○最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の司法行政文書には不開示情報が含まれています。
○行政機関情報公開法6条2項は,「開示請求に係る行政文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。」と定めており,その意義につき,最高裁平成19年4月17日判決の裁判官藤田宙靖の補足意見が参考になります。
1 高等裁判所長官,地方裁判所長及び家庭裁判所長会同に関する文書のうち,特定の団体の立場姿勢に対する忌憚のない評価等(平成27年度(最情)答申第1号(平成27年12月25日答申))
→ 裁判所の事務に関連する裁判所と外部との間の意見交換の現状について,所長の認識等が記載されていることが認められ,これを公にすると,外部との信頼関係が損なわれるなどし,その結果,裁判所の事務の性質上,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるそうです。
2 裁判官の転勤の内示時期の目安が分かる文書(平成27年度(最情)答申第5号(平成28年2月22日答申))
→ 「裁判官は,憲法上その職務の独立性が保障されるとともに,身分が保障されており(憲法76条3項,78条),また,身分保障の現れとして,その意思に反して,転官や転所をされることはないとされている(裁判所法48条)。したがって,裁判官の異動時期の目安を含めた人事管理に係る情報については,裁判官の独立を確保するため,非常に高い機密性が求められる機微な情報であるということができ,本件対象文書に記録されている上記のような情報を公にすると,それを知った裁判官の異動を望み,あるいは望まない関係者などから不当な働き掛け等がされるなどして,今後の裁判官の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められることから,本件対象文書に記録された情報は,その文書の標題部分や発出者名等も含め,全体として法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する情報に当たると認められる。」そうです。
3 「これからの後見監督の在り方について(参考資料)」と題する文書のうち,監督区分等(平成27年度(最情)答申第6号(平成28年2月23日答申))
→ 監督対象事件を分類した監督区分に関し,各区分に分類される事案の具体的内容や,区分ごとの監督方法などが記載されていることが認められるところ,これらの具体的内容が公になると,各区分の事案の内容や監督方法等の分析を行って,監督強化のための措置を免れたりする者が出現する可能性や,自己の監督の内容を知って,不正行為やその隠蔽を行う者が出現する可能性があるといえ,その結果,家庭裁判所による不正の兆候等の把握に支障が生じて,後見監督事務の性質上,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるそうです。
4 司法修習生考試結果集計表のうち,各科目における「(うち予備試験資格者)」及び「(うち予備試験資格者以外)」の「優」,「良」,「可」及び「不可」の「人員」及び「割合」を示す部分(平成28年度(最情)答申第5号(平成28年4月14日答申))
→ 「不開示部分に記載された情報は,いずれも,個人の氏名等の特定の個人の識別を直ちに可能とする情報ではない。しかし,司法修習生考試の受験者中予備試験資格者の人数が第66期については40人,第67期でも112人であり,他方で,本件各対象文書の原判断において開示された部分によれば,各科目で「不可」となった者が,司法修習生全体でも多くて1.06パーセントと極めて少なく,予備試験資格者で「不可」となった者は極めて少ないと容易に推認されることからすると,司法修習を終えた者の氏名が官報公告されていることなどから,司法修習生の一部の者らの間では,予備試験資格者で司法修習生考試に不合格となった者の特定が可能になる。そして,上記のとおり各科目で「不可」となった者の数が極めて少なく,予備試験資格者で「不可」となった者の数も極めて少ないと推認されることからすると,不開示部分に記載されている情報は,予備試験資格者で特定の科目につき「不可」となった者を特定することができる可能性がある情報であるという上記(2)の最高裁判所事務総長の説明は,不合理とは言い難い。そうすると,不開示部分に記載されている情報は,一体として,予備試験資格者で特定の科目で「不可」となった者を特定することができる情報として,法5条1号に相当する情報であるということができ,同号ただし書イからハまでに相当する事情は認められない。また,上記に述べたところからすれば,不開示部分については,その全てが特定の個人を識別することができることとなる部分に該当し,あるいは個人の権利利益を害するおそれのある情報であるから,取扱要綱記第3の2に定める部分開示の対象ともならない。」そうです。
5 裁判所業務に必要なサイトをまとめたホワイトリスト(平成28年度(最情)答申第7号(平成28年4月14日答申))
→ 「近時の官公庁や民間企業に対するサイバー攻撃が多発している現状に照らすと,国の機関であり,多数の個人情報を取り扱う裁判所の情報セキュリティは,厳しく守られるべき状況にあるといえ,情報セキュリティに関連する情報は十分に秘匿すべき情報であるということができるところ,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,本件存否情報は,裁判所の情報ネットワークの仕組みやサイバー攻撃のきっかけ等を推測させる情報であると認められる。」そうです。
→ 平成27年11月の「全司法新聞2229号」には,「接続制限の代替方策として、別回線でのインターネット接続を可能とする端末の増設と、業務に必要なサイトのホワイトリストへの追加を要求していくことをあわせて確認しました。」と書いてあります。
そのため,裁判所にホワイトリストが存在することは,全司法労働組合によって公表されています。
6 裁判官昇給候補者名簿の氏名,期別,昇給号報,官職名等(平成28年度(最情)答申第13号(平成28年6月3日答申))
→ 具体的に昇給する者の期別や昇給号報,その人数等の情報が含まれていることが認められるところ,そのような情報は,最高裁判所事務総長が説明するとおり,人事事務担当者等の一部の関係職員以外には知られることのない性質のものであると推測される。
7 司法修習生組別一覧表のうち,司法修習生の氏名が記載されている部分(平成28年度(最情)答申第26号(平成28年9月1日答申))
→ 司法修習生は,法5条1号ただし書ハの「公務員等」に相当する者には該当しないそうです。
8 具体的な職名,級についてどのような考え方に基づいて定数配付を行っているのかが分かる文書(平成28年度(最情)答申第30号(平成28年10月24日答申))
→ 「本件対象文書の見分の結果及び最高裁判所の職員の口頭説明の結果を総合すると,定数配布とは,級別定数の範囲内で適任者を適正に昇格させるために用いられる手法であると認められる。そして,本件対象文書の見分の結果によれば,本件対象文書には,その手法に関する事項の一部が記載されているところ,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,具体的な手法の内容は,ごく一部の職員にしか知られることのない極めて機密性の高い性質のものであり,たとえ標題だけが知られることになったとしても,裁判所の人事管理に関して無用の憶測を呼ぶなどするおそれがあるとのことであり,当該説明が不合理とはいえない。そうすると,人事管理に係る事務という公平性と機密性が要求される事務の性質上,本件対象文書に記録された情報については,標題も含めた全体について,これを公にすると,これを知った者に無用な憶測を生じさせたり,さらには,職員の適正かつ円滑な職務遂行に好ましくない影響が及ぶなどして,裁判所の人事事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」そうです。
9 最高裁判所裁判官会議議事録の本文部分の署名及び印影(平成28年度(最情)答申第36号(平成28年12月2日答申))
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