第1 この記事の対象と読み方1 対象範囲と基準日2 「不開示等」の意味第2 司法行政文書開示制度の法的枠組み1 情報公開法の直接適用ではないこと2 開示原則と不開示情報3 審査委員会と答申の位置付け第3 平成27年度の答申3件第4 平成28年度の答申7件第5 平成29年度の答申5件第6 平成30年度の答申22件第7 平成31年度の答申5件第8 42件に現れた主な不開示理由1 個人識別情報2 人事,採用,試験及び修習の事務3 庁舎警備,情報セキュリティ及び国際関係4 一部開示,存否応答拒否及び不存在の区別第9 部分開示に関する最高裁判例1 最高裁平成19年4月17日第三小法廷判決2 最高裁令和7年6月3日第三小法廷判決第10 平成31年度以後の答申への導線第11 関連記事第12 出典・参考資料1 法令・要綱2 裁判所の公式ページ・答申3 裁判例
第1 この記事の対象と読み方
1 対象範囲と基準日
本記事は,最高裁判所が開示の申出を受けた司法行政文書に関する答申のうち,従前から収録してきた平成27年度から平成31年度(令和元年度)(最情)答申第7号までの42件を整理したものである。
調査の基準日は令和8年9月9日,一覧の資料対象期間は平成27年度から平成31年度答申第7号までであり,行政機関の保有する情報の公開に関する法律は同基準日に施行されている条文を確認した。
この42件は,各年度の答申全件ではなく,当該期間の不開示,一部不開示,存否応答拒否等を知るための収録例である。
平成31年度答申第8号以後を含む年度別の公表答申は,最高裁判所の情報公開・個人情報保護審査委員会の年度別索引から確認できる。
2 「不開示等」の意味
表の「結果」は,審査委員会が最高裁判所事務総長の原判断をどのように評価したかを示す。
「全部不開示を妥当」と「一部不開示を妥当」のほか,文書の存在の有無に答えること自体が不開示情報を明らかにする「存否応答拒否」,作成又は取得していないことを理由とする不開示,従前の不開示範囲の一部を開示すべきであるとする答申が含まれる。
したがって,ここに掲げた対象名は,必ずしも当該文書の存在や全体の不開示を意味しない。
特に,存否応答拒否の事例から文書の存在を推論することはできない。
第2 司法行政文書開示制度の法的枠組み
1 情報公開法の直接適用ではないこと
裁判所は,「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の対象ではなく,同法の直接適用はない。
裁判所は,同法の趣旨を踏まえた「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱」を定め,これに基づいて司法行政文書を開示している。
取扱要綱第1の「司法行政文書」は,裁判所の職員が職務上作成し,又は取得した司法行政事務に関する文書,図画及び電磁的記録であって,組織的に用いるものとして裁判所が保有するものである。
事件記録のような裁判事務に関して保有する文書は,原則としてこの開示手続の対象ではない。
2 開示原則と不開示情報
取扱要綱第2は司法行政文書の開示を原則とし,法令に別段の定めがあるとき,又は情報公開法5条の不開示情報に相当する情報が記録されているときを例外とする。
表の答申では,個人識別情報,人事管理,試験・研修,庁舎警備,情報セキュリティ,国際的信頼関係等への支障のおそれが問題となっている。
取扱要綱第3は,不開示情報が記録された部分を容易に区分して除けるときの部分開示を定める。
同要綱第5は,文書が存在するか否かを答えるだけで不開示情報を開示することになるときは,存否を明らかにしないで開示しないことができるとする。
3 審査委員会と答申の位置付け
情報公開・個人情報保護審査委員会は,平成27年7月1日に最高裁判所に設置された諮問機関であり,外部有識者3人で構成される。
同委員会は,最高裁判所の諮問に応じ,全国の裁判所による司法行政文書又は保有個人情報の開示・不開示等の判断を調査審議して答申を行う。
答申は裁判や判決ではなく,苦情申出に対する最高裁判所の判断そのものでもない。
裁判所の司法行政文書開示手続によれば,最高裁判所は同委員会の答申を尊重して苦情申出に対する判断を行う。
第3 平成27年度の答申3件
平成27年度は,所長会同,裁判官の転勤内示及び後見監督に関する3件である。
それぞれ,外部との信頼関係,人事管理の機密性,又は後見監督の実効性への支障のおそれが理由とされた。
通番答申(答申日)対象結果主な理由
1平成27年度(最情)答申第1号(平成27年12月25日)高等裁判所長官,地方裁判所長及び家庭裁判所長会同の文書一部不開示を妥当外部団体への評価等を公にすると,信頼関係が損なわれ,裁判所の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある
2平成27年度(最情)答申第5号(平成28年2月22日)裁判官の転勤の内示時期の目安が分かる文書全部不開示を妥当異動への不当な働き掛け等により,公正かつ円滑な人事の確保に支障が生じるおそれがある
3平成27年度(最情)答申第6号(平成28年2月23日)「これからの後見監督の在り方について(参考資料)」の監督区分等一部不開示を妥当監督方法等が分析され,不正又はその隠蔽を容易にし,後見監督事務に支障を及ぼすおそれがある
第4 平成28年度の答申7件
平成28年度は,司法修習生考試,情報セキュリティ,裁判官の昇給及び庁舎警備等に関する7件である。
ホワイトリストに関する答申は存否応答拒否であり,文書の存在を認定したものではない。
(続きを読む...)最高裁判所の司法行政文書に関する不開示等の答申42件-平成27年度から平成31年度答申第7号まで(AIリライト)