長井秀典裁判官(37期)の経歴


生年月日 S34.12.1
出身大学 東大
退官時の年齢 65歳
R6.12.1 定年退官
R2.6.12 ~ R6.11.30 大阪高裁2刑部総括
H30.5.15 ~ R2.6.11 岡山家裁所長
H29.5.1 ~ H30.5.14 広島高裁岡山支部第1部部総括
H27.11.29 ~ H29.4.30 神戸地裁2刑部総括
H27.4.1 ~ H27.11.28 大阪高裁4刑判事
H20.4.1 ~ H27.3.31 大阪地裁9刑部総括
H17.8.2 ~ H20.3.31 大津地裁刑事部部総括
H17.4.1 ~ H17.8.1 大阪高裁1刑判事
H14.4.1 ~ H17.3.31 大阪高裁3刑判事
H12.4.1 ~ H14.3.31 神戸地家裁伊丹支部長
H11.4.1 ~ H12.3.31 神戸家地裁伊丹支部判事
H8.4.1 ~ H11.3.31 大阪地裁判事
H5.3.25 ~ H8.3.31 書研教官
H2.4.1 ~ H5.3.24 京都地裁判事補
S62.4.1 ~ H2.3.31 広島地家裁呉支部判事補
S60.4.12 ~ S62.3.31 大阪地裁判事補

*0 以下の記事も参照してください。
・ 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 高等裁判所支部
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*1 平成15年5月22日,滋賀県愛知郡湖東町(現在の東近江市)の湖東記念病院で人工呼吸器のチューブが外れて入院中の男性患者が死亡したという湖東記念病院事件につき,同病院の看護助手(平成16年7月逮捕)に対し,懲役12年の実刑判決とした大津地裁平成17年11月29日判決の裁判長でした(2019年10月3日の日弁連人権擁護大会シンポジウム第3分科会基調報告書 末尾52頁)。
   なお,湖東記念病院事件については,第2次再審請求において,原決定を破棄した大阪高裁平成29年12月20日決定(裁判長は35期の後藤真理子裁判官)により再審開始となり,大津地裁令和2年3月31日判決(裁判長は47期の大西直樹裁判官)は無罪判決となりました。

*2の1 大津地裁平成18年3月27日決定の裁判長として,日野町事件(昭和60年1月18日に被害者の遺体が発見された強盗殺人事件)に関する第一次再審請求を棄却しました(2019年10月3日の日弁連人権擁護大会シンポジウム第3分科会基調報告書 末尾24頁)。
   その後,令和2年6月12日付の人事異動の結果,大阪高裁の裁判長として,日野町事件に関する第二次再審請求を担当することとなりましたところ,この点については,「日野町事件」について公平な裁判所による審理を求める会長声明(令和2年6月25日付)等で批判された結果,同月26日,裁判長を外れました。
*2の2 大津地裁平成7年6月30日判決(担当裁判官は19期の中川隆司39期の坪井祐子及び42期の片山憲一)(判例秘書に掲載)は,日野町事件の被告人に対して無期懲役の判決を言い渡しましたところ,大津地裁平成30年7月11日決定(担当裁判官は52期の今井輝幸57期の湯浅徳恵及び63期の加藤靖之)(判例秘書に掲載)は,日野町事件に関する第二次再審請求において再審開始決定を出し,大阪高裁令和5年2月27日決定(裁判長は39期の石川恭司)は検察側の即時抗告を棄却しました。

*3 日本維新の会の前川清成衆議院議員に対して罰金30万円・公民権停止5年間の有罪判決となった奈良地裁令和5年1月18日判決(裁判長は45期の澤田正彦)に対する控訴を棄却した大阪高裁令和5年7月19日判決(担当裁判官は37期の長井秀典38期の杉田友宏及び47期の野口卓志)は以下の判示をしています(改行を追加しています。)。
① 特定の選挙に当たって明確な支持者でも支援者でもない選挙人に対して候補者の推薦を依頼する行為は、直接的な投票依頼をするのと近い効果を有するものであるから、当該行為の相手方、時期、方法その他の具体的な事情によっては、推薦依頼に名を借りた投票依頼行為であって選挙運動に該当すると認められる場合があるというべきである(最高裁判所昭和44年3月18日第3小法廷判決・刑集23巻3号179頁参照)。
② 推薦依頼をすればこれに応じてくれると相当程度期待できるような人的関係が被告人との間に築かれている者を相手方とする場合であれば、その者は既に被告人に対する投票の意思を持っている蓋然性があるから、推薦依頼が投票依頼行為と実質的に同様の効果を有するとはいえない。
このような場合は、宛名書きの依頼の部分も含めて選挙運動の準備行為として許容されるものといえよう。
また、名簿登載者の全員との間にそのような人的関係が築かれていなくても、名簿登載者が全体として何らかの関係で結ばれた1つの集団を形成しており、上記のような人的関係が被告人とその集団全体との間に築かれているのであれば、同名簿登載者に対して無差別に上記のような依頼をすることも許されるであろう。

*4 大阪高裁令和6年3月6日判決(裁判長は37期の長井秀典)は,知人の医師らと共謀し,父親(当時77歳)を殺害したとして殺人罪に問われた元医師の山本直樹被告人の控訴を棄却し,懲役13年とした京都地裁判決を支持しました(産経新聞HPの「父親殺害の元医師 2審も懲役13年」参照)。
*5の1 大阪高裁令和6年4月26日判決(裁判長は37期の長井秀典)は,堺市で平成30年にインスリン製剤の過剰投与で父親を,練炭自殺を装って弟をそれぞれ殺害したとして殺人罪などに問われた被告人の控訴審において,無期懲役とした一審の大阪地裁判決を指示し,被告人及び検察官の控訴を棄却した(産経新聞HPの「◯◯◯◯被告に2審も無期懲役、父にインスリン投与 弟は自殺偽装で殺害」参照)ところ,例えば,以下の判示をしています(改行を追加しています。)。
① 1月10日から20日まで及び1月23日から26日までの間に被告人のグーグルアカウントを使用してインターネットで低血糖による生命の危険に関する言葉やインスリンの注射に関する言葉が繰り返し検索されてこれに関係するサイトが閲覧され、特に、1月19日と1月25日夕方から26日朝にかけての時間帯には集中して多数回の検索・閲覧が行われており、その中には、1月26日午前2時48分頃の「血糖値 21」及び午前2時50分頃の「低血糖 値21」という前記血糖測定器の記録と符合する検索履歴まである。
    これらの検索・閲覧を行った人物が被告人であることは明らかである。
② 弁護人は、被害者はがんに罹患してその終末期にあったから、自殺の動機がないとはいえず、また、30を下回る低い血糖値でも意識を保っていた実験例があるから、被害者が自殺を図って自ら血糖値を測定した可能性が否定できないと主張する。
    しかし、それまでの被害者の生活状況に照らせば、がんを苦にして自殺を企図することは考えにくい。
    また、30を下回る血糖値の状態で意識を保つことが皆無ではないとしても、医師の証言によれば、血糖値20前後の状態で意識を保って血糖測定器を用いることは困難であると認められる。現に1回目の低血糖の際、被害者が意識を失った状態で救急搬送されたときの血糖値は33であった。
    したがって、被害者が血糖値20前後の状態で自ら何回も血糖値の測定を行った可能性があるとは考えられない。
*5の2 糖尿病ネットワークHP「20.低血糖」には以下の記載があります。
まず、血糖値が平均値で 68mg/dLまで下がるとグルカゴンなどの拮抗ホルモンが分泌され始めます。さらに 53mg/dLまで下がると、発汗、手足のふるえ、からだが熱く感じる、動悸、不安感、吐きけという具体的な症状が出てきます。これらは血糖値の下がり過ぎでひき起こされる自律神経の症状で、血糖値低下に対してからだが発する警告信号なのです。
この警告信号が出る範囲を越え、48mg/dL以下にまで血糖値が下がると、集中力の低下、取り乱す(医学用語では錯乱といいます)、脱力、眠気、めまい、疲労感、ろれつが回らない、物が二重に見える、などが起きてきます。これらは中枢神経の症状で、ブドウ糖の欠乏により脳細胞が正常に活動しなくなりつつあることを示すものです。


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