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噴霧乾燥器の輸出許可と該非判定――3つの要件と滅菌・消毒(AI作成)

第1 輸出前に確認する3つの要件

海外へ噴霧乾燥器を出荷する前に,対象機の仕様を輸出貿易管理令と貨物等省令に照らして確認する。
同じ型式でも,ノズルや配管,洗浄・滅菌機構の構成が違えば,別の判定が必要になり得る。
食品加工用といった販売名だけでは,該非判定はできない。

輸出貿易管理令別表第一の3の2の項(2)と貨物等省令2条の2第2項5号の2が確認の出発点となる。
毒素又は病原性微生物の乾燥に用いることができる噴霧乾燥器であることを前提に,次のイからハまでの全てに該当するかを確認する。

イ 水分蒸発量が1時間当たり0.4キログラム以上400キログラム以下である。
ロ 平均粒子径10マイクロメートル以下の製品を製造できるか,最小の部分品の変更で製造できる。
ハ 定置した状態で内部の滅菌又は消毒をすることができる。

イの下限と上限,ロの10マイクロメートルは,いずれも境界値を含む。
運用通達では,イの水分蒸発量は1時間当たりの最大の水分蒸発量を指し,ロの平均粒子径はレーザー回折により測定したものを指す。
同通達は,ロの最小の部分品の変更に噴霧ノズルの交換が含まれるとしているので,標準仕様でロの基準に達しない場合は,噴霧ノズルの交換などで達するかを確認する。
イからハまでの一つが欠ける場合は,同号には該当しない。

第2 定置・内部・滅菌と消毒の意味

経済産業省のQ&AのQ1-9からQ1-11は,定置の状態,内部の範囲,滅菌又は消毒ができる機能をそれぞれ説明している。
ハの確認では,運転時と同じ密閉状態のまま,分解や移動をせずに,内部全体を処理できる機能があるかを見る。
乾燥室,サイクロン及びバグフィルタで主に構成される装置では,それらの内部のほか,間に設置された各種機器やダクトも内部に当たるとされている。
もっとも,同省も噴霧乾燥器の構成は製品によって様々であるとしており,内部の範囲は対象機の構成に即して特定する。

経済産業省の運用通達は,同項4号ロ(1)のクロスフローろ過用の装置について,滅菌を,物理的手法(例えば蒸気の使用)又は化学薬剤の使用により,装置から全ての生きている微生物を除去することと説明し,消毒を,化学薬剤の使用により微生物の数を減少させるプロセスと説明している。
Q1-11は,噴霧乾燥器のハの滅菌と消毒も,これらの解釈に準じて考えるとしている。
同省のQ1-13は,消毒とは,一般に,感染症を引き起こし得ない水準まで病原微生物の数を減少させることを指すと説明している。
ハは滅菌と消毒のいずれかで足りるため,化学薬剤を使わない装置でも,物理的手法で滅菌できる機能があるかを別に検討する。

たとえば,乾燥室だけに薬剤が届く場合,その試験だけでは,ダクトや接続機器を含めた内部全体の消毒能力を判断できない。
運転時と異なる構成で部品を取り外して洗浄できる場合も,組み付けた状態での機能を別に確認する。

第3 製品仕様と試験資料のそろえ方

判定書には,輸出する型式,製造番号又は仕様版,付属品,適用法令の版及び判定日を記録すると,後から判断を再現しやすい。
イには蒸発量の仕様書,ロには粒子径の試験条件と交換可能な部分品の資料,ハには配管図,接続機器の一覧及び処理機能の仕様をひも付ける。

温度や薬剤の到達を試験した場合は,測定位置,装置の構成,運転条件及び試験結果を一緒に保存する。
接続口やダクトの端部なども図面で確認し,処理が届きにくい箇所があれば,試験がそこまで対象にしていたかを明記するとよい。
仕様変更や付属品の追加があれば,変更が影響する要件を出荷前に判定し直す。

経済産業省の該非判定に関するQ&AのQ1-1は,該非判定は同省では行わず,輸出者が責任をもって行うものとしている。
製造者の該非判定書を使う場合も,輸出者が判定の根拠と対象機との一致を確認する。
見積書や契約書には輸出する構成を特定し,構成変更時に技術資料を更新する担当と,必要な許可の取得を出荷条件にするかを決めておくとよい。

第4 該非判定後の取引審査と許可

リスト規制に該当するときは,外為法48条1項に基づく輸出許可の要否を確認する。
該当しても適用できる特例(輸出貿易管理令4条)や有効な包括許可があるかを確認し,個別許可が必要な場合は申請して許可を受けてから出荷する。
特定の項番が非該当でも,他のリスト項番や補完的輸出規制(キャッチオール規制)の確認が残る。
仕向地,需要者,最終用途を確認し,仕様書やプログラム等の提供も予定する場合は,貨物の輸出と分けて外為法25条の技術提供規制を検討する。

経済産業省の申請案内は,個別許可申請をNACCSの外為法関連業務による電子申請で行うよう案内している。
申請先や提出書類は,該当項番,仕向地及び取引内容に応じて,最新の案内で確認する。

第5 令和7年改正と大川原化工機事件

令和7年経済産業省令第72号による改正(令和7年11月15日施行)で,噴霧乾燥器のハの文言は「滅菌又は殺菌」から「滅菌又は消毒」に改められた。
同じ改正で,同号の柱書にも「毒素又は病原性微生物の乾燥に用いることができる」という限定が加えられた。

経済産業省の改正概要は,当該品目に関連する高裁判決の内容を踏まえ,「殺菌」を「消毒」に改め,「消毒」の手法を化学薬剤を使用する場合に限定する等の改正を行ったと説明している。
同概要は判決を特定していないが,時期と内容からみて,令和7年5月28日の東京高裁判決(令和6年(ネ)第453号)を指すと考えられる。

同判決は,改正前のハの「殺菌」について,オーストラリア・グループの合意の内容に従って解釈するのが合理的であるとし,殺菌効果のある化学物質の使用を通じて装置中の潜在的な微生物の感染能力を破壊することを意味し,空焚き等の物理的な方法を含まないと判断した(判決81頁~82頁)。
その上で,警視庁公安部が,最低温箇所について通常要求される追加捜査を実施せず,合理性を欠く解釈を前提として逮捕に踏み切った点を挙げ,逮捕を国家賠償法1条1項の適用上違法とした(判決92頁~93頁)。

過去の取引を検証する場合は,当時の法令・通達と,輸出した時点の機器の仕様・試験記録を対応させる。
現在の出荷判定では,適用時点の法令・通達に基づいて対象機を評価する。

第6 出典・関連記事

外国為替及び外国貿易法25条,48条
輸出貿易管理令1条,4条,別表第一
輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令2条の2第2項5号の2
経済産業省「輸出貿易管理令の運用について」(別掲)3の2の項の解釈(43頁~44頁)
経済産業省「輸出貿易管理令等の改正の概要について」2頁
経済産業省「外為法の安全保障貿易管理に係る改正」2頁,12頁
経済産業省「弁、ポンプ等 (別表第1の3項(2)、3の2項(2)等)」Q1-9からQ1-11まで,Q1-13
経済産業省「【許可申請前】該非判定」Q1-1
経済産業省「申請の流れ(輸出が初めての方へ)」
東京高裁令和7年5月28日判決(令和6年(ネ)第453号)
大川原化工機事件に関する最高検報告書・3通知の内容と刑事弁護実務(AI作成)