その他裁判所関係

池田知子裁判官(49期)の経歴

生年月日 S44.11.12
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R16.11.12
R5.7.24 ~ 東京地裁17民部総括
R5.4.1 ~ R5.7.23 東京高裁8民判事
R2.4.1 ~ R5.3.31 京都地裁6民部総括
H31.4.1 ~ R2.3.31 東京高裁11民判事
H27.4.1 ~ H31.3.31 司研民裁教官
H24.4.1 ~ H27.3.31 宇都宮家地裁足利支部判事
H22.4.1 ~ H24.3.31 東京地裁4民判事
H19.3.22 ~ H22.3.31 総研書研部教官
H18.4.1 ~ H19.3.21 札幌家地裁判事補
H16.4.1 ~ H18.3.31 札幌法務局訟務部付
H14.4.1 ~ H16.3.31 さいたま家地裁川越支部判事補
H13.7.18 ~ H14.3.31 さいたま家地裁判事
H11.4.1 ~ H13.7.17 前橋地家裁高崎支部判事補
H9.4.10 ~ H11.3.31 東京地裁判事補

*1 「澤井知子」という名前で,判例タイムズ1146号(2004年6月1日発売)に「意思能力の欠缺をめぐる裁判例と問題点」を寄稿しています。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 司法研修所教官会議の議題及び議事録
・ 司法修習生指導担当者協議会
・ 司法研修所民事裁判教官の名簿
・ 裁判所職員総合研修所の研修実施計画
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

江口和伸裁判官(50期)の経歴

生年月日 S46.8.5
出身大学 中央大
定年退官発令予定日 R18.8.5
R6.1.15 ~ 東京地裁刑事部部総括
R3.4.1 ~ R6.1.14 東京高裁8刑判事
H30.4.1 ~ R3.3.31 仙台地裁2刑部総括
H26.4.1 ~ H30.3.31 司研刑裁教官
H23.4.1 ~ H26.3.31 福岡地裁3刑判事
H21.8.1 ~ H23.3.31 東京高裁9刑判事
H17.4.1 ~ H21.7.31 法務省刑事局付
H14.4.1 ~ H17.3.31 水戸地家裁判事補
H13.4.1 ~ H14.3.31 東京地裁判事補
H12.4.1 ~ H13.3.31 本田技研工業(研修)
H10.4.12 ~ H12.3.31 東京地裁判事補

所長等就任記者会見,及び記者会見実施上の一般的な留意事項(最高裁判所の広報ハンドブックからの抜粋)

目次
第1 所長等就任記者会見
第2 記者会見実施上の一般的な留意事項
第3 関連記事

第1 所長等就任記者会見
・ 最高裁判所の広報ハンドブック(平成25年4月)4-4には,「所長等就任記者会見」として以下の記載があります。
    長官や所長が新たに就任した際に,地元報道機関が「人物欄」等に取り上げることがある。これは,地元の人々に裁判所を身近に感じてもらう良い機会でもある。就任記者会見の要請があった場合には,特段の事情のない限り応じるようにすべきである。その準備等において,特に留意すべきと思われる事項等については,次のとおりである。
1 人事の報道発表後,記者クラブの幹事社等と事前に連絡調整をして,できるだけ各社の記者が出席しやすい日時に会見を設定する。場合によっては,所長等がまだ着任しないうちに調整しなければならないこともあることから,所長等ともよく連絡し合う必要がある。
2 所長等の参考にするため,これまでの就任記事を準備したり,直近の話題事項等, 予想される質問事項を用意する。必要に応じて,記者から質問事項を出してもらう。
3 会見のカメラ取材の在り方について,取材要領を作成する。カメラ撮影と録音の要領は,従来の例を参考に検討することになるが,最初の1ないし2問,就任の感想や抱負等に関する応答の間に限る扱いもある。
4 所長の略歴等についての簡潔な資料を用意して,会見開始までに記者に配布する。


第2 記者会見実施上の一般的な留意事項
・ 最高裁判所の広報ハンドブック(平成25年4月)4-5には,「所長等就任記者会見」として以下の記載があります。 
    所長等の就任記者会見(4-4参照)を除き,裁判所においては,一般に記者会見を行うことは多くない。報道機関への情報提供は,資料等の投げ込み,記者レクでほとんどまかなうことができるからである。それだけに記者会見を行うに際しては,その必要性を含め,十分な検討,準備等が必要である。その準備等において,特に留意すべきと思われる事項等については,次のとおりである。また,会見は,裁判所の公式見解等を示す場であることから,所長が行うのが原則であり,必要に応じて,局長,次長等が陪席し,司会進行は,総務課長等が行うのが通常であろう(裁判所内では,裁判所主催で記者会見を行うことが一般的である。)。
    なお,会見の在り方等によっては,大きく報道されることがあり得るので,会見実施に当たっては,上級庁に事前に情報提供等されたい。
1 記者会見の心得
    一般的に記者会見の心得と言われているものを参考に挙げる。これは,広報事務担当者の日常の報道対応の心得にも通じる。
(1) 明確な表現をとる。どちらとも取れるような不明確な表現をとらない。表現が不適切なことから誤報を招くことがある。
(2) 感情的な対応は避ける。感情を害するような質間をされても,これに呼応して感情的な応答をしない。
(3) 責任があることが明らかになった場合には,率直に陳謝するべきである。ただし,責任がない場合やー部しか責任がない場合には,責任回避と受け取られないように注意する必要はあるが,その点を明確に伝えるべきでもある。なお,事実関係の調査中で,裁判所側に責任があるか否かが明らかでない段階で,「事実であるならば」 といった仮定を前提として,陳謝するようなことは,慎むべきである。
(4) 関係者の人権,プライバシーを念頭に置く。特に会見の中で関係者のプライバシー に不用意に触れたりすることのないように注意する。
(5) オフレコは難しい。オフレコは発言を記録せず,公表もしないことである。記者との合意によって成立するが,相当の信頼関係がないと困難である。内容によっては,オフレコにしてほしいと言うこと自体が報道の自由に対する圧力ではないかと受け取られることもある。
(6) 記者会見を行うタイミングを計る。責任者が会見を避けているという印象を与えてはならない。また,記者側の締切時間にも配慮が必要である。
2 記者会見の準備
(1) 多数の記者が参加することやカメラ機材の搬入もあることから,記者会見場所は,会議室等,裁判事務その他の事務に影響を与えない場所に設定する必要がある。
(2) カメラ取材の在り方について,取材要領を作成し,事前に会見参加記者等に周知するようにする。
(3) 会見の趣旨に見合った基本説明を用意し,会見参加記者にそのペーパーを配布することも検討する。
(4) その他,ー般的に会見では,記者から,①全体的な事実経過(時系列),②問題点(原因や背景)についての分析,③過去の同種事例,④裁判所としての対応(改善策や関係者の処分等),⑤所長コメント等を求められることが多いので,これに対する必要な準備を行う。


第3 関連記事
・ 所長等就任記者会見,及び記者会見実施上の一般的な留意事項(最高裁判所の広報ハンドブックからの抜粋)
・ 司法修習生による,司法研修所構内の写真撮影禁止に関する文書は存在しないこと
・ 最高裁判所における法廷内カメラ取材運用要領
・ 寺田逸郎最高裁判所長官の就任に伴う写真取材の要領
・ 最高裁判所裁判官の任命に関する各種説明
・ 最高裁判所長官任命の閣議書
・ 最高裁判所判事任命の閣議書
・ 高等裁判所長官任命の閣議書
・ 高裁長官人事のスケジュール

憲法週間及び「法の日」週間

目次
1 総論
2 憲法週間実施経過
3 「法の日」制定経過
4 関連記事

1 総論
(1) 憲法週間
ア 5月1日から同月7日までです。
イ 憲法の精神や司法の機能を国民に理解してもらうため,裁判所が法務省,検察庁及び弁護士会の協力を得るなどして,全国で各種の行事を実施しています。
(2) 「法の日」週間
ア 10月1日(法の日)から同月7日までです。
イ 裁判所,法務省, 検察庁及び弁護士会が協力するなどして,法の支配の重要性を国民に理解してもらうことを目的として,全国で各種の行事を実施しています。
(3) 広報企画の例
・ いずれの週間についても,出張講義,法廷傍聴,模擬裁判,ビデオ上映,資料展示などを伴う庁舎見学会などがあります。

2 憲法週間実施経過
・ 最高裁の広報ハンドブック(平成25年4月版)2-4によれば以下のとおりです。
昭22.5. 3 日本国憲法施行
昭24.5. 1 憲法普及月間
昭25.5. 1 憲法記念週間(以後,毎年1日から7日まで)
(昭和27年までは,衆・参両院,内閣,最高裁など政府関係機関が協議の上,行事内容について打合せをしてきた。昭和28年からは最高裁において憲法記念週間を定め,法務省,検察庁,弁護士会の協力を得て記念行事を実施することになった。)
昭和31.5. 1 憲法週間(この年から名称を改める。以後,毎年I日から7日まで

3 「法の日」制定経過
・ 最高裁の広報ハンドブック(平成25年4月版)2-4によれば以下のとおりです。
(司法記念日制定の経緯)
昭和3.10.1 陪審法施行
昭和4.10.1 司法記念日(前年に陪審法が施行され,この日に天皇陛下が東京の三裁判所を行幸されたことを記念し,司法省が司法記念日を定めた。)
昭和14.11.1 司法記念日(この日に裁判所構成法施行五十周年記念行事を行い,天皇陛下の行幸を仰いだことから,以後司法省がこの日を司法記念日にすることを決めた。)
(「法の日」制定の経緯)
昭和22.11.1 司法週間(最高裁が定める。)
昭和32.10.1 最高裁発足十周年記念行事実施(天皇陛下の行幸を仰ぐ。なお,10月1日にした理由は,その日が最高裁発足後,最高裁で初めて法廷が開かれた日に当たるため。)
昭和34.10.3 裁判所,検察庁,弁護士会の三者協議会において,10月I日を「法の日」と定めることを提唱することが決議された。
昭和35.6.24 「法の日」創設について閣議了解
昭和35.8.17 「法の日」週間の広報についての依命通達
昭和35.10.1 第1回「法の日」
「法の日」週間(1日から7日まで)

4 関連記事
・ 最高裁判所の庁舎見学に関する,最高裁判所作成のマニュアル
・ 最高裁判所庁舎


最高裁の広報ハンドブック(令和2年3月版)からの抜粋です。

裁判所の司法行政部門及び裁判部門において,管理職員等となる裁判所職員の範囲

目次
第1 裁判所の司法行政部門及び裁判部門において,管理職員等となる裁判所職員の範囲
第2 関連記事その他

第1 裁判所の司法行政部門及び裁判部門において,管理職員等となる裁判所職員の範囲

1 最高裁判所
(1) 司法行政部門
   事務総長,事務次長,審議官,家庭審議官,局長,課長,室長,職員管理官,厚生管理官,参事官,首席技官,次席技官,課長補佐(総括),課長補佐(管理),人事係長,予算係長,文書係長,庁舎係長,宿舎係長,秘書,人事係員,労働係員,守衛長
(2) 裁判部門
   大法廷首席書記官,小法廷首席書記官,訟廷首席書記官,裁判所書記官(最高裁判所が別に定めるものに限る。)

2 司法研修所
   所長,事務局長,事務局次長,総務課長,経理課長,課長補佐(総括)(総務課に置くものに限る。)

3 裁判所職員総合研修所
   所長,事務局長,事務局次長,総務課長,経理課長,課長補佐(総括)(総務課に置くものに限る。)

4 最高裁判所図書館
   館長,副館長,総務課長,課長補佐(総括)(総務課に置くものに限る。)

5 高等裁判所
(1) 司法行政部門
   事務局長,知的財産高等裁判所事務局監査役長,事務局次長,総括企画官,課長,文書企画官,企画官,首席技官,課長補佐(管理),人事係長,守衛長(最高裁判所の四愛知する高等裁判所に置くものに限る。)
(2) 裁判部門
   首席書記官,知的財産高等裁判所首席書記官,次席書記官,主任書記官(最高裁判所が別に定めるものに限る。),訟廷管理官,訟廷副管理官

6 地方裁判所
(1) 司法行政部門
   事務局長,事務局次長,課長,文書企画官,企画官,課長補佐(管理),人事係長,守衛長(最高裁判所の指定する地方裁判所に置くものに限る。)
(2) 裁判部門
   首席書記官,次席書記官,総括主任書記官,主任書記官(最高裁判所が別に定めるものに限る。),訟廷管理官,訟廷副管理官,裁判員調整官,速記管理官(最高裁判所の指定する地方裁判所に置くものに限る。)

7 家庭裁判所
(1) 司法行政部門
   事務局長,事務局次長,課長,課長補佐(管理),人事係長,守衛長(最高裁判所の指定する家庭裁判所に置くものに限る。)
(2) 裁判部門
   首席書記官,次席書記官,主任書記官(最高裁判所が別に定めるものに限る。),訟廷管理官,訟廷副管理官,首席家庭裁判所調査官,次席家庭裁判所調査官,総括主任家庭裁判所調査官,主任家庭裁判所調査官(最高裁判所が別に定めるものに限る。)

8 簡易裁判所
(1) 司法行政部門
   事務部長,課長(最高裁判所の指定する簡易裁判所に置くものに限る。)
(2) 裁判部門
   首席書記官,次席書記官,主任書記官(最高裁判所が別に定めるものに限る。),訟廷管理官,訟廷副管理官

9 検察審査会
   事務局長(最高裁判所の指定する検察審査会に置くものに限る。),総務課長(最高裁判所の指定する検察審査会に置くものに限る。)


第2 関連記事その他
 最高裁判所の令和4年度概算要求書(説明資料)223頁には以下の記載があります。
(人事情報データベース等改修(制度改正対応))
    現在,全国の裁判所においては,一般職の評価に関する業務を,人事評価シート等作成支援ツールを用いて行っている。同ツールは,被評価者用,各評価者用,人事担当課用に分かれており,各ツールで入力した情報をツール間で受け渡しながら,多段階評価を行っている。令和4年度に予定されている人事評価制度改正により,評語区分が細分化され,評価項目等にも変更が生じることから,同改正に対応した,適切な評価関係業務を継続するため,各ツールのプログラム並びにフォーム及びレポートの改修を行うために必要な改修経費を要求する。
    また,人事評価シート等作成支援ツール(人事担当課用)で作成した評価データは,本データベース内に一元的に格納されており,本データベースから出力可能な昇格,昇給,勤勉手当区分の決定についての検討資料に反映させる等して利活用しているほか,人事異動計画案作成機能等を有する異動関係ツールにおいても,本データベースとの連携機能を用いて,人事異動計画の策定業務に必要な情報をインポートし,利活用している。令和4年度に予定されている人事評価制度改正に伴い,評価ツールの改修が行われ,同ツールが保有するデータの形式に変更が生じることから,適切な人事関係業務を継続するため,同データを利活用する本データベース及び異動関係ツールについても,変更後のデータの形式に対応するための改修経費を要求する。

2 以下の資料を掲載しています。
・ 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の管理職員等の範囲に関する規則(昭和41年7月22日最高裁判所規則第6号)
 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の管理職員等の範囲に関する規則の運用について(昭和63年9月30日付の最高裁判所事務総長依命通達)
3 以下の記事も参照してください。
・ 司法行政部門における役職と,裁判部門における裁判所書記官の役職の対応関係
 司法行政を担う裁判官会議,最高裁判所事務総長及び下級裁判所事務局長
 裁判所書記官の役職
 首席書記官の職務
 家庭裁判所調査官の役職
・ 総括企画官,文書企画官及び企画官
・ 裁判所書記官,家裁調査官及び下級裁判所事務局に関する規則,規程及び通達
 裁判所関係者及び弁護士に対する叙勲の相場
・ 下級裁判所事務局の係の事務分掌
・ 最高裁判所が作成している,下級裁判所幹部職員名簿



令和2年度実務協議会(夏季)

目次
1 令和2年7月17日に開催された,令和2年度実務協議会(夏季)の資料
2 関連記事その他

1 令和2年7月17日に開催された,令和2年度実務協議会(夏季)の資料
① 日程表
② 出席者名簿
③ 民事・行政事件の現状と課題
④ 刑事裁判の現状と課題
⑤ 参考統計表
⑥ 裁判員裁判の実施状況について(制度施行~令和2年2月末・速報)
⑦ 家庭裁判所の現状と課題
⑧ 最高裁判所経理局作成資料
⑨ 裁判所職員総合研修所の概要

第2 関連記事その他
1 実務協議会というのは,新たに地方裁判所長,家庭裁判所長又は高等裁判所事務局長を命ぜられた者を対象に,年に2回開催されている研修です(「裁判官研修実施計画」参照)。
2 令和2年度夏季については,最高裁判所人事局が作成した資料はなぜかありません。
(3) 令和2年度実務協議会(夏季)に関する資料として一本化しています。
(4) 以下の記事も参照してください。
 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
→ 平成30年度冬季以降の資料を掲載しています。

新様式判決

目次
1 新様式判決の導入時の留意点
2 新様式判決導入時の経緯
3 新様式判決の具体的内容
4 「事案の概要」の記載に関する留意事項
5 「争点に対する判断」の記載に関する留意事項
6 新様式判決に関する共同提言の受け止め方
7 新様式判決に対する批判的意見
8 新様式判決に関する令和2年度民事事件担当裁判官等協議会の協議内容
9 明治時代の判決書の様式
10 新様式判決「修正型」
11 関連記事その他

1 新様式判決の導入時の留意点
(1) 判例タイムズ715号(平成2年2月25日付)4頁ないし35頁に,「民事判決書の新しい様式について」(東京高地裁民事判決書改善委員会、大阪高地裁民事判決書改善委員会の共同提言)が載っています(いわゆる「新様式判決」に関する記事です。)ところ,同号5頁によれば,特に以下の点に留意したと書いてあります(1,2,3及び4を①,②,③及び④に変えました。)。
① 当事者のための判決であることを重視し、事件における中心的争点を浮かび上がらせ、これに対する判断を平易簡明な文体を用い、分かりやすい文章で示すよう心掛ける。「窺知(きち)」、「爾余の点」のような難しい言葉や文語調の文章は避ける。
② 裁判官にとって、書きやすいものであることも念頭に置く。文体に習熟しなければ書けないようなものではなく、常識的な文章の起案能力があれば書ける判決書を目指す。
③ 判決書は、形式的な記載、重複記載等の無駄を省き、簡潔なものとなるように心掛ける。そのためには、事実及び理由を一括して記載することも合理的であろう。前の記述を後で繰り返したり、引用したりするよりも、できるだけ一括して記述することを工夫する。
④ 事実及び理由は、全体を通じて、主文が導かれる論理的過程が明瞭に読み取れる程度の記載で足りるものとする。ただし、中心的争点については、具体的な事実関係が明らかになるよう、主張と証拠を摘示しながら丁寧に記述するよう心掛ける。
(2) 「事実」については当事者の主張の全てを請求原因,抗弁,再抗弁等とその認否として整理して摘示し,「理由」については事実欄に摘示された論理的な構造に従って順次判断するという構造を採るという,司法研修所の「民事判決起案の手引」に従った様式の判決は在来様式の判決といわれます(「民事判決書の在り方についての一考察」末尾64頁)。


2 新様式判決導入時の経緯
(1) 一歩前へ出る司法116頁ないし118頁には以下の記載があります(改行を追加しています。)。
    それまでの民事判決書は、当事者の主張について、請求の原因、これに対する認否、抗弁、これに対する認否、再抗弁、これに対する認否という順序で、立証責任の分配に従って分類整理して記載するというものです。しかも、実体法で要件とされる事実のみに絞り込み、取引経緯などの事情はぜい肉として切り落とすという考え方のものです。
    従来の判決書様式は、骸骨の裸踊りなどとからかわれることもありますが、法律要件を正確に押さえて無駄がないという点で優れていることは間違いありません。ただ、立証責任の分配、要件事実の絞り込みに、裁判官のエネルギーが取られ、判決が遅くなる一因にもなっておりました。
    私は、民事紛争で当事者が裁判所の判断を求める真の争点というものは、一つか二つに絞られるもので、判決もその争点にズバリ答えるという様式でもよいのではないかと思いました。
    しかし、民事局が様式の中身にまで口を出すべきではありません。現場の裁判官方のお考えに任せるべきです。そこで、東京高裁・地裁と大阪高裁・地裁に民事判決書改善委員会を作ってもらい、検討をお願いしようと考え、矢口長官にもご相談したのです。
    当時、矢口さんは、弁護士からの裁判官任官を進めようと考えていたのですが、なかなか任官者が現れません。弁護士会の中には、途中から裁判官になっても、今のように技術的な判決は書くことが難しいから、任官者が現れないのだとおっしゃる方もおられました。矢口さんは、判決書の様式を常識的な文書の起案能力があれば書けるものにすれば、弁護士からの任官者を増やすことができると考えられて、判決書の様式の見直しに賛成してくれました。動機が私とは異なるのですが、賛成していただいたのです。
    東京と大阪の民事判決書改善委員会は、それぞれに検討を重ねた上で、合同会議を開いて意見を交換し、一九九○年一月に「民事判決書の新しい様式について」という提言をまとめられました。提言は、「当事者のための判決であることを重視し、事件における中心的争点を浮かび上がらせ、これに対する判断を平易簡明な文体を用い、分かりやすい文書で示すよう心掛ける」等として、判決モデルも示すものです。今日では、ほとんどが新様式の判決書になっております。
(2) 「裁判官は劣化しているのか」(2019年2月23日出版)(著者は46期の岡口基一裁判官)119頁には以下の記載があります。
    新様式判決の導入は最高裁の民事局長が最高裁長官の賛同を得て始めたものであったことから、裁判所実務の現場では、裁判所当局への忠誠度を競い合うような様相になりました。従来様式の判決を使い続けることは、あたかも新様式判決の普及の音頭を取っている裁判所当局に逆らっていると思われかねなかったのです。そこで、そうは思われたくない裁判官らは、一気に判決を従来様式から新様式へと切り替え、まるで廃仏毀釈運動のように従来様式判決はなくなっていきました。
    その結果、従来様式判決を使うのは、その方が起案しやすい「欠席判決」など、使う理由を裁判所当局に説明できるものに限られ、多くの裁判官は、それ以外の判決については、全て新様式判決を使うようになっていったのです。


3 新様式判決の具体的内容
(1) 判例タイムズ715号(平成2年2月25日付)5頁及び6頁には,「第三 新しい様式の具体的内容」として以下の記載があります(項目部分を太字表記にしています。)。
    このような構想で作成する判決書の内容については、別添の判決モデル及びその説明に譲るが、概要は、以下のとおりである。
一 事件番号、事件名、標題、当事者、代理人等の表示
    従前のとおりとする。
二 主文
    従前のとおりとする。
三 事実及び理由
1 請求(申立て)
    従前のとおりとする。ただし、訴訟費用の負担の申立て、仮執行の宣言の申立て及び請求の趣旨に対する答弁は、全面的に省略する。
2 事案の概要
    事案の概要は、当該事件がどのような類型の事件であって、どの点が中心的な争点であるのかを概説するものである。何が中心的争点であるかについては、適切な訴訟指揮によってあらかじめ当事者との間で確認しておく必要がある(この点は、調書上も明確にしておくことが望ましい。)。
    「事案の概要」の記載は、次の「争点に対する判断」の記載と総合して、主文が導かれる論理的過程を明らかにするものである。したがって、中心的争点以外の事実主張も、主文を導き出すのに必要不可欠なものである限り、概括的に記載しておかなければならない。
    具体的な記載方法は、事件の類型に応じて工夫されてよいが、争いのない事実と主要な争点とを簡潔に記載する方法が基本型になるものと考えられる。事案によっては、その変型や当事者双方の主張を対比させてその骨子を簡潔に記載する方法、あるいはこれらの混合方式などが適当な場合も考えられる。
    冒頭に事案の要旨を記載すると、事案の概要全体を理解するのに便利なこともある。「争点に対する判断」の記載自体から「事案の概要」が明らかになるときは、事案の要旨を記載するだけでよいこともあろう。
3 争点に対する判断
    中心的争点についての判断は、認定事実とこれに関連する具体的証拠との結び付きをできるだけ明確にしながら、丁寧に記述する。これ以外の争点については、主文が導かれる論理的過程を明らかにするのに必要な限度で、概括的に判断が示されていれば足りる。
    証拠判断については、次のとおりとする。
(1) 書証の成立に関する判断は、それが重要な争点になっている場合を除き、記載しない。成立に争いがない旨の説示もしない。
(2) 証拠の評価が訴訟の勝敗を決するような場合には、証拠を採用する理由又はこれを排斥する理由を丁寧に説示する。
(3) (2)の場合を除き、反対証拠を採用しない旨又はそれが存在しない旨の断り書きはしない。
4 法律上の問題点についての説示
    裁判所が採用する見解とその論拠を簡潔に示せば足りる。
5 結論及び法律の適用の説示
    判決文の末尾に謂求に対する結論を記載することは不要である。
    訴訟費用の負担等に関する法律の適用の説示も省略する。
四 裁判所の表示及び裁判官の署名
    従前のとおりとする。
(2) 「法律上の問題点についての説示」が記載される場合,「争点に対する判断」の中で記載されると思います。


4 「事案の概要」の記載に関する留意事項
・ 判例タイムズ715号(平成2年2月25日付)7頁及び8頁には,「第四 事案の概要の記載について」として以下の記載があります。
一 「事案の概要」欄は、従来の判決書にはなかった欄であるだけに、どのような事項をどのような方法で記載すべきかについては、ある程度考え方に幅があり得るところである。この欄の記載の目的が、裁判の対象となった事案の内容を当事者に分かりやすく知らせることにあるという点に配慮して、具体的な記載方法を工夫すべきであろう。
    この「事案の概要」の記載は、後の「争点に対する判断」の記載と総合して主文が導かれる論理的過程を明らかにするという目的を持っているから、「争点に対する判断」の欄にどのような事項がどの程度記載されることとなるかとの関連で、この欄の記載事項の内容と記載方法が決まってくるという面をもっている。したがって、新様式による判決書の起案に当たっては、まず、「争点に対する判断」の欄の構想を整えた上で、その記載内容との関連に留意しながら、必要な事項を落とさないよう、また無用な重複を生じないよう、「事案の概要」欄に記載すべき内容を検討するという配慮も必要であろう。
    また、この欄の記載は、当該事件がどのような類型の事件であって、どの点が中心的な争点であるかを概説するという目的をもっている。したがって、当事者双方の事実主張から、以上の目的を達成するのに必要な①主文を導き出すのに必要不可欠な事実と②事案を説明するのに必要なその余の事実をそれぞれ選び出して、その概要を、当事者間で争いのない事実とそれ以外の事実とに分けて、記載しておく必要がある。
    なお、「事案の概要」欄の冒頭に、事件の類型が一見して分かるような事案の要旨を記載しておくことも、事案の把握のために便利な場合があろう(モデル2,3,4参照)。
二 この欄については、前記のような事項を「争いのない事実」と「争点」とに分けて記載する方法が基本型となる(モデル2,3,4,6,7,8,9参照)。
    ただ、事案によっては、中心的争点とはいえないがその前提となっており、しかも自白が成立していないため証拠によって認定する必要のある事実関係について、その認定判断の結果をこの欄に記載しておいた方がよい場合もある。そうすることによって、中心的争点を浮き彫りにし、「争点に対する判断」の欄の記載を中心的争点に関するもののみに限定できることとなるため、判決書の記載を分かりやすくすることができるからである(モデル1、5参照)。
    また、離婚事件のように、争いのない事実が訴訟法上意味を持たない事案では、当事者双方の主張を対比させて、その要点を記載するという方法をとらざるを得ないこととなろう(モデル10参照)。
三 従来の判決書では、まず事実欄で当事者の事実主張の内容を詳細に摘示した上で、理由欄でそれに対する判断を逐一説示する方式がとられていた。そのため、ややもすると事実欄の記載を理由欄で再度繰り返す形になり、その記載の重複によって判決書が長文化する弊害があった。
    新様式による判決書では、「争点に対する判断」の欄の記載から自ずから明らかになるような事実関係については、次のとおり、「事案の概要」の欄の記載をできるだけ省略し、あるいは簡略化することによって、このような重複記載を避ける配慮をしている。
    もっとも、「事案の概要」の欄の記載と、「争点に対する判断」の欄の記載とを総合すれば、主文を導き出すのに必要な要件事実の存否が漏れなく判断されていることが要求されることに留意する必要がある。
1 損害賠償請求事件における損害の具体的な内容、項目、金額等については、その点が争点となっている場合には、「争点に対する判断」の欄で具体的かつ詳細な判断が示されることとなるのであるから、「事案の概要」の欄ではその記載を省略して差し支えない場合が多いであろう(モデル2参照)。
2 借地法や借家法上の正当事由や信頼関係を破壊する事実の存否が争いとなっている事案では、正当事由等の存否を基礎付ける個々の具体的な事実については、「争点に対する判断」の欄でその存否等に対する詳細な判断が示きれることとなるから、「事案の概要」の欄では、せいぜいどのような類型の事由が正当事由等の存否を基礎付ける事由として主張されているかを記載しておけば足りるであろう(モデル6,8参照)。
3 表見代理の成否、詐欺による意思表示の取消しの成否等が争点となっている事案では、「事案の概要」の欄の記載としては、これらの主張を構成する要件事実を網羅的に記載するのではなく、極く概括的に「表見代理(民法110条の越権代理)」あるいは「詐欺による取消し」が主張されている旨を記載するにとどめ、個々の具体的な要件事実の存否に関しては、「争点に対する判断」の欄にその記載を譲るということで足りるであろう(モデル1、3、4、5参照)。
四 このような方式による事案の概要の記載が簡潔で分かりやすいものになるためには、その事件の中心的争点がどの点にあるかについて、裁判所と当事者の間でできるだけ突き詰めた認識の一致が得られていることが望ましい。この点に関して当事者と裁判所の間で一定の確認ができた場合には、その結果を調書上でも明確にしておくことも望ましいといえよう。
五 その他、言い換えによる略語の使用に当たっては、誤認を生ずるおそれのない場合には、煩雑な断り書きを付することを省略し(モデル1、3参照)、また、事案によっては図面を活用する(モデル2,8参照)等事案の概要の記載を簡潔で分かりやすいものとするための様々な工夫が行われるべきである。


5 「争点に対する判断」の記載に関する留意事項
・ 判例タイムズ715号(平成2年2月25日付)8頁及び9頁には,「第五 争点に対する判断の記載について」として以下の記載があります。
一 新様式による判決書では、「争点に対する判断」の欄の記載が、判決書の中心部分を構成することとなる。したがって、この欄では、中心的争点に対する裁判所の判断内容を、分かりやすくしかも丁寧に記載しておく必要がある。
    この欄の記載を分かりやすいものとするため、判断事項ごとにその部分でどの争点に対する判断が示されているのかが一見して明らかとなるような見出しを付ける(モデル1、4,7参照)等各事案に即した記載方法を工夫する必要があろう。
二 この欄の記載の構成としては、最初に認定事実を一括して記載し、次いでこれを引きながら個々の争点についての判断を順次行っていく方法(モデル5,6参照)と、争点ごとに関係する認定事実とこれに基づく判断とをセットにして記載していく方法(モデル7参照)とが考えられる。
    前者の方法によった場合は、全体としての事実の流れは把握しやすいが、反面、事案によっては、どの認定事実がどの争点との関係で必要となるのかが不明確になるおそれもある。後者の方法によった場合には、これと丁度逆のことがいえよう。
    事案の内容、特徴に応じて、これらの方法を適宜使い分ける必要がある。
三 認定事実と証拠との関係については、関係証拠を認定事実の冒頭あるいは末尾にまとめて記載する方法と、小項目又は個々の事実ごとに関係証拠を挙示する方法とが考えられる。
    後者の方法によると、個々の認定事実と証拠との結び付きを明確にすることができるというメリットがある(モデル2,4,9参照)。
    しかし、事案によっては、全認定事実に共通する証拠が多いため、個々の認定事実ごとに関係証拠を挙示するとかえって煩雑になる場合もあろう。そのような場合には、前者の方法(モデル5,6参照)によるか、あるいは、全体に共通する証拠を最初にまとめて示し、その後に各誕定事実ごとに個別の証拠を挙示する方法(モデル7,8参照)が分かりやすいであろう。
四 書証の成立に関する判断は、原則として記載しないこととなるが、書証の成立の真否が実質的に争われている場合には、その成立に関する判断をできるだけ分かりやすく記載すべきである(モデル4参照)。
    証拠の挙示の仕方も、書証については単に「甲一」、「乙このような、また供述証拠についても「証人甲」、「原告」のような、簡略な記載方法を用いて差し支えないであろう。また、事案によっては、供述証拠の直接の関係部分を調書のページ数や項目番号で示しておくといった工夫も考えられてよいであろう(モデル1、4参照)。
五 従前の判決書において理由欄の末尾に付記されていた結論及び法令の適用に関する説示は、いずれも記載を省略することとなる。
    ただ、事案によっては、「事案の概要」の欄の記載と「争点に対する判断」の欄の記載とを対比しても、原告の請求のどの部分が認容されたのかが一見しただけでは分かりにくい場合がある。
    そのような場合には、結論的に請求認容部分を明らかにするための記載をしておいたほうが分かりやすいであろう(モデル1参照)。
    仮執行宣言の申立てを却下した場合にも、欠席判決などでは特にその旨の記載をしない扱いが、既に一部で行われている。新様式による判決書の記載も、その扱いによっている。


6 新様式判決に関する共同提言の受け止め方
・ 民裁教官室だより(10)(司法研修所民事裁判教官室編)2頁ないし4頁には以下の記載があります。
     民事判決書作成には、従来、多様な目的があると説明されてきた。すなわち、①訴訟当事者に対して、判決内容を知らせるとともに、上訴するかどうか考慮する機会を与えること、②上級審に対して、その再審査のために認定事実及び理由を明らかにすること、③一般国民に対して、具体的事件の判断を通じて法規範を明らかにし、裁判所の判断過程を示すことによって裁判の公正を保障すること、④判決をする裁判官が、自己の判断を客観視し、再検討の契機とすること等が民事判決書作成の目的である(七訂民事判決起案の手引一頁)。これは、従来判決害が果たしてきたと思われる機能を説明するものとして、現在でも基本的には妥当する。しかし、それらの目的のうちにも、おのずから優先順位があることは明らかであり、右目的のうち①が最優先のものであることは異論がないであろう。当事者のための判決害であることを第一義とすれば、分かりやすい判決が要請されることは当然のことである。したがって、判決書において、ことさらに一般に使われていない難解な用語(例えば、「爾余」、「窺知」、「措信」など)を使うのは避けた方がよい。この意味で、共同提言の考え方は適切である。
     判決書において、最も重要なものは、誤りなき判断である。判決書の体裁がいかに精緻を極めていたとしても、主要な争点についての判断に見落としがあったり、結論を誤っていては意味がない。すなわち、事件の筋がよくとらえられており、そのため争点が絞られていて、証拠調べもその争点に照準を合わせて実施され、その判断に落ちがなく、正しい結論が導かれていることが重要なのであって、判断の表現形式である判決書の様式が、一定のものでなければならない論理的必然性はないのである。そのことは、比較法的にみても、歴史的にみても、明らかなように思われる。例えば、西ドイツ(当時)、フランスなどの事実審における民事判決書を比較してみると、それぞれ工夫されてはいるが、判決書のスタイルはまちまちである(最高裁事務総局・外国の民事判決書に関する参考資料〔民裁資料一八一号〕参照)。また、わが国の実務においても、かつては、当事者ごとにその主張をまとめる当事者別連続摘示方式(この方式については、法律実務誰座5 六五頁)が多数であったが、現在では、事項別交互摘示方式(民事判決起案の手引による方式)が大勢を占めるに至っている。そのようなことを考えると、判決害の様式は、常に工夫が重ねられることが重要なのであるが、各人が自己流に陥ることを避けるために、一定の目安が必要であることもまた明らかである。
     以上にみたとおり、判決書の最も重要な機能に着目すれば、その実質を充実させることが必要であり、形式を整えるだけの記戦を省略してもよいとする考え方には、合理的な理由がある。共同提言にいう新様式の具体的内容も、さしあたり一定の目安とするに十分である。したがって、審理の充実のための方策(一①)が実施され、その中で的確な訴訟指揮が行われ、要件事実的思考に基づく主張分析と争点整理がされ、誤りのない判断が担保されるのであれば、その判断の表現方法である判決書について新たな様式によることは、適切なこととして支持することができる。

7 新様式判決に対する批判的意見
(1) 裁判官からの批判的意見
ア 「最高裁の持ち廻り合議と例文判決について」(著者は5期の武藤春光弁護士(元広島高裁長官))には以下の記載があります(自由と正義1997年1月号90頁及び91頁)。
     新様式判決は、書き流しの物語方式で足り、主張事実の厳密な検討をしなくても書けるわけであるから、しばしば重要な主張事実とそれに対する判断を見落とす危険がある。そこで、この判決については、勝訴した非法律家の当事者だけは気持ちよく読みやすいという印象を持つかもしれないが、敗訴当事者は自己の主張が無視されたという不満を抱くことになり、上級審は事実整理を初めからやり直すという負担を負わされることになる。筆者は、比較的長く控訴審の裁判を担当した経験を有するが、新様式判決の上記の欠点は、時に眼に余るものがあった。
     確かに、少数の練達の裁判官にとっては、判決の様式など意に介するところではなく、現様式でも新様式でも的確な判決を書くことができるであろう。しかし、大多数の裁判官にとっては、書くのに多少の時間がかかっても、いわば誤判防止装置付きの現様式判決の方が望ましいはずである。新様式判決は、裁判の現場を知らない当時の当局者の思いつきによるものと言われ、いずれ消えていくものと考えられていたが、悪貨は良貨を駆逐するの譬えのとおり、むしろ盛んになっていく風潮も見られる。そして、この風潮は、上記の最高裁による判決様式の軽視によって支えられているように思われる。司法にとって何よりも大切な判決の適正を確保するために、例文判決も新様式判決も速やかに消えていくことが望ましい。
イ 東京大学法科大学院ローレビュー第10巻(2015年11月)の「民事判決書の在り方についての一考察」(著者は52期の家原尚秀裁判官では以下の問題点が指摘されています。
① 裁判官が,判決作成に当たって法律要件を正解せず,要件事実を十分に検討していないのではないかという指摘もされている。
② 当事者の準備書面の表現をそのまま写し,コピーアンドペーストを多用して長文化する傾向があるとの指摘もされている。
③ 「争点に対する判断」の冒頭に,物語方式で時系列的に事実を認定する方式の判決書が増えてきている。
ウ 「裁判官は劣化しているのか」(2019年2月23日出版)(著者は46期の岡口基一裁判官)120頁ないし123頁には以下の記載があります(1ないし7を①ないし⑦に変えています。)。
① 新様式判決は、当事者の主張については、単に争点に関する各当事者の主張を羅列するだけです。そのため、その裁判官が、請求の内容、個数、複数ある請求の関係について正確に把握できているのかは、判決書を見てもわかりません。請求原因、抗弁等の攻撃防御方法の全体像や個別の要件について正確に把握しているのかもわかりません。裁判官が間違って把握している可能性もありますが、そのことが判決書から検証できなくなったのです。
    代理人弁護士も、従来であれば、当該訴訟において、複数の請求の関係はどうであったのか、請求原因、抗弁等の攻撃防御方法の全体像がどうなっていたのか等について、判決書の「当事者の主張」欄を見ることで、その「正解」を知ることができたのですが、新様式判決では、それがわからないままになりました。
② 判決をする際には、弁論主義の第1テーゼの問題をクリアするため、必要な事実主張がされているか否かの確認作業が必要ですが、新様式判決では、その確認結果についての検証ができなくなりました。
③ 当事者の主張した事実が当該要件にあてはまるか否かという「あてはめ」についても、新様式判決では、それが「争点」になっていない限り、判決書で検証することができなくなりました。
④ 従来様式判決では、人間ルールブック化した裁判官が、当事者の事実主張について、法的に全く正しい記載をしており(動詞の過去形と現在形の使い分けなど)、判決書の「当事者の主張」欄において、それを確認することができたのですが、新様式判決では、争点に関する各当事者の主張を、裁判官が自らの言葉で表現すればよいことになったので、言葉遣いにこだわる必要もなくなりました。ルールブック人間は不要となり、ルールが口頭伝承されることもなくなりました(それは、そのルールの背後にある「智」の伝承が行われなくなったことをも意味します)。
⑤ 裁判長は、判事補を指導する際のシールとして従来様式判決の「当事者の主張」欄を使うことができなくなりました。これまでは、判事補に従来様式判決の「当事者の主張」欄を起案させていたので、それをたたき台とすることができました。判事補がどこを理解していないかは、判事補が起案した「当事者の主張」欄を見れば一目瞭然でしたし、人間ルールブックである裁判長は、法的な観点からより正しい事実摘示ができるように判事補にルールを口頭伝承することもできたのです。
⑥ 書証の成立についても、いかなるルールによって成立を認めたのか判決で検証することができなくなりました。それどころか、判決書にも口頭弁論期日調書にも書証の成否の記載を原則としてしなくなったことから、書証の成否の審理は、しないのが通常となりました。その運用が定着したことにより、書証の成否の審理の方法を十分に理解していない裁判官も現れています。書証の成立が争われているのにその審理をしていないのです。
⑦ 昔の裁判所実務では、要件事実を真実解明のためのツールとして使っていましたが、最近はそれも行われていません。若い裁判官において「たまねぎの皮むき理論」を知っている人はもはや一人もいません。その「智」は承継されなかったのです。
(2) 弁護士からの批判的意見
・ 弁護士村本道夫の山ある日々ブログ「裁判と事実認定を考える」には以下の記載があります。
    実際,代理人として判決を受け取ると,裁判官が主観的に設定した「争点」について,感情に流れ,バイアスに充ちた判断を繰り返す耐えがたい判決書が決して少なくない。要件事実に沿って判断していれば決してあり得ないことだし(私の修習生のときに裁判官から,判決を書く段階になって整理すると,ときにそれまで思っていた結論が変わることがあるという話を聞いて,要件事実に基づく判決をを見直したことがある。),要件事実が認定できないから請求が棄却されたというのであれば,さらなる立証を考えれば足りるのだが,主観的な思い込みを吐露されても是正しようがない。
    裁判官は弁護士の要件事実の無理解,主張,立証の不備を盛んに指摘したがるが,自分達の新様式「判決書」が,裁判制度の不安定さ,誤判率の高さや,その反面としての裁判官の権威主義的体質を招いているということに無自覚である。ここでは新様式の判決書が導入された当時の裁判官が修習生に及ぼす影響を危惧して書いた「指導方針」を読んでみよう(こちらに引用)。修習生を裁判官に置き替えてみればその危うさが良く分かる。


8 新様式判決に関する令和2年度民事事件担当裁判官等協議会の協議内容
・ 令和2年度民事事件担当裁判官等協議会の協議結果要旨(資料編を含む。)には以下の記載があります(リンク先のPDF19頁)。
(5) 部内で旧様式判決と新様式判決の異同等について協議したことはありますか。
◯ 新様式判決については,いわゆる共同提言(東京高等・地方裁判所民事判決書改善委員会及び大阪高等・地方裁判所民事判決書改善委員会が平成2年2月に行った共同提言)から約30年が経過していることから, 旧様式判決が果たしてきた役割・機能,新様式判決が提唱された背景,新様式判決の基本コンセプト,各記載事項の意義等を十分に理解されておらず,また新様式判決が,現行民事訴訟法において目指された争点・証拠の整理手続を意識した構造となっていることについても十分に理解されていないとも考えられることから,協議においては,改めて旧様式判決と新様式判決の異同等について意見交換を行った。
◯ 協議においては,旧様式判決を利用する場合がどのような場合かを一つの例として協議が行われたが,①訴訟物が特殊で,争点の位置づけが分からない場合,②事実整理についての共通認識を示す必要がある場合,③争いがない事実がほぼない場合,④争点を設定するのが難しい事案(数多くの主張がされるが,いずれも理由がないもの等)には旧様式判決を使用することが有用であるとの意見が出された。また,攻撃防御の構造が複雑な事案においては,争点の位置づけを明確にするために旧様式判決で書いた方が分かりやすいが,新様式判決においても,争点の欄に当該争点がどの攻撃防御方法に関係するのかについて位置づけを示すことで,同じく攻撃防御方法の位置づけが明確になるとの指摘があった。 


9 明治時代の判決書の様式
・ 10期の藤原弘道裁判官は,民事裁判の充実と促進(平成6年5月刊行)に「新様式式判決と事実摘示-当事者の主張する事実を判決書に記載することがどうしても必要か-」と題する論文を寄稿していますところ,そこには以下の記載があります(同書742頁ないし744頁)。
    手引型判決(山中注;新様式判決に対して従来様式の判決といわれるものです。)が一般化する以前には、当事者の主張を原告側と被告側とに分け、原告側には請求原因・被告の抗弁に対する陳述・再抗弁等々を一まとめにし、被告側は請求原因に対する陳述・抗弁・再抗弁に対する陳述等々を一まとめにして記載することが慣行となっており、明治以来数十年にわたってこれが民事判決書の「事実」の型となっていた。
(中略)
    当時(山中注:明治5年8月3日の司法職務定制が制定された当時)は、民事訴訟法や民商法などの実体法は存在せず、判決書の記載事項について定めた太政官布告等の法令もなかったわけであるが、裁判所の発足当初から、民事判決書の記載内容にはほぼ一定の型があり、当事者の表示に続いて、①原告の主張の要旨、次いで②被告主張の要旨、そして最後に③裁判所の判断(理由)を記載するという構成のものがほとんどであった。

10 新様式判決「修正型」
・ 「新様式判決は,なぜ「史上最長の判決」になったのか~デジタル化時代の「シン・新様式判決」の提言~」(筆者は53期の田辺麻里子裁判官)の,「東京報告等による新様式判決「修正型」~平成6年以降現在まで」には以下の記載があります(判例タイムズ2023年9月号43頁)。
    現在の新様式判決は,共同提言のものではなく, その後,平成4年2月の大阪高・地裁民事判決書改善委員会の「新様式判決の見直しの結果について」 と題する報告(以下「大阪報告」 という。)及び平成6年3月の東京高等・地方裁判所民事判決書改善委員会の「新様式による民事判決害の在り方について」 と題する報告(以下「東京報告」 という。)により修正されたものである。本稿では, この修正された新様式判決を「修正型」 と呼ぶ。
(1) 形式
    表題等の枠組みは原型のまま,「事案の概要」の冒頭(事案の要旨)に訴訟物を記載するものとした。 「当事者の主張」を復活させ,旧様式判決のように言い分方式で記載するものとした。また,当事者の主張の記載の順序(請求原因は原告の主張から,抗弁は被告の主張から記載する)により立証責任の分配を示すものとした。
(2) 分量
    長文化し,史上最長となった。
(3) OA機器
    ワープロの配布完了後,パソコンの配布が開始され, その後現在まで,パソコンにより判決が作成されている。 

11 関連記事その他
(1)ア 「最高裁判所事務総局編 民事判決書の新しい様式について 」(平成2年5月20日第1版第1刷発行)の中身は,平成2年5月1日付の「まえがき」(財団法人法曹会)及び平成2年2月付の「はしがき」(最高裁判所事務総局民事局)を除き,判例タイムズ715号(平成2年2月25日付)4頁ないし35頁と全く同じです。
イ 令和4年10月,「民事第一審訴訟における判決書に関する研究 現在に至るまでの整理と更なる創意工夫に向けて」が出版されました。
(2)  事実認定の根拠として判決に引用する文書が真正に成立したこと及びその理由は,判決書の必要的記載事項ではありません(最高裁平成9年5月30日判決)。
(3) 「簡易裁判所における交通損害賠償訴訟事件の審理・判決に関する研究」(2016年12月1日出版)がアマゾンで売っていますところ,当該書籍について,「裁判官は劣化しているのか」(2019年2月23日出版)129頁には以下の記載があります。
    裁判官向けのマニュアルは、今のところこの一冊だけであり、これ以外に作成されるとも思えません。裁判官がマニュアルに従って判決を書いているというのでは、判決の重みは失われ、そのイメージダウン、権威の失墜は避けられないからです。
(4) 裁判長は,相当と認めるときは,準備的口頭弁論,弁論準備手続又は書面による準備手続を終了するに当たり,当事者に準備的口頭弁論における争点及び証拠の整理の結果を要約した書面を提出させることができる(民事訴訟法165条2項,170条5項及び176条4項)ことを重視した場合,主張整理は本来,当事者の責務であって,裁判所が尋問前に主張整理案を作成する責務はないと思います。
(5) 7期の後藤勇裁判官は,民事裁判の充実と促進(平成6年5月刊行)に「新様式の判決」と題する論文を寄稿していますところ,そこには以下の記載があります(同書上巻730頁)。
実務の実際では、厳密に究極の立証責任が、原告・被告のどちらにあるかを決めなくても、権利の発生、変更、消滅に関する実体法上の法律要件事実を的確に把握して、当事者が、これに該当する具体的事実(主要事実)を正確に誤りなく主張しているか否かについて、絶えず注意をしていれば、足りるのであって、ある事実が、究極的に何方の側に立証責任があるか(したがって、否認か抗弁か)についての判断をしていなくても、通常は、事件の審理に差し支えはないのではないではなかろうか。
(6) 53期の田辺麻里子裁判官は,判例タイムズ1510号(令和5年8月25日発売)に「大阪民事実務研究会
新様式判決は,なぜ「史上最長の判決」になったのか〜デジタル化時代の「シン・新様式判決」の提言〜」を寄稿しています。
(7) 文化庁HPに「公用文作成の考え方(建議)(付)「公用文作成の考え方(文化審議会建議)」解説」(令和4年1月7日付)が載っています。
(8)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 判決書の書式等の標準的な設定について(平成29年7月24日付の最高裁判所総務局長等の書簡)
・ 判決書の書式等の標準的な設定に従った参考書式等の送付について(平成29年7月24日付の最高裁判所総務局第一課長,民事局第一課長,刑事局第一課長等の事務連絡)
・ 民事第一審の審理・判決上の留意点(平成14年9月の司法研修所の文書)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 裁判文書及び司法行政文書がA4判・横書きとなった時期
 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
 司法行政文書に関する文書管理
 最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携

令和元年度実務協議会(冬季)

目次
1 令和2年1月30日及び同月31日に開催された,令和元年度実務協議会(冬季)の資料
2 関連記事その他

1 令和2年1月30日及び同月31日に開催された,令和元年度実務協議会(冬季)の資料
① 日程表
② 出席者名簿
③ 民事・行政事件の現状と課題
④ 刑事事件の現状と課題
⑤ 参考統計表
⑥ 裁判員裁判の実施状況について(制度施行~令和元年10月末・速報)
⑦ 家庭裁判所の現状と課題
⑧ 最高裁判所経理局作成資料
⑨ 司法研修所関係資料
⑩ 裁判所職員総合研修所の概要

2 関連記事その他 
(1) 実務協議会というのは,新たに地方裁判所長,家庭裁判所長又は高等裁判所事務局長を命ぜられた者を対象に,年に2回開催されている研修です(「裁判官研修実施計画」参照)。
(2) 令和元年度冬季については,最高裁判所人事局が作成した資料はなぜかありません。
(3) 令和元年度実務協議会(冬季)の資料として一本化しています。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
→ 平成30年度冬季以降の資料を掲載しています。

判検事トップの月収と,行政機関の主な特別職の月収との比較

目次
第1 判検事トップの月収と,行政機関の主な特別職の月収
第2 関連記事その他

第1 判検事トップの月収と,行政機関の主な特別職の月収
・ 令和2年1月7日現在の月収は以下のとおりであります(行政機関の特別職につき,内閣府HPの「主な特別職の職員の給与」参照)ところ,例えば,東京23区勤務の場合,地域手当として別途,月収の20%が加算されます。

1 最高裁判所長官(月収201万1000円)
・ 特別職である内閣総理大臣と同じです。

2 最高裁判所判事(月収146万6000円)
・ 特別職である国務大臣,会計検査院長及び人事院総裁と同じです。
・ 一般職である検事総長と同じです。

3 東京高等裁判所長官(月収140万6000円)
・ 特別職である内閣法制局長官,内閣官房副長官,副大臣,国家公務員倫理審査会の常勤の会長,公正取引委員会委員長,原子力規制委員会委員長及び宮内庁長官と同じです。
・ 立法府の特別職である衆参事務総長,衆参法制局長,国立国会図書館長と同じです。

4 その他の高等裁判所長官(月収130万2000円)
・ 一般職である東京高検検事長と同じです。

5 次長検事及び検事長(月収119万9000円)
・ 特別職である検査官,人事官,内閣危機管理監,内閣情報通信政策監,国家安全保障局長,大臣政務官,個人情報保護委員会委員長,カジノ管理委員会委員長,公害等調整委員会委員長,運輸安全委員会委員長及び侍従長と同じです。
・ 特別の事情がある場合における常勤の内閣総理大臣補佐官及び常勤の大臣補佐官と同じです(特別職給与法3条2項1号)。

第2 関連記事その他
1 判事1号及び検事1号(月収117万5000円)は,①一般職である各省庁の事務次官,並びに②特別職である内閣官房副長官補,内閣広報官,内閣情報官,内閣総理大臣補佐官,大臣補佐官,国家公務員倫理審査会委員,公正取引委員会委員,原子力規制委員会委員及び式部官長に適用されている指定職俸給表8号棒と同じです。
2 酒居会計マネーブログ ~税金・転職・起業・株式投資・ふるさと納税~「年収別 手取り金額 一覧 (年収100万円~年収1億円まで対応)」が載っています。
3 以下の記事も参照してください。
・ 裁判官の年収及び退職手当(推定計算)
→ 最高裁判所が作成した裁判官・検察官の給与月額表を掲載しています。
・ 裁判官の号別在職状況
・ 最高裁判所が作成している,最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿
・ 最高裁判所が作成している,高裁長官・地家裁所長等名簿
・ 高裁長官人事のスケジュール
・ 高等裁判所長官を退官した後の政府機関ポストの実例
・ 裁判官の昇給
 裁判官の給料と他の国家公務員の給料との整合性に関する答弁例
 検事総長,次長検事及び検事長任命の閣議書

特例判事補

目次
1 地家裁における特例判事補
2 高裁判事職務代行としての特例判事補
3 特例判事補制度制定時の国会答弁(令和3年2月7日追加)
4 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の記載
5 司法制度改革審議会意見書(平成13年6月12日付)の記載
6 平成15年2月当時の特例判事補の状況
7 平成15年2月当時,特例判事補制度を段階的に見直す方針であったこと
8 関連記事その他

1 地家裁における特例判事補
(1) 根拠法の条文
・ 「判事補は、他の法律に特別の定のある場合を除いて、一人で裁判をすることができない。」と定める裁判所法27条1項の例外としての,判事補の職権の特例等に関する法律(昭和23年法律7月12日第146号)1条は以下のとおりです。
① 判事補で裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第四十二条第一項各号に掲げる職の一又は二以上にあつてその年数を通算して五年以上になる者のうち、最高裁判所の指名する者は、当分の間、判事補としての職権の制限を受けないものとし、同法第二十九条第三項(同法第三十一条の五で準用する場合を含む。)及び第三十六条の規定の適用については、その属する地方裁判所又は家庭裁判所の判事の権限を有するものとする。
② 裁判所法第四十二条第二項から第四項までの規定は、前項の年数の計算に、これを準用する。
(2) 裁判所百年史の記載
・ 裁判所百年史(平成2年11月26日発行)207頁には,特例判事補に関して以下の記載があります。
   判事補は、司法修習生の修習を終えた者の中から任命される。なお、裁判所法上は、判事補は、原則として一人で裁判をすることができず、また、同時に二人以上合議体に加わることや裁判長となることもできないものとされているが、裁判事務繁忙の実情等にかんがみ、判事補の職権に関するこのような制限を臨時に緩和するため、昭和二三年七月一二日、判事補の職権の特例等に関する法律が公布され、判事補でその在職年数が五年以上になる者のうち、最高裁判所に指名された者は、右のような職権の制限を受けず、判事の権限を有するものとされることになった。



2 高裁判事職務代行としての特例判事補

(1) 根拠法の条文
・ 「各高等裁判所は、高等裁判所長官及び相応な員数の判事でこれを構成する。」と定める裁判所法15条の例外としての,判事補の職権の特例等に関する法律(昭和23年法律7月12日第146号)1条の2(昭和32年5月1日法律第92号によって追加された条文です。)は以下のとおりです。
① 最高裁判所は、当分の間、高等裁判所の裁判事務の取扱上特に必要があるときは、その高等裁判所の管轄区域内の地方裁判所又は家庭裁判所の判事補で前条第一項の規定による指名を受けた者にその高等裁判所の判事の職務を行わせることができる。
② 前項の規定により判事補が高等裁判所の判事の職務を行う場合においては、判事補は、同時に二人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない。
(2) 裁判所法逐条解説の記載
・ 裁判所法逐条解説(上巻)165頁及び166頁には,高等裁判所判事の職務を代行する特例判事補に関して以下の記載があります。
(165頁の記載)
   職権特例判事補が高等裁判所判事の職務代行を命ぜられるのは、「高等裁判所の裁判事務の取扱上特に必要があるとき」である。これは、本条(山中注:裁判所法19条のこと。)の場合と異なり、必ずしも、特定の高等裁判所におけるさし迫つた必要性のみに限らず、もう少し広い意味で、最高裁判所が全国的視野において、全国各裁判所の裁判事務をできる限り効率的に運営するという観点からする必要性もふくむ趣旨と解され、本条の場合に比し、その範囲(特定性),程度(急迫性)等において差があるものということができる。
(166頁の記載)
   この措置(山中注:特例判事補が高等裁判所判事の職務を代行するという措置)は,「当分の間」行われるものである。けだし,判事の定員が充足した後は,高等裁判所は,できる限り,判事のみの合議体で事件を処理するものとすることが望ましいし,また,判事補制度そのものについても,なお十分検討されるべき点が少くなく,右に述べた制度をもって恒久的なものとするには,多くの疑問が存するからである。
(3) 最高裁判所十年の回顧の記載等
ア 最高裁判所十年の回顧(三)には以下の記載がありますし(昭和32年12月発行の法曹時報9巻12号38頁),立法趣旨に関しては,昭和32年4月5日の衆議院法務委員会における位野木益雄(いのきますお)法務大臣官房調査課長の答弁も同趣旨のものとなっています。
   一方、立法の面における第一審強化方策として、第二十六国会を通過した「判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律」がある。この法律は本年五月一日から施行されているが、その趣旨とするところは、第一審の充実強化を円滑に行うため、当分の間の措置として、いわゆる職権特例判事補に高等裁判所の判事の職務を行わせることができるようになったことである。現在地方裁判所で単独事件を処理している職権特例判事補は二百名以上にも達しているが、これをできる限り判事と交替させることが望ましい。この判事の供給源は、さしあたりこれを高等裁判所に求めなければならない。そこで高等裁判所判事を地方裁判所に配置換えし、その後を職権特例の判事補でおぎない、高等裁判所の合議体の一員に加えようとするものである。これによって第一審の充実強化をはかるとともに、一面、高等裁判所にも清新の気を送り、あわせて人事の交流をはかろうとするものである。
   この法律の施行にともなって、最高裁判所は、裁判官の配置換えを行っているが、本年十一月二十日までに、すでに判事補八名が高等裁判所に送りこまれている。
イ 制定経緯からすれば,「高等裁判所の裁判事務の取扱上特に必要があるとき」というのは,「第一審強化のために地裁に配置換えされた高裁判事の欠員を埋めるために特に必要があるとき」といった意味合いになります。
(4) 控訴院判事の任命資格
・ 明治憲法時代,5年以上裁判官の経験があれば控訴院判事の任命資格を取得しました(裁判所構成法69条)。


3 特例判事補制度制定時の国会答弁
(1) 兼子一 法務調査意見長官は,昭和23年6月12日の衆議院司法委員会において以下の答弁をしています。
  ただいま議題となりました判事補の職権の特例等に関する法律案の提案理由を申し上げます。
  新憲法の施行によりまして、わが司法制度に画期的な改革が行われ、司法の職責のきわめて重大となりましたことは、いまさら申し上げるまでもないところでありまして、政府といたしましても、この重責を担う裁判所の機構の整備充実に、でき得る限りの力をいたしてまいつたのであります。しかしながら、終戰後のこの深刻多難な社会情勢のもとにおきましては、裁判所の機構の整備は、容易ならぬことでありまして、裁判所の廳舎、その他諸種の物的設備が十分に整わないことはもとより、人員の整備充実の点につきましても、困難を感じているのでありまして、本年三月末日現在の裁判官の欠員は三百六名に達し、特に判事の欠員は百八十二名の多きに達しているのであります。この裁判官不足の原因については、いろいろ考えられるのでありますが、そのおもなるものとしては、裁判官の待遇が、必ずしも十分でなかつたことと、その負担があまりに過重であることがあげられるのでありまして、このため裁判官の献身的な努力にもかかわらず、未済事件は増加の一途をたどり、現状のままに推移するときは、司法の運営に重大なる支障を來すおそれなしとしないのであります。このような事態に処する対策としては、裁判官の待遇を改善して、廣く有為の人材を吸收して欠員の補充をはかることと、裁判官を増員してその負担を軽くすることであります。裁判官の待遇につきましては、さきに提案して法律案によりまして、相当の改善をみることになつたのでありますが、これとて決して十分のものでなく、これのみでは今日ただちに裁判官不足の悩みを解消することは困難と存じますので、当面の措置といたしましては、現在活用し得る人材を、最も有効に活用いたしたく、その方策としては次の二つのことが考えられるのであります。第一は、判事補の活用であります。裁判所法によりまして、判事の地位は著しく高められ、判事に任命せられるには、司法修習生の修習を終え、考試に合格した後、裁判官、検察官または弁護士等として十年以上の経驗を積まねばならず、それまでは、判事補または簡易裁判所判事としてのみ、裁判官の職務を行ひ得るにすぎないのでありまして、判事補としては、原則としては一人で裁判をしたり、同時に二人以上会議体に加わり、または裁判長となることができないというような、職権の制限を受けておるのでありますが、判事補の中には実質上判事たるにふさわしい十分な力量と経驗とを有しながら、形式上の資格要件を欠くために、判事たり得ないものが少くなく、今日の情況にありましては、これらの人々を十分に活用してしかるべきことと存ずるのでありまして、判事補のうち、裁判官、検察官または弁護士としての経驗年数が五年以上にもなり、最高裁判所が、判事としての職務を行わしめるに適するものと認めた者には、判事として職務を行わせるようにすることが、この際きわめて適切であり、かつ必要であると信ずるのであります。
  次に第二の方策としては、裁判所法に規定せられておりまする裁判官の任命資格に関する経過規定の改正でありまして、現在これに関する規定としては、裁判所法施行令の第八條ないし第十條及び第一回國会を通過成立した裁判所法の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第一号)の附則第二項ないし第四項等がありまして、裁判所構成法による判事もしくは検事の在職、これらの職につく資格を有する者等の朝鮮、台湾、関東州、南洋廳及び満州國における裁判官の在職、これらの外地もしくは満州國における検察官の在職または行政裁判所評定官、司法研究所指導官、司法書記官等の在職の年数は、これを裁判所法による判事、判事補、検察官、司法研修所教官または法務府事務官——現在の法務廳は、別に法案を提出して法務府と改称いたしたいと思いますが——等の在職の年数とみなすこと等が定められておりますが、この際これらの規定をさらに拡張して、内地、朝鮮、台湾、満州國または蒙古等で実質上右に述べた諸官職と同様な法律的の事務を取扱う職にあつた者についても、一定の條件のもとに、その在職年数をこれに算入することとし、なお、朝鮮、台湾及び関東州の弁護士の在職年数をも、弁護士法による弁護士の在職年数とみなすこととして、実質上十分なる知識と経驗とを有しながら、形式上の資格要件を欠くために、判事簡易裁判所判事、または判事補等となり得なかつた者に、それぞれその資格を與えて、これを十分に活用することが必要であり、かつ適当であると存ずるのであります。
  この法律案は、以上申しましたよな趣旨で立案提出いたしたのでありまして、第一條は、判事補で裁判所法第四十二條第一項各号に掲げる判事補、簡易裁判所判事、檢察官または弁護士等の職の一または二以上にあつて、その年数を通算して五年以上になる者のうち、最高裁判所の指名する者は、当分の間、判事補としての職権の制限を受けないものとし、またその属する地方裁判所の判所官会議の構成員となり、管内の簡易裁判官の職務を行う権限を有することを定め、第二條は、裁判所構成法による判事または檢事たる資格を有する者が、同條に掲げる内地、朝鮮、台湾、満州國及び蒙古連合自治政府等における各種の職にあつたときは、その在職年数は、裁判官の任命資格に関する裁判所法第四十一條、第四十二條及び第四十四條の規定の適用については、これを判事、判事補、検察官、法務府事務官または法務府教官の在職年数とみなすこととし、第三條は、弁護士たる資格を有する者が、朝鮮、台湾、関東州等の外地弁護士の職にあつたときは、裁判所法第四十一條ないし第四十四條の規定の適用については、その在職の年数は、これを弁護士の在職の年数とみなし、外地弁護士の在職年数、もしくは外地弁護士及び弁護士令による弁護士試補として実務修習を終え考試を経たものは司法修習生の修習を終えたものとみなされることを定め、さらに附則では、この法律の施行に必要な規定を設けたのでありまして、その第四條は、この法律の施行期日を定め、第五條は、第一條に定める判事補の裁判官、検察官または弁護士等としての経驗年数の計算についての経過規定を定めたものでありまして、その内容は一應前に申しました裁判官の任命資格に関する経過規定にならつたのであります。また第六條は、さきに述べた裁判所法の一部を改正する法律の附則第二項ないし第四項が、この法案の成立によつて、その存在理由を失うことになりますので、これを削除することを定めたものであります。
  以上この法案について概略の御説明を申し上げましたが、なお詳細につきましては、御質問に應じてお答えいたしたいと存じます。何とぞ愼重御審議の上、御可決あらんことをお願いいたします。
(2) 岡部常 参議院司法委員会理事は,昭和23年7月3日の参議院本会議において以下の答弁をしています。
  判事補の職権の特例等に関する法律案について申上げます。本案の内容は裁判所法で一人前の判事になるには、十年間、裁判官、検察官、弁護士等の職にあつたことを必要とするように定められておりますため、判事の不足が二百名に達する有様で、民事刑事の事件の処理に困難しておる現状であります。前に述べました在職十年経過の条件に満たざる者は、判事補として地方裁判所の限られた事件は、独りで処理できない等の制限があるのでありますが、当分の事態に対処いたしまする方便として、五年以上の経驗を持つ判事補の中、優秀な者を最高裁判所が指名して、当分の間、判事と同じような権限を與えて事件の処理に当らせるというのが第一條でありまして、第二條以下は、裁判所構成法当時の判事又は検事の資格のあつた者が、朝鮮、台湾、満州、蒙古の司法関係や、司法領事、南方の司政官等になつて、司法関係の仕事をした者や、特許局関係の審判事務に従事していた者の、その間の期間を、判事になる資格の十年の期間に参入し、又は現在又は将来衆議院、参議院の司法委員会の専門調査員、法制部の参事、副参事等に在職した期間も通算になるという規定であります。尤もこの中、満州関係の分は、第一國会で解決したのでありますが、この法律の中に取り入れて一本に纏めたものであります。
  委員会におきましては、時宜に適した適当な立法であることを認めまして、討論を省略し、全会一致可決すべきものと決定いたした次第でございます。


4 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の記載
   臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の決議要目には以下の記載があります。
第一 裁判官制度
 一 任用制度運用の改善
   弁護士、検察官等で裁判官となるにふさわしいものをできる限り多数裁判官に任用することができるよう法曹三者が協力すること。
 二 判事補制度の改善
  1 判事補は、原則として、地方裁判所及び家庭裁判所において、一人で判決をすることができないものとすること。
  2 判事補のうち在職三年に達しない者は、判決以外の裁判も、特に法律で定める軽易なものを除き、一人ですることができないものとすること。
  3 判事補の研修を充実強化すること。
 三 簡易裁判所判事制度の改善
  1 簡易裁判所判事には、できる限り、判事定年退官者等法曹有資格者を充てること。
  2 いわゆる選考任命の簡易裁判所判事は、各方面から人材を求めるとともに、その素質の向上を図ること。
  3 一定年数の経験を有する選考任命の簡易裁判所判事で一定の考試を経たものは、判事補に任命することができるものとすること。
 四 裁判官の増員
   裁判官の定員を相当程度増加すること。
 五 裁判官の補助機構
  1 裁判所調査官制度を次のとおり拡充すること。
   (一) 高等裁判所における裁判所調査官の制度を拡充し、これに一般事件の審理及び裁判に関する調査をもつかさどらせるようにすること。
   (二) 地方裁判所に、裁判官の命を受けて工業所有権関係事件等の特殊事件の審理及び裁判に関して必要な調査をつかさどる裁判所調査官を置くこと。
   (三) 地方裁判所に、裁判官の命を受けて一般事件の審理及び裁判に関して必要な調査をつかさどる裁判所調査官を置くことを検討すること。
  2 1のほか、裁判所の補助職員の充実整備を図ること。

5 司法制度改革審議会意見書(平成13年6月12日付)の記載
   司法制度改革審議会意見書(平成13年6月12日付)には以下の記載があります。
(1) 判事補制度の改革等

(中略)
イ 特例判事補制度の解消
 特例判事補制度については、裁判官数の不足に対応するための「当分の間」の措置であったことや、十全の権限を行使する判事となるためには10年の法律専門家としての経験を要求している裁判所法の趣旨にかんがみ、計画的かつ段階的に解消すべきである。裁判官の大幅増員の必要性については既に言及したところであるが、特例判事補制度の解消のためにも、判事を大幅に増員すべきであり、後記(2)の措置を講じること等により、判事の大幅増員に対応できるよう、弁護士等からの任官を推進すべきである。

6 平成15年2月当時の特例判事補の状況
・ 特例判事補制度の見直しについて(平成15年2月18日付の最高裁判所事務総局の文書)には「2 特例判事補の現状」として以下の記載があります。
○  特例判事補は,全国各地の裁判所で多様な事件を判事と同等に担当し,処理している。地裁・家裁の支部で勤務する特例判事補の数も多い。
・ 全国的な配置状況(資料1,2)
 現在,約400人の特例判事補が全国各地の裁判所で事件処理を担当し,そのうち,300人以上が,民事・刑事の訴訟事件などを単独で担当している。約130人の特例判事補が支部に配置されており,そのうち,約20人は,離島,遠隔地などのいわゆる1人配置支部に勤務している。
・ 事件処理の現況
 特例判事補は,地裁本庁等では,民事・刑事の単独事件を中心に担当している。支部等では,民事・刑事の単独事件のほか,執行事件,家事事件など多様な事件を同時に担当している。
* 例えば,新潟地家裁佐渡支部(佐渡),長崎地家裁福江支部(五島列島),厳原支部(対馬),鹿児島地家裁名瀬支部(奄美大島)などへ特例判事補が赴任し,夜間令状事件を含め24時間体制で地域の司法を担っている。
* 判事補任官後の5年間,民事・刑事の合議事件の左陪席や,少年事件などの経験を積むことを通じて,単独で訴訟事件を担当することができるように,その力量を培う。特例判事補となった後は,赴任庁の事件状況に応じて事務を担当するが,訴訟事件が増加傾向にあることから,単独事件の担当とすることが多い。また,特例判事補は,子どもの年齢がまだ低く,親の介護を要するに至っていない年代の者が多く,転勤の支障が比較的小さいことから,離島,遠隔地等に所在する裁判所への赴任候補者とすることが少なくない。


7 平成15年2月当時,特例判事補制度を段階的に見直す方針であったこと
・ 特例判事補制度の見直しについて(平成15年2月18日付の最高裁判所事務総局の文書)には「3 検討の方向性」として以下の記載があります。
○ 裁判所法が判事任命のための資格として判事補経験10年を要求している趣旨,特例判事補制度が「当分の間」の措置とされている趣旨に照らし,特例判事補制度を段階的に見直す方針である。
○ 当面は,後記の条件整備の状況を踏まえつつ,特例判事補が単独訴訟事件を担当する時期を,任官7年目ないし8年目へシフトすることを目標とし,その担当事務をこれまで以上に合議事件に振り向けるとともに,各種非訟事件等の多種多様な事件とすることを工夫するなどして,段階的な見直しを推進する予定である。
・ 特例判事補の果たしている役割及び弁護士任官の現状を考慮すれば,まず,任官6年目ないし7年目の特例判事補による単独事件の担当から見直す方策を検討したい。代替する判事の人数の確保及び支部勤務者の確保という観点から,都市部から見直しを始めていくことになろう。その上で,条件整備の状況を踏まえつつ更に見直しを進めていきたい。
・ 約400名の特例判事補の見直しのためには,これに代替する判事を確保することが必要不可欠である。また,これと並行して,審理の充実・迅速化,事件増加へ対応するため,判事による事件処理態勢の充実強化を図る必要がある。
・ 資質能力を備えた判事を確保する必要があることに変わりはなく,前記のような段階的な見直しとともに,特例判事補の担当事務の見直しを含む人事ローテーションの在り方を検討し,特例判事補への研修を一層充実強化する必要がある。
・ 例えば,これらの特例判事補の担当事務としては,地家裁の合議事件を中心として,各種非訟事件(破産,執行等),簡裁の訴訟事件,調停事件等が考えられるとともに,研修としても,裁判所外部の経験(海外留学,行政官庁への出向などに加え,弁護士事務所への派遣等)等の多様なものが考えられる。
・ 特例判事補を含む判事補の研さん態勢も一層充実させることを考えている。


8 関連記事その他
(1) 民事訴訟法312条2項1号は「法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。」を絶対的上告理由としていますところ,例えば,判事補の職権の特例等に関する法律に違反することは同号に該当すると思います。
(2) 京都弁護士会は,司法制度改革審議会に対し,判事補制度の廃止を求める意見書(2000年11月22日)を提出しました。
(3) 弁護士森脇淳一HP「退官後1年」には以下の記載があります(35期の森脇淳一裁判官が筆者です。)。
(山中注:裁判官の)悪い点は、意見の合わない裁判長の陪席裁判官(裁判長の脇に座っている裁判官をこう言う)の仕事をしなければならないことである。裁判長が手を入れた(削った)起案に自分が手を入れることはできないから、意に染まない判決にも署名押印しなければならない。裁判長によっては、まともに記録も読まず、合議で議論に負けても、『それなら判決できない』とか、『判決(言渡期日)を伸ばす』とか、『とにかく、自分は嫌だ』などと言うので、結局、裁判長の意見に従わざるを得なかった」などと述べた。

(4) 未特例判事補は少年法20条1項又は62条1項に基づく検察官送致決定をすることができません(少年法4条)。
(5) 以下の記事も参照してください。
・ 裁判官の種類
・ 職務代行裁判官
・ 裁判官の号別在職状況
・ 下級裁判所の裁判官の定員配置

家事事件に関する審判書・判決書記載例集(最高裁判所が作成したもの)

目次
第1 家事事件に関する審判書・判決書記載例集(最高裁判所が作成したもの)
第2 家事審判の告知は審判書の謄本で行う理由
第3 関連記事その他

第1 家事事件に関する審判書・判決書記載例集(最高裁判所が作成したもの)
・ 平成25年1月1日の家事事件手続法(平成23年5月25日法律第52号)施行後に作成されたと思われる,家事事件に関する審判書・判決書記載例集(最高裁判所が作成したもの)を以下のとおり掲載しています。

1 婚姻費用分担申立事件
・ 基本型
・ 収入認定が困難な事案(各種統計資料により認定・判断した事例)
・ 標準算定表額に特殊事情の考慮が主張される事案(標準算定方式における学校教育費相当額を超える学費負担を考慮した事例)
・ 標準算定表額に特殊事情の考慮が主張される事案(義務者による権利者居住居宅のローン負担を考慮した事例)
・ 標準算定表額に特殊事情の考慮が主張される事案(義務者による権利者居住居宅のローン負担を考慮しなかった事例)
・ 増額・減額申立事件(減額した場合)

2 養育費申立事件
・ 基本型
・ 子が4人以上の場合
・ 義務者も子を養育している場合
・ 義務者の収入が算定表の上限を超える場合
・ 収入の変動により減額する場合
・ 扶養家族の変動により減額する場合
・ 子の大学進学による教育費増加により養育費を増額する場合
3 面会交流申立事件
・ 給付を特定した形で直接交流(面会)を認めた事例
・ 給付を特定しないで直接交流(面会)を認めた事例
・ 直接交流(面会)を認めず,間接交流のみを認めた事例
・ 面会交流を認めなかった事例
4 監護者指定申立事件
・ 申立人を監護者に指定した事例
・ 相手方を監護者に指定した事例
・ 審判前の保全処分申立事件 保全の必要性なしとして却下した事例
5 親権者変更申立事件
・ 認容した事例
・ 親権者死亡後他の親へ変更した事例
・ 却下した事例


6 遺産分割申立事件
・ 基本型(現物分割,代物分割)
・ 換価分割,共有分割,現物分割
・ 却下事例
・ 特別受益を否定した事例
・ 特別受益を肯定し,具体的相続分を算定したうえ,遺産分割をした事例(特別受益否定,持戻し免除の意思表示も含む。)
・ 寄与分を否定した事例2件
・ 寄与分を一部肯定した事例

7 祭祀財産の承継者指定申立事件
8 特別縁故者に対する相続財産の分与申立事件
・ 全部分与
・ 一部分与・却下事例
9 推定相続人廃除申立事件
・ 認容した場合
10 相続放棄申述事件
・ 却下した事例
11 氏の変更許可申立事件・名の変更許可申立事件・戸籍訂正許可申立事件
・ 氏の変更許可申立を却下した事案
・ 名の変更許可申立を却下した事案
・ 戸籍訂正許可申立事件(認容した事案)
12 性別の取扱いの変更申出書
・ 認容した事例2件
13 特別養子縁組申立事件
・ 第1段階の審判
・ 第2段階の審判
14 親権喪失申立事件・親権停止申立事件
・ 認容した事例
・ 審判前の保全処分(親権者の職務執行停止及び職務代行者の選任)を認めた事例
15 児童福祉法28条1項及び2項
・ 認容した事例
16-1 後見開始の審判申立事件
・ 基本型(親族後見人,鑑定実施)
・ 監督人選任
・ 複数後見人・権限分掌あり
・ 保佐からのバージョンアップ
・ 任意後見契約登記がある例
・ 任意後見監督人選任済みの審判
・ 却下例
16-2 保佐開始の審判申立事件
・ 開始するも代理権付与は同意なく却下
16-3 補助開始の審判申立事件
・ 同意なく却下
16-4 任意後見監督人選任申立事件
・ 法定後見と競合し認容した事例
・ 法定後見開始済みで却下した事例
16-5 後見開始の審判の取消申立事件
16-6 成年後見人解任事件
・ 報告懈怠等を理由に認容した事例
・ 横領等を理由に認容した事例
・ 却下した事例
16-7 相続財産管理人選任申立事件
・ 本人死亡後相続財産引渡しまでの処分
16-8 審判前の保全処分申立事件
・ 財産管理者選任・保佐命令
17 渉外事案 親権者変更申立事件
18 合意に相当する審判
・ 嫡出否認
・ 親子関係不存在確認
・ 認知申立事件
・ 協議離婚無効確認申立事件
19 調停に代わる審判
・ 夫婦関係調整調停申立事件(合意型)
・ 婚姻費用分担調停申立事件(欠席型)
・ 面会交流調停申立事件(不一致型)
・ 遺産分割申立事件(不出頭型)
・ 遺産分割申立事件(不一致型)
・ 遺産分割申立事件(合意型・渉外事件)
20 離婚請求事件
・ 基本型(離婚原因の存否,認容例)
・ 離婚原因の存否(棄却例)
・ 有責配偶者の抗弁の成否(請求棄却)
・ 有責配偶者の抗弁の成否(認容例)


21 離婚等請求事件
・ 財産分与(基本形)
・ 財産分与(基準日に争いがある事案)
・ 財産分与(特有財産部分に争いがある場合-不動産)
・ 財産分与(特有財産部分に争いがある場合-預貯金)
・ 財産分与(寄与度に争いがある事案)
・ 不動産の分与が問題となる事案(不動産ローンの引受けが問題とならない事案)
・ 不動産の分与が問題となる事案(不動産ローンの引受けが問題となる事案)


第2 家事審判の告知は審判書の謄本で行う理由
・ 「第3版 家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」432頁には以下の記載があります。
    判決書のように執行力を有しない債務名義は,裁判所書記官に対し執行文の付与の申立てをなし,執行文付与の有無や,執行力の存否を調査して付与されるところ(民執26条1項・2項),給付を命ずる家事審判は,執行力のある債務名義と同一の効力を有することから(家事法75条),審判書の正本は,それ自体で執行文の付された債務名義の正本と同視される。そのため,審判の告知の際に,審判書の正本を職権で作成・送達することは, 申立てを待たず,かつ,執行力の調査を行わずに債権者に執行文付与と同視されることを理解した運用が必要である。実務においては,審判の告知は審判書の謄本で行い,強制執行を実施する場合には,改めて審判書の正本の交付申請を行い,裁判所書記官による調査を経た上,正本の交付を受けることになる。なお,東京家庭裁判所家事5部では,調停に代わる審判,本審判とも便宜正本送達をしている。


第3 関連記事その他
1 一つのPDFファイルにしたものを,家事事件に関する審判書・判決書記載例集として掲載しています。
2(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 家事事件記録の編成について(平成24年12月11日付の最高裁判所事務総長の通達。令和2年9月当時のもの)
・ 家裁における書記官事務の指針(家事編)→平成15年2月に最高裁判所事務総局が作成したもの
・ 家事事件関係の各種一覧表(平成24年11月27日付の最高裁判所事務総局家庭局第一課長の事務連絡)
(2) 以下の記事も参照して下さい。
・ 相続事件に関するメモ書き
・ 離婚事件に関するメモ書き
・ 離婚時の財産分与と税金に関するメモ書き
・ 大阪家裁後見センターだより
・ 訴訟能力,訴状等の受送達者,審判前の保全処分及び特別代理人
 裁判所関係国賠事件
 後見人等不正事例についての実情調査結果(平成23年分以降)
・ 平成17年以降の,成年後見関係事件の概況(家裁管内別件数)

弁護士任官に対する賛成論及び反対論

目次
第1 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
1 裁判官任用制度の民主化からの側面
2 弁護士経験からの側面
3 その他からの側面
第2 関連記事その他

第1 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
・ 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)(略称は「臨司意見書」です。)において,「法曹一元の制度の長所と短所」のうち,弁護士任官に対する賛成論及び反対論として妥当するものは以下のとおりです(出典は昭和39年8月発行の法曹時報別冊33頁ないし38頁です。)。
   
1 裁判官任用制度の民主化からの側面
(賛成論)
① 現在の司法部が魅力に欠けている原因は,現在の裁判官の任用制度が国民的基盤の上に立っていない点にある。
   この弊を是正するためには,国民とより直接のつながりをもつ弁護士を(国民的基盤の上に直接立つような構成をもつ推薦機関の推薦によって)裁判官に選任する制度が有効である。
② 民主主義下においては,国民が司法を自分らのものと意識するようになることが必要であるが,弁護士はその職務自体から民衆の味方となっているものであるから,これから裁判官を選ぶことにすれば,国民との間に血の通った裁判が行われるようになる。
③ 司法に国民の意志を反映させ,民主主義の目的を達成するためには,その方策として,国民に近い弁護士から裁判官を選ぶことにするのが,賢明にして現実的な手段である。
④ 若い時から裁判所に閉じこもっているキャリアの裁判官より世間一般と接触している弁護士の方が民主的である。
⑤ キャリアの裁判官と異なり,弁護士は,社会からきびしい批判を受けることによって,社会的評価がおのずから定まっているので,弁護士の中から裁判官を選考すれば誤りがなく,裁判に対する国民の信頼を増大させることができる。
(反対論)
① 司法の民主化がはたして何を意味するかが明らかでない。また,弁護士が裁判官になれば民主的であるとする考え方の根拠が不明である。
   現在の弁護士が現在の裁判官より民主的であるという保障はどこにもない。
② 弁護士から裁判官を採用すれば,裁判に対する国民の信頼の問題が氷解するとは考えられない。
   要は,裁判官その人の教養と人格いかんにある。
③ 弁護士に対して社会一般が信頼を寄せているとは思えない。また,一般国民は,弁護士に親近感をもっていない。
   したがって,弁護士から裁判官を採用することが直ちに民意を反映することにはならず,国民はそのようには考えていない。
④ 司法の民主化のための手段としては,むしろ裁判官の公選,陪審,参審の制度を考慮すべきであり,決して法曹一元の制度の採用に限定されるものではない。しかも,制度を論ずる場合には,能率,安定性等個々の面からの利害得失を総合的に考える必要がある。
   したがって,司法の民主化が望ましいとすることから,直ちに法曹一元の制度を採用すべきであるとすることは,論理の飛躍である。
   
2 弁護士経験からの側面
(賛成論)
① 実社会に直接接触して,生きた社会の実態を知り,豊富な社会的経験を有する弁護士が裁判官となることにより,真相に適した裁判が行われるようになり,裁判の説得力と信頼性を増すことができる。
② 弁護士から裁判官を採用することにより,広い視野を有する裁判官を得ることができる。
③ 弁護士,検察官のような当事者活動を経ることにより,知識経験が豊かになり,人間の見方が錬成されて来る。
④ すぐれた裁判官となるためには,弁護士の経験がキャリアの経験にまさる。つまり弁護士の経験により,人権感覚を身に付けることができる。
   人権感覚とは,具体的なケースに現れた社会の要求に対し切実綿密に反応する感覚である。
⑤ 弁護士の経験は,依頼者に対する責任に裏付けられているから,キャリアの裁判官の経験と質的に異なるものがある。
(反対論)
① 弁護士のみが社会常識に富むとすることは独断であり,弁護士の経験のみが裁判官に必要な経験とは言えない。
   要は,その人個人の素質,生活態度,そしゃく能力のいかんによる。
② 弁護士の経験といえども,社会との直接の接触による直接的な経験ではなく,間接的なものにすぎない。
③ 弁護士の経験には,ともすれば裁判官に要請される廉潔,公正ということと矛盾する面がある。
④ 在野の苦労を経て社会の荒波をくぐってきたものでなければ裁判官となる資格がないとすることは,合理的な理由を欠く。
⑤ 社会的事象に対する知識,当事者の立場に立って物を考える能力は,弁護士を経験したからすぐれ,キャリアであるから劣るというものではない。
⑥ 当事者経験を強調することにも疑問がある。当事者経験があることによって訴訟指揮が適切に行なわれ,事実認定が的確に行われるためには,裁判所の訴訟活動と当事者の訴訟活動との間に大きな距離がないこと,対立がないことが前提であるが,現状では,弁護士の活動は,当事者の利益擁護に傾きすぎている。
⑦ 裁判官が弁護士の中から選ばれるという制度には弊害も伴い,このような制度がわが国の国民感情に適合するかどうか疑わしい。
⑧ 裁判官となるためには当事者としての経験が必要であるとしながら,法曹一元論のあるものが裁判官の給源を実務弁護士以外に拡大しようとしていることは,矛盾である。
⑨ 弁護士は,裁判官と異なり,必ずしも各種の事件を取り扱うとは限らないから,その当事者経験は,限られた分野のものにとどまる。
⑩ 裁判官と弁護士との間には,その職務の性質において,質的な相違があり,裁判官の職務は,双方の主張を聞いていずれが正しいかを判断するものであるのに対し,弁護士の職務は一方の当事者の利益のみを考えるものであるから,後者の経験をもって前者のそれに代えることはできない。
   両者には,それぞれ異なった性格,訓練が要求される。
⑪ 弁護士出身の裁判官には個性が強すぎるという批判があり,各事件を通じての安定性のある判断という要請が満たされないこととなる虞れがある。
   
3 その他からの側面
(賛成論)
① 法曹一元の制度が実現されれば,在野法曹が司法の運営に責任をもつということが制度的に明確になるので,そのことが訴訟指揮等の面にも現われ,円滑な能率的な司法の運営を期待しうるようになる。
② 司法の円滑な運営のためには,在朝在野の法曹の対立感の一掃,裁判所に対する法曹全体の協力体制が必要であるが,そのためには,法曹一元の制度を確立する必要がある。
③ 裁判官自身の努力のみによってその地位を向上させることは容易ではなく,そのためには,法曹全体がこれをもり立てて行かなければならない。
   そのような基盤を作るためにも,法曹一元の制度が有用である。
④ 法曹一元の制度が実現されれば,その制度の下における裁判官の給与は現在とは著しく異なるものとなるであろうから,現行制度の下において難問とされている裁判官の給与の問題が一挙に解決されうる。
(反対論)
① 英米における法曹一元の制度は,それぞれに特有な歴史的及び社会的背景の下に自然にできあがったものであって,一挙に法律で作ったものもでもなければ,また,作りうるものでもない。
② 英米の判例法主義の下に成立した制度は,わが国のような成文法主義の国で直ちにこれに追随することはできない。
③ 法曹中の長老が裁判をすることによる効果をあげるためには,法曹全体,ことに弁護士全体の中に一体感及び国民の信頼感が存在することが必要であるが,わが国の場合には,そのような社会的背景が欠けている。
   また,法曹一元の制度を採用するということは,司法の根幹に関する革命的な改革であるから,一般国民がこれを支持する熱意がないのに実行できるはずがない。

④ 裁判官の給与の問題を解決するために法曹一元の制度を考えるのは,本末を転倒した議論である。


第2 関連記事その他
1 首相官邸HPに「法曹一元制度の長所と短所(臨時司法制度調査階意見書より)」が載っています。

2 最高裁判所とともに(著者は高輪1期の矢口洪一 元最高裁判所長官)56頁には以下の記載があります。
   臨司では司法試験改革や裁判所の適正配置問題など、今日法曹界で論議されている司法制度の問題点があらかた取り上げられた。ただ、結果的に日の目を見たものはごく一部だったところから、「裁判所がいいところだけをつまみ食いした」などとの批判もあったが、毎回ほとんど全委員の出席を得て会議の議論は終始真剣そのものだったと思う。
3 平成15年7月14日開催の下級裁判所裁判官指名諮問委員会(第3回)議事要旨4頁及び5頁には以下の記載があります。
○:弁護士任官した場合のサポート体制はどうなっているのか。
▲:まず,弁護士任官者がスムーズに裁判官としての仕事に入っていけるよう,それぞれの個性に応じ,最初からいきなり単独裁判を担当してもらうのではなく,地裁の保全事件を担当してもらったり,高裁の陪席裁判官をしてもらったり,配置についてできるだけの配慮をしている。現在は特定分野に限っての任官も受け入れているので,例えば,本人が家事事件を希望する場合には,家裁に配置するなどの配慮もしている。
    また,弁護士任官者が2名いる部を作るという試みもしている。さらに,弁護士任官者を集めて司法研修所で一定期間の研修も行っている。
4 以下の記事も参照してください。

・ 弁護士任官者研究会の資料
 法曹一元

・ 平成11年11月までの弁護士任官の状況
・ 我が国の裁判官制度に関する,平成12年4月当時の説明
・ 平成13年2月当時の,弁護士任官に対する最高裁判所の考え方

・ 弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)
・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 修習終了後3年未満の判事補への任官
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員名簿
・ 弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況

2000円の印紙を貼付するだけで上告受理申立てをする方法

目次
1 具体的な方法
2 理論面の説明
3 上告受理申立書の記載例
4 再度の委任状提出は不可欠ではないこと
5 上告理由等を記載する場合の形式的注意点
6 高裁で却下することは難しいこと
7 関連記事その他

1 具体的な方法
(1) 数量的に可分な金銭請求が問題となっている場合,債権者であると債務者であるとを問わず,以下の方法を取れば,2000円の印紙を貼付するだけで上告受理申立てをすることができます。
① 訴訟物の価額を金10万円として,上告受理申立書を提出する。
・ 判決書の送達を受けた日から2週間以内です(民事訴訟法313条・285条本文)。
② 上告受理申立理由書の提出期間内に,上告受理の申立てをしていない部分も含めて,控訴審判決に対する上告受理申立ての理由を記載するとともに,上告受理決定が出た場合における上告受理申立ての範囲の拡張を予告しておく。
・ 上告受理申立通知書の送達(民事訴訟規則199条2項・189条1項)を受けた日から50日以内です(民事訴訟規則199条2項・194条)。
・ 上告受理申立理由書の提出期間経過後に新たな理由を追加して主張することは許されないのであって,上告審は当該主張について審理判断してくれません(最高裁大法廷昭和28年11月11日判決参照)。
・ 上告受理申立理由書の付言として,「本件事件について上告受理決定が出た場合,上告受理申立ての範囲の拡張を申し立てる予定である。」という風に書いておけばいいと思います。
③ 上告受理決定が出た場合,追加の印紙を貼付した上で,上告受理申立ての範囲を拡張する。
・ 上告不受理決定が出た場合,2000円の印紙を貼付しただけで終わることとなります。
(2) 2000円の印紙だけを貼付した上告受理申立ての適法性について高等裁判所から問い合わせがあった場合,「「2000円上告」というキーワードで検索すれば出てくる,山中弁護士のブログを読んでくれ。」といえばいいと思います。
(3) 2000円の印紙だけを貼付した上告受理申立書を提出した場合と,そうでない場合とで,上告受理決定が出る可能性に違いがあるかどうかは不明です。


2 理論面の説明
(1) 上告審は,申立人が不服を申し立てた限度においてのみ原判決の当否を判断することができます(民事訴訟法320条)。
   そのため,上告受理決定が出た場合に上告受理申立ての範囲を拡張していないと,10万円の部分についてしか原判決を破棄してもらえないこととなります。
(2) 上告受理申立てにより,上告受理申立ての対象となった終局判決によって判断された事件の全部が上告審に移審します。
(3)ア 上告受理申立ての範囲の拡張は,理由書提出期間内であれば当然に可能であります(最高裁昭和44年7月10日判決参照)ところ,理由書提出期間を経過していたとしても上告審の口頭弁論を経る場合,口頭弁論終結時までに拡張すれば足ります。
イ 「最高裁判所における民事上告審の手続について」(筆者は50期の武藤貴明裁判官(元最高裁判所調査官))には以下の記載があります(判例タイムズ1399号(2014年6月発行)64頁)。
   拡張が1個の請求の量的な範囲の拡張にとどまる場合には,当初の不服申立ての範囲について適法な理由の主張があれば,拡張部分について不適法となることはない。


3 上告受理申立書の記載例
   2000円の印紙を貼付するだけの上告受理申立書の記載例は以下のとおりです(予納郵券額につき,大阪地裁HPの「民事訴訟等手続に必要な郵便切手一覧表」参照)。

上告受理申立書

令和2年9月12日
最高裁判所 御中

申立人代理人弁護士  山 中 理 司

当事者の表示  別紙当事者目録記載のとおり

損害賠償請求上告受理申立事件

 訴訟物の価額  金 100,000円(控訴審請求額の一部)
 貼用印紙額   金2,000円
 予納郵券額    金6,074円

 上記当事者間の大阪高等裁判所令和2年(ネ)第○○○○号損害賠償請求控訴事件について,令和2年8月○○日に判決の言渡しがあり,同日,判決正本の送達を受けたところ,一部不服であるから上告受理の申立てをする。

原判決の主文の表示
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

上告受理申立ての趣旨
1 本件上告を受理する。
2 原判決を破棄し,さらに相当の裁判を求める。

上告受理申立ての理由
追って上告受理申立理由書を提出する。

添付書類
1 上告受理申立書副本 1通
2 委任状 1通
(山中注:当事者目録は省略)

4 再度の委任状提出は不可欠ではないこと
(1)ア 原審の訴訟代理人が上告受理申立ての特別委任まで受けていた場合,高裁判決後の委任状を添付することなく,上告受理申立てをすることができます(最高裁昭和23年12月24日判決参照)から,当事者より上告提起の特別委任を受けた訴訟代理人がある場合,第二審判決の送達後上告提起の期間内にその当事者が死亡しても訴訟手続は中断しません(最高裁昭和23年12月24日判決)。
イ 当事者より上訴の特別委任を受けた訴訟代理人がいない場合,訴訟委任による訴訟代理人の権限は当該審級に限られます(民事訴訟法55条2項3号)から,判決書の送達があった時点で訴訟手続は中断します(大審院昭和6年8月8日決定(判例秘書に掲載))。
(2) 東弁リブラ2015年5月号の「東京高裁書記官に訊く-民事部・刑事部編-」には,「地裁段階での代理人が高裁で委任状を提出することが必要であるか否かという点については,厳密に言えば不要であるが,代理権を明確にするため,実務では提出を求めている。」と書いてあります(リンク先のPDF4頁)。

5 上告理由等を記載する場合の形式的注意点
(1) 上告理由(民事訴訟法312条1項及び2項)を上告受理申立て理由として主張することはできません(民事訴訟法318条2項)。
イ 上告受理申立理由として,第一審の準備書面又は控訴理由書を援用することはできません(最高裁大法廷昭和28年11月11日判決参照)。
(2) 上告状及び上告理由書提出期間内に上告人から提出された書面のいずれにも民訴法312条1項,2項に規定する事由の記載がないときは,原裁判所は,民訴規則196条1項所定の補正命令を発すべきではなく,民訴法316条1項に基づき,直ちに決定で上告を却下すべきとされています(最高裁平成12年7月14日決定)。
(3) 上告理由書において他の書面を引用し,又は共同上告人の上告理由を援用する形による上告の理由の記載は許されないところ,関連する最高裁判例としては以下のものがあります。
① 最高裁昭和26年6月29日判決及び最高裁昭和32年10月10日決定(他事件についての上告理由書を引用した例)
→ 最高裁昭和26年6月29日判決は裁判所HPに載っていないものの,仮処分決定取消請求事件に関するものとして,判例秘書に掲載されています。
② 最高裁大法廷昭和28年11月11日判決(第一審記録に添付した準備書面を引用した例)
③ 最高裁昭和37年4月27日判決(原審に提出した準備書面を引用した例)
④ 最高裁昭和39年11月17日判決(共同上告人の上告理由中,利益なものを援用すると主張した例)
(4) いわゆる上告理由としての理由不備(民訴法312条1項6号)とは,主文を導き出すための理由の全部又は一部が欠けていることをいうのであって,事実の摘示及び判断を欠くという意味での判断遺脱(例えば, 抗弁を認めながらこれに対する再抗弁の摘示がなかった場合)は上告受理申立て理由となるにすぎません(最高裁平成11年6月29日判決)。

6 高裁で却下することは難しいこと
(1)ア 上告受理申立て理由が形式的にでも主張されていれば,原裁判所が,それが実質的には法令の解釈に関する重要事項を含まないとして上告受理申立てを却下することは,たとえそれが明白であっても許されません(最高裁平成11年3月9日決定参照)。
イ 最高裁平成11年3月9日決定の解説記事である判例タイムズ1000号256頁及び257頁には以下の記載があります。
 立法経緯及び許可抗告制度との対比からすれば、「法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件」という要件の具備についての判断は、上告裁判所である最高裁判所に専属するものと解されるのであり、原裁判所である高等裁判所においてこれを判断することは、たとえ具備しないことが「明らかであるとき」に限定するとしても、上告受理制度の趣旨に反し、許されないものというべきであろう。
(2) 上告審から見た書記官事務の留意事項(令和2年分)8頁には以下の記載があります。
 上告受理申立書又は上告受理申立て理由書に記載された上告受理申立ての理由が民訴規則199条1項,191条2項,3項の方式に違反する場合には,同規則199条2項において補正命令を発出すべき条文(同規則196条1項)が準用されているが,形式的にでも法令違反である旨が記載されていればこの記載が民訴法318条1項の事件に該当するか否かを判断するのは最高裁のみになるから,実際には高裁において補正命令を発した上で却下することは困難である(例えば,「民法違反」とのみ記載があり,条項等の記載がないときは補正命令の対象とすることも考えられるが,通常は不服の内容から理解可能であり,補正されなかったとしても却下することは難しいことが多いと思われる。)。上告受理申立て理由書の点検に当たっては,書記官としても記載内容に目を通し,形式的にでも法令違反等の記載がある場合には,事件を送付すべき旨を裁判官に進言する。

7 関連記事その他
(1)ア 上告人が訴訟の完結を遅延させることのみを目的として上告を提起したと認められる場合,上告権の濫用として,上告棄却の「判決」の主文において制裁金の納付を命じられることがあります(民事訴訟法313条・303条1項及び2項。なお,旧民訴法時代の実例として最高裁昭和41年11月18日判決)。
 しかし,このような場合,実務上は直ちに上告棄却・不受理決定が送られてくるだけだと思います。
イ 庶民の弁護士 伊藤良徳HP「まだ最高裁がある?(民事裁判編)」には以下の記載があります。
 民事事件(行政事件を除く)の最高裁への上告と上告受理申立てについての、2013年以降の10年間の各年度の既済件数(判決、決定等により終了した件数)、原判決破棄件数、既済件数中の破棄率を見ると次の通りになっています(最高裁での民事事件としては1審が簡裁の事件の高裁の判決に対する特別上告が年間数十件ありますが、これは除いています)。原判決破棄の割合は、ばらつきはありますが、ならして約1%です(最近の10年を見ると、それ以前よりさらに減少傾向にあるように見えます)。言い換えれば、上告棄却(または却下)・不受理が97%程度を占めています(取り下げその他が2%前後)。
(2) 最高裁平成14年11月22日決定は,上告受理の申立てについての不受理決定に2人の反対意見が付された事例です。
(3)ア 以下の資料を掲載しています。
① 平成24年12月21日付の上告受理申立理由書
・ 平成17年度日弁連副会長の必要経費に関する,東京高裁平成24年9月19日判決に対するものであり,最高裁平成26年1月17日決定により上告不受理となったものの,上告受理申立理由書の書き方自体は非常に参考になりますし,「結語」部分(PDF31頁)については法令の条文を置き換えることで,そのまま使い回しができると思います。
・ 国税庁HPの「最高裁不受理事件の意義とその影響」において,「弁護士会費懇親会事件」として紹介されています。
② 事件記録の保管及び送付に関する事務の取扱いについて(平成7年3月24日付の最高裁判所総務局長通達)
③ 事件記録の保管及び送付に関する事務の取扱いについて(平成25年7月26日付の最高裁判所大法廷首席書記官の指示)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 上告審に関するメモ書き
・ 最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携
・ 最高裁の破棄判決一覧表(平成25年4月以降の分),及び最高裁民事破棄判決等の実情
・ 最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(平成25年分以降),及び許可抗告事件の実情
・ 最高裁の既済事件一覧表(民事)
・ 上告不受理決定等と一緒に送られてくる予納郵券に関する受領書
・ 最高裁判所調査官
・ 上告審から見た書記官事務の留意事項
・ 最高裁判所における民事事件の口頭弁論期日
・ 最高裁判所の事件記録符号規程
・ 最高裁判所事件月表(令和元年5月以降)

上告受理申立て理由書の提出について(令和2年9月当時の,大阪高等裁判所の説明文書)

裁判所関係国賠事件

目次
第1 総論
第2 裁判所関係国賠事件の報告について定めた文書
1 事務総局の局長の通達
2 事務総局の局の課長の事務連絡
第3 裁判所関係国賠事件に関する法務省の依頼文
第4 裁判所関係国賠事件に関する裁判例
1 成年後見人に関するもの
2 破産管財人に関するもの
第5 国家賠償請求事件における国の勝訴状況
第6 最高裁判所への報告事務に関する通達(裁判所関係国賠事件以外に関するもの)
第7 予防司法支援制度
第8 公務員の法解釈の誤りが直ちに過失につながるわけではないこと
第9 外部資料の記載
1 弁護士の記載
2 元裁判官の記載
第10 国家賠償法1条2項に基づく求償権行使事例
第11 明治憲法下では,権力作用に基づく国の行為については民法上の不法行為責任は発生しなかったこと
第12 裁判所に対する不当要求等
第13 規制権限の不行使と国家賠償責任
第14 交通死亡事故における病院の過失認定事例
第15 関連記事その他

第1 総論
1 最高裁昭和57年3月12日判決
(1) 最高裁昭和57年3月12日判決は,以下のとおり判示しています(先例として,最高裁昭和43年3月15日判決を引用しています。)。
    裁判官がした争訟の裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によつて是正されるべき瑕疵が存在したとしても、これによつて当然に国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があつたものとして国の損害賠償責任の問題が生ずるわけのものではなく、右責任が肯定されるためには、当該裁判官が違法又は不当な目的をもつて裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である。
(2) 昭和57年度最高裁判所調査官解説(民事篇)216頁には以下の記載があります。
    どのような場合に右の特別の事情があるということができるかは、今後の事例の集積を待つほかはないが、一般論としていえば、当該手続の性格及び当事者の参画の程度、当該裁判の性質、不服申立制度の有無等に鑑みて、当該裁判所又は裁判官に違法な裁判の是正を専ら上訴又は再審によるべきものとすることが不相当と解されるほどに著しい客観的な行為規範への違反がある場合ということができる。具体的には、法律上関与してはならないとされている事件について裁判したとき、裁判官による誠実な判断とは認められないような不合理な裁判をしたときなどを挙げることができよう。いずれにしても、単なる事実認定の経験則違背や法令の解釈適用の誤りの違法は、もっぱら上訴等によって是正されるべきであって、これを国家賠償法上も違法として損害賠償請求することはできないものというべきである。
2 実務上の問題
・ 実務上,裁判所関係国賠事件において担当裁判官の証人尋問が実施されない限り,「違法又は不当な目的を持って裁判をしたなど,裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情」を原告が立証することはほぼ不可能と思います。
    ただし,裁判所関係国賠事件において30万円の国家賠償を認めた裁判例として,名古屋高裁平成15年12月24日判決(裁判官が弁護人に対し,刑訴法207条・81条及び刑訴規則30条に違反して文書の授受を禁止した事例)があります。


第2 裁判所関係国賠事件の報告について定めた文書
1 事務総局の局長の事務連絡
   裁判所職員の行為について国家賠償請求訴訟を提起した場合の報告を定めた局長の通達を以下のとおり掲載しています。
 裁判所職員の事件処理上の違法行為を理由とする国家賠償請求事件及び告知事件の報告について(平成16年7月1日付の最高裁判所民事局長,刑事局長,行政局長及び家庭局長通達)
→ ①の通達は平成29年9月30日まで適用されていたものです。
② 裁判所職員の事件処理上の違法行為を理由とする国家賠償請求事件及び告知事件の報告等について(平成29年7月3日付の最高裁判所民事局長,刑事局長等の通達)
→ ②の通達は平成29年10月1日以降に適用されているものです。
2 事務総局の局の課長の事務連絡
   裁判所職員の行為について国家賠償請求訴訟を提起した場合の報告を定めた課長の事務連絡を以下のとおり掲載しています。
 国家賠償法1条1項又は同法2条1項に基づく損害賠償請求事件(国を被告とし,かつ,原告に訴訟代理人が選任されている事件を除く。)の報告(平成27年3月26日付の最高裁判所行政局第一課長の書簡)
 行政事件等の報告に関する最高裁行政局第一課長の書簡(平成26年3月25日付)を変更しています。
④ 「裁判所職員の事件処理上の違法行為を理由とする国家賠償請求事件及び告知事件の報告等について」の発出について(平成29年7月3日付の最高裁民事局第一課長等の事務連絡)
→ ②平成29年7月3日付の局長通達の補足説明です。
⑤ 行政・国賠・労働・知財事件に関する報告について(令和2年3月13日付の最高裁行政局第一課長の事務連絡)
→ 令和2年4月1日以降の取扱いについて定めた文書です。
3 最高裁判所が,下級裁判所に対して事件報告を求めることは,下級裁判所裁判官に対して何ら審理上の圧力を加えるものではないとされています(最高裁昭和36年9月26日決定参照)。


第3 裁判所関係国賠事件に関する法務省の依頼文
1 裁判所職員の事件処理上の違法行為を理由とする国家賠償請求事件の処理について(平成7年11月20日付の最高裁判所民事局第一課長,刑事局第一課長等の事務連絡)につき,引用元となった法務省訟務局総務課長の依頼文は以下のとおりです(1,2を①,②に変えています。)。
    平素,標記の国家賠償請求事件(以下「裁判所関係国賠事件」という。)の処理につきまして,特段の御配慮をいただき,誠にありがとうございます。
    ところで,昨今の裁判所関係国賠事件は,裁判官の訴訟指揮の違法や執行官の職務執行の違法を主張して訴えを提起するものが増える傾向にある等,従来に増して事実関係の正確な把握に努める必要が生じております。他方,受訴裁判所の答弁書提出期限は,国に送達後ほぼ1か月程度となっているところ,上記期限と調査回報書の当局への到着時期とが極めて接近しているため,第1回期日前の訴訟準備が極めて不十分なまま期日に臨まざるを得ない等の実情にあります。
  つきましては,裁判所関係国賠事件の一層の適正・迅速処理を図るために,その処理に当たりましては,下記の点につき御配慮いただきたくお願いいたします。

 所管裁判所(違法行為を行ったとされている職員が当時所属していた裁判所)の担当者は,法務省からの調査回報依頼通知を受け取ったときは,速やかに担当の法務局又は地方法務局に連絡し,訴訟準備の打合せの要否等について協議する。
    なお,法務局側の連絡窓口は,法務局の場合は訟務管理官,地方法務局の場合は(総括)上席訟務官である。
② 所管裁判所の担当者は,原記録の閲覧謄写等訴訟の準備に必要な資料の利用について,可能な限り協力する。
2 平成29年度(最情)答申第62号(平成30年2月23日答申)には以下の記載があります。
     国家賠償請求事件についての調査結果文書には,請求原因事実の認否及び反論を記載し,その根拠事実を証する資料の写しを添付するから,本件対象文書の添付資料は,実質上当事者の立場にある裁判所が以後の訴訟手続において想定される主張の根拠事実を証する資料と評価した文書といえ,その標題を開示するだけでも,主張の方向性や立証事項の多寡を含む国の総合的な訴訟対応方針を推認することができる。


第4 裁判所関係国賠事件に関する裁判例
1 成年後見人に関するもの
    東京高裁平成29年4月27日判決(判例秘書に掲載)は,以下のとおり判示しています。
    家庭裁判所は,成年後見人の後見事務の監督に関して,いつでも,成年後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め,または後見の事務若しくは被後見人の財産の調査をするとともに,被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命じることができるなどの広範な権限を有しているところ,成年後見人の後見事務の監督についても,独立した判断権を有し,かつ,独立した判断を行う職責を有する裁判官の職務行為として行われるものであることに鑑みれば,裁判官による成年後見人の後見事務の監督につき職務上の義務違反があるとして国家賠償法上の損害賠償責任が肯認されるためには,裁判官が違法若しくは不当な目的をもって権限を行使し,または裁判官の権限の行使の方法が甚だしく不当であるなど,裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使し,または行使しなかったものと認め得るような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である。
2 破産管財人に関するもの
(1) 大阪地裁平成29年4月21日(判例秘書に掲載)(担当裁判官は46期の金地香枝,新61期の林田敏幸及び67期の水野健太)は以下の判示をしています(大阪高裁平成29年10月26日(判例秘書に掲載)によって支持されています。)。
     国賠法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を与えたときに,国又は公共団体がこれを賠償する責めに任ずることを規定するものと解するのが相当である(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁参照)。そして,裁判官がした争訟の裁判につき国賠法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が肯定されるためには,上記裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在するだけでは足りず,当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど,裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である(最高裁昭和57年3月12日第二小法廷判決・民集36巻3号329頁参照)。そして,上記特別の事情とは,当該裁判の性質,当該手続の性格,不服申立制度の有無等に鑑みて,当該裁判官に違法な裁判の是正を専ら上訴又は再審によるべきものとすることが不相当と解されるほどに著しい客観的な行為規範への違反がある場合をいうものと解すべきであり,この理は,争訟の裁判に限らず,破産手続における裁判及び破産手続における破産管財人に対する監督権限の行使等の,手続の進行や同手続における裁判所の判断に密接に関連する裁判以外の行為にも妥当すると解するのが相当である。
(2) 大阪地裁平成29年4月21日判決(判例秘書に掲載)が取り扱った「事案の概要」は,控訴審判決としての大阪高裁平成29年10月26日判決(判例秘書に掲載。担当裁判官は32期の田川直之裁判官,45期の安達玄裁判官及び47期の高橋伸幸裁判官)によれば以下のとおりですが,大阪高裁平成29年10月26日判決記載の「当裁判所の判断」は「事案の概要」よりも短いですし,国賠請求部分((3)の部分)に関しては,「その他,控訴人の当審における主張・立証を勘案しても,上記認定・判断を左右するに足りない。」という記載しかありません。
   本件は,控訴人が,被控訴人Y1に対し,
  (1)被控訴人Y1は,控訴人から100万円を借り入れるに際し,これを返還する意思がなかったにもかかわらず,これを秘して,控訴人から100万円を借り入れたのであるから,被控訴人Y1の行為は詐欺に該当するとして,不法行為に基づく損害賠償として,上記借入金相当額100万円,弁護士費用相当額10万円の合計110万円及びこれに対する平成24年7月17日(不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(以下「請求①」という。),
  (2)被控訴人Y1は,控訴人に刑事上の処分を受けさせる目的で,実際には控訴人が暴力団とは全く関係がなく,被控訴人Y1から金銭を脅し取ろうとしたこともなかったにもかかわらず,捜査機関に対し,控訴人が暴力団の関係者であり,被控訴人Y1に法外な金銭支払の要求を内容とする契約書を書かせて金員を脅し取ろうとしたなどと述べて,虚偽の告訴をしたことにより,控訴人は,逮捕・勾留されて接見禁止付きで身柄を拘束され,これによって精神的苦痛を被ったとして,不法行為に基づく損害賠償として,慰謝料100万円,弁護士費用相当額10万円の合計110万円及びこれに対する平成24年9月7日(上記勾留の満了日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(以下「請求②」という。),
  (3)被控訴人Y1の訴訟代理人であるT弁護士(以下「T弁護士」という。)は,被控訴人Y1の破産事件において破産管財人に就任していたのであるから,本件において被控訴人Y1の訴訟代理人を務めることは,弁護士職務基本規程27条5号の類推適用により違法であり,被控訴人Y1がT弁護士に本件訴訟における訴訟行為を行うことを委任し,T弁護士がこれを受任したことは,控訴人に対する共同不法行為に該当し,これによって精神的苦痛を被ったとして,不法行為に基づく損害賠償として,慰謝料20万円,弁護士費用相当額2万円の合計22万円及びこれに対する平成28年7月22日(本件訴訟の原審における第1回口頭弁論期日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(以下「請求③」という。)とともに,
   控訴人が,被控訴人国に対し,①被控訴人Y1が控訴人から暴行を受けたとされる刑事事件の控訴審において,大阪高等裁判所の裁判官は,控訴人の弁護人が,被控訴人Y1による虚偽告訴を立証するために行った証拠調べの請求を全て却下したにもかかわらず,虚偽告訴がされたことをうかがわせる証拠はないと判断して,控訴人の控訴を棄却する旨の判決をしたこと(以下「第1行為」という。),②被控訴人Y1が申し立てた破産事件において,神戸地方裁判所の裁判官は,控訴人が被控訴人Y1の破産債権者であることを職務上熟知していたにもかかわらず,被控訴人Y1の破産手続開始の決定をするに際し,故意に控訴人を破産債権者として取り扱わず,また,被控訴人Y1が代表取締役を務め,被控訴人Y1に先行して破産手続開始の決定を受けていたA株式会社(以下「A」という。)の債権者集会期日とは異なる日を,被控訴人Y1の第1回債権者集会期日に指定したこと(以下「第2行為」という。),③被控訴人Y1の破産申立てに際して提出された報告書には,Aが破産するに至った経緯についての記載がなかったところ,被控訴人Y1の破産管財人作成に係る業務要点報告書には,破産手続開始に至った経緯について「申立書記載のとおり」としか記載されていなかったにもかかわらず,神戸地方裁判所の裁判官は,破産管財人に対し,上記報告書の是正を命じなかったこと(以下「第3行為」という。),④控訴人は,被控訴人Y1の破産手続において,免責不許可事由がある旨主張していたにもかかわらず,破産管財人は,免責に関する意見書において具体的な理由を記載しないまま免責不許可事由はないとのみ記載した上,免責不許可事由に関する調査結果を裁判所に提出していなかったところ,神戸地方裁判所の裁判官は,破産管財人による上記調査の懈怠について何らの是正を命じなかったこと(以下「第4行為」という。),⑤大阪高等裁判所の裁判官は,控訴人の申立てに係る被控訴人Y1及びAの破産管財人の各報酬決定に対する抗告事件において,被控訴人Y1の破産管財人による具体的な理由の記載が一切ない「免責に関する意見書」のみに基づいて,破産管財人が必要な調査をしていることが明らかであると判示し,また,Aの破産管財人が税務申告を行った形跡がないにもかかわらず,破産管財人には税務申告を怠るなどの事情は認められない旨判示し,さらに,控訴人の申立てに係る記録の謄写申請に対し,同裁判所の裁判所書記官がした拒絶処分に対する異議事件(2件)において,謄写申請対象部分の特定がされていないとの理由で,上記各異議申立てをいずれも却下したこと(以下「第5行為」という。),⑥神戸地方裁判所の裁判官は,控訴人が破産債権者として述べた被控訴人Y1の免責についての意見を完全に無視して,免責不許可事由に該当する事実は認められないとして,免責許可決定をしたこと(以下「第6行為」という。),⑦大阪高等裁判所の裁判官は,控訴人が申し立てた被控訴人Y1についての免責許可決定に対する抗告事件において,被控訴人Y1に免責不許可事由が存在することは明らかであったにもかかわらず,控訴人が述べた被控訴人Y1の免責に係る意見を完全に無視した破産管財人や,神戸地方裁判所の裁判官の違法な職務執行を全く是正せず,著しく経験則に反する事実認定をして,控訴人の抗告申立てを棄却する旨の決定をしたこと(以下「第7行為」という。)が,いずれも違法な行為であって,控訴人に精神的苦痛を与えたとして,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づく損害賠償として,慰謝料100万円,弁護士費用相当額10万円の合計110万円及びこれに対する平成28年1月20日(被控訴人Y1の免責不許可決定が確定した日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。


第5 国家賠償請求事件における国の勝訴状況
1 首相官邸HPの「国家賠償訴訟の実情」によれば,平成7年から平成11年までの間の国家賠償訴訟の結果につき,国側が全部勝訴した事件の割合は約90%とのことです。
2 平成20年10月10日付の内閣答弁書には以下の記載があります。
   過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法第一条第一項に基づき提訴され、国の敗訴(一部敗訴を含む。)が確定した訴訟の全件数及びその賠償額の合計等については、調査に膨大な作業を要するため、お答えすることは困難であるが、法務省において、平成十九年一月から平成二十年六月までの間について取り急ぎ調べたところ、現時点で確認できる範囲では、平成十九年に確定した右件数は十八件、認容された賠償額の元本の合計額は一億三千六百六万七千五百十八円であり、平成二十年一月から六月までの間に確定した右件数は十一件、認容された賠償額の元本の合計額は千五百六十一万五千九百三十三円であった。

第6 最高裁判所への報告事務に関する通達(裁判所関係国家賠償事件以外に関するもの)
① 裁判事務に関連して,最高裁判所へ報告を要する事項及び外部機関へ通知等を要する事項のうち,規則,通達等に根拠があるものを記載した一覧表(平成31年4月時点)
② 行政事件等の報告に関する最高裁行政局第一課長書簡(平成27年3月26日付)
・ 例えば,(a)国を被告とし,かつ,原告に訴訟代理人が選任されている国家賠償請求事件は受理報告の対象となるものの,終局報告の対象とはならないのに対し,(b)国を被告とし,かつ,原告に訴訟代理人が選任されている行政事件は受理報告及び終局報告の対象となります。
③ 行政・国賠・労働・知財事件に関する報告について(令和2年3月13日付の最高裁行政局第一課長の事務連絡)(開示請求中)
・ ②の書簡に基づく取扱いを変更したものです。
④ 最高裁判所への報告及び外部機関への通知等に関する事務フローの確認について(平成27年12月22日付の最高裁判所総務局第三課長の事務連絡)
⑤ 民事訴訟事件及び行政訴訟事件の鑑定等の報告について(平成20年3月28日付の最高裁判所民事局長及び行政局長の通達)
⑥ 平成26年10月22日付の最高裁判所民事局第一課長等の事務連絡(原発損害賠償訴訟の報告依頼)
⑦ 非公表情報の裁判所外への提供及び電子メールの利用に係る特例について(平成27年7月31日付の最高裁判所情報政策課長通達)


第7 予防司法支援制度
(1) 内閣官房HPに「国の利害に関係のある争訟等への対応に関する関係府省庁連絡会議」の議事次第及び配布資料が載っています。
   主として予防司法支援制度に関する説明が載っています。
(2) 行政機関のための予防司法支援制度利用の手引(平成29年3月付)を掲載しています。

第8 公務員の法解釈の誤りが直ちに過失につながるわけではないこと
・ 最高裁平成16年1月15日判決は,以下のとおり判示しています。
   ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し,実務上の取扱いも分かれていて,そのいずれについても相当の根拠が認められる場合に,公務員がその一方の見解を正当と解しこれに立脚して公務を遂行したときは,後にその執行が違法と判断されたからといって,直ちに上記公務員に過失があったものとすることは相当ではない(最高裁昭和42年(オ)第692号同46年6月24日第一小法廷判決・民集25巻4号574頁最高裁昭和63年(行ツ)第41号平成3年7月9日第三小法廷判決・民集45巻6号1049頁等参照)。


第9 外部資料の記載
1 弁護士の記載
・ 弁護士法人金岡法律事務所HPの弁護士コラム「裁判所相手の国賠、全滅」(2019年12月24日付)には以下の記載があります。
   刑事施設相手の国賠なら(金額の多寡はあれど)相当割合で違法過失が認定される自身の実績を思うと、被害者から見て同じ類の職務妨害に対し裁判所には全滅の憂き目に遭うことは、やはり、加害者の守られ方が半端ではないことに原因があると考えざるを得ない。
   判例法理とされる「当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情」を要求されては、かなりおかしな裁判官でも「そういう目的ではない」と言い抜けられる上に、事実がどうあれ立証は至難を極める。
   事実、どの事件であっても被告は基本、当該職務行為が何らかの法規範に反しているかという観点では殆ど応戦せず、「当該裁判官の違法又は不当な目的」を否定することに終始し、法規範違反について主張を戦わせようにも、裁判所も又、そこに逃げ込む。
   ついでに、多くの国賠事件が合議になるのに対し、裁判官相手の国賠は単独事件のままそそくさと進められ、上記「目的」立証のために張本人の裁判官の人証申請をしても却下される。
2 元裁判官の記載
・ 31期の瀬木比呂志裁判官が著した絶望の裁判所には以下の記載があります。
(90頁の記載)
   裁判長たちについても、前記のとおり、事務総局が望ましいと考える方向と異なった判決や論文を書いた者など事務総局の気に入らない者については、所長になる時期を何年も遅らせ、後輩の後に赴任させることによって屈辱を噛み締めさせ、あるいは所長にすらしないといった形で、いたぶり、かつ、見せしめにすることが可能である。さらに、地家裁の所長たちについてさえ、当局の気に入らない者については、本来なら次には東京高裁の裁判長になるのが当然である人を何年も地方の高裁の裁判長にとどめおくといった形でやはりいたぶり人事ができる。これは、本人にとってはかなりのダメージになる。プライドも傷付くし、単身赴任も長くなるからである。
(91頁の記載)
   事務総局は、裁判官が犯した、事務総局からみての「間違い」であるような裁判、研究、公私にわたる行動については詳細に記録していて、決して忘れない。たとえば、その「間違い」から長い時間が経った後に、地方の所長になっている裁判官に対して、「あなたはもう絶対に関東には戻しません。定年まで地方を回っていなさい。でも、公証人にならしてあげますよ」と引導を渡すなどといった形で、いつか必ず報復する。このように、事務総局は、気に入らない者については、かなりヒエラルキーの階段を上ってからでも、簡単に切り捨てることができる。なお、右の例は、単なるたとえではなく、実際にあった一つのケースである。窮鼠が猫を噛まないように、後のポストがちゃんと用意されているところに注目していただきたい。実に用意周到なのである。
(3) 現代ビジネスHPの「転勤を断ると出世できない…裁判官の世界はまるでサラリーマンのよう」には以下の記載があります。
   いわば、通り一遍の「評価書」を基本資料として、高裁長官案が作成され、最高裁事務総局人事局の任用課長が調整し、最高裁事務総長が承認する。それがそのまま最高裁長官案となり、裁判官の全国異動が始まるわけである。
   ただ、事務総長がチェックする最終段階で、人事案から外される裁判官もいる。
   「ある事務総長が、この裁判官は、事務総局には入れない。地方の裁判所に出せといって、高裁長官案を変更させたことがあります。
   かつて、その裁判官が、事務総局のトップに意見を言って、反感を買ったことがあった。その際、事務総局のトップは、俺の目の黒いうちは、こいつにはいい目をさせない、と言ったといいます。実に、その言葉通り、人事で冷遇したというわけです」(元裁判官)

第10 国家賠償法1条2項に基づく求償権行使事例
・ 参議院議員近藤正道君提出国家賠償法第一条第二項に基づく求償権行使事例に関する質問に対する答弁書(平成20年10月10日付)には以下の記載があります。
① 過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第一条第一項に基づき損害賠償請求訴訟が提起され、国に訴状が送達された訴訟の全件数については、調査に膨大な作業を要するため、お答えすることは困難であるが、法務省において、平成十九年一月から平成二十年六月までの間について取り急ぎ調べたところ、現時点で確認できる範囲では、平成十九年は七百五十件、平成二十年一月から六月までの間は六百件である。
② 過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法第一条第一項に基づき提訴され、国の敗訴(一部敗訴を含む。)が確定した訴訟の全件数及びその賠償額の合計等については、調査に膨大な作業を要するため、お答えすることは困難であるが、法務省において、平成十九年一月から平成二十年六月までの間について取り急ぎ調べたところ、現時点で確認できる範囲では、平成十九年に確定した右件数は十八件、認容された賠償額の元本の合計額は一億三千六百六万七千五百十八円であり、平成二十年一月から六月までの間に確定した右件数は十一件、認容された賠償額の元本の合計額は千五百六十一万五千九百三十三円であった。


第11 明治憲法下では,権力作用に基づく国の行為については民法上の不法行為責任は発生しなかったこと
1 大審院昭和16年2月27日判決は,官公吏が国又は公共団体の機関として職務を執行するに当たり不法に私人の権利を侵害して当該私人に損害を加えた場合であっても,その職務行為が統治権に基づく権力行動に属するものであるときは,国又は公共団体は民法の不法行為上の責任を負わないと判示しましたし,大審院昭和18年9月30日判決は,大審院昭和16年2月27日判決を当院の判例として引用しました(那覇地裁平成30年1月23日判決(判例秘書に掲載)参照)。
2(1) 明治憲法下では,警察官である公務員の重大な過失による家屋の破壊行為であったとしても,そのために同行為が,私人と同様の関係に立つ経済的活動としての性質を帯びるものでなく,公権力の行使に関しては,日本国憲法施行後においても当然に民法の適用はなく,民法上の不法行為責任は発生しません(最高裁昭和25年4月11日判決)。
(2) 旧日本軍の戦闘行為等に関する事案についても民法上の不法行為責任は発生しません(福岡高裁那覇支部平成31年3月7日判決(判例秘書に掲載))。
3 戦前の旧憲法の下では,「民事訴訟法第十四条ニ依リ国ヲ代表スルニ付テノ規定」(明治24年勅令第3号)及び「行政裁判法」(明治23年法律第48号)等の定めるところにより, 各省庁が,それぞれ別個独立にその所管・監督する事務に関する民事訴訟及び行政訴訟を行っていました(法務省HPの「訟務制度の沿革」参照)。

第12 裁判所に対する不当要求等
・ 全司法新聞2319号(2019年10月発行)には「不当要求、居座り、脅迫、ネットでの誹謗中傷…裁判所でも」として以下の記載があります。
    裁判所においても、当事者の不当要求や居座り、長時間の電話拘束に苦労しているケースが多く見られます。
    大声で怒鳴りつけられた、「バカ」など罵倒する言葉を投げかけられた、開き直って「警察を呼べ」と叫ばれた、意に沿わないと感じるや急に床に伏せて詐病を演じ、救急車の派遣を強要されたといった事例も報告されています。その影響は、罵声を気にして外部(当事者)に電話がかけられない、受付手続案内に支障があるといった執務遂行に及んだり、自分に対してのものであればもちろん、同僚への暴言であってもストレスが大きく、仕事に集中できない、イライラする、仕事が嫌になるなど精神的な負担も大きくなっています。
    また、対応の間に当事者の言動がエスカレートし、誹謗中傷や暴言に及んだり、脅迫まがいの行為を受けることもあります。実際、勤務時間中に「今、裁判所に来ている。今から外に出てこい」と電話があったり、インターネット動画サイトで庁名や実名を晒して誹謗中傷されたというケースもあります。その動画においては、家族に危害を加えるような発言もありました。

第13 規制権限の不行使と国家賠償責任
・ 最高裁令和4年6月17日判決(裁判長は32期の菅野博之は,国が津波による原子力発電所の事故を防ぐために電気事業法40条に基づく規制権限を行使しなかったことを理由として国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとはいえないとされた事例でありますところ,一般論として以下の判示をしています。
    国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において、国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である(最高裁平成13年(受)第1760号同16年4月27日第三小法廷判決・民集58巻4号1032頁最高裁平成30年(受)第1447号、第1448号、第1449号、第1451号、第1452号令和3年5月17日第一小法廷判決・民集75巻5号1359頁等参照)。そして、国又は公共団体が、上記公務員が規制権限を行使しなかったことを理由として同項に基づく損害賠償責任を負うというためには、上記公務員が規制権限を行使していれば上記の者が被害を受けることはなかったであろうという関係が認められなければならない。


第14 交通死亡事故における病院の過失認定事例
1 最高裁平成13年3月13日判決は,昭和63年9月12日午後3時40分頃に発生した交通事故(被害者E(事故当時6歳)は被上告人病院で診察を受けて午後5時30分頃に自宅に帰宅し,硬膜外血腫により翌日午前0時45分に死亡したもの。)に関して,下記の対応を取った被上告人病院には交通死亡事故の9割の過失があると判断し,元金だけで約3800万円の支払を命じました(改行を追加しています。)。

     Eは,本件交通事故後直ちに,救急車で被上告人が経営するB1病院(以下「被上告人病院」という。)に搬送された。
     被上告人の代表者で被上告人病院院長であるB2医師(以下「B2医師」という。)は,Eを診察し,左頭部に軽い皮下挫傷による点状出血を,顔面表皮に軽度の挫傷を認めたが,Eの意識が清明で外観上は異常が認められず,Eが事故態様についてタクシーと軽く衝突したとの説明をし,前記負傷部分の痛みを訴えたのみであったことから,Eの歩行中の軽微な事故であると考えた。
     そして,B2医師は,Eの頭部正面及び左側面から撮影したレントゲン写真を検討し,頭がい骨骨折を発見しなかったことから,さらにEについて頭部のCT検査をしたり,病院内で相当時間経過観察をするまでの必要はないと判断し,前記負傷部分を消毒し,抗生物質を服用させる治療をした上,E及び上告人Aに対し,「明日は学校へ行ってもよいが,体育は止めるように。明日も診察を受けに来るように。」「何か変わったことがあれば来るように。」との一般的指示をしたのみで,Eを帰宅させた。
2 慶應義塾大学医学部外科脳神経外科学教室HP「急性硬膜外血腫」には以下の記載があります。
① 急性硬膜外血種とは、高所、階段からの転倒や、交通外傷などによって、強く頭部を打撲することで、脳を覆う硬膜という膜と頭蓋骨との隙間に血液が貯留した状態を指します。重症度は出血部位と出血速度に相関し、最重症のものは一刻を争う状態で、緊急手術の適応にもなります。
② 原則的には頭部CTで診断します。ただし、小児(15歳以下を目安)であれば、CTに伴う放射線被爆を鑑みて、自覚症状に乏しければCTを撮影せずに慎重に経過を見ることが多くあります。急性硬膜外出血の診断となった場合、出血量、出血増大速度を確認するため、1日に複数回頭部CTを行うこともあります。原則的に入院となります。


第15 関連記事その他
1 裁判所に対する国賠請求及び弁護士に対する懲戒請求その他裁判所又は弁護士を相手方とする事件(ゴーストライターを含む。)については,従前の事件処理を通じて特に高度の信頼関係を構築できている方に限り極めて例外的な場合に受任することがある程度であって,初回相談では一切取り扱っていません「弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)」参照)。
2 弁護士森脇淳一HP「弁護士生活3年経過の現状報告」(2011年12月5日付)には以下の記載があります。
    「訴訟狂」となった(確かに、精神を病んでいると思われる方も多かった)のも、丁寧にその方が提出する記録(多くは過去の訴訟記録や裁判書)を検討すると、その方が敗訴した過去の裁判が間違っていて、本来その方が守られるべき権利が守られなかったため、どうしてもその権利を取り戻したくて(中には、そのような間違った裁判所に対する復讐心もあって)、何度負けても繰り返し裁判(その多くは再審。その壁は厚く、過去の裁判が見直されることはほとんどない)を起こされているのであった(そのような誤った裁判の結果、精神を病まれた方についての当該裁判官の責任は重いといえよう)。
3 衆議院議員階猛君提出国家賠償法に基づく求償権行使の事例に関する質問に対する答弁書(令和4年6月3日付)には以下の記載があります。
     過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第一条第一項に基づき損害賠償請求訴訟が提起され、国に訴状が送達された訴訟の全件数については、調査に膨大な作業を要するため、お答えすることは困難であるが、法務省において、令和三年一月から令和四年四月までの間について取り急ぎ調べたところ、現時点で確認できる範囲では、令和三年は二千百六十件、令和四年一月から四月までの間は六百件である。
4 国家賠償法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに,国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定するものです(最高裁大法廷平成17年9月14日判決)。
5(1)  宮古島市水道事業給水条例16条3項は,水道事業者である市が水道法15条2項ただし書により給水義務を負わない場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を負うものではないことを確認した規定にすぎず,市が給水義務を負う場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではありません(最高裁令和4年7月19日判決)。
(2) 最高裁令和4年9月8日判決は,固定資産課税台帳に登録された土地の価格についての審査の申出を棄却する旨の審査の決定をした固定資産評価審査委員会の委員に職務上の注意義務違反が認められないとした原審の判断に違法があるとされた事例です。
6 東京法務局の場合,訴訟終了後10年間は訴訟記録を保管しているみたいです(東京法務局訟務部 標準文書保存期間基準(リンク先の36頁)参照)。
7 公務員職権濫用罪等に関する付審判の決定(刑訴法266条2号)に対する特別抗告の申立ては不適法です(最高裁昭和52年8月25日決定)。
8  公立図書館の職員である公務員が,閲覧に供されている図書の廃棄について,著作者又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをすることは,当該図書の著作者の人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となります(最高裁平成17年7月14日判決)。
9(1) 以下の資料も参照して下さい。
・ 法務省訟務局事務分掌規程(平成27年4月10日時点)
・ 法務局及び地方法務局訟務処理規則(平成6年12月5日付の法務省訟務局長通達)
・ 争訟事務に関する起案文例集〔訟務局用〕(第9版)の一部改正について(平成29年2月28日付の,法務省訟務局訟務企画課訟務調査室長の文書)
・ 争訟事務に関する起案文例集〔法務局・地方法務局用〕(第9版)の一部改正等について(平成29年2月28日付の,法務省訟務局訟務企画課訟務調査室長の事務連絡)
・ 最高裁判所を被告とする訴訟における,最高裁判所の答弁書(令和元年12月3日付)
・ 最高裁判所行政局において,行政訴訟事件の終局報告の内容を分析した文書(令和3年9月の開示文書)
・ 更正決定等に伴い国費を支出する場合の基本的な考え方等について(令和3年7月28日付の最高裁判所総務局第一課長等の事務連絡)
・ 書記官等の事務処理の誤りに伴い国費を支出する場合の基本的な考え方等について(平成31年4月16日付の最高裁判所経理局の事務連絡)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 偶発債務集計表(平成20年度以降)
・ 裁判所法第82条に基づき裁判所の事務の取扱方法に対して最高裁判所に申し出がなされた不服の処理状況
 裁判官の職務に対する苦情申告方法
・ 歴代の法務省訟務局長

弁護士任官者研究会の資料

目次
第1 総論
1 平成21年度以降の研究会の資料
2 弁護士任官者に要求される弁護士経験の年数等
第2 弁護士任官者に関係する資料
1 人事評価
2 人事事務の資料の作成
3 倫理の保持
4 非常勤裁判官及び調停委員
5 その他
第3 関連記事
1 採用前の話
2 採用後の研修資料
3 裁判官及び裁判所職員の名簿
4 その他採用後に関する記事
5 かつての話
6 その他

第1 総論
1 平成21年度以降の研究会の資料
(1)ア 弁護士任官者研究会の資料を以下のとおり掲載しています(令和3年度以降につき配布資料は含まれていませんから,「令和5年度弁護士任官者研究会(第2回)の日程表,参加者名簿及び参考資料目次」といったファイル名にしています。)。
(令和時代)
令和2年度1/22/2令和3年度令和5年度1/22/2令和6年度令和7年度
(平成時代)
平成21年度平成22年度平成23年度平成24年度平成25年度
平成26年度1/22/2平成27年度平成28年度平成29年度平成30年度平成31年度
イ 平成30年度分については,研究会の配付資料が含まれています。
ウ 平成31年度及び令和2年度研究会では,40分をかけて,「DVD視聴と意見交換 「職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止について」」が実施されました。
エ 令和4年度については,弁護士任官者研究会が開催されていません(令和4年4月27日付の不開示通知書,及び同年10月17日付の不開示通知書参照)。


(2)ア 弁護士任官者研究会は,弁護士任官をした直後の裁判官を対象に実施されています。
イ 平成28年度までは「弁護士任官者実務研究会」という名称でした。
(3) 平成25年9月に司法研修所別館が新築されました(「司法研修所別館の研修東棟及びなごみ寮」参照)から,平成26年度以降の弁護士任官者研究会は司法研修所別館で実施されていますし,なごみ寮に宿泊するようになっています。
2 弁護士任官者に要求される弁護士経験の年数等
(1) 弁護士任官は,弁護士経験10年以上の判事任官が望ましいとされているものの,弁護士経験3年以上の判事補任官も認められています(弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)別紙1「任官推薦基準及び推薦手続」参照)。
(2)ア 最高裁判所は,当分の間,高等裁判所の裁判事務の取扱い上特に必要があるときは,その高裁管内の特例判事補に対し,その高裁判事の職務を代行させることができます(判事補の職権の特例等に関する法律1条の2第1項)ところ,当該条文の制定経緯からすれば,「高等裁判所の裁判事務の取扱上特に必要があるとき」というのは,「第一審強化のために地裁に配置換えされた高裁判事の欠員を埋めるために特に必要があるとき」といった意味合いになります。
イ 近年では,弁護士経験5年以上10年未満で判事補任官をした場合,高裁判事の職務を代行する特例判事補になっています。

司法研修所別館の案内図(左上が裁判所職員総合研修所の宿泊棟であり,左下が司法研修所別館のなごみ寮です。)

第2 弁護士任官者に関係する資料
1 人事評価
・ 裁判官の人事評価に関する規則(平成16年1月7日最高裁判所規則第1号)
・ 裁判官の人事評価に関する規則の運用について(平成16年1月7日付の最高裁判所事務総長の依命通達)
・ 裁判官の人事評価の実施等について(平成16年3月26日付の最高裁判所事務総局人事局長の通達)
・ 裁判官の人事評価に係る評価書の保管等について(平成16年3月26日付の最高裁判所人事局長通達)
2 人事事務の資料の作成
・ 裁判官に関する人事事務の資料の作成等について(平成16年5月31日付けの最高裁判所事務総局人事局長の通達)
・ 裁判官第一カード等の記載要領について(平成29年2月16日付けの最高裁判所事務総局人事局任用課長の事務連絡)
→ 裁判官第一カード,裁判官第二カード及び裁判官第三カードの記載要領について書いてあります。
3 倫理の保持
 下級裁判所の裁判官の倫理の保持に関する申合せ(平成12年6月15日付の高等裁判所長官申合せ)
・ インターネットを利用する際の服務規律の遵守について(平成24年2月24日付の最高裁判所事務総局人事局能率課の文書)
 インターネットを利用する際の服務規律の遵守について(平成25年7月19日付の最高裁判所事務総局人事局能率課の文書)
4 非常勤裁判官及び調停委員
・ 民事調停官及び家事調停官の任免等について(平成15年12月3日付の最高裁判所事務総長の通達)
・ 民事調停委員及び家事調停委員の任免等について(平成16年7月22日付の最高裁判所事務総長通達)
・ 民事調停委員及び家事調停委員の任免手続等について(平成16年7月22日付の最高裁判所人事局長通達)
・ 民事調停委員の再任等について(平成30年1月24日付の最高裁判所民事局長の事務連絡)

5 その他
・ 弁護士任官に関する説明会(平成30年9月7日開催分)
・ 裁判所の情報化と情報セキュリティについて(平成30年4月)
・ 裁判所職員の赴任期間について(平成4年4月28日付の最高裁判所事務総長の依命通達)
・ 裁判官及び裁判官の秘書官の年次休暇等に関する規程(昭和60年12月18日最高裁判所規程第5号)
 下級裁判所の裁判官の休暇等の取扱要綱(昭和52年1月13日付の高等裁判所長官申合せ)
・ 裁判官の再任等に関する事務について(平成16年6月17日付の最高裁判所人事局長通達)

裁判官・検察官の給与月額表(令和2年1月1日現在)


第3 関連記事
1 採用前の話
・ 成績通知申出制度に基づく,司法修習生の成績開示
・ 実務修習,集合修習及び二回試験の成績分布(51期以降)
・ 弁護士任官希望者に関する情報収集の実情
 弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)
・ 弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況
→ 平成16年4月期以降の弁護士任官について記載しています。
2 採用後の研修資料
・ 新任判事補研修の資料
→ 弁護士任官者研究会の配布資料より,新任判事補研修の配布資料の方が多いです。
 判事補基礎研究会の資料
・ 判事任官者研究会の資料
・ 裁判所職員の旧姓使用
・ 裁判官の年収及び退職手当(推定計算)
・ 裁判官の号別在職状況
・ 裁判官の昇給
・ 裁判官の兼職
3 裁判官及び裁判所職員の名簿
・ 幹部裁判官の定年予定日
・ 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)
・ 最高裁判所が作成している,最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿
・ 最高裁判所が作成している,高裁長官・地家裁所長等名簿
・ 司法研修所の教官組別表,教官担当表及び教官名簿
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 最高裁判所が作成している,下級裁判所幹部職員名簿
・ 最高裁判所が作成している,首席家裁調査官等名簿
・ 裁判所の指定職職員の名簿(一般職)
4 その他採用後に関する記事
・ 裁判官第一カード,裁判官第二カード及び裁判官第三カード
・ 毎年4月1日付の人事異動等に関する最高裁判所裁判官会議
・ 裁判官人事の辞令書
・ 転勤した際,裁判所共済組合に提出する書類等
・ 新様式判決
・ 特例判事補
・ 職務代行裁判官
・ 最高裁判所調査官
・ 裁判官人事評価情報の提供
・ 裁判官再任評価情報の提供
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官の数の推移
・ 平成20年度以降,任期終了により退官した裁判官の一覧
・ 裁判官及び検察官の定年が定められた経緯(日本国憲法の制定経緯を含む。)
・ 裁判官の定年が70歳又は65歳とされた根拠
・ 最高裁判所事務総局の組織に関する法令・通達
・ 裁判所の指定職職員
・ 裁判所における一般職の職員
 指定職未満の裁判所一般職の級
 首席書記官の職務
 首席家庭裁判所調査官の職務
・ 書記官事務等の査察
・ 裁判所調査官
・ 非常勤裁判官(民事調停官及び家事調停官)の名簿
→ 非常勤裁判官制度は,「いわゆる非常勤裁判官制度について(弁護士任官等に関する協議の取りまとめ)」(平成14年8月23日付)を受けて開始した制度です。
・ 調停委員
・ 民事調停委員及び家事調停委員に対する表彰制度
・ 弁護士再登録時の費用
5 かつての話
・ 平成11年11月までの弁護士任官の状況
→ 判事採用選考要領(昭和63年3月)及び弁護士からの裁判官選考要領(平成3年9月12日付)に基づく取扱いです。
・ 平成13年2月当時の,弁護士任官に対する最高裁判所の考え方
・ 弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)
6 その他
・ 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
・ 法曹一元
・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 修習終了後3年未満の判事補への任官
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員名簿