朝山芳史裁判官(33期)の経歴


生年月日 S30.5.2
出身大学 東大
退官時の年齢 65歳
R2.5.2 定年退官
H27.8.6 ~ R2.5.1 東京高裁10刑部総括
H25.12.5 ~ H27.8.5 高知地家裁所長
H22.4.1 ~ H25.12.4 横浜地裁3刑部総括
H18.4.1 ~ H22.3.31 東京地裁8刑部総括
H15.4.1 ~ H18.3.31 大阪地裁8刑部総括
H11.4.1 ~ H15.3.31 最高裁調査官
H9.4.1 ~ H11.3.31 東京地裁判事
H8.4.1 ~ H9.3.31 那覇地家裁沖縄支部長
H7.3.24 ~ H8.3.31 那覇地家裁沖縄支部刑事部部総括
H4.4.1 ~ H7.3.23 東京地裁判事
H3.4.7 ~ H4.3.31 大阪地裁判事
H1.4.1 ~ H3.4.6 大阪地裁判事補
S61.11.5 ~ H1.3.31 岡山地家裁判事補
S60.8.1 ~ S61.11.4 岡山地裁判事補
S58.4.1 ~ S60.7.31 最高裁刑事局付
S56.4.7 ~ S58.3.31 東京地裁判事補

*0 令和3年5月現在,上智大学法科大学院教授(専任教員)として,刑事法(総合),訴訟実務基礎(刑事),法曹倫理,刑事訴訟法基礎Ⅰ,刑事訴訟法基礎Ⅱ,刑事実務及び模擬裁判(刑事)を担当しています(上智大学法科大学院HP「教員紹介」参照)。
*1 以下の記事も参照してください。
・ 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 最高裁判所調査官
・ 最高裁判所判例解説
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*2の1 平成21年6月発覚の横浜港バラバラ殺人事件に関する横浜地裁平成22年11月16日判決(裁判長は33期の朝山芳史)は,裁判員裁判における初の死刑判決となりましたところ,判決後,朝山裁判長は,被告人に対し,「重大な結論なので控訴を勧めたい。」と異例の説諭を行いました。
*2の2 「法廷に臨む 最高裁判事として」57頁には,「裁判への信頼」として以下の記載があります。
     被害者の一人をナイフで殺害し、もう一人をホテルのチェックアウトの時間がせまった動ノコギリで殺害することとし、怖すぎるので先に殺してくれという懇願を振り切り、生きたまま首を電動ノコギリで切断して殺害したという事件について、平成二二年一一月横浜地裁は裁判員裁判として初めて死刑の判決を言渡した。判決言渡し後の説示で裁判長は被告人に「重大な結果なので控訴することをすすめる」と述べたと伝えられる。判決を受けた被告人としてはこれをどのように受け止めるであろうか。いかにも中途半端であやふやなものでとうてい納得することはできないであろう。裁判する者は全身全霊をこめて判断すべきであって、一点の疑いがあればそれを克服するまで審議すべきである。重大だから他の意見も聞いてくれというようなことで判決することは許されない。
     さらに言うならば重大な結果は死刑にかぎらず懲役刑とて同じことである。
このようなことがくりかえされるならば、刑事裁判に対する信頼を根幹から揺るがすものになるであろう。

*3 東京高裁令和元年8月29日判決(裁判長は33期の朝山芳史裁判官)は,浜松市の交差点で平成27年5月,信号無視した乗用車が突っ込み,1人が死亡し4人が軽傷を負った事故で,殺人などの罪に問われた中国籍の女性に対し,「事件当日は統合失調症の症状が悪化した状態にあった」として,完全責任能力を認めて懲役8年とした静岡地裁浜松支部の裁判員裁判判決を破棄し,逆転無罪を言い渡しました(産経新聞HPの「浜松5人死傷、運転の中国人女性に逆転無罪判決 東京高裁」参照)。

*4の1 男性の乳腺外科医について,懲役2年の実刑とする逆転有罪判決となった東京高裁令和2年7月13日判決(最高裁令和4年2月18日判決によって破棄差戻しとなったもの)の裁判長でしたが,定年退官後の言渡しであったため,40期の細田啓介裁判官が判決文を代読しました。
*4の2 東京高裁令和2年7月13日判決の陪席裁判官は,42期の伊藤敏孝裁判官及び55期の高森宣裕裁判官でした(ヤフーニュースの「乳腺外科医が準強制わいせつに問われた事件で、高裁が逆転有罪判決の衝撃」参照)。
*4の3 「乳腺外科医裁判 逆転有罪控訴審判決を受けて」(著者はいつき会ハートクリニック院長の佐藤一樹)には結論として,「本件判決は、メディカルリテラシーもサイエンスリテラシーもない裁判官によってもたらされた、刑法違反による冤罪である。」と書いてあります。
*4の4 「乳腺外科医事件 控訴審逆転有罪-秘匿された「職業せん妄」の医学」(判例時報2473号(2021年5月1日号)124頁ないし128頁)には以下の記載があります。
     控訴審裁判官は、原審判決の検察官の控訴趣意書だけを読んだ時点で、医学や科学に照らして分析的な検討をすることなくAの信用性を確定させ、逆転有罪の心証を得ていた疑いがある判決を書いた。せん妄による幻覚の存在を否定するために、本件とは無関係の非専門医で所謂「検察お抱え医師」独りの私的な意見を採用した疑いがある。世界中の臨床医による研究体系の結晶である世界的診断基準が、一裁判官によって反故にされたようで、極めて遺憾である。
*4の5 外科医師を守る会ブログは,男性の乳腺外科医を支援しています。


*4の6 日医on-lineの「乳腺外科医控訴審判決に関する日医の見解を説明」には以下の記載があります。
    今回の控訴審判決については、(1)報道等によれば、控訴審判決では、せん妄の診断基準について、学術的にコンセンサスが得られたDSM―5(米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)に当てはめずに、独自の基準でせん妄や幻覚の可能性を否定した医師の見解を採用している、(2)全身麻酔からの回復過程で生じるせん妄や幻覚は、患者にとってはリアルな実体験であり、現実と幻覚との区別がつかなくなることもある。このような場面は全国の医療機関で起こる可能性があり、もし、それが起こった場合には、医師や看護師が献身的にケアに当たっているのが実際であるにもかかわらず、そのことが理解されていない、(3)科学捜査研究所のDNA鑑定等では、①データを鉛筆で書き、消しゴムで消す②DNAの抽出液を廃棄する③検量線等の検査データを廃棄するなど、通常の検査では考えられない方法がとられるなど、一審の無罪判決の記者会見時でも述べた通り、再現性の乏しい杜撰(ずさん)な検査であるにもかかわらず、検査の信用性を肯定している―ことなどの問題点を挙げ、「もし、このような判決が確定すれば、全身麻酔下での手術を安心して実施するのが困難となり、医療機関の運営、勤務医の就労環境、患者の健康にも悪影響を及ぼすことになる」とした。


*5 東京高裁令和2年7月21日判決を破棄した最高裁令和4年5月20日判決は,「 外国公務員等に対して金銭を供与したという不正競争防止法違反の罪について、共謀の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に、刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例」です。


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