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予算・決算の数値をどこから取るか-概算要求書,予算書,各目明細書,決算書及び決算検査報告の使い分け(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 対象,調査の基準日及び資料の範囲

本記事は,国の一般会計の予算及び決算の数値を,二次資料や報道によらずに一次資料から取るための手順を整理するものである。

対象は,概算要求書,予算書,各目明細書,補正予算書,歳入歳出決算,決算参照,決算検査報告,省庁別財務書類及び補正予算の執行状況の九種類である。

調査の基準日は令和8年9月7日であり,同日に財務省の予算書・決算書データベース,裁判所ウェブサイト,会計検査院検査報告データベース及びe-Gov法令検索で確認できた資料に基づく。

具体例には裁判所所管を用いる。
裁判所所管は歳出が令和6年度決算で78行と小さく,同じ数値を複数の資料で追いやすいためである。
もっとも,資料の構造そのものは全所管に共通する。

特別会計,政府関係機関及び地方公共団体の予算・決算は対象外である。

予算の額が誰の判断で決まるのかという問題は,裁判所の予算は誰が決めているのか――二重予算制度と,令和2年度から令和8年度まで附記が0件だったことで扱った。
本記事は,額そのものではなく,額が載っている資料の側を扱う。

2 結論

① 同じ「支出済歳出額」が,円単位,千円単位及び百万円単位の三つの粒度で別々の資料に載っている。
円単位まで必要なら財務省の決算CSVを取るほかない。

② 決算の欄の数は,法令が七つ,歳入歳出決算の項別表が八つ,決算参照の科目別内訳が八つ(ただし欄の顔ぶれが違う),決算CSVが九つで一致しない。
恒等式を組む前に,どの資料の欄を使っているかを確定させる必要がある。

③ 不用額の理由は歳入歳出決算と決算参照の二つに載り,前者は「1項5億円以上のもの」に限る旨を明記し,後者にはその限定がない。
どちらを見たかを書かずに「理由が書かれていない」と結論してはならない。

④ 「前年度予算額」という同じ欄名が,概算要求の概要では前年度の当初予算額を指し,翌年度の予算書及び各目明細書では前年度の補正後の額を指す。
令和7年度でその差は26,199,772千円あり,増減の符号が反転する。

⑤ 繰越には,明許繰越,事故繰越及び継続費の逓次繰越の三区分がある。
決算CSVの「翌年度繰越額」はこの三つの合計であり,区分は決算のPDFにしか載っていない。

⑥ 繰越明許費については,議決の対象である事項の指定,各目明細書に載る金額,及び実際に繰り越した額の三つが別の資料にある。
予算書の丙号繰越明許費には金額欄がない。

⑦ 各目明細書は,財務省の予算書・決算書データベースには収録されていない。
各省各庁が自ら公表するものを取りに行くことになる。

⑧ 決算は,年度終了から約一年八か月後にならないと国会に提出されない。
基準日の時点で最新年度の執行額を読める資料は,各府省庁が公表する「補正予算の主な事業の執行状況」だけである。

第2 予算の数値がどこにあるか

1 要求段階

(1) 根拠となる規定

財政法(昭和22年法律第34号)17条1項は,衆議院議長,参議院議長,最高裁判所長官及び会計検査院長が,毎会計年度,その所掌に係る歳入,歳出,継続費,繰越明許費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し,これを内閣における予算の統合調整に供するため,内閣に送付しなければならないと定める。

同条2項は,内閣総理大臣及び各省大臣について,同じ書類を財務大臣に送付しなければならないと定める。

送付先が内閣であるか財務大臣であるかで分かれているのは,前者が行政各部の指揮監督に服さない機関だからである。

予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)8条1項は,この書類を「財務大臣の定めるところにより作製し、前年度の八月三十一日までに、これを内閣に送付しなければならない」と定める。

一般に「概算要求」と呼ばれているのは,この見積書類の提出である。

(2) どこで読めるか

裁判所所管については,最高裁判所が自らのウェブサイトの「裁判所の予算・決算・財務書類」で公表している。

基準日である令和8年9月7日の時点では,令和9年度のページに「令和9年度概算要求の概要」だけが掲載され,歳入予算概算見積書,歳出概算要求書等及び要望一覧は掲載されていなかった。

これに対し,令和8年度のページには,概要のほか,「令和8年度 一般会計歳入予算概算見積書」,「令和8年度 一般会計歳出概算要求書等」及び「『重要政策の推進』のための要望一覧」の四点が掲載されている。

したがって,概要だけが先に出て,明細を含む書類は後から加わる。
要求段階の数値を項別・目別で見たい場合は,概要の公表を確認しただけで終わらせず,後日改めて同じページを開く必要がある。

(3) 枠の名称は毎年変わる

令和9年度概算要求の概要によれば,裁判所所管の令和9年度要求・要望額は377,633百万円であり,令和8年度予算額349,474百万円に対して28,160百万円,率にして8.1%の増である。

要求・要望額には「要望」5,696百万円及び『「強く豊かな日本」投資枠』23,188百万円が含まれる。

令和8年度概算要求の概要では,同じ位置にある枠の名称が「重要政策推進枠」であり,額は5,839百万円であった。

枠の名称は年度ごとに変わるので,名称で検索すると取りこぼす。
年度別のページから順に開くのが確実である。

なお,要求の中身をより細かく説明した「概算要求書(説明資料)」という資料もある。
局・課ごとに,何にいくら要るか及びなぜ要るかを分解したもので,収集したものを最高裁判所の概算要求書(説明資料)に掲げている。

2 成立段階

(1) 予算書の構成

財務省の予算書・決算書データベース(bb.mof.go.jp)に,昭和22年度以降の予算書及び決算書が収録されている。
年度別アーカイブのURLは https://www.bb.mof.go.jp/archive/reiwa8.html の形であり,素のHTMLなので機械でも取得できる。

令和8年度一般会計予算の総目録によれば,予算書の本体は,予算総則,甲号歳入歳出予算,乙号継続費,丙号繰越明許費及び丁号国庫債務負担行為から成る。

これに,公債の償還計画表と「令和8年度一般会計予算参照書」(歳入予算明細書及び各省各庁予定経費要求書等)が添付される。

国会の議決の対象は前者であり,予算参照書は添付書類である。
財政法28条は,国会に提出する予算に添附しなければならない書類として,歳入予算明細書及び各省各庁の予定経費要求書等を掲げている。

(2) 提出版と成立版が別にある

令和7年度は,一般会計予算が衆議院及び参議院で修正議決を経て成立した。

そのため,同年度のアーカイブには,第217回国会に提出された版(/server/2025_teishutsu/ 配下)と,修正成立後の版(/server/2025/ 配下)が並んでいる。
二つの版が並ぶのは,令和2年度から令和8年度までのうち令和7年度だけである。

二つの版は現に違う。
歳出の科目別内訳を全所管で突き合わせると,6,780行のうち14行で額が変わっており,総務省,文部科学省,厚生労働省及び財務省の四所管が動いている。
歳出の総額は,提出版115,541,501,128千円に対し,成立版115,197,845,248千円で,差は△343,655,880千円である。
歳入の側では,科目そのものが提出版だけの五行と成立版だけの七行に分かれる。

ただし,二つの版が並んでいることは,自分の見ている所管の額が動いたことまでは意味しない。
裁判所所管の歳出は,提出版・成立版とも合計335,192,439千円で一致する。
修正の対象になっていない所管では,どちらを取っても同じ額になる。

自分の見る所管が修正の対象かどうかは,二つの版を突き合わせてはじめて分かる。
ある所管で一致したことを理由に,「この欄はもともと成立額が入るものだ」と一般化することはできない。

(3) 「要求額」という欄名は成立予算額を指すことがある

予算書の甲号予定経費要求書は,「令和8年度要求額(千円)」「前年度予算額(千円)」「比較増△減額(千円)」の三欄で組まれている。

しかしこれは成立した予算書であり,「要求額」の欄に入っているのは成立予算額である。
前記(2)のとおり,提出版と成立版とで同じ欄の額が動く所管があるので,この欄が概算要求額でないことは実測で確かめられる。

裁判所所管でみると,令和8年度の欄の額は349,473,805千円であり,これは令和9年度概算要求の概要が「令和8年度予算額」として掲げる349,474百万円と一致する。

科目別内訳のCSVでも列名は同じであり,令和7年度の成立版のCSVでは列名が「令和7年度要求額(千円)」,提出版では単位表記のない「令和7年度要求額」となっている。
列名だけで要求段階の数値と判断してはならない。

3 各目明細書は予算書に入っていない

(1) 根拠となる規定

予算決算及び会計令12条は,各省各庁の長が,財務大臣の定めるところにより,予定経費要求書等の部局等の区分に従い,当該部局等の経費の金額を各目に区分し,必要に応じ更に各目の金額を細分し,かつ,これらの計算の基くところを示す明細書を作製し,「予算が国会に提出された後、直ちにこれを財務大臣に送付しなければならない」と定める。

各目明細書は,予算書の一部ではなく,予算が国会に提出された後に作られる書類である。

同令14条1項は,歳入歳出予算等の部局等の区分,歳入予算の部款項目並びに歳出予算及び継続費の項の区分を財務大臣が定めるとし,同条2項は,歳出予算及び継続費の目の区分及び各目の細分を各省各庁の長が財務大臣に協議して定めるとする。

財政法31条2項も,予算の配賦の際に項を目に区分しなければならないと定めている。

つまり,(項)は財務大臣が定めたものであり,(目)は各省各庁の長が財務大臣に協議して定めたものである。

(2) データベースには収録されていない

予算書・決算書データベースには語句検索の機能があり,年度を指定して予算書及び決算書の本文を横断検索できる。

基準日に令和8年度を対象として「司法情報システム整備費」を検索したところ,結果は二件であり,いずれも丙号繰越明許費(91頁)と裁判所所管の丙号繰越明許費要求書(303頁)であった。

同じ語は,最高裁判所が公表する令和8年度一般会計歳出予算各目明細書の積算内訳にも出てくるが,検索結果には現れない。
各目明細書はこのデータベースの収録範囲外である。

各目明細書を読みたい場合は,各省各庁のウェブサイトを開くことになる。
裁判所所管であれば,「裁判所の予算」の当該年度のページに置かれている。

網羅的に見えるデータベースに,実は入っていない類型の資料があるという点では,最高裁判所規則がe-Gov法令検索に収録されていないのと同じ構造である。
この点は民事訴訟規則はe-Gov法令検索に載っていない-最高裁判所規則の条文を確認する方法で扱った。

(3) 予算定員は予算書の側に載る

予算書の予算参照書には,所管ごとに「予算定員及び俸給額表」が付いている。

令和8年度の裁判所所管総表によれば,予算定員は25,366人,俸給額は121,141,724千円である。

内訳は,裁判官3,826人,秘書官23人及び一般職の俸給表の準用職員21,517人であり,準用職員はさらに指定職俸給表44人,行政職俸給表(一)21,132人,行政職俸給表(二)289人,医療職俸給表(一)11人及び医療職俸給表(三)41人に分かれる。

一般職の俸給表の準用職員21,517人と秘書官23人の合計は21,540人である。

裁判所職員定員法(昭和26年法律第53号)2条は,基準日時点で,「裁判官以外の裁判所の職員(執行官、非常勤職員、二箇月以内の期間を定めて雇用される者及び休職者を除く。)の員数は、二万千五百四十人とする。」と定めており,予算定員の側の21,540人と一致する。

もっとも,同条の員数は法律の改正によって年度の途中で変わる。
予算定員と定員法の員数を並べるときは,どの時点の条文かを確かめる必要がある。

組織別等内訳では職名まで下りており,最高裁判所長官1人,最高裁判所判事14人,事務総長1人といった単位で人数と級別内訳を読むことができる。

予算定員そのものの推移は裁判所職員の予算定員の推移にまとめている。

4 補正予算

補正予算のCSVは列の構成が当初と異なる。
令和7年度の歳出であれば,「令和7年度成立予算額(千円)」「補正要求追加額(千円)」「補正要求修正減少額(千円)」「補正要求差引額(千円)」「改令和7年度予算額(千円)」の五欄である。

**欄名に年度が入るので,年度を替えると欄名も変わる。
**しかも入る位置が一定でない。
先頭は「令和7年度成立予算額」だが,末尾は「改予算額」ではなく「改令和7年度予算額」である。

**さらに,同じ冊の中でも歳入と歳出で欄名が違う。
**歳入の側は「予算補正追加額(千円)」「予算補正修正減少額(千円)」「予算補正差引額(千円)」であり,「補正要求」ではなく「予算補正」である。
片方の名前で両方を指すと当たらない。

**なお,資料の欄名は半角で書かれているので,本記事では欄名を引くときだけ資料のとおりに半角で示す。
**当初予算のCSVも同様で,成立版が「令和7年度要求額(千円)」,提出版が単位表記のない「令和7年度要求額」である。

修正減少額は負の値で入っているので,追加額だけを足すと過大になる。
差引額の列を使うのが安全である。

裁判所所管でみると,令和7年度は当初335,192,439千円に対し,追加26,770,066千円,修正減少△570,294千円,差引26,199,772千円で,改予算額は361,392,211千円である。

なお,令和8年度一般会計補正予算(第1号)は存在するが,裁判所所管の行は歳出・歳入とも0行である。

裁判所ウェブサイトに当該年度の補正予算の資料が置かれていないことは,補正予算が編成されなかったことを意味しない。
所管が計上の対象になっていないだけのことがある。
所管別の有無は,財務省の年度別アーカイブで確かめる必要がある。

第3 決算の数値がどこにあるか

1 財務省の決算書及びCSV

(1) 科目別内訳のCSVが検算には最も扱いやすい

年度別アーカイブの「決算書関連情報」には,一般会計歳入歳出決算,一般会計決算参照,歳入決算明細書及び歳出決算報告書(科目別内訳)のExcel版及びCSV版,特別会計歳入歳出決算,特別会計決算参照,政府関係機関決算,国税収納金整理資金受払計算書,物品増減及び現在額総報告並びに国の債権の現在額総報告が並ぶ。

このうち科目別内訳のCSVが,機械で扱うには最も扱いやすい。
令和6年度であれば https://www.bb.mof.go.jp/server/2024/csv/DL202477001.zip であり,zipの中の末尾が a.csv のものが歳入,b.csv のものが歳出である。

歳出の列は,所管,組織,項コード,主要経費別分類コード,目的別分類コード,財政法公債金対象非対象別分類コード,経済性質別分類コード,使途別分類コード,目番号,項名,目名の後に,金額の九欄が続く。

なお,執行の側から会計処理そのものを知りたい場合は,最高裁判所が作成する会計執務資料がある。
裁判所の会計執務資料の三部作の解説を参照されたい。

裁判所所管の行数は,令和6年度で歳出78行,歳入17行である。

文字コードは,令和2年度から令和8年度までの当初予算・補正予算・決算のCSV計九冊を確かめたところ,いずれもBOMのないUTF-8であった。
Shift_JIS(cp932)では読めない。

令和2年度から令和6年度までの五年度について,裁判所所管の合計で二本の恒等式を検算したところ,いずれも差は0円であった。

年度歳出予算現額(円)執行率繰越率不用率
令和2年度331,960,372,00094.12%3.30%2.58%
令和3年度336,278,703,12595.06%2.41%2.52%
令和4年度332,138,774,22295.49%1.86%2.65%
令和5年度333,066,464,23592.89%3.97%3.13%
令和6年度367,688,254,03390.37%7.04%2.58%

歳入側の列は,歳入予算額,徴収決定済額,収納済歳入額,不納欠損額,収納未済歳入額及び歳入予算額と収納済歳入額との差の六欄である。

不納欠損額は,裁判所所管でも毎年度発生している。
令和6年度は,弁償及違約金が53,853,883円,修習資金貸与金償還金が994,500円,延滞金が103,811円等で,合計54,952,230円である。

(2) CSVでは取れない層は決算参照のPDFにある

同じ年度別アーカイブに「一般会計 決算参照【PDF版】」があり,令和6年度は /server/2024/dlpdf/DL202477001.pdf(PDFは全915頁)である。

**裁判所所管は,PDFの79頁から85頁まで,資料上の頁でいえば81頁から87頁までである。
**所管の切れ目には中扉があり,そこに「令和6年度裁判所所管歳出決算報告書 (81) 裁判所」と印刷されている。
**括弧の中が資料上の頁番号なので,中扉を見れば二つの頁番号の対応が分かる。
**

**この頁を探すときに,範囲を一頁広く取った。
**「裁判所」という語を含む頁を拾ったところ,直前のPDF78頁が当たったためである。
その頁は国会所管の(組織)裁判官弾劾裁判所であって,裁判所所管ではない。
**部分一致で拾うと,「裁判官訴追委員会」「裁判官弾劾裁判所」のように別の所管の組織名が入ってくる。
**所管の範囲を決めるのであれば,中扉の「◯◯所管歳出決算報告書」で切るほうが確実である。

**この冊にはCSVにない備考欄がある。
**科目別内訳の各行の右端に置かれ,次の三つが自然文で書かれている。

① 流用の理由と流用元の目。
令和6年度の裁判所所管には三件ある。
(目)裁判官等法服費に「被服費が高騰したため」として(目)庁費から3,934,000円,(目)修習資金貸与金に「修習資金の貸与を受けた司法修習生が増加したため」として(目)庁費から78,700,000円,(目)国有財産管理処分庁費に「省庁別宿舎の解体撤去に要する経費が増加したため」として(目)法廷等器具整備費から46,761,000円である。

② 翌年度繰越額の内訳。
令和6年度の裁判所所管には「翌年度繰越額の内訳」として明許繰越額25,894,428,345円が掲げられ,事故繰越額の記載はない。

なお,備考欄の金額は,PDFからテキストを取り出すと桁区切りの後ろに空白が入る。
紙面の組版によるものか取り出しの副産物かは判別できないので,本記事では金額を逐語引用の外に置いた。

③ (項)別の不用額の理由。
「不用額を生じたのは」で始まる定型文である。

流用について理由を書くべきことは,財政法33条4項が「第一項但書又は第二項の規定により移用又は流用した経費の金額については、歳入歳出の決算報告書において、これを明らかにするとともに、その理由を記載しなければならない。」と定めていることによる。
**この理由はCSVには一切入らない。
**

決算参照には,もう一つCSVにない層がある。
組織ごとの冒頭の表が,予算額を当初予算額,予算補正追加額,予算補正修正減少額(△),予算移替増加額,予算移替減少額(△)及び合計に分解している。
令和6年度の裁判所所管は,当初330,979,009,000円,補正追加23,924,928,000円,補正修正減少△454,559,000円,移替0で,合計354,449,378,000円である。
**当初と補正の別を,予算書の側へ戻らずに決算の冊だけで読める。
**

(3) 移替は,欄が0でも起きていることがある

前記の冒頭の表は,移替について特に重要である。

決算CSVの「予算決定後移替増△減額」は,**欄名のとおり予算決定後の移替だけ**を示す。
予算決定の時点で行われた移替は,この欄には現れず,「歳出予算額」の側に織り込まれている。

令和6年度のデジタル庁がその例である。
決算参照の冒頭の表は,当初496,407,038,000円,補正追加211,905,612,000円,補正修正減少△2,548,949,000円,**予算移替減少△509,690,849,950円**,合計196,072,851,050円とする(1円まで閉じる)。

ところが決算CSVでデジタル庁所管を集計すると,歳出予算額は196,072,851,050円で合計と一致する一方,**予算決定後移替増△減額は39行すべて0である。
**五千億円を超える移替が,CSVの側からは全く見えない。

会計検査院も同型で,当初16,282,621,000円,補正追加412,040,000円,補正修正減少△343,552,000円,**予算移替増加601,845,826円**,合計16,952,954,826円である。
CSVの歳出予算額はこの合計に一致し,移替の欄は42行すべて0である。

**したがって,「予算決定後移替増△減額が0だから移替はなかった」とは言えない。
**移替の有無を見るのであれば,決算参照の冒頭の表を開くことになる。

なお令和6年度の一般会計全体では,CSVの同欄が非0である行は67行あり,正側の合計は1,064,372,332,860円である。
増減が対になるので,全体の合計は0になる。

2 裁判所ウェブサイトの「裁判所決算の概要」

最高裁判所は,平成27年度以降の各年度について「裁判所決算の概要」を一頁のPDFで公表している。
基準日の時点では令和6年度分までが掲載されている。

単位は百万円で,資料自身が「計数は、単位未満を切り捨てたものであり、端数において合計とは合致しないものがある」と注記している。

令和6年度分によれば,歳入は,政府資産整理収入が歳入予算額2,610に対し収納済歳入額2,675,雑収入が70,263に対し132,257で,合計は72,873に対し134,933,差引62,059である。

歳出は,歳出予算現額367,688,支出済歳出額332,296,翌年度繰越額25,894,不用額9,497である。

支出済歳出額,翌年度繰越額及び不用額を足すと367,687となり,歳出予算現額と一致しない。
切り捨ての結果であり,誤りではない。
円単位で検算したいのであれば,財務省のCSVを使うことになる。

歳入について掲げられているのは歳入予算額,収納済歳入額及び差引額の三欄だけである。
徴収決定済額,不納欠損額及び収納未済歳入額はこの資料からは読めない。

3 決算検査報告

会計検査院の検査報告データベース(report.jbaudit.go.jp)には,昭和22年度から令和6年度までの検査報告が収録されており,年度別の目次からたどるほか,全文検索もできる。
令和6年度決算検査報告は令和7年11月に公表された。

第6章「歳入歳出決算その他検査対象の概要」の第1節に,一般会計の支出済歳出額が所管別に千円単位で載っている。

裁判所所管は,令和6年度が332,296,053千円,令和5年度が309,396,122千円である。
二年度が並記されるので,前年度との比較はこの表だけで済む。

他方,第3章「個別の検査結果」の第1節「省庁別の検査結果」に裁判所所管は現れない。
令和6年度決算検査報告の目次では,内閣府から防衛省及び復興庁までが並び,国会,裁判所及び会計検査院の項目はない。

もっとも,これは検査の対象外であることを意味しない。
会計検査院法(昭和22年法律第73号)20条1項は,会計検査院が日本国憲法90条の規定により国の収入支出の決算の検査を行うほか,法律に定める会計の検査を行うと定め,同法22条1号は「国の毎月の収入支出」を検査を必要とするものとして掲げる。

同法21条は,会計検査院が検査の結果により国の収入支出の決算を確認すると定めており,検査報告の第2章「決算の確認」がこれに当たる。

令和6年度決算検査報告の第2章第1節第1は,一般会計について歳入135,980,878,488,286円及び歳出123,023,998,629,580円を確認したものとして掲げており,裁判所所管の決算もこれに含まれている。

第3章に裁判所所管が現れないのは,同章に掲げられる個別の検査結果が令和6年度についてはなかったためと考えられる。

4 省庁別財務書類

省庁別財務書類は,企業会計の考え方及び手法を活用して各省庁単位で作成される財務書類である。

裁判所ウェブサイトの説明によれば,これは行政府の説明責任の履行に資する財務情報の提供等を目的とするものであるが,国の財務書類の作成の基礎になり得ることから,行政機関以外の国会,裁判所及び会計検査院も作成対象とされている。

裁判所所管については令和2年度から令和6年度までが掲載されており,あわせて「政策別コスト情報・省庁別財務書類の概要」及び「フルコスト情報の開示について」が置かれている。
令和2年度からは,政策別コスト情報に代えて事業別フルコスト情報が作成されている。

歳入歳出決算が現金の収支を示すのに対し,こちらは資産・負債・費用の姿を示す。
同じ年度の数値であっても,前記1から3までの資料とは作成の基礎が異なるので,そのまま並べて比較することはできない。

5 最新年度の執行額は「補正予算の執行状況」で読める

各府省庁は,補正予算に計上した主要な事業について,決算時点の執行状況を公表している。

裁判所ウェブサイトの決算のページには,基準日の時点で三つの表が置かれている。
「令和7年度補正予算の執行状況(令和7年度決算時点)」,「令和6年度補正予算の執行状況(令和7年度決算時点)」及び「令和6年度補正予算の執行状況(令和6年度決算時点)」である。

このうち令和7年度分は,単位を億円として,裁判所の「裁判手続等のデジタル化等」について,補正予算額162,歳出予算現額161,支出済額6,翌年度繰越額153,不用額1と示し,備考欄に「令和8年度7月末時点においては、151億円契約済み。」と記載する。
「防災・減災対策」については,補正予算額48,歳出予算現額47,支出済額は皆無,翌年度繰越額47,不用額は皆無であり,備考欄は「令和8年度7月末時点においては、34億円契約済み。」である。

基準日の時点で財務省の令和7年度アーカイブに決算書関連情報はない。
この表は,令和7年度の執行額を読める唯一の公表資料である。

令和6年度分の表は,同じ補正予算を令和6年度決算と令和7年度決算の二年度にわたって追っている。
「裁判手続等のデジタル化等」は,令和6年度に補正予算額169,歳出予算現額169,支出済額1,翌年度繰越額167,不用額は端数であり,令和7年度は前年度繰越額167,歳出予算現額167,支出済額164,翌年度繰越はなく,不用額2である。

補正予算で積んだ額が翌年度に実際に使われたかどうかを,二年度並べて読めるのはこの表だけである。

なお同表の注3は,補正予算額は億円未満を四捨五入し,移替等増減額,歳出予算現額,支出済額,翌年度繰越額,不用額及び前年度繰越額は億円未満を切り捨てているため,補正予算額と歳出予算現額が同額の場合でも金額が一致しない場合があると断っている。
欄によって丸め方が違う。

第4 同じ数値が三つの粒度で公表されている

裁判所所管の令和6年度の支出済歳出額を例にとると,次のとおりである。

資料単位数値
財務省・歳出決算報告書(科目別内訳)CSV332,296,053,276
会計検査院・令和6年度決算検査報告第6章千円332,296,053
最高裁判所・令和6年度裁判所決算の概要百万円332,296

三つは同じ数値であり,粒度が違うだけである。

執行率のように割り算をする場合は,丸めた数値を使うと結果が動く。
円単位で計算するのであれば,CSVを取るほかない。

逆に,前年度との比較や所管間の比較で足りるのであれば,決算検査報告の所管別の表が最も早い。

第5 決算の欄は七・八・九で数が違う

財政法38条2項(二)は,歳出の決算について明らかにしなければならない事項として,歳出予算額,前年度繰越額,予備費使用額,流用等増減額,支出済歳出額,翌年度繰越額及び不用額の七つを掲げる。

ところが,実際の資料の欄は三通りに分かれる。

資料歳出の金額欄欄の構成
財政法38条2項(二)歳出予算額/前年度繰越額/予備費使用額/流用等増減額/支出済歳出額/翌年度繰越額/不用額
一般会計歳入歳出決算(所管・組織・項別の表)右に「予算決定後移替増△減額」が加わる。**歳出予算現額の欄はない**
一般会計決算参照(科目別内訳)8+備考「歳出予算現額」が加わり,**予算決定後移替増△減額の欄はない**。右端に備考欄がある
歳出決算報告書(科目別内訳)CSV上の両方を備えるが,備考欄はない

いずれも令和6年度で確かめたものである。
決算参照の科目別内訳に「予算決定後移替増△減額」の語は一度も現れない。

同じ決算参照の中でも,事項別内訳の末尾の欄は「不用額」ではなく「差引額」であり,欄名が節によって変わる。

したがって,恒等式は二本立てになる。

① 歳出予算額+前年度繰越額+予備費使用額+流用等増△減額+予算決定後移替増△減額=歳出予算現額

② 支出済歳出額+翌年度繰越額+不用額=歳出予算現額

歳入の側も同じ構造である。
財政法38条2項(一)は,歳入予算額,徴収決定済額,収納済歳入額,不納欠損額及び収納未済歳入額の五つを掲げるが,CSVはこれに「歳入予算額と収納済歳入額との差」を加えた六欄である。
裁判所ウェブサイトの決算の概要は,このうち三欄だけを掲げる。

同じ「決算」であっても,読んでいる資料によって手元にある欄の数が違う。
恒等式を組む前に,欄の構成を確認する必要がある。

第6 繰越の三区分と,三つの繰越の金額

1 明許繰越,事故繰越及び逓次繰越

繰越には,根拠規定の異なる三区分がある。

① 財政法14条の3第1項の繰越明許費に基づく明許繰越。
歳出予算の経費のうち,その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについて,予め国会の議決を経て翌年度に繰り越して使用するものである。

② 財政法42条ただし書の事故繰越。
年度内に支出負担行為をし,避け難い事故のため年度内に支出を終らなかったものについて認められる。

③ 財政法43条の2第1項の継続費の逓次繰越。
継続費の年割額のうち年度内に支出を終らなかったものを,事業の完成年度まで繰り越すものである。

いずれについても,財政法43条1項が,繰越計算書を作製し,事項ごとにその事由及び金額を明らかにして,財務大臣の承認を経なければならないと定めている。

令和6年度一般会計歳入歳出決算によれば,翌年度繰越額10,243,266,020,197円の内訳は,明許繰越9,738,971,148,954円(95.08%),事故繰越494,544,393,847円(4.83%),継続費の逓次繰越9,750,477,396円(0.10%)である。

決算CSVの「翌年度繰越額(円)」は,この三つの合計である。
区分ごとの内訳は二つのPDFにしか載っていないので,年度を並べて繰越を論じるのであれば,PDFの側を見なければ性質の違う繰越を混ぜることになる。

二つのPDFで見え方が違う。
歳入歳出決算は,三区分ごとに所管・組織・項別の表を分けて掲げる。
決算参照は,組織ごとの備考欄に「翌年度繰越額の内訳 明許繰越額◯円」の形で書く。
前者は横断の一覧に向き,後者は一つの所管を追うのに向く。

裁判所所管についていえば,令和6年度は全額が明許繰越である。
決算PDFの明許繰越の表に掲げられた最高裁判所4,400,774,052円,下級裁判所3,016,310,000円,検察審査費804,000円,裁判費13,670,274,000円及び裁判所施設費4,806,266,293円の合計25,894,428,345円は,CSVの翌年度繰越額の合計と一円まで一致する。
事故繰越の表及び逓次繰越の表に裁判所所管の記載はない。

2 三つの金額は別の資料にある

繰越明許費については,性質の異なる三つの数値がある。

(1) 事項の指定-予算書の丙号繰越明許費

予算書の丙号繰越明許費は,所管,組織及び事項の三欄で組まれており,金額欄がない。
令和2年度及び令和8年度の一般会計予算で確認した。

これは書式の不備ではない。
予算決算及び会計令11条は,各省各庁の長が作る四種類の要求書の記載事項を定めているが,同条2項の継続費要求書には「その経費の総額、年割額、当該事項に対する項の金額等を示さなければならない」,同条4項の国庫債務負担行為要求書には「債務負担の限度額を明らかにし」とあるのに対し,**同条3項の繰越明許費要求書は「事項ごとにその必要の理由を明らかにするとともに、繰越を必要とする経費の項の名称を示さなければならない」とするだけで,金額を求めていない。
**

なお財政法16条は,予算を予算総則,歳入歳出予算,継続費,繰越明許費及び国庫債務負担行為とする。
繰越明許費は予算そのものの一部であり,添付書類ではない。

令和8年度の裁判所所管に掲げられているのは,(項)最高裁判所のうち退職手当(定年引上げに伴う勤務意思確認の翌年度以降に係る定年退職年度前の退職手当に限る。
)及び情報処理業務庁費(司法情報システム整備費に限る。
),下級裁判所のうち国有財産管理処分庁費及び法廷等器具整備費(裁判支援機器整備費に限る。
),検察審査費のうち情報処理業務庁費(司法情報システム整備費に限る。
),裁判費のうち裁判庁費(裁判支援機器整備費及び司法情報システム整備費に限る。
)並びに裁判所施設費である。

これに対し,令和2年度は,(項)最高裁判所のうち国有財産管理処分庁費,下級裁判所のうち国有財産管理処分庁費(建物及び工作物解体撤去費に限る。
)及び裁判所施設費の三事項だけであった。

指定される事項は,デジタル化関係の経費と定年引上げに伴う退職手当が加わって増えている。

(2) 金額-各目明細書の「うち繰越明許費」

金額は,各目明細書の積算内訳に「うち繰越明許費」として現れる。

令和8年度一般会計歳出予算各目明細書には五か所あり,退職手当のうち定年引上げに伴う勤務意思確認の翌年度以降に係る定年退職年度前の退職手当が3,191,014千円,情報処理業務庁費のうち司法情報システム整備費が3,995,271千円及び3,740千円,法廷等器具整備費のうち裁判支援機器整備費が463,233千円,裁判庁費のうち裁判支援機器整備費が89,090千円及び司法情報システム整備費が12,350,377千円である。

繰越明許費の額を知りたい場合に予算書だけを見ても答えは出ない。
各省各庁が公表する各目明細書を開くことになる。

(3) 実際に繰り越した額-決算

実際にいくら繰り越したかは,決算の翌年度繰越額である。

三つの数値は,指定された事項の範囲,予算に計上された金額,実際に繰り越された金額という別の事柄を示している。
いずれか一つを「繰越額」と呼んで他と比べることはできない。

(4) 三つは一対一で対応しない

令和8年度でみると,丙号に掲げられた事項は七つであるのに対し,各目明細書に「うち繰越明許費」の金額が付いているのは五つの目である。

(項)裁判所施設費は,丙号で項全体が限定なしに指定されているので,各目明細書の三つの目(施設施工旅費71,626千円,施設施工庁費201,976千円,施設整備費11,736,971千円)に「うち」の記載がない。

これに対し,(項)下級裁判所の(目)国有財産管理処分庁費は,丙号で指定されているにもかかわらず,各目明細書に7,695千円と載るだけで「うち繰越明許費」の記載がない。
**指定と金額の対応は,資料からは読み取れない。
**

**なお,この目を探すときに一度取りこぼした。
**PDFからテキストを取り出す際に,読み順を座標で並べ替える設定にしていたため,「国有財産管理処分庁」と「費」の間に金額が割り込み,「国有財産管理処分庁費」という並びでは一件も当たらなかった。
目のコードで引き直して見つけた。

並べ替えをしない既定の設定で取り直すと,同じPDFで一件当たる。

**空白と改行を除いた総文字数は,どちらの設定でも8,302で同じである。
**除くのを空白だけにすると,既定が10,793,並べ替えが9,062となって一致しない。
改行の数がそれぞれ二,四九一と七六〇で違うためである。
追試するときは,空白だけでなく改行も除く必要がある。

なお,空白だけを除いたときの数は,全15頁をどうつなぐかで十数文字変わる(本記事は頁と頁の間に改行を一つ入れて連結した)。
**空白と改行を除いた8,302は,つなぎ方によらない。
**

さらに,空白と改行を除いた後の文字を一字ずつ並べ替えて比べると,二つは完全に一致する。
**つまり並べ替えの設定は,文字を並べ替えているだけで,増やしても減らしてもいない。
**

**つまり原因は資料の側ではなく,こちらの抽出の設定であった。
**表から語を探して0件になったときは,資料に無いと決める前に,抽出の設定を変えてもう一度数える必要がある。

第7 「前年度予算額」は当初予算額と補正後の額に分かれる

1 同じ欄名で中身が違う

令和8年度概算要求の概要は,「令和7年度予算額」を335,192百万円とする。
これは令和7年度の当初予算額である。

これに対し,令和8年度一般会計予算の甲号予定経費要求書及び令和8年度一般会計歳出予算各目明細書の「前年度予算額」は,361,392,211千円である。
これは令和7年度の補正後の額である。

差は26,199,772千円であり,これは令和7年度補正予算(第1号)の裁判所所管の差引額そのものである。

令和8年度の額349,473,805千円を前者と比べれば14,281,366千円の増であり,後者と比べれば11,918,406千円の減である。
増減の符号が反転する。

概算要求の概要は前年度の八月に作られるので,その年の秋以降に成立する補正予算を織り込みようがない。
他方,翌年度の予算書及び各目明細書は翌年の三月に作られるので,補正後の額が入る。
作成時点の違いによるものであって,どちらかが誤っているわけではない。

2 三つの資料は閉じる

この関係は検算できる。

令和6年度は,当初330,979,009千円に補正の差引23,470,369千円を加えると354,449,378千円になる。

この額は,令和7年度一般会計予算のCSVの「前年度予算額(千円)」と一致し,さらに令和6年度決算のCSVの「歳出予算額(円)」354,449,378,000円とも一致する。

令和7年度も同じく,当初335,192,439千円に補正の差引26,199,772千円を加えた361,392,211千円が,令和8年度一般会計予算のCSVの「前年度予算額(千円)」と一致する。

当初予算,補正予算,翌年度の予算書及び決算の四つが,同じ額でつながっている。
年度をまたいで数値を並べるときは,この一致を検算に使うことができる。

なお,当初と補正の別は,予算書へ戻らなくても決算参照の組織別の表から読める。
前記第3の1(2)のとおり,同表は当初予算額,予算補正追加額,予算補正修正減少額,予算移替増加額,予算移替減少額及び合計に分けて掲げている。

第8 いつ公表されるか

1 根拠となる規定

日本国憲法90条1項は,国の収入支出の決算は,すべて毎年会計検査院がこれを検査し,内閣は,次の年度に,その検査報告とともに,これを国会に提出しなければならないと定める。

その前段として,財政法37条1項は,各省各庁の長が歳入及び歳出の決算報告書等を作製して財務大臣に送付しなければならないとし,予算決算及び会計令20条1項は,その期限を翌年度の七月三十一日までと定める。

財政法38条1項は,財務大臣が歳入決算明細書及び歳出の決算報告書に基いて歳入歳出の決算を作成しなければならないとする。

財政法39条は,内閣が歳入歳出決算に歳入決算明細書等を添附して翌年度の11月30日までに会計検査院に送付しなければならないとし,同40条1項は,会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とすると定める。

2 実際の提出日

予算書・決算書データベースの年度別アーカイブには,各年度の決算書関連情報の冒頭に国会提出日が注記されている。

年度決算の国会提出日
令和2年度令和3年12月6日
令和3年度令和4年11月18日
令和4年度令和5年11月20日
令和5年度令和6年11月29日
令和6年度令和7年11月18日

いずれも翌年度の11月又は12月であり,翌年度開会の常会よりも早い。
憲法90条1項が求める「次の年度に」の範囲内で,運用として前倒しされている。

年度の終了から国会提出までは約一年八か月である。
基準日である令和8年9月7日の時点で,令和7年度及び令和8年度のアーカイブに決算書関連情報はない。

3 資料ごとの公表時期

要求段階の概要は八月末に,明細を含む書類は遅れて公表される。
当初予算は翌年の一月に国会へ提出され,三月に成立する。
補正予算は年度の途中に随時編成される。
決算は翌年度の秋である。

最新年度の執行額を知りたい場合は,決算の公表を待つのではなく,第3の5で述べた「補正予算の主な事業の執行状況」を見ることになる。

第9 実際の取り方

1 予算及び決算の本体

年度別アーカイブ https://www.bb.mof.go.jp/archive/reiwa8.html を開き,必要な資料のリンクをたどる。
年度部分は showa22 から reiwa8 までの形である。

基準日に確かめたところ,showa22 は存在するが showa21 は存在せず,昭和22年度が最も古い。
平成31年度(令和元年度)は heisei31 ではなく reiwa1 であり,令和9年度は存在しない。

トップページの https://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxsselect.html はJavaScriptで動くため,リンクをそのまま取得できない。
年度別アーカイブから入るのが早い。

科目別内訳のCSVは,zipを展開して所管欄又は主管欄が目的の所管である行を抽出し,前記第5の二本の恒等式で検算する。
差が出た場合は,予備費使用額,流用等増△減額及び予算決定後移替増△減額の三欄を落としていないかを確かめる。

**ファイル名の番号は,規則を推測して組み立てるより,年度別アーカイブのリンクをそのまま使うほうが安全である。
**令和6年度で実際に並んでいるものを挙げると,一般会計の当初が DL202411001,特別会計の当初が DL202412001,政府関係機関の当初が DL202413001,財政法第28条等による予算参考書類が DL202414001,一般会計の補正第1号が DL202421001,特別会計の補正第1号が DL202422001,政府関係機関の補正第1号が DL202423001 である。

**すなわち DL202422001 は補正の第2号ではなく,特別会計の補正第1号である。
**号数は末尾の三桁で,令和2年度の補正第1号から第3号は DL202021001・DL202021002・DL202021003 である。

決算の側は番号の付き方が別で,一般会計歳入歳出決算が DL202472001,国税収納金整理資金受払計算書が DL202473001,特別会計歳入歳出決算が DL202475001,政府関係機関決算が DL202476001,一般会計決算参照が DL202477001,特別会計決算参照が DL202478001 である。
物品と債権の報告は DL20247A0010 のように数字で終わらない。

暫定予算は DL202631001 のように三番目が3になる。
**予算の側の規則を決算へ当てはめると外れる。
**

2 語句検索

https://www.bb.mof.go.jp/YDS/search/YDSG010 で,年度と対象(予算書情報・決算書情報)を指定して語句検索ができる。
AND検索は語の間に空白を,OR検索は語の間に半角大文字のORを空白で挟んで入力する。
結果には資料名,節名及び頁が表示される。

ただし,前記のとおり各目明細書は収録されていない。

3 各省各庁の資料

各目明細書,概算要求書,予算の概要及び決算の概要は,各省各庁のウェブサイトにある。
裁判所所管であれば,「裁判所の予算・決算・財務書類」の下に「予算」「決算」「省庁別財務書類等について」の三つのページがある。

**こちらは,URLを規則から組み立てることができない。
**基準日に確かめた裁判所ウェブサイトの実例を挙げる。

① 置き場が三系統ある。
令和8年度でも,予算の概要と各目明細書は /assets/ の下にあり,概算要求の概要と要望一覧は /saikosai/vc-files/saikosai/ の下にあり,令和2年度のものは /vc-files/courts/2020/ と /vc-files/courts/file5/ に分かれている。

② 同じ「決算の概要」でも,令和6年度は /assets/r6kessan.pdf,令和5年度は /vc-files/courts/2024/R5kessan_33KB.pdf,令和2年度は /vc-files/courts/2021/R2kessan_74KB.pdf,平成30年度は /vc-files/courts/file4/H30kessann_8K.pdf である。
年のフォルダがある年度とない年度がある。

③ ファイル名の表記が揺れる。
同じ令和8年度でも R08yosangaiyou_70kb.pdf と R8yosan_meisai_85kb.pdf で年の桁数が違い,_33KB と _70kb で単位の大小文字も違う。
平成30年度の決算は kessann と綴られている。

④ 年度別のページのURLも一定でない。
令和8年度は /about/yosan_kessan/08yosan/index.html,令和2年度は /about/yosan_kessan/r02yosan/index.html だが,令和6年度だけは /about/yosan_kessan/vcmsFolder_1269/vcms_1269.html で,本文から番号を読む手がかりがない。

**したがって,年度一覧のページを開いてリンクを取り,取得した時点でURLを記録しておく必要がある。
**後から同じファイルを探すときに,名前から辿ることができない。

4 決算検査報告

https://report.jbaudit.go.jp/ の年度選択又は全文検索を用いる。
年度別の目次のURLは https://report.jbaudit.go.jp/org/r06/2024-r06-mokuji.htm の形であり,フォルダ名の年号と,ファイル名の先頭にある西暦の年度が対応している。

5 注意点

財務省本体の決算のページには,古い年度の決算のページが残っていない。
基準日に確かめたところ,決算のトップページには国立国会図書館インターネット資料収集保存事業への外部リンクが25件あり,令和3年度以前の決算はいずれもそちらへ飛ぶ。
財務省本体の令和3年度の決算のページは,直接開くと存在しない。

予算書・決算書データベースには令和3年度以前の年度もそのまま残っているので,機械で取得するのであればこちらから入るほうが確実である。

**不用額の理由は二つの資料に載っており,収録の範囲が違う。
**どちらを見たかを書かずに「理由が書かれていない」と結論してはならない。

一つは歳入歳出決算のPDFの「予算不用」の節である。
令和6年度はPDF39頁から55頁までで,冒頭に「歳出予算の不用額は……であって、このうち、1項5億円以上のものについて所管別、組織別及び項別の不用額及び不用理由を示せば、下表のとおりである。」とあり,**掲載の範囲が本文に明記されている。
**

もう一つは決算参照のPDFの備考欄である。
こちらには範囲の明記がなく,「5億円」の語も一度も現れない。
令和6年度は「不用額を生じたのは」で始まる理由が634箇所にある。
前者より広い。

令和6年度の裁判所所管では,最高裁判所3,083,742,037円,下級裁判所2,124,636,318円,裁判費3,262,353,752円及び裁判所施設費1,015,442,121円の四項について理由が掲げられている。
**二つの資料とも同じ四項であり,文言も同じである。
**

四項の合計は9,486,174,228円であり,不用額の合計9,497,772,412円との差11,598,184円は,理由が掲げられていない二つの項,すなわち検察審査費8,269,917円と裁判所予備経費3,328,267円の合計である。

**もっとも,二つの資料が一致するのは令和6年度だけである。
**

令和4年度は(項)検察審査費の不用額が33,378,956円,令和5年度は30,079,149円であり,いずれも決算参照には「不用額を生じたのは、検察審査会議に係る支給額が予定を下回ったこと等により、検察審査員旅費を要することが少なかったこと等のため」という理由が付いている。

他方,五億円に遠く届かないので,歳入歳出決算には載りようがない。
**この二年度は,決算参照の側が四項ではなく五項である。
**

令和6年度に一致したのは,同項の不用額が8,269,917円まで下がり,決算参照の側からも落ちたためである。

**一つの年度で一致したことを,その所管の性質として書くことはできない。
**

理由が書かれていないことは,理由がないことを意味しない。

第10 確認できていないこと

① 予算決算及び会計令8条1項及び142条が財務大臣に委ねている「財務大臣の定めるところ」に当たる文書は,e-Gov法令検索及び財務省が公表する通達のいずれにも見当たらなかった。
見積書類の様式がどのように定められているかは確認できていない。

② 丙号繰越明許費に掲げられた事項と,各目明細書の「うち繰越明許費」の対応は,第6の2(4)に書いたとおり一対一ではない。
(目)国有財産管理処分庁費に「うち」の記載がない理由は,資料からは分からない。

③ 決算参照の備考欄に不用理由が付く範囲は,明文の記載がないことを確かめたにとどまる。
裁判所所管でみると,理由が付いた最小の項は令和5年度の30,079,149円であり,付かなかった最大の項は令和6年度の8,269,917円である。
この間のどこに境目があるのかは,他の所管を数えないと決まらない。
本記事では数えていない。

なお,(項)裁判所予備経費には,令和4年度から令和6年度まで理由が付いていない。
もっとも同項の不用額はいずれの年度も一千万円に満たないので,額が小さいために落ちたのか,予備金という性質のために落ちたのかは,この年度の範囲では切り分けられない。

④ 繰越については,財政法43条1項が繰越計算書を作製して事項ごとに事由及び金額を明らかにすべきものと定めているが,繰越計算書そのものは,予算書・決算書データベースの決算書関連情報の一覧に見当たらない。
所在を確認できていない。

⑤ 特別会計,政府関係機関及び国税収納金整理資金の決算については,資料の所在を示すにとどめ,内容は確認していない。

⑥ 省庁別財務書類の作成基準及び歳入歳出決算との対応関係は確認していない。

⑦ 本記事の数値は,いずれも令和8年9月7日に取得した資料に基づく。
予算書・決算書データベース及び各省各庁のウェブサイトの掲載内容は随時更新されるので,引用する際は取得日時を記録する必要がある。

第11 出典・参考資料

1 法令

日本国憲法(昭和21年憲法)90条。

財政法(昭和22年法律第34号)14条の2,14条の3,16条,17条,20条,28条,31条,33条,37条,38条,39条,40条,42条,43条及び43条の2。

予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)8条,11条,12条,14条,20条及び142条。

会計検査院法(昭和22年法律第73号)20条,21条及び22条。

裁判所職員定員法(昭和26年法律第53号)2条。

いずれもe-Gov法令検索により令和8年9月7日時点の条文本文を確認した。

2 予算書及び決算書

財務省「予算書・決算書データベース」。
年度別アーカイブ(令和2年度から令和8年度まで)。

令和8年度一般会計予算(PDFは全1,174頁)。
以下は資料上の頁とPDFビューア上の頁の順に示す。
丙号繰越明許費(91頁・PDF102頁),丁号国庫債務負担行為(127頁及び128頁・PDF138頁及び139頁),裁判所所管甲号予定経費要求書(299頁から302頁まで・PDF309頁から312頁まで),裁判所所管丙号繰越明許費要求書(303頁・PDF313頁),裁判所所管丁号国庫債務負担行為要求書(304頁及び305頁・PDF314頁及び315頁)並びに裁判所所管予算定員及び俸給額表(306頁及び307頁・PDF316頁及び317頁)を確認した。
資料上の頁は部ごとに付されているので,PDF頁との差は一定ではない。

令和2年度一般会計予算(PDFは全1,117頁)。
総目録,目録及び丙号繰越明許費(84頁及び85頁・PDF94頁及び95頁)を確認した。

令和6年度一般会計歳入歳出決算(PDFは全117頁)。
翌年度繰越及び明許繰越の表(13頁以下・PDF17頁以下),事故繰越の表(29頁以下・PDF33頁以下),継続費の逓次繰越の表(34頁・PDF38頁),予算不用(35頁から51頁まで・PDF39頁から55頁まで)並びに所管・組織・項別の歳出の表(67頁及び68頁・PDF71頁及び72頁)を確認した。

令和6年度一般会計決算参照(PDFは全915頁)。
裁判所所管の歳出決算報告書(資料上の81頁から87頁まで・PDF79頁から85頁まで)を確認した。
「不用額を生じたのは」の出現数は全巻で634である。
あわせて,デジタル庁所管(PDF208頁)及び会計検査院所管(PDF87頁)の冒頭の表を確認した。

歳入予算明細書及び歳出予定経費要求書(科目別内訳)CSV。
令和6年度予算,令和6年度補正予算第1号,令和7年度予算(提出版及び成立版),令和7年度補正予算第1号並びに令和8年度予算及び同補正予算第1号を用いた。

歳入決算明細書及び歳出決算報告書(科目別内訳)CSV。
令和2年度から令和6年度までを用いた。

いずれも令和8年9月7日に取得し,所管欄又は主管欄が「裁判所」である行を集計した。

同データベースの語句検索。
令和8年度を対象として「司法情報システム整備費」を検索した。

財務省「決算」のページ。
令和3年度以前の決算が国立国会図書館インターネット資料収集保存事業への外部リンクとなっていること,及び財務省本体の令和3年度の決算のページが存在しないことを確認した。

3 最高裁判所が公表した資料

最高裁判所「裁判所の予算・決算・財務書類」,同「裁判所の予算」,同「裁判所の決算」及び同「省庁別財務書類等について」。

最高裁判所「令和9年度概算要求の概要」1頁。

最高裁判所「令和8年度概算要求の概要」1頁。

最高裁判所「令和8年度一般会計歳出予算各目明細書」。

最高裁判所「令和6年度 裁判所決算の概要」1頁。

最高裁判所「令和7年度補正予算の主な事業の執行状況(一般会計)(令和7年度決算時点)」1頁。

最高裁判所「令和6年度補正予算の主な事業の執行状況(一般会計)(令和7年度決算時点)」1頁。

4 会計検査院

会計検査院「令和6年度決算検査報告」。
目次並びに第2章「決算の確認」及び第6章第1節「検査対象別の概要」第1「歳入歳出決算」を確認した。

会計検査院「検査報告データベース」及び同「検査結果」。