第1 どの資料を確認するか
横浜地裁で手続をする際は,申立書を提出する庁・窓口,受理後に事件を担当する部,個別の期日・法廷を順に確認すると整理しやすい。
横浜地裁の令和8年度事務分配規程は,部・支部ごとの取扱い,事件の分配,裁判官の配置と代理順序などを定めている。
この記事は令和8年4月20日現在の規程を読むための案内である。
規程の附則による当初の施行日は令和8年1月1日で,同年3月26日付規程第7号の第2項は4月20日に施行された。
規程の年度,改正規定の施行日,担当裁判官一覧の更新時点はそれぞれ区別する必要がある。
第2 横浜地裁本庁の民事事件はどの部に配分されるか
規程は本庁に第1から第9までの民事部を置き,民事事件を通常事件と特殊事件に分けている。
特殊事件に当たるかは,事件の呼び名に加え,請求の内容と別表第1の(2)の定義で確認する。
主な特殊事件の配分先は,次のとおりである。
① 第1民事部は行政・知的財産に関する特殊事件を担当する。
② 第3民事部は規程で定める保全・緊急保護,倒産,執行,調停・民事非訟,情報流通プラットフォーム対処法の所定の申立事件を担当する。
③ 医療に関する事件は,第4民事部と第5民事部に受理順で交互に配分する。
④ 交通に関する事件は第6民事部に配分する。
控訴・抗告事件はこの扱いから外れる。
⑤ 労働審判は本庁で取り扱い,第7民事部に配分する。
業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・死亡等を理由とする損害賠償請求のうち別表第1の(2)9(2)に当たる事件は,第1・第3・第6民事部を除く各部に受理順で配分する。
⑥ 建築に関する事件は原則として第9民事部に配分する。
事務分配調整委員会は,一部を第2・第4・第5・第8民事部に配分するなどの調整ができる。
⑦ 消費者裁判手続特例法3条の共通義務確認請求事件は,第2・第8・第9民事部に受理順で配分する。
例えば,医療に関する事件には,別表所定の医療行為の過失を理由とする損害賠償請求や,その被害を理由とする債務不存在確認請求が含まれる。
建築代金の請求には,工事の瑕疵・債務不履行,工事の追加・変更など,別表所定の争点がある場合に当たる類型がある。
通常事件は,例外を除き,事件の種類ごとに受理順と別表第1の(3)の割合で配分する。
第19条3項では,所定の医療事件1件を通常の第一審訴訟事件4件分,所定の交通事件1件を2件分,建築事件と共通義務確認請求事件をそれぞれ3件分として配分を調整する。
これは配分計算の換算である。
実際の受付件数や審理期間を知るには,それぞれ別の資料が必要になる。
第3 本庁と支部の取扱い・相模原支部からの回付
横浜地裁には川崎・相模原・横須賀・小田原の各支部がある。
労働審判の提出先は横浜地裁本庁の第7民事部で,行政事件も本庁で取り扱う。
裁判員裁判の対象事件を取り扱うのは本庁と小田原支部である。
手続の種類によって提出先が異なるため,申立ての際は裁判所の提出先一覧と窓口案内を確認する。
同じ横浜地裁の本庁と支部の間,又は支部相互間で事件を回付する際は,規程第11条により,原則として送り手と受け手の庁が協議する。
第7条に掲げる本庁取扱事件や,地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則第1条に規定する管轄区域に属しない庁から属する庁への回付には例外がある。
第13条は,分配を受けた本庁の部又は支部が特に必要と認める場合に,自ら事件を処理できると定める。
第12条は,相模原支部に係属する医療・労働その他の複雑困難な民事訴訟事件を,合議体での審理が相当であるとして本庁民事部へ回付する場合の特例である。
係属後6か月以内の事件について,1司法年度につき同支部の前年度の民事訴訟新受件数の1%に相当する件数までは,特段の協議を要しない。
1件未満の端数は切り上げる。
例えば,前年度の新受が仮に750件なら,この計算による件数は8件である。
6か月と1%は協議の特例が及ぶ条件である。
申立期限や,当事者の希望に応じて回付される条件は,この条項からは導けない。
付合議を前提に支部から回付された事件は,原則として他の民事事件と別枠で,事件の種類と配分割合に従って分配される。
第11条による回付のうち関連事件は,関連事件を担当する部に配分される。
第4 刑事事件の分配と代理順序
本庁には第1から第6までの刑事部がある。
規程第31条は被告人1人を1件として順次配分することを定め,事件類型ごとの部と割合は別表第2の(2)が定めている。
同表では裁判員裁判対象事件を各刑事部に6分の1ずつ配分する一方,事件類型によって異なる配分や別途の申合せを設けている。
規程第36条は,所定の令状請求と被疑者国選弁護人選任請求を第1刑事部に配分し,別途の申合せによる他の裁判官のてん補も定める。
勾留理由開示請求の配分先は,第37条により,勾留状を発した部又は裁判官である。
裁判長などに差し支えがあるときの裁判事務の代理は,第4条と配置の別表に基づく。
所長・支部長等の司法行政事務の代理は第41条から第45条と別表第5・第6で別に定められている。
第5 担当裁判官・提出窓口・期日の確かめ方
規程の別表第1の(1),第2の(1)及び第3には,本庁民事部,本庁刑事部及び管内支部の裁判官配置と開廷日割がある。
裁判所ウェブサイトの担当裁判官一覧には,係ごとの担当者,開廷曜日,法廷が掲載されている。
係属後は,裁判所からの通知と担当の書記官室で,事件番号,担当部・係,指定された期日と法廷を確認する。
第6 出典と関連記事
横浜地裁の裁判官配置等(令和8年4月20日現在)(PDF3~7頁に本庁・支部の取扱い,8~13頁に民事事件の分配,13~14頁に刑事事件の分配,17~33頁に別表)
裁判所「横浜地方裁判所及び管内の支部」申立書提出先一覧
裁判所「神奈川県内の管轄区域表」
横浜地方裁判所担当裁判官一覧
横浜地方裁判所・横浜家庭裁判所の窓口案内
関連記事は次のとおりである。
歴代の横浜地裁所長
裁判所の本庁と支部の回付―移送との違い・合意管轄条項・不服申立て
全国の地方裁判所支部における本庁集約と開廷頻度