メインコンテンツへスキップ
       

裁判所の会計執務資料の三部作の解説(AI作成)

◯本記事は,人工知能が作成したものである。引用した法令名及び条文番号は,最高裁判所事務総局経理局が作成した各執務資料の記載に基づくが,法令は改正されることがあるため,実際の適用に当たっては最新の法令を確認されたい。

目次

第1 はじめに

1 本記事の対象と目的

裁判所の会計事務は,国の予算を執行する事務の一つであり,会計法,財政法をはじめとする多数の法令と通達に支えられている。
これらの事務を担う裁判所職員のために,最高裁判所事務総局経理局は,3つの執務資料を作成している。

本記事は,この3つの資料,すなわち「裁判所の会計事務入門(シートで学ぶ根拠と目的)」,「裁判所の会計事務の基礎知識(課長補佐必携)」及び「新版会計事務提要」について,その内容と相互の関係を,弁護士の視点から解説するものである。

裁判所事務官の仕事を知るために読む場合は,用度・管理・経理の担当と,裁判部との連携に注目するとよい。
三部作は採用試験の受験案内ではなく,会計業務の根拠と目的を学ぶ執務資料である。

知りたいこと最初に読む資料確認する箇所
会計課は何を担当するか基礎知識印刷頁1~2の係別の仕事。所長併任庁の地方裁判所を想定した説明である
物品購入はどう進むか入門シート27の必要性の検討,契約,納品・検査及び支払
裁判部との接点は何か提要第13章の予納金等,証人旅費,保管物その他の会計事務

担当する仕事の具体例は,裁判所事務官の会計業務―会計課の仕事と裁判部との連携を参照されたい。
三部作の作成時点の金額基準,様式及びシステム名を,現在の各庁の運用として用いないことが必要である。

2 「三部作」という呼称の根拠

この3つの資料を「三部作」と呼ぶのは,本記事の筆者による命名ではない。
最も詳細な資料である「新版会計事務提要」のまえがき自身が,次のように述べている。

会計事務の入門編として刊行された「裁判所の会計事務入門(シートで学ぶ根拠と目的)」及び会計事務の概要を俯瞰するための資料として刊行された「裁判所の会計事務の基礎知識(課長補佐必携)」とともに,この「新版会計事務提要」を,会計執務資料の「三部作」として活用してもらいたい。

すなわち,三部作とは,経理局が,読者の習熟度と用途に応じて段階的に編集した,会計執務資料の総称である。

第2 三部作の全体像

1 三部作を構成する3つの資料

三部作を構成する3つの資料の概要は,次のとおりである。

区分正式名称作成・補訂の時期対象読者と位置づけ
①裁判所の会計事務入門(シートで学ぶ根拠と目的)前書きに刊行年月の明示なし(経理局執務資料PT作成)新たに会計の職場に配属された職員及びこれを指導する管理職。用語と根拠を会話の中で学ぶための入門編。
②裁判所の会計事務の基礎知識(課長補佐必携)平成30年3月作成,平成31年2月補訂初めて会計課を担当する課長補佐。会計課全体の仕事を俯瞰するための資料。
③新版会計事務提要令和2年3月会計事務を担当する職員全般。法令・通達まで確認するための詳細な実務リファレンス。

※ いずれも最高裁判所事務総局経理局が作成した執務資料である。

2 三層構造という設計思想

3つの資料は,扱う情報量と想定読者が段階的に異なる。

入門は,会計の職場に初めて配属された職員が,用語と根拠を会話の中で学ぶための資料である。
基礎知識は,会計課を運営する立場にある課長補佐が,会計課全体の仕事の流れを俯瞰するための資料である。
提要は,個々の事務について,法令・通達まで正確にあたるための詳細な実務書である。

入門で関心を持ち,基礎知識で全体像をつかみ,提要で根拠を確認するという,三層の積み上げが想定されている。

3 共通する作成主体と基本理念

3つの資料は,いずれも最高裁判所事務総局経理局の「経理局執務資料PT(プロジェクトチーム)」が中心となって作成している。
提要に至っては,全国の会計担当職員の有志から原稿を募り,これを整理して編集されている。

そして,3つの資料に一貫して流れているのは,「根拠と目的を踏まえた,過不足のない合理的な事務」を目指すという理念である。

第3 第1の資料 裁判所の会計事務入門(シートで学ぶ根拠と目的)

1 資料の性格と対象読者

「裁判所の会計事務入門(シートで学ぶ根拠と目的)」は,三部作の中で最も平易な入門編である。

冒頭の「会計担当課の管理職の方へ」は,会計事務が,日常生活では使わない独特の用語が登場し,根拠法令が多岐にわたるため,経験の浅い職員にとっては敷居の高い仕事になりがちであると率直に述べている。
そのうえで本資料は,経験の浅い職員に対し,先輩職員や管理職が知識を伝えるための補助ツールとして位置づけられている。

2 「シート」という編集形式

本資料の最大の特徴は,1つのテーマを1枚の「シート」にまとめた編集形式である。
多数のシートが,テーマごとに,その「根拠」と「目的」を簡潔に解説している。

活用方法も具体的に示されている。
管理職がシートを用いて勉強会を開くこと,わからない用語に出会ったときに索引から該当するシートを引くことなどが例として挙げられ,各庁で内容を加工できるよう,ワード形式のファイルも添付されている。

3 全体の構成

(1) 各係に共通する基本的事項

前半のシートは,どの係にも共通する基本的事項を扱う。
会計機関,会計年度と出納整理期間,支出負担行為,契約,監督と検査,支払遅延の防止,決算関係の報告など,会計事務の骨格となる概念が並ぶ。

(2) 係別の事務

後半のシートは,管理係,用度係,経理係,共済組合係という係ごとに,担当する事務を解説する。
国有財産,宿舎,工事契約,物品,役務契約,債権管理,歳入徴収,旅費,給与,資金前渡,保管金など,係の分担に沿って整理されている。

(3) 付録及び索引

末尾には,「監督と検査」の解説,参考資料の案内,財政法規の組み立て,法令等・通達等の略称一覧,及び索引が付されている。
索引が備わっている点は,わからない用語からシートを引くという,前述の活用方法を支えるものである。

4 解説例 会計機関(意思決定権者)

入門の解説の質感を示すため,冒頭のシート「会計機関」を例にとる。
会計機関とは,会計事務の意思決定権者,すなわち責任者のことである。
会計事務は分野ごとに会計機関が置かれ,その意思決定を受けて事務が進められる。

(1) 歳入徴収官

歳入徴収官は,国に入ってくる歳入金を管理する責任者であり,歳入を徴収するときや債権を管理するときに意思決定をする(会計法4条の2,会計規程3条1項別表第2の1)。

(2) 支出負担行為担当官

支出負担行為担当官は,国の支出の原因となる債務を負担する事務の責任者であり,物品を購入する契約をするときや旅費を支出するときに,これに先立って債務を負担する意思決定(支出負担行為)をする(会計法13条)。

(3) 支出官

支出官は,歳出予算から現実に金銭を支払うという意思決定をする責任者である(会計法24条)。
その機能は,支出の決定を行う官署支出官と,その決定に基づいて小切手の振出し等を行うセンター支出官とに分かれている。

(4) 契約担当官

契約担当官は,歳出予算を用いない契約,すなわち不用となった物品を売り払う契約や,保管金から支払う契約(官報公告等)を担当する責任者である(会計法29条の2)。

(5) その他の会計機関

このほか,国の物品を管理する物品管理官,国有財産に関する事務を担う国有財産事務分掌者,及び現金を取り扱う出納官吏が置かれている。
出納官吏には,歳入金を扱う収入官吏,歳出金を扱う資金前渡官吏,歳入歳出以外の現金(保管金)を扱う歳入歳出外現金出納官吏の3種類があり,さらに有価証券を保管する保管有価証券取扱主任官が置かれている。

第4 第2の資料 裁判所の会計事務の基礎知識(課長補佐必携)

1 資料の性格と対象読者

「裁判所の会計事務の基礎知識(課長補佐必携)」は,会計課を運営する立場にある課長補佐を主たる対象とする資料である。

その「はじめに」は,所長併任庁の地方裁判所を想定し,初めて会計事務を担当する課長補佐に向けて,会計課の主な仕事を解説したものであると述べている。
入門が個々の職員の理解を助ける資料であるのに対し,基礎知識は会計課という組織を円滑に運営するための資料である点に,両者の違いがある。

2 作成及び補訂の時期

本資料は,平成30年3月に作成され,平成31年2月に補訂されている。
会計法令や通達は改正が多いため,本資料も参考図書の最新版を参照することを前提として編集されている。

3 全体の構成

(1) 会計課の組織

第1は,想定する所長併任庁の地方裁判所の会計課について,用度係,管理係,経理係及び共済組合係と,会計事務の意思決定権者(会計機関等)を整理する。
係の構成は各裁判所で異なり,共済組合係を置かない庁もある。
全国すべての裁判所に同じ4係が設けられていると解してはならない。
組織と権限の所在を最初に示す構成である。

(2) 会計事務で用いるシステム

第2は,会計事務で用いる各種のシステムを一覧する。
予算執行や決算,国有財産,保管金などを処理する複数のシステムが用いられており,事務がシステムを前提として運用されていることが示されている。

(3) 会計用語と会計職員の責任

第3は,会計年度,予算科目,支出負担行為と支払計画といった基本用語を解説するとともに,会計職員の責任を扱う。
出納官吏の責任,予算執行職員の責任,物品管理職員の責任,及び支払遅延に関与した職員の責任が項目として並んでおり,事務を適正に行うための規律が,管理職向けの資料らしく整理されている。
現行法で責任を検討する際は,職員の肩書だけでなく,どの会計機関として何を担当する権限を与えられていたかを確認する必要がある。
会計法41条1項は,出納官吏が保管する現金を亡失した場合に,善良な管理者の注意を怠ったときの弁償責任を定める。
これに対し,予算執行職員等の責任に関する法律2条・3条は,同法の予算執行職員について,故意又は重大な過失による法令・予算に違反した支出等の行為で国に損害を与えた場合の弁償責任を定めており,責任要件を同一視してはならない。

会計法41条2項は,単に自ら事務を執らないことだけでは出納官吏の責任を免れないとする一方,分任出納官吏,出納官吏代理及び出納員の行為を例外としている。
同法44条は,これらの者が自らの行為について責任を負うことを定める。
任命・分任・代理の関係と,現金の管理記録を確認することが重要である。

予算執行職員等の責任に関する法律8条は,上司から法令・予算に違反すると認められる行為を求められた場合の,理由を明らかにした書面による意見表示を定めている。
通常は上司を経て任命権者に示すが,上司自身が任命権者である場合などには,同条の定める提出先を確認する。
その手続を経ても上司が同じ行為を再度要求した場合に,その行為に基づく弁償責任を上司が負うという定めであり,単なる口頭の反対や「上司の指示だった」という事情だけで責任が転嫁されるわけではない。

この8条は弁償責任についての規定であり,違法な行為への一般的な免責を与えるものではない。
懲戒その他の責任を別に検討するとともに,指示内容,意見書,再度の要求及び権限関係を示す原資料を保存する必要がある。

(4) 係別の主な事務

第4以降は,用度係,管理係,経理係の主な事務を,仕事の流れに沿って解説する。
物品の取得から支払まで,あるいは工事契約の手続から代金の支払までといった一連の流れが,順を追って示されている。

4 参考図書の明示

本資料の末尾には,参考図書が明示されている。
財政小六法,会計法精解,債権管理法講義,物品管理法講義,国有財産法精解,官公庁契約法精義など,会計実務の標準的な書物が挙げられている。

これは,基礎知識があくまで入口を示すものにすぎず,より深い理解はこれらの文献に委ねるという,編集方針の表れである。

第5 第3の資料 新版会計事務提要

1 資料の性格と来歴

「新版会計事務提要」は,三部作の到達点というべき,最も網羅的な実務リファレンスである。

そのまえがきによれば,もとの「会計事務提要」は平成13年3月に刊行されたが,その後,多くの法令・通達が改正され,改訂を望む声が大きくなっていた。
そこで,全国の会計担当職員の有志から原稿を募り,経理局執務資料PTがこれを整理して,令和2年3月に新版として編集したものである。

本文は13の章からなり,会計実務のほぼ全領域を扱う。

2 全13章の構成

(1) 総論(第1章)

第1章は,裁判所の会計の概要,会計の主な規範,及び会計機関を扱う総論である。
後述する会計の諸原則も,この章に置かれている。

(2) 予算及び決算(第2章)

第2章は,予算の編成・成立・執行と,決算の作成・検査・国会への提出までを扱う。
歳出予算の繰越しなど,年度をまたぐ処理もここで説明される。

(3) 収入及び支出の事務(第3章・第4章)

第3章は,債権管理事務及び歳入徴収事務を扱う。
第4章は,歳出及び前渡資金事務を扱い,支出負担行為,歳出金の支出,前渡資金,及び旅費を順に説明する。

(4) 保管・契約・物品の事務(第5章から第7章まで)

第5章は保管金及び保管有価証券事務を,第6章は契約事務を,第7章は物品管理事務を扱う。
第6章の契約事務では,一般競争契約,指名競争契約,随意契約という契約方式のほか,政府調達に関する協定までが解説されている。

もっとも,ここでいう一般競争契約,指名競争契約及び随意契約は,会計法令上の契約方式の分類である。この分類と,刑法96条の6第1項の「入札」に当たるかという刑法上の評価は,区別する必要がある。

最高裁第二小法廷令和8年9月28日判決は,法令又は内規に基づく方法によって契約相手方を選定することが権限ある機関によって適法に決定され,その方法が競争入札の実質を有するときは,公募型企画競争も同項の「入札で契約を締結するためのもの」に当たり得るとした。契約方式の名称だけで結論を決めず,応募者間の秘密性,競争項目の具体性,比較可能性・予測可能性,採点・決裁の仕組み及び選定順位と契約締結との連動を確認する必要がある。詳しくは,「公募型企画競争は公契約関係競売入札妨害罪の「入札」に当たるか―最高裁令和8年9月28日判決と発注者・応募者の実務(AI作成)」を参照されたい。

(5) 裁判所固有の事務その他(第8章から第13章まで)

第8章は保管物事務,第9章は国有財産事務,第10章は庁舎管理事務,第11章は監査事務,第12章は共済組合事務,第13章は裁判部における会計事務を扱う。
会計事務の適正性を確保するための監査や,職員の福利厚生に関わる共済組合事務まで含めて,会計課の所掌が幅広く整理されている。

3 三部作の到達点としての意義

提要は,他の2つの資料が省略した法令・通達の根拠を,条文番号まで遡って確認できる点に意義がある。

特に,第8章の保管物事務と第13章の裁判部における会計事務は,一般の官庁会計には見られない裁判所固有の領域である。
押収物,民事保管物,傍受の原記録の保管,証人旅費の支払など,裁判という司法作用と会計事務とが接続する場面を扱う点に,裁判所版の提要としての特色が表れている。

第6 三部作が依拠する会計法令の体系

三部作は,いずれも,個別の事務の背後にある法令を意識することを求めている。
ここでは,提要の総論に依拠して,会計事務を貫く基本的な法令の体系を整理する。

1 会計を支配する5つの原則

提要は,会計制度を支配する原則として,次の5つを挙げている。

(1) 統制の原則・正確厳正の原則・公正の原則

ア 統制の原則
国の会計は,広範多岐にわたる財政管理作用を営むものであるから,一定の秩序のもとに統一的に行われなければならない,とする原則である。

イ 正確厳正の原則
会計事務の処理は,正確さを第一とする。
その背景には,国の収入支出の決算をすべて毎年会計検査院が検査すること(憲法90条),及び内閣が国の財政状況を国民に報告すること(憲法91条)がある。

ウ 公正の原則
国政は国民全般の利益のために公正に行われるべきものであり,その管理部門である国の会計も,同様に公正に行われることが要請される,とする原則である。

(2) 収支統一の原則・歳入歳出混同禁止の原則

歳入歳出は,すべてこれを予算に編入しなければならない(財政法14条)。
これを総計予算主義といい,一切の収支を予算に計上することによって,国の財政全体を明らかにするものである。

そして,各省各庁の長は,その所掌に属する収入を国庫に納めなければならず,これを直ちに使用することは禁じられている(会計法2条)。
これによって,歳入歳出混同禁止の原則と収支統一の原則が担保されている。

(3) 会計年度独立の原則

各会計年度における経費は,その年度の歳入をもって支弁しなければならない(財政法12条)。
国の会計年度は,毎年4月1日に始まり,翌年3月31日に終わる(財政法11条)。

この原則は,予算の作成だけでなく,その執行の場面にも及ぶ(財政法42条本文)。
したがって,年度末の余剰に乗じて不急の物品を多量に購入し,翌年度の使用に供することは,この原則の趣旨に反するため認められない。

2 会計機関の分類

会計機関とは,会計法規によって会計事務を行う権限を付与された機関をいう。
提要は,これを管理機関と執行機関とに分けて整理している。

(1) 管理機関

管理機関は,会計事務を統括する立場の機関である。

財務大臣は,国の全般の財務を総括する権限と責任を有する(財政法18条1項,21条等)。
各省各庁の長は,所管の会計事務を管理執行する根源的な権限を有しており,裁判所においては,最高裁判所長官がこれに当たる(財政法20条2項,会計法4条等)。

(2) 執行機関

執行機関は,各省各庁の長から会計事務の執行権限を委任され,又は分掌して,現実に事務を執行する機関である(会計法4条の2,13条,24条,29条の2等)。

裁判所においては,最高裁判所長官の有する執行の権限が,裁判所会計事務規程(本記事で「会計規程」という。)に基づいて,各裁判所の職員に委任され,又は分掌されている(会計規程3条ほか)。
たとえば,歳入徴収官は経理局長,高等裁判所事務局次長,地方裁判所事務局長等に委任され(会計規程3条1項別表第2の1),支出負担行為担当官,官署支出官及び契約担当官は,経理局長,高等裁判所事務局長,地方裁判所長等に委任されている(会計規程3条1項別表第2の2及び4)。

3 法令名と条文番号を意識する意義

以上のように,三部作は,個々の事務を,法令名と条文番号にまで結びつけて説明する。
これは,会計事務が,担当者の裁量によってではなく,法令という客観的な根拠に従って行われるべきものであることを示している。

事務の一つひとつについて「どの法令の,どの条文に基づくのか」を明らかにする姿勢は,法令データを法令名と条文番号によって構造化し,結論に至る導出過程を明示しようとする近年の取組みとも,方向を同じくするものである。

第7 三部作を貫く思想と意義

1 「根拠と目的」という共通項

三部作を通読して浮かび上がるのは,「根拠と目的」という共通のキーワードである。
入門の副題は「シートで学ぶ根拠と目的」であり,基礎知識も提要も,事務の根拠と目的を理解することの重要性を繰り返し説いている。

会計事務は細分化されているため,個々の作業の意味を見失いやすい。
だからこそ,根拠(なぜその法令に従うのか)と目的(何のための事務か)に立ち返ることが求められているのである。

2 弁護士及び市民にとっての意義

三部作は,本来,裁判所の会計担当職員のための部内資料である。
しかし,これらは,国の予算がどのような法令の枠組みのもとで執行されているかを,具体的に示すものでもある。

裁判費用,証人旅費,保管金といった,裁判手続に関わる金銭の取扱いがどの法令に基づくのかを知ることは,弁護士の実務にとっても,また司法の運営に関心を持つ市民にとっても,有益な手がかりとなる。
実務で使う場合は,事件の課題から提要の該当章を引き,そこに記載された根拠と,現在の規程・公式案内を照合する方法が有用である。

実務の課題読む箇所と,現在確認する事項
保管金・予納金の残額還付提要第5章・第13章。納付者,還付先口座,変更時の連絡及び依頼者への清算を確認する
会計・調達文書の探索提要第6章・第11章。契約年度,所管課,仕様・選定・履行確認・支払の文書と保存期間を確認する
相続財産の金銭の国庫引継ぎ提要第13章の印刷頁445~446。現在の家裁案内に従い,残額計算,納入告知及び納付証拠を対応させる

保管金の具体的な手続は,裁判所の保管金・予納金の還付―電子納付,口座名義・変更と法律事務所の事件別精算(AI作成)で説明する。
文書の所在と保存期間は,司法行政文書に関する文書管理(AIリライト),国庫への引継ぎは,相続人がいない遺産を国に引き継ぐ手続を参照されたい。
三部作の記載から各庁の現在の運用又は税務処理までを直接確定せず,資料の時点と所管を分けて確認する。

実務では,支出負担行為,履行の確認・検査,支出決定及び実際の支払を一つの出来事として扱わず,担当者の権限と各段階の原資料を突き合わせる。
契約書,完了通知,検査結果,請求・受付記録,支払に関する通知及び入金明細を分けて保存すると,どこまでが確認済みかを説明しやすい。
これは資料整理上の提案であり,内部の会計手続だけから取引相手の請求権や税務処理を確定する趣旨ではない。

会計法29条の11及び予算決算及び会計令101条の9の監督・検査と,契約事務取扱規則24条の検査調書の作成は区別する必要がある。
検査調書を省略できる場合であっても,そのことだけで履行確認のための検査自体を省略できるわけではない。
具体的な取引については,対象時の法令,契約条件及び検査を行ったことを示す資料を確認する。

税理士と資料を共有する際も,国側の予算年度,支出の決定日及び実際の支払日と,取引相手の会計・税務上の収益や費用の計上時期を分けて整理する。
国の会計執務資料は,取引相手の税務申告の結論を直接定める資料ではない。

3 結びに代えて

三部作は,会計事務のすべてを語り尽くしたものではないと,提要自身が認めている。

それでもなお,根拠と目的に立ち返りながら,より良い事務を工夫し続けるという姿勢は,会計事務に限らず,あらゆる専門的な事務に通じる普遍的な態度であろう。
本記事が,裁判所の会計事務という,普段は目に触れにくい領域を理解するための一助となれば幸いである。