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裁判官の年収はいくらか―報酬月額・手当・推定計算

第1 結論

裁判官の年収は一律ではなく、「報酬月額の12か月分」に、地域手当、初任給調整手当、期末手当及び勤勉手当などを加えて推定する。

令和8年4月1日現在の報酬月額は、判事1号が122万4000円、判事4号が85万2000円、判事補1号が45万9000円である。

したがって、手当及び賞与を含めない12か月分だけで計算すると、判事1号は1468万8000円、判事4号は1022万4000円、判事補1号は550万8000円となる。

実際の年収は、号、勤務地、手当の支給要件、在職期間及び期末・勤勉手当の計算によって変わるため、報酬月額だけでは確定できない。

第2 裁判官の年収の計算式

年収を推定するときは,適用される官職・号,報酬が適用される期間,各手当の支給要件を順に確認する。
年の途中で月額や勤務先が変わる場合は,期間ごとに計算する必要がある。手当を含めた年間の支給額と,報酬月額だけを12倍した額は区別されたい。

裁判官の税引前年収の基本的な組立ては、次のとおりである。

「報酬月額×12か月+地域手当等の月例手当+期末手当+勤勉手当」

判事補の一部については、これに初任給調整手当が加わる。

通勤手当、住居手当その他の給与は、裁判官の種類及び個別の支給条件によって適用関係が異なる。

例えば、住居手当は、裁判官の報酬以外の給与に関する規則6条により判事補等に支給され、判事は対象とされていない。

判事補でも、有料の国家公務員宿舎を貸与されている間は住居手当は支給されない(一般職の職員の給与に関する法律11条の10。詳しくは新任判事補の国家公務員宿舎―採用内定翌日の回答期限,規格・使用料,住居手当との比較及び退去時の明渡し)。

第3 令和8年の報酬月額の例

区分報酬月額12か月分
判事1号122万4000円1468万8000円
判事2号107万8000円1293万6000円
判事3号100万6000円1207万2000円
判事4号85万2000円1022万4000円
判事5号73万6000円883万2000円
判事8号54万6000円655万2000円
判事補1号45万9000円550万8000円
判事補12号27万6300円331万5600円

全区分の最新版及び平成30年以降の過去資料は、「裁判官・検察官の給与月額表―最新版と平成30年以降の過去資料」に分離して掲載している。

第4 年収に加わる主な手当

1 地域手当

地域手当は、勤務地等に応じて支給されるものであり、すべての裁判官について同じ割合になるものではない。

2 初任給調整手当

令和8年4月1日現在、判事補5号から12号までには月額1万9200円から8万7800円までの初任給調整手当が示されている。

対象、金額及び制度趣旨は、「判事補・検事の初任給調整手当―支給額・対象及び制度趣旨」に分離して掲載している。

3 期末手当及び勤勉手当

期末手当及び勤勉手当は、報酬月額の12か月分とは別に年収へ加わる。

年度別の支給月数は、「裁判官に対する期末手当及び勤勉手当の支給月数表」を参照されたい。

4 裁判官特別勤務手当と推定計算の範囲

裁判官ハンドブック(令和3年3月)8頁(PDF10頁)は、裁判所の休日等の一定の勤務に対する裁判官特別勤務手当を説明している。
超過勤務手当が支給されないことと、勤務態様に応じた手当が一切ないことは区別する必要がある。
制度の区別と原資料の年度は、裁判官及び検察官に超過勤務手当等が支給されない理由を参照されたい。

実際の年収を計算する場合には、その年の支給要件を満たして実際に支給された手当を確認する必要がある。
一方、本記事の報酬月額の12か月分の表は、この手当を含む年間支給総額ではない。
過去の推定年収資料についても、当該資料で採用した算定項目と仮定を確認し、個々の勤務実績に応じた手当まで一律に算入済みと扱わないことが必要である。

第5 過去の推定年収資料

本ブログには、号別在職状況及び地域手当率を基礎にした過去の推定計算を掲載している。

① 令和2年7月1日時点の総括表

② 令和元年7月1日時点の総括表

これらは各時点の報酬月額、支給月数及び地域手当率に基づく過去資料であり、令和8年現在の年収を示すものではない。

また、総括表には退職手当の旧推定値を含むが、退職手当の現行制度及び推定方法は別記事を優先されたい。

第6 号別在職状況及び昇給との関係

同じ「裁判官」であっても、報酬の号により月額が異なる。

各号に何人が在職しているかは、「裁判官の号別在職状況」を参照されたい。

号の上昇に関する資料は、「裁判官の昇給」を参照されたい。

判事1号から5号までと指定職俸給表の同額関係は、「裁判官の報酬月額と指定職俸給表の比較―判事1号から5号までの位置付け」を参照されたい。

第7 退職手当は別計算である

退職手当は在職中の年収とは別の給付であり、報酬月額の12か月分に単純に加えるものではない。

退職理由、勤続期間、退職時の俸給月額及び調整額等を用いる推定方法は、「裁判官の退職金(退職手当)はいくらか―推定額・計算方法・税金」を参照されたい。

第8 よくある質問

1 裁判官の年収は報酬月額の12倍か

12倍だけではない。

地域手当、初任給調整手当、期末手当及び勤勉手当などが加わり得る。

2 表の年収は手取りか

本記事の金額は税引前の計算であり、所得税、住民税及び共済掛金等を差し引いた手取りではない。

3 個々の裁判官の年収を特定できるか

公開された号別在職状況は号ごとの人数を示す資料であり、特定の裁判官の号を示す名簿ではない。

したがって、個々の裁判官の年収は、公開資料だけでは確定できない場合がある。

4 裁判官の平均年収はいくらか

報酬月額表は、官職・号ごとの月額を示すもので、裁判官全体の平均年収を示す統計ではない。
月額表の金額を単純平均し、又はある号の金額を12倍しても、実際の年間支給額の平均にはならない。
平均年収を示すには、対象となる裁判官の範囲、基準年、各人の在職期間及び手当を含む支給総額に対応した資料が必要である。

本記事に掲載する月額の12か月分と過去の推定年収は、裁判官全体の実測平均とは区別されたい。
給与制度全体の位置付けは、裁判官とはを参照されたい。

第9 出典

① 裁判所データブック2026「裁判官の報酬等」

② e-Gov法令検索「裁判官の報酬等に関する法律」

③ 裁判官の報酬以外の給与に関する規則(平成29年制定時の掲載)。

④ 裁判官ハンドブック(令和3年3月)8頁(PDF10頁)。