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裁判所

司法行政文書の書き方(9訂)の解説(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象資料2 結論第2 9訂の位置付けと主な改訂点1 令和6年12月の改訂2 宛名及び発信者名3 裁判所外字第3 対象となる文書と対象外の文書1 司法行政文書2 裁判事務に関する文書との区別第4 文書作成の目的と分量の決め方1 意思決定過程と事務の実績を跡付ける2 読み手が理解して行動できる文章第5 配字,文書番号及び日付1 文書の種類により配字が異なる2 文書番号と日付第6 用字用語の読み方1 複数の準則を組み合わせている2 「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」第7 弁護士実務での使い方1 裁判所から届く文書の位置付けを読む2 司法行政文書開示で対象を特定する3 弁護士の提出書面へ機械的に転用しない第8 一次資料の確認範囲第9 出典
第1 この記事の対象と結論
1 対象資料

本記事は,司法行政文書の書き方(9訂)(令和6年12月,最高裁判所事務総局秘書課)の本文を確認し,対象,改訂点及び弁護士実務での読み方を整理するものである。
あわせて,司法行政文書の書き方(9訂)も参照されたい。

2 結論

同書は,裁判所内部の司法行政事務に関する文書の作成を扱う手引である。
訴状,準備書面その他の裁判事務に関する提出書面の様式を直接定めるものではない。
そのため,裁判所へ提出する書面に当然に適用される規範としてではなく,裁判所内部の文書がどのような目的及び準則で作られているかを読む資料として位置付ける必要がある。

第2 9訂の位置付けと主な改訂点
1 令和6年12月の改訂

「司法行政文書の書き方(9訂)」は,令和4年12月の8訂から約2年後に改訂されたものである。
はしがきは,主な改訂点として,次の4点を挙げている。
①宛名及び発信者名に関する記載を現行の規範に合わせたこと
②文例の宛名及び発信者名を整理したこと
③付録から廃止通達を削除し,新しい参考通達等を加えたこと
④裁判所外字を使用しない体裁としたこと

2 宛名及び発信者名

令和6年2月22日付け最高裁秘書第395号事務総長依命通達を踏まえ,宛名及び発信者名は,法律等の規定により氏名が必要な場合又は文書の様式・内容その他の事情から氏名を記載することが相当な場合を除き,官職名のみを記載するものとされている。

氏名を記載することが相当な場合の例として,同書は,次の3つを挙げている。
①表彰状,祝辞・挨拶等の儀礼上必要なもの
②外部向けで氏名の記載を要するもの
③特に個人として責任の所在を明らかにすべきもの

「官職名だけ」という原則だけでなく,例外の類型まで読む必要がある。

3 裁判所外字

はしがきは,令和6年7月3日付けデジタル基盤管理官事務連絡が,司法行政事務でも裁判所外字の使用を控えることが望ましいとの考えを示したことを,改訂の背景として挙げている。
9訂自体も,裁判所外字を使用しない体裁とされた。

これに伴い,環境依存文字である括弧付きの数字(「(1)」等)も使用しない体裁とされたが,はしがきは,環境依存文字の使用を控えるよう推奨する趣旨ではないと明記している。
裁判所外字の扱いと,環境依存文字一般の扱いを同一視しないことが重要である。

第3 対象となる文書と対象外の文書

(続きを読む...)司法行政文書の書き方(9訂)の解説(AI作成)

司法研修所の教官担当一覧―第70期から第79期のクラス別・科目別一覧(AI作成)

第1 掲載範囲と使い方
第2 期別の掲載範囲
第3 第79期から第70期までの教官担当表

1 第79期
2 第78期
3 第77期
4 第76期
5 第75期
6 第74期
7 第73期
8 第72期
9 第71期
10 第70期

第4 関連資料
出典・参考資料

1 公文書

本記事は,各期について以下に明示した掲載対象版を文字化したものであり,同じ期のすべての改訂版を収録するものではない。
原資料の各版及び導入・集合修習時の教官組別表は教官組別表・教官担当表の原資料索引を確認されたい。教官名簿との違いや不開示通知書の理由は教官名簿・教官組別表の情報公開で説明している。

本記事は,期別の教官担当を本文で検索するための一覧である。改訂日別のPDFを探す場合は,教官担当表の原資料一覧を参照されたい。教官の職務・身分は教官の役割の記事,組織全体は司法研修所とはで確認できる。

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最高裁判所調査官の配置表(Markdown形式)(AI作成)

最高裁判所調査官の氏名と担当室を,年度別の配置資料に沿って一覧にしたものである。
本記事に掲載する最新の配置資料の基準日は令和8年4月1日であり,その後の異動を含む現在の在職状況を示すものではない。

各表は見出しに示す時点の配置を表している。
氏名等の正確な表記は,見出しからリンクした配置原資料で確認されたい。
※印の室付書記官は裁判所調査官とは区別し,複数の室に記載された同一人を人数の集計で重ねて数えないよう注意を要する。

* 「最高裁判所調査官」も参照してください。
* 「最高裁判所調査官在職中の配置転換-民事・行政間の実例(AI作成)」も参照してください。

目次

令和8年4月1日現在令和7年4月1日現在令和6年4月1日現在令和5年4月28日現在令和4年4月1日現在令和3年4月8日現在令和2年4月1日現在平成31年4月1日現在平成30年4月1日現在平成29年4月1日現在平成28年4月1日現在平成27年4月1日現在
令和8年4月1日現在

最高裁判所首席調査官の令和8年3月31日付「令和8年度における最高裁判所各調査官室の裁判所調査官の配置の変更について」の別表による。

調査官室区分・グループ氏名

首席調査官室首席福井章代
首席調査官室上席補佐渡邉隆浩
民事調査官室上席岡崎克彦
民事調査官室第一・上席補佐牧野宇周
民事調査官室第一渡邉隆浩
民事調査官室第一中井彩子
民事調査官室第一依田吉人
民事調査官室第一佐久間隆
民事調査官室第一根本宜之
民事調査官室第一※佐野香保里
民事調査官室第二・上席補佐大畠崇史
民事調査官室第二伊澤大介
民事調査官室第二安岡美香子
民事調査官室第二平山俊輔
民事調査官室第二黒田吉人

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高裁長官・地家裁所長等名簿(Markdown形式)(AI作成)

◯本ブログ記事は,人工知能の学習データとするためにAIを使ってMarkdown形式で作成したものである点で間違いを含む可能性がありますから,正確な氏名等はリンク先の名簿で確認してください。

* 「最高裁判所が作成している,高裁長官・地家裁所長等名簿」も参照してください。
令和7年7月2日現在の名簿

庁名
氏名
期
任命
定年
氏名
期
任命
定年

高等裁判所

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最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿(Markdown形式)(AI作成)

資料の時点と現在の情報
本記事は,最高裁判所が作成した名簿を参照しやすい表に整理したものです。掲載している最新の原資料は令和7年9月10日現在の名簿であり,表はその資料時点を示します。正確な氏名・職名は各表に対応する原資料で確認してください。その後の人事異動を反映した現職一覧とは区別する必要があります。

現在の局長・課長の人事は,現職の最高裁判所事務総局局長・課長の一覧を参照してください。組織と各局の役割は,最高裁判所事務総局とは―役割・組織・7局の仕事と裁判官会議との関係で説明しています。

表の転記・整理に誤りが含まれる可能性があるため,正確な氏名・職名は各表に対応する原資料で確認してください。

* 「最高裁判所が作成している,最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿」も参照してください。
令和 7年 9月10日現在の名簿

部署・分類
役職
氏名

最高裁判所長官
最高裁判所長官
今崎 幸彦

最高裁判所判事
最高裁判所判事
三浦 守

最高裁判所判事
林 道晴

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裁判官の号別在職状況の推移(Markdown形式)(AI作成)

◯本ブログ記事は,人工知能の学習データとするためにMarkdown形式で作成したものです。
◯裁判官の号別在職状況は,その裁判官のメインの身分(補職)がどこにあるかによって人数をカウントされています。
◯「裁判官の号別在職状況」も参照してください。
令和7年7月1日現在

区分
認証官
判事
判事補
簡易裁判所判事
合計

最高裁判所長官
1

1

最高裁判所判事
14

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裁判所の会計執務資料の三部作の解説(AI作成)

◯本記事は,人工知能が作成したものである。引用した法令名及び条文番号は,最高裁判所事務総局経理局が作成した各執務資料の記載に基づくが,法令は改正されることがあるため,実際の適用に当たっては最新の法令を確認されたい。

目次

第1 はじめに

1 本記事の対象と目的
2 「三部作」という呼称の根拠

第2 三部作の全体像

1 三部作を構成する3つの資料
2 三層構造という設計思想
3 共通する作成主体と基本理念

第3 第1の資料 裁判所の会計事務入門(シートで学ぶ根拠と目的)

1 資料の性格と対象読者
2 「シート」という編集形式
3 全体の構成

(1) 各係に共通する基本的事項
(2) 係別の事務

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最高裁判所の事件の概況―年別資料と審理期間・終局区分の読み方(AI作成)

目次

第1 年別の最高裁判所事件の概況第2 資料で確認できる事項と読み方1 終局区分と審理期間は別の表で確認する2 最高裁での期間と,第一審からの期間を区別する第3 月表・年表・事件一覧との使い分け第4 関連記事・出典
第1 年別の最高裁判所事件の概況

本記事で参照できるのは令和5年及び令和6年の資料である。各PDFの対象年と表の範囲を確認されたい。

令和5年,令和6年,

第2 資料で確認できる事項と読み方
1 終局区分と審理期間は別の表で確認する

令和6年の資料では,表14が民事・行政の上告・上告受理事件の終局区分を示し,表15が既済事件の平均審理期間と未済件数を示している。
棄却・不受理・取下げ等の割合と,短期間で終わった割合とは,それぞれ対象と分母を確認して読む必要がある。両者を組み合わせた割合は,別々の表からそのまま求められるものではない(令和6年の資料・PDF10~11頁・冊子9~10頁)。

2 最高裁での期間と,第一審からの期間を区別する

表18は,民事・行政の上告・上告受理事件の既済事件について,当審での平均期間と第一審受理から当審終局までの平均期間を分けている。
令和6年の表示は,それぞれ4.3か月と38.9か月である。この数値は,行政事件を除いた民事のみの平均でも,個別事件の終了期限でもない(同資料PDF13頁・冊子12頁)。
年度や対象事件が異なる数字を比較するときは,起算点,終点,対象事件及び並行申立ての計数方法を確認する必要がある。

第3 月表・年表・事件一覧との使い分け
資料主に確認する事項参照記事事件の概況年ごとの件数,終局区分,割合,平均期間と図表による説明本記事のPDF事件月表月ごとの新受・既済・未済,期間別の件数最高裁判所事件月表事件統計年表年別の詳細表,対象範囲の凡例,並行申立て等の注記最高裁判所事件統計年表既済事件一覧表掲載された既済事件ごとの記載既済事件一覧表(民事)

1件の民事事件の進行を確認することと,統計資料で全体の傾向を調べることとは別である。既済一覧表も,事件番号等の非公開部分があるため,個別判決本文を全て確認できる資料ではない。

第4 関連記事・出典

本記事の「事件の概況」は,最高裁判所の事件についての資料である。
全国の裁判所の年別・編別の統計を調べる場合は,司法統計年報の探し方と読み方から,対象事件,裁判所,単位及び更新版を確認されたい。

民事上告・上告受理申立ての平均期間,6か月以内の終局割合,起算点と集計範囲は,民事上告・上告受理申立ては何か月かかる?最高裁の審理期間と統計の読み方(AI作成)で説明している。

以下の記事も参照されたい。

・ 最高裁判所が作成している事件数データ
・ 裁判統計報告
・ 最高裁の既済事件一覧表(民事)
・ 最高裁判所事件月表(令和元年5月以降)
・ 政策担当秘書関係の文書
→ ①公職選挙法違反の統計報告について,及び②控訴審において終局した,公職選挙法違反事件の罪名,裁判所名,事件番号,終局裁判の日も掲載しています。
・ 被告人の保釈
→ 被告人の保釈に関する統計も掲載しています。

司法研修所の概算要求書単価表

司法研修所の概算要求書単価表を以下のとおり掲載しています。

令和3年度,令和4年度,令和5年度,
令和6年度,令和7年度,令和8年度,

最高裁判所の概算要求書(説明資料)の全体は,「最高裁判所の概算要求書(説明資料)」に掲載しています。

最高裁判所の調停事件統計資料

最高裁判所の調停事件統計資料を以下のとおり掲載しています。

(令和時代)
令和 元年度,令和 2年度,令和 3年度,
令和 4年度,令和 5年度,令和 6年度,

(平成時代)
平成28年度,平成29年度,平成30年度,

令和2年度調停事件統計資料1/4を添付しています。 pic.twitter.com/4oGsAHAl1m

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) November 20, 2021

裁判官の号別在職状況から分かること・分からないこと―配置定員・現在員・号俸・事件負担の区別(AI作成)

第1 結論と記事の読み方
第2 号別在職状況から確認できること
第3 四つの数字を区別すること
第4 号別人数から直ちに分からないこと
第5 採用・昇任・事件負担を検討する追加資料
第6 人口減少・予算・デジタル化との関係
第7 出典と検証上の限界
第8 裁判官の実数の推移(サマリー)

本記事は,裁判官の号別在職状況その他の公開資料から確認できる数字と,その数字だけでは確認できない評価を分けて整理する。従前の記事にあった実在組織を模したAIの発言は,取材又は内部資料に基づくものではなく,AIが作成した架空の会話であったため,全部撤去した。

第1 結論と記事の読み方

号別在職状況は,ある時点で各号に何人が在職しているかを示す資料である。各号の人数やその推移は,裁判官組織の構成を考える入口になる。

しかし,号別人数だけから,採用難,若手の流出,昇任の停滞,合議体の維持困難,個別庁の過重負担又は財務当局の人員削減要求を認定することはできない。これらを評価するには,採用・退官・昇任の時系列,裁判所別の配置定員と現在員,事件数,審理期間,合議事件数,欠員及び予算折衝資料などを追加確認する必要がある。

第2 号別在職状況から確認できること

公開された各時点の表を同じ区分で比較すれば,裁判官,判事補及び簡易裁判所判事の総数と号別人数の増減を確認できる。後掲の表は,元資料の数値を要約したものである。

もっとも,二時点の在職者数はストックの比較である。期間中の新規採用者,退官者,昇任者及び職種間の異動というフローを直接示すものではない。

第3 四つの数字を区別すること
1 法定定員

法律によって定められた全国の定員であり,個別の裁判所に実際に配置される人数と同じではない。

2 配置定員

最高裁判所事務総長通達等により各裁判所へ割り当てられる枠である。法定定員,現在員及び事件担当者数とは区別する必要がある。

3 現在員

特定時点で実際に在職する人数である。欠員,休職,兼務及び発令時期によって配置定員と一致しない場合がある。

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長官所長会同資料から見る裁判所組織運営の課題―現場負担・意思疎通・デジタル化(AI作成)

第1 この記事の対象と資料の読み方

1 令和元年度から令和8年度までの会同資料

2 長官所長会同の法的位置付け

3 意見要旨が示すものと示さないもの

第2 複数年度に現れた組織運営上の課題

1 目的及び終了条件が曖昧な「取組」

2 上席裁判官に集中する会議及び管理負担

3 現場との意思疎通及び情報の循環

4 デジタル化に伴う情報過多と新たな業務設計

第3 資料から直ちに導くことができない評価

1 全ての負担を事務総局に帰属させることはできないこと

2 意見要旨だけでは悪化又は改善の推移を測れないこと

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裁判官以外の裁判所職員の級別定数に関する最高裁判所事務総局の本音の説明(AI作成)

目次第1 級別定数を読むための前提1 級別定数とは何か2 法律定員,予算定員,級別定数及び現在員の違い3 本記事で用いる資料と限界第2 令和7年度の級別定数から確認できること1 下級裁判所の書記官2 家庭裁判所調査官,速記官及び医療職3 最高裁判所と下級裁判所の比較第3 昇格発令数,資格及び年齢構成の読み方1 令和5年の昇格発令数2 書記官資格と管理職3 年齢構成と再任用第4 定員合理化及び予算との関係1 政府の合理化計画との関係2 現在員及び欠員3 令和7年度予算第5 級別定数資料から実務上確認すべき事項1 昇格の停滞を検証する資料2 組織配置を検証する資料3 資料に基づく「本音」の位置付け第6 出典・関連資料1 法令及び公的資料2 開示資料及び当ブログの関連資料3 判例秘書その他の裁判例データベース
第1 級別定数を読むための前提
1 級別定数とは何か

級別定数表は,各年度の予算定員を基礎として,組織別,俸給表別,職名別及び職務の級別に定数の内訳を定めた文書である。

令和4年度(最情)答申第32号は,級別定数表が予算定員の範囲内で毎年度作成されること,職名が個別具体的な官職ではなく複数の官職を総称する場合があることを説明している。

2 法律定員,予算定員,級別定数及び現在員の違い

裁判所職員定員法が定める員数は法律定員であり,年度予算に計上される予算定員,職務の級ごとの枠である級別定数,現に在職する人数である現在員とは一致しないことがある。

裁判所職員臨時措置法は,裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員について一般職の国家公務員に関する法律を準用し,「内閣総理大臣」等を「最高裁判所」と読み替えている。

級別定数の設定権限が最高裁判所にあることと,その設定が予算の範囲内で行われることは両立する。

3 本記事で用いる資料と限界

本記事は,級別定数の改定に関する文書に掲載された平成27年度から令和7年度までの資料,令和5年4月期及び10月期の昇格発令数,年齢構成その他の開示資料,予算資料並びに国会会議録を用いる。

令和8年度資料の補足
令和8年4月1日から適用される令和8年度の級別定数の改定について(最高裁判所)は,常勤職員と再任用短時間勤務職員を分け,それぞれ最高裁判所・下級裁判所の表を掲載している(PDF2~5頁)。常勤の行政職(一)は最高裁判所1069人,下級裁判所20063人で,合計21132人である。各表は年度末の人員を記載すると注記しており,現在員や各庁の欠員を示す表ではない。

再任用短時間勤務職員の定数は,最高裁判所の行政職(一)1人・行政職(二)2人と,下級裁判所の行政職(一)197人・行政職(二)3人・医療職(三)1人を合算すると204人となる。下級裁判所の行政職(一)197人のうち〈92〉は暫定再任用短時間勤務職員の内数であり,別に加算しない。短時間勤務の定数を常勤の定数と単純に合算して常勤換算の人員とすることもできない。

以下の第2・第3で令和7年度と明記した数値は,当該年度の資料についての説明である。令和8年度の官職別・級別の整理は,指定職を除く裁判所職員の級別定数も参照されたい。

級別定数表は枠を,昇格発令数は特定時期の実績を,年齢構成表は基準日における年齢別の人数又は割合を示す資料であり,それぞれ分母と基準日が異なる。

これらを組み合わせても,個々の職員の昇格可能性,選考理由又は最高裁判所事務総局の内部意思を直接確認できるわけではない。

第2 令和7年度の級別定数から確認できること
1 下級裁判所の書記官
(1) 平成27年度と令和7年度の比較

下級裁判所の書記官について,7級以上の定数は平成27年度の合計129人から令和7年度の合計137人へ増えた一方,6級は835人から810人へ,5級は3242人から3201人へ減った。

この比較は,職務の級ごとの枠の増減を示すものであり,各級の充足数又は昇格候補者数を示すものではない。

(2) 6級定数の減少から分からないこと

6級定数が25人減ったことから,中間的な上位級の枠が縮小したことは確認できる。

他方,一人の管理職が担当する職員数,管理職の負担又は5級から6級への実際の昇格率は,組織別の配置,欠員,昇格候補者数及び複数年の発令実績を確認しなければ分からない。

2 家庭裁判所調査官,速記官及び医療職
(1) 家庭裁判所調査官の級別構成

令和7年度の下級裁判所の家庭裁判所調査官は,6級以上が合計82人,5級が454人,1級から4級までが合計908人である。

5級の定数が相対的に多いことは確認できるが,そのことだけから,5級で昇格が止まる者の人数,職員の満足度又は管理職への志望状況を判断することはできない。

(2) 速記官及び医療職の推移

下級裁判所の速記官は,平成27年度の主任速記官126人及び速記官99人の合計225人から,令和7年度の主任速記官126人及び速記官64人の合計190人へ減った。

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下級裁判所の裁判官の配置定員(令和7年4月)―平成28年との比較と現在員との違い(AIリライト)

目次第1 この記事が扱う資料第2 配置定員表の読み方1 法定員,配置定員及び現在員の違い2 基礎定員と付加定員3 配置定員と事件処理体制第3 平成28年と令和7年の数値比較1 東京地裁,東京家裁及び立川支部2 札幌地裁本庁及び札幌家裁本庁3 小田原支部及び龍ケ崎支部第4 「その他の判事補」と大規模庁への配置1 「その他の判事補」の意味2 東京地裁55人と四国4県本庁9人3 配置定員より先に問題となる判事補の欠員第5 小規模庁と総合配置1 総合配置は管轄権の共有ではない2 地域司法アクセスは別のデータで確認する第6 家庭裁判所及び裁判官以外の職員1 東京家裁の増員と家裁調査官の体制2 裁判所書記官等の体制第7 配置定員表を実務で使うための資料の順序第8 出典・参考資料1 法令・通達2 公的資料3 文献
第1 この記事が扱う資料

令和7年3月28日付最高裁判所事務総長通達は,令和7年4月1日以降の下級裁判所裁判官の配置定員を,高等裁判所,地方裁判所,家庭裁判所,支部及び簡易裁判所ごとに示している。本記事では,「下級裁判所の裁判官の定員配置」に掲載している平成28年通達と令和7年通達の原表を照合し,東京地裁・東京家裁・立川支部及び札幌地家裁管内を中心に,9年間の変化を整理するものである。

配置定員表から直接確認できるのは,各庁に設定された定員枠である。そこから,実際に勤務する人数,個々の裁判官の担当,事件数,審理期間又は裁判官・書記官等の負担感を直ちに読み取ることはできない。本記事は,通達から確認できる数値と,別の資料を確認しなければ分からない事項を区別するため,生成AIを用いて原表の数値を再計算し,法令,裁判所公表資料及び国会会議録と照合した。

なお,本記事は平成28年と令和7年の配置表を比較するものである。
令和8年3月24日付通達(4月1日実施)の別表については,東京・大阪・札幌の内訳と令和7年との比較で別に整理した。
配置定員,法定員及び現在員は,それぞれ対象と基準日を区別する必要がある。

第2 配置定員表の読み方
1 法定員,配置定員及び現在員の違い

裁判所職員定員法1条は,令和8年8月9日現在,下級裁判所の裁判官について,高等裁判所長官8人,判事2155人,判事補842人及び簡易裁判所判事806人という全国の法定員を定めている。これに対し,配置定員通達は,全国の定員枠を個々の高裁・地裁・家裁・支部・簡裁へ配分する司法行政上の資料であり,現在員は,ある時点で実際に在職している人数である。

令和7年3月14日の衆議院法務委員会における最高裁判所の説明によれば,定員案は最高裁判所事務総局が立案し,最高裁判所裁判官会議の議決により決定される。財務省とは定員合理化について意見交換をするものの,裁判所は政府の定員合理化計画に直ちに拘束されず,自主的・自律的に判断すると説明されている。したがって,配置定員を単なる「予算上の枠」とだけ説明するのは十分でない。

裁判官増員の経緯について,泉徳治ほか『一歩前へ出る司法』122頁~130頁は,判事補を平成9年及び平成10年に各20人,平成12年に70人増員した当時の経緯を,財政当局との折衝,採用,養成及び施設整備の制約と併せて説明している。この回顧は,裁判官の定員を増やす場合にも採用・養成・施設等を一体として考える必要があることを示すが,令和7年の個別庁の配置理由を直接証明する資料ではない。

また,最高裁判所が平成14年7月現在の人事概況として公表した説明は,裁判官の一部が最高裁判所調査官,事務総局の局課長・局付及び研修所教官等に充てられ,その余が配置定員に従って下級裁判所に配置されるとしている。この説明によれば,中央勤務に充てる人員と下級裁判所の配置定員は区別されており,東京地裁の配置定員に最高裁判所事務総局勤務者や司法研修所教官の人数が当然に含まれると理解すべきではない。

2 基礎定員と付加定員

平成27年3月26日付最高裁判所事務総長依命通達は,付加定員を「未済事件の累積,特殊事件の係属その他の一時的な事由に基づき,暫定的に配置する定員」と定義する。これに対する基礎定員は,一時的な事由によらない基本部分と読むことができる。

もっとも,個々の付加定員について,どの未済事件,特殊事件又は政策課題を理由に何人を付したのかは,定員表自体には記載されていない。例えば,東京地裁の判事・職権特例判事補の付加定員が平成28年の13人から令和7年の26人へ増えたことは確認できるが,この増加だけから,特定の事件の滞留,勤務負担又は異動の困難さを認定することはできない。

3 配置定員と事件処理体制

同じ配置定員であっても,採用・退官・出向等により現在員は変動する。また,裁判官の担当部・係,事務分配,職務代行及び合議体の構成は,配置定員表とは別の資料で確認する必要がある。実際の担当は各裁判所の担当裁判官一覧で,事件数及び審理期間は司法統計又は裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)で確認するのが適切である。

第3 平成28年と令和7年の数値比較

次の「総数」は,判事・職権特例判事補の基礎定員と付加定員,その他の判事補の基礎定員と付加定員を合算した数値である。平成28年通達はPDF実頁4頁及び48頁,令和7年通達はPDF実頁3頁及び99頁の原表により照合した。

庁・区分平成28年令和7年増減東京地裁本庁・判事及び職権特例判事補の基礎定員232人243人+11人東京地裁本庁・同付加定員13人26人+13人東京地裁本庁・その他の判事補58人55人-3人東京地裁本庁・裁判官総数303人324人+21人東京家裁本庁・判事及び職権特例判事補の基礎定員31人36人+5人東京家裁本庁・裁判官総数33人42人+9人立川支部・裁判官総数42人43人+1人札幌地裁本庁・裁判官総数37人34人-3人札幌家裁本庁・裁判官総数8人11人+3人札幌地家裁管内・裁判官総数53人53人0人
1 東京地裁,東京家裁及び立川支部

東京地裁本庁では,判事・職権特例判事補の基礎定員が232人から243人へ11人増え,同付加定員が13人から26人へ13人増えた。他方,その他の判事補は58人から55人へ3人減っており,裁判官総数は303人から324人への21人増である。基礎定員の増加だけを取り出すよりも,付加定員及びその他の判事補を含めた全体を示す方が,通達の変化を正確に表す。

東京家裁本庁では,判事・職権特例判事補の基礎定員だけを比べると31人から36人への5人増である。しかし,令和7年には同付加定員5人及びその他の判事補1人があるため,裁判官総数は33人から42人へ9人増えている。立川支部の総数は42人から43人へ1人増である。

2 札幌地裁本庁及び札幌家裁本庁

札幌地裁本庁では,判事・職権特例判事補の基礎定員が25人から24人へ1人減り,その他の判事補も9人から7人へ2人減ったため,総数は37人から34人へ3人減った。他方,札幌家裁本庁は8人から11人へ3人増えており,札幌地家裁管内の裁判官総数は平成28年も令和7年も53人である。

この比較から確認できるのは,管内総数を維持しながら地裁本庁から家裁本庁へ3人分の定員が移った形になっていることである。札幌地裁本庁の合議体が実際に不足しているか,審理期間が延びたかを判断するには,現在員,事務分配,合議事件数,職務代行及び審理期間を確認する必要があり,配置定員の3人減だけでは結論を出せない。

3 小田原支部及び龍ケ崎支部

令和7年通達では,小田原支部の判事・職権特例判事補が10人,龍ケ崎支部が2人とされている。しかし,10人であれば複雑事件を迅速に処理でき,2人であれば本庁の応援待ちで長期化する,という関係は定員表からは導けない。例えば,横浜地裁の担当裁判官一覧は小田原支部の民事・刑事の合議係と単独係を,水戸地裁の担当裁判官一覧は龍ケ崎支部の実際の担当を示しており,配置定員とは別に確認する必要がある。

第4 「その他の判事補」と大規模庁への配置

(続きを読む...)下級裁判所の裁判官の配置定員(令和7年4月)―平成28年との比較と現在員との違い(AIリライト)

下級裁判所の裁判官の配置定員―平成28年度・令和7年度を読む架空座談会(AIリライト)

第1 この座談会の読み方

1 公開資料を題材にした架空の対話
2 比較する資料と年度

第2 配置定員表を読むための四つの区別

1 法定定員,配置定員,現在員及び事件担当者
2 基礎定員,付加定員及びその他の判事補
3 配置定員を決める過程

第3 平成28年度と令和7年度の同一カテゴリ比較

1 東京高裁,東京地家裁及び立川支部
2 配置枠の増減から直ちに分からないこと

第4 東京地裁の専門事件と付加定員

1 事件数と審理期間を分けて見ること
2 付加定員の理由を個別に推測しないこと

第5 立川支部,特例判事補及び転所

1 立川支部の行は地裁・家裁の合算

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令和8年最高裁判所長官「新年のことば」を読む―民事裁判のデジタル化,家族法改正とAI(AIリライト)

第1 「新年のことば」の位置付け1 裁判所職員向け広報誌の転載であること2 「想定外の事象」を述べた部分の読み方第2 令和8年前後に重なった制度移行1 民事訴訟手続のフェーズ32 刑事手続及び少年審判手続3 家族法改正第3 民事訴訟のデジタル化が実務に及ぼす影響1 オンライン申立てと新旧事件の併存2 システム送達と障害時の対応3 予算資料から分かることと分からないこと第4 家族法改正と家庭裁判所の負担1 共同親権と単独親権の選択2 家庭裁判所調査官の関与3 人的・物的基盤をめぐる問題第5 家事調停委員の高齢化と人材確保1 確認できる統計2 「ボランティア」ではないこと第6 従前の記事から訂正した点1 公表資料で裏付けられる問題意識2 公表資料で確認できない事実3 職名及び制度説明の訂正第7 裁判所におけるAI利用と本記事の限界1 最高裁判所長官の令和8年5月会見2 AIによる架空発言を記事に用いる場合の限界出典・参考資料1 法令2 裁判所・法務省等の公表資料3 弁護士会資料4 文献
第1 「新年のことば」の位置付け
1 裁判所職員向け広報誌の転載であること

令和8年1月に公表された「新年のことば」は,裁判所内の広報誌に掲載された裁判所職員向けの文章を,裁判所ウェブサイトに転載したものである。発信者は今崎幸彦最高裁判所長官であり,令和8年に集中する制度移行を前に,準備,組織運営及び職場環境について裁判所職員に呼び掛けた文章と位置付けるのが相当である。

したがって,この文章は,裁判官,裁判所書記官,家庭裁判所調査官又は調停委員の個別の発言を収録したものではなく,内部告発や実態調査でもない。従前の記事に掲載していた一人称の発言は,実在する関係者の発言又は内心ではなく,AIが作成した架空のモノローグであったため,本リライトでは公表資料によって確認できる事実と評価を明確に区別する。

2 「想定外の事象」を述べた部分の読み方

新年のことばは,大規模なシステム開発と情報通信基盤の刷新を同時並行で進める中で,想定外の事象の発生を完全になくすことは困難であると率直に認めている。ただし,その直後には,情報をできる限り早期かつ幅広く共有し,職員が一体となって取り組める環境を整える必要があるとも記載されている。

この記載は,制度移行にリスクがあることを認識した組織運営上のメッセージと読むことができる。他方で,これだけから,最高裁判所事務総局が現場支援を拒否した,障害対応を個々の職員に丸投げした,又は失敗の責任を現場だけに負わせたと認定することはできない。

第2 令和8年前後に重なった制度移行
1 民事訴訟手続のフェーズ3

令和8年5月21日,改正民事訴訟法及び改正民事訴訟規則が全面施行され,オンライン申立て,訴訟記録の電子化,インターネットによる送達等を含む民事訴訟手続のフェーズ3が始まった。新年のことばが公表された時点では施行準備中であったが,本記事のリライト時点である令和8年8月9日には既に運用段階に入っている。

もっとも,令和8年5月21日の対象は民事訴訟を中心とする手続であり,民事執行,倒産,労働審判,非訟,人事訴訟及び家事事件のオンライン申立て等は対象外である。これらの手続は令和10年6月までのデジタル化が予定されているため,「全ての裁判手続が同日に同じシステムへ移行した」と理解してはならない。

2 刑事手続及び少年審判手続

新年のことばは,刑事訴訟手続及び令状のデジタル化に関する規定が令和9年3月までに施行されることにも触れている。少年審判手続については,刑事手続のデジタル化の検討状況と少年審判手続の特質を踏まえ,デジタル化後の在り方を検討する必要があるとされた。

したがって,新年のことばが扱うのは民事訴訟だけではなく,数年にわたり順次進む裁判手続全体の移行である。この時間軸を押さえると,令和8年に必要とされたのが単発のシステム導入ではなく,新旧の手続を併存させながら業務を再設計する作業であったことが分かる。

3 家族法改正

令和8年4月1日には,父母の離婚後等の子の養育に関する令和6年法律第33号が施行された。離婚後の父母双方を親権者と定めることを可能にする制度のほか,養育費,親子交流,養子縁組及び財産分与等について広範な見直しが行われた。

新年のことばは,家庭裁判所が担う役割の重さに加え,調停に新たな協議事項や手続が加わること,期日間隔の短縮を含む調停運営の改善が必要であることを指摘している。民事訴訟のデジタル化と家族法改正は同一の制度ではないが,全国の裁判所が短期間に複数の大きな制度変更へ対応したという点で共通する。

第3 民事訴訟のデジタル化が実務に及ぼす影響
1 オンライン申立てと新旧事件の併存

改正民事訴訟法132条の10により,裁判所のシステムを利用したオンライン申立てが可能となり,同法132条の11により,委任を受けた訴訟代理人等は原則としてオンラインで申立て等をしなければならない。令和8年5月20日以前に提起された事件には旧手続が残るため,裁判所と法律事務所の双方で新旧事件の運用を区別する必要がある。

また,オンライン化は紙の文書を単にPDFへ置き換える作業ではない。利用者登録,提出権限,ファイル形式,手数料納付,送達,記録の閲覧及びダウンロード,補助者の権限管理までを含む業務設計の問題である。具体的な提出実務については,mints(ミンツ)とは―料金・対象事件・登録・ログイン・提出・送達の実務Q&A及びmints後の証拠説明書も参照されたい。

2 システム送達と障害時の対応

裁判所の説明によれば,システム送達の効力は,対象文書の閲覧時,ダウンロード時,又は閲覧等が可能になった旨の通知発出から1週間を経過した時のうち,最も早い時に生じる。東京弁護士会の実務資料は,補助者を含むアカウント利用者の閲覧と期限管理が結び付くことを踏まえ,メールの振り分け,担当者の指定及び不在時の代替確認を事務所内で整える必要性を指摘している。

裁判所側の電子計算機の故障その他の責めに帰することができない事由がある場合には,民事訴訟法132条の11第3項及び民事訴訟規則52条の14に基づく書面提出の例外が問題となる。障害が発生した場合は,裁判所が公表する稼働状況,提出先裁判所への連絡,期限及び代替提出の要件を個別に確認すべきであり,システム停止が直ちに判決の無効,上訴又は再審をもたらすわけではない。

3 予算資料から分かることと分からないこと

最高裁判所の令和8年度概算要求説明資料には,電子申立て,電子事件管理,電子記録管理,AI-OCR,ウェブ会議支援及び電子署名関係ソフト等の経費が計上されている。これは,デジタル化にシステムの運用維持と利用支援が必要であることを示すが,予算計上それ自体から,システムが破綻する,又は最高裁判所事務総局が技術的に制御できないと結論付けることはできない。

裁判所が開発してきたシステムの経緯については,mints,RoootS及びTreeeSに関する記事を参照されたい。また,年度別資料の所在は,最高裁判所の概算要求書にまとめている。予算資料を読む際は,要求の目的,対象年度,システムの役割及び運用開始後に公表された情報を分け,支出額に評価を代替させないことが重要である。

第4 家族法改正と家庭裁判所の負担
1 共同親権と単独親権の選択

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最高裁庁舎の令和7年夏季節電・冷房運転方針――原文書と執務環境からの検証(AIリライト)

第1 検証の結論

1 令和7年6月24日付文書の読み方
2 安全性を評価するために不足している情報

第2 令和7年夏季の節電・冷房運転方針

1 節電方針が対象とした事項
2 28度は設定温度ではなく実際の室温の目安であること
3 運転期間,通常運転及び例外運転
4 文書だけでは分からない事項

第3 室温28度と職場環境に関する基準

1 「28度」の正確な位置付け
2 裁判所職員に関する法令・規程の構造
3 法的評価に必要な事実

第4 最高裁庁舎の建物特性と冷房運用

1 公開資料から確認できる建物の概要
2 蓄熱と予冷は建物ごとの検証課題であること
3 窓開け換気の評価

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77期新任判事補研修における「令状実務の留意点」に対するAI裁判官の回答,AI弁護人の準抗告申立書及びAI裁判所の決定(AIリライト)

◯ 本記事は、77期新任判事補研修の「令状事務の留意点」設問を素材として、AIが裁判官、弁護人及び準抗告裁判所の立場から検討例を作成したものである。

◯ 以下の回答、準抗告申立書及び決定は、実在の裁判官、弁護人又は裁判所が作成したものではない。

◯ 本記事は、令和8年8月21日現在の法令及び裁判例に基づく。

◯ 令和8年5月21日に電磁的記録提供命令に関する改正刑訴法が施行されたため、それ以前の令状執務資料は、現行法と抵触しない範囲で沿革資料として参照する必要がある。

第1 本記事で扱う設問と判断の前提
1 設問1

設問1は、捜索差押許可状において、捜索すべき場所を「○○ホテル内のA室、B室その他差し押さえるべき物件が存在すると思料される場所」と記載し、差し押さえるべき物を「覚醒剤、注射器その他本件に関連すると思料される一切の物」と記載することの可否を問うものである。

場所の特定と物件の特定は、同じ結論になるとは限らない。

2 設問2

設問2は、被疑者が17歳の被害者のスカート内をスマートフォンで撮影しようとし、犯行発覚後に同端末を地面にたたき付けて損壊させたとされる事案について、勾留の可否及び被害者の個人特定事項の取扱いを問うものである。

公開記事から確認できる事実は限られている。

そこで、本記事では、端末破壊以外に、未収集証拠、別端末、クラウドアカウント、共犯者、画像共有先又は被害者への具体的接触可能性を示す資料が提出されていない場合を基本的な前提とする。

そのような資料が実際の記録に存在する場合、勾留に関する結論は変わり得る。

3 令和8年改正後の三つの制度

デジタル証拠を扱う場合、少なくとも次の制度を区別する必要がある。

①刑訴法218条2項及び219条2項に基づき、差し押さえる電子計算機から電気通信回線で接続された記録媒体にアクセスし、令状で特定された範囲の電磁的記録を差押端末等に複写する処分

②刑訴法218条1項及び219条1項に基づき、電磁的記録の保管者又は利用権限者に、特定された電磁的記録を指定された方法で提供するよう命ずる電磁的記録提供命令

③刑訴法197条3項及び4項に基づき、差押え又は電磁的記録提供命令に備えて、通信履歴の電磁的記録を消去しないよう求める保全要請

電磁的記録提供命令は、旧記録命令付差押えの単なる改称ではない。

令和8年3月23日付け法務省刑事局長依命通達は、これを新たな強制処分と明記している。

第2 設問1に対するAI裁判官の回答
1 結論

捜索場所について、「A室、B室」に続けて、同じホテル内の「その他差し押さえるべき物件が存在すると思料される場所」を加えることは認めるべきでない。

どの場所を捜索するかの決定を執行時の捜査官に委ね、独立した管理権を有する第三者の客室等に捜索範囲を広げるおそれがあるからである。

これに対し、差し押さえるべき物を「覚醒剤、注射器その他本件に関連すると思料される一切の物」と記載することが、文言だけから当然に違法になるわけではない。

令状記載全体から、「本件」が何を指すか、例示された物の種類と被疑事実の関係及び対象範囲を客観的に画定できるかを審査すべきである。

もっとも、対象の外延が事実上無限定となる場合は、より具体的な例示又は種類による限定を求める必要がある。

2 捜索すべき場所
(1) 令状による事前審査

刑事訴訟法219条1項は、捜索差押許可状に捜索すべき場所等を記載することを求めている。

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最高裁判所庁舎の冷房運転等に関する文書

1 最高裁判所庁舎の冷房運転に関する文書(令和5年度以降)
・ 最高裁判所庁舎の冷房運転の運用について(令和7年6月24日付)
・ 最高裁判所庁舎の冷房運転の運用について(令和6年6月25日付の文書)
・ 最高裁判所庁舎の冷房運転の運用について(令和5年6月21日付の文書)

2 最高裁判所庁舎の夏季の節電等に関する文書(令和5年度以降)
・ 最高裁判所庁舎における夏季の節電について(令和7年6月24日付の最高裁経理局管理課の文書)
・ 最高裁判所庁舎における夏季の節電について(令和6年7月29日付の最高裁経理局管理課の文書)
・ 最高裁判所庁舎における夏季の節電について(令和5年6月21日付の最高裁判所経理局管理課の文書)

3 令和4年度以前の文書
・ 最高裁判所庁舎における夏季の節電及び冷房運転に関する文書(令和4年7月5日付の文書)
・ 最高裁判所庁舎における夏季の省エネルギーの取組について(令和3年6月17日付の最高裁判所経理局管理課課長補佐の事務連絡)

4 関連記事その他
(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 最高裁判所庁舎の敷地において,小型無人機等の飛行禁止区域が分かる図面(平成29年10月31日付の開示文書)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所庁舎
・ (AI作成)最高裁庁舎の令和7年6月24日付の夏季の節電方針に関するAI専門家の論評
・ 最高裁判所裁判官及び事務総局の各局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと等

PC中の古いファイルを整理していたらネットで拾った詠み人知らずの「社畜かるた」なるテキストファイルが出てきた。
約十年前の作品なのに、今見ても輝きを失っていない=日本の組織文化が変わっていない事を再認識させてくれる素敵な作品です。
折角の機会なので、皆様もお楽しみ下さい。

— 霞が関一般職 (@NonCareer55) November 3, 2021

最高裁判所事件統計年表―年度別資料と月表・事件の概況の使い分け(AI作成)

目次

第1 最高裁判所事件統計年表の掲載資料第2 版の年度と,統計の対象年を区別する第3 対象事件,内数及び期間区分の読み方1 「民事」に含まれる事件を確認する2 並行申立ての調整前と調整後を混同しない3 既済の期間と未済の経過期間を区別する第4 他の統計資料との使い分け・出典
第1 最高裁判所事件統計年表の掲載資料

令和5年度版・令和6年度版の資料を掲載する。版の年度と統計の対象期間は,その版の凡例による。

令和5年度,令和6年度,

第2 版の年度と,統計の対象年を区別する

令和6年度版の凡例は,年次について断りのない表を令和6年に関する統計とし,令和6年の数値を全て速報値としている。
したがって,「令和6年度」という資料名だけから,全ての表を令和6年4月から令和7年3月までの集計と決めつけることはできない。資料の版と,表が対象とする期間を分けて確認する必要がある(令和6年度版の凡例・PDF2頁)。

第3 対象事件,内数及び期間区分の読み方
1 「民事」に含まれる事件を確認する

令和6年度版の凡例は,特に断りのない限り,民事事件に行政事件を含め,民事上告事件に特別上告事件を含めるとしている。
表の数値は原則として件数であるが,刑事の表には人員の集計がある。表の題名,単位及び個別の注記まで確認する必要がある。

2 並行申立ての調整前と調整後を混同しない

第11表は,民事上告・上告受理事件の審理期間別既済件数を示す。年度別の上段は上告と上告受理の合計事件数,下段は並行申立てを1件として計上し直した件数である。
令和6年は上段5234件,下段3223件であり,違いは計数方法による。括弧内の並行申立て事件や受理決定のあった事件の件数は内数である(同年表PDF18頁・冊子11頁)。
分母とする総数と,期間別の件数は同じ段・同じ区分から取る必要がある。

3 既済の期間と未済の経過期間を区別する

第11表は既済事件,第12表は未済事件の期間別件数である。
既済は受付から終局までの期間を読み,未済はその時点でなお終了していない事件の経過期間を読む。未済の期間を,終局までの残り時間と読み替えることはできない。
また,2月以内・3月以内・6月以内等の欄は期間別の区分であり,6か月以内の合計を求める場合は,それ以前の区分も加える(同年表PDF18~19頁)。

第4 他の統計資料との使い分け・出典

本記事の最高裁判所事件統計年表と,全国の裁判所の事件を編別に収録した司法統計年報は,異なる資料である。
公表年報の年別・編別の入口,件数・人員及び更新版の確認方法は,司法統計年報の探し方と読み方を参照されたい。

民事上告・上告受理申立ての平均期間,6か月以内の終局割合,起算点と集計範囲は,民事上告・上告受理申立ては何か月かかる?最高裁の審理期間と統計の読み方(AI作成)で説明している。

月別の動きは最高裁判所事件月表,年ごとの図表と説明は最高裁判所の事件の概況,個別の既済事件の記載は既済事件一覧表(民事)を参照されたい。
全国の裁判所の統計を調べる場合は,裁判統計報告及び最高裁判所が作成している事件数データも参照できる。
本記事の凡例・表番号の説明は,令和6年度版のPDF2頁,18頁及び19頁による。他の版を用いる際は,その版の凡例を確認する必要がある。

「裁判統計報告」も参照してください。

令和8年度概算要求に基づく,裁判手続のデジタル化-要求額,令和8年度予算及び令和9年度概算要求(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象,調査の基準日及び資料2 結論第2 裁判手続等のデジタル化関係経費の規模1 概算要求額と令和8年度予算額2 補正予算と令和9年度概算要求3 「削られた」と書けない理由第3 民事訴訟手続のデジタル化1 フェーズ1からフェーズ3まで2 令和8年度概算要求の内容3 mintsに係る経費第4 民事非訟・家事事件手続のデジタル化1 対象となる手続と時期2 「対象外」には例外がある3 令和8年度概算要求の内容第5 刑事手続及び少年手続のデジタル化1 令和7年法律第39号の施行段階2 システムの設計・開発と工程監理3 法廷等用周辺機器,端末及びUSBメモリ4 セキュリティ対策と閉域網5 システムの公表名称と導入時期第6 情報通信基盤の再構築と情報セキュリティ1 次期共通基盤2 次世代高度通信基盤3 J・NETその他の経費4 情報セキュリティ対策第7 その他のデジタル関連施策1 保釈中の被告人への位置測定端末2 検察審査会の審査申立てのオンライン化3 総合コミュニケーションツールと裁判所ウェブサイト4 個別の業務用システム第8 弁護士実務への影響1 民事訴訟2 民事執行3 刑事第9 概算要求書を読むときの注意第10 関連記事第11 出典1 法令2 最高裁判所の概算要求書(説明資料)3 裁判所が公表した予算資料4 調達資料5 裁判所の運用案内6 財務省の公表資料及び予算書
第1 この記事の対象と結論
1 対象,調査の基準日及び資料

この記事は,最高裁判所が財務省に対して説明するために作成した令和8年度概算要求書(説明資料)(624頁)のうち,裁判手続等のデジタル化に関する部分を,分野別に要求額を示して整理するものである。
併せて,令和8年4月7日に成立した令和8年度予算,令和7年度補正予算(第1号)及び令和8年8月に公表された令和9年度概算要求と対比する。

調査の基準日は令和8年9月20日である。
資料の対象期間は令和7年度予算から令和9年度概算要求までであり,法令の適用時点は同日現在である。

令和9年度の個別経費については,令和8年10月21日に確認した最高裁判所の令和9年度概算要求書(説明資料)に基づく補足を加えている。
以下で「令和9年度説明資料」と呼ぶのはこの620頁のPDFであり,同資料の印刷頁に2頁を加えたものがPDF上の頁である。
令和9年度の補足に示す金額は概算要求段階の額であり,成立予算,支出済額又は事業の実施結果を示すものではない。

説明資料は令和7年9月16日に作成されたものである。
その後,令和8年4月7日に令和8年度予算が成立し,同年5月21日に民事訴訟手続のデジタル化が開始しているから,同資料の「令和8年度中に開始する」等の記載は,作成時点の計画として読む必要がある。

金額は,特に断らない限り,同資料の経費積算内訳に記載された令和8年度の所要額(要求額)である。
括弧内に併記した数値は,同資料が併記する令和7年度予算額である。
頁は同資料に印刷された頁番号によるものであり,PDFビューア上の頁番号は,これより2頁大きい。

なお,「【要望】」「【一部要望】」と記載された経費は要求本体の枠外であり,要求額の合計には含まれない。

2 結論

裁判手続等のデジタル化関係経費は,令和8年度概算要求で33,685百万円が要求され,令和8年度予算では17,948百万円が計上された。
分野別では,民事訴訟手続のデジタル化が10,175百万円の要求に対し8,973百万円,刑事手続のデジタル化が12,435百万円の要求に対し3,806百万円,民事非訟・家事事件手続のデジタル化が9,221百万円の要求に対し4,521百万円,司法行政のデジタル化が1,854百万円の要求に対し647百万円である。

要求額に対する予算額の割合は,運用保守が中心となる民事訴訟手続で高く,設計・開発が中心となる刑事手続で低い。
もっとも,令和7年度補正予算(第1号)に「裁判手続等のデジタル化等」として16,178百万円が計上されているから,令和8年度の当初予算だけで評価することはできない。

令和9年度概算要求では,裁判手続等のデジタル化関係経費は38,743百万円(うち『「強く豊かな日本」投資枠』19,875百万円)まで増えている。

第2 裁判手続等のデジタル化関係経費の規模
1 概算要求額と令和8年度予算額

令和8年度予算は,令和8年3月30日に成立した暫定予算を経て,同年4月7日に政府案どおり成立した。
裁判所所管全体では,概算要求・要望額365,008百万円に対し,予算額は349,474百万円である。
令和7年度当初予算335,192百万円と比べると14,281百万円(4.3%)の増である。

裁判手続等のデジタル化関係経費の内訳は,次のとおりである。

区分令和7年度当初予算令和8年度要求・要望額令和8年度予算額裁判手続等のデジタル化関係経費12,55433,68517,948民事訴訟手続のデジタル化4,84910,1758,973刑事手続のデジタル化2,23212,4353,806民事非訟・家事事件手続のデジタル化5,0029,2214,521司法行政のデジタル化4711,854647

単位は百万円である。

(続きを読む...)令和8年度概算要求に基づく,裁判手続のデジタル化-要求額,令和8年度予算及び令和9年度概算要求(AI作成)

司法行政文書の書き方(9訂)

目次
1 司法行政文書の書き方
2 司法行政文書の形式
3 関連記事その他

* 「(AI作成)司法行政文書の書き方(9訂)の解説」も参照してください。
1 司法行政文書の書き方
・ 司法行政文書の書き方(9訂)(令和6年12月の最高裁判所事務総局秘書課の文書)を掲載していますところ,その中身は以下のとおりです。
(1) 本文
(2) 文例
(3) 付録
・ 司法行政文書の用紙規格及び左横書きについて(平成6年9月1日付の最高裁事務総長の依命通達)
→ 略称は「左横書き通達」です。
・ 司法行政文書の用紙規格及び左横書き実施要領について(平成6年9月1日付の最高裁秘書課長の通達)
→ 略称は「左横書き実施要領」です。
・ 司法行政文書の宛名及び発信者名について(令和6年2月22日付の最高裁事務総長の依命通達)
→ 略称は「宛名及び発信者名通達」です。
・ 司法行政文書におけるよう音及び促音の表記について(昭和63年12月5日付の最高裁秘書課長の通知)
→ 略称は「よう音通知」です。
・ 外来語・外国語の取扱い及び姓名のローマ字表記について(平成13年1月30日付の最高裁秘書課長の通知)
→ 略称は「外来語通知」です。
・ 司法行政文書の宛名等に関する事務処理上の留意事項について(令和6年3月26日付の最高裁秘書課長の事務連絡)
・ 常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)
・ 現代仮名遣い(昭和61年内閣告示第1号)
・ 送り仮名の付け方(昭和48年内閣告示第2号)
・ 外来語の表記(平成3年内閣告示第2号)
・ 公用文における漢字使用等について(平成22年11月30日内閣訓令第1号)
・ 公用文作成の考え方(令和4年1月7日付の文化審議会の建議)
・ 法令における漢字使用等について(平成22年11月30日付の内閣法制局長官の文書)
・ ローマ字のつづり方(昭和29年内閣告示第1号)

(続きを読む...)司法行政文書の書き方(9訂)

最高裁判所の国会答弁資料

目次
1 最高裁判所の国会答弁資料
2 国会答弁資料が存在しないことに関する最高裁の説明
3 関連記事

1 最高裁判所の国会答弁資料
(1) 最高裁判所の国会答弁資料を以下のとおり掲載しています。
・ 第210回国会(令和4年10月3日から同年12月10日までの会期)の,最高裁の国会答弁資料
→ 衆議院法務委員会等での使用分,及び参議院法務委員会等での使用分があります。
・ 第208回国会(令和4年1月17日から同年6月15日までの会期)の,最高裁の国会答弁資料
→ 衆議院法務委員会等での使用分,及び参議院法務委員会等での使用分があります。
(2) 衆議院HPに「国会会期一覧」が載っています。

2 国会答弁資料が存在しないことに関する最高裁の説明
・ 令和元年度(最情)答申第53号(令和元年10月18日答申)には以下の記載があります(本件開示申出文書は「平成30年11月22日の参議院法務委員会における国会答弁資料のうち,裁判所の所持品検査に関するもの」です。)。
    苦情申出人は,特定日の参議院法務委員会における国会答弁の内容及び参議院インターネット審議中継の動画からすれば,最高裁判所において本件開示申出文書を保有している旨主張する(山中注:令和元年5月7日付の意見書に記載した主張です。)。しかし,当委員会において上記法務委員会の会議録を閲読し,出席者である長官代理者がした説明の内容を確認したところ,その内容を踏まえて検討すれば,議員の質問事項について,裁判所の基本的な見解を概括的に述べたものであり,上記法務委員会に係る国会答弁においては司法行政文書として長官代理者の説明案を作成していないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。そのほか,最高裁判所において,本件開示申出文書に該当する文書を保有していることをうかがわせる事情は認められない。
    したがって,最高裁判所において本件開示申出文書を保有していないと認められる。
・ この答申は,特定日の参議院法務委員会における所持品検査に関する答弁の説明案という特定の文書について,最高裁判所事務総長が「司法行政文書として説明案を作成していない」と説明し(答申書1頁~2頁),情報公開・個人情報保護審査委員会が,会議録で確認した説明の内容から,その説明が不合理とはいえないと判断したもの(答申書2頁~3頁)です。上記1のとおり最高裁判所の国会答弁資料が開示される場合もあるため,この答申は,最高裁判所の国会答弁資料が一般に存在しないことを示すものではありません。

R050818 最高裁の不開示通知書(最高裁判所事務総局が使用している国会対応に関するマニュアル)を添付しています。 pic.twitter.com/oY9RFIJKI3

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) August 26, 2023

凄いな。答弁書はおろか更問まで公開とは。
なお、中央はこの答弁書をつくるだけで日をまたぐ。 https://t.co/hZdr4OuLHp

— 秋 (@aki2020809) February 22, 2023

3 関連記事
・ 裁判所職員定員法の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 裁判所職員定員法と総定員法の違い―裁判所の定員を法律で定める理由と国会答弁

(続きを読む...)最高裁判所の国会答弁資料

裁判所をめぐる諸情勢について

目次
1 裁判所をめぐる諸情勢について
2 関連記事

1 裁判所をめぐる諸情勢について
(令和時代)
令和元年6月,令和2年8月,令和3年6月,
令和4年7月,令和5年8月,令和6年7月頃,
令和7年7月,
(平成時代)
平成23年7月,

2 関連記事
・ 最高裁判所の概算要求書(説明資料)
・ 最高裁判所の国会答弁資料
・ 最高裁及び法務省から国会への情報提供文書
・ 裁判所職員の予算定員の推移
・ 級別定数の改定に関する文書
・ 令和4年度概算要求書における,民事訴訟手続のIT化に関する最高裁判所の財務省に対する説明内容
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
→ ①民事・行政事件の現状と課題,②刑事裁判最前線,及び③家庭裁判所の現状と課題といった資料が含まれています。
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 高等裁判所事務局長事務打合せ

R041216 最高裁の不開示通知書(裁判所をめぐる諸情勢について(平成23年8月から平成31年4月までの分))を添付しています。 pic.twitter.com/KjTuvHBcLh

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) December 19, 2022

裁判所職員(裁判官を含む。)の年齢階層・男女別在職状況

目次
1 裁判所職員(裁判官を含む。)の年齢階層・男女別在職状況
2 関連記事その他

1 裁判所職員(裁判官を含む。)の年齢階層・男女別在職状況
平成28年12月1日,平成29年12月1日
平成30年12月1日,令和 元年12月1日
令和 2年12月1日,令和 3年12月1日,
令和 4年12月1日,令和 5年12月1日,
令和 6年12月1日,令和 7年12月1日,
* 「裁判所職員(裁判官を含む。)の年齢階層・男女別在職状況(裁判官につき令和5年12月1日現在)」といったファイル名です。

2 関連記事その他
(1) 令和元年12月1日分までは,裁判官の年齢階層・男女別在職状況だけでした。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 裁判官の早期退職
・ 裁判官の年収及び退職手当(推定計算)
・ 判検事トップの月収と,行政機関の主な特別職の月収との比較
・ 裁判官の号別在職状況
・ 裁判官の昇給
・ 裁判官の給料と他の国家公務員の給料との整合性に関する答弁例
・ 裁判官の兼職
・ 任期終了直前の依願退官及び任期終了退官における退職手当の支給月数(推定)
・ 裁判官の退官情報
・ 50歳以上の裁判官の依願退官
・ 裁判所の指定職職員
→ 「早期退職希望者の募集実施要項(一般職向け)」を掲載しています。
・ 平成18年度以降の,公証人の任命状況

最高裁判所の経理局メールマガジン

目次
1 経理局メールマガジン
2 関連記事

1 経理局メールマガジン
令和6年:83号,
令和5年:80号,81号,82号,
令和4年:76号,78号,79号,
* 「最高裁判所の経理局メールマガジン80号(令和5年2月6日発行)→(主計課)~会計年度末における支払計画の示達について~」といったファイル名です。

R050515 最高裁の不開示通知書(経理局メールマガジン(1号から75号まで及び77号))を添付しています。 pic.twitter.com/qltT0ax9DH

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) May 17, 2023

2 関連記事
・ 最高裁判所事務総局経理局の事務分掌
・ 最高裁判所の概算要求書(説明資料)
・ 最高裁判所庁舎
・ 最高裁判所裁判官等の公用車
・ 平成29年7月1日施行の裁判所会計事務規程及び関連通達
・ 会計検査院第1局司法検査課の実地検査日程表

最高裁判所事務総局デジタル審議官―職務・組織・歴代人事と裁判所DX(AIリライト)

第1 デジタル審議官の概要

1 設置根拠と職務

2 新設の経緯

3 デジタル庁のデジタル審議官との違い

第2 歴代のデジタル審議官

1 清藤健一裁判官

2 榎本光宏裁判官

第3 デジタル審議官を支える職制

1 デジタル審議官付参事官

2 デジタル審議官付

3 デジタル審議官付審査官

第4 サイバーセキュリティ管理官及びデジタル基盤管理官

1 分課規程上は独立した職であること

(続きを読む...)最高裁判所事務総局デジタル審議官―職務・組織・歴代人事と裁判所DX(AIリライト)

最高裁及び法務省から国会への情報提供文書

目次
1 最高裁から衆議院への情報提供文書
2 最高裁から参議院への情報提供文書
3 法務省から参議院への情報提供文書
4 関連記事その他

1 最高裁から衆議院への情報提供文書
(1) 衆議院調査局の依頼文書
令和4年1月の依頼,令和5年1月の依頼,令和6年1月の依頼,
令和7年1月の依頼,令和8年1月の依頼,
* 「委員会決議及び附帯決議の対処状況に関する情報提供について(令和8年1月9日付の衆議院調査局の依頼)」といったファイル名です。
(2) 最高裁からの情報提供文書
令和4年1月の依頼関係,令和5年1月の依頼関係,令和6年1月の依頼関係,
令和7年1月の依頼関係,令和8年1月の依頼関係,
* 「委員会決議及び附帯決議の対処状況に関する,衆議院調査局に対する最高裁の情報提供文書(令和8年1月9日付けの依頼に対するもの)」といったファイル名です。

2 最高裁から参議院への情報提供文書
(1) 参議院法務委員会調査室の資料要求文書
令和4年1月の依頼,令和5年1月の依頼,令和6年1月の依頼,
令和7年1月の依頼,令和8年2月の依頼,
* 「令和8年度予算案関係資料要求(裁判所関係)(令和8年2月16日付の参議院法務委員会調査室の依頼)」といったファイル名です。
(2) 最高裁からの情報提供文書(附帯決議への対処状況を含む。)
令和4年1月の依頼関係,令和5年1月の依頼関係
令和6年1月の依頼関係,令和7年1月の依頼関係
* 「令和8年度予算案関係資料要求(裁判所関係)(令和8年2月16日付の参議院法務委員会調査室の依頼)に基づいて参議院法務委員会に提供した文書」といったファイル名です。

3 法務省から参議院への情報提供文書
(1) 参議院法務委員会調査室の審査要求文書
令和4年1月の依頼,令和5年1月の依頼,令和6年1月の依頼,
令和7年1月の依頼,令和8年2月の依頼,

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強制執行に対する債務者の対抗手段―執行抗告,請求異議の訴え,執行停止,差押禁止債権の範囲変更(AIリライト)

目次

第1 執行抗告

1 執行抗告の対象と申立期間
2 執行抗告をしても強制執行は原則として止まらない
3 執行抗告の理由と調査の範囲
4 差押債権の不存在・消滅は執行抗告の理由にならない
5 財産開示手続の実施決定と請求異議

第2 請求異議の訴えと執行停止の申立て

1 請求異議の訴えの意義と管轄
2 執行停止の申立て
3 請求異議の訴えで主張できる事由

(1) 相殺
(2) 不執行の合意
(3) 免責許可決定の確定
(4) 保証人に対する確定判決,主債務者の相殺及び既判力

4 執行文付与の訴えとの関係
5 不当な執行停止の申立てと損害賠償

第3 差押禁止債権の範囲変更の申立て

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債権差押命令の申立てと取立て・配当の実務(AIリライト)

第1 債権差押えの仕組みと手続の流れ

1 債権差押えとは何か
2 申立て前の回収可能性の見極め

第2 債務名義,管轄及び申立書類

1 債務名義と執行開始の要件
2 管轄,住所のつながり及び資格証明
3 申立費用と請求債権目録

第3 差押対象の選択と財産調査

1 代表的な差押対象
2 財産開示と第三者からの情報取得

第4 預貯金債権等の特定

1 金融機関と取扱店舗の特定
2 最高裁判例が示した特定の限界

第5 発令,送達及び第三債務者の陳述

1 差押命令の効力と送達

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仮差押えとは―要件・手続の流れ・担保・効力・解放金・担保の取戻しの全体像(AIリライト)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象2 結論第2 仮差押えの意義と要件1 仮差押えの意義2 被保全債権と保全の必要性3 管轄裁判所4 同一被保全債権による追加仮差押え第3 申立てから発令・執行までの流れ1 申立てから発令まで2 執行と効力の発生3 事件記録の閲覧第4 担保1 担保の趣旨と額2 担保の立て方3 担保の取戻し4 不当な仮差押えによる損害賠償第5 仮差押えの効力と限界1 処分禁止の効力2 仮差押えではできないこと3 時効の完成猶予4 破産手続開始による失効第6 仮差押解放金1 解放金の意味と供託の効果2 供託後の効力第7 債務者の対抗手段と取下げ1 保全異議・保全取消し・保全抗告2 仮差押えの取下げ第8 担保(供託金)の払渡しを受ける方法第9 関連する既存記事第10 論点ごとの個別記事第11 出典・参考資料1 法令・裁判所規則2 裁判例3 裁判所等の案内4 文献
第1 本記事の対象と結論

仮処分を含む民事保全の3類型と選択の考え方は,民事保全とはで説明している。

1 本記事の対象

本記事は,金銭債権の強制執行を保全するための仮差押えについて,要件,申立てから発令までの流れ,担保,効力,仮差押解放金,債務者の対抗手段及び担保の取戻しの全体像を説明するものである。
調査基準日は令和8年9月17日である。
条文はe-Gov法令検索の現行条文(民事保全法は令和8年5月21日施行の改正を反映したもの)で確認し,裁判例は裁判所ウェブサイト又は判例秘書で本文を確認したものだけを挙げている。

本記事は,令和8年9月17日に全面的に改訂し,論点ごとの詳しい説明を後記第10の個別記事に分けた。
本記事では各論点の結論と根拠を簡潔に示し,詳細は個別記事へのリンクで案内する。

2 結論

①仮差押命令は,金銭の支払を目的とする債権について,強制執行をすることができなくなるおそれ又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに,債務者の特定の財産の処分を暫定的に禁止する裁判所の決定である(民事保全法20条1項,21条)。
②債権者は,被保全債権と保全の必要性を疎明し(同法13条),通常は担保を立てた上で発令を受ける(同法14条1項)。
③担保の額は,実務上,仮差押えの目的物の価格を基準として,被保全債権の種類,目的物の種類及び疎明の程度に応じて定められる。
④仮差押えは処分を禁止するにとどまり,換価や取立てによる回収はできず,優先弁済権も生じない。
⑤仮差押えは,現行民法では時効の完成猶予事由であり(民法149条1号),債務者について破産手続開始の決定があると,破産財団に対してその効力を失う(破産法42条2項)。
⑥債務者が仮差押解放金を供託すると,保全執行裁判所は仮差押えの執行を取り消さなければならない(民事保全法51条1項)。
⑦債務者は,保全異議,起訴命令による保全取消し及び事情変更による保全取消しで争うことができ,これらの裁判に対する保全抗告の期間は送達を受けた日から2週間である(同法26条,37条,38条,41条1項)。
⑧債権者が立てた担保は,担保の事由の消滅,担保権利者の同意,権利行使催告による担保取消し(同法4条2項,民事訴訟法79条)又は担保の簡易の取戻し(民事保全規則17条)によって取り戻す。

第2 仮差押えの意義と要件
1 仮差押えの意義

民事保全法1条は,民事訴訟の本案の権利の実現を保全するための仮差押え,係争物に関する仮処分及び仮の地位を定める仮処分を「民事保全」と総称している。
このうち仮差押えは,金銭債権について,判決を得るまでの間に債務者が財産を処分してしまい,強制執行ができなくなることを防ぐための手続である。

仮差押命令は,特定の物について発しなければならない(民事保全法21条本文)。
ただし,動産の仮差押命令は,目的物を特定しないで発することができる(同条ただし書)。
対象となる主な財産は,不動産,預金債権・給料債権・売掛金債権その他の債権,動産等である。

2 被保全債権と保全の必要性
(1) 被保全債権

仮差押えで保全される権利は,金銭の支払を目的とする債権である(民事保全法20条1項)。

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裁判所書記官の処分に対する異議申立て―民訴法121条・通常抗告・調書の更正(AIリライト)

目次第1 本記事が扱う異議申立て1 民訴法121条の位置付け2 特別規定を先に確認する必要3 訴訟指揮等への異議,責問権及び調書への異議との区別第2 民訴法121条による異議申立て1 対象となり得る処分2 申立人,申立先及び方式3 申立書に記載する事項4 500円の手数料と納付方法第3 異議についての決定と抗告1 所属裁判所の決定2 通常抗告3 高等裁判所の決定に対する不服申立て第4 口頭弁論調書の記載に対する異議1 新法事件と旧法事件2 異議の方式及び時期3 調書の証明力と公開違反4 弁論準備手続調書にも異議を述べられること5 経過措置は調書の作成時点だけで判断しない第5 口頭弁論調書の更正1 民訴法160条の2による更正2 更正処分に対する異議3 更正できる範囲4 旧法事件の更正方式と異議の区別第6 申立て前の確認手順1 どの処分を争うかを特定すること2 低負担の資料確認を先に行うこと3 異議申立てをしない場合第7 出典・参考資料1 法令・規則2 裁判例3 公的資料・ウェブ資料4 文献
第1 本記事が扱う異議申立て
1 民訴法121条の位置付け

裁判所書記官が独立の権限に基づいてした処分に不服がある場合,その裁判所書記官の所属する裁判所に異議を申し立てることができる。民訴法121条は,異議について所属裁判所が決定で裁判をすることを定めている。本記事では,通常の民事訴訟における同条の異議申立てを中心に,その決定に対する通常抗告,口頭弁論調書の記載に対する異議及び調書の更正を説明する。

2 特別規定を先に確認する必要

裁判所書記官の処分であっても,すべてが民訴法121条の対象となるわけではない。次の処分には期間又は効力を含む特別規定があるため,民訴法121条及び期間の定めのない通常抗告という一般論をそのまま当てはめてはならない。

① 訴訟費用額確定処分に対する異議は,現行民訴法71条5項により告知から1週間の不変期間内にする必要があり,異議には執行停止の効力があり,異議についての決定には即時抗告ができる。
② 訴え提起手数料の納付命令に対する異議は,民訴法137条の2第3項により告知から1週間の不変期間内にする必要があり,異議には執行停止の効力がある。
③ 口頭弁論調書の更正処分に対する異議は,民訴法160条の2第3項が準用する71条4項,5項及び8項に従う。
④ 民事執行,支払督促,家事事件,非訟事件及び倒産事件には,それぞれの法律に特別の不服申立てがある。

訴訟費用額確定処分については,民訴法71条の特別規定により,告知から1週間の不変期間内の異議,その執行停止効及び異議についての決定への即時抗告を確認する。費用計算書から回収までの手順は,訴訟費用額確定処分の申立てを参照されたい。

3 訴訟指揮等への異議,責問権及び調書への異議との区別

民訴法121条の対象は,裁判所書記官の処分である。これに対し,150条の異議は,口頭弁論の指揮に関する裁判長の命令又は149条1項・2項による裁判長若しくは陪席裁判官の処置を対象とする。裁判所のすべての判断が150条の対象になるわけではない。

民訴法90条は,訴訟手続に関する規定の違反を知り,又は知ることができた当事者が,遅滞なく異議を述べない場合の異議権喪失を定める。ただし,放棄できないものについては例外がある。90条の問題は,書記官の処分に対する121条の異議の問題と同一ではない。

調書の内容についての160条の異議は,記録内容を対象とする。期日での訴訟指揮や手続違反に対する異議とは対象が異なり,後日調書への異議を述べれば,その場で必要だった異議が当然にさかのぼって補われるとはいえない。
書記官への連絡についても,連絡の相手と内容だけでなく,裁判所にどの異議を述べたのかを明確にし,記録を確認する必要がある。求釈明・訴訟指揮への異議・責問権の使い分けは,民事訴訟の進行に異議があるとき―求釈明・訴訟指揮への異議・責問権と期日の記録を参照されたい。

第2 民訴法121条による異議申立て
1 対象となり得る処分

民訴法121条の対象となり得る典型例は,裁判所書記官が独立の権限に基づいてする訴訟記録の閲覧等又は証明に関する処分である。令和8年5月21日に全面施行された改正民訴法の下では,非電磁的訴訟記録の閲覧,謄写,謄本若しくは抄本の交付又は複製は91条,電磁的訴訟記録の閲覧,複写又は記録事項証明は91条の2,訴訟に関する事項の証明は91条の3に分かれている。民訴規則48条に基づく判決確定証明の請求に対する処分も,裁判所書記官の権限に属する。

もっとも,裁判所が民訴法92条に基づいて訴訟記録の閲覧等を制限し,裁判所書記官がその決定に従って閲覧等を拒絶した場合,争うべき対象は裁判所の閲覧制限決定である。この場合は,同条3項の取消申立て又は同条4項の即時抗告によるべきであり,民訴法121条の異議によって裁判所の先行判断を迂回することはできない。

2 申立人,申立先及び方式

異議を申し立てることができるのは,対象となる請求をする資格があり,裁判所書記官の拒絶その他の処分によって不利益を受けた者である。申立先は,処分をした裁判所書記官の所属する裁判所であり,常に「受訴裁判所」と表現できるとは限らない。処分日,処分内容及び所属裁判所が不明確な場合は,まず担当係に処分の内容を確認すべきである。

申立ては,事件の適用法及び提出者に応じて,mintsによる電子申立て又は書面提出の方法で行う。手数料を納付すべき申立書はファクシミリ提出の対象外であるため,提出方法を担当係に確認する必要がある。令和8年5月21日以後に提起された新法事件では,弁護士等の訴訟代理人は原則としてmintsの利用が義務付けられている。

3 申立書に記載する事項

申立書では,裁判所が対象処分及び求める結論を短期間で特定できるようにする。少なくとも,①対象事件,②処分をした裁判所書記官の所属及び処分日,③異議の対象となる処分,④求める裁判,⑤処分が違法又は不当である理由,⑥閲覧等を求める記録又は証明事項を記載するのが相当である。拒絶理由を記載した書面又は担当係との連絡記録がある場合は,その内容も特定する。

4 500円の手数料と納付方法

裁判所書記官の処分に対する異議申立ての手数料は,民事訴訟費用等に関する法律3条及び別表第2の13の項により500円である。ただし,現在は常に申立書へ500円の収入印紙を貼るわけではない。

裁判所の民事訴訟手続デジタル化案内によれば,令和8年5月21日以後に提起された新法事件では,申立手数料は原則としてペイジーを利用して現金で納付し,送達のための郵便費用は申立手数料へ一本化された。同日前に提起された旧法事件では,収入印紙及び予納郵券による従前の取扱いが残る。控訴事件又は抗告事件が新法事件か旧法事件かは上訴又は抗告の日ではなく,原審事件の申立日を基準に判定されるため,裁判所のmints利用案内及び担当係の案内を確認すべきである。

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三淵嘉子裁判官(期前)の経歴―女性初の判事・家庭裁判所長と官報掲載の戒告(AIリライト)

三淵嘉子(1914年11月13日~1984年5月28日)は,日本で最初の女性弁護士3人の一人であり,女性として初めて判事及び裁判所長になった人物である。

もっとも,日本で最初に裁判官に任官した女性は石渡満子裁判官(1期)であり,三淵嘉子は2人目であるため,「女性初」の対象を区別する必要がある。

本記事は,最高裁判所が開示した履歴書,官報,明治大学の大学史資料及び刊行された伝記を照合し,生い立ちから退官後までの経歴を整理するとともに,1965年の戒告について官報が認定した責任の内容と酌量事情を分けて説明する。

目次

第1 三淵嘉子の経歴一覧

1 公式履歴書に基づく職歴
2 「女性初」の正確な範囲
3 氏名の変遷

第2 生い立ちから女性弁護士になるまで

1 シンガポール出生と明治大学への進学
2 司法科試験合格と弁護士登録
3 戦争による家族との死別

第3 裁判官任官と家庭裁判所への関与

1 裁判官採用願と司法省勤務
2 女性として2人目の裁判官
3 女性初の判事と東京家庭裁判所少年部

第4 東京家庭裁判所少年部での勤務と1965年の戒告

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上告不受理決定等と一緒に送られてくる予納郵券に関する受領書

目次
1 総論
2 予納郵便切手の返却時の取扱い
3 受領書の未提出と督促に関する資料
4 関連記事その他

1 総論

この記事は,上告不受理決定や特別抗告棄却決定等とともに予納郵券が返還された場合の受領書について,平成18年の事務連絡,令和3年の理由説明書及び令和4年の私の経験を整理するものです。
これらの資料の説明と現在の個別事件の取扱いは区別し,実際の提出先・提出方法は,同封された書面と担当係の案内を確認して下さい。

(1)ア 従来,最高裁判所から簡易書留で送付される上告不受理決定には,上告受理申立てに際して予納した郵券の残りと,郵便切手内訳表が記載された返還書兼受領書が同封されていました。
当時,封筒や受領書にはFAX番号の記載がなく,本記事では持参又は郵送による提出を案内していました。
イ 特別抗告棄却決定についても,同様の取扱いでした。
(2) 私の経験では,令和4年12月15日付の特別抗告棄却決定と一緒に入っていた返還書兼受領書にはFAX番号が書いてありました。

(3) 令和4年の上記事例でFAX番号が記載されていたことから,現在のすべての事件でFAX提出が認められるとまではいえません。
受領書の宛先,FAX提出の可否及び原本郵送の要否は,実際に届いた書面の記載と担当係の案内に従って確認して下さい。

R030621 最高裁の不開示通知書(民事事件の上告棄却決定に対する予納郵券の受領書の提出に利用できるファックス番号を事件当事者に告知しない理由が書いてある文書)を添付しています。 pic.twitter.com/rYo8CJ273a

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) June 26, 2021

2 予納郵便切手の返却時の取扱い
(1) 予納郵便切手の取扱いに関する規程(昭和46年6月14日最高裁判所規程第4号)7条は以下のとおりです。
① 訟廷管理官又は主任書記官は、その保管する予納郵便切手について返還すべき事由が生じたときは、これを返還を受けるべき者に交付し、その者から受領書を受け取らなければならない。
② 主任書記官は、所在不明その他の理由により予納郵便切手を返還することができないときは、これを訟廷管理官に引き継がなければならない。
(2) 予納郵便切手の取扱いに関する規程の運用について(平成7年3月24日付の最高裁判所事務総長の通達)には「主任書記官は,予納郵便切手を郵便により送付して返還するときは,返還を受ける者に予納郵便切手及び返還書とともに受領書の用紙を送付し,これに所要の事項を記載させた上提出させる。」と書いてあります。

裁判所から予納郵券の余り61円分が送られてきた。
その受領書をFAXしたところ、「FAXではなく、原本を郵送してくれ」と書記官に言われた。

(続きを読む...)上告不受理決定等と一緒に送られてくる予納郵券に関する受領書

相殺の抗弁と既判力―審理順序,一部請求,別訴・反訴及び相殺の再抗弁(AIリライト)

目次第1 訴訟上の相殺の抗弁と既判力1 訴訟上の相殺の抗弁の意義2 判決理由中の判断に既判力が生ずる唯一の例外3 既判力が生ずる範囲4 既判力が生じない場合と審理の順序第2 相殺の抗弁が許されるとされた最高裁判例1 一部請求の残部を自働債権とする相殺2 反訴請求債権を自働債権とする相殺3 時効消滅した本訴請求債権を自働債権とする相殺4 本訴請求債権を自働債権とし反訴請求債権を受働債権とする相殺第3 相殺の抗弁が許されないとされた最高裁判例1 別訴で訴訟物となっている債権を自働債権とする相殺2 訴訟上の相殺の再抗弁3 抗弁先行型の扱い第4 一部請求における相殺の充当と既判力第5 相殺の抗弁と上訴1 相殺の抗弁により勝訴した被告の上訴の利益2 不利益変更禁止の原則第6 相殺の担保的機能と第三者との関係1 差押えと相殺2 債権譲渡と相殺3 抵当権に基づく物上代位と相殺第7 倒産手続における相殺1 破産手続2 民事再生手続3 三者間相殺4 破産法71条と72条の見分け方5 支払不能を知った後に作られた預金債権第8 実体法上の相殺の要件及び制限1 相殺適状2 相殺が禁止される場合3 賃金債権を受働債権とする相殺4 同時履行の抗弁付き債権と請負報酬の相殺第9 訴訟上の相殺の抗弁の法的性質第10 基準時後の相殺と請求異議の訴え第11 実務で整理する資料と訴訟方針1 国際取引の相殺では管轄と準拠法も分ける第12 関連記事第13 出典1 法令2 裁判例3 文献4 ウェブ資料第1 訴訟上の相殺の抗弁と既判力1 訴訟上の相殺の抗弁の意義

訴訟上の相殺の抗弁とは,被告が口頭弁論において自己の債権(自働債権)を相殺に供することにより,原告の主張する債権(受働債権)を対当額で消滅させ,原告の請求を理由のないものとする抗弁をいう。相殺の意思表示そのものは民法505条1項に基づく実体法上の行為であるが,これを訴訟の場で防御方法として提出する点に特殊性がある。なお,民訴法114条2項が既判力を認める「相殺のために主張した請求」は,訴訟の場で相殺の意思表示をした場合に限られず,訴訟外で既にした相殺を訴訟上主張した場合も含まれると解されている。既判力を認める趣旨は,いずれの場合にも等しく妥当するからである。

相殺の抗弁,同時履行の抗弁及び反訴は,反対債権に関わる場合でも効果が異なる。相殺は対当額で債権を消滅させる防御方法であり,そのために主張した請求の成立又は不成立の判断に民訴法114条2項の既判力が生じる。同時履行の抗弁は反対給付の提供まで履行を拒むもので,通常は引換給付判決につながるが,反対給付額について当然に同項の既判力を生じさせたり,その支払を回収する債務名義を与えたりするものではない。反訴は自分の請求を審判対象とし,給付請求が認容されればその給付について債務名義を得るための手続である。相殺に使わなかった残額の回収も,相殺の主張だけで当然に命じられるわけではない。

関連する実務上の整理は,引換給付判決で何が確定するか―同時履行の抗弁,反対債権の既判力,代金回収と強制執行及び反訴か別訴か―重複起訴,併合審理,請求の関連性と債務名義から考える選択を参照。

2 判決理由中の判断に既判力が生ずる唯一の例外

既判力は,本来,判決主文に包含するものに限って生ずる(民訴法114条1項)。判決理由中でされる前提問題の判断に既判力が生じないのは,当事者間の紛争解決としてはそれで足りること,理由中の判断については当事者の手続保障が十分でない場合があること,及びそのように解することが審理の簡易化・弾力化に資することによる。

これに対し,民訴法114条2項は「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は,相殺をもって対抗した額について既判力を有する」と定め,判決理由中の判断に既判力を生じさせる例外を置いている。相殺の抗弁は,訴求債権とは別個の,それ自体が訴訟物となり得る反対債権を持ち出すものであって,いわば反訴に近い機能を有する。そのため,これに既判力を認めておかないと,訴求債権をめぐる紛争が反対債権をめぐる紛争として蒸し返され,判決による紛争解決の実効性が失われる。最高裁も,同項について「判決の理由中の判断に既判力を生じさせる唯一の例外を定めたものである」と述べ,その適用範囲を無制限に拡大することは相当でないとしている(最高裁平成10年4月30日判決・民集52巻3号930頁)。

3 既判力が生ずる範囲

既判力が生ずるのは「相殺をもって対抗した額について」であり,このことは相殺の抗弁が排斥された場合であると認容された場合であるとを問わない。反対債権が存在しないとして相殺の抗弁が排斥された場合には,敗訴した被告が後に反対債権を主張することを防ぐため,対抗額の限度で反対債権の不存在について既判力が生ずる。

反対債権が存在するとして相殺の抗弁が認容され,原告の請求が棄却された場合については,同じく反対債権の不存在についてのみ既判力が生ずるとするのが一般的な理解である。基準時における権利関係の存否を確定するのが既判力の作用であるところ,訴求債権及び反対債権が存在したことは基準時前の事由であって確定の対象とならないうえ,反対債権の不存在についてのみ既判力を認めれば,原告からの「反対債権は初めから存在しなかった」とする不当利得返還請求は請求棄却判決の既判力によって,被告からの「訴求債権は別の理由で存在しなかった」とする不当利得返還請求は反対債権不存在の既判力によって,それぞれ封じることができるからである。もっとも,訴求債権と反対債権がともに存在し相殺によって消滅したことについて既判力が生ずるとする有力な見解もあり,この点は決着をみていない。

金額例として,原告の請求債権(甲)が200万円,被告の相殺に供する債権(乙)が300万円で,甲の存在が認められ相殺の判断に進んだ場合,乙が全部弁済済みとして抗弁が排斥されても,乙の不存在判断の既判力は対抗額200万円の範囲に限られ,残100万円に当然には及ばない。
さらに,原告が別の丙債権300万円によって乙300万円全部を有効に訴訟外相殺した場合,乙・丙は実体法上各300万円消滅する一方,乙についての相殺判断の既判力は200万円に限られる。丙について別個の請求をしていない限り,再抗弁の判断だけで丙に既判力が生じるものではない。
この金額例は民訴法114条を踏まえた整理である。実体法上の消滅額,理由中で検討された金額及び既判力の範囲を同一視してはならない。残100万円の後訴では,証拠評価と信義則を別途検討する。

4 既判力が生じない場合と審理の順序

相殺の抗弁が弁論に上程されれば常に既判力が生ずるわけではなく,既判力が生ずるのは,裁判所が反対債権の存否を実質的に審理判断した場合に限られる。具体的には,相殺の抗弁が時機に後れた攻撃防御方法として却下された場合(民訴法157条1項),相殺適状の要件(民法505条)を欠く場合,及び受働債権が民法509条所定の債権であるために相殺が許されない場合には,反対債権の存否についての判断はされないから,既判力は生じない。

相殺の抗弁の判断に既判力が生ずることは,審理の順序にも影響する。弁済や免除の抗弁であれば,訴求債権の存在を仮定したまま抗弁を認めて請求を棄却してもよい。抗弁についての判断が理由中の判断にとどまり既判力を生じない以上,被告にとってはいかなる理由で勝訴しても利害に差がないからである。これに対し,相殺の抗弁については,訴求債権の存在を仮定したまま相殺を認めて請求を棄却することは許されない。被告は,相殺が容れられて勝訴しても反対債権を失うという出捐を伴うからであり,裁判所は,他の抗弁を先に判断し,なお訴求債権が存在すると確定した後に,はじめて相殺の抗弁を判断することになる。この意味で,相殺の抗弁は性質上予備的な抗弁である。

第2 相殺の抗弁が許されるとされた最高裁判例1 一部請求の残部を自働債権とする相殺

一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えを提起している場合において,当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは,債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り,許される(最高裁平成10年6月30日判決・民集52巻4号1225頁)。明示的一部請求の訴訟物は当該一部に限られ,残部は別訴の訴訟物となっていないから,後記第3の1の判例法理が及ばないという理解である。

2 反訴請求債権を自働債権とする相殺

本訴及び反訴が係属中に,反訴原告が,反訴請求債権を自働債権とし,本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは,異なる意思表示をしない限り,反訴を,反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分を反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更するものとして,許される(最高裁平成18年4月14日判決・民集60巻4号1497頁)。反訴請求債権は反訴の訴訟物であるから,形式的には後記第3の1の場面に当たるが,反訴を予備的反訴に変更するものと構成することによって既判力の抵触を避け,同一手続内での清算を認めた点に意義がある。

3 時効消滅した本訴請求債権を自働債権とする相殺

本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として,反訴において,当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許される(最高裁平成27年12月14日判決・民集69巻8号2295頁)。この相殺の抗弁は,本訴請求債権が時効消滅すると判断されることを前提とする仮定的な抗弁であって,本訴請求が認容される限りそもそも判断の対象とならないという特殊性がある。実体法上の根拠は,時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には相殺をすることができるとする民法508条である。

4 本訴請求債権を自働債権とし反訴請求債権を受働債権とする相殺

最高裁令和2年9月11日第二小法廷判決(平成30年(受)第2064号,民集74巻6号1693頁)は,請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方が本訴,他方が反訴の請求債権となった場合に,本訴原告からの相殺の抗弁を認めた。

両債権の清算的調整は当事者双方の便宜と公平にかない,この場合には本訴・反訴の弁論を分離することも許されないとしたためである。

本判決を,本訴と反訴が対向するだけで一般に双方向の相殺ができるという意味に広げてはならない。

同一の請負契約から生じた両債権の関係,現実の相互履行を求める特別の利益がないこと及び弁論分離の禁止を踏まえた判示である。

清算後の残代金の遅延損害金については,雨漏り・施工不良と工事代金を参照されたい。

第3 相殺の抗弁が許されないとされた最高裁判例1 別訴で訴訟物となっている債権を自働債権とする相殺

以下の判例は,別訴で訴訟物となっている債権を,相殺の自働債権として別の訴訟にも持ち込む場面を対象とする。代金支払請求と目的物引渡請求が同じ売買契約に基づくというだけで,その別訴が一律に重複起訴になるという意味ではない。同時履行の抗弁には,相殺に関する114条2項の規律をそのまま当てはめない。

係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されない(最高裁昭和63年3月15日判決・民集42巻3号170頁,最高裁平成3年12月17日判決・民集45巻9号1435頁)。別訴が先行し相殺の抗弁が後から提出される類型であることから,抗弁後行型と呼ばれる。

平成3年判決は,その理由を,重複起訴を禁止する規定(現行の民訴法142条。同判決当時は旧民訴法231条)の趣旨から説明する。すなわち,重複起訴禁止の理由は,審理の重複による無駄を避けることと,複数の判決において互いに矛盾した既判力ある判断がされるのを防止することにあるところ,相殺の抗弁について提出された自働債権の存否の判断は相殺をもって対抗した額について既判力を有するとされていること,及び相殺の抗弁の場合にも自働債権の存否について矛盾する判決が生ずるのを理論上も実際上も防止することが困難であることを考えると,同条の趣旨は,同一債権について重複して訴えが係属した場合のみならず,既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出する場合にも同様に妥当する,というのである。そして同判決は,「このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され,両事件が併合審理された場合についても同様である」と述べており,実際の事案も,同一の高等裁判所の同一部で併合審理中の別事件の訴求債権を自働債権とする相殺が主張されたものであった。すなわち,併合審理されていることは,この判例法理を回避する理由にならない。

なお,昭和63年判決は,賃金の仮払を命ずる仮処分の執行に係る仮払金の返還請求訴訟において,仮処分債権者が本案訴訟で訴求中の賃金債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出することは許されないとしたものである。仮払金の返還をめぐる法律関係については,残業代請求訴訟における仮執行宣言に基づく仮払い後の取扱いも参照されたい。

2 訴訟上の相殺の再抗弁(1) 最高裁平成10年4月30日判決

被告による訴訟上の相殺の抗弁に対し,原告が訴訟上の相殺を再抗弁として主張することは,不適法として許されない(最高裁平成10年4月30日判決・民集52巻3号930頁)。同判決は,その理由として三点を挙げている。①訴訟上の相殺の意思表示は,当該訴訟において裁判所により相殺の判断がされることを条件として実体法上の効果が生ずるものであるから,相殺の抗弁に対して更に相殺の再抗弁を主張することを許すと,仮定の上に仮定が積み重ねられて当事者間の法律関係を不安定にし,いたずらに審理の錯雑を招くこと,②原告が訴訟物である債権以外の債権を有するのであれば,訴えの追加的変更により当該訴訟で請求するか,別訴を提起することによってこれを行使することが可能であり,仮に消滅時効が完成しているような場合であっても訴訟外で相殺の意思表示をした上でこれを訴訟において主張することができるから,訴訟上の相殺の再抗弁を許さなくとも格別不都合はないこと,③民訴法114条2項は判決理由中の判断に既判力を生じさせる唯一の例外を定めたものであり,その適用範囲を無制限に拡大することは相当でないこと,である。

(2) 訴訟外の相殺は再抗弁として主張できる

もっとも,同判決は,右の①の理由を述べる前提として,「訴訟外において相殺の意思表示がされた場合には,相殺の要件を満たしている限り,これにより確定的に相殺の効果が発生するから,これを再抗弁として主張することは妨げない」と明示している。訴訟外の相殺は裁判所の判断を条件とせず確定的に効力を生ずるため,仮定の上に仮定を重ねるという弊害が生じないからである。したがって,禁じられているのはあくまで訴訟上の相殺を再抗弁として主張することであって,相殺の抗弁に供された債権が訴訟外の相殺によって既に消滅したという主張は,再抗弁として適法である。

この理解を実際に適用した下級審裁判例として,東京地方裁判所令和3年2月17日判決(令和元年(ワ)第28852号・受信料請求事件)がある。被告が別件訴訟で取得した訴訟費用償還請求権を自働債権とする訴訟上の相殺の抗弁を主張したのに対し,原告が,訴訟外で,自らの訴訟費用償還請求権を自働債権とし被告の同請求権を受働債権とする相殺の意思表示をしたという事案で,同判決は,原告の訴訟外の相殺の再抗弁を適法とし,被告が訴訟上の相殺に供した自働債権は口頭弁論終結時には既に消滅しているとして相殺の抗弁を排斥した。判決は,被告が平成10年最高裁判決の趣旨に照らして不適法であると主張したのに対し,「訴訟外において相殺の意思表示がされた場合には,相殺の要件を満たしている限り,これにより確定的に相殺の効果が発生するのであるから,訴訟上の相殺の抗弁に対して訴訟外の相殺を再抗弁として主張したとしても,仮定の上に仮定が積み重ねられて審理の錯雑を招くという事態に陥るおそれはなく,平成10年最高裁判決も同旨であることが明らかである」と判示した。従前は判例秘書(LLI/DB判例秘書登載)で全文を確認していたが,令和8年10月3日の更新時に東京地裁令和3年2月17日判決の公式全文(14頁)も確認した。訴訟費用額確定処分の告知と相殺の意思表示の時期を具体的に検討した事案であり,その金額確定・弁済期の判断を他の種類の債権に直ちに一般化してはならない。

もっとも,この結論には検討の余地がある。同一の自働債権・受働債権について同一の時期に同一の目的でされる相殺であるにもかかわらず,訴訟上でされれば不適法,訴訟外でされれば適法という正反対の帰結になるからである。学説には,相殺の意思表示が訴訟外でされたか訴訟上でされたかという外形で区別するのではなく,訴訟とは無関係にされた相殺と,訴訟係属後に当該訴訟で主張することを目的としてされた相殺とを区別し,後者には訴訟上の相殺と同じ規律を及ぼすべきであるとする指摘がある。

この東京地方裁判所判決については,次のとおり紹介されている。

φ(..)メモメモ

東京地判R3.2.17https://t.co/cqaUyNmhgq

訴訟上の相殺の抗弁に対し、訴訟外で相殺の意思表示をし、これを訴訟上再抗弁として主張することは許される(H10最判に反しない)。

— venomy (@idleness_venomy) May 12, 2023

3 抗弁先行型の扱い

相殺の抗弁として既に提出した債権を,後から別訴の訴訟物として請求するのが抗弁先行型である。

前記1の,別訴の請求を先に提起し,後から別の訴訟で相殺に使う抗弁後行型とは区別する。

相殺の抗弁は他の防御方法の後に判断される予備的な性質を持つため,判断されるか,民訴法114条2項の既判力が生ずるかは,提出時点では確定していない。

この不確実性を理由に別訴を許容する見解と,判断の抵触や審理の重複を重視する見解の対立がある。

前記1の最高裁判決の結論を,提出順序の異なるこの類型にそのまま移してはならない。

実務では提出・係属の順序,他の抗弁,相殺の判断範囲を確認し,反訴・別訴・予備的請求の構成を検討する。

手続の選択は,反訴か別訴かを参照されたい。

第4 一部請求における相殺の充当と既判力

特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺の抗弁が理由がある場合には,当該債権の総額を確定し,その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上,請求額が残存額の範囲内であるときは請求の全額を,残存額を超えるときは残存額の限度でこれを認容すべきである(最高裁平成6年11月22日判決・民集48巻7号1355頁)。相殺を債権総額の外側から充当するという意味で外側説と呼ばれる。同判決は併せて,一部請求訴訟において相殺のため主張された自働債権の存否の判断は,当該金銭債権の総額から一部請求の額を控除した残額部分に対応する範囲については既判力を生じないと判示しており,第1の3で述べた「相殺をもって対抗した額」の意味を一部請求の場面で具体化したものといえる。

ここでいう相殺の抗弁と,被害者の過失を考慮して損害賠償額を減額する過失相殺(民法722条2項)は,別の制度である。
過失相殺は,被告の反対債権によって原告の債権を消滅させるものではないため,過失相殺をしたことを理由に,反対債権の存否について民訴法114条2項の既判力が生じるという問題にはならない。

不法行為による一個の損害賠償請求権の一部請求で過失相殺をする場合も,認定した損害の全額から過失割合による減額をし,その残額と請求額を比較する(最高裁昭和48年4月5日判決・民集27巻3号419頁)。
例えば,認定損害額が2500万円,被害者の過失割合が5割,明示的一部請求額が2000万円で,他に減額・消滅事由がない場合,認容額は1250万円となる。
請求額2000万円の5割である1000万円と計算するのではない。

相殺の抗弁における反対債権の存否に関する審判と過失割合による損害額の算定とを混同せず,適用条文と計算の対象を区別する必要がある。

数量的一部請求で敗訴した原告による残部請求は,特段の事情がない限り信義則に反して許されない(最高裁平成10年6月12日判決の公式全文・民集52巻4号1147頁)。
他方,最高裁平成10年6月30日判決の公式全文(同号1225頁)の法廷意見は,係属中の別件一部請求の残部を相殺に使うことについて,権利濫用などの特段の事情がない限り許容する一般論を示し,具体的には,別件の売買代金低落分とは実質的な発生事由を異にする弁護士報酬相当額の損害による相殺を許容した。
同判決の補足意見は,数量的一部4000万円の請求を棄却する別件判決が同日確定した後の,同じ売買代金低落分の残債権による相殺について,当該事案では特段の事情がなく不適法になったと述べている。
したがって,「残部の別訴は制限されるが,相殺なら常に許される」とは整理できない。係属中か敗訴確定後か,数量的残部か別種の損害か,法廷意見か補足意見かを区別する必要がある。

第5 相殺の抗弁と上訴1 相殺の抗弁により勝訴した被告の上訴の利益

被告が弁済や免除の抗弁により勝訴した場合には,申立てどおりの請求棄却判決がされている以上,上訴の利益は認められない(形式的不服説)。これに対し,相殺の抗弁によって勝訴した場合には,被告は反対債権を失うという出捐を伴い,実質的には敗訴判決を受けたに等しい。相殺の抗弁の判断には既判力が生ずるため,後訴でその点を争うこともできない。そこで,この場合には例外的に上訴の利益が認められると解されている。

2 不利益変更禁止の原則

もっとも,上訴した結果として被告が常に有利になるわけではない。原告の訴求債権の存在を認めながら被告の相殺の抗弁を容れて原告の請求を棄却した第一審判決に対し,原告のみが控訴し,被告が控訴も附帯控訴もしなかった場合において,控訴審が,被告の相殺の抗弁について判断するまでもなく訴求債権の不存在を理由に原告の請求を棄却すべきときは,不利益変更禁止の原則に従い,第一審判決を維持して原告の控訴を棄却するにとどめなければならない(最高裁昭和61年9月4日判決・集民148号417頁)。控訴した原告にとって,反対債権不存在の既判力が失われる判決は第一審判決より不利益となるからである。

これと表裏の場面として,訴求債権が存在しないとして請求を棄却した第一審判決に対し,控訴審が訴求債権は存在するが反対債権による相殺が成り立つと判断する場合には,同じ請求棄却でも既判力の範囲が民訴法114条1項によるか同条2項によるかで異なるから,第一審判決を取り消して改めて控訴審の判決をすべきであるとされている。相殺の抗弁が絡む場合には,主文が同じでも判決の効力が異なりうることに注意を要する。

第6 相殺の担保的機能と第三者との関係

相殺には,相手方の資力が悪化しても自働債権を実質的に回収できるという担保的機能がある。この機能を第三者に対してどこまで対抗できるかが,以下の各場面で問題となる。

1 差押えと相殺

通常の債権差押えでは,差押え前に取得した反対債権による相殺を対抗できる。

現行民法511条2項は,差押え後の取得でも差押え前の原因に基づく債権を保護するが,差押え後に他人の債権を取得した場合は除外する。

取得時,弁済期,相殺適状,差押命令の送達及び改正附則の検討は,差し押さえられた債権と相殺できるか―民法511条,債権取得時と弁済期(AI作成)にまとめた。

2 債権譲渡と相殺

債権譲渡では,民法468条の抗弁と469条の相殺を分ける。

対抗要件具備時より前に取得した債権だけでなく,前の原因に基づく債権や,譲渡対象債権と同一契約に基づく債権にも保護の規定がある。

請負代金の譲渡後の損害賠償,契約の同一性及び経過措置は,債権譲渡の通知後でも相殺できるか―民法468条・469条と同一契約から生じた反対債権(AI作成)を参照されたい。

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文書鑑定(AIリライト)

目次

第1 文書鑑定とは

1 文書鑑定の種類

(1) 筆者識別(筆跡鑑定)
(2) 印影鑑定
(3) 不明文字鑑定
(4) 事務機文字鑑定
(5) 印刷物鑑定

2 民事訴訟における筆跡鑑定の位置づけ

(1) 私的鑑定は「鑑定」ではなく書証である
(2) 自由心証主義のもとでの評価

第2 筆跡鑑定の証明力に関する裁判例

1 伝統的筆跡鑑定方法の証拠能力(最高裁昭和41年2月21日決定)
2 断定的な別人鑑定への慎重論(東京高裁平成12年10月26日判決)
3 鑑定人の側から公表されている見解
4 狭山事件に関する最高裁平成17年3月16日決定

(続きを読む...)文書鑑定(AIリライト)

二段の推定とは──私文書の成立の真正(民事訴訟法228条4項)と実印・認印,立証の実務(AIリライト)

目次

第1 二段の推定とは(意味・根拠・法的性質)

1 二段の推定の意味──一段目と二段目
2 法的根拠──民事訴訟法228条4項
3 リーディングケース(最判昭和39年5月12日)
4 推定の法的性質と立証責任──「反証」で足りる

第2 実印・認印と「本人の印章」

1 「本人の印章」は実印に限らないが,共有・共用の印章は含まない
2 印鑑証明書による印影の一致の立証(実印と認印の差)
3 「実印だから推定力が強い」を無批判に用いない

第3 二段の推定が意味を持つ場面と,推定を破る事情

1 成立の真正と記載内容の信用性は別問題──処分証書と報告文書
2 証明の負担が軽減される程度は限定的
3 第一段目の推定を破る事情の類型(盗用型・冒用型・不自然型)
4 具体的事案で推定の成否が判断された例

第4 作成者の判断能力(意思能力)と文書の成立の真正

1 高齢・判断能力低下の主張の位置づけ
2 意思無能力の抗弁(民法3条の2)
3 形式的証拠力と契約の成立

第5 二段の推定以外に成立の真正を証明する手段の確保

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裁判官秘書官の職務・身分・人数及び制度の沿革(AIリライト)

第1 裁判官秘書官の種類及び法定数

1 最高裁判所の秘書官は15人である
2 高等裁判所長官秘書官は8人である
3 法定ポスト数と実際の任命者数は区別を要する

第2 裁判官秘書官の職務

1 法定職務は「機密に関する事務」である
2 日程・連絡・書類整理等の身近な執務補助を行う
3 裁判判断そのものには関与しない

第3 裁判所調査官及び裁判所書記官との違い

1 裁判所調査官は審理・裁判に必要な調査を行う
2 裁判所書記官は事件記録及び手続事務を担う
3 三つの官職は支援対象と法的機能が異なる

第4 特別職としての身分及び勤務条件

1 一般職裁判所職員向けの包括的準用から外れる
2 給与は特別職給与法による
3 休暇,保健及び安全保持には個別規程がある
4 懲戒に関する公開資料上の状況

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訴訟提起で原告の住所・氏名を秘匿する方法(AIリライト)

目次

第1 現在の取扱いの結論

1 令和5年2月20日以後の新件
2 令和8年5月21日以後の電子提出
3 旧来の秘匿措置との区別

第2 秘匿決定の対象及び要件

1 秘匿対象者
2 住所等及び氏名等
3 社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれ
4 相手方が秘匿事項を知らないこと

第3 訴え提起時の提出方法

1 訴状と同時に提出する書類
2 訴状の当事者欄
3 秘匿事項届出書面だけは紙で提出すること
4 疎明資料及び漏えい点検
5 手数料及び却下後の処理

第4 秘匿決定だけでは足りない場合

1 秘匿事項届出書面以外の記録

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民事訴訟の送達――補充送達,付郵便送達,公示送達及びシステム送達(AIリライト)

目次

第1 民事訴訟における送達の基本1 送達の意味と本記事の対象2 職権送達,送達事務及び送達実施機関第2 送達場所と交付の方法1 住所等,就業場所及び送達場所の届出2 書記官送達と出会送達3 補充送達と差置送達第3 法人に対する送達1 代表者と送達場所2 支店の受付係への交付と企業の期限管理第4 付郵便送達と住所等調査1 要件と効力発生時期2 住居所及び就業場所の調査第5 公示送達1 公示送達を利用できる場合2 オンライン公告と効力発生時期3 公示送達で被告が欠席した場合の主張立証第6 出力書面による送達とシステム送達1 二つの送達方法2 効力が生じる時点3 届出義務者と無届出時の特例第7 送達の瑕疵と当事者の救済1 補充送達の有効性と再審事由は別であること2 誤った住所等調査と損害賠償3 送達受取人の受領記録の誤りと訴訟行為の追完4 送達報告書の誤記と控訴期間第8 銀行口座情報しか分からない相手への訴え1 名古屋高裁金沢支部平成16年決定2 決定の射程と調査嘱託第9 送達を要しない例外第10 判決・和解調書,外国送達及び関連資料1 判決と和解・放棄・認諾調書2 外国送達3 送達実務に関する裁判所事務連絡第11 出典・参考資料1 法令・規則2 裁判例3 裁判所その他の公的資料4 文献及びウェブ資料
第1 民事訴訟における送達の基本
1 送達の意味と本記事の対象

送達は,訴状,判決その他の訴訟関係書類又は電磁的記録を,法定の方式によって当事者その他の受送達者に告知する手続である。通常の郵送や当事者間の直送とは異なり,どこで誰に交付したか,又はシステム上のどの時点で効力が生じたかが,上訴期間その他の手続期間に影響する。

本記事は,民事訴訟法上の国内送達を中心に,送達場所,補充送達,差置送達,付郵便送達,公示送達及びシステム送達を整理する。令和8年5月21日以後に提起された訴訟等には全面デジタル化後の規定が適用される一方,同月20日以前に提起された事件は原則として従前の規定で処理されるため,係属事件の適用法を最初に確認する必要がある。

2 職権送達,送達事務及び送達実施機関

送達は,特別の定めがある場合を除き,裁判所が職権で行い,送達に関する事務は裁判所書記官が取り扱う(民訴法98条)。書類の送達は,特別の定めがある場合を除き,郵便又は執行官によって行い,郵便による送達では郵便業務従事者が送達をする者となる(同法101条)。裁判所書記官は,所属裁判所の事件について出頭した者に自ら送達することもできる(同法102条)。

郵便による送達では,郵便法49条の特別送達が用いられる。郵便法66条は旧条文の番号であり,現行法上の根拠条文ではない。また,送達をした者が作成する送達報告書の根拠は,現行民訴法100条であり,書面の提出に代えて所定の電子情報処理組織又は記録媒体を用いることもできる。

送達事務を担当する書記官の職務全体や,裁判所事務官との違いは,裁判所書記官とはで説明している。
送達に関する事務を取り扱う職員と,実際に書類を交付する者は,前記の法令上の役割に即して区別する必要がある。

第2 送達場所と交付の方法
1 住所等,就業場所及び送達場所の届出

書類は,受送達者の住所,居所,営業所又は事務所で送達するのが原則である。これらの場所が知れないとき,又はその場所で送達するのに支障があるときは,雇用,委任その他の法律関係に基づく就業場所で送達できる(民訴法103条)。

当事者,法定代理人又は訴訟代理人は,日本国内の送達場所を受訴裁判所へ届け出なければならず,送達受取人を併せて届け出ることもできる。届出後は,原則として届出場所で送達する(民訴法104条)。

2 書記官送達と出会送達

裁判所書記官は,所属裁判所の事件について出頭した者に書類を交付できる。これに対し,国内に住所等を有することが明らかでない者には出会った場所で送達でき,国内住所等が明らかな者又は送達場所を届け出た者には,受領を拒まない場合に出会送達ができる(民訴法105条)。

郵便業務従事者が日本郵便の営業所で受送達者本人に交付する場合も,送達場所で本人に交付する場合と同様に処理される。本人に会えず,補充送達の要件を満たす者が郵便局窓口に出頭した場合には,民訴法106条1項後段による交付が問題となる。

3 補充送達と差置送達

就業場所以外の送達場所で本人に会えないときは,使用人その他の従業者又は同居者で,書類の受領について相当のわきまえがある者に交付できる(民訴法106条1項)。就業場所では,雇用主,その法定代理人又は従業者等が相当のわきまえを有し,受領を拒まない場合に限って補充送達ができる(同条2項)。就業場所で補充送達がされたときは,裁判所書記官がその旨を本人へ通知する(民事訴訟規則43条)。

本人又は住居所等にいる補充送達受領資格者が正当な理由なく受領を拒んだときは,書類を送達場所に差し置くことができる(民訴法106条3項)。もっとも,就業場所にいる雇用主や従業者等が受領を拒んだ場合には同項の差置送達はできないため,住居所等に宛てた付郵便送達を含む別の方法を検討することになる。

第3 法人に対する送達
1 代表者と送達場所

法人が当事者であるときは,法人の代表者が受送達者となる(民訴法37条及び99条)。代表者の住所等に加え,本人である法人の営業所又は事務所も送達場所になる(同法103条1項ただし書)。代表者が受送達者であることと,法人の本店,支店その他の営業所又は事務所が送達場所になることは,区別して理解する必要がある。

法人の営業所又は事務所で代表者本人に会えない場合でも,その場所で勤務し,書類の受領について相当のわきまえがある従業者等に交付すれば,補充送達が成立し得る。形式的な所属だけでなく,当該送達場所との関係,担当業務,年齢及び書類を名宛人へ渡すことを期待できる立場であるかを具体的に検討する。

国が当事者であるときは,国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律1条により法務大臣が国を代表する。
法務省大臣官房訟務部門の「訟務事務入門(第6版)」(平成18年3月)によれば,国を被告とする訴状は裁判所から法務大臣に送達され,法務省から担当の法務局又は地方法務局に事件が移される(PDF34頁~35頁)。
広島高裁平成3年1月31日判決(平成2年(ネ)第84号,判例秘書の判例番号 L04620028)は,国を相手方とする証拠保全手続の呼出状等は法務大臣の住所又は事務所に送達すべきものとし,指定代理人に指定されていない国立病院長への送達は違法であるとした。
最高裁平成3年12月5日第一小法廷判決(平成3年(オ)第652号,判例秘書の判例番号 L04610093)は,この原審の判断を正当として是認し,上告を棄却した。
国側の手続の流れは,国を被告とする訴訟で国側は何をしているかで説明している。

2 支店の受付係への交付と企業の期限管理

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訴訟能力,訴状等の受送達者,審判前の保全処分及び特別代理人(AIリライト)

目次

第1 訴訟能力を判断するための基本区分

1 訴訟能力,行為能力及び意思能力の違い

2 通常の民事訴訟における未成年者及び成年被後見人

(1) 未成年者

(2) 成年被後見人

3 被保佐人及び被補助人

4 後見開始の審判がない意思無能力者

第2 訴状その他の裁判書類の受送達者

1 現行民事訴訟法99条の原則

2 類型別の受送達者

(1) 未成年者及び成年被後見人

(2) 被保佐人及び被補助人

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裁判所職員の予算定員の推移

目次
第1 裁判官及び秘書官の予算定員の推移
1 裁判官の予算定員の推移
2 裁判官秘書官の予算定員の推移
第2 一般職俸給表準用職員の予算定員の推移
第3 一般職俸給表準用職員の予算定員の内訳の推移
1 指定職俸給表準用職員の予算定員の推移
2 行政職俸給表(一)準用職員の予算定員の推移
3 行政職俸給表(二)準用職員の予算定員の推移
4 医療職俸給表(一)準用職員の予算定員の推移
5 医療職俸給表(二)準用職員の予算定員の推移
6 医療職俸給表(三)準用職員の予算定員の推移
第4 裁判所の職種別の予算定員の推移
1 裁判所書記官
2 裁判所速記官(平成10年度に新規養成停止)
3 家庭裁判所調査官
4 裁判所事務官
5 その他一般職(技能労務職員,医師,栄養士,看護師等)
6 補足説明
第5 平成25年度以降の裁判所の非常勤職員
第6 令和3年度開始のデジタル人材の採用
1 令和4年度採用のデジタル人材
2 令和3年度採用のデジタル人材
3 補足説明及び関連記事
第7 平成25年度以降の裁判所所管一般会計歳出予算各目明細書
第8 司法修習終了直後の判事補採用数の推移
第9 司法制度改革当時の裁判官の増員論
第10 予算書・決算書データベースに載ってある予算書へのリンク
第11 級別定数表の「職名」別の予算定員と裁判所データブックに記載されている書記官等の定員の対応関係
第12 最高裁から国会への情報提供文書

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裁判所の報道対応の基礎

目次
第1部 裁判所の報道対応の基礎
第2部 資料の法的位置付けと現在の補足
第3部 関連記事その他

第1部 裁判所の報道対応の基礎
・ 以下の記載は,最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)16頁ないし24頁を転載したものです。令和2年当時の裁判所職員向け参考資料であり,現在の新聞発行部数,放送ネットワーク又は記者組織の一般的な統計・定義として示すものではありません。

第1 報道機関についての基礎知識(原文の3-1)
1 新聞
(1) 全国紙,ブロック紙,県紙
    日本全域を配布エリアとする新聞を全国紙といい,朝日,毎日,読売,日経,産経の5紙がこれに当たる。これだけで新聞の総発行部数の5割以上を占めている。ブロック紙は,配布エリアが数県にわたる広いエリアにまたがっている新聞で,北海道新聞,中日新聞,西日本新聞がこれに当たる。県紙は,一つの県を主たる配布エリアとする新聞である。
(2) 本社,支局
    全国紙の場合,東京本社,大阪本社,名古屋本社等の本社があり,東京本社を中心に連携をとりながら,各本社ごとに新聞を発行している。本社には,政治部,社会部等の部署が置かれ,取材や紙面の編集活動が行われている。また,おおむね各都道府県の県庁所在地には支局が置かれ,支局に属する記者は,主に各都道府県内の事件等を取材している。
(3) 記者クラブ詰め記者と遊軍記者
    記者は,記者クラブ詰め記者と遊軍記者に分けられる。前者は,取材対象となる省庁や企業等に置かれた記者クラブを拠点に取材活動をしている記者であり,後者は,記者クラブに属さず,平素は自分の得意分野を中心に企画ものの取材等を行い,大事件が発生した場合などには社会部長やデスク等の下でチームを組んで取材に当たる記者である。
2 テレビ
(1) キー局,ネット局,独立局
    キー局は,東京や大阪などに本社を置き,契約を結んだネット局を通じ,制作した番組等を全国的な放送網に乗せることができる放送局で,東京では日本テレビ,TBS,フジテレビ,テレビ朝日,テレビ東京があり,日本テレビがNNN,TBSがJNN,フジテレビがFNN,テレビ朝日がANN,テレビ東京はTXNというネットワークを持っている。
    ネット局は,おおむね県単位で放送を行っており,基本的に独立した局である。独自に地方ニュース等の番組を制作することもあるが,全国的なニュース映像等やドラマなどの番組をキー局から受けて放送する。
    NHKは,キー局であるが,ネット局があるわけではなく,NHK自体が独自の全国的な放送網を持っている。独立局は,県単位で放送を行っているが,特にネットワークに入っておらず,独自の放送を行っている局である。
(2) 制作会社
    テレビの番組,特に特集番組やドキュメンタリー,ドラマなどをテレビ局の依頼等を受けて制作している会社である。テレビ局の放送記者とは別の角度で裁判所に取材や撮影の依頼をすることがある。
(3) 放送記者,プロデューサー,ディレクター
    放送記者も基本的に新聞記者と同様であるが,自分で取材したことを自分でカメラに向かって話すことが多く,レポーターを兼任しているような場合もある。また,記者クラブ詰め記者と遊軍記者がいるところも新聞と同様である。このほか,特定のテーマで報道番組が作られる場合などの,番組制作の責任者をプロデューサー,制作の実務担当者をディレクターと呼ぶ。
3 通信社
    新聞社やテレビ局等に内外のニュースや各種の記事,写真等を供給することを主な業務としている報道機関である。裁判所を日常的に取材している通信社は,共同通信社及び時事通信社の二社である。
4 記者クラブ
    日本新聞協会は,「記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解」(2002年(平成14年)1月17日第610回編集委員会,2006年(平成18年)3月9日第656回編集委員会一部改定)の中で,「記者クラブは,公的機関などを継続的に取材するジャーナリストたちによって構成される「取材・報道のための自主的な組織」です。・・・・記者クラブは,公権力の行使を監視するとともに,公的機関に真の情報公開を求めていく社会的責務を負っています。・・・・記者クラブ制度には,公的機関などが保有する情報へのアクセスを容易にするという側面もあります。・・・・記者クラブは,『開かれた存在』であるべきです。日本新聞協会には国内の新聞社・通信社・放送局の多くが加わっています。記者クラブは,こうした日本新聞協会加盟社とこれに準ずる報道機関から派遣された記者などで構成されます。外国報道機関に対しても開かれており,現に外国報道機関の記者が加入するクラブは増えつつあります。」としている。なお,詳細については,日本新聞協会のホームページに前記見解が掲載されているので,参照されたい。おって,同ホームページ上には,この見解についての解説も掲載され,記者クラブの「目的と役割」,「組織と構成」,「記者会見」,「協定と調整」,「記者室」及び「紛争処理」が説明されており,参考になる。
5 裁判所の記者クラブ

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裁判所の報道発表等

目次
第1部 裁判所の報道発表等
第1 報道発表等における一般的な留意事項(原文の4-1)
第2 資料提供(資料等の投げ込み)(原文の4-2)
第3 記者へのレクチャー(原文の4-3)
第4 所長等就任記者会見(原文の4-4)
第5 記者会見実施上の一般的な留意事項(原文の4-5)
第6 懲戒処分の公表(原文の4-6)
第2部 関連記事その他

第1部 裁判所の報道発表等
・ 以下の記載は,最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)25頁ないし33頁の記載を貼り付けたものです。
・ 平成25年4月版の4-6は,平成15年12月22日付けの人事局長通知だけを挙げていましたが,令和2年3月版は,平成16年3月4日付けで裁判所職員倫理審査会が定めた公表指針も挙げ,いずれも裁判所ウェブサイトで公開されているとしています(平成25年4月版30頁,令和2年3月版31頁)。
版の違いとハンドブック全体の構成は,最高裁判所の広報ハンドブックとは―総論・一般広報の内容と令和2年3月版の改訂点に整理しています。

第1 報道発表等における一般的な留意事項(原文の4-1)
    報道発表等は,おおむね,記者への資料の投げ込み,記者へのレクチャー,記者会見の方法で行われる。報道発表等を行うに当たっては,次のとおり,相手方(報道機関)があることを常に意識することが必要である。
1 報道発表等の内容
    具体的にどのような内容の報道発表等を行うか,明確に整理した上で対応する必要がある。裁判所が報道してもらいたいと考えても,報道機関にとっては報道に値するものと思われない場合もある。また,報道機関は,必ずしも裁判所の業務内容等をこと細かく知っているものでもない。裁判所として国民への説明責任をどのような形で果たすべきか,報道機関がどのようなことに関心を持っているのかなどをふだんから意識しておく必要がある。
2 報道発表等の時期・タイミング
    報道機関(記者)は,日々様々な取材活動等を行っている。報道発表等を行う際には,このことも意識する必要がある。著名事件の裁判が行われている中で報道発表等を行う,記者が記事原稿を社に送るまでの時間がほとんどない時刻に報道発表等を行うなどということは可能な限り避けるべきである。このような時期・タイミングで報道発表等を行うと,記者は時間に追われて記事をまとめることになるが,その結果,十分に報道発表等の内容が理解されないままに記事(誤報)になるおそれがあるからである。
3 報道発表等の準備
    報道発表等の内容によっては,記者に交付する簡潔な説明資料を準備する,更に問われた場合の補足説明事項等を用意する,ということが必要である。
報道発表等は,各社への情報伝達に漏れがないようにする必要がある。そのため,記者クラブの幹事社を通じて行うのが一般的であろう。
4 他庁等への影響等
    ある庁の報道発表等が他庁,関係機関等に影響を及ぼすことがある。報道発表等を行うに当たっては,他庁等にどのような影響,波及が生じるかについても考える必要がある。その上で必要に応じて,上級庁を含め,他庁等に情報提供等することも必要となろう。

第2 資料提供(資料等の投げ込み)(原文の4-2)
    資料等を報道機関に投げ込む方法での報道発表である。報道発表内容を簡潔に記載したペーパー(プレスリリースペーパー)を投げ込むことが多い。例えば,次のようなものがある。
① 人事の報道発表・・・人事異動についての情報提供である。報道の解禁日時を設定して発表することもある(「シバリ付きの報道発表」ともいう。)。

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裁判所の取材対応

目次
第1部 裁判所の取材対応
第1 取材対応において念頭に置くべきこと(原文の5-1)
第2 取材対応における一般的な留意事項(原文の5-2)
第3 取材事項について総務課で即答できない場合の対処(原文の5-3)
第4 休日等における取材対応(原文の5-4)
第5 緊急時における取材対応(原文の5-5)
第6 裁判官等の裁判所職員に対する取材への対応(原文の5-6)
第7 支部等に対する取材への対応(原文の5-7)
第8 検察審査会に対する取材への対応(原文の5-8)
第2部 現行法及び弁護士実務からの補足
第3部 関連記事その他

第1部 裁判所の取材対応
・ 以下の記載は,最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)34頁ないし48頁の記載を貼り付けたものです。

第1 取材対応において念頭に置くべきこと(原文の5-1)
    裁判所には,司法機関として,維持し,あるいは守らなければならない原理,原則がある。その中でも特に取材対応において常に念頭に置かなければならない主なものを以下に掲げる。
一方で,裁判所の説明責任も念頭におく必要があり,この点を考慮することなく,漫然と回答を控える対応とならないよう注意が必要である。

1 裁判所の独立,裁判運営の適正
    裁判所の主な職責は,様々な法的紛争を,法律の定めた手続に従って,適正かつ迅速に処理することである。こうした裁判事務は,裁判所にとってのいわば本体的業務であり,事務局の行う司法行政事務は,この裁判事務が円滑適正に行われることを側面からサポートするためにある。
    ところで,裁判事務は,司法行政事務と異なり,受訴裁判所を中心とする裁判部が,その権限に基づき独立に判断・処理することを原則としている。したがって,広報担当者においては,裁判部の行うこのような権限行使にいささかでも支障となるおそれのある言動は厳に慎む必要がある。例えば,ある判決について,広報担当者が,その当否に触れたと受け取られるコメントをすることは,その者の意図のいかんを問わず,事務局による裁判への干渉(すなわち裁判の独立の侵害)と誤解されかねない。また,そうしたコメントが原因となって訴訟が紛糾すれば,その後の訴訟の適正な運営の障害ともなる。
    広報事務は,前述したとおり,司法行政事務の一種であり,裁判事務をサポートすべきものである。広報担当者による不用意な言動が裁判事務の支障となるというようなことは,本末転倒であり,決してあってはならない。

2 裁判所の中立性,公平性の確保
    裁判所は,その職務の性質上,中立性,公平性を厳に維持しなければならない。実際に中立性,公平性を維持するとともに,この点で国民に疑念を抱かれることも避けねばならない。裁判所は,取材対応を含め,広報活動全般にわたって,裁判所の中立性,公平性と矛盾しないかどうかという観点から配慮しなくてはならないのである。
    例えば,事件の担当裁判官や裁判所書記官等が特定の事件について,法廷外,判決外で説明したり,論議したりすることは,手続の公正や判決の信頼性を傷つけ,ひいては裁判の中立性,公平性に疑念を抱かせることになる。司法行政部門であっても同様であり,裁判所にとって良かれと思ったとしても,このようなことは絶対にしてはならない(法廷内の裁判官の発言内容や判決内容についてコメントを出すなど。そもそも司法行政部門が裁判の内容等について発言することは,それだけで中立性,公平性に疑念を抱かせるおそれがある。)。
    そのほか,次のような例がある。
(1) 裁判所内で事故やトラブルが発生したような場合に,裁判所が当事者的立場に立たされることが起こり得る。裁判所は,今後,その事故等の関係者を裁判しなければならなくなる可能性があることを前提に,取材対応に当たっても,裁判所の中立性,公平性について誤解を与えないような配慮が必要である。

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少年事件についての報道対応の留意事項

目次

第1 少年事件についての報道対応の留意事項第2 関連記事その他
第1 少年事件についての報道対応の留意事項

本記事は,令和2年3月版の裁判所向け広報資料の記載を紹介するものである。引用部分は特定少年の制度が施行される前の資料であり,現行法の説明としてそのまま読むことはできない。
令和4年4月1日施行の改正後は,18歳・19歳の時に犯した罪について起訴された場合,少年法68条による推知報道禁止の適用除外が問題となる。逮捕や逆送だけで禁止が外れるものではなく,略式手続については例外もある。現行の少年法61条・68条を確認されたい。
年齢・逆送・保護処分との関係は特定少年とは―18歳・19歳の少年事件,逆送・保護処分・実名報道,弁護士の取材対応は少年事件で弁護士が取材を受けるときの確認事項,一般的な手続は少年事件の流れと保護者の対応を参照されたい。

平成25年4月版の同じ項(59頁)は,具体的な対応を担当裁判官の了解を得た上で判断するとし,事件受理時や審理途中には外形的ないし客観的事実についてのみ公表するなどの配慮をするとしていた。
令和2年3月版では,担当裁判官の意見を踏まえた上で判断するとされ,外形的ないし客観的事実に限って公表するという例示はなくなった。
版の違いとハンドブック全体の構成は,最高裁判所の広報ハンドブックとは―総論・一般広報の内容と令和2年3月版の改訂点に整理している。

・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)62頁ないし63頁には,「6-7 少年事件についての報道対応の留意事項」として以下の記載があります。

1 少年事件の非公開性
    少年法は,少年事件を非公開手続とし(同法22条2項),少年の情操を保護し(少年審判規則1条),少年の更生及び社会復帰を期するため,秘密の保持に配慮している。報道対応の場面でも少年事件の非公開性には特に配慮しなくてはならない。
    同法61条には,「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については,氏名,年齢,職業,住居,容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」と規定されている。
    この少年事件の特殊性については,折りに触れ記者にも説明し,理解してもらうことが求められる。

2 少年事件の報道対応
    一方,少年事件であっても,裁判所が全く報道対応をしないでいると,かえって不正確な報道を招く危険もある。少年事件の非公開性に十分な配慮をした上で,家庭裁判所の社会に対する説明責任を果たし,家庭裁判所に対する社会の信頼を確保することにも留意しながら報道対応を行う必要がある。捜査段階など,これまでの報道振りから,取材が予想されるような事件が係属している場合には,所長に報告して,あらかじめ今後の報道対応について検討をしておく。具体的な対応は,担当裁判官の意見を踏まえた上,事案ごとに判断することになるが,事件によっては,少年の特定に結び付かず,少年の情操保護,更生を妨げない限度で一定の情報を公表することが相当な場合もあり,その際,事件受理時や審理途中においては,調査や審判等に影響を及ぼさないよう配慮する必要がある。また,被害者等に関する取材についても,二次的被害を与えないように,その心情に十分配慮した対応が必要である。
    なお,少年の身柄に関する事項について報道対応する際には,その情報に基づき取材されることもあるので,観護措置決定の執行終了後に対応したり,関係機関と調整したりするなどの配慮が必要である。決定要旨原案の作成は,担当裁判官に依頼することになるが,記載をどの程度詳細にするかは,審判が非公開とされる趣旨及び少年や関係者のプライバシーに配慮しつつ,家庭裁判所の社会に対する説明責任が果たされているかという観点から判断することとなる。重大事件等においては,ある程度詳細な決定要旨が必要となる場合もあろう。
    おって,記者は少年事件の手続等について知識を持たないこともあるので,正確な報道をしてもらうために,記者に手続の流れなどの一般的知識を提供する等,適宜な措置を講じることも検討されたい。

第2 関連記事その他
1 最高裁判所の広報ハンドブック(少年事件編)(令和2年3月版)を掲載しています。
2 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所の報道対応の基礎
・ 裁判所の報道発表等
・ 裁判所の取材対応
・ 法廷内写真撮影
・ 裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影
・ 報道機関向けの判決要旨とは―裁判所が配る要旨・骨子の作成手順,分量の目安及び交付先(広報ハンドブック6-4)(決定等要旨の扱いを含む)
・ 法廷内記者席
・ 対象裁判が著名事件等である場合の留意事項
・ 所長等就任記者会見,及び記者会見実施上の一般的な留意事項(最高裁判所の広報ハンドブックからの抜粋)

(続きを読む...)少年事件についての報道対応の留意事項

対象裁判が著名事件等である場合の留意事項

目次
第1 対象裁判が著名事件等である場合の留意事項
第2 現行の公式資料による補足
第3 弁護士側の事前確認
第4 関連記事

第1 対象裁判が著名事件等である場合の留意事項
・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)59頁ないし61頁には,「6-6 対象裁判が著名事件等である場合の留意事項」として以下の記載があります。
    全国的に注目を集めている著名事件の初公判や判決言渡しの際には,各報道機関とも大きく取り上げるため,様々な取材の申込み,便宜供与の依頼が予想される。そのような公判や判決言渡しが予定されているときには,広報担当は,あらかじめ報道対応等のやり方を検討し,必要があれば記者クラブと打ち合わせるなどして,当日混乱が生じないように準備する必要がある。
    著名事件等における主な検討項目は,次のとおりである。

1 法廷内記者席
    一般傍聴人も多数来訪することが予想される。記者席を多く取ると一般傍聴席が減って,抽選に列を作った傍聴希望者から苦情が出ることもある。逆に記者席が少ないと,十分に報道できないと記者側から苦情が出る。記者席と一般傍聴席とをいかに調整するかはなかなか難しいが,事前に記者クラブと打ち合わせして調整し,バランスを取る必要がある。
    記者席について,検討,調整する場合には,当然,裁判部と緊密に連絡し合わねばならない。その場合,広報担当者が得ている情報や予想される記者クラブの反応などを裁判部に十分伝えることが必要となる。

2 法廷内カメラ取材
    取材要領を作成の上,代表取材の担当となった社と,集合時間,集合場所等について打合せを行っておく必要がある。また,法廷以外でもカメラ取材が予定されることがあり,それぞれの場所でのカメラ取材に混乱が生じないよう,事前に裁判所からの指示を徹底させる必要がある。広報担当者を適切に配置するなど,混乱回避の手段を講じることも大切である。

3 判決要旨等
    通常,判決要旨・骨子を用意し,記者に配布することになる。事前に記者クラブと部数について打合せをし,裁判部に依頼して部数を用意してもらい,当日混乱なく配布できるように準備する。
    判決要旨・骨子は,原則,判決言渡しの終了後速やかに,広報担当者が記者クラブに配布する。判決言渡しに長時間を要する刑事事件の場合などに,記者クラブから,判決要旨・骨子を主文言渡し後速やかに配布してもらいたい旨の要望が出ることがある。言渡し終了まで待っていたのでは締切時間に間に合わず,かといって判決要旨・骨子なしには正確な報道をするのが困難であるという理由からのものである。裁判体と協議の上,具体的事情に応じた対応策を検討する必要がある。判決要旨等を分割して,段階的に交付する,ということもその対応の一つの方法といえよう。

4 臨時記者室
    極めて著名な事件の場合,通常使用している記者室が広くない庁では,記者クラブから,臨時の記者室として使うための会議室等を提供してもらいたい旨の要望が出ることがある。
    臨時に会議室等を提供するかどうかは,庁舎管理権の問題であり,庁舎管理権者である所長等が決めることになるが,そのためには,その事件ではどのくらいの規模の取材等が予想されるのか,既存の記者室で対処できそうなのかどうかといった点について,事前に広報担当から所長等に報告することが求められる。
    なお,臨時記者室を提供する場合,臨時の電話回線やファクシミリ回線の設置要望が出ることもあり,事前によく記者クラブ側と打ち合わせる必要がある。
おって,臨時記者室は報道のために便宜供与するものであり,当事者が報告集会を行うというような使い方ができないのは当然である。

5 中継車,中継テント
    極めて著名な事件の場合には,特に放送関係の記者から,裁判所構内の駐車場等に中継車を置かせてもらいたい,生中継をするためのテントを張らせてもらいたい旨の要望が出ることがある。このような要望についても庁舎管理権の問題であり,所長等が許否を決めることになるが,臨時記者室と同様に,予想される取材の規模等を広報担当から所長等に報告することが求められる。

(続きを読む...)対象裁判が著名事件等である場合の留意事項

法廷内記者席

目次
第1 法廷内記者席
第2 関連記事その他

第1 法廷内記者席
・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)58頁には,「6-5 法廷内記者席」として以下の記載があります。

    記者クラブから法廷内に記者席を確保してもらいたいという要望がなされることがある。傍聴希望者が多く,傍聴席が一杯になるような著名な事件の場合,この要望が出されることが多いようである。
    法廷内に記者席を設けるか否かは,裁判長又は開廷をした一人の裁判官の法廷警察権に基づく判断に関わることである。したがって,まず,要望が出たことを裁判部に伝えた上,裁判体の判断を仰ぐことになる。裁判体の了解が得られた場合には,その旨を記者クラブに伝え,出席予定記者を確認する。法廷の規模にもよるが,一般傍聴人の傍聴席を確保する必要があることから,通常は,1社1席というのが原則であろう。裁判当日は,当該傍聴席が記者席であることが分かるように,傍聴席に「記者席」等と書かれたカバーを掛ける等の措置を執ることが相当である。記者は,法廷に出たり入ったりすることがあるので,記者席は,通路側の出入口に近い傍聴席に設けるのが一般的である。要警備事件である場合,傍聴券を交付する事件である場合等においては,事前に,裁判部との間で,開廷中の記者の出入りをどの程度認めるか,記者の交代を認めるかなど,よく調整しておく必要がある。
    要望に基づいて記者席を確保したにもかかわらず,何らかの理由で記者が法廷に来ない,ということもあり,傍聴券を交付した事件ではない場合においては,記者席カバーを外し,一般傍聴席に戻すといった措置を執ることもある。理由がどのようなものであれ,傍聴席確保を申し出た記者には,一般傍聴席を減らして記者席を確保しているのであるから,申し出た以上は,必ず法廷に来るように,今後,このようなことがあれば,記者席の確保はできなくなる旨伝えるなど,注意を促すことも必要となろう。
    記者クラブに所属していない報道機関から記者席の申出がされた場合には,記者クラブ所属記者からの申出の状況等を踏まえて対応を検討する必要がある。
    なお,記者席を確保するために,折りたたみ椅子等を法廷内に持ち込むことは相当でない。飽くまでも既存の設備の範囲内で可能な対応をとるというのが,便宜供与をする際の原則である。

・ 平成25年4月版の同じ項(55頁)は,記者席を設けるか否かを「裁判所(長)」の法廷警察権に基づく判断に関わることとし,記者が来なかったときは記者席カバーを外して一般の傍聴席に戻すとしていました。
令和2年3月版(58頁)は,「裁判長又は開廷をした一人の裁判官」の法廷警察権と改め,一般傍聴席に戻す措置を,傍聴券を交付した事件ではない場合のものとしています。
版の違いとハンドブック全体の構成は,最高裁判所の広報ハンドブックとは―総論・一般広報の内容と令和2年3月版の改訂点に整理しています。

第2 関連記事その他
1 裁判所HPの「大法廷web見学ツアー(傍聴席)」には以下の記載があります。
大法廷の傍聴席は,全部で166席あるんじゃ。さらに,新聞記者の人たちが座る記者席も,傍聴席の両側に42席あるんじゃよ。
最高裁判所の大法廷は,日本で一番大きい法廷じゃから,傍聴席も多いんじゃよ。
2 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所の報道対応の基礎
・ 司法記者クラブとは―司法記者の仕事,加盟社・所在地,法曹記者クラブとの違い
・ 裁判所の報道発表等
・ 裁判所の取材対応
・ 判決要旨等
・ 裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影
・ 法廷内写真撮影
・ 所長等就任記者会見,及び記者会見実施上の一般的な留意事項(最高裁判所の広報ハンドブックからの抜粋)

(続きを読む...)法廷内記者席

報道機関向けの判決要旨とは―裁判所が配る要旨・骨子の作成手順,分量の目安及び交付先(広報ハンドブック6-4)(AI作成)

目次
第1 この記事の対象
第2 広報ハンドブック(令和2年3月版)の「6-4 判決要旨等」
第3 報道機関向けの判決要旨の特徴
第4 判決書・判例集の要旨との違い
第5 弁護士・当事者等への交付
第6 資料の性格
第7 関連記事その他

第1 この記事の対象
1 この記事は,最高裁判所事務総局広報課の広報ハンドブック(令和2年3月版)のうち,報道機関向けの判決要旨・骨子と決定等要旨を扱う「6-4 判決要旨等」を掲載し,その内容を整理するものです。
判決要旨は,裁判所が報道機関の正確な報道のために作成して交付する資料であり,判決書そのものではありません。

2 弁護士が判決要旨の交付を申し出る場合の実務は判決要旨を弁護士が受け取るには―申出時期,便宜供与,静岡地裁令和7年11月27日判決,保存及び情報公開(AI作成)に,判決要旨の取扱いの変遷は判決要旨は誰に交付されるか―広報ハンドブック,平成28年・平成29年の事務連絡,美濃加茂市長事件及び情報公開答申(AI作成)に整理しています。

第2 広報ハンドブック(令和2年3月版)の「6-4 判決要旨等」
・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)55頁ないし57頁には,「6-4 判決要旨等」として以下の記載があります。
1 判決要旨等の提供の理由等
    言渡し前に,記者クラブから広報担当に対して,判決言渡しの際,判決要旨・骨子を配布してほしい旨の要望が出されることがある。
    記者は,言渡し後ごく短期間のうちに記事を作成しなくてはならない。記事の予定稿を用意することもあるようであるが,それでも記事をまとめるまでには,非常に慌ただしい作業となる。そのような中で短時間に判決文を読みこなす,あるいは判決理由の朗読を聴いて正確に要点を抽出するということは極めて難しいといえよう。このような状況から,正確な報道のためには,裁判所の方で要旨・骨子を提供するのが有効であるとして,これまでも便宜供与してきたところである。

2 判決要旨等作成のための協力依頼
    判決要旨等の作成は広報事務であるが,実際には,事案や判断の内容に精通している裁判体の協力が不可欠である。判決を正確に報道してもらうためであり,記者クラブから要望があった場合には,広報担当者から速やかに裁判部(裁判官)に依頼することになる。
    裁判部に判決要旨等の原案作成を依頼する際には,次の点にも配慮を願うとよい。
(1) 長文にならないよう配慮
    紙面のスペースには限りがあるため,判決要旨が長文であると,一部がカットされて掲載されることになる。事件にもよるが,新聞に掲載される分量は,長くても3000字程度,骨子は300字程度とされている。これが要旨等の長さの目安になる。
(2) 分かりやすいよう配慮
    例えば,当事者複数の民事事件の場合,記者は主文を見て認容総額を把握できないこともある。判決要旨中に認容総額を盛り込むと誤報が防げる。当事者多数の損害賠償事件などでは,認容総額(連帯して支払が命じられたときは,全体で支払うべき額),判決時の原告数と認容した原告数,認容最高・最低額等が分かるような一覧表を用意するなどの工夫が求められる。また,判決要旨の各項目ごとに見出しなどを付けると判決要旨の全体像が分かりやすい。判決要旨は,報道のためのもので,判例集に載せるものではない。重要な法律論であっても,記者が関心を示さないようなものは省き,判決要旨等は,一般読者を想定した,分かりやすいものを作成すべきであろう。
(3) プライバシー情報への配慮
    判決要旨等の作成に当たっては,秘匿決定のされた事項等,関係者のプライバシーに関する情報に十分配慮することが求められる。

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裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影

目次
第1 結論及び現在の一般来庁者向け案内
第2 広報ハンドブック(令和2年3月版)の説明
第3 法廷・裁判期日の撮影との区別
第4 一次資料及び関連記事

第1 結論及び現在の一般来庁者向け案内
1 裁判所の敷地,玄関,廊下その他の庁舎内で,一般来庁者が自由に写真撮影,録音又は録画をできるとは限りません。各裁判所のウェブサイト,現地の掲示及び職員の指示を確認し,必要がある場合は事前に総務課等へ問い合わせる必要があります。
2 東京地方裁判所の「個人での裁判傍聴」は,庁舎内廊下だけでなく,庁舎外の前庭を含む裁判所敷地内では写真撮影・録音等はできないと案内しています。横浜地方裁判所の「傍聴のルール」も,法廷内に限らず裁判所内での写真撮影・録音は一切禁止と案内しています。
3 他方,報道取材,広報行事又は空き法廷の撮影等について,目的,日時,場所,対象及び機材を限定して許可される場合があります。ただし,これは一般来庁者に自由な撮影権があることを意味しません。
4 以下に引用する最高裁判所広報課の広報ハンドブックは,令和2年3月時点の裁判所内部の広報実務を説明する資料です。現在の一般来庁者向けルールそのものではなく,現行の訴訟規則,各裁判所の現在の案内及び個別の許可判断と区別して読む必要があります。
5 裁判所・法廷での撮影等の全体像は,裁判所・法廷で写真撮影,録音又は録画はできるか(AI作成)で整理しています。

第2 広報ハンドブック(令和2年3月版)の説明
・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)50頁には,「6-3 庁舎内(敷地内)写真撮影」として以下の記載があります。
    法廷内カメラ取材のほかにも,裁判所構内における様々なカメラ取材の申込みを受けることがある。具体的な取材申込みごとに,庁舎管理権者であり,広報の責任者である所長がその許否を決めることになる。その際には,裁判所の執務に支障を生じないかどうか,一般来庁者のプライバシーを害さないかどうか,裁判所の中立性,公平性に反しないかどうか,さらに,取材した映像の使用目的,これまでのその庁の取材慣行などを考慮することになろう。また,状況に応じて,上級庁に相談することが必要な場合もあろう。
    なお,庁舎内(敷地内)写真撮影の対応場面例としては,次のようなものがある。

1 著名事件の裁判期日におけるカメラ取材
    著名事件の判決や公判の場合,法廷内カメラ取材以外にもカメラ取材が申し込まれる。事件当事者の登庁場面等は,撮影される側の承諾を条件にして,門から庁舎に入るまでの場面につき許可する例がある。また,庁によっては,玄関先に一定のスペースがあり,一般来庁者等への影響がないと見込まれる場合などには,放送記者の立ちレポを許可する例もある(立ちレポ=立ちレポートの略。テレビ報道で記者が裁判所庁舎等を背景に立ち,裁判の内容や審理の様子を報告するもの。大事件の判決があったときなど,広報担当に立ちレポの許可申請が出てくる。玄関先や裁判所のプレート前辺りで許可される例がある。記者によるレポートのみを認めるのが通常で,スタジオ等との掛け合いや,その場でパネル等を使用してのレポートは認めていないのが大半であろう。)。
    これに対し,例えば,裁判所構内で事件関係者や一般来庁者に対するインタビュー取材をすることや,一方当事者等が裁判所構内で報告集会のような活動を行うのをカメラ取材することは許可していないのが通常である(そもそも構内で一方当事者等による集会等を行わせること自体が,裁判所の中立性,公平性に反するもので不適当である。)。

2 裁判期日以外のカメラの取材
    事件関係者,事件とは関係のない各種団体や個人が,裁判所に対して何らかの要望や申入れのため,あるいは抗議のために来庁することがあり,このような場面のカメラ取材が申請されることもある。この場合,裁判のための報道ではないことから,便宜供与の必要性は低く,また,撮影される人たちの宣伝にもなることから,その許否については慎重に検討する必要がある。
    同様に,原告が訴えを提起する場面のカメラ取材を求められることもある。一方当事者の行為であること,被告はこの訴え提起について知り得る立場にない状況にあることを考えると,裁判所の中立性,公平性の観点からは,このカメラ取材を認めることは相当でないというべきであろう。

3 事故現場等のカメラ取材
    裁判所構内で事故やトラブル等が発生したような場合,その現場のカメラ取材を求められることがあるが,現場では突発的な出来事等に対処する必要があり,さらに捜査への影響や関係者のプライバシーへの配慮といった観点から,カメラ撮影を許可することは多くないものと思われる。

4 テレビ報道番組等のためのカメラ取材

(続きを読む...)裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影