簡単な心証を開示された上で,自筆証書遺言及びY2に対する合計1500万円の生前贈与(6年間で3700万円かかる私立大学医学部の学費に充てるためのもの)が有効であることを前提とする和解勧告をされました。
 和解を断った上で期日を続行したところ,その後の期日は雰囲気が悪いものになりましたし,Y1及びY2の尋問時間を削られた結果として(ただし,Y1の尋問時間が決まったのは和解勧告前です。),Y2に対する合計1500万円の生前贈与に関する事情をY1に対して質問することはほとんどできませんでした(尋問時間につき,Y1は50分,Y2は30分でした。)。


*4の1 本件事案に関する大阪地裁令和5年4月19日判決(担当裁判官は63期の奥田達生)は,①遺言能力に関する原告の主張の摘示は5行であり,②遺言者Aに対するY1の不当な働きかけに関する原告の主張の摘示は7行であり(うち,2行は強迫取消しの意思表示の摘示です。),③合計1500万円の生前贈与に関する原告の主張の摘示は4行であって,認定事実でそれなりの事情が記載されていて,遺留分侵害額請求に関しては普通の判断がされているとはいえ,自筆証書遺言及び生前贈与を有効とする判決を書くのに都合の悪い原告の主張の大部分がなかったことにされましたから,第三者が当該判決「だけ」を読んでも特に問題意識は出てこないと思います。
*4の2 本件事案の甲号証は甲159まであったものの,控訴審としての大阪高裁令和5年11月2日判決(担当裁判官は40期の阪本勝44期の遠藤俊郎及び52期の大野祐輔)は,①遺言能力に関する控訴人Xの主張の摘示は5行であり,②生前贈与に関する控訴人Xの主張の摘示は3行であり(いずれも主張の結論に相当する部分だけの摘示でした。),①に対する裁判所の判断は4行であり,②に対する裁判所の判断は4行であり,実質的に追加された理由は一切ないものの,法解釈は一切していないので最高裁で破棄してもらうことは非常に難しいものとなっていました(63期の奥田達生裁判官ですら和解勧告において高裁で自分の判決が覆る可能性も大いにあるといっていましたから,高裁判決の内容の薄さには驚きました。)
 そして,あくまでも大阪地裁令和5年4月19日判決及び大阪高裁令和5年11月2日判決を前提とすれば,手術直後にうつ状態で入院している70歳代の親に自筆証書遺言を作成させたとしても,「全財産を特定の人に相続させる」といった一義的かつ単純な内容であり,かつ,小学生までの前に世話をした唯一の孫(遺言書作成当時16歳)に相続させるといったものであれば,当該自筆証書遺言は有効であることになります(①看護師等の病院職員が全くいない場で作成された自筆証書遺言が「無理に」作成させられたものかどうかに関する記録が病院のカルテに残ることはないと思いますし,②遺言書作成直後の遺言者の様子に関する病院のカルテの記載は無視されますし,③遺言書作成から約1週間後の遺言者の発言内容を記録した発言当日の利害関係者作成のメールなど遺言者の真意の発言でなかった可能性もあるということで信用性を否定されることになります。)。


*5 裁判所HPの民事裁判教官室コーナーに載ってある「対話で進める争点整理」(令和5年7月の司法研修所の文書)10頁(PDF19頁)には以下の記載があります。
 ここでいう「判決書」とは、一言でいえば、当事者(特に敗訴する側)の納得性が高い内容の判決書ということになる。そして、当事者の納得性の高い判決書とは、真の争点に重点を置いて判断を示し、その理由について、裁判所(裁判官)の思い込みによるのではなく、証拠の裏付けや適切な経験則をもって説得的に説明したものということになるだろう。


*6 東北大学HPの「裁判官の学びと職務」(令和5年11月22日に東北大学法科大学院で行われた、法科大学院学生を対象とした47期の井上泰士の講演原稿に大幅に加筆したもの)には以下の記載があります。
裁判官は、自分で決断をしなければいけないので、その決断について誰も護ってくれませんし、かばってもくれません。先ほど述べたとおり賠償とか懲戒という問題にはなりませんが、少なくとも当事者を含む世間の批判を一身に受けなければなりません。そうなりたくなければ、証拠と法律に基づく決断の質を高めるほかありません。


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