第1 訴訟上の相殺の抗弁と既判力
1 訴訟上の相殺の抗弁の意義
訴訟上の相殺の抗弁とは,被告が口頭弁論において自己の債権(自働債権)を相殺に供することにより,原告の主張する債権(受働債権)を対当額で消滅させ,原告の請求を理由のないものとする抗弁をいう。相殺の意思表示そのものは民法505条1項に基づく実体法上の行為であるが,これを訴訟の場で防御方法として提出する点に特殊性がある。なお,民訴法114条2項が既判力を認める「相殺のために主張した請求」は,訴訟の場で相殺の意思表示をした場合に限られず,訴訟外で既にした相殺を訴訟上主張した場合も含まれると解されている。既判力を認める趣旨は,いずれの場合にも等しく妥当するからである。
相殺の抗弁,同時履行の抗弁及び反訴は,反対債権に関わる場合でも効果が異なる。相殺は対当額で債権を消滅させる防御方法であり,そのために主張した請求の成立又は不成立の判断に民訴法114条2項の既判力が生じる。同時履行の抗弁は反対給付の提供まで履行を拒むもので,通常は引換給付判決につながるが,反対給付額について当然に同項の既判力を生じさせたり,その支払を回収する債務名義を与えたりするものではない。反訴は自分の請求を審判対象とし,給付請求が認容されればその給付について債務名義を得るための手続である。相殺に使わなかった残額の回収も,相殺の主張だけで当然に命じられるわけではない。
関連する実務上の整理は,引換給付判決で何が確定するか―同時履行の抗弁,反対債権の既判力,代金回収と強制執行及び反訴か別訴か―重複起訴,併合審理,請求の関連性と債務名義から考える選択を参照。
2 判決理由中の判断に既判力が生ずる唯一の例外
既判力は,本来,判決主文に包含するものに限って生ずる(民訴法114条1項)。判決理由中でされる前提問題の判断に既判力が生じないのは,当事者間の紛争解決としてはそれで足りること,理由中の判断については当事者の手続保障が十分でない場合があること,及びそのように解することが審理の簡易化・弾力化に資することによる。
これに対し,民訴法114条2項は「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は,相殺をもって対抗した額について既判力を有する」と定め,判決理由中の判断に既判力を生じさせる例外を置いている。相殺の抗弁は,訴求債権とは別個の,それ自体が訴訟物となり得る反対債権を持ち出すものであって,いわば反訴に近い機能を有する。そのため,これに既判力を認めておかないと,訴求債権をめぐる紛争が反対債権をめぐる紛争として蒸し返され,判決による紛争解決の実効性が失われる。最高裁も,同項について「判決の理由中の判断に既判力を生じさせる唯一の例外を定めたものである」と述べ,その適用範囲を無制限に拡大することは相当でないとしている(最高裁平成10年4月30日判決・民集52巻3号930頁)。
3 既判力が生ずる範囲
既判力が生ずるのは「相殺をもって対抗した額について」であり,このことは相殺の抗弁が排斥された場合であると認容された場合であるとを問わない。反対債権が存在しないとして相殺の抗弁が排斥された場合には,敗訴した被告が後に反対債権を主張することを防ぐため,対抗額の限度で反対債権の不存在について既判力が生ずる。
反対債権が存在するとして相殺の抗弁が認容され,原告の請求が棄却された場合については,同じく反対債権の不存在についてのみ既判力が生ずるとするのが一般的な理解である。基準時における権利関係の存否を確定するのが既判力の作用であるところ,訴求債権及び反対債権が存在したことは基準時前の事由であって確定の対象とならないうえ,反対債権の不存在についてのみ既判力を認めれば,原告からの「反対債権は初めから存在しなかった」とする不当利得返還請求は請求棄却判決の既判力によって,被告からの「訴求債権は別の理由で存在しなかった」とする不当利得返還請求は反対債権不存在の既判力によって,それぞれ封じることができるからである。もっとも,訴求債権と反対債権がともに存在し相殺によって消滅したことについて既判力が生ずるとする有力な見解もあり,この点は決着をみていない。
金額例として,原告の請求債権(甲)が200万円,被告の相殺に供する債権(乙)が300万円で,甲の存在が認められ相殺の判断に進んだ場合,乙が全部弁済済みとして抗弁が排斥されても,乙の不存在判断の既判力は対抗額200万円の範囲に限られ,残100万円に当然には及ばない。
さらに,原告が別の丙債権300万円によって乙300万円全部を有効に訴訟外相殺した場合,乙・丙は実体法上各300万円消滅する一方,乙についての相殺判断の既判力は200万円に限られる。丙について別個の請求をしていない限り,再抗弁の判断だけで丙に既判力が生じるものではない。
この金額例は民訴法114条を踏まえた整理である。実体法上の消滅額,理由中で検討された金額及び既判力の範囲を同一視してはならない。残100万円の後訴では,証拠評価と信義則を別途検討する。
4 既判力が生じない場合と審理の順序
相殺の抗弁が弁論に上程されれば常に既判力が生ずるわけではなく,既判力が生ずるのは,裁判所が反対債権の存否を実質的に審理判断した場合に限られる。具体的には,相殺の抗弁が時機に後れた攻撃防御方法として却下された場合(民訴法157条1項),相殺適状の要件(民法505条)を欠く場合,及び受働債権が民法509条所定の債権であるために相殺が許されない場合には,反対債権の存否についての判断はされないから,既判力は生じない。
相殺の抗弁の判断に既判力が生ずることは,審理の順序にも影響する。弁済や免除の抗弁であれば,訴求債権の存在を仮定したまま抗弁を認めて請求を棄却してもよい。抗弁についての判断が理由中の判断にとどまり既判力を生じない以上,被告にとってはいかなる理由で勝訴しても利害に差がないからである。これに対し,相殺の抗弁については,訴求債権の存在を仮定したまま相殺を認めて請求を棄却することは許されない。被告は,相殺が容れられて勝訴しても反対債権を失うという出捐を伴うからであり,裁判所は,他の抗弁を先に判断し,なお訴求債権が存在すると確定した後に,はじめて相殺の抗弁を判断することになる。この意味で,相殺の抗弁は性質上予備的な抗弁である。
第2 相殺の抗弁が許されるとされた最高裁判例
1 一部請求の残部を自働債権とする相殺
一個の債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えを提起している場合において,当該債権の残部を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは,債権の分割行使をすることが訴訟上の権利の濫用に当たるなど特段の事情の存しない限り,許される(最高裁平成10年6月30日判決・民集52巻4号1225頁)。明示的一部請求の訴訟物は当該一部に限られ,残部は別訴の訴訟物となっていないから,後記第3の1の判例法理が及ばないという理解である。
2 反訴請求債権を自働債権とする相殺
本訴及び反訴が係属中に,反訴原告が,反訴請求債権を自働債権とし,本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは,異なる意思表示をしない限り,反訴を,反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分を反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更するものとして,許される(最高裁平成18年4月14日判決・民集60巻4号1497頁)。反訴請求債権は反訴の訴訟物であるから,形式的には後記第3の1の場面に当たるが,反訴を予備的反訴に変更するものと構成することによって既判力の抵触を避け,同一手続内での清算を認めた点に意義がある。
3 時効消滅した本訴請求債権を自働債権とする相殺
本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として,反訴において,当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許される(最高裁平成27年12月14日判決・民集69巻8号2295頁)。この相殺の抗弁は,本訴請求債権が時効消滅すると判断されることを前提とする仮定的な抗弁であって,本訴請求が認容される限りそもそも判断の対象とならないという特殊性がある。実体法上の根拠は,時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には相殺をすることができるとする民法508条である。
4 本訴請求債権を自働債権とし反訴請求債権を受働債権とする相殺
最高裁令和2年9月11日第二小法廷判決(平成30年(受)第2064号,民集74巻6号1693頁)は,請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方が本訴,他方が反訴の請求債権となった場合に,本訴原告からの相殺の抗弁を認めた。
両債権の清算的調整は当事者双方の便宜と公平にかない,この場合には本訴・反訴の弁論を分離することも許されないとしたためである。
本判決を,本訴と反訴が対向するだけで一般に双方向の相殺ができるという意味に広げてはならない。
同一の請負契約から生じた両債権の関係,現実の相互履行を求める特別の利益がないこと及び弁論分離の禁止を踏まえた判示である。
清算後の残代金の遅延損害金については,雨漏り・施工不良と工事代金を参照されたい。
第3 相殺の抗弁が許されないとされた最高裁判例
1 別訴で訴訟物となっている債権を自働債権とする相殺
以下の判例は,別訴で訴訟物となっている債権を,相殺の自働債権として別の訴訟にも持ち込む場面を対象とする。代金支払請求と目的物引渡請求が同じ売買契約に基づくというだけで,その別訴が一律に重複起訴になるという意味ではない。同時履行の抗弁には,相殺に関する114条2項の規律をそのまま当てはめない。
係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されない(最高裁昭和63年3月15日判決・民集42巻3号170頁,最高裁平成3年12月17日判決・民集45巻9号1435頁)。別訴が先行し相殺の抗弁が後から提出される類型であることから,抗弁後行型と呼ばれる。
平成3年判決は,その理由を,重複起訴を禁止する規定(現行の民訴法142条。同判決当時は旧民訴法231条)の趣旨から説明する。すなわち,重複起訴禁止の理由は,審理の重複による無駄を避けることと,複数の判決において互いに矛盾した既判力ある判断がされるのを防止することにあるところ,相殺の抗弁について提出された自働債権の存否の判断は相殺をもって対抗した額について既判力を有するとされていること,及び相殺の抗弁の場合にも自働債権の存否について矛盾する判決が生ずるのを理論上も実際上も防止することが困難であることを考えると,同条の趣旨は,同一債権について重複して訴えが係属した場合のみならず,既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出する場合にも同様に妥当する,というのである。そして同判決は,「このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され,両事件が併合審理された場合についても同様である」と述べており,実際の事案も,同一の高等裁判所の同一部で併合審理中の別事件の訴求債権を自働債権とする相殺が主張されたものであった。すなわち,併合審理されていることは,この判例法理を回避する理由にならない。
なお,昭和63年判決は,賃金の仮払を命ずる仮処分の執行に係る仮払金の返還請求訴訟において,仮処分債権者が本案訴訟で訴求中の賃金債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出することは許されないとしたものである。仮払金の返還をめぐる法律関係については,残業代請求訴訟における仮執行宣言に基づく仮払い後の取扱いも参照されたい。
2 訴訟上の相殺の再抗弁
(1) 最高裁平成10年4月30日判決
被告による訴訟上の相殺の抗弁に対し,原告が訴訟上の相殺を再抗弁として主張することは,不適法として許されない(最高裁平成10年4月30日判決・民集52巻3号930頁)。同判決は,その理由として三点を挙げている。①訴訟上の相殺の意思表示は,当該訴訟において裁判所により相殺の判断がされることを条件として実体法上の効果が生ずるものであるから,相殺の抗弁に対して更に相殺の再抗弁を主張することを許すと,仮定の上に仮定が積み重ねられて当事者間の法律関係を不安定にし,いたずらに審理の錯雑を招くこと,②原告が訴訟物である債権以外の債権を有するのであれば,訴えの追加的変更により当該訴訟で請求するか,別訴を提起することによってこれを行使することが可能であり,仮に消滅時効が完成しているような場合であっても訴訟外で相殺の意思表示をした上でこれを訴訟において主張することができるから,訴訟上の相殺の再抗弁を許さなくとも格別不都合はないこと,③民訴法114条2項は判決理由中の判断に既判力を生じさせる唯一の例外を定めたものであり,その適用範囲を無制限に拡大することは相当でないこと,である。
(2) 訴訟外の相殺は再抗弁として主張できる
もっとも,同判決は,右の①の理由を述べる前提として,「訴訟外において相殺の意思表示がされた場合には,相殺の要件を満たしている限り,これにより確定的に相殺の効果が発生するから,これを再抗弁として主張することは妨げない」と明示している。訴訟外の相殺は裁判所の判断を条件とせず確定的に効力を生ずるため,仮定の上に仮定を重ねるという弊害が生じないからである。したがって,禁じられているのはあくまで訴訟上の相殺を再抗弁として主張することであって,相殺の抗弁に供された債権が訴訟外の相殺によって既に消滅したという主張は,再抗弁として適法である。
この理解を実際に適用した下級審裁判例として,東京地方裁判所令和3年2月17日判決(令和元年(ワ)第28852号・受信料請求事件)がある。被告が別件訴訟で取得した訴訟費用償還請求権を自働債権とする訴訟上の相殺の抗弁を主張したのに対し,原告が,訴訟外で,自らの訴訟費用償還請求権を自働債権とし被告の同請求権を受働債権とする相殺の意思表示をしたという事案で,同判決は,原告の訴訟外の相殺の再抗弁を適法とし,被告が訴訟上の相殺に供した自働債権は口頭弁論終結時には既に消滅しているとして相殺の抗弁を排斥した。判決は,被告が平成10年最高裁判決の趣旨に照らして不適法であると主張したのに対し,「訴訟外において相殺の意思表示がされた場合には,相殺の要件を満たしている限り,これにより確定的に相殺の効果が発生するのであるから,訴訟上の相殺の抗弁に対して訴訟外の相殺を再抗弁として主張したとしても,仮定の上に仮定が積み重ねられて審理の錯雑を招くという事態に陥るおそれはなく,平成10年最高裁判決も同旨であることが明らかである」と判示した。従前は判例秘書(LLI/DB判例秘書登載)で全文を確認していたが,令和8年10月3日の更新時に東京地裁令和3年2月17日判決の公式全文(14頁)も確認した。訴訟費用額確定処分の告知と相殺の意思表示の時期を具体的に検討した事案であり,その金額確定・弁済期の判断を他の種類の債権に直ちに一般化してはならない。
もっとも,この結論には検討の余地がある。同一の自働債権・受働債権について同一の時期に同一の目的でされる相殺であるにもかかわらず,訴訟上でされれば不適法,訴訟外でされれば適法という正反対の帰結になるからである。学説には,相殺の意思表示が訴訟外でされたか訴訟上でされたかという外形で区別するのではなく,訴訟とは無関係にされた相殺と,訴訟係属後に当該訴訟で主張することを目的としてされた相殺とを区別し,後者には訴訟上の相殺と同じ規律を及ぼすべきであるとする指摘がある。
この東京地方裁判所判決については,次のとおり紹介されている。
φ(..)メモメモ
東京地判R3.2.17https://t.co/cqaUyNmhgq
訴訟上の相殺の抗弁に対し、訴訟外で相殺の意思表示をし、これを訴訟上再抗弁として主張することは許される(H10最判に反しない)。
— venomy (@idleness_venomy) May 12, 2023
3 抗弁先行型の扱い
相殺の抗弁として既に提出した債権を,後から別訴の訴訟物として請求するのが抗弁先行型である。
前記1の,別訴の請求を先に提起し,後から別の訴訟で相殺に使う抗弁後行型とは区別する。
相殺の抗弁は他の防御方法の後に判断される予備的な性質を持つため,判断されるか,民訴法114条2項の既判力が生ずるかは,提出時点では確定していない。
この不確実性を理由に別訴を許容する見解と,判断の抵触や審理の重複を重視する見解の対立がある。
前記1の最高裁判決の結論を,提出順序の異なるこの類型にそのまま移してはならない。
実務では提出・係属の順序,他の抗弁,相殺の判断範囲を確認し,反訴・別訴・予備的請求の構成を検討する。
手続の選択は,反訴か別訴かを参照されたい。
第4 一部請求における相殺の充当と既判力
特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺の抗弁が理由がある場合には,当該債権の総額を確定し,その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上,請求額が残存額の範囲内であるときは請求の全額を,残存額を超えるときは残存額の限度でこれを認容すべきである(最高裁平成6年11月22日判決・民集48巻7号1355頁)。相殺を債権総額の外側から充当するという意味で外側説と呼ばれる。同判決は併せて,一部請求訴訟において相殺のため主張された自働債権の存否の判断は,当該金銭債権の総額から一部請求の額を控除した残額部分に対応する範囲については既判力を生じないと判示しており,第1の3で述べた「相殺をもって対抗した額」の意味を一部請求の場面で具体化したものといえる。
数量的一部請求で敗訴した原告による残部請求は,特段の事情がない限り信義則に反して許されない(最高裁平成10年6月12日判決の公式全文・民集52巻4号1147頁)。
他方,最高裁平成10年6月30日判決の公式全文(同号1225頁)の法廷意見は,係属中の別件一部請求の残部を相殺に使うことについて,権利濫用などの特段の事情がない限り許容する一般論を示し,具体的には,別件の売買代金低落分とは実質的な発生事由を異にする弁護士報酬相当額の損害による相殺を許容した。
同判決の補足意見は,数量的一部4000万円の請求を棄却する別件判決が同日確定した後の,同じ売買代金低落分の残債権による相殺について,当該事案では特段の事情がなく不適法になったと述べている。
したがって,「残部の別訴は制限されるが,相殺なら常に許される」とは整理できない。係属中か敗訴確定後か,数量的残部か別種の損害か,法廷意見か補足意見かを区別する必要がある。
第5 相殺の抗弁と上訴
1 相殺の抗弁により勝訴した被告の上訴の利益
被告が弁済や免除の抗弁により勝訴した場合には,申立てどおりの請求棄却判決がされている以上,上訴の利益は認められない(形式的不服説)。これに対し,相殺の抗弁によって勝訴した場合には,被告は反対債権を失うという出捐を伴い,実質的には敗訴判決を受けたに等しい。相殺の抗弁の判断には既判力が生ずるため,後訴でその点を争うこともできない。そこで,この場合には例外的に上訴の利益が認められると解されている。
2 不利益変更禁止の原則
もっとも,上訴した結果として被告が常に有利になるわけではない。原告の訴求債権の存在を認めながら被告の相殺の抗弁を容れて原告の請求を棄却した第一審判決に対し,原告のみが控訴し,被告が控訴も附帯控訴もしなかった場合において,控訴審が,被告の相殺の抗弁について判断するまでもなく訴求債権の不存在を理由に原告の請求を棄却すべきときは,不利益変更禁止の原則に従い,第一審判決を維持して原告の控訴を棄却するにとどめなければならない(最高裁昭和61年9月4日判決・集民148号417頁)。控訴した原告にとって,反対債権不存在の既判力が失われる判決は第一審判決より不利益となるからである。
これと表裏の場面として,訴求債権が存在しないとして請求を棄却した第一審判決に対し,控訴審が訴求債権は存在するが反対債権による相殺が成り立つと判断する場合には,同じ請求棄却でも既判力の範囲が民訴法114条1項によるか同条2項によるかで異なるから,第一審判決を取り消して改めて控訴審の判決をすべきであるとされている。相殺の抗弁が絡む場合には,主文が同じでも判決の効力が異なりうることに注意を要する。
第6 相殺の担保的機能と第三者との関係
相殺には,相手方の資力が悪化しても自働債権を実質的に回収できるという担保的機能がある。この機能を第三者に対してどこまで対抗できるかが,以下の各場面で問題となる。
1 差押えと相殺
通常の債権差押えでは,差押え前に取得した反対債権による相殺を対抗できる。
現行民法511条2項は,差押え後の取得でも差押え前の原因に基づく債権を保護するが,差押え後に他人の債権を取得した場合は除外する。
取得時,弁済期,相殺適状,差押命令の送達及び改正附則の検討は,差し押さえられた債権と相殺できるか―民法511条,債権取得時と弁済期(AI作成)にまとめた。
2 債権譲渡と相殺
債権譲渡では,民法468条の抗弁と469条の相殺を分ける。
対抗要件具備時より前に取得した債権だけでなく,前の原因に基づく債権や,譲渡対象債権と同一契約に基づく債権にも保護の規定がある。
請負代金の譲渡後の損害賠償,契約の同一性及び経過措置は,債権譲渡の通知後でも相殺できるか―民法468条・469条と同一契約から生じた反対債権(AI作成)を参照されたい。
3 抵当権に基づく物上代位と相殺
抵当権者の物上代位による賃料差押えでは,反対債権の取得と抵当権設定登記の先後を確認する。
令和5年11月27日判決の将来賃料との相殺合意と,平成21年7月3日判決の収益執行管理人への対抗は,手続と対象債権を分けて検討する。
各月の対象期間,充当及び相殺の相手方を含む詳説は,賃料債権への物上代位と相殺―抵当権設定登記,差押え及び担保不動産収益執行(AI作成)にまとめた。
第7 倒産手続における相殺
倒産手続では,相殺が有効と認められるかどうかによって,実質的に全額回収できるか配当にとどまるかという大きな差が生ずる。破産法及び民事再生法は,債権者の間の公平を図るため,一定の時期以後に負担した債務を受働債権とする相殺を禁止しており,その例外として「前に生じた原因」に基づく場合を定めている。手続一般については,倒産事件に関するメモ書きを参照されたい。
1 破産手続
破産法67条による相殺権の保護を出発点とし,71条の債務負担側の禁止と72条の債権取得側の禁止を確認する。
請負違約金を扱う令和2年9月8日判決と,無委託保証を扱う平成24年5月28日判決は,原因,取得時及び他の債権者との関係を区別して読む。
2 民事再生手続
民事再生法92条では,原則として債権届出期間満了前の相殺適状と届出期間内の相殺が必要である。
平成26年6月5日判決は,支払停止を知った後の投資信託の代位解約について,危機前の管理契約があることだけでは同法93条2項2号の例外に当たらないとした。
3 三者間相殺
平成28年7月8日判決は,同じ完全親会社を持つ別会社の再生債権による相殺を,あらかじめ合意があっても民事再生法92条1項の相殺に該当しないとした。
グループ全体の清算と,同一当事者間の相互性を混同しない。
4 破産法71条と72条の見分け方
71条は破産者へ債務を負担した場面,72条は破産債権を取得した場面を対象とする。
それぞれの1項の禁止事由と2項の例外を対応させ,支払不能,支払停止,申立て,開始決定及び知情時期を分ける。
以上の条文比較,判決の射程及び時系列表は,破産・民事再生で相殺できるか―相殺禁止,危機時期前の原因及び三者間相殺(AI作成)を参照されたい。
5 支払不能を知った後に作られた預金債権
銀行預金では,各入金による預金債務の負担と,その後の振替を区別する。
東京高裁令和5年5月17日判決を,売上入金先を新たに変更した事件などにそのまま一般化しない。
具体的な事実関係,預金振替の評価及び主張立証資料は,資金繰り悪化後の売上入金口座と銀行の相殺に集約した。
第8 実体法上の相殺の要件及び制限
1 相殺適状
相殺は,二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において,双方の債務が弁済期にあるときにすることができる(民法505条1項本文)。ここでいう相殺適状について,既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには,受働債権につき,期限の利益を放棄することができるというだけではなく,期限の利益の放棄又は喪失等により,その弁済期が現実に到来していることを要する(最高裁平成25年2月28日判決・民集67巻2号343頁)。同判決は併せて,時効によって消滅した債権を自働債権とする相殺(民法508条)をするためには,消滅時効が援用された自働債権が,その消滅時効期間が経過する以前に受働債権と相殺適状にあったことを要するとしており,前記第2の3の場面でも前提となる。時効一般については,消滅時効に関するメモ書きを参照されたい。
相殺は,当事者の一方から相手方に対する意思表示によってし,その意思表示に条件又は期限を付することはできないが,その効力は双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼって生ずる(民法506条)。訴訟上の相殺の抗弁が裁判所の判断を条件とすると解されることと同条1項後段との関係は,第9で述べる。
2 相殺が禁止される場合
相殺を禁止し又は制限する旨の当事者の意思表示は,第三者がこれを知り,又は重大な過失によって知らなかったときに限り,その第三者に対抗することができる(民法505条2項)。平成29年改正前は譲渡禁止特約と同様に善意の第三者に対抗できないとされていたが,改正により重大な過失のある第三者にも対抗できることとなった。
法律上相殺が禁止されるのは,①悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務及び人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務を受働債権とする場合(民法509条本文。ただし債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは除かれる),②差押えを禁じられた債権を受働債権とする場合(民法510条),③差押えを受けた債権について差押え後に取得した債権を自働債権とする場合(民法511条1項。ただし,差押え後に取得した債権であっても差押え前の原因に基づいて生じたものであれば,同条2項により相殺を対抗できる。前記第6の1参照)である。①については,平成29年改正前は不法行為に基づく損害賠償債務一般が受働債権とされることを禁じられていたが,改正により,加害者の悪意による場合と生命・身体侵害の場合とに限定された。相殺の充当については民法512条及び512条の2が定めている。
これらの改正には経過措置があり,改正前の債権や意思表示には改正前の規定が適用される場合がある。改正法の施行日(令和2年4月1日)前に債権が生じた場合におけるその債権を受働債権とする相殺については,現行民法509条にかかわらず,なお従前の例による(平成29年法律第44号附則26条2項)。したがって,施行日前の不法行為によって生じた損害賠償債務は,悪意による不法行為や生命・身体の侵害によるものでなくても,改正前民法509条により,その債務者が相殺をもって債権者に対抗することはできない。同様に,施行日前にされた相殺を禁止し又は制限する旨の意思表示には改正前民法505条2項(善意の第三者に対抗できない)が(同附則26条1項),施行日前の原因に基づいて生じた債権を自働債権とし,差押えを受けた債権を受働債権とする相殺には改正前民法511条及びこれに関する判例が(同条3項),施行日前にされた相殺の意思表示に係る充当には改正前の規定が(同条4項),それぞれ適用される。そのため,相殺の可否を検討するときは,受働債権・自働債権の発生時期や意思表示の時期が施行日の前か後かを最初に確認する必要がある。
3 賃金債権を受働債権とする相殺
労働基準法24条1項の賃金全額払の原則との関係で,労働者の賃金債権に対しては,使用者は,労働者に対して有する不法行為を原因とする債権をもってしても相殺することは許されない(最高裁昭和36年5月31日大法廷判決・民集15巻5号1482頁)。
もっとも,賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権とし,その後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺は,過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ,かつ,あらかじめ労働者に予告されるとかその額が多額にわたらない等労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのないものであるときは,同項に違反しない(最高裁昭和44年12月18日判決・民集23巻12号2495頁)。調整的相殺と呼ばれる。また,使用者が労働者の同意を得て労働者の退職金債権に対してする相殺は,その同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは,同項本文に違反しない(最高裁平成2年11月26日判決・民集44巻8号1085頁)。
4 同時履行の抗弁付き債権と請負報酬の相殺
同時履行の抗弁が付着した債権を自働債権として相殺すると,相手方の履行拒絶権を一方的に失わせるため,通常は相殺が認められない。
ただし,最高裁昭和53年9月21日第一小法廷判決(昭和52年(オ)第1306号・裁判集民事125号85頁)は,請負報酬債権と瑕疵修補に代わる損害賠償債権について,相互に現実の支払をさせる特別の利益がなく,清算が当事者双方の便宜と公平にかなうことから,額が異なる場合も相殺を認めた。
この例外は,同一契約から生じた金銭債権であれば常に相殺できるという意味ではない。
相殺によって失われる抗弁の内容と,相互に現実の履行をさせる利益を検討する必要がある。
司法研修所『4訂 紛争類型別の要件事実』204頁~205頁は,現行法の請負契約不適合に関する説明でも,修補に代わる損害賠償債権と報酬債権との相殺を取り上げている。
また,最高裁平成9年7月15日第三小法廷判決(平成5年(オ)第2187号・民集51巻6号2581頁)は,既に支払期日の到来した報酬について,同時履行の抗弁によって相殺前に適法に支払を拒んでいた効果は相殺の遡及効によって失われず,相殺後の残債務の遅滞責任は相殺の意思表示をした日の翌日から生じるとした。
相殺に使い切った修補費用相当の損害賠償債権を理由に,残代金の支払拒絶を続けることはできない。
具体的な対応は,雨漏り・施工不良がある場合の支払拒絶,報酬減額,相殺と残代金の遅延損害金で説明している。
第9 訴訟上の相殺の抗弁の法的性質
訴訟上の相殺の抗弁は,実体法上の相殺の意思表示と訴訟上の防御方法の提出という二つの性格を併せ持つ。そのため,相殺の抗弁が時機に後れた攻撃防御方法として却下された場合,訴えが取り下げられ又は却下された場合,被告が抗弁を撤回した場合など,裁判所の判断を受けないまま訴訟が終了したときに,実体法上の相殺の効果が残るかどうかが問題となる。相殺の意思表示に条件を付することができない以上(民法506条1項後段),これをどのように説明するかが議論されてきた。
裁判実務は,裁判所が請求原因事実の存在を肯定し相殺の抗弁以外の抗弁を排斥したことを停止条件として訴訟上の相殺の意思表示が効力を持つと解しているとみられ,前記第3の2(2)の東京地方裁判所令和3年2月17日判決も,訴訟上の相殺の意思表示は「当該訴訟において裁判所により相殺の判断がされることを停止条件として実体法上の相殺の効果が生ずるものである」と明言している。これに対し学説では,裁判所が訴訟上の理由から相殺の抗弁を斟酌しない場合には相殺の実体法上の効果も事後的に消滅すると見る解除条件説が有力である。解除条件説によれば,相殺の抗弁が提出された時点でひとまず実体法上の効力が生ずるため,相殺に供された債権を受働債権とする反対相殺の再抗弁は常に実体法上意味のない主張となり,第3の2で述べた訴訟上と訴訟外の不均衡も生じにくい。いずれの構成を採るかは,抗弁が判断されずに終わった後の当事者の権利関係に直結する。
第10 基準時後の相殺と請求異議の訴え
債務名義たる判決の基礎となる口頭弁論の終結前に相殺適状にあったとしても,弁論終結後にされた相殺の意思表示により債務が消滅した場合には,その債務の消滅は請求異議の原因となりうる(最高裁昭和40年4月2日判決・民集19巻3号539頁)。既判力は基準時における権利関係の存否を確定するものであり,基準時後に生じた事由の主張は遮断されない。相殺権については,形成権であるにもかかわらず,弁済や免除の抗弁と異なり,前訴で必ずしも提出することを期待できないため,後訴での主張は遮断されないと解されている。請求異議の訴えその他の執行段階での対抗手段については,強制執行に対する債務者の対抗手段―執行抗告,請求異議の訴え,執行停止,差押禁止債権の範囲変更を参照されたい。
同じ形成権でも,詐欺を理由とする取消しについては,売買を請求原因とする所有権確認の判決が確定した後に売買を取り消して所有権を争うことは許されないとされ(最高裁昭和55年10月23日判決・民集34巻5号747頁),借地上の建物の買取請求権については,建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結後に行使した効果は請求異議の事由となるとされている(最高裁平成7年12月15日判決・民集49巻10号3051頁)。上記昭和40年判決の判決文が理由として述べているのは,相殺が意思表示によって初めて効力を生ずることであり,前訴での提出を期待できないという説明は,学説上の説明である。
保証人が,自分に対する判決の確定後に主たる債務者がした相殺による主債務の消滅を請求異議の事由とする場面は,相殺権者自身が基準時後に相殺した昭和40年判決の場面とは異なる。保証人は,主たる債務者の相殺権を理由とする履行拒絶(民法457条3項)を自分の訴訟で主張できたからである。この場面は,連帯保証人だけが先に敗訴したとき―主たる債務者の勝訴判決・相殺と請求異議の訴え(最高裁昭和51年10月21日判決・昭和40年4月2日判決,民法457条3項)で整理している。
第11 実務で整理する資料と訴訟方針
①自働債権・受働債権の当事者,原因,金額及び弁済期
②相殺通知と到達,訴訟上の提出日,別訴・反訴の係属と提出順序
③他の抗弁の有無,一部請求の総額・請求額及び相殺の充当範囲
④判決の主文と相殺について実際に判断された範囲,上訴・請求異議の必要性
相殺による請求棄却は,反対債権を失う場合を伴うため,請求を争う他の抗弁や,後に反対債権を請求する予定と併せて訴訟方針を決める。
差押え,譲渡,抵当権,倒産が関係する場合は,前記第6・第7の専用記事に従い,第三者対抗と相殺禁止も確認する。
第12 関連記事
外部の解説として,みずほ中央法律事務所のウェブサイトに二重起訴の禁止と相殺の抗弁が掲載されている。
当ブログの関連記事としては,本記事と同じく相殺を扱うものとして損益相殺とは―労災保険給付・年金・保険金の控除と計算順序がある。損害賠償額の算定における損益相殺は,本記事で扱った債権の対当額消滅としての相殺とは別の概念である。
時効によって消滅した債権を自働債権とする相殺の要件(民法508条)は,時効で消滅した債権で相殺できるかで説明している。
相殺通知を送る前の確認事項は,相手方の相殺にどう反論するか―弁済の再抗弁,訴訟外の相殺通知と債権を失うリスク(AI作成)で説明している。
一部請求の残額を請求又は相殺に使う場合は,一部請求で負けた後に残額を請求・相殺できるか―既判力と信義則,係属中と確定後の違い(AI作成)で,係属中と敗訴確定後,法廷意見と補足意見を分けて整理している。
第13 出典
1 法令
- 民事訴訟法(平成8年法律第109号)114条,142条,143条,146条,157条(e-Gov法令検索)
- 民法(明治29年法律第89号)468条,469条,505条から512条の2まで(e-Gov法令検索)
- 民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則26条(e-Gov法令検索。民法の附則として掲載)
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)24条1項(e-Gov法令検索)
- 破産法(平成16年法律第75号)67条~73条(e-Gov法令検索)
- 民事再生法(平成11年法律第225号)92条,93条,93条の2(e-Gov法令検索)
2 裁判例
- 最高裁昭和36年5月31日大法廷判決(昭和34年(オ)第95号・破産債権確定請求事件・民集15巻5号1482頁)
- 最高裁昭和39年12月23日大法廷判決(昭和36年(オ)第897号・預金返還請求事件・民集18巻10号2217頁)
- 最高裁昭和40年4月2日判決(昭和38年(オ)第1066号・請求異議事件・民集19巻3号539頁)
- 最高裁昭和44年12月18日判決(昭和40年(行ツ)第92号・給与支払請求事件・民集23巻12号2495頁)
- 最高裁昭和45年6月24日大法廷判決(昭和39年(オ)第155号・定期預金等請求事件・民集24巻6号587頁)
- 最高裁昭和47年7月13日判決(昭和45年(オ)第449号・剰余金返還請求事件・民集26巻6号1151頁)
- 最高裁昭和51年10月21日判決(昭和49年(オ)第937号・請求異議事件・民集30巻9号903頁)
- 最高裁昭和55年10月23日判決(昭和55年(オ)第589号・土地所有権確認事件・民集34巻5号747頁)
- 最高裁昭和61年9月4日判決(昭和60年(オ)第1563号・貸金事件・集民148号417頁)
- 最高裁昭和63年3月15日判決(昭和58年(オ)第1406号・仮払金返戻請求事件・民集42巻3号170頁)
- 最高裁平成2年11月26日判決(昭和63年(オ)第4号・退職金等,同請求参加事件・民集44巻8号1085頁)
- 最高裁平成3年12月17日判決(昭和62年(オ)第1385号・契約金等事件・民集45巻9号1435頁)
- 最高裁平成6年11月22日判決(平成2年(オ)第1146号・損害賠償事件・民集48巻7号1355頁)
- 最高裁平成7年12月15日判決(平成4年(オ)第991号・請求異議事件・民集49巻10号3051頁)
- 最高裁平成10年4月30日判決(平成5年(オ)第789号・貸金事件・民集52巻3号930頁)
- 最高裁平成10年6月12日判決(平成9年(オ)第849号・報酬金等事件・民集52巻4号1147頁)
- 最高裁平成10年6月30日判決(平成6年(オ)第698号・不当利得事件・民集52巻4号1225頁)
- 最高裁平成17年1月17日判決(平成13年(受)第704号・破産債権確定,解約返戻金請求事件・民集59巻1号1頁)
- 最高裁平成18年4月14日判決(平成16年(受)第519号・損害賠償等請求本訴,請負代金等請求反訴事件・民集60巻4号1497頁)
- 最高裁平成21年7月3日判決(平成19年(受)第1538号・賃料等請求事件・民集63巻6号1047頁)
- 最高裁平成24年5月28日判決(平成21年(受)第1567号・預金返還請求事件・民集66巻7号3123頁)
- 最高裁平成25年2月28日判決(平成23年(受)第2094号・根抵当権設定登記抹消登記手続請求本訴,貸金請求反訴事件・民集67巻2号343頁)
- 最高裁平成26年6月5日判決(平成24年(受)第908号・損害賠償等請求及び独立当事者参加事件・民集68巻5号462頁)
- 最高裁平成27年12月14日判決(平成25年(受)第918号・不当利得返還請求本訴,貸金請求反訴事件・民集69巻8号2295頁)
- 最高裁平成28年7月8日判決(平成26年(受)第865号・清算金請求事件・民集70巻6号1611頁)
- 最高裁令和2年9月8日判決(平成31年(受)第61号・請負代金請求事件・民集74巻6号1643頁)
- 最高裁令和2年9月11日判決(平成30年(受)第2064号・請負代金請求本訴,建物瑕疵修補等請求反訴事件・民集74巻6号1693頁)
- 最高裁令和5年11月27日判決(令和3年(受)第1620号・取立金請求事件・民集77巻8号2188頁)
- 東京地方裁判所令和3年2月17日判決(令和元年(ワ)第28852号・受信料請求事件・LLI/DB判例秘書登載。判例秘書で全文を確認。令和8年10月3日更新時に東京地裁令和3年2月17日判決の公式全文も確認)
3 文献
- 高橋宏志『重点講義民事訴訟法(上)〔第2版補訂版〕』有斐閣・2013年 174頁~185頁,670頁~677頁
- 高橋宏志『重点講義民事訴訟法(下)〔第2版補訂版〕』有斐閣・2014年 657頁~681頁
- 秋山幹男ほか『コンメンタール民事訴訟法Ⅱ〔第3版〕』日本評論社・2022年 79頁~82頁,560頁~565頁
- 瀬木比呂志『民事訴訟法〔第3版〕』日本評論社・2025年 136頁~141頁,334頁~338頁,592頁~595頁,775頁~780頁
- 山本和彦『最新重要判例250 民事訴訟法』弘文堂・2022年 111頁
- 小林秀之『新ケースでわかる民事訴訟法』日本評論社・2021年 294頁~309頁,440頁,449頁
- 池邊摩依「訴訟上の相殺に供された債権を受働債権とする訴訟外の相殺を適法とした事案」新・判例解説Watch民事訴訟法No.123(2021年10月) 1頁~4頁
令和2年司法試験論文式試験出題の趣旨及び同採点実感(民事系科目)は,民法469条2項1号・2号の両構成を確認するために参照した。
4 ウェブ資料
引換給付判決と後訴の代金請求については,法務省「平成29年司法試験の採点実感」民事系科目第3問6~7頁(PDF31~32頁)も,反対給付額を執行開始の要件とする趣旨と,後訴の信義則に関する双方の事情の検討を説明している。これは試験の評価資料であり,個別事件の判決そのものではない。