目次
第1 最高裁判所の概算要求書(説明資料)
第2 概算要求から政府予算案の成立まで
第3 検索システムに関する令和4年度概算要求及び請負契約書
1 検索システムに関する概算要求書説明資料の記載
2 検索システムの単価及び請負契約書
第4 関連記事その他
第1 最高裁判所の概算要求書(説明資料)
1 裁判所HPの「裁判所の予算・決算・財務書類」に,①毎年度の一般会計歳出予算各目明細書及び②一般会計歳出概算要求書が掲載されています。
そして,③最高裁判所の概算要求書(説明資料)は,②の説明資料です。
2 最高裁判所の概算要求書(説明資料)のバックナンバーは以下のとおりです。
(令和時代)
令和2年度1/2・2/2,令和3年度,令和4年度,
令和5年度,令和6年度,令和7年度,
(平成時代)
平成29年度1/3・2/3・3/3
3 令和4年度予算の場合,人件費が2698億円(84%),施設費が146億円(4%),物件費が384億円(12%)であり,合計で3228億円です。
R040414 国会答弁資料(裁判所が必要とする人員を確保できるよう,裁判所の予算獲得について努力すべきではないか,法務大臣に問う。)を添付しています。 pic.twitter.com/d8zqNDmShP
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) July 3, 2022
R050306 最高裁の不開示通知書(最高裁判所が財務省に対し,概算要求書(説明資料)を電子データで提供するようになった時期が分かる文書)を添付しています。 pic.twitter.com/ThrEEftLqV
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) March 8, 2023
第2 概算要求から政府予算案の成立まで
1 毎年7月下旬に決定される,概算要求にあたっての基本的な対処方針について(閣議了解)が財務省HPの「予算」に掲載されます。
2(1) 概算要求とは,各省各庁が毎年8月末日までに財務省に対して行う次年度の予算要求をいい(財政法17条),毎年9月上旬に「各省各庁の概算要求」が財務省HPの「予算」に掲載されます。
(2) 財政法17条1項は「衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し、これを内閣における予算の統合調整に供するため、内閣に送付しなければならない。」と定めています。
3 毎年12月下旬に政府予算案が閣議決定されて(財政法18条1項),翌年1月に政府予算案が国会に提出され(財政法27条),翌年3月下旬に政府予算案が国会で成立します。
R040113 最高裁の理由説明書(大阪高裁の退職準備等説明会における配布資料)を添付しています。 pic.twitter.com/DRLvfTuHwy
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) January 23, 2022
裁判所の予算に関する国会答弁資料(令和4年11月10日の参議院法務委員会)を添付しています。 pic.twitter.com/e8rAoTqRw2
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) March 6, 2023
第3 検索システムに関する令和4年度概算要求及び請負契約書
1 検索システムに関する概算要求書説明資料の記載
・ 【裁判所所管】令和4年度概算要求書説明資料160頁及び161頁には以下の記載があります。
(3) 法令・判例等検索システム
<要求要旨>
法令・判例等検索システムは,法令,判例及び文献情報を検索閲覧するシステムである。
本システムは,裁判官や書記官各自の端末パソコンからアクセスすることにより,裁判執務に必要な法規,判例及び法律判例文献の著者名,雑誌名等を容易かつ瞬時に入手することができるものであり,適正迅速かつ効率的な裁判事務処理に極めて有効なものであり,令和4年度も引き続きその利用に必要なライセンス料を要求する。
なお,本件は,複数年度にわたる契約を締結する必要があるため,併せて5箇年の国庫債務負担行為によることを要求しており,令和4年度はその3年目である。
(4) 法律雑誌等検索システム
<要求要旨>
法律雑誌等検索システムは,判例や法律雑誌に掲載された論文,評釈及び解説等の膨大な情報を収録しているデータベースシステムである。本システムは,法律雑誌の収録件数が豊富であり,主要法律雑誌に掲載された判例評釈及び解説のすべてを,原本性を保持したPDFデータとして収録し,判例と関連づけて検索閲覧することが可能である。
これは, 法令・判例等検索システムにはない機能であり,その都度膨大な数の雑誌から,事件処理に必要な記事を探し出す作業の必要がなくなり,効率的な裁判事務処理,特に,日々第一線で訴訟等の案件を処理している裁判官の事務処理の負担軽減に多大な貢献をもたらすものである。
法律雑誌等検索システムと法令・判例等検索システムは,それぞれのシステムの特長から,相互に補完して利用することにより,より一層裁判事務の効率化に寄与するものであり,令和4年度も引き続きその利用に必要なライセンス料を要求する。
なお,本件は,複数年度にわたる契約を締結する必要があるため,併せて5箇年の国庫債務負担行為によることを要求しており,令和4年度はその3年目である。
(5) Web版図書情報システム
<要求要旨>
Web版図書情報システムは,下級裁判所の資料室及び裁判官室等で管理している図書資料(約230万冊)の情報を,インターネット回線を利用して,運営会社の提供する蔵書検索サービスにデータをアップロードし,職員が同サービスにインターネット回線を利用してアクセスすることにより,図書資料の有無や配架場所を検索できるものである。
Web版図書情報システムは,書籍名や著者名等のキーワードを入力することにより,関連する蔵書の有無や配架場所を瞬時に検索することが可能であり,適正迅速かつ効率的な事務処理に有効であることから,令和4年度も引き続きその利用に必要なライセンス等を要求する。
なお,本件は,複数年度にわたる契約を締結する必要があるため,併せて5箇年の国庫債務負担行為によることを要求しており,令和4年度はその3年目である。
2 検索システムの単価及び請負契約書
(1) 法令・判例等検索システム
ア 【裁判所所管】令和4年度概算要求書説明資料167頁によれば,法令・判例等検索システムの令和4年度の単価は4018万4125円であり,知財高裁用法令・判例等検索システムの令和4年度の単価は7万5875円であり,合計額は4026万円です。
イ 法令・判例等検索システムの利用に関する請負契約書(令和2年4月1日付。受注者は第一法規株式会社)によれば,5年間の利用料金は2億130万円であり,1年度当たりの料金は4026万円であり,クライアント端末数は2万6000台までであり(仮に2万6000台を利用した場合,1台当たりの年間利用料は1548円となります。),サーバへの同時アクセス数は500台までです。
(2) 法律雑誌等検索システムの単価及び請負契約書
ア 【裁判所所管】令和4年度概算要求書説明資料167頁によれば,法律雑誌等検索システムの令和4年度の単価は2934万4899円であり,知財高裁用法律雑誌等検索システムの令和4年度の単価は8万101円であり,合計額は2942万5000円です。
イ 法律雑誌等検索システムの利用に関する請負契約書(令和2年4月1日付。受注者は株式会社エル・アイ・シー)によれば,5年間の利用料金は1億4712万5000円であり,1年度当たりの料金は2942万5000円であり,クライアント端末数は1万8000台までであり(仮に1万8000台を利用した場合,1台当たりの年間利用料は1635円となります。),サーバへの同時アクセス数は500台までです。
(3) WEB版図書情報システムの単価及び請負契約書
ア 【裁判所所管】令和4年度概算要求書説明資料167頁によれば,WEB版図書情報システムの令和4年度の単価は105万6000円です。
イ WEB版図書情報システムの利用に関する請負契約書(令和2年4月1日付。受注者は株式会社OPAC)によれば,5年間の利用料金は706万2000円です。
第4 関連記事その他
1(1) 昭和22年度以降の予算書及び決算書が,財務省HPの「予算書・決算書データベース」に載っています。
(2) 平成11年度以降の予算に関する,概算要求,政府案及び補正予算が 財務省HPの「予算」に載っています。
(3) 特例公債法案及び対応する予算の議決日等が,「戦後初となった大規模な予算の執行抑制」(立法と調査2012年12月号)に載っています。
2 関東弁護士会連合会は,平成28年3月16日,「司法予算の大幅増額を求める理事長声明」を出しています。
3(1) 日弁連委員会ニュース2022年1月号15頁の「もっと知ってください、裁判所予算」には裁判所予算に関する概括的な説明が載っていて,日弁連委員会ニュース2022年12月号16頁の「もっと知ってください、裁判所予算(その2)」には,最高裁判所の概算要求に関する説明が載っています。
(2) 「もっと知ってください、裁判所予算」の執筆者は56期の志摩恭臣弁護士(徳島)です。
4(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 令和4年度歳出概算要求の作成手順が書いてある文書(財務省の開示文書)
・ 令和4年度機構・定員及び級別定数設定・改定の要求について(令和3年7月7日付の内閣官房内閣参事官(内閣人事局),人事院給与局給与第二課長及び財務省主計局給与共済課長の文書)
・ 最高裁判所の令和3年度概算要求書729頁「職員諸手当」の積算根拠が書いてある文書
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所の国会答弁資料
・ 最高裁及び法務省から国会への情報提供文書
・ 裁判所をめぐる諸情勢について
・ 裁判所職員の予算定員の推移
・ 級別定数の改定に関する文書
・ 令和4年度概算要求書における,民事訴訟手続のIT化に関する最高裁判所の財務省に対する説明内容
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 高等裁判所事務局長事務打合せ
・ 司法行政を担う裁判官会議,最高裁判所事務総長及び下級裁判所事務局長
・ 下級裁判所事務局の係の事務分掌
・ 東京高裁及び大阪高裁事務局,並びに東京地裁,大阪地裁及び大阪家裁事務局に設置されている係
・ 裁判所書記官,家裁調査官及び下級裁判所事務局に関する規則,規程及び通達
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— ハル (@haruno_asahi) February 6, 2023
裁判所は予算がなく、寒冷地や温暖地以外では17時以降の空調が基本的に入らないため、冬はマフラーを巻いたりコートを着ながら、勉強会に出たり判決を書いてました😔残業すべきでないということかもしれませんが現実的には難しく、なんとかしてあげてほしいです。
— 弁護士西愛礼@元裁判官 (@Yoshiyuki_JtoB) January 9, 2023
R050703 最高裁の不開示通知書(裁判所が財務省と予算交渉する場合,まずは割高な裁判官の給料を下げろと要求されていることが分かる文書)を添付しています。 https://t.co/jqsXCVKRBl pic.twitter.com/4ajioWEEXT
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) July 5, 2023