第1 法律上の論点を広げるときと,判決本文を確認するとき
LegalBrain エージェントは,文章で質問し,関連する法律資料を手掛かりに論点を整理する場面で使える。
判例秘書INTERNETは,事件番号や検索語から判決・解説・文献を探し,資料を読み進める場面で使える。
どちらを開くかは,いま知りたいことが「何を調べるべきか」なのか,「特定の資料に何が書かれているか」なのかで考えるとよい。
本稿は,令和8年11月6日に確認した両サービスの公式説明を基に,法律調査での使い分けを整理する。
法令の条文や判決の引用を記事,意見書,準備書面などに使う段階では,出典の表示に加えて,その資料の本文の該当箇所を読む必要がある。
第2 調査の目的別に使い分ける
| 調査の目的 | 公式資料から確認できる使い方 | 手元で確かめること |
|---|---|---|
| 何を調べるべきか整理する | LegalBrain エージェントに文章で質問し,論点と関連資料の候補を得る。 | 問題の時期,前提事実,こちらが調べたい範囲が回答と合うか。 |
| 判決や掲載誌を特定する | 判例秘書INTERNETで判例や文献を検索し,関連する解説・論文へたどる。 | 裁判所名,年月日,事件番号,掲載誌が探していた資料と一致するか。 |
| 主張を支える箇所を読む | AIの出典表示又はデータベースの検索結果から,法令本文や判決本文へ進む。 | 引用する箇所が,当事者の主張,裁判所の判断,編集者の要旨のどれか。 |
弁護士ドットコムは,令和8年6月22日の発表で,LegalBrain エージェントが法令・判例・ガイドライン・法律専門書籍等を根拠に回答し,回答に根拠となる一次情報の出典を示すと説明している。
同社は令和8年11月2日,長島・大野・常松法律事務所への提供開始を発表し,同事務所が事務所全体での導入・活用を予定していると説明した。
一方,判例秘書INTERNETの提供元である株式会社LICは,判例・解説・論文・記事の間をリンクでたどる機能や,同義語・関連語による検索補助を案内している。
出典リンクで開ける資料や本文の閲覧条件は,利用先の契約とリンク先の案内を確認する。
第3 AIが示した出典から判決本文を確認する
例えば,「契約の更新拒絶が争われた裁判例で,裁判所はどの事情を重視したか」を調べるとする。
AIが判決を挙げたら,まず裁判所・年月日・事件番号を控える。
次に,その情報を使って裁判所の裁判例検索や契約している判例データベースで判決本文を開く。
最後に,AIが重視したという事情が判決のどこにあり,裁判所がどのような事実関係の下でその事情を評価したかを確かめる。
同じ言葉が判決本文に出てきても,当事者が主張した箇所と,裁判所がその主張を認めた箇所では意味が違う。
また,文献の紹介や編集者による要旨を読めても,それだけでは判決本文の引用箇所を確認したことにはならない。
法令を引用する場合も,事件に適用される時点の条文・附則と,現在の条文を区別する。
リンクを開けない場合は,裁判所名・年月日・事件番号や,文献名・掲載誌を手掛かりに,別の閲覧経路を探す。
本文の該当箇所まで確認できないときは,確認できたのが出典情報までか,要旨までかを記録する。
原文を確認したものとして引用するのは,実際に本文を読み,使う記述との対応を確認したものに限る。
第4 よくある質問
1 LegalBrainがあれば判例秘書は不要か
調査の目的と必要な資料によって異なる。
論点整理と関連資料の候補出しが必要な場合と,特定の判決・掲載誌・解説まで読みたい場合を分け,後者の閲覧経路を確認してから導入を判断する。
2 出典が表示された回答をそのまま引用してよいか
出典の表示は原資料を探す手掛かりになる。
引用に使う場合は原資料を開き,引用箇所とその前後を読み,記載したい命題を支えるか確かめる。
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第6 出典・参考資料
① 弁護士ドットコム株式会社のLegalBrain エージェントのアップグレード発表(令和8年6月22日。対応業務,根拠とする資料及び出典の表示)
② 同社の長島・大野・常松法律事務所への提供開始の発表(令和8年11月2日。提供開始と活用予定)
③ 株式会社LICの判例秘書INTERNETの特長(情報追跡機能,検索補助)
④ 同社の「判例秘書」の9つの特長(事件番号・掲載誌などの検索条件)