第1 この記事の対象と現在地
1 令和8年8月28日現在の現職
本記事は,令和8年8月28日現在の公表資料をAIで照合し,手嶋あさみ長官の現在の役職,出身・学歴,主要経歴,高裁長官の任命手続,公式挨拶及び定年を整理するものである。
名古屋高等裁判所の公式紹介は,同長官が昭和37年10月30日生まれであり,令和8年3月に名古屋高等裁判所長官に就任したと記載している。
令和8年3月27日付の発令は,裁判所時報第1884号の人事異動欄でも確認できる。
したがって,同年8月28日現在の現職は名古屋高等裁判所長官である。
2 既存の経歴記事との役割分担
現職裁判官カテゴリーの経歴記事は,日単位の異動歴及び関与した裁判例を検索するための記事である。
これに対し,本記事は全異動歴を再掲せず,現在地,任命の法的構造,公表された就任経緯,公式挨拶及び定年日の計算に重点を置く別記事である。
長官の前任者及び就任順を確認する場合は,歴代の名古屋高裁長官を参照されたい。
このように参照先を分けることで,人物の詳細な異動歴と,現在の役職に関する制度説明とを重複なく確認できる。
第2 出身,学歴及び経歴の要点
1 東京都出身と東京大学法学部卒業
公表された高等裁判所長官任命関係書類のPDF13頁には,東京大学法学部卒業と記載されている。
同頁の出生地欄は公開版ではマスキングされており,名古屋高裁の公式紹介にも出身地の記載はないため,これらの公的資料だけから東京都出身であることは確認できない。
名古屋テレビの令和8年4月11日付報道は,東京都出身であり,東京大学法学部を卒業したと伝えている。
したがって,本記事では,学歴は任命関係書類で確認できる事実として,出身地は報道に帰属させて記載する。
2 平成3年の任官から名古屋高裁長官まで
名古屋高裁の公式略歴によれば,平成3年に裁判官に任官し,東京地裁,札幌地家裁,最高裁,外務省,香港領事館,東京高裁及び司法研修所等で勤務した。
裁判所での裁判実務に加え,司法行政及び在外公館での勤務を含む経歴である。
| 時期 | 主な役職・勤務先 |
|---|---|
| 平成3年 | 裁判官任官 |
| 平成16年4月から3年間 | 名古屋高裁民事部勤務 |
| 令和4年9月 | 宇都宮地方・家庭裁判所長 |
| 令和5年6月 | 東京高裁判事(部総括) |
| 令和6年9月 | 司法研修所長 |
| 令和8年3月27日 | 名古屋高裁長官 |
上表は,現在の役職を理解するための主要な節目に限ったものであり,全異動歴ではない。
令和4年9月以降の役職は名古屋高裁の公式略歴により,令和8年3月27日という日付は裁判所時報により確認した。
第3 名古屋高裁長官の任命手続
1 最高裁の指名,内閣の任命,天皇の認証及び最高裁の補職
日本国憲法80条1項及び裁判所法40条1項によれば,高等裁判所長官を含む下級裁判所裁判官は,最高裁判所が指名した者の名簿によって内閣が任命する。
裁判所法40条2項は,高等裁判所長官の任免を天皇が認証すると定めている。
裁判所法42条1項は,高等裁判所長官及び判事を,同項各号に掲げる法律専門職の在職年数を通算して10年以上となる者から任命すると定める。
本件の任命資格調は,判事補及び検察官としての在職通算10年以上を記録し,裁判所法42条1項1号及び3号を根拠条文としている。
内閣による高裁長官への任命と,特定の高等裁判所への配置は,法令上は区別される。
裁判所法47条により,下級裁判所裁判官の職への補職は最高裁判所が行うため,名古屋高裁長官という配置は最高裁判所の補職による。
2 令和8年の公表記録
本件では,指名から発令までを次の公表記録でたどることができる。
各資料は別の段階を記録しているため,一つの資料だけで全手続を説明するのではなく,相互に照合する必要がある。
| 日付 | 公表記録から確認できる事項 |
|---|---|
| 令和8年2月18日 | 最高裁人任第230号は,裁判官会議の議を経て,高裁長官に任命されるべき者として指名したと記録する。発令希望日は同年3月25日以降である。 |
| 令和8年2月20日 | 首相官邸の定例閣議案件は,「判事東亜由美外1名」を高裁長官に任命することを決定したと記録する。任命関係書類により,この「外1名」に手嶋長官が含まれることを確認できる。 |
| 令和8年3月27日 | 宮内庁の日程は,宮殿松の間で高裁長官の認証官任命式が行われたことを記録する。裁判所時報は,同日付で司法研修所長から名古屋高裁長官となったことを記録する。 |
首相官邸の案件一覧は個人名を「外1名」と省略し,宮内庁の日程も出席者の個人名を掲載していない。
手嶋長官本人の特定には,氏名を記載した任命関係書類及び裁判所時報を併せて確認することが必要である。
3 令和8年3月27日の発令と同年4月6日の着任報道
裁判所時報が記録する名古屋高裁長官への発令日は令和8年3月27日である。
これに対し,名古屋テレビは,同年4月6日から名古屋高裁長官として着任したと報じている。
前者は人事発令の日であり,後者は現地で職務を開始した日として報じられたものである。
「就任日」を確認するときは,公的な人事記録上の発令日と,報道にいう着任日とを混同しないことが必要である。
第4 公式挨拶が示す重点
1 二度目の名古屋勤務
名古屋高裁長官の公式挨拶によれば,名古屋での勤務は今回が2度目である。
最初の勤務は平成16年4月から3年間の名古屋高裁民事部勤務であり,公式挨拶は愛知万博の開催及び中部国際空港の開港に触れ,当時の地域の活気と堅実な土地柄に強い感銘を受けたと振り返っている。
この説明は,単に名古屋に赴任したという経歴ではなく,約19年ぶりに同じ地域で勤務するという今回の位置付けを示している。
既存経歴記事の異動日一覧とは異なり,公式挨拶からは本人が前回勤務をどう記憶しているかを確認できる。
2 奥能登と適正迅速な司法サービス
公式挨拶は,着任直後に奥能登地域を訪れ,能登半島地震及び能登豪雨からの復旧復興が進む一方で,深い被害の跡が残る状況を見聞きしたと述べている。
その上で,地域の状況を理解し,身近な裁判所として適正迅速な司法サービスを提供できるよう努めるとの抱負を示している。
ここで述べられているのは,個別事件の処理方針ではなく,管内の被災状況を踏まえた司法サービス全体への姿勢である。
公式挨拶の射程を超えて,特定の事件に関する判断又は結論を読み取ることはできない。
3 デジタル化と利用者にとっての裁判所
公式挨拶は,法を,社会の問題や紛争を乗り越えるために生み出された「知恵」の結晶と位置付けている。
価値観や社会経済活動が複雑化し,デジタル技術が急速に進展する中で,デジタル化の利点を生かし,利用者にとって「頼りがいのある」裁判所であり続けるために職員一丸で取り組むとの抱負である。
したがって,公式挨拶の中心は,デジタル化自体を目的とすることではなく,変化する社会でも司法の役割を果たし,裁判所利用者から信頼される存在を維持することにあると読める。
これは挨拶の内容を整理したものであり,施策の完了又は効果を示すものではない。
第5 任期と定年
1 10年任期と65歳定年
日本国憲法80条1項及び裁判所法40条3項によれば,下級裁判所裁判官の任期は10年であり,再任されることができる。
他方,裁判所法50条は,高等裁判所長官,判事及び判事補について,年齢65年に達した時に退官すると定めている。
したがって,令和8年3月の高裁長官任命から10年を数えるだけでは在職可能期間を判断できない。
10年の任期が満了する前に65歳へ達する場合は,法定年齢による退官が先に到来する。
2 法律上の定年退官日は令和9年10月29日
手嶋長官の生年月日は昭和37年10月30日である。
年齢計算ニ関スル法律は,年齢を出生の日から起算し,民法143条を準用すると定め,民法143条2項は,年による期間が起算日に応当する日の前日に満了すると定めている。
このため,昭和37年10月30日生まれの者は,令和9年10月29日の終了時に65歳へ達する。
現職及び現行法を前提とすれば,裁判所法50条により,同日限りで定年退官する計算となる。
3 既存の経歴記事にある令和9年10月30日との違い
現職裁判官カテゴリーの既存経歴記事は,「定年退官発令予定日」を令和9年10月30日と表示している。
これは誕生日を表示日とする当ブログのデータ上の表記であり,法律上の身分終了日を示すものではない。
法律上の定年退官日を確認するときは,年齢到達日の計算に従い,令和9年10月29日限りとする必要がある。
この日付は現職及び令和8年8月28日現在の法令を前提とした計算であり,将来の人事を予測するものではない。
出典・参考資料
1 法令
①e-Gov法令検索「日本国憲法」,80条。
②e-Gov法令検索「裁判所法」,40条,42条,47条及び50条。
③e-Gov法令検索「明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)」,第1項及び第2項。
④e-Gov法令検索「民法」,143条2項。
2 公文書・人事資料
①最高裁判所及び内閣「高等裁判所長官任命関係書類(令和8年2月20日付)」,PDF1頁~2頁及び11頁~13頁。
②内閣官房「令和8年2月20日(金)定例閣議案件」,令和8年2月20日,人事欄。
③最高裁判所事務総局「裁判所時報第1884号」,令和8年4月15日,資料11頁(PDF13頁)。
④宮内庁「認証官任命式(高等裁判所長官)(宮殿)」,令和8年3月27日。
3 裁判所の公式説明
①名古屋高等裁判所「名古屋高等裁判所長官の紹介」,氏名,生年月日,略歴及び御挨拶(令和8年8月28日閲覧)。
4 報道・補助資料
①名古屋テレビ放送「名古屋高裁の新長官が着任」,令和8年4月11日。
②山中弁護士ブログ「現職裁判官カテゴリーの経歴記事」,全異動歴の参照先及び定年日表示の確認資料。