中村和典裁判官(62期)の経歴


生年月日 S60.6.4
出身大学 東大
退官時の年齢 28 歳
H25.6.30 依願退官
H24.4.1 ~ H25.6.29 さいたま家地裁判事補
H21.9.20 ~ H24.3.31 さいたま地裁判事補

*0 平成25年6月12日の最高裁判所裁判官会議において,同月30日付で現行62期の中村和典裁判官及び新62期の中村亜希子裁判官が依願退官することが決まりました。
*1 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官の名簿(令和時代)
・ 判事補の海外留学状況
→ 裁判官が留学中又はその終了後5年以内に離職した場合,国家公務員の留学費用の償還に関する法律10条・3条に基づき,留学費用相当額の全部又は一部を償還しなければならないこととされています。
*2の1 東京麹町ロータリークラブの麹町ウィークリー2019年6月3日号によれば,裁判官を依願退官した後,
桃尾・松尾・難波法律事務所での弁護士登録
→メリルリンチ日本証券の投資銀行部門のアナリスト
→ヘッジファンド(2019年3月1日現在の職場)
という風に転職しているみたいです。
*2の2 OSHIETE CaTekyo HP「運営会社」によれば,裁判官任官中,ロンドン大学(UCL)法学修士課程に進んだとのことです。
*3 令和3年に株式会社BluAge( 東京都千代田区麹町。部屋探しアプリ「CANARY(カナリー)」の運営会社)に入社し,同年11月現在,同社のCFO(最高財務責任者)及びCLO(最高教育責任者)をしています(同社HPの「会社情報」参照)。
*4 GVA Professional Groupの「【弁護士解説】内定取り消しや内々定取消しについての法的理解と対応事項」には「採用内定とは、正式な入社により労務提供を開始する前ではあるものの労働者を採用することが決定している状態ですが、対して、採用内々定とは、採用内定が決まりかけているものの内定式などの正式手続の前の状態をいいます。」と書いてあります。

*5の1 大学卒業予定者の内々定の取消しに関して22万円の損害賠償(内訳は慰謝料が20万円,弁護士費用が2万円)を認めた福岡高裁平成23年2月16日判決(裁判長は27期の廣田民夫裁判官)は,「第4 結論」として以下の判示をしています。
    よって,本件における内々定の合意の実体は,内定までの間に企業が新卒者が他の企業に流れることを防止することを目的とする事実上のものであって,直接的かつ確定的な法的効果を伴わないものである。したがって,被控訴人の請求のうち,労働契約に基づくものは理由がないが,当事者双方が正式な労働契約締結を目指す上での信義則違反による不法行為に基づく慰謝料請求は理由がある。そこで,原判決が認容した慰謝料額等を本件における事実関係に相応した額に変更することとして,主文のとおり判決する。
*5の2 大学卒業予定者の内々定の取消しに関して55万円の損害賠償(内訳は慰謝料が50万円,弁護士費用が5万円)を認めた福岡高裁平成23年3月10日判決(判例秘書に掲載。裁判長は30期の西謙二裁判官)は,以下の判示をしています。
     本件内々定によって内定(始期付解約権留保付労働契約)が成立したものとは解されないから,控訴人の本件内々定取消しによって,被控訴人に内定の場合と同様の精神的損害が生じたとすることはできないが,他方,前判示(原判決第3の2)のとおり,採用内定通知書授与の日が定められた後においては,控訴人と被控訴人との間で労働契約が確実に締結されるであろうとの被控訴人の期待は,法的保護に十分に値する程度に高まっていたこと,被控訴人は,控訴人に就職することを期待して,本件内々定の前に受けていた他社からの複数の内々定を断り,就職活動を終了させていたこと,控訴人において,被控訴人のこのような期待や準備,更には就職によって得られる利益等に対する配慮をすることなく,被控訴人に対して上記のような採用についての方針変更について十分な説明をせずに,本件内々定の取消しを行い,被控訴人からの抗議にも何ら対応しなかったこと,本件内々定取消しによって受けた被控訴人の精神的苦痛は大きく,1か月程度,就職活動ができない期間が生じ,控訴人がいまだ就職できないでいるのも,その際の精神的打撃が影響していることがうかがわれることをも考慮すると,被控訴人が本件内々定取消しによって受けた被控訴人の精神的損害を填補するための慰謝料は50万円と認めるのが相当である。


*6の1 企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の採用内定の取消事由は,採用内定当時知ることができず,また,知ることが期待できないような事実であつて,これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨,目的に照らして客観的に合理的と認められ,社会通念上相当として是認することができるものに限られます(最高裁昭和54年7月20日判決)。
*6の2 試用期間付雇用契約により雇用された労働者が試用期間中でない労働者と同じ職場で同じ職務に従事し,使用者の取扱いにも格段異なるところはなく,試用期間満了時に本採用に関する契約書作成の手続も採られていないような場合には,他に特段の事情が認められない限り,当該雇用契約は解約権留保付雇用契約です(最高裁平成2年6月5日判決)。

*7 令和3年4月30日時点における「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第406号)(略称は「事業主等指針」です。)には以下の記載があります。
ロ 事業主は、採用内定者について労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定の取消しは無効とされることについて十分に留意し、採用内定の取消しを防止するため、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講ずること。
また、やむを得ない事情により採用内定の取消し又は入職時期の繰下げを行う場合には、当該取消しの対象となった学校等の新規卒業予定者の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、当該取消し又は繰下げの対象となった者からの補償等の要求には誠意を持って対応すること。


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